JP2003252747A - 皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びその
水溶性誘導体から選ばれた1種以上の化合物を用いた、
安定で使用感の良好な皮膚外用剤を提供する。 【解決手段】 アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及び
その水溶性誘導体から選ばれた1種以上の化合物の変色
を防止するため、該化合物を水不溶性の100μm以下
の微粒子として配合し、製剤中に分散させることによ
り、長期の安定性に優れ、尚且つ良好な使用感を有する
無水の皮膚外用剤を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アスコルビン酸、
アスコルビン酸塩及びその水溶性誘導体から選ばれた1
種以上の化合物を含む、安定性、使用感が良好な皮膚外
用剤に関する。 【0002】 【従来の技術】アスコルビン酸及びその誘導体は皮膚美
白効果その他の、医薬品、医薬部外品、化粧品にとって
有用な種々の美容効果、薬理効果を示す物質であり、医
薬品、医薬部外品、化粧品等における皮膚外用剤の有効
成分の一つとして汎用されており、その多くは含水系皮
膚用外用剤である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながらアスコル
ビン酸はその構造(α−ケトラクトン)のために非常に
不安定な物質で殊に水溶液中では経時的に変色し、アス
コルビン酸含量の低下をきたすなどの問題を持ってい
る。この問題の解決のために、従来からリン酸、硫酸、
脂肪酸等のエステル誘導体として配合することが行われ
ているが、それらにしても経時での着色、含有量の低
下、結晶の析出等の問題が完全には解決されず、市場流
通に十分に耐え得るとは言い難いものであった。またこ
のような安定性の問題を回避するために無水の粉体状の
製剤とし、使用時に水等に溶解させ皮膚に塗布する剤型
も市場に見られるが、使用性の点から、特に化粧品とし
ては許容されにくい剤型となってしまっている。従っ
て、本発明の目的はこれらの問題点を解決した無水の皮
膚外用剤を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく鋭意努力し、種々検討した結果、本発明の完成
に至った。すなわち本発明はアスコルビン酸、アスコル
ビン酸塩及びその水溶性誘導体を100μm以下の微粒
子として配合することにより、長期の安定性に優れ、尚
且つ良好な使用感を有する無水の皮膚外用剤を提供する
ものである。この皮膚外用剤の特徴は、アスコルビン酸
及びその誘導体が、水に溶解していないため、長期に亘
り製剤中で安定であることと、皮膚に適用された時、微
粒子状であるためざらつきのない良好な使用感が得ら
れ、且つ容易に皮膚上の水分に溶解し美容及び薬理効果
を発現することにある。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明の皮膚外用剤に含まれる成
分などにつき以下に詳述する。本発明に用いられるアス
コルビン酸の水溶性誘導体の具体例としては、例えば、
L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン
酸リン酸エステルナトリウム塩、L−アスコルビン酸リ
ン酸エステルカリウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エ
ステルカルシウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステ
ルマグネシウム塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル
トリエタノールアミン塩等のL−アスコルビン酸リン酸
エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル、L−ア
スコルビン酸硫酸エステル塩、L−アスコルビン酸−2
−グルコシド等の水溶性アスコルビン酸活性誘導体を挙
げることができる。特にL−アスコルビン酸リン酸エス
テルマグネシウム(L−アスコルビル−2−リン酸マグ
ネシウム)は分散安定性、美容及び薬理効果の点から好
ましい。 【0006】本発明におけるアスコルビン酸、アスコル
ビン酸塩及びその水溶性誘導体の配合量は、0.1〜8
5wt%が好ましく、より好ましくは、1〜60wt%であ
る。0.1wt%未満では美白効果等の美容及び薬理効果
が乏しく、本来の目的を発揮できず、85wt%を超える
と使用感が悪くなる。これらのアスコルビン酸及びその
水溶性誘導体は単独で配合してもよいし、2種以上を組
合わせて配合してもよい。 【0007】アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びそ
の水溶性誘導体は100μm以下の粒径に微粒子化して
配合される。皮膚に塗布する時により滑らかな使用感を
得るためには、70μm以下に微粒子化することが好ま
しく、より好ましくは50μm以下である。100μm
より大きいと塗布時にザラつき使用感が著しく損なわれ
る。 【0008】本発明の無水の皮膚外用剤には、上記した
アスコルビン酸類を分散させ、皮膚に塗布もしくは貼付
させるための媒体が用いられる。この媒体としては一般
に医薬品、医薬部外品、化粧品等に用いられる成分の
内、水を含有しない又は水の含有量が充分に少ない成分
を用いることが好ましい。そのような成分の例としては
油剤、多価アルコール類、アルコール類等が挙げられ、
