JP2017145315A - (メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤 - Google Patents

(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2017145315A
JP2017145315A JP2016027908A JP2016027908A JP2017145315A JP 2017145315 A JP2017145315 A JP 2017145315A JP 2016027908 A JP2016027908 A JP 2016027908A JP 2016027908 A JP2016027908 A JP 2016027908A JP 2017145315 A JP2017145315 A JP 2017145315A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
meth
adhesive
calcium carbonate
acrylic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016027908A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6703855B2 (ja
Inventor
英明 金村
Hideaki Kanemura
英明 金村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2016027908A priority Critical patent/JP6703855B2/ja
Publication of JP2017145315A publication Critical patent/JP2017145315A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6703855B2 publication Critical patent/JP6703855B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】粘度のせん断速度依存性が小さく、ホットメルト押出塗工性、保持力に優れ、可塑剤を含む場合でも可塑剤の染み出しが少ない粘接着剤を得ることができる、経済性にも優れた樹脂組成物を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を含む成分(I)、および、炭酸カルシウム粉末(II)、を含む樹脂組成物であって、(i)成分(I)における(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量は30質量%以上であり、(ii)成分(I)と炭酸カルシウム粉末(II)の質量比[(I)/(II)]=99/1〜5/95の範囲であり、(iii)炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径が0.1〜4μmであり、(iv)炭酸カルシウム粉末(II)の表面が化学的に処理されていない、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、ならびに、該樹脂組成物から得られる粘接着剤に関する。
(メタ)アクリル系重合体を含む樹脂組成物は、優れた耐候性、粘接着特性を有することから、粘接着剤用途で種々の検討が行われてきている。例えば、(メタ)アクリル系ブロック共重合体は、耐熱性、耐候性、保持力(凝集力)等に優れることから、種々の用途で粘接着剤としての検討が行われている(例えば、特許文献1参照。)。
かかる(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む粘接着剤には、粘接着剤性能のバランスを取ることに加え、適度な粘度に調整することで加熱溶融時の加工性を良くするために、粘着付与樹脂、可塑剤などの副成分を添加することが一般的である。
しかしながら、従来の粘接着剤では、ホットメルト押出塗工性、保持力の両立には改善の余地があり、しかも、可塑剤を含んだ場合でも可塑剤の染みだしがみられず、経済性にも優れる粘接着剤はいまだ見出されていなかった。
特開2015−078281号公報 特公平7−025859号公報 特開平11−335432号公報 特開平6−093060号公報
しかして、本発明の目的は、粘度のせん断速度依存性が小さく、ホットメルト押出塗工性、保持力に優れ、可塑剤を含む場合でも可塑剤の染み出しが少ない粘接着剤を得ることができる、経済性にも優れた樹脂組成物を提供することである。
本発明によれば、上記目的は、
[1](メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を含む成分(I)、および、炭酸カルシウム粉末(II)を、含む樹脂組成物であって、
(i)成分(I)における(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量は30質量%以上であり、
(ii)成分(I)と炭酸カルシウム粉末(II)の質量比[(I)/(II)]=99/1〜5/95の範囲であり、
(iii)炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径が0.1〜4μmであり、
(iv)炭酸カルシウム粉末(II)の表面が化学的に処理されていない、
樹脂組成物;
[2]前記成分(I)が粘着付与剤(B)および/または可塑剤(C)を含む、[1]に記載の樹脂組成物;
[3](メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が50,000〜300,000である、[1]または[2]に記載の樹脂組成物;
[4](メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物;
[5]炭酸カルシウム粉末(II)が重質炭酸カルシウム粉末である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物;
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む粘接着剤;
[7][6]に記載の粘接着剤を含む加工品;
により達成される。
本発明によれば、粘度のせん断速度依存性が小さく、ホットメルト押出塗工性、保持力に優れ、可塑剤を含む場合でも可塑剤の染み出しが少ない粘接着剤を得ることができる、経済性にも優れた樹脂組成物を提供できる。また、本発明の樹脂組成物は粘接着剤に好適に使用できる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書では、メタクリルとアクリルを総称して「(メタ)アクリル」と記載することがある。また、粘着剤と接着剤を総称して「粘接着剤」と記載することがある。さらに、粘着と接着の両方の性質を持つ材料、例えば、接着作業時には粘着により仮止めを行い、その後何かしらの手段により凝集力を高めて最終的に接着に変化して実用強度を発揮するよう設計された接着材料も「粘接着剤」に含まれる。
本発明の樹脂組成物は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を成分(I)として含む。樹脂組成物に成分(I)が含まれるため、粘接着性に優れた樹脂組成物となる。
成分(I)に含まれる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)は、通常メタクリル酸アルキルエステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(a1)とアクリル酸アルキルエステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロック(a2)とを有する。このような(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を成分(I)として含むことにより、耐熱性、耐候性、保持力(凝集力)等粘接着性に優れた樹脂組成物が得られる。
上記重合体ブロック(a1)の構成単位であるメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルが好ましく、経済的に入手容易な点、得られる重合体ブロック(a1)が耐久性と耐候性に優れる点などから、メタクリル酸メチルがより好ましい。
上記重合体ブロック(a1)の構成単位であるメタクリル酸アルキルエステル単位は、1種単独で構成されていてもよいし、2種類以上から構成されてもよい。重合体ブロック(a1)中に含まれるメタクリル酸アルキルエステル単位の割合は、重合体ブロック(a1)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロック(a1)はメタクリル酸アルキルエステル単位100質量%であってもよい。
