JP2003251764A - 複数層管及びその製造方法 - Google Patents

複数層管及びその製造方法

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JP2003251764A
JP2003251764A JP2002058729A JP2002058729A JP2003251764A JP 2003251764 A JP2003251764 A JP 2003251764A JP 2002058729 A JP2002058729 A JP 2002058729A JP 2002058729 A JP2002058729 A JP 2002058729A JP 2003251764 A JP2003251764 A JP 2003251764A
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Takashi Ono
崇 尾野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 フッ素プラスチック材料からなる内管層と、
フッ素プラスチック材料以外の溶融押出し可能な熱可塑
性プラスチック材料からなる外側層との接着剤によらな
い化学的結合を付与することができる複数層管及びその
製造方法を提供する。具体的には、キンクが生じ難く且
つキンクが生じたとしてもキンク部で剥離が生じ難い複
数層管及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 複数層管の内管層111,112は、活
性化された外周表面11aを有し、複数層管の外側層1
2を形成するプラスチック材料が、内管層の活性化され
た外周表面12aと化学的に反応し得る官能基を有する
化合物及び/または架橋反応で共有結合し得る化合物を
含有することにより、内管層11の外周に外側層12と
してプラスチック材料を押出成形すると、外側層12が
内管層11の外周表面11aに密に接触維持され、加熱
および/または放射線誘導により、かかる化合物が活性
化された外周表面12aと化学的に反応して、外側層1
2が内管層11の外周表面11aに化学的に結合され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素あるいは
ガソリン等の燃料に含まれている要素に対して抵抗を示
すフッ素プラスチック材料からなる内管層とその外周上
に少なくとも熱可塑樹脂及び/または熱可塑性エラスト
マーを有する複数層管及びその製造方法に関し、好まし
くは、自動車の燃料やフロン等の冷媒を搬送するのに好
適に用いられる複数層及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の複数層管としては、特開
平5−196177号公報に、燃料及び燃料添加物に対
する耐薬品性がある重合したフルオロカーボン材料から
なる内管層と、強度を増大させるためのポリアミド材料
からなる外管層とを備えたフルオロポリマー複合チュー
ブ(複数層管)が開示されており、内管層がその外周面
に凹凸形状を有し、外管層が、内管層の外面と噛合い係
合して内管層と外管層間の相対移動を制限する内面を備
え、ていることを特徴とする耐圧に優れた複数層管が開
示されている。即ち、外管層を押出成形する前に、酸処
理、プラズマ処理及び機械的なスカッフィング等の内管
層の外面がエッチングされ、かかる処理がされた内管層
上に外管層を押出成形すると、押出し成形する際に、外
管層の内面が内管層の外面の凹凸形状と噛合い係合する
ことになり、両者の間に機械的結合が形成され、外管層
が、内管層の外面と噛合い係合し、内管層と外管層間の
相対移動を阻止することができ、耐圧性に優れた複数層
管が得られる点にある。
【0003】しかしながら、上記した従来のフッ素プラ
スチック材料からなる内管層を有する複数層管は、いず
れもフッ素プラスチック材料からなる内管層とポリアミ
ド材料からなる外管層とが化学結合が存在しないため結
合力が弱く、外管層を湾曲した時に、湾曲における断面
が楕円変形してキンクし易いという問題を有している。
また、外側層に単一のポリアミド材料を用いるだけで
は、使用条件に応じて、外管層としての十分な柔軟性、
強度、耐熱性、難燃性あるいは加工性を満たすことがで
きないという問題を有している。
【0004】一方自動車の軽量化に伴い、ゴム製に代わ
ってますますプラスチック製管が採用されるようになっ
てきた。ところが、プラスチック製の管はゴム製の管に
比べて、自動車用等の用途では、使用個所によっては柔
軟性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性、強度を満たさないと
いう問題を有していた。
【0005】米国特許公報第5383087号には、フ
ルオロポリマーからなる内層と、ポリアミド、またはポ
リプロピレンからなる外層を有する多層管が記載されて
いる。この2層の間の接着助長剤としては、フルオロポ
リマーとポリアミド類とのブレンド物が使用した複数層
管が開示されている。しかし、この接着助長剤は接着係
数が低く、長時間使用すると密着性が悪くなりキンクし
易くなり、キンクが生じた際に、キンク部で剥離が生
じ、強度及び耐圧性を損なうとという致命的な欠陥を有
していた。
【0006】また、外管層を押出成形する前に、内管層
の外周をプラズマ処理し、プラズマ処理した内管層の外
周上に、エポキシ、アクリレート、ウレタンなどの接着
剤を塗布し、接着剤が塗布された内管層の外周に熱可塑
性樹脂からなる外側層を押出成形し、内管層と外側層と
を接着剤で結合した多層管も考えられている。しかし、
接着剤を使用すると、接着剤の経年劣化が憂慮され、使
用中に層間剥離を生じ、耐圧性を損なうという、問題が
危惧される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み発明されたものであって、本発明の第1の目的
は、フッ素プラスチック材料からなる内管層と、フッ素
プラスチック材料以外の溶融押出し可能な熱可塑性プラ
スチック材料(熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ
ー)からなる外側層との接着剤によらない化学的結合を
付与することができる複数層管及びその製造方法を提供
することにある。より具体的には、キンクが生じ難く且
つキンクが生じたとしてもキンク部で剥離が生じ難い複
数層管及びその製造方法を提供することにある。
【0008】他の目的は、好適な適用や有益性が、フッ
素プラスチック材料からなる内管層に対して、接着剤に
よらない化学的結合を付与できると共に、さらに、目的
とする特性に応じて、十分な柔軟性、耐衝撃性、耐熱
性、難燃性、強度あるいは加工性を満たすことができる
外側層を有する複数層管及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
溶融加工可能なフッ素プラスチック材料からなるポリマ
ー内管層と、該内管層の外周表面上に化学的に結合され
ている溶融押出し可能な熱可塑性プラスチック材料から
形成された外側層とを備え、前記内管層が少なくとも活
性化された外周表面を有する一方、前記外側層を形成す
る前記熱可塑性プラスチック材料が該内管層の該活性化
された該外周表面と化学的に、反応し得る官能基を有す
る化合物及び/または架橋反応で共有結合し得る化合物
を含有し、該プラスチック材料が該内管層の外周に該外
側層として押出成形されることにより、該内管層の外周
表面が該外側層の該内周表面に密に接触維持され、加熱
および/または放射線誘導により、該化合物が該活性化
された外周表面と化学的に反応して、該内管層の外周表
面が該外側層の該内周表面に化学的に結合されているこ
とを特徴とするものである。
【0010】次に、第2の発明は、フッ素プラスチック
材料からなる内管層と;該内管層の外周に押出成形され
たフッ素プラスチック材料以外の熱可塑性プラスチック
材料からなる熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー
で形成された外側層と;該内管層と該外側層間に堆積さ
れた、官能基を有するラジカル開始重合を受け得る有機
化合物または官能基を有する吸着膜を形成し得る有機化
合物のいずれかから形成された中間コーティング膜と;
を備え、前記内管層が活性化された外周表面を有する一
方、前記外側層が該官能基を有する有機化合物の該官能
基と化学結合し得る反応性官能基を有し、該内管層の外
周表面及び/または該外側層の内周表面に該化合物が相
対的に接触することにより中間コーティング膜が形成さ
れ、該中間コーティング膜が、該内管層の外周表面と押
出成形された該外側層の内周表面間に密に接触維持さ
れ、加熱および/または放射線誘導により、該内管層の
外周表面に化学的に結合されている一方、該外側層の反
応性官能基と反応して該外側層の内周表面に化学結合さ
れていることを特徴とするものである。
【0011】さらに、第3の発明は、(1)溶融加工可
能なフッ素プラスチック材料にてポリマー内管層押出成
形する工程と、(2)押出成形された該内管層の外周表
面を放射線及び/または加熱により活性化処理する工程
と、(3)押出成形された内管層の外周面に、活性化さ
れた該外周表面と化学的に反応し得る官能基を有する化
合物及び/または架橋反応で共有結合し得る化合物を含
有したフッ素プラスチック材料以外のプラスチック材料
にて外側層を押出成形する工程と、を備え、工程(2)
は工程(3)の前にあるいは工程(3)の後外側層の外周
からかいずれか続いて行われる工程を経て、該活性化さ
れた該外周表面と化学的に反応し得る官能基を有する化
合物及び/または架橋反応で共有結合し得る化合物を含
有したプラスチック材料を外側層として内管層の外周表
面に化学結合することを特徴とする。
【0012】
【実施の形態及び作用】本発明の第1の手段は、溶融加
工可能なポリマー内管層と、該内管層の外周表面上に化
学的に結合されている溶融押出し可能な外側層とを備
え、フッ素プラスチック材料からなる内管層が少なくと
も活性化された外周表面を有する一方、フッ素プラスチ
ック材料以外の熱可塑性プラスチック材料から形成され
た外側層の熱可塑性プラスチック材料が該内管層の活性
化された外周表面と化学的に、反応し得る官能基を有す
る化合物及び/または架橋反応で共有結合し得る化合物
を含有し、該熱可塑性プラスチック材料が該内管層の外
周に該外側層として押出成形されることにより、該内管
層の外周表面が該外側層の該内周表面に密に接触維持さ
れ、加熱および/または放射線誘導により、該化合物が
該活性化された外周表面と化学的に反応して、該内管層
の外周表面が該外側層の該内周表面に化学的に結合され
ていることを特徴とする。
【0013】次に、第2の手段は、フッ素プラスチック
材料からなる内管層とフッ素プラスチック材料以外の熱
可塑性プラスチック材料からなる外側層間に堆積された
官能基を有するラジカル開始重合を受け得る有機化合物
または官能基を有する吸着膜を形成し得る有機化合物の
いずれかから形成された中間コーティング膜を備え、内
管層が活性化された外周表面を有する一方、外側層が該
官能基を有する有機化合物の該官能基と化学結合し得る
反応性官能基を有し、該内管層の外周表面及び/または
該外側層の内周表面に該化合物が相対的に接触すること
により該中間コーティング膜が形成され、この中間コー
ティング膜が、該内管層の外周表面と押出成形された該
外側層の内周表面間に密に接触維持され、加熱および/
または放射線誘導により、該内管層の外周表面に化学的
に結合されている一方、該外側層の反応性官能基と反応
して該外側層の内周表面に化学結合されていることを特
徴とする。
【0014】上記した各手段の内管層に用いられるフッ
素プラスチック材料は溶融押出し法により押出される。
これらの内管層としては、第一層を導電性フルオロポリ
マーとし、第一層の上にこの第一層と共に第二層を同時
に共押出しし、この第二層が導電性粒子を含まないフル
オロポリマーとすることが望ましい。一層だけのフルオ
ロポリマー層が望ましいこともあり、その場合には単一
の押出しダイを使用することができる。その後、追加の
加工工程が引き続き行われる。溶融加工可能なフッ素プ