これらは単独で又は2種以上組合わせて用いられる。実
質的に水を含まなければ、アスコルビン酸類の安定性は
確保されるが、含水量が低いこと及び塗布しやすい種々
の剤型を作ることが出来る点から、媒体として油剤を用
いることがより好ましい。 【0009】本発明に用いられる油剤としては、液状、
半固型及び固型油剤のいずれの油剤も用いることができ
る。液状及び半固型油剤の例としては、動物油、植物
油、合成油等の起源を問わず、液状油には揮発性油分も
含まれ、炭化水素類、ラノリン及びラノリン誘導体類、
油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アル
コール類、シリコーン油類、フッ素系油類等が挙げられ
る。より具体的には、ワセリン、流動パラフィン、スク
ワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ラノリン、ヒ
マシ油、オリーブ油、マカダミアナッツオイル、2−エ
チルヘキサン酸セチル、トリオクタン酸グリセリル、イ
ソステアリン酸、オレイルアルコール、ジメチルポリシ
ロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、フッ素変
性シリコーン、パーフルオロポリエーテル等が挙げら
れ、揮発性油分としては、沸点260℃以下の低沸点イ
ソパラフィン、低分子鎖状ジメチルポリシロキサン、オ
クタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロ
ペンタシロキサン等が挙げられる。 【0010】本発明に用いられる多価アルコールの例と
しては、グリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピ
レングリコール、1,2−ペンタンジオール、イソプレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトー
ル、キシリトール等が挙げられる。本発明に用いられる
アルコールの例としては、エチルアルコール、イソプロ
ピルアルコール等が挙げられる。 【0011】また本発明の皮膚外用剤には、アスコルビ
ン酸類の分散性向上のために分散剤を用いることが好ま
しい。分散剤の例としてはアニオン界面活性剤、カチオ
ン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、
変性シリコーン等のシリコーン系分散剤、高分子界面活
性剤、フッ素系界面活性剤、天然界面活性剤等が挙げら
れるが、中でも低HLBの非イオン界面活性剤、変性シ
リコーンがより好ましい。具体的には、ショ糖脂肪酸エ
ステル、脂肪酸ポリグリセリン、脂肪酸モノグリセリ
ン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。さら
に分散を安定化させるために油性ゲル化剤である有機変
性ベントナイトやパルミチン酸デキストリン、12−ヒ
ドロキシステアリン酸等を配合してもよい。 【0012】本発明において用いるアスコルビン酸類の
微粒子化の方法について述べる。アスコルビン酸類を分
散するにあたり、通常化粧品等を製造する際に使用され
る分散機のいずれを用いてもよいが、ディスパー攪拌
機、ホモミキサー、コロイドミル又はボールミル等を用
いることが好ましく、特にロールミル又はビーズミルを
用いることが好ましい。 【0013】本発明における皮膚外用剤の剤型として
は、液状、ペースト又は軟膏状、ゲル状又は固体状、エ
アゾール、パップ剤などいずれでもよく、特に液状〜固
型油を基剤として用いる油性固型状のものは、ケーキ
状、スティック状、ペンシル状等に成形することがで
き、使用性の点から好ましい。 【0014】なお本発明の皮膚外用剤は必須成分に加え
て、更に本発明の効果を阻害しない範囲において皮膚外
用剤に一般に使用される保湿剤、増粘剤、薬剤、色素、
パール剤、顔料、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美
容剤、樹脂、高分子、清涼剤、抗炎症剤、制汗剤、皮膚
賦活剤、血行促進剤、防腐剤、殺菌剤などを適宜配合す
ることができる。 【0015】 【実施例】本発明を以下に実施例及び比較例にて具体的
に説明するが、これらによって本発明が限定されるもの
ではない。 【0016】 <実施例1:美白スティック> (成分) (%) (1) カルナウバロウ 3.0 (2) セレシン 8.0 (3) マイクロクリスタリンワックス 8.0 (4) ミツロウ 2.0 (5) メチルフェニルポリシロキサン 10.0 (6) イソノナン酸イソノニル 19.0 (7) リンゴ酸ジイソステアリル 20.0 (8) ショ糖脂肪酸エステル 2.0 (9) グリチルレチン酸イソステアリル 0.5 (10) 酸化チタン 1.5 (11) ポリメチルシルセスキオキサン 23.0 (12) L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウム 3.0 【0017】(製造方法)成分(1)〜(9)を加熱溶
解した後、成分(10)〜(12)を加えロールミル処理を
2回行った。ロールミル処理後の分散物をグラインドゲ
ージを用いて測定したところ、50μm以上の粒子は見
られなかった。これを再溶解し、内径12mmの金型に
溶融充填、冷却した後、金型から取り出し容器に差して
製品とした。 【0018】(評価) 安定性 実施例1の美白スティックを40℃の恒温槽に3ケ月保
存し、L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウムを高