上記重合体ブロック(a1)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位が含まれていてもよい。かかる他の単量体としては、例えばメタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル等のメタクリル酸アルコキシアルキルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等の、官能基を有するメタクリル酸エステル;後述するアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル等のアクリル酸アルコキシアルキルエステル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の、官能基を有するアクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の、官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。これら単量体を用いる場合は、通常少量で使用されるが、重合体ブロック(a1)の形成に使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
上記重合体ブロック(a1)のガラス転移温度は25℃以上であることが好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。重合体ブロック(a1)のガラス転移温度が上記範囲内であると、本発明の樹脂組成物を粘接着剤として用いた場合、凝集力に優れる傾向にある。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られた曲線の外挿開始温度である。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)には、重合体ブロック(a1)が2つ以上含まれてもよいが、その場合、それら重合体ブロック(a1)は、同一であっても異なっていてもよい。
重合体ブロック(a1)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、500〜50,000の範囲にあることが好ましく、500〜25,000の範囲にあることがより好ましく、4,000〜25,000の範囲にあることがさらに好ましい。重合体ブロック(a1)のMwがこの範囲より小さい場合には、得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の凝集力が不足する問題がある。また、重合体ブロック(a1)のMwがこの範囲より大きい場合には、得られる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の溶融粘度が高くなり、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の生産性や、得られるアクリル系ホットメルト粘接着剤の取扱い性などに劣る場合がある。なお、本明細書においてMwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
上記重合体ブロック(a2)の構成単位であるアクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の主鎖炭素数が4以下の短鎖アルキル基である場合(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチルなど)には、上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の流動性が向上する傾向にある。上記アクリル酸アルキルエステルに含まれるアルキル基の主鎖炭素数が6以上の長鎖アルキル基である場合(例えば、アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、およびアクリル酸ステアリルなど)には、上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の低温特性が向上する傾向にある。
上記重合体ブロック(a2)の構成単位であるアクリル酸アルキルエステル単位は、1種単独で構成されていてもよいし、2種類以上から構成されてもよい。重合体ブロック(a2)中に含まれるアクリル酸アルキルエステル単位の割合は、重合体ブロック(a2)中60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。また、重合体ブロック(a2)はアクリル酸アルキルエステル単位100質量%であってもよい。
上記重合体ブロック(a2)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の単量体単位を含有していてもよい。かかる単位を構成する他の単量体としては、例えば重合体ブロック(a1)の部分で述べた、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないメタクリル酸エステル、官能基を有するメタクリル酸エステル、アクリル酸アルキルエステル以外の、官能基を有さないアクリル酸エステル、官能基を有するアクリル酸エステル、カルボキシル基を有するビニル系単量体、官能基を有するビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、共役ジエン系単量体、オレフィン系単量体、ラクトン系単量体等が挙げられる。これら単量体を用いる場合は、通常少量で使用されるが、重合体ブロック(a1)の形成に使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
上記重合体ブロック(a2)のガラス転移温度は−20℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましい。
重合体ブロック(a2)のガラス転移温度が上記範囲内であると、低温領域でも柔軟性および粘接着剤としての特性に優れる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)が得られる。重合体ブロック(a2)のガラス転移温度が上記好適範囲内となり、入手が容易である点からは、上記アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチルが好ましい。なお、ガラス転移温度は、DSCで得られた曲線の外挿開始温度である。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)には、重合体ブロック(a2)が2つ以上含まれてもよいが、その場合、それら重合体ブロック(a2)は、同一であっても異なっていてもよい。
また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)中の重合体ブロック(a1)と重合体ブロック(a2)とのガラス転移温度の差は、70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)は、重合体ブロック(a1)を「α」;重合体ブロック(a2)を「β」;としたときに、一般式:
(α−β)n
(α−β)n−α
β−(α−β)n
(α−β)n−Z
(β−α)n−Z
(式中、nは1〜30の整数、Zはカップリング部位(カップリング剤がポリマー末端と反応して化学結合を形成した後のカップリング部位)を表す)で表されるものであることが好ましい。また、上記nの値は、1〜15であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることがさらに好ましい。上記の構造の中でも、(α−β)n、(α−β)n−α、β−(α−β)nで表される直鎖状のブロック共重合体が好ましく、α−βで表されるジブロック共重合体またはα−β−αで表されるトリブロック共重合体が特に好ましい。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)では、重合体ブロック(a1)の含有量は、得られるアクリル系ホットメルト粘接着剤の性能を優れたものとする観点からは、5〜55質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、5〜25質量%であることがさらに好ましい。
得られる樹脂組成物の加工性がより優れる傾向にあることから、上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜300,000であることが好ましく、50,000〜200,000であることがより好ましく、50,000〜160,000であることがさらに好ましく、50,000〜120,000であることがよりさらに好ましい。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)のMwが50,000未満であると、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の凝集力が不十分となり、得られる粘接着剤の性能に劣る場合がある。また、被着体の表面に(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)がブリードするなど不具合が生じる場合がある。一方、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)のMwが300,000を超えると、溶融粘度が高くなりすぎ、例えば樹脂組成物から粘接着剤を生産する際の生産性、加工性に劣る場合がある。