ラスチック材料としては、従来から炭化水素あるいは燃
料に含まれている要素に対して抵抗を示すさまざまな種
類の公知のフルオロポリマーおよびフッ素含有ポリマー
がチューブ(管)押出し成形に用いられている。
【0015】フルオロポリマーおよびフッ素含有ポリマ
ーとしては、例えば、特開平5−245989号、特開
平5−196177号、特表平9−50377号、およ
び米国特許第5,884,671号に記載された内管層
に採用されたフッ素プラスチック材料が挙げられる。そ
して、フルオロポリマーおよびフッ素含有ポリマーは、
耐薬品性と耐熱性に優れたプラスチックであるが、一般
的に結晶性高分子であるため、比較的硬度が高く柔軟性
に劣る樹脂であることが知られている。
【0016】本発明の内管層とし用いられる適切な溶融
加工可能なフッ素プラスチック材料は、その多くは市販
されている。必ずしもそれに限定されないが、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、
テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン
(ETFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン系共
重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン(EC
TFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリフ
ッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レンフッ化ビニリデン(THV)、ポリクロロトリフル
オロエチレン(PCTFE)を含む。これら以外のフル
オロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)は、水素原子およびフッ素原子を含むα−フルオロ
オレフィン単量体から製造されるものである。α−フル
オロオレフィンは2乃至6個の炭素原子を持つ。典型的
なα−フルオロオレフィンは過フッ化α−フルオロオレ
フィン、例えばヘキサフルオロプロペン、ペルフルオロ
ブテン、ペルフルオロイソブテンなど、水素含有α−フ
ルオロオレフィン、例えばトリフルオロエチレン、フッ
化ビニリデン、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロパン
など、またハロゲン含有α−フルオロオレフィン、例え
ばトリフルオロクロロエチレン、1,1−ジフルオロ−
2,2ジクロロエチレン、1,2−ジフルオロ−1,2
ジクロロエチレン、トリフルオロブロモエチレンなど、
更にはテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピ
レンとの共ポリマー;テトラフルオロエチレンとパーフ
ルオロ(プロピル ビニル エーテル)との共ポリマー;
テトラフルオロエチレンとパーフルオロ2,2−ジメチ
ル−1,3−ジオキシドとの共ポリマー;ポリ(弗化ビ
ニル);ポリ(弗化ビニリデン);または弗化ビニル/
弗化ビニリデン共ポリマー;および前記ハロゲン含有ポ
リマーはテトラフルオロエチレンと塩化ビニルとの共ポ
リマー;ポリクロロトリフルオロエチレン;弗化ビニリ
デン/ヘキサフルオロエチレン共ポリマー;ポリ(塩化
ビニル)またはポリ(塩化ビニリデン)、ペルフルオロ
アルコキシエチレンポリマーなどがある。もっとも望ま
しい材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン
−テトラフルオロエチレン(ETFE)である。
【0017】上記した第1の手段及び第2の手段におけ
る内管層は、少なくとも外周表面を、公知の、プラズ
マ、コロナ放電、オゾン、紫外線照射、電子線またはペ
ルオキシド種もしくはヒドロペルオキシド(−OOH)
種がポリマー基材表面に形成される手段で活性化処理さ
れ、外周表面に親水性基(ラジカル)が施される。この
ような活性化処理は、外側層を押出成形する前、好まし
くは直前あるいは押出成形後のいずれかで処理される。
他方、外側層は、加熱および/または放射線誘導によ
り、内管層の外周表面の親水性基(ラジカル)と化学的
に反応し得る官能基(反応官能基)及び/または架橋反
応で共有結合し得る官能基(反応官能基)を有する化合
物を含有する熱可塑性プラスチック材料からなり、内管
層の外周に押出成形され、実質的に活性化した内管層の
外周表面上に密に接触維持され、内管層と外管層とは化
学的に結合されことになる。
【0018】また、本発明の他の好ましい内管層の形態
によれば、フッ素プラスチック(含フッ素ポリマー)は
架橋されている。即ち、予め内管層を架橋しておけば、
架橋により内管層の弾性率、降伏点強度といった機械的
強度が向上させることとができることは勿論のこと、架
橋後の放射線照射に対して内管層の分子鎖の切断を防止
でき、内管層の外周表面に放射線を照射線量10kGy
〜5MGy照射して外側層との化学的結合の起点となる
ラジカル(親水性基)を内管層の外周表面に効果的に生
成することができる。ちなみに、同量の放射線照射でも
架橋後の内管層のラジカル数は、未架橋のものに比べて
約10〜20倍多くなる特性を有していることが知られて
いる。
【0019】フッ素プラスチックの架橋方法としては、
特開平7−118423号公報により、フッ素樹脂に電
離性放射線を樹脂の結晶融点以上の温度で且つ酸素不存
在下において照射(照射線量0.1kGy〜10MGy
の範囲で照射して架橋)することによって架橋が起き、
その特性が大きく変化することが知られている。この方
法は、照射条件として樹脂の結晶融点以上の温度下で行
うために高価な設備を要する。従って、他の好ましい架
橋方法として、押出成形された内管層に、実質的に常温
且つ空気中で、100kGy/sec 以上の高線量率の電離
性放射線を粒子加速器から照射線量200kGy〜10M
Gyの範囲で照射することによって、内管層の分子鎖の
切断を防止しつつ、内管層のフッ素プラスチックを短時
間(10秒足らず)で架橋することができる。ここで、
線量率とは、[一定の速度で移動する内管層が受ける照
射線量]を[照射範囲を内管層が通過する時間]で割っ
た値をいう。
【0020】かかる好ましい架橋方法によれば、様々な
種類のフッ素樹脂は、フッ素樹脂に外部の熱源を用いて
加熱することなく、各々の結晶融点以上の温度に均一に
昇温され、架橋すると考えられる。この場合、線量率の
高いことが重要な条件であり、放熱に勝って試料を結晶
融点以上の温度にするために、線量率は100kGy/sec
以上にする必要がある。ただし、一般的な電子線加速
器の性能を考慮すると、線量率は140〜200kGy/s
ec の範囲が好ましい。
【0021】高線量率の電離性放射線を採用することに
より、処理時間を短かくできるため、内管層を酸化する
酸素が雰囲気ガス(主として空気)中から供給されて試
料内部まで拡散する前に照射処理が完了する。よって、
照射の初期においては、試料の周辺に存在していた酸素
によって試料表面において酸化が起こるが、その酸素が
酸化反応によって消費された後は、実質的に酸素の無い
状況下において内管層に照射される。その結果、分子鎖
の架橋によって樹脂が改質される。
【0022】さらに、異なるフッ素プラスチックの他の
架橋法として、電子線架橋よりも簡単で安価な方法とし
て、特開平11−123303号公報に開示された方法
で架橋された架橋含フッ素ポリマーを、本発明の内管層
として採用することもできる。即ち、架橋物は含フッ素
ポリマーに、遊離基発生剤の存在下、N,N’−ジアリ
ル−N”−3−トリメトキシシリルプロピルイソシアヌ
レートをグラフト化させた含フッ素ポリマーを加水分解
反応および縮合反応させて形成したものである。いずれ
にしても、内管層を架橋することにより、フッ素ポリマ
ー本来の優れた特性を維持しながら、架橋により弾性
率、降伏点強度といった機械的強度が向上し、且つ内管
層の予備活性化あるいは外側層架橋するための放射線照
射に係わる耐放射線性を著しく改善することができる。
【0023】ところで、特開平7‐249320号公報
に、トリメチロールプロパントリメタクリレートやトリ
アリルイソシアヌレート等の多官能性モノマーを架橋剤
として配合した樹脂組成物を、溶融押出機等を用いて導
体上に押出被覆した後、加速電子線やγ線等の電離放射
線を照射して架橋させたETFE樹脂からなる被覆層も
開示されている。また、特開平11−349711号公
報に、表面が改善されたフッ素樹脂の製造方法におい
て、フッ素樹脂は放射線に対して典型的な崩壊型高分子
であり、放射線を照射することによって分子鎖の切断が
進行し、機械特性が低下する虞がある旨が記載され、そ
の対策として、常温、常圧下で、フッ素樹脂に、粒子加
速器から100kGy/sec 以上の高線量率の電離性放射
線を照射線量200kGy〜10MGy の範囲で照射する
ことによって該樹脂に架橋処理を行ってフッ素樹脂を改
質する方法が開示されている。また、同様の対策とし
て、フッ素樹脂に電離性放射線を樹脂の結晶融点以上の
温度で且つ酸素不存在下において照射することによって
架橋を起こす方法が特開平7−118423号及び特願
平9−206144号に記載されている。また特開平7
−292199号には、テトラフルオロエチレン−エチ
レン系フッ素樹脂またはこれとテトラフルオロエチレン
−プロピレン系フッ素ゴムからなり、架橋助剤が不要な
含フッ素界面吸着剤を含有する放射線架橋可能なフッ素
系ポリマー組成物が開示されている。
【0024】この場合、内管層とし用いられる適切な溶
融加工可能なフッ素プラスチック材料は、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン
・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テト
ラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体(PFA)、およびエチレン・テトラフル
オロエチレン系共重合体(ETFEまたはPVdF(ポ
リビニリデンフルオライド))等である。
【0025】また、特開平10−60142号公報に、
ポリマー支持体に親水性のコーティングを製造する方法
において、付着力を高めるために、親水性のモノマーを
グラフト共重合する前に、ポリマー支持体をプラズマ、
コロナ処理、電子線、紫外線照射等により、予備活性化
することが記載され、より好ましくは、UV放射感応性
基を有さない標準ポリマーは、有利には、例えば波長範
囲が100〜400nm、特に125〜310nmのU
V放射により活性化することができる。ランプ媒体とし
て例えばF2、Xe2、ArF、XeCl、KrClお
よびKrFを有するエキシマーUVレーザー(ドイツ連
邦共和国クラインオストハイム在、ヘラオス社(Her
aeus)製)から発生される、十分にモノクロームで
連続的な放射により、特に良好な結果が達成される旨が
記載されている。
【0026】勿論、本発明の内管層は、前記した特開平
7−118423号及び特開平9−206144号に記
載されているように、内管層のフッ素プラスチックに酸
素濃度10torr以下の不活性ガス雰囲気下で、且つ
フッ素プラスチックの融点以上に加熱された状態で電離
性放射線を照射線量0.1kGy〜10MGyの範囲で
照射することにより内管層を同様に架橋させてもよい。
この場合、酸素濃度が10torrを越える雰囲気下で
は、十分な架橋効果を達成できず、また、電離性放射線
の照射線量が0.1kGy未満では十分な架橋効果を達
成できず、10MGyを越えると伸び等の著しい低下を
招く。
【0027】ところで、前記した公知の、特開平11−
123303号、特開平7‐249320号、特開平1
1−349711号公報、特開平7−118423号、
特願平9−206144号、特開平10−60142号
及び特開平7−292199号には、いずれも、本分野
の技術者がどのようにすれば、フッ素プラスチック材料
からなる内管層と外側層間を接着剤によらないで、化学
的に結合できるかついて何ら教示していない。上記した
各公報の開示は引用することによって本明細書に組入れ
られる。
【0028】本発明の好適な他の一つの適用や有益性