速液体クロマトグラフ(HPLC)法により定量したと
ころ、その残存率は98%だった。 使用感 実施例1の美白スティックは製造直後も40℃の恒温槽
に3ケ月保存した後も使用感はざらつき等がなく良好な
ものであった。 【0019】 <実施例2:美白ローション> (成分) (%) (1) L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウム 10.0 (2) ワセリン 3.0 (3) リンゴ酸ジイソステアリル 10.0 (4) ペンタオレイン酸ポリグリセリン 2.0 (5) イソノナン酸トリデシル 20.0 (6) デカメチルシクロペンタシロキサン 49.0 (7) エタノール 10.0 (8) 油溶性カミツレエキス 1.0 【0020】(製造方法)成分(1)〜(5)を混合し
ビーズミル処理を2回行った。ビーズミル処理後の分散
物をイソノナン酸トリデシルで10倍に希釈し、粒度分
布計を用いて測定したところ、平均粒径は約10μmだ
った。これに成分(6)〜(8)を加え混合し、容器に
充填し製品とした。この製品は使用前に振盪して使うも
のである。 【0021】(評価) 安定性 実施例2の美白ローションを40℃の恒温槽に3ケ月保
存し、L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウムを高
速液体クロマトグラフ(HPLC)法により定量したと
ころ、その残存率は97%だった。 使用感 実施例2の美白ローションは製造直後も40℃の恒温槽
に3ケ月保存した後も使用感はざらつき等がなく良好な
ものであった。 【0022】 <比較例1:美白ローション> (成分) (%) (1) L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウム 10.0 (2) クエン酸ナトリウム 2.9 (3) クエン酸 0.1 (4) エタノール 10.0 (5) 水溶性カミツレエキス 1.0 (6) 精製水 76.0 【0023】(製造方法)成分(1)〜(6)を混合溶
解し、製品とした。 【0024】(評価) 安定性 比較例1の美白ローションを40℃の恒温槽に3ケ月保
存したところ、結晶の析出が観察された。これを均一に
し、L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウムを高速
液体クロマトグラフ(HPLC)法により定量したとこ
ろ、その残存率は78%だった。 使用感 比較例1の美白ローションは製造直後は透明で使用感も
良かったが、40℃の恒温槽に3ケ月保存したものは塗
布したとき結晶の析出によるざらつきが感じられ使用感
的に劣っていた。 【0025】 <実施例3:美白コンシーラースティック> (成分) (%) (1) ポリエチレンワックス 1.0 (2) セレシン 8.0 (3) マイクロクリスタリンワックス 8.0 (4) ミツロウ 2.0 (5) メチルフェニルポリシロキサン 10.0 (6) パルミチン酸オクチル 20.0 (7) トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10.0 (8) リンゴ酸ジイソステアリル 14.0 (9) ショ糖脂肪酸エステル 2.0 (10) グリチルレチン酸イソステアリル 0.5 (11) 酸化チタン(平均粒子径0.3μm) 10.0 (12) ベンガラ 0.5 (13) 黄酸化鉄 1.0 (14) 酸化チタン(平均粒子径0.05μm) 5.0 (15) 酸化亜鉛(平均粒子径0.03μm) 5.0 (16) L−アスコルビル−2−リン酸マグネシウム 3.0 【0026】(製造方法)成分(1)〜(10)を加熱溶
解した後、成分(11)〜(16)を加えロールミル処理を
2回行った。ロールミル処理後の分散物をグラインドゲ
ージを用いて測定したところ、50μm以上の粒子は見
られなかった。これを再溶解し、内径12mmのスティ
ック容器に直接溶融充填し、冷却した後、製品とした。 【0027】(評価) 安定性 実施例3の美白コンシーラースティックを40℃の恒温
槽に3ケ月保存し、L−アスコルビル−2−リン酸マグ
ネシウムを高速液体クロマトグラフ(HPLC)法によ
り定量したところ、その残存率は95%だった。 使用感 実施例3の美白コンシーラースティックは製造直後も4
0℃の恒温槽に3ケ月保存した後も使用感はざらつき等
がなく良好なものであった。 【0028】 【発明の効果】本発明の皮膚外用剤は、アスコルビン酸
及びその誘導体を製剤系で長期に安定に保つことがで
き、使用感も優れることから、医薬品、医薬部外品、化
粧品に適しており、特に美白効果を有する医薬部外品、
化粧品に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C083 AA082 AA112 AA122 AB242 AC012 AC102 AC302 AC352 AC372 AC422 AD152 AD172 AD222 AD532 AD641 AD642 BB51 CC02 CC04 DD11 DD39 EE01 EE06 EE16

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及び
    その水溶性誘導体から選ばれた1種以上の化合物が10
    0μm以下の微粒子として製剤中に分散していることを
    特徴とする無水の皮膚外用剤。
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