上記(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)では、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下であることが好ましく、1.0〜1.5であることがより好ましく、1.0〜1.4であることがさらに好ましく、1.0〜1.3であることが特に好ましい。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)のMw/Mnが上記範囲にあることにより、粘接着剤として使用した場合に凝集力が高いと同時に、被着体の汚染を抑制することができる。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)としては、固体状(例えばペレット状)の形態をとる(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含むことが好ましい。このような(メタ)アクリル系ブロック共重合体を成分(I)として含むことにより、耐熱性、耐候性、保持力(凝集力)等粘接着性により優れた樹脂組成物が得られる。なお、固体状の(メタ)アクリル系ブロック共重合体では、典型的には、23℃における弾性率(G’)が1×104Pa以上である。
また、成分(I)としては、上記固体状の形態をとる(メタ)アクリル系ブロック共重合体に加えて、液状の(メタ)アクリル系ブロック共重合体を含んでいてもよい。なお、液状の(メタ)アクリル系ブロック共重合体では、典型的には、23℃における弾性率(G’)が1×104Pa未満である。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法は特に制限されず、公知の方法に準じた製造方法により製造できる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位であるモノマーをリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(例えば、特許文献2を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩などの鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(例えば、特許文献3を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合する方法(例えば、特許文献4を参照)、原子移動ラジカル重合方法(ATRP)などが挙げられる。また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)として市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、株式会社クラレ製の「クラリティ(登録商標)シリーズ」等が挙げられる。
成分(I)中の(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量は30質量%以上である。成分(I)中の(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量が30質量%以上であることにより、保持力に優れる粘接着剤、また可塑剤が含まれる場合でも可塑剤の染み出しの少ない粘接着剤が作製できる樹脂組成物が得られる。保持力、可塑剤の染み出し、および、押出塗工性に代表される溶融時の加工性のバランスに優れる点から、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量は、30〜80質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(I)には、さらに、粘着付与剤(B)および/または可塑剤(C)、すなわち粘着付与剤(B)および可塑剤(C)から選ばれる少なくとも1種が含まれることが好ましい。このような成分(I)を樹脂組成物に含むことで、粘接着性能に優れた樹脂組成物が得られる。また、本発明の樹脂組成物から得られる粘接着剤の粘度のせん断速度依存性を小さくし、押出塗工性、保持力等を優れたものとする観点からは、成分(I)として粘着付与剤(B)および可塑剤(C)の両方を含むことが好ましい一態様である。
本発明の樹脂組成物において、上記成分(I)が粘着付与剤(B)を含むことにより、接着性、タック、相溶性が向上する。上記粘着付与剤(B)としては、粘着付与樹脂が挙げられる。粘着付与樹脂としては、例えば、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、これら樹脂の水素添加(以下、「水添」ということがある)物、スチレン樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂、クマロンインデン樹脂等が挙げられる。
本発明において炭化水素樹脂とは、C5留分、C9留分、C5留分の精製成分、C9留分の精製成分、またはこれら留分若しくは精製成分の混合物からなる原料を重合することにより得られるオリゴマーである。なお、C5留分には、通常、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテンおよびシクロペンテン等が含まれ、C9留分には、通常、スチレン、アリルベンゼン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレンおよびインデン等が含まれる。また、C9留分には少量のC8留分およびC10留分が含まれる場合がある。
上記炭化水素樹脂は、C5留分またはその精製成分を原料にしたC5樹脂(別名:脂肪族系炭化水素樹脂)、C9留分またはその精製成分を原料にしたC9樹脂(別名:芳香族系炭化水素樹脂)、C5留分またはその精製成分とC9留分またはその精製成分との混合物を原料にした、C5−C9共重合樹脂(別名:脂肪族−芳香族共重合炭化水素樹脂)に大別される。
本発明においてテルペン樹脂とは、テルペン系単量体を含む原料を重合して得られるオリゴマーである。テルペンとは一般的に、イソプレン(C58)の重合体を意味し、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類される。テルペン系単量体とは、これらを基本骨格として有する単量体であり、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレイン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノーレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピンネオール、β−テルピンネオール、γ−テルピンネオール、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類等が挙げられる。また、テルペン系単量体を含む原料には、テルペン系単量体と共重合可能な他の単量体、例えばベンゾフラン(C86O)等のクマロン系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエン、2−フェニル−2−ブテン等のビニル芳香族化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール系単量体等が含まれていてもよい。
本発明においてロジン系樹脂とは、松から得られる琥珀色、無定形の天然樹脂のことであり、その主成分はアビエチン酸とその異性体の混合物である。また、このアビエチン酸またはその異性体の持つ反応性を利用して、エステル化、重合等の変性をしたものも前記ロジン樹脂に含まれる。
上記粘着付与樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、クイントン100シリーズ、(日本ゼオン株式会社製)、アルコンMシリーズ、アルコンPシリーズ(荒川化学工業株式会社製)、アイマーブシリーズ(出光興産株式会社製)等の炭化水素樹脂;クリアロンシリーズ、YSポリスターシリーズ、YSレジンシリーズ(いずれもヤスハラケミカル株式会社製)、タマノル901(荒川化学工業株式会社製)等のテルペン樹脂;パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、パインクリスタルD−6250、ペンセルD125、ペンセルD160、エステルガムHシリーズ、エステルガムHPシリーズ(いずれも荒川化学工業株式会社製)、Foral85(Pinova社製)等のロジン系樹脂;YSレジンSX100(ヤスハラケミカル株式会社製)、KristalexF100(イーストマンケミカルジャパン株式会社製)、FTR6100(三井化学株式会社製)等のスチレン樹脂、タマノル521(荒川化学工業株式会社製)等のアルキルフェノール樹脂;ニカノールL(フドー株式会社製)等のキシレン樹脂;クマロンV−120S(日塗化学株式会社製)等のクマロンインデン樹脂を好適に用いることができる。
上記粘着付与樹脂の中でも、高い接着力やタックを発現する点で、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加物、スチレン樹脂が好ましく、幅広い種類の被着体に対する接着性の点から、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、およびこれらの水素添加物がより好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これら粘着剤付与樹脂が2種以上含まれている場合には、接着力やタックのバランスに優れる点で望ましい。また、上記粘着付与樹脂の軟化点については、高い接着力を発現する点から、50〜160℃のものが好ましい。
成分(I)中の粘着付与剤(B)の含有量は、接着性、タック、保持力、相容性のバランスに優れる点から、70質量%以下であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、8〜40質量%であることがさらに好ましく、15〜40質量%であることがよりさらに好ましい。