は、内管層として押出成形されたフッ素プラスチックが
架橋されていることにより、低結晶性でゴム弾性を有
し、フッ素プラスチック本来の優れた特性を維持しなが
ら、降伏点強度といった機械的強度が向上し、耐放射線
性が著しく改善され、且つ少なくともゴム弾性を有する
柔軟な内管層を得ることができる。
【0029】第1の手段では、フッ素プラスチック材料
からなる内管層とこの内管層の外周面上に押出成形され
たフッ素プラスチック材料以外の熱可塑性樹脂または熱
可塑性エラストマーとからなる外側層とを接着剤なしで
化学的に結合するために、外側層は、活性化処理した内
管層の外周表面に対して、加熱および/または放射線誘
導により化学的に反応し得る官能基及び/または架橋反
応で共有結合し得る化合物を含有する熱可塑性プラスチ
ック材料を用いて押出成形される。なお、内管層の活性
化処理は外側層を押出成形する直前に施すことができる
が、好ましくは外側層を押出成形後、外側層を放射線誘
導により架橋する際に、同時に、この放射線により内管
層の外周表面を活性化することができる。さらに好まし
くは、内管層を予め架橋しておくと、前述したように、
外側層との化学的結合の起点となるラジカル(親水性
基)を内管層の外周表面に効果的に生成することができ
る。
【0030】上記外側層は、上記フッ素プラスチック材
料からなる内管層の外周面上に押出成形される。本発明
は,一般的に外側層は、内管層とは異なる押出機で押出
成形される。しかし、外側層を押出成形後に放射線誘導
により内管層の外周表面を活性する場合には、内管層と
外側層とを共押出し(同時押出し)することができる。
このように、内管層と外側層とを共押出しした複数層管
としては、有利に公知の連続ブロー成形により、蛇腹形
状に押出成形することもできる。また、本発明は,本発
明の全ての形態について、多管層に更に強度を与えるた
めに、内管層と外側層間は勿論のこと、各層の間に繊維
補強材等の補強層を置くこともできる。この補強層は各
層の間に挿入され、あるいは外側層の外周に重ねられ、
更に外側層の外周に各種の層を加えることも可能であ
る。
【0031】押出成形される外側層は、好ましくは、フ
ッ素プラスチック以外のポリマーの全て、例えば炭化水
素および、ポリエステル、ポリオレフィン、電気活性
(導電性)、共役ポリマーに適用可能である。さらに好
ましくは、強度、加工性に優れた自体の特性に由来し
て、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレ
タン系樹脂あるいはこれらの混合物並びにこれらの樹脂
を含むエラストマーに採用することができる。また、複
数層管の十分な柔軟性、耐熱性、難燃性、機械的強度あ
るいは加工性は、少なくとも有益な外側層によって得る
ことができる。
【0032】前述した第1の手段は、外側層が、活性化
処理した内管層の外周表面と、化学的に反応し得る官能
基及び/または架橋反応で共有結合し得る官能基を有す
る化合物を含有するフッ素プラスチック材料以の外熱可
塑性プラスチック材料からなることを特徴とし、加熱お
よび/または放射線誘導によりフッ素プラスチック材料
からなる内管層に対して外側層を化学的に結合すること
ができる。かかる熱可塑性プラスチック材料として、架
橋性モノマー(機能性化合物)を含有した樹脂組成物
(プラスチック材料)、有機熱硬化性材料を含有した熱
可塑性樹脂組成物(プラスチック材料)及びグリシジル
基またはエポキシ基を有する化合物を含有した熱可塑性
樹脂組成物(プラスチック材料)を挙げることができ
る。
【0033】先ず、外側層を形成する熱可塑性プラスチ
ック材料が、架橋性モノマー(機能性化合物)を含有し
た樹脂組成物(プラスチック材料)からなる場合、架橋
性モノマーを含有したプラスチック材料としては、ポリ
アミド樹脂等の熱可塑性ポリマー材料に、架橋性モノマ
ーを配合したものを採用することができる。かかる熱可
塑性プラスチック材料によれば、放射線及び/または加
熱により、熱可塑性プラスチック材料中の架橋性モノマ
ーが活性化処理された、あるいは同時に活性化処理され
る内管層の外周表面の親水性基と反応してグラフト共重
合及び/または架橋結合することができ、外側層を内管
層に化学的に結合することができる。
【0034】熱可塑性ポリマー材料としては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド樹脂あ
るいはこれらの樹脂の混合物、好ましくは、ナイロン6
やナイロン66等の直鎖脂肪族ナイロンと異なり、ポリ
マーの結晶化がほとんど起こらないか、或いは結晶化速
度が非常に小さい一群のポリアミド樹脂(非晶性ポリア
ミド)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリブチレンイソフタレート等の芳香族
ポリエステルまたはそれらの共重合体、ポリ乳酸、ポリ
ヒドロキシ酪酸等の脂肪族ポリエステルまたはそれらの
共重合体等の比較的強度及び耐熱性に優れた熱可塑性ポ
リマーを採用することができる。
【0035】好ましくは、ポリアミド樹脂を採用するこ
とができる。とりわけ長時間に亘って優れた耐熱性を発
揮する結晶性ポリアミド樹脂組成物を好適に採用するこ
とができる。さらに好ましくは、架橋することにより長
期に亘って優れた耐熱性を発揮する非晶性ポリアミドを
採用することができる。
【0036】非晶性ポリアミド樹脂組成物はポリマーの
結晶化がほとんど起こらないか、或いは結晶化速度が非
常に小さい一群のポリアミド樹脂であって、結晶化を阻
害するような構造、すなわち分岐構造を有する脂肪族若
しくは脂環族、又は環構造の非対照位置に官能基を有す
るモノマー成分を用いて重合するか、あるいはそのよう
なモノマー成分を組み合わせて共重合することにより合
成することができる。この様な非晶性ナイロンを与え得
るモノマーの具体例としては、イソフタル酸等のカルボ
ン酸類イソホロンジアミン等のアミン類;トリレンジイ
ソシアネート等のイソシアネート類などが挙げられる。
【0037】非晶性ポリアミドとしては、カルボン酸類
とアミン類との脱水縮合反応から得られるポリアミドの
他、カルボン酸類とイソシアネートとの反応から得られ
るアミド結合を有するポリマーやアシルウレアも含まれ
る。具体的には、三井・デュポンケミカル社の「シーラ
ーPA」(ガラス点移転:125℃)、ヒュルス社の
「Vestamid X 4308」(モノマー成分はイソフタル酸、
イソホロンジアミン、ラウロラクタム)、バイヤー社の
「Durethan T40」(モノマー成分はアジピン酸、イソ
フタル酸、1,6−ヘキサメチレンジアミン)、等を挙
げることができる。
【0038】架橋性モノマーとしては、単一の架橋性モ
ノマーまたは2種以上の架橋性モノマーの混合物を使用
でき、好ましくは、多官能性モノマーを用いることがで
きる。そして、必要に応じて適切な開始剤、触媒、安定
剤等と共に組成物に配合・混合し、電子線等の活性エネ
ルギー線照射及び/または熱によって、活性化(予備活
性または同時活性化)された内管層の外周表面に対して
表面グラフト共重合あるいは架橋できるモノマーであれ
ば特に制限を受けない。例えば、エチレンオキシド変性
ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブ
タンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能アクリ
ル系モノマー、及びトリアリルシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート、ジアリルフタレート等の多官能ア
リル系モノマー、およびこれらの混合モノマー等が挙げ
られる。
【0039】好ましい実施の形態では、外側層となるプ
ラスチック材料(樹脂組成物)は、上記した非晶性ポリ
アミド等のポリマーと、上記した架橋モノマーと、架橋
モノマーの他に必要に応じて、ガラス繊維又は他の無機
質繊維や無機質粉末、着色剤、酸化防止剤、可塑剤、難
燃剤等の充填剤を適宜含有してもよい。以上のような成
分を所定量、一般に用いられるスクリュー型押出機に供
給して各成分を均一に溶融加熱混合し、そのまま、ある
いはペレット化して、内管層の外周表面上に外側層とし
て押出成形し、押出成形された未架橋の外側層に、その
外周から放射線を照射及び/または加熱して架橋外側層
を形成することにより、ラジカル(親水基)が生成され
た内管層の外周表面にプラスチック材料のモノマー部位
が表面グラフト共重合及び/または架橋共有結合して、
架橋外側層を内管層に化学的に結合することができる。
【0040】架橋剤の添加量は、非晶性ポリアミド10
0重量部に対して5〜10重量部程度であることが好ま
しい。5重量部未満では、内管層に対してグラフト重合
するため及び耐熱性向上のための架橋が不充分となるか
らである。一方、10重量部超添加しても耐熱性の向上
効果が飽和するからである。
【0041】好ましくは、樹脂ペレット及び架橋剤、そ
の他の充填剤を混練押出機、ミキシングロール、バンバ
リーミキサーなどを用いて均一に混合しつつ、射出成形
機、押し出し成形機等を用いて混合ペレットを予め形成
し、この成形用ペレットを供給しつつ外側層を押出成形
することにより、架橋剤のより高い均一分散性を達成す
ることができる。
【0042】内管層の外周面に製造するラジカルは、外
側層押出し前にプラズマ等公知の手段で施すこともでき
るが、好ましくは、内管層の外周面に押出成形された未
架橋の外側層を架橋するために放射線を外側層の外周か
ら内管層に達するまで透過するように照射すると、照射
により内管層及び外側層のポリマーからラジカルが発生
し、架橋モノマー部位と反応して架橋外側層が形成され
ると共に、外側層中の架橋モノマー部位が内管層のラジ
カルに密に接触しているので、架橋モノマーが内管層に
表面グラフト共重合を引起して内管層と外側層間に共有
結合及び/または放射線照射時に外側層を形成する炭素
分子の二重または三重結合及び内管層のフッ素高分子の
結合が開烈して、外側層と内管層の間に共有結合が形成
される。
【0043】放射線としては、好ましくは、粒子加速器
から100kGy/sec 以上の高線量率の電離性放射線を
照射線量50kGy〜300KGyの範囲で短時間(10
数秒)照射することによって、樹脂組成物の分子鎖の切
断を防止しつつ外側層の未架橋のプラスチックを10秒
足らずで架橋することができると共に化学的結合(グラ
フト共重合)の起点となるラジカル(親水性基)を内管
層の外周表面に生成することができ、内管層と外側層と
短時間でグラフト結合及び/架橋共有結合で化学的に結
合することができる。
【0044】高エネルギーの電子線、γ線等の高エネル
ギー線は、成形品内部にまで透過して、内部のポリマー
にまでラジカルを発生させることができる。放射線照射
量が高い程、ラジカルを多く発生させることができるの
で、架橋密度を高くすることができると考えられる。一
方、放射線照射量が高くなりすぎると、ポリアミドの分
解が始まる。従って、照射線量は、25〜300kG
y、好ましくは50〜200kGy、特に好ましくは1
00〜200kGyである。尚、工業的には電子線が好
ましく用いられる。
【0045】上述の如く、外側層の外周から求心方向に
高線量率の電離性放射線を採用することにより、外側層
の架橋処理時間を短かくできるため、内管層を酸化する
酸素が雰囲気ガス(主として空気)中から供給されて外
側層内部まで拡散する前に照射処理が完了し、放射線照
射による外側樹脂組成物の分子鎖の切断及び劣化を阻止
することができるのである。
【0046】このように形成された架橋外側層は、耐熱
性を向上させることができと共に、溶融時のゴム弾性や
形状記憶性を有している。しかも周知の連続ブロー成形
装置を用いて有利に、多層コルゲート管を製造すること
ができる。即ち、溶融加工可能なフッ素プラスチック材
料からなる内管層とかかる外側層とを共押出ししつつ、
周知の連続ブロー成形装置を用いて多層コルゲート管を
容易に押出成形することができる。また、押出成形時
に、かかる外側層が冷却時に収縮し、外側層を内管層に
強く密着でき、内管層と外管層との結合を促進すること
ができる。且つ、曲り管にするために、再加熱する時に
外側層が柔軟に変形すると共に冷却時に熱収縮するの