上記成分(I)が可塑剤(C)を含むことにより、ホットメルト加工性に優れる樹脂組成物が得られ、さらに、一般的に樹脂組成物全体としてのコストを下げることができる。上記可塑剤(C)としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類やセバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル等の主鎖の炭素数が2以上10以下である有機酸に由来する有機酸エステル類およびそのオリゴマー;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ビス−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−n−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル類等の脂肪酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリルオリゴマー;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル等が挙げられ、これらは1種単独で含まれていてもよいし、または2種以上含まれていてもよい。
これらの中でも、上記可塑剤(C)としては、凝集力および相溶性、および、溶融粘度のバランスの点からアクリルオリゴマー、炭素数が2以上10以下である有機酸に由来する有機酸エステル類が好ましい。アクリルオリゴマーとしては、アルフォンUPシリーズ(東亞合成株式会社製)、Micrylシリーズ(BASF社製)、有機酸エステルとしては、アセチルクエン酸トリブチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
成分(I)中の可塑剤(C)の含有量は、タック、可塑剤の染み出し、および、押出塗工性に代表される溶融時の加工性のバランスに優れる点から、0〜30質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物には、炭酸カルシウム粉末(II)が含まれる。樹脂組成物に成分(II)が含まれるため、かかる樹脂組成物からは、保持力に優れた粘接着剤が得られる。また、その樹脂組成物に可塑剤が含まれる場合にも、炭酸カルシウム粉末(II)が成分(I)からの可塑剤の染み出しを抑制できる。
上記炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径は0.1〜4μmである。炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径が0.1μm未満であると、炭酸カルシウム粉末(II)が凝集しやすく、成分(I)との混練加工時に均一に混ざらなかったり、押出塗工時に溶融タンク内滞留中に凝集し、ダイリップに目詰まりして塗工性が悪化しやすくなる。炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径が4μmを超えると、押出塗工して得られた樹脂層の表面凹凸が顕著となるため、被着体に貼合した時の接着力がばらつきやすくなる。上記炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径は、均一分散性、凝集性に代表される押出塗工性、塗工品の表面平滑性の観点からは、0.1〜3μmであることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましく、0.5〜2μmであることがさらに好ましい。なお、炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布より求めることができる。
上記炭酸カルシウム粉末(II)の表面は化学的に処理されていない。ここで、炭酸カルシウム粉末(II)の表面を化学的に処理するとは、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤等の化学物質により、炭酸カルシウム粉末(II)の表面を処理して粉末表面を化学的に変化させていることを意味する。このようにその表面を化学的に処理された炭酸カルシウム粉末などの無機粉末を組成物に含ませると、一般的には、粉末の凝集防止、組成物のチキソトロピー制御が可能となるとされている。一方、このような化学的に処理された無機粉末を樹脂と混合した組成物を用いた場合には、押出吐出など高温加工時には、樹脂のせん断応力により表面処理が剥がれ、組成物の着色や臭気発生の要因になることがある。本発明においては、成分(I)と共に、化学的に処理されていない炭酸カルシウム粉末(II)を用いることにより、成分(I)との分散性に優れる樹脂組成物が得られ、かかる樹脂組成物からは、保持力に優れた粘接着剤が得られる。また、その樹脂組成物に可塑剤が含まれる場合にも、樹脂組成物からの可塑剤の染み出しがない。また、粘度のせん断依存性が小さく、押出塗工性に優れる。
上記炭酸カルシウム粉末(II)は、通常、重質炭酸カルシウム(天然炭酸カルシウム)粉末と合成炭酸カルシウム粉末とに大別される。
重質炭酸カルシウム粉末は、天然に産出する粗晶石灰石(炭酸カルシウム原石)を機械粉砕し、必要に応じて分級することにより得られる。粗晶石灰石の機械粉砕は、例えば、ローラーミル、高速回転ミル、ボールミルなどの粉砕機を用いて、乾式または湿式粉砕することにより行うことができる。分級は、例えば、乾式粉砕を行った場合に、機械粉砕後、風力分級機等を用いることにより行うことができる。
合成炭酸カルシウム粉末としては、例えば軽質炭酸カルシウム粉末、沈降性(膠質)炭酸カルシウム粉末などが挙げられる。合成炭酸カルシウム粉末は、例えば、綿密石灰石を無煙炭またはコークス等と混和した後焼成して生石灰(酸化カルシウム)とし、この生石灰を水和して石灰乳(水酸化カルシウム懸濁液)を作製し、得られた石灰乳に炭酸ガスを吹き込むことにより製造できる。なお、石灰乳に炭酸ガスを吹き込む条件を制御することにより、得られる合成炭酸カルシウム粉末の粒径を制御できる。
上記炭酸カルシウム粉末(II)の中でも、重質炭酸カルシウム粉末が好ましい。上記炭酸カルシウム粉末(II)として重質炭酸カルシウム粉末を用いた場合には、樹脂組成物から得られる粘接着剤が炭酸カルシウム粉末の表面処理されていないことにより、優れた粘接着物性および押出塗工性が得られ、炭酸カルシウム粉末の凝集も発生しにくい。
上記成分(I)と炭酸カルシウム粉末(II)の質量比[(I)/(II)]は、99/1〜5/95の範囲にある。(I)/(II)が99/1を超えると、樹脂組成物から得られる粘接着剤の保持力が十分ではなく、樹脂組成物に可塑剤が含まれる場合には、可塑剤の染み出しが見られる場合もある。(I)/(II)が5/95未満であると、樹脂組成物から得られる粘接着剤の押出塗工性が十分ではなくなる。上記質量比(I)/(II)は、保持力、可塑剤の染み出し、および押出塗工性のいずれもが優れることから、99/1〜10/90であることが好ましく、99/1〜40/60であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体;軟化剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染色剤、屈折率調整剤、上記炭酸カルシウム粉末(II)を除くフィラー、硬化剤、膠着防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。これら他の重合体および添加剤は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
上記他の重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリアセタール;ポリフッ化ビニリデン;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;シリコーンゴム変性樹脂;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。これらの中でも、上記樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)との相溶性の観点から、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、AS樹脂、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデンおよびスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
上記フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、および有機繊維;タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等の炭酸カルシウムを除く無機充填剤等が挙げられる。無機繊維、有機繊維が含まれていると、得られる樹脂組成物に耐久性が付与される。無機充填剤が含まれていると、得られる樹脂組成物に耐熱性、耐候性が付与される。
本発明の樹脂組成物に硬化剤を含ませると、硬化型粘接着剤として好適に使用できる。上記硬化剤としては、UV硬化剤等の光硬化剤、熱硬化剤等が挙げられ、例えば、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類等が挙げられる。具体的には、ベンゾイン、α−メチロールベンゾイン、α−t−ブチルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾフェノン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、ベンジル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、ジアセチル等が挙げられる。硬化剤は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
上記硬化剤の効果を高める観点から、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸、および、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル等のエステル;アクリルアミド;メタクリルアミド;N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)アクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;N−メチロールメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;ビニルエステル;ビニルエーテル;モノ−N−ビニル誘導体;スチレン誘導体等の単量体;前記単量体を構成成分として含むオリゴマー等がさらに本発明の樹脂組成物に含まれていてもよい。耐久性を高める観点からは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステル等のエステル;ビニルエーテル;スチレン誘導体;および前記単量体を構成成分として含むオリゴマーが好ましい。また、これらの単量体の他に、さらに2官能以上の単量体またはオリゴマーからなる架橋剤が含まれていてもよい。
本発明の樹脂組成物に膠着防止剤を含ませると、取り扱い性の向上が期待できる。上記膠着防止剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、モンタン酸系ワックス等のワックス類;低分子量ポリエチレンや低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィン;アクリル系樹脂粉末;ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン;オクタデシルアミン、リン酸アルキル、脂肪酸エステル、エチレンビスステアリルアミド等のアミド系樹脂粉末、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、シリカ等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に制限されず、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合または混練装置を使用して、通常100〜250℃の範囲内の温度で混合することにより製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによって製造してもよい。得られた樹脂組成物は、粘接着剤として使用可能であり、例えば、加熱溶融してホットメルト粘接着剤として使用してもよく、あるいは溶媒に溶解させて溶液型粘接着剤として使用してもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、エチルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、トルエン−エタノール混合溶媒等が挙げられる。なかでもトルエン、エチルベンゼン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましい。
なお、本発明の樹脂組成物を加熱溶融して使用する場合、加工性・取扱性の観点から、溶融粘度が低いことが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物からなる粘接着層や、該粘接着層を含む積層体(例えば、積層フィルムまたは積層シート)等の形態とし、粘接着剤を含む加工品として好適に用いられる。
上記粘接着層を形成するには、本発明の樹脂組成物を加熱溶融して用いる場合、例えば、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法等を用いてシート状やフィルム状等の形状に形成できる。また、本発明の樹脂組成物を溶媒に溶解して用いる場合、例えば、支持体としてポリエチレンテレフタレート等の耐熱材料やスチールベルト等の平板またはロールを用い、これらの上に、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等を用いて(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)または(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物を溶媒に溶解させた溶液を塗工し、乾燥により溶媒を除去する方法(溶液キャスト法)を用いて粘接着層を形成することができる。
乾燥により溶媒を除去する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができるが、複数の段階に分けて乾燥を行うことが好ましい。複数の段階に分けて乾燥を行う場合には、1段階目の乾燥は、溶媒の急激な揮発による発泡を抑制するために、比較的低い温度で行い、2段階目以降の乾燥は、十分に溶媒を除去するために、高温で乾燥を行う方法がより好ましい。
上記溶液中の(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)または(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物の濃度は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)または(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を含む組成物の溶媒に対する溶解度、得られる溶液の粘度等を考慮して適宜決定されるが、好ましい下限値が5質量%、好ましい上限値が70質量%である。
上記積層体は、本発明の樹脂組成物からなる粘接着層と、紙、セロハン、プラスチック材料、布、木材、および金属等の種々の基材を積層することにより得られる。透明な材料からなる基材層であると、本発明の樹脂組成物は透明性や耐候性に優れることから、透明な積層体が得られるため好適である。透明な材料からなる基材層としては、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン系樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の重合体と種々のモノマーとの共重合体、これら重合体の2種以上の混合物、およびガラス等からなる基材層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記積層体の構成としては、例えば、本発明の樹脂組成物からなる粘接着層と基材層との2層構成、基材層2層と本発明の樹脂組成物からなる粘接着層との3層構成(基材層/粘接着層/基材層)、基材層と本発明の樹脂組成物からなる異なる2層の粘接着層(a)および粘接着層(b)と基材層との4層構成(基材層/粘接着層(a)/粘接着層(b)/基材層)、基材層と本発明の樹脂組成物からなる粘接着層(a)と他の材料からなる粘接着層(c)と基材層との4層構成(基材層/粘接着層(a)/粘接着層(c)/基材層)、基材層3層と本発明の樹脂組成物からなる粘接着層2層との5層構成(基材層/粘接着層/基材層/粘接着層/基材層)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記積層体の厚み比としては特に制限されないが、得られる粘接着製品の粘接着性、耐久性、取り扱い性から、基材層/粘接着層=1/1,000〜1,000/1の範囲であることが好ましく、1/200〜200/1の範囲であることがより好ましい。
上記積層体を製造する際は、粘接着層と基材層をそれぞれ形成したのちラミネーション法等によりそれらを貼り合わせてもよいし、基材層上に直接粘接着層を形成してもよい。また、粘接着層と基材層を共押出することにより層構造を一度に形成して、例えば共押出しフィルムまたは共押出しシート等として積層体を製造してもよい。
本発明の積層体においては、基材層と粘接着層との密着力を高めるために、基材層の表面にコロナ放電処理やプラズマ放電処理等の表面処理を予め施してもよい。また、上記粘接着層および基材層の少なくとも一方の表面に、接着性を有する樹脂等を用いてアンカー層を形成してもよい。
かかるアンカー層に用いる樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ブロック共重合体(例えば、SIS、SBS等のスチレン系トリブロック共重合体、およびジブロック共重合体等)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。上記アンカー層は一層であってもよく、二層以上であってもよい。
アンカー層を形成させる場合、その方法は特に制限されず、例えば、基材層に上記樹脂を含む溶液を塗工してアンカー層を形成させる方法、アンカー層となる上記樹脂等を含む組成物を加熱溶融してTダイ等により基材層表面にアンカー層を形成させる方法等が挙げられる。