で、皺やキンクが生じ難くなり、曲り管の製造に有利な
架橋複数管を得ることできるという効果を持ち合わせて
いる。
【0047】なお、ポリアミド樹脂として、非晶性ポリ
アミド樹脂組成物を用いた場合、結晶性ポリアミド樹脂
組成物よりも架橋密度が高くなるほど耐燃性に優れてい
る。かかる非晶性ポリアミドとしては、三井・デュポン
ケミカル社の「シーラーPA」(ガラス点移転:125
℃)等がが市販されている。
【0048】また、上述した放射線の例としては、電子
線、中性子線、α線、β線、γ線、X−線、紫外線(U
V)などが挙げられる。電子線またはガンマ線(例えば
コバルト−60−源からの)による活性化または架橋は
照射時間の短縮を可能にし、照射時間は一般に0.1〜
20秒で目的を達成することができる。
【0049】従来、特開昭59−12935号公報に、
ポリアミド成形品の耐熱性を上げるという観点から、ポ
リアミド樹脂(ナイロン12)に架橋モノマーを配合し
てなる樹脂組成物よりなる成形加工品に、放射線を照射
して架橋することにより、耐熱性を向上させる方法が提
案されている。また、特開平10−147720号に耐
燃性等の諸物性を向上させる目的で、結晶性ポリマー
に、活性エネルギー線を照射し、分子間架橋を行う技術
は公知である。しかしながら、特開昭59−12935
号及び特開平10−147720号のいずれの公報も、
本分野の技術者がどのようにすれば、内管層と外側層間
を接着剤によらないで、化学的に結合できるか、また、
外側層の外周から放射線を照射することにより、皺やキ
ンクが生じ難く且つ難燃性に優れた多層管を構成するこ
とができるかについて何ら教示していない。上記した各
公報の開示は引用することによって本明細書に組入れら
れる。
【0050】次に、外側層を形成する熱可塑性プラスチ
ック材料が、有機熱硬化性材料を含有した熱可塑性樹脂
組成物(プラスチック材料)からなる場合、有機熱硬化
性材料を含有したプラスチック材料としては、(A)エ
ポキシ系等の熱硬化性樹脂成分100重量部に対して、
(B)ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体
から選択された1種以上のポリエチレンテレフタレート
系樹脂0.1〜50重量部および(C)赤燐0.1〜5
0重量部を溶融混練したものを採用することができる。
【0051】熱硬化性樹脂の原料となるモノマー、ポリ
エチレンテレフタレート系樹脂(B)、赤燐(C)およ
びその他の必要な添加剤あるいは通常公知の硬化剤を予
備混合することにより調製することができるが、好まし
くは、ハンドリング性や生産性の面から、(B)成分の
一部と赤燐(C)を一旦溶融混練して、実際に熱可塑性
プラスチック材料に配合されるべき赤リン量よりも赤リ
ン濃度の高い樹脂組成物(D)を製造し、熱硬化性樹脂
(a1)の原料および(B)成分に赤リン濃度の高い樹脂
組成物(D)およびその他の任意に用いることができる
添加剤を予備混合することにより調製される。あるいは
熱硬化性(A)の原料となるモノマーの一部と赤燐
(C)を一旦予備混合することにより、実際に難燃性有
機熱硬化性材料に配合されるべき赤燐量よりも赤燐濃度
の高い樹脂組成物(D)を製造し、しかる後、残りの熱
硬化性樹脂(A)の原料となるモノマーと(B)成分
に、赤リン高濃度樹脂組成物(D)および任意に用いる
ことができる添加剤を押出機に供給しつつ樹脂温度20
0〜280℃で溶融押出した。得られたペレットを乾燥
後、このペレットを用いて、スクリュー型押出機で外側
層を予備活性化された内管層の外周表面上に押出成形
し、一旦50℃まで冷却して保形した後、120℃にセ
ットされた加熱槽にて5〜10分加熱することにより、
内管層と外側層との界面において、内管層の外周表面に
形成された親水性基と、外側層を形成する熱可塑性プラ
スチック材料に含有された熱硬化性樹脂(エポキシ樹
脂)との硬化反応で、内管層と外側層とを共有結するこ
とができる。
【0052】なお、加熱することにより、内管層と外側
層との界面において、内管層の外周表面に形成された親
水性基と、外側層を形成する熱可塑性プラスチック材料
に含有された熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)との硬化反
応を行わせる他の方法として、上記した加熱槽に代え、
内管層の外周表面上に押出成形された外側層と外周から
電子線を照射することにより、内管層の外周表面を活性
化と共有結合を同時に行うことができ。また、残りの熱
硬化性樹脂(A)の原料となるモノマーと(B)成分
に、赤リン高濃度樹脂組成物(D)および任意に用いる
ことができる添加剤を押出機に供給しつつ樹脂温度20
0〜280℃で溶融押出した熱可塑性プラスチック材料
をそのまま、内管層の表面上に外側層として押出成形す
ることもできる。
【0053】任意に用いることができる上記した添加剤
は、その一部または全部を赤リン高濃度樹脂組成物
(D)を製造する段階で添加してもよい。
【0054】上記において、実際に難燃性有機熱硬化性
材料に配合されるべき赤リン量よりも赤リン濃度の高い
樹脂組成物(D)を製造する段階で、その他の任意に用
いることができる添加剤を配合する場合、これらの任意
に用いることができる添加剤は予めかじめ赤リンと混合
しておくことが好ましい。
【0055】特に任意に用いることができる添加剤の中
でも、赤リンの安定剤として使用される金属酸化物、特
に酸化チタンを添加する場合、酸化チタンは赤リン高濃
度品(D)を製造する段階で配合することが好ましく、
さらにあらかじめ赤リンと酸化チタンをヘンシェルミキ
サー等の機械的な混合装置を用いて混合しておくと、赤
リンの安定性、赤リンの分散性や得られる樹脂組成物の
非着色性を向上することができる。
【0056】かかる赤リン濃度の高い樹脂組成物(D)
は、いわゆるマスターペレットの形態で好ましく用いら
れるが、それに限定されず、いわゆるチップ状、粉末
状、液状あるいはそれらの混合物の形態であってもよ
い。またかかる(D)成分と配合する(A)成分、
(B)成分、あるいは熱硬化性樹脂(A)の原料となるモ
ノマーの形状は特に制限はないが、いわゆるチップ状、
粉末状、液状あるいは、チップ状と粉末状、液状の混合
物であってもよい。さらに、(D)成分と、それと配合
する(A)成分、(B)成分、あるいは熱硬化性樹脂
(A)の原料となるモノマーの形態、大きさ、形状はほぼ
同等、あるいは互いに似通っていることが均一に混合し
得る点で好ましい。樹脂組成物を製造するに際し、例え
ば“ユニメルト”タイプのスクリューを備えた単軸押出
機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機など
を用いることができる。
【0057】ここで熱硬化性樹脂(A)とは加熱するとポ
リマー分子間で架橋構造を形成するものであって、硬化
反応で、活性化された内管層の外周面に形成された親水
性基と共有結合するもの、例えば、エポキシ樹脂、エポ
キシ系熱硬化性樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、ア
ミノ樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂などなどが挙げ
られる、これらの中で、特にエポキシ樹脂を好適に採用
することができる。
【0058】本発明で使用される赤燐は、そのままでは
不安定であり、また、水に徐々に溶解したり、水と徐々
に反応する性質を有するので、これを防止する処理を施
したものが好ましく用いられる。このような赤燐の処理
方法としては、好ましくは、赤燐をエポキシ系、不飽和
ポリエステル系などの熱硬化性樹脂で被覆することによ
り安定化させる方法であり、特に好ましくはエポキシ系
熱硬化性樹脂で被覆された赤燐である。
【0059】またかかる熱可塑性プラスチック材料はさ
らに充填材を添加することにより、強度、剛性、耐熱性
などを大幅に向上させることができる。このような充填
材としては、繊維状、粒状などの非繊維状の充填材のい
ずれでもよく、具体例としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カ
リウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガ
ラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウム
などが挙げられ、なかでもチョップドストランドタイプ
のガラス繊維が好ましく用いられる。
【0060】このように形成された外側層は、難燃性が
付与されかつ機械特性に優れた多層管を容易に製造する
ことができる。
【0061】さらに、外側層を形成する熱可塑性プラス
チック材料が、エポキシ基を有している有機化合物を含
有する樹脂性組成物を含有した熱可塑性樹脂組成物(プ
ラスチック材料)からなる場合、エポキシ基を有してい
る有機化合物を含有する樹脂性組成物としては、例え
ば、多官能エポキシ化合物にポリアミドを混合したもの
を採用することにより本発明の外側層を形成することが
できる。
【0062】即ち、ラジカル(親水基)が生成された内
管層の外周表面上に、スクリュー押出機を用いて、1個
のビニルエポキシ基と1〜3個のビニレンエポキシ基と
を含む多官能エポキシ化合物の1種または2種以上をポ
リアミドペレットに、ポリアミド1kg当たり10〜15
0ミリモル添加混合しつつ、245℃で溶融し、外側層
を押出成形し、一旦常温まで冷却した後、外側層を40
〜100℃の範囲で1〜30分間再加熱することによ
り、外側層を内管層の外周表面に化学的に強く結合する
ことができる。
【0063】つまり、エポキシ基の構造によって、ポリ
アミド末端基、即ち、アミノ基、カルボキシル基それぞ
れとの反応性が異なるため、ビニルエポキシ基は溶融温
度でポリアミド末端基と急速に反能し、この状態でエポ
キシ化合物がポリアミドの末端基と結合するため硬化架
橋反応の遅いがポリアミド中に均一に分散でき、均一な
高粘度ポリアミドが得られる一方、再加熱することによ
り、均一に分散されたビニレンエポキシ基が外側層のラ
ジカル(親水基)との硬化架橋反応で外側層を内管層の
外周表面に化学的に結合することができるものと考えら
れる。
【0064】ところで、形状保持特性の良好なブロー成
形できるポリアミド製品を得るために、多官能エポキシ
化合物にポリアミドを混合し、過熱溶融することを特徴
とする高粘度ポリアミドの製造方法が、特公昭48−7
509号公報に記載されている。しんしながら、特公昭
48−7509号公報は、本分野の技術者がどのように
すれば、内管層と外側層間を接着剤によらないで、化学
的に結合できるか、また、柔軟性に優れた多層管を構成
することができるかについて何ら教示していない。上記
した各公報の開示は引用することによって本明細書に組
入れられる。
【0065】上記の他、外側層を形成するための、エポ
キシ基を有している有機化合物を含有する樹脂組成物
(プラスチック材料)として、特開平1−48856号
公報に記載された熱可塑性樹脂組成物を採用することが
できる。即ち、ポリアミド樹脂50〜99重量%に、特
定のグラフト化前駆体50〜1重量%と無機充填材とを
ブレンドして得た熱可塑性樹脂組成物を本発明の外側層
のプラスチック材料として採用することができる。
【0066】即ち、本発明に用いられるプラスチック材
料は、ポリアミド系樹脂(A)50〜99重量%、エポ
キシ基含有オレフィン共重合体5〜95重量%と少なく
とも1種のビニル単量体とから得られるビニル系(共)
重合体95〜5重量%とから成るグラフト化前駆体
(B)50〜1重量%、および上記(A)+(B)10
0重量部に対して無機充填材(C)0〜150重量部を
含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記グラフト化前駆
体(B)は、一方の(共)重合体が粒子径0.001〜10μ
mの分散相を形成している。
【0067】この熱可塑性樹脂組成物は、予め、乾燥し
たグラフト化前駆体を調製し、そして、ポリアミド系樹
脂に対し、得られたグラフト化前駆体を所定量ドライブ
レンドし、ラボプラストミル一軸押出機で、内管層の外
周表面上に、200℃にて押し出し、グラフト化反応さ
せることにより、活性化された内管層の外周表面に形成
された親水性基とグラフト化前駆体中のエポシキ基との
硬化反応及びグラフト共重合反応で内管層と外側層との
界面において共有結合することができる。
【0068】内管層の外周表面は、プラズマ、紫外線等
の公知の手段で予め活性化することもできるが、好まし
くは、押出成形された外側層の外周から電離性放射線で
照射することにより、同時に重合を完結させことができ
る。なお、電離性放射線を用いないで予め活性化された
内管層の外周表面に上記した熱可塑性樹脂組成物を押出
成形した時には、重合を完結させるために、好ましく
は、100℃〜150℃の範囲で1〜15紛間再加熱す
る。
【0069】なお、上述したグラフト化前駆体をラボプ
ラストミル一軸押出機で200℃にて押し出し、グラフ
ト化反応させることにより多相構造熱可塑性樹脂を得る
ことができ、ポリアミド系樹脂に対し、この得られた多
相構造熱可塑性樹脂を所定量ドライブレンドし、280
℃に設定したプラストミル一軸押出機によりにより溶融
・混練し、このように溶融・混練した熱可塑性樹脂組成
物を内管層の外周表面上に、そのまま外側層として押出
成形することもできる。また、上記溶融・混練した熱可
塑性樹脂組成物をペレット化し、このペレットをを25
0℃に設定した押出機によりにより溶融し、内管層の外
周表面上に外側層として押出成形することもできる。こ
の場合、、押出成形された外側層の外周から電離性放射
線で照射して両ポリマーの分子の炭素炭素の結合を開烈
して化学結合をさせるのが望ましい。
【0070】外側層として、上記多相構造熱可塑性樹脂
を用いて、ポリアミド系樹脂と溶融・混練した場合は、
外側層の外周から放射線を照射して、内管層のフッ素系
高分子の結合が開烈して外周表面にラジカルを生成し、
ポリマーとフッ素系高分子との間に化学結合が形成され
るのが望ましい。
【0071】外側層にかかる熱可塑性樹脂組成物を用い
て形成された多層管は、ポリアミド系樹脂の優れた機械
的強靱性、耐久性、耐溶剤性を保持したまま、吸湿性、
成形性、耐衝撃性を改良することができる。
【0072】上記したグラフト化前駆体は、下記のよう
に、調製される。即ち、エポキシ基含有オレフイン共重
合体の水性懸濁液に、少なくとも1種のビニル単量体、
ラジカル(共)重合性有機過酸化物の少なくとも1種お
よびラジカル重合開始剤を加え、ラジカル重合開始剤の
分解が実質的に起こらない条件下で加熱し、該ビニル単
量体、ラジカル(共)重合性有機過酸化物、およびラジ
カル重合開始剤をエポキシ基含有オレフイン共重合体に
含浸させ、その含浸率が初めの50重量%以上に達した
とき、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル単量体
とラジカル(共)重合性有機過酸化物とを、エポキシ基
含有オレフイン共重合体中で共重合させることにより得
ることができる。
【0073】ここで用いるポリアミド系樹脂とは、ナイ
ロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン
6・12、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン4・
6等のような脂肪族ポリアミド樹脂;ポリヘキサメチレ
ンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンジア
ミンイソフタルアミド、キシレン基含有ポリアミドのよ
うな芳香族ポリアミド樹脂およびそれらの変性物または
それらの混合物等が挙げられる。特に好ましいポリアミ
ド樹脂はナイロン6、ナイロン6・6などである。
【0074】ここで使用されるグラフト化前駆体中ある
いは多相構造熱可塑性樹脂中のエポキシ基含有オレフイ
ン共重合体とは、一つには高圧ラジカル重合によるオレ
フインと不飽和グリシジル基含有単量体との2元共重合
体またはオレフインと不飽和グリシジル基含有単量体お
よび他の不飽和単量体との3元または多元の共重合体で
あり、上記共重合体のオレフインとして特にエチレンが
好ましく、エチレン60〜99.5重量%、グリシジル
基含有単量体0.5〜40重量%、他の不飽和単量体0
〜39.5重量%から成る共重合体が好ましい。
【0075】上記不飽和グリシジル基含有単量体として
は、アクリル酸グリシジル;メタクリル酸グリシジル;
イタコン酸モノグリシジルエステル;ブテントリカルボ
ン酸モノグリシジルエステルなどが挙げられるが、特に
好ましいものとしてメタクリル酸グリシジル;アクリル
グリシジルエーテルを挙げることができる。
【0076】他の不飽和単量体としては、オレフイン
類、ビニルエステル類、α,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸またはその誘導体などから選択された少なくとも
1種の単量体で、具体的には酸酸ビニル;プロピオン酸
ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸;メタクリ
ル酸;アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチ
ル、プロピルなどのエステル類;マレイン酸;マレイン
酸無水物;イタコン酸;およびジエステル;塩化ビニ
ル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど
のビニルエーテル類およびアクリル酸アミド系化合物が
挙げられるが、特にアクリル酸エステルが好ましい。
【0077】上記エポキシ基含有オレフイン共重合体の
具体例としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共
重合体;エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジ
ル共重合体;エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル
酸グリシジル共重合体;エチレン/アクリル酸グリシジ
ル共重合体;エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシ
ジル共重合体などが挙げられる。中でも好ましいものは
エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体である。
【0078】上記ラジカル重合開始剤としてはペルオキ
シド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、アミンオキシ
ド化合物、酸素などの通例の開始剤が挙げられる。
【0079】使用されるグラフト化前駆体中あるいは多
相構造熱可塑性樹脂中のビニル系(共)重合体とは、具
体的には、スチレン、核置換スチレン例えばメチルスチ
レン、ジメチルスチレン、エチルスチレンなどのビニル
芳香族単量体;アクリル酸もしくはメタクリル酸の炭素
数1〜7のアルキルエステル、例えば(メタ)アクリル
酸メチル、ブチルエステルなどの(メタ)アクリル酸ア
クリル酸エステル単量体;(メタ)アクリロニトリル;
単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニル
エステル単量体;(メタ)アクリルアミド単量体;無水
マレイン酸、マレイン酸のモノエステル、ジエステルな
どのビニル単量体の1種または2種以上を重合して得ら
れた(共)重合体である。中でも特にビニル芳香族単量
体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、(メタ)アク
リロニトリル単量体およびビニルエステル単量体が好ま
しく用いられる。
【0080】前述したグラフト化前駆体あるいは多相構
造熱可塑性樹脂とは、エポキシ基含有オレフイン共重合
またはビニル系(共)重合体マトリックス中に、それと
は異なる成分であるビニル(共)重合体またはエポキシ
基含有オレフイン共重合体が球状に均一に分散している
ものをいう。分散している重合体の粒子径は0.001〜10
μm、好ましくは0.01〜5μmである。分散樹脂粒子径
が0.001μ未満の場合あるいは10μmを超える場合、ポ
リアミド系樹脂にブレンドしたときの分散性が悪く、例
えば外観の悪化、あるいは耐衝撃性の改良効果が不足す
るため好ましくない。
【0081】ところで、上記したこれら特公昭48−7
509号及び特開平1−48856号公報は、いずれも
本分野の技術者がどのようにすれば、内管層と外側層間
を接着剤によらないで、化学的に結合できるか、また、
機械的に優れた多層管を構成することができるかについ
て何ら教示していない。上記した各公報の開示は引用す
ることによって本明細書に組入れられる。
【0082】本発明の外側層を形成する、フッ素プラス
チック材料からなる内管層の外周表面に生成された親水
性基と化学的に反応及び/または架橋結合し得る架橋反
応で共有結合し得る化合物を含有するプラスチック材料
のその他の態様として、1価の金属化合物、2価の金属
化合物、及び3価の金属化合物のうちいずれか一種また
は二種以上の混合した架橋剤化合物(有機化合物)を含
有したものを挙げることができる。
【0083】例えば、ビニル芳香族化合物と共役ジエン
化合物とからなるブロック共重合体に、ジカルボン酸ま
たはその誘導基を含む分子単位をこのブロック共重合体
に結合させてなる変性ブロック共重合体に、金属の1価
イオン、2価イオン、3価イオンから選ばれた一種また
は二種以上を混合してなる、金属イオンによるイオン性
架橋物と、ナイロン6等のポリアミド系重合体とを混合
したものを挙げることができる。即ち、上記イオン性架
橋物は、上記変性ブロック共重合体に、1価の金属化合
物、2価の金属化合物、及び3価の金属化合物のうちい
ずれか一種または二種以上の混合したものを架橋剤化合
物として反応させることによって得られたものであり、
変性ブロック共重合体のは、熱可塑性であり、且つ特に
可逆的に架橋することができるという特性を有してい
る。
【0084】従って、混合時の加熱により、イオン性架
橋物に含有される反応性基と、上記成分を混合したプラ
スチック材料中の上記変性ブロック共重合体に含有され
たジカルボン酸基との反応及びポリアミド系重合体に含
まれる反応性基により生じるグラフト共重合により上記
プラスチック材料からイオン性架橋外側層が形成される
と共にラジカルが生成された内管層に対して外側層の内
周表面を密着状態に維持でき、かかる内管層の外周表面
に生成されたラジカルに対してイオン結合が誘発され、
内管層に対してイオン性架橋外側層を化学結合すること
ができる。
【0085】ポリアミド系重合体としては、好ましく
は、アミノ酸縮合型ポリアミド、二塩基酸−ジアミン縮
合型ポリアミド、さらにはこれらの共重合体等の末端に
アミノ基を有する溶融可能なポリアミドであり、具体的
には、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン66が挙げられる。そして、かかるアミドを変性す
るために用いられるN,N′−ビスアシルラクタムは例
えば、二塩基酸のハライドとラクタム類との総合反応に
よって容易に合成できる化合物である。
【0086】なお、金属イオンによるイオン性架橋物
と、場合により上記ポリアミド系重合体に代え、ポリア
ミド系重合体とは異なる他の熱可塑性重合体及び/また
はイオン性架橋したアイオノマーを追加混合した機能物
質からなる外側層を形成することもできる。ポリアミド
系重合体に代え、ポリアミド系重合体とは異なる他の有
用な性質を有する熱可塑性重合体重合体としては、限定
されないが、ポリエステル系等の熱可塑性重合体、ポリ
スルホン系重合体、ポリカーボネイト系重合体、ポリオ
キシメチレン系重合体、ニトリル系重合体、他のポリア
ミド系重合体またはその改質物質、のうちいずれか1種
または2種以上の混合物からなる熱可塑性重合体が挙げ
られる。さらには、かかる他の有用な性質を有する高分
子物質にポリアミド系重合体を混合しても差支えない。
【0087】上記イオン性架橋物は、例えば、以下に示
す方法により調製することができる。先ず、ベンゼン等
の不活性炭化水素中で、ブチルリチューム等の有機リチ
ューム化合物をを重合媒体として、ビニル芳香族化合物
と共役ジエン化合物をアニオン重合することによりブロ