また、アンカー層を形成させる場合、アンカー層となる上記樹脂と本発明の樹脂組成物とを共押出して基材層表面にアンカー層と粘接着層とを一体積層してもよく、基材層表面にアンカー層となる樹脂と樹脂組成物とを順次積層してもよく、さらに、基材層がプラスチック材料である場合には、基材層となるプラスチック材料、アンカー層となる樹脂、および樹脂組成物を同時に共押出してもよい。
本発明の樹脂組成物からなる粘接着剤は、種々の用途に使用できる。また該樹脂組成物からなる粘接着層は、単体で粘接着シートとして使用できるし、該粘接着層を含む積層体も種々の用途に適用できる。例えば、表面保護等の保護用、マスキング用、結束用、包装用、事務用、ラベル用、装飾・表示用、接合用、ダイシングテープ用、シーリング用、防食・防水用、医療・衛生用、ガラス飛散防止用、電気絶縁用、電子機器保持固定用、半導体製造用、光学表示フィルム用、粘接着型光学フィルム用、電磁波シールド用、または電気・電子部品の封止材用の粘接着剤、粘接着テープ、フィルムまたはシート等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物から得られる粘接着剤を含む加工品は、通常、紙、布、または各種プラスチックからなる基材と該樹脂組成物からなる粘接着層とを含む。上記加工品としては、例えば包装用または事務用粘接着テープ、養生用または塗装用マスキングテープ、ステンレス板、樹脂板などの傷つき防止のための表面保護用テープ、電気絶縁用粘接着テープ、電気・電子機器用粘接着テープ、マーキングフィルムなどの識別用または装飾用粘接着テープ、絆創膏、経皮吸収剤を含有する医療用粘接着製品、ラベル、シール用粘接着シート、建築用または建材用テープなどが挙げられる。
以下、実施例などにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
以下の合成例においては、常法により乾燥精製した薬品を用いた。
以下の合成例で合成した各重合体の分子量、分子量分布、組成、重合転化率の測定は、以下の方法によって行った。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL、G4000HXL」および「G5000HXL」を直列に連結
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(2)アクリル系ブロック共重合体における各共重合成分の含有量
1H−NMR分光法により求めた。
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
溶媒:重クロロホルム
1H−NMRスペクトルにおいて、3.6ppmおよび4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH3)およびアクリル酸n−ブチル単位のエステル基(−O−CH2−CH2−CH2−CH3)に帰属され、その積分値の比によって共重合成分の含有量を求めた。
(3)重合転化率
ガスクロマトグラフィー(GC)により求めた。
機器:株式会社島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
カラム:GL Sciences Inc.製「INERT CAP 1」(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
分析条件:injection300℃、detecter300℃、60℃(0分保持)→5℃/分で昇温→100℃(0分保持)→15℃/分で昇温→300℃(2分保持)
《合成例1》[アクリル系トリブロック共重合体(A−1)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素で置換した後、室温(25℃;以下同様)にて攪拌しながら、トルエン1069gと1,2−ジメトキシエタン41.7gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム16.6mmolを含有するトルエン溶液33.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム1.84mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.08gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル14.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(3)次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル242gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(4)さらに、これにメタクリル酸メチル19.2gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール9.57gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(5)得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。ろ過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸n−ブチル(PnBA)−PMMAからなるブロック共重合体(以下、これを「アクリル系トリブロック共重合体(A−1)」と称する)260gを得た。
(6)アクリル系トリブロック共重合体(A−1)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、確かにトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は194,200、数平均分子量(Mn)は173,900であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。さらに、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロックが12.1質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロックが87.9質量%であった。また、上記で得られたアクリル系トリブロック共重合体(A−1)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例2》[アクリル系トリブロック共重合体(A−2)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素で置換した後、室温にて攪拌しながら、トルエン1048gと1,2−ジメトキシエタン52.4gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム10.9mmolを含有するトルエン溶液50.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム2.31mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液4.01gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル18.0gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(3)次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル221.2gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(4)さらに、これにメタクリル酸メチル24.5gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.0g添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(5)得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。ろ過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、PMMA−PnBA−PMMAからなるブロック共重合体(以下、これを「アクリル系トリブロック共重合体(A−2)」と称する)262gを得た。
(6)アクリル系トリブロック共重合体(A−2)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、確かにトリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は155,000、数平均分子量(Mn)は135,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。さらに、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロックが16.1質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロックが83.9質量%であった。また、上記で得られたアクリル系トリブロック共重合体(A−2)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例3》[アクリル系ジブロック共重合体(A−3)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素で置換した後、室温にて攪拌しながら、トルエン870gと1,2−ジメトキシエタン44.0gを加え、続いて、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20.7mmolを含有するトルエン溶液30.9gを加え、さらにsec−ブチルリチウム5.17mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.99gを加えた。
(2)続いて、これにメタクリル酸メチル21.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(3)次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル288.4gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。
(4)得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈殿物を析出させた。ろ過により油状沈殿物を回収し、乾燥することで、PMMA−PnBAからなるブロック共重合体(以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(A−3)」と称する)310gを得た。
(5)アクリル系ジブロック共重合体(A−3)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、確かにジブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は67,000、数平均分子量(Mn)は55,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。さらに、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロックが6.9質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロックが93.1質量%であった。また、メタクリル酸メチルの重合が完了した時点でサンプリングした反応混合液のGPC測定を行った結果、メタクリル酸メチル重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)は4,400、数平均分子量(Mn)は4,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。また、上記で得られたアクリル系ジブロック共重合体(A−3)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
上記の合成例1〜3で合成したアクリル系トリブロック共重合体またはアクリル系ジブロック共重合体(A−1)〜(A−3)特性について、下記の表1にまとめて示す。
Figure 2017145315
下記の試験方法により、後述する実施例または比較例で得られた樹脂組成物および粘着フィルムの評価を行った。
[粘度のせん断速度依存性]
後述する実施例または比較例で作製した樹脂組成物12gを、ブルックフィールド社製回転粘度計で140℃の条件下にて溶融し、No.29型のスピンドルを使用し、0.3回/分〜100回/分の可能回転速度の範囲で、回転トルクが安定していた低速回転側(低シェア)と高速回転側(高シェア)の各粘度を測定した。
[ホットメルト押出塗工性]
後述する実施例または比較例で作製した樹脂組成物を、株式会社サンツール製ホットメルトアプリケーター(塗工幅180mm)を使用し、140℃の条件下にて押出塗工した。ダイの両端まで粘着剤組成物が行き渡り幅方向に均一に吐出されていれば「○」、両端からの吐出量が少ない場合は「×」で判定した。
[炭酸カルシウム粉末の凝集の有無]
後述する実施例または比較例で作製した樹脂組成物を、株式会社サンツール製ホットメルトアプリケーター(塗工幅180mm)を使用し、140℃の条件下にて押出塗工した。塗工厚み20μm狙いで100サイクル連続塗工後、塗工厚みが18μm〜22μmの範囲で安定しており、塗工品を観察して炭酸カルシウム粉末の凝集が見られない場合は「無し」、塗工厚みが外れたり、凝集が見られた場合は「有り」と判定した。
[可塑剤染み出し試験]
後述する実施例または比較例で作製した粘着フィルムを、25mm×100mmのサイズにカットして試験片とし、当該試験片を被着体であるリサイクル用紙(富士ゼロックス株式会社製C2r、秤量70g/m2)に貼り付け、温度60℃の条件下にて環境試験を行った。試験結果は、粘着フィルムを貼り付けた部位を裏側から観察し、可塑剤の染み出し有無を判定した。
[保持力試験(クリープ試験)]
後述する実施例または比較例で作製した粘着フィルムを、25mm×25mmのサイズにカットして試験片とし、当該試験片を被着体であるSUS板に貼り付け、当該試験片に500gの重りを取り付けて、温度60℃の条件下にて、JIS Z 0237に準拠して行った。試験結果は、落下時間が200分以上である場合は「○」、10分以上200分未満である場合は「△」、10分未満である場合は「×」とした。この試験は、加熱下での粘着剤の耐久性を調べるための試験であり、試験片が脱落するまでの時間が長いほど、粘着剤が保持力に優れていることを示す。
後述する実施例または比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)
合成例1〜3で製造した(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A−1)〜(A−3)
粘着付与剤(B)
(B−1)スチレン樹脂「YSレジンSX100」(ヤスハラケミカル株式会社製、軟化点95〜105℃)
(B−2)水添ロジンエステル「Foral85」(Pinova社製、軟化点80〜88℃)
可塑剤(C)
(C−1)アクリル酸系重合物「アルフォンUP−1171」(東亞合成株式会社製)
(C−2)アセチルクエン酸トリブチル「ATBC」(旭化成ファインケム株式会社製)
炭酸カルシウム粉末(II)
(II−1)重質炭酸カルシウム粉末「ソフトン2200」(白石カルシウム株式会社製、平均粒径1.0μm)
(II−2)合成炭酸カルシウム粉末「Brilliant−1500」(白石カルシウム株式会社製、平均粒径1.0μm)
(II−3)表面処理合成炭酸カルシウム粉末「白艶華CC」(白石カルシウム株式会社製、平均粒径0.05μm、脂肪酸表面処理)
(II−4)表面処理合成炭酸カルシウム粉末「Vigot 15」(白石カルシウム株式会社製、平均粒径0.15μm、脂肪酸表面処理)
(II−5)重質炭酸カルシウム粉末「BF−200」(白石カルシウム株式会社製、平均粒径5.0μm)
《実施例1》
[アクリル系ホットメルト粘接着剤(D−1)の作製]
(1)アクリル系トリブロック共重合体(A−1)100質量部、SX100(ヤスハラケミカル株式会社製、スチレン樹脂、軟化点100℃)75質量部、アルフォンUP−1171(東亞合成株式会社製、アクリル酸系重合物)30質量部、ATBC(旭化成ファインケム株式会社製)30質量部、ソフトン2200(白石カルシウム株式会社製、炭酸カルシウム粉末)60質量部を3Lのバッチ式ニーダーを使用して150℃で均一になるまで混練して樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物からなるアクリル系ホットメルト粘接着剤(D−1)を得た。
(2)アクリル系ホットメルト粘接着剤(D−1)200gを、株式会社サンツール社製ホットメルトアプリケーター付属のメルタータンクに充填し、140℃に加熱した。吐出圧0.5MPa/cm2、塗工速度50mm/ 秒で、幅180mm×長さ240mm、塗工厚み20μmの粘着フィルムを作製した。
《実施例2〜5、比較例1〜7》
樹脂組成物の組成を表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にアクリル系ホットメルト粘接着剤(D−2)〜(D−12)、および、塗工厚み20μmの粘着フィルムを作製した。結果を表2に示す。
Figure 2017145315
表2に示すように、本発明の樹脂組成物は、粘度のせん断速度依存性が小さく、ホットメルト押出塗工性、保持力に優れ、可塑剤を含む場合でも可塑剤の染み出しがない粘接着剤を得られることが分かる。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)を含む成分(I)、および、炭酸カルシウム粉末(II)を、含む樹脂組成物であって、
    (i)成分(I)における(メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量は30質量%以上であり、
    (ii)成分(I)と炭酸カルシウム粉末(II)の質量比[(I)/(II)]=99/1〜5/95の範囲であり、
    (iii)炭酸カルシウム粉末(II)の平均粒径が0.1〜4μmであり、
    (iv)炭酸カルシウム粉末(II)の表面が化学的に処理されていない、
    樹脂組成物。
  2. 前記成分(I)が粘着付与剤(B)および/または可塑剤(C)を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)が50,000〜300,000である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. (メタ)アクリル系ブロック共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 炭酸カルシウム粉末(II)が重質炭酸カルシウム粉末である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む粘接着剤。