ック共重合体を得、得られたリチューム活性末端を有す
るブロック共重合体を四塩化ケイ素の多官能カップリン
グ剤で結合することで、分岐状、放射状のブロック共重
合体を得ることができる。かかるブロック共重合体とし
て、例えば商品名「タフプレA」(旭化成工業製)を入手
することができる。
【0088】次に、かかるブロック共重合体100重量
部に対して、0.8重量部の無水マレイン酸及びゲル化
防止剤としての0.2重量部のフエノチアジンをアセト
ン10重量部に溶解した溶液を添加して均一に混合した
後、窒素パージすることにより、アセトンを除去し、こ
の混合物を窒素雰囲気下で、スクリュー型押出機に供給
して、シリンダ温度200℃でマレイン化反応を行い変
性ブロック共重合体を合成することができる。
【0089】得られた変性ブロック共重合体から未反応
の無水マレイン酸を減圧除去し、安定剤として、2・6
−ジ−tertブチル−4−メチルフェノールを重合体
100重量部当たり、0.5重量部添加し、これをトル
エン溶解して20%溶液とし、この溶液に、架橋剤とし
てナトリユームメチラートのトルエンとメタノールとの
混合溶媒を、CH2ONa/酸無水物=0.6(モル
比)に相当する量加え、室温で反応させることにより変
性ブロック共重合体の上記したイオン性架橋物を得るこ
とができる。
【0090】本発明はこのイオン性架橋物を用い、イオ
ン性架橋物70重量%と、ポリアミド系あるいはポリエ
ステル系等の熱可塑性重合体30重量%と、を押出機で
ブレンドし、そのまま、内管層の外周表面に外側層とし
て押出成形したり、ペレットを得ることができる。好ま
しくは、かかるペレット化した熱可塑性高分材料をスク
リュー型押出機に供給しつつ、プラスチック材料を再加
熱溶融し、工業的に内管層の外周表面上に連続的にイオ
ン性架橋外側層を内管層の外周表面に化学的に結合させ
て形成することができる。
【0091】得られたイオン化架橋物と熱可塑性重合体
とを混合する方法としては、混合装置、例えば、一軸ま
たは多軸のスクリュー押出機を用いて溶融した状態で混
合することが好ましい。そして、前述した予備活性化さ
れ内管層の外周表面上に、そのまま外側層として溶融し
た混合物を押出成形することも可能である。
【0092】本発明のブロック共重合体を構成するビニ
ル芳香族化合物としては、ブタジエンまたはブタジエン
を主体とする共役ジエン化合物が好ましく、特にブタジ
エンが好ましい。基体となるビニル芳香族化合物と共役
ジエン化合物からなるブロック共重合体は、ビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロック1個以上、好まし
くは2個以上と、共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロック1個以上とを含有するものである。ブタジエ
ン、はゴム弾性を有するので、柔軟性に富んだ外側層を
得ることができ,柔軟性に富んだ複数層管を得ることが
できる。
【0093】このブロック共重合体における、ビニル芳
香族化合物と共役ジエン化合物との重合比は、好ましく
は60/40を越え90/10以下である。上記60/
40以下では熱可塑性樹脂としての剛性が低下し、90
/10を越えると耐衝撃性が損なわれるので好ましくな
い。
【0094】上記変性ブロック共重合体は、一般的にジ
カルボン酸またはその誘導基を含む分子単位をブロック
共重合体100重量部当たり0.05〜20重量部結合
させものであり、0.05重量部未満では変性ブロック
共重合体に比して耐磨耗性及び耐圧縮性歪の改良効果が
ほんど認められず、20重量部を越えてもそれ以下に比
して改良効果が賢著でない。
【0095】かかるブロック共重合体は、通常、ベンゼ
ン等の不活性炭化水素中で、ブチルリチュームを重合媒
体として、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物をア
ニオン重合することにより得られ、得られたリチューム
活性末端を有するブロック共重合体を四塩化ケイ素の多
官能カップリング剤で結合することで、分岐状、放射状
のブロック共重合体が得られる。
【0096】本発明において、ブロック共重合体に不飽
和ジカルボン酸またはその誘導体を含有する分子量単位
が結合している変性ブロック共重合体として好適なもの
は、基体となるブロック共重合体の共役ジエーン部分に
不飽和ジカルボン酸またはその誘導体を付加させて得ら
れた重合体である。
【0097】上記不飽和ジカルボン酸またはその誘導体
の例としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン
酸、ジ2−ジカルボン酸や、これらジカルボン酸の酸無
水物、エステル、アミド、イミドなどがある。不飽和ジ
カルボン酸の誘導体は、誘導体のままをブロック共重合
体に共重合体に付加させた後、しかるべき反応により対
応する誘導体に変換することができる。また、かかる反
応は前述したブロック変性ゴム質重合成分と混合して組
成物にした後に、実施することも可能である。不飽和ジ
カルボン酸またはその誘導体の好適なものとしては、
α,β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体、具体的
にはマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸が挙げられ
る。
【0098】前記変性ブロック共重合体は、前記ブロッ
ク共重合体に不飽和ジカルボン酸基またはその誘導体基
を溶融状態または溶液状態において、ラジカル開始剤を
使用または使用せずして、付加反応させることにより得
られる。特に好適な製造方法としては、前記ブロック共
重合体を押出機により溶融させた状態で、ラジカル開始
剤を使用せずして不飽和ジカルボン酸基またはその誘導
体基を反応させる方法が挙げられる。
【0099】変性ブロック共重合体に添加することによ
ってイオン化架橋物を得るために使用する架橋剤化合物
としては、周期律表第1族、第2族、第3族の金属化合
物が好ましく、具体的にはナトリウム化合物、カリウム
化合物、マグネシウム化合物が挙げられる。これらの金
属化合物の好適なものは、水酸化物、アラコラート、カ
ルボン酸塩である。
【0100】変性ブロック共重合体のイオン化架橋物を
得る具体的な方法としては、溶融状態の変性ブロック共
重合体に架橋剤化合物を添加する方法や、変性ブロック
共重合体を適当な溶媒に溶解させ、この溶液に架橋剤化
合物を添加して架橋反応をおこさせる方法、さらには変
性ブロック共重合体をラテックスとしてこれに架橋剤を
加える方法などが挙げられる。好ましくは、溶融状態の
変性ブロック共重合体に架橋剤化合物を添加する方法で
ある。
【0101】ポリアミド系重合体としては、好ましく
は、アミノ酸縮合型ポリアミド、二塩基酸−ジアミン縮
合型ポリアミド、さらにはこれらの共重合体等の末端に
アミノ基を有する溶融可能なポリアミドであり、具体的
には、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン66が挙げられる。そして、かかるアミドを変性す
るために用いられるN,N′−ビスアシルラクタムは例
えば、二塩基酸のハライドとラクタム類との総合反応に
よって容易に合成できる化合物である。
【0102】上述したようなイオン性架橋物を含む組成
物については、特開昭56−118454(特公昭62
−34266)号公報、特開昭58−34838(特公
昭63−63580)号公報及び特公昭63−2737
9号公報で知られている。しかしながら、これらの公報
に記載された組成物は、いずれも単一の高分子物質を用
いるだけでは得られない、十分な強度、加工性等を改善
するめに、相容性の劣った異種の高分子物質同士の相容
性の改良された組成物が開示されたものであって、本分
野の技術者がどのようにすれば、接着剤によらないで、
押出成形されたプラスチック材料からなる内管層と、押
出成形された外側層とを一体的に結合でき、柔軟性に優
れた多層管を構成することができるかについて何ら教示
するところがない。上記した各公報の開示は引用するこ
とによって本明細書に組入れられる。
【0103】本発明に用いられる変性ブロック共重合体
のイオン性架橋物は、熱可塑性であり、且つ可逆的に架
橋できるので、上述したように得られた外側層押出用の
ペレット化した組成物(プラスチック材料)を外側層成
形押出機に供給しつつ外側層として内管層の外周面上に
押出しする際、組成物は再加熱溶融されることにより、
ラジカルが生成された内管層の外周表面に対して外側層
の内周表面を密着状態に維持でき、かかる組成物(プラ
スチック材料)からイオン架橋されたイオン性架橋外側
層が形成されると共に内管層の外周表面に生成されたラ
ジカルに対してイオン結合が誘発され、内管層に該イオ
ン性架橋外側層を化学的に固着することができる。
【0104】好ましくは、外側層の外周から電子線等の
放射線を照射することにより、予めラジカルが生成され
た内管層の外周表面に対してあるいは放射線照射にラジ
カルが生成された内管層の外周表面に対して上記をもつ
ブロック共重合体をグラフト重合(共有結合)すること
ができるので、さらに、外側層を内管層に化学的に強く
結合することができる。そして、このように得られたイ
オン性架橋外側層は単一のポリアミドだけでは得られな
い十分な強度、耐熱性、耐油性及びアイドット衝撃強度
を高めることができる効果も有している。
【0105】また、架橋剤化合物を含むプラスチック材
料からなる本発明の他の形態の外側層として、ポリアミ
ド鎖の一端に結合したカルボン酸基及び他端に結合した
アミド基の末端官能基を含むポリアミド重合体(ナイロ
ン6及び66)に、1価の金属化合物、2価の金属化合
物、及び3価の金属化合物のうちいずれか一種または二
種以上の混合したものを架橋剤化合物として反応させる
ことによって得ることもできる。即ち、かかるポリアミ
ド重合体に架橋剤化合物としてナトリユームメチラート
のトルエンとメタノールとの混合溶媒を添加し、イオン
性架橋外側層を得ることができる。例えば、上記ポリア
ミド重合体を2軸押出機により溶融させた状態で架橋剤
化合物を添加し、実質的にラジカル開始剤を使用せず
(ラジカル抑止剤の存在下)してカルボン酸基またはそ
の誘導体基を反応させ、イオン性架橋ペレット(グラフ
ト共重合体)を形成し、得られたイオン性架橋ペレット
をスクリュー型押出機に供給しつつ、再加熱溶融させ、
内管層の活性化された外周表面上に押出し被覆すること
により、イオン性架橋外側層を形成することができると
共にこの内管層にイオン性架橋外側層をイオン結合する
ことができる。
【0106】次に、前記した本発明の第2の手段(請求
項5)において、中間コーティング膜を形成する有機化
合物は、官能基を有するラジカル開始重合を受け得る有
機化合物の郡または官能基を有する吸着膜を形成し得る
有機化合物の郡のいずれかから形成されている。
【0107】先ず、官能基を有するラジカル開始重合を
受け得る機能性有機化合物(有機化合物)としては、接
着性の官能基を有する有機化合物の群から選ばれた1種
又は数種、あるいは親水性の官能基を有する有機化合物
の群から選ぶことができる。
【0108】接着性の官能基あるいは親水性の官能基を
有する有機化合物は、一般的に、水、有機溶剤あるいは
エマルジョンの溶媒に溶解し、溶解した溶液を浸漬、噴
霧、等の公知の塗布手段で塗布し、予めラジカルが形成
された内管層の外周表面上に接触することにより被覆物
として堆積され、堆積された被覆物を加熱および/また
は放射線誘導により内管層の外周表面にグラフト重合さ
せることができる。
【0109】しかし、上記塗布手段では、被覆物を形成
するのに長時間を要するという欠点を有している。そこ
で、短時間で実施できる好ましい他の方法として、真空
容器中に、有機化合物を加熱してできた蒸気を導入する
と共に、活性化された外周表面を有する内管層をこの蒸
気中に導入して、有機化合物を反応させ、被覆物とし
て、内管層の外周表面上に堆積することもできる。
【0110】有機溶剤としては、有機化合物(機能性モ
ノマー)を均一に溶解するが、フッ素樹脂は溶解しない
有機溶剤が好ましく、例えば、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエス
テル類、メチルアルコール、エチルアルコール等のアル
コール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテ
ル類あるいは混合溶媒が用いられる。これらのなかでも
架橋ふっ素樹脂を膨潤させるものが好ましい。
【0111】内管層の外周表面に堆積された被覆物はそ
の外周から電子線等の放射線が照射され、上記した機能
を有する有機化合物を放射線誘導により内管層の外周表
面にラジカルがつくられ、そしい、グラフト共重合反応
は、内管層の外周表面につくられるラジカルによって開
始し、被覆物は内管層の外周表面に一体的にグラフト重
合することができる。また、堆積された被覆物の外周上
にポリマー材料からなる外側層が押出成形され、押出成
形された外側層の外周から加熱及び/または放射線誘導
より、内管層と外管層間に有機化合物が中間コーティン
グ膜として内管層にグラフト重合することができ、内管
層と外側層とは中間コーティング膜を介してかかる放射
線誘導及び/または加熱によって化学結合することがで
きる。
【0112】外側層として用いられる熱可塑性プラスチ
ック材料は中間コーティング膜を形成する、接着性の官
能基あるいは親水性の官能基あるいはイオン交換性の官
能基等と化学的に結合する反応基を有する有機材料と化
学的に結合できる反応官能基を有しているプラスチック
材料が好ましい。一般的には、イミノ基(−NH)等の
自ら活性化された表面を有するポリアミドやポリウレタ
ンが好適に採用される。意図的に調製されるポリマー材
料としては、好ましくは架橋反応で共有結合し得る有機
材料を含む熱可塑性樹脂および架橋反応で共有結合し得
る有機材料を含むエラストマーを採用することができ
る。
【0113】本発明に用いられる上記した接着性の官能
基を有する有機化合物の群としては、グリシジル基、エ
ポキシ基、シアノアクリレート及び/またはイソシアネ
ートからなるモノマー及びかかるモノマーを含有するモ
ノマーを挙げることができる。例えば、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシ
ジルエーテル、ビニル基を有するカルバミン酸エステル
又はアクリロニトリルを挙げることができる。
【0114】かかる接着性の官能基を有する有機化合物
を内管層の外周表面に表面グラフト共重合する方法は、
(a)押出成形された内管層を気体のプラズマにさらす
ことにより、又はUV光にさらすことにより、又は電子線
等の放射を照射することによって内管層の外周表面上に
ラジカルを発生させ、(b)上記した 接着性の官能基
を有する有機化合物(モノマー又はモノマー混合物)、
又はモノマーあるいはモノマー混合物の蒸気で表面を処
理する、工程を経て、かかる有機化合物をポリマー膜と
して内管層の外周表面にグラフトすることができる。
工程(b)は、工程(a)の前に、工程(a)と同時
に、工程(a)の下で開始され、又は工程(a)のすぐ
後に続いて行うことができる。
【0115】いずれにしても、放射線誘導によって内管
層の外周表面上に堆積された接着性の官能基を有する有
機化合物(モノマー又は モノマー混合物)が、内管層
の外周表面上にポリマー膜としてグラフトされる一方、
かかる有機化合物の被覆物の外周面上に加熱溶融された
外側層が押出成形され、外側層を加熱及び/または放射
線誘導によって加熱することにより、被覆物が中間コー
ティング膜として外側層の内周表面に化学結合した複数
層管が形成される。好ましくは,複数層管を再加熱する
ことにより、外側層は内管層に十分に化学結合すること
ができる。
【0116】内管層に対する外側層の接着剤によらない
付着は、加熱及び/または放射線誘導によって、ポリマ
ー膜を介してポリエステル、ポリオレフィン、炭化水素
およびフルオロ(フッ素)ポリマーの層、電気活性(導
電性)または共役ポリマー層等の層間の化学結合により
付与できる。好ましくは、外側層は接着性の官能基と反
応するカルボキシル、ヒドロキシル基、アミノ基、イミ
ノ基等の存在あるいは導入することにより化学結合する
ことができる。
【0117】また、本発明に用いられる上記した親水性
の官能基を有する有機化合物の群から選ばれた1種又は
数種としては、親水性ビニルモノマーを挙げことができ
る。適切な親水性ビニルモノマーは、少なくとも1個の
オレフィン系の二重結合ならびに少なくとも1個の親水
性基を有する。オレフィン系の二重結合は様々な官能
基、例えばビニル基またはアリル基のようなアルケニル
基、または不飽和カルボン酸またはその誘導体から誘導
される基、例えばアクリル酸、メタクリル酸、これらの
カルボン酸またはマレイン酸のアミドに存在する。
【0118】親水性基についてもまた多くの多様性が見
られる。適切な親水性基は例えば以下のものが挙げられ
る:ヒドロキシル基、エーテル基、アシルオキシ基、カ
ルボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミ
ド基、カルボアルコキシ基、およびニトリル基;1,2
−エポキシド基;硫酸エステル、スルホン酸、スルフィ
ン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、な
らびにこれらの適切な塩およびエステル;第一級、第二
級、および第三級アミノ基;非環式または環式であって
もよいアシルアミノ基;末端ヒドロキシル基を有するま
たは有さないポリアルキレンオキシド基、例えばポリエ
チレンオキシド基およびポリプロピレンオキシド基;ポ
リエステル基、ポリエステルアミド基、ポリエーテルエ
ステルアミド基;ならびにオレフィン官能基を有する糖
類の基。もちろんモノマーの親水度にとってはモノマー
分子中の親水性および疎水性成分のバランスが重要であ
る。
【0119】適切な親水性ビニルモノマーは、アクリル
酸またはアクリル酸誘導体、メタクリル酸またはメタク
リル酸誘導体、カルボン酸ビニル誘導体、ビニルスルホ
ン酸またはビニルスルホン酸塩、アルケニルアリールス
ルホン酸またはアルケニルアリールスルホン酸塩、ビニ
ルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミン、単数または
複数の末端にアリル基、ビニル基、アクリル基、または
メタクリル基を有するポリアルキレンオキシ化合物、ま
たは単数または複数のビニル基を有する官能性糖誘導体
である。
【0120】好ましい具体例として、ヒドロオキシスチ
レン、2−ヒドロオキシメチルメタアクリレート、2−
ヒドロオキシエチルメタアクリレート、ビニルアミン化
合物、ビニルコハク酸イミド、ビニルスルホン酸又はビ
ニルアルコールを例示することができる。
【0121】モノマーはその都度の外側層に有する官能
基及び/または使用目的に応じて、単独で、あるいはま
たはた混合物として使用することができ、これに応じて
内管層の外周表面と外側層の内周表面間にそれぞれの表
面に化学的に結合させたポリマーからなる中間コーティ
ング膜が得られる。
【0122】即ち、かかる親水性モノマーは水、有機溶
剤あるいはエマルジョンの溶媒に溶解し、溶液として、
内管層の外周表面上に被覆され、親水性モノマーを加熱
および/または放射線誘導により内管層の外周表面及び
外側層の内周表面にグラフト重合させることができる。
【0123】親水性モノマーを内管層の外周表面上に表
面グラフト重合させる方法としては、一般的に、一旦、
押出成形された内管層を、親水性モノマーを溶媒に溶解
した溶液に一定時間浸漬し、洗浄及び乾燥後、得られた
被覆物の外周から紫外線あるいは電子線等の放射線を照
射して、内管層の外周表面を活性化すると同時に内管層
の外周表面に親水性モノマーをグラフト重合させる方
法、あるいは予めプラズマあるいは電子線等により内管
層の外周表面を放射線を照射してグラフトの起点となる
ラジカルを生成し、予備活性化された外周表面を有する
内管層を、一旦親水性モノマーを溶媒に溶解した溶液に
一定時間浸漬することにより、内管層の外周表面に親水
性モノマーをグラフト重合させる方法、あるいは、一
旦、内管層を、親水性モノマーを溶媒に溶解した溶液に
一定時間浸漬し、洗浄及び乾燥後、得られた被覆物の外
周面上に外側層を押出成形し、押出成形された未架橋の
外側層の外周から電子線、γ線、X線、陽子線等の放射
線を照射することにより、内管層の外周表面を活性化す
ると同時に外側層を架橋させつつ、内管層の外周表面及
び外側層の内周表面に親水性モノマーをグラフト重合さ
せる方法がある。
【0124】これらの方法以外に、好ましくは真空容器
中に内管層を導入すると共に親水性モノマーを加熱して
できた蒸気をこの真空容器中に導入して、反応させるこ
とにより、短時間で親水性モノマーを内管層の外周表面
あるいは内管層の外周表面及び外側層の内周表面にグラ
フト重合させることができる。従って、この場合、内管
層を押出成形しつつ、内管層の外周表面上に連続的に親
水性モノマーの被覆物を形成できるので、工業的利用価
値がある。
【0125】好ましい親水性モノマーの選択は、一般的
に使用目的に応じた外側層を形成する熱可塑性ポリマー
材料が含有する官能基と反応する親水性基を有するモノ
マーから選択される。
【0126】次に、中間コーティング膜を形成する化合
物が官能基を有する吸着膜を形成し得る有機化合物の郡
としては、シラン系界面吸着剤、クロルシラン系界面吸
着剤、分子の一端若しくは両端にハロスルフィニル基あ
るいはハロスルフォニル基を有する化学吸着剤を挙げる
ことができる。
【0127】シラン系界面吸着剤としては、アルケニル
シランハライド、アルキンシランハライド、アルケニル
アルコキシシラン、アルキンアルコキシシラン、及びこ
れらのフッ素含有誘導体から選ばれる少なくとも一種を
採用することができる。
【0128】本発明に使用されるシラン系界面吸着剤は
例えば次の式(化1)に示されるものがある。
【0129】
【化1】
【0130】かかるシラン系界面吸着剤は、上記の如
く、クロロシリル基(−SiCl)を有し、内管層とし
ては、このクロロシリル基(−SiCl)と反応する、
活性水素(イミノ基、アミノ基、水酸基)を含有あるい
は導入させた熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマ
ーを採用することができる。
【0131】そして、かかるシラン系界面吸着剤は、非
水系の有機溶媒に溶解して用いられ、このシラン系界面
吸着剤溶液に、押出成形されたフッ素プラスチック材料
からなる内管層を浸漬して内管層外周表面にシラン系界
面吸着剤溶液を塗布し、塗布された未だ完全に乾燥して
いない被覆物の外周表面に外側層を押出成形することに
より、シラン系界面吸着剤溶液が外側層の内周表面に接
触維持され、シラン系界面吸着剤のクロロシル基と外側
層の活性水素が反応して外側層の内周表面にシロキサン
結合(−Si−結合)によって共有結合したポリマー吸
着膜が形成される共に外側層の外周から電子線等の放射
線を照射及び/または紫外線等で加熱することにより、
内管層のフッ素系高分子の結合が開烈して外周表面にラ
ジカルを生成し、ポリマー吸着膜とフッ素系高分子との
間に化学結合が形成され、ポリマー吸着膜で形成された
中間コーティング膜を介して内管層を外側層に化学的に
結合することができる。
【0132】従って、外側層の内周表面にシラン系界面
吸着剤を化学吸着させるために、外側層は少なくとも内
周表面にイミノ基、アミノ基、水酸基等の官能基が導入
されていることが好ましい。もっとも、ポリアミドやポ
リウレタンからなる外側層は内周表面にイミノ基を有し
ているので、下式(化2)に示すようにシラン系界面吸
着剤と間で反応が進み、単分子吸着膜あるいはポリマー
吸着膜を中間コーティング膜として容易に形成すること
ができる。なお、前記化学式(化2)は、前記化学式
(化1)のシラン系界面吸着剤の一例として例えば、C
H2=C(CH2)nSiCl3 の反応例を示すもので
ある。
【0133】
【化2】
【0134】但し式中のnは何れも自然数で、6〜25
程度が最も扱い易い。上記式中、化合物中aが1である
トリクロロシラン系化合物を好ましく用いることができ
る。
【0135】なお、上記したシラン系界面吸着剤溶液
は、前記シラン系界面吸着剤を用い、2×10-3〜5×