  7. 請求項6に記載の粘接着剤を含む加工品。
JP2016027908A 2016-02-17 2016-02-17 (メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤 Active JP6703855B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016027908A JP6703855B2 (ja) 2016-02-17 2016-02-17 (メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016027908A JP6703855B2 (ja) 2016-02-17 2016-02-17 (メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017145315A true JP2017145315A (ja) 2017-08-24
JP6703855B2 JP6703855B2 (ja) 2020-06-03

Family

ID=59681146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016027908A Active JP6703855B2 (ja) 2016-02-17 2016-02-17 (メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6703855B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019065206A (ja) * 2017-10-02 2019-04-25 東洋インキScホールディングス株式会社 ホットメルト型難燃性粘着剤、および難燃性粘着剤付き保護シート
JP2019085588A (ja) * 2019-03-07 2019-06-06 株式会社クラレ 粘接着剤組成物
WO2020075655A1 (ja) * 2018-10-10 2020-04-16 株式会社クラレ ブロック共重合体を含むペレット及び該ペレットから得られる成形体
WO2020138237A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体
WO2020138238A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005200556A (ja) * 2004-01-16 2005-07-28 Kaneka Corp スラッシュ成形用パウダーの製造方法
JP2006111709A (ja) * 2004-10-14 2006-04-27 Kaneka Corp アクリル系ブロック共重合体組成物
JP2009249540A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Kaneka Corp 粘着剤組成物および粘着テープ類
WO2012032977A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 日東電工株式会社 粘着シートおよびその製造方法
JP2012131163A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Pentel Corp 消しゴム
WO2015060224A1 (ja) * 2013-10-25 2015-04-30 株式会社クラレ ホットメルト接着剤組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005200556A (ja) * 2004-01-16 2005-07-28 Kaneka Corp スラッシュ成形用パウダーの製造方法
JP2006111709A (ja) * 2004-10-14 2006-04-27 Kaneka Corp アクリル系ブロック共重合体組成物
JP2009249540A (ja) * 2008-04-08 2009-10-29 Kaneka Corp 粘着剤組成物および粘着テープ類
WO2012032977A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 日東電工株式会社 粘着シートおよびその製造方法
JP2012131163A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Pentel Corp 消しゴム
WO2015060224A1 (ja) * 2013-10-25 2015-04-30 株式会社クラレ ホットメルト接着剤組成物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019065206A (ja) * 2017-10-02 2019-04-25 東洋インキScホールディングス株式会社 ホットメルト型難燃性粘着剤、および難燃性粘着剤付き保護シート
WO2020075655A1 (ja) * 2018-10-10 2020-04-16 株式会社クラレ ブロック共重合体を含むペレット及び該ペレットから得られる成形体
WO2020138237A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体
WO2020138238A1 (ja) * 2018-12-27 2020-07-02 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体
JPWO2020138238A1 (ja) * 2018-12-27 2021-11-11 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体
JPWO2020138237A1 (ja) * 2018-12-27 2021-11-18 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体
TWI812826B (zh) * 2018-12-27 2023-08-21 日商可樂麗股份有限公司 具有包含貫通孔之構造體的積層體
JP7362663B2 (ja) 2018-12-27 2023-10-17 株式会社クラレ 貫通孔を含む構造体を有する積層体
JP2019085588A (ja) * 2019-03-07 2019-06-06 株式会社クラレ 粘接着剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6703855B2 (ja) 2020-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102558071B1 (ko) 적층용 아크릴계 열가소성 중합체 조성물
JP6491101B2 (ja) ホットメルト接着剤組成物
WO2016027767A1 (ja) アクリル系粘着剤組成物及び粘着製品
JP6892854B2 (ja) ホットメルト粘接着剤組成物
JP6703855B2 (ja) (メタ)アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物、および該樹脂組成物から得られる粘接着剤
WO2016121607A1 (ja) アクリル系ブロック共重合体および粘接着剤組成物
JP2016044203A (ja) アクリル系粘着剤組成物及び粘着製品
JP2019085587A (ja) 粘接着剤組成物
JP6884674B2 (ja) 粘接着剤組成物
JP2017203173A (ja) 粘接着剤組成物
JP6892803B2 (ja) 粘接着剤組成物
JP6328992B2 (ja) ホットメルト接着剤組成物
JP2018003035A (ja) 粘接着剤組成物
JP2017214597A (ja) 粘接着剤組成物
JP2019094402A (ja) 積層体および該積層体を有する粘接着製品
JP2017203149A (ja) アクリル系ブロック共重合体を含む樹脂組成物
JP2021183705A (ja) アクリル系粘接着剤組成物
TWI821385B (zh) 積層體之製造方法
JP2017214598A (ja) 粘接着剤組成物
JP2017214596A (ja) 粘接着剤組成物
JP2019085588A (ja) 粘接着剤組成物
JP2017014390A (ja) アクリル系ポリマーの水分散体の製造方法
JP2019094401A (ja) 積層体および該積層体を有する粘接着製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181101

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200421

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200511

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6703855

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150