10-2Mol /リットル程度の濃度で溶かした80wt%ヘ
キサデカン、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム
溶液を調整して得ることができる。
【0136】また、前記反応によって生成された水分を
加熱により外部に放出できるように、外側層に予め外部
に通じる多数の小孔を施しておくのが好ましい。即ち、
水分が蒸発乾燥する時に、層間の化学結合が促進され
る。
【0137】前記シラン系界面吸着剤以外の界面吸着剤
として、式、CF3 (CH2 )2 Si(CH3 )2 (C
H2 )15SiCl3 、F(CF2 )4 (CH2 )2 Si
(CH3 )2 (CH2 )9 SiCl3で示されるフロロ
クロロシラン系界面吸着剤も前記シラン系界面吸着剤と
同様に採用することができる。なお、シラン系界面吸着
剤に代えて、シリルアルコラート系界面吸着剤[例えば
CH2 =CH(CH2)n Si(OR)3 ]を用いた場
合にも、シラン系界面吸着剤と同様に反応し、シロキサ
ン結合を有するポリマー膜を形成することができる。
【0138】また、界面吸着剤以外の吸着剤として、特
開平5−16286号に記載されている、分子の一端若
しくは両端にハロスルフィニル基あるいはハロスルフォ
ニル基を有する化学吸着剤を採用することができる。
【0139】本発明は、上記説明した実施の形態に限定
されるものではない。本発明は、本発明の主旨を逸脱し
ない範囲において、他の多くの形態で実施することがで
きる。例えば、上記説明した各種実施の形態を適宜組合
せて実施することができる。
【0140】
【実施例】(実施例1)図を用いて本発明の第1の実施
例を具体的に説明する。図1は複数層管の側面断面図で
あり、図1の複数層管の断面図である。図において、1
0が複数層管であり、複数層管10は、押出し成形可
能、且つ溶融加工可能なフッ素プラスチック材料からな
る内管層11と、内管層11の外周に押出成形されたフ
ッ素プラスチック材料以外の熱可塑性樹脂あるいは熱可
塑性エラストマーからなる外側層12とで構成される。
【0141】詳しくは、内管層11は、ポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等の市販の成形粉末を用いて
押出成形されている。この内管層11は、この複数層管
10の製造方法の過程を示す模式図(図3)に示すよう
に、導電性粒子を含有する第一層111を第1の押出機
51で押出すと同時に導電性粒子を含まない第二層11
2を第一層111の外周面上に第2の押出機52で押出
し、その先端部に設けた共通のダイ53を通じて第一層
111と第二層112とは溶融結合した。このように共
押出しされた内管層11は、前方に設けた減圧冷却装置
30を介して延伸引取装置55で所定のサイズ(内径6
mm、外径6.6mm)になるように引出しつつ、延伸
引取装置55の前方に設けた電子線照射装置56で内管
層11の外周上から電子線を、電子線を、室温下で加速
電圧300kVの低エネルギー電子加速器を用いて、線
量率190kGy/sec の高線量率で450kGy照射し、
未架橋の内管層11を架橋した。このように架橋された
内管層11の外周面上に押出機58の先端部に設けたク
ロスヘッド29を通じて、予め調製された放射線架橋ポ
リマー組成物からなる外側層12を押出成形し、押出成
形された外側層12の外周上から電子線を、室温下で加
速電圧5MeVの電子加速器を用いて、50KGy照射
することにより内管層11の外周表面11aにラジカル
を発生させと共に未架橋の外側層12を架橋し、架橋内
管層11を架橋外側層12に化学的に結合させた複数層
管10を製造した。
【0142】外側層12の押出成形に用いた放射線架橋
ポリマー組成物(熱可塑性プラスチック材料)は、未架
橋の非晶性ポリアミド100重量部に対して1〜5重量
部程度の架橋剤を混合した樹脂組成物であり、非晶性ポ
リアミドとして、三井・デュポンケミカル社の「シーラ
ーPA」(ガラス点移転:125℃)を用いて樹脂ペレ
ットを得た。この樹脂ペレットと、架橋剤としてのトリ
アリルイソシアヌレートと、その他の充填剤とを混練押
出機を用いて均一に混合しつつ、スクリュー押出機を用
いてペレット化したものである。
【0143】得られた複数層管10は、強制的にV字状
に屈曲させてキンクを生じさせても、キンク部において
内管層と外側層間に剥離は見られなかった。また、着火
しても炎が10秒以内に消滅し、架橋外側層12は未架
橋の結晶性ポリアミドよりも燃焼しにくいことがわかっ
た。つまり耐燃性に優れていることがわかった。
【0144】また、フッ素プラスチックからなる内管層
11が架橋されているので、内管層11の弾性率、降伏
点強度が向上すると共に、外側層10の耐燃性が向上
し、複数層管10の強度、柔軟性及び耐燃性を高めるこ
とができた。
【0145】(実施例2)この実施例の複数層管は、実
施例1と同様に、溶融加工可能なフッ素プラスチック材
料からなるポリマー内管層と、該内管層の外周表面11
a上に化学的に結合されている溶融押出し可能な熱可塑
性プラスチック材料から形成された外側層とを備えてい
るので、便宜上、図1及び図2を用いて説明する。ま
た、この実施例の図4に示す本発明の複数層管の製造方
法の過程を示す模式図に示すその製造装置も実質的に図
3に示す装置と同一装置で実施できる装置は、便宜上、
図3に示す符号と同一符号を付して説明する。
【0146】図において、12は外側層であり、先ず、
外側層12を押出成形するために、(A)エポキシ系等
の熱硬化性樹脂成分100重量部に対して、(B)ポリ
エチレンテレフタレートおよびその共重合体から選択さ
れた1種以上のポリエチレンテレフタレート系樹脂0.
1〜50重量部および(C)赤燐0.1〜50重量部及
びをその他の添加剤を配合したペレットを下記の如く製
造した。
【0147】即ち、熱硬化性樹脂成分(エポキシ系等の
熱硬化性樹脂成分)として、エポキシ樹脂(シェル社製
エピコート828)、を用いた。また、ポリエチレン
テレフタレート系樹脂(B)として、テレフタル酸をジ
カルボン酸成分とし、エチレングリコール単位とシクロ
ヘキサンジメタノール単位のモル比が70/30の”イ
ースター”GN002(イーストマン・コダック社製)
を、熱硬化性樹脂100重量部に対して、7重量部使用
した。また、赤リン(C)およびその他の添加剤を熱硬
化性樹脂100重量部に対して、0.5重量部使用し、
これらをヘンシェルミキサーで混合し、その後スクリュ
径30mm、L/D45.5の同方向回転2軸押出機
(日本製鋼社製、TEX−30:スクリュは2条ネジで
相互の噛み合い3.5mmの2本のスクリュを使用し、
L/D=4の45度に傾いた10枚のニーディングディ
スクからなるスクリュエレメントを順逆の順番で設け、
さらに逆フルフライトエレメントを設けた混練力の強い
スクリュ形状)を用いて樹脂温度300〜320℃で溶
融押出し、ペレットを製造した。
【0148】なお、使用したポリエチレンテレフタレー
ト系樹脂は、あらかじめ粉砕器で粉砕し、分級すること
により微粉末化させた(平均粒径50μm)混合した配合
組成物を使用した。また、赤燐は燐化学工業(株)社
製”ノーバエクセル”140(:平均粒径29.7μ
m、赤燐5gに純水100mlを加え、オートクレーブ
中、121℃で100時間抽出処理し、赤燐を濾過した
後の濾液を250mlに希釈し、導電率計(横河電機社
製、パーソナルSCメーター)を用いて測定した時の送
電率200μmS/cm)を使用した。
【0149】実施例2の内管層11は、実施例1の内管
層のフッ素プラスチック材料をPTFEをエチレン−テ
トラフルオロエチレン(ETFE)に代えて実施したも
のであって、内管層11は実施例1と同様に導電性粒子
を含有する第一層111を第1の押出機51で押出すと
同時に導電性粒子を含まない第二層112を第一層11
1の外周面上に第2の押出機52で押出し、共通のダイ
53を通じて溶融結合され内管層11を共押出しつつ、
減圧冷却装置30を介して、延伸引取装置55で引出し
ながら内径6mm、外径6.6mmの内管層11を押出
成形し、延伸引取装置55の前方に設けた紫外線(U
V)放射装置56Bを用いて、内管層11の外周から連
続的UV放射により、内管層11の外周表面11aを活
性化(ラジカル(親水基)を生成)した。
【0150】内管層11の外周表面11aを活性化に続
いて、前記得られたペレットを乾燥後、スクリュー押出
機58で、乾燥したペレットを320℃に再溶融し、活
性化された内管層11の外周表面11a上に外径8mm
の外側層12を、クロスヘッド59を通じて、内管層1
1の外周上に密に押出し、クロスヘッド59の前方に設
けた冷却装置60で、一旦常温まで冷却した後、最後方
に設けた引取機63で引き取りつつ、加熱槽(恒温槽)
62Bで外側層を130℃で5分間再加熱することによ
り、内管層11の外周表面11aを外側層12に化学結
合した複数層管10を製造した。
【0151】なお、この実施例において、加熱槽(恒温
槽)62Bに代えて、実施例1に用いた内管層表面ラジ
カル生成及び外側層架橋用電子線装置62Aを採用する
ことができる。この場合、電子線装置62Aにより、内
管層表面11aにラジカルが生成できると同時に外側層
12をラジカルが生成された内管層表面11aに架橋及
びグラフト共有結合するようにしても差支えない。
【0152】得られた複数層管10は、強制的に屈曲さ
せてキンクを生じさせても、キンク部において内管層と
外側層間に剥離は見られなかった。また、得られた複数
層管10は、外側層が難燃剤(赤燐)を含有しているの
で、難燃性が付与されかつ機械特性に優れていた。
【0153】(実施例3)この実施例の複数層管は、実
施例2と同様に、活性化処理した内管層を備え、外側層
が、架橋反応で共有結合し得る化合物を含有しているの
で、実質的に実施例2と同様に製造することができる。
従って、便宜上、実施例2の説明に使った図1、図2及
び図4を用いて説明する。
【0154】実施例3の内管層11は、実施例1の内管
層のフッ素プラスチック材料をPTFEをエチレン−テ
トラフルオロエチレン(ETFE)に代えて実施したも
のであって、内管層11は実施例2と同様に導電性粒子
を含有する第一層111を第1の押出機51で押出すと
同時に導電性粒子を含まない第二層112を第一層11
1の外周面上に第2の押出機52で押出し、共通のダイ
53を通じて溶融結合され内管層11を共押出しつつ、
減圧冷却装置30を介して、延伸引取装置55で引出し
ながら内径6mm、外径6.6mmの内管層11を押出
成形し、延伸引取装置55の前方に設けた紫外線(U
V)放射装置56Bを用いて、内管層11の外周から連
続的UV放射により、内管層11の外周表面11aを活
性化(ラジカル(親水基)を生成)した。
【0155】他方、予め、溶融重合法で作成したナイロ
ン6のペレット100重量%に、0.8重量%のビニル
シクロヘキセンジオキシドを混練押出機で均一に混合す
ることにより、1個のビニルエポキシ基と3個のビニレ
ンエポキシ基とを含む多官能エポキシ化合物をポリアミ
ド1kg当たり50〜150ミリモル添加混合した高粘度
ポリアミド組成物のペレットを準備した。
【0156】従って、内管層11の外周表面11aを活
性化に続いて、この高粘度ポリアミド組成物を用いて、
スクリュー押出機58でで245℃に再溶融し、活性化
された内管層11の外周表面11a上に外径8mmの外
側層12を、クロスヘッド59を通じて、内管層11の
外周上に密に押出し、クロスヘッド59の前方に設けた
冷却装置60で、一旦常温まで冷却した後、最後方に設
けた引取機63で引き取りつつ、加熱槽(恒温槽)62
Bで外側層を90℃で5分間再加熱することにより、外
側層12を内管層11の外周表面11aに化学結合した
複数層管10を製造した。
【0157】得られた複数層管10は、強制的に屈曲さ
せてキンクを生じさせても、キンク部において内管層と
外側層間に剥離は見られなかった。また、外側層が高粘
度ポリアミド組成物(熱可塑性プラスチック材料)を用
いて、スクリュー押出機58で245℃に再溶融し、溶
融され熱可塑性プラスチック材料の溶融指数は、0.6
であり、薄肉押出成形および連続ブロー成形に適してい
た。
【0158】(実施例4)この実施例の複数層管は、実
施例1と同様に、溶融加工可能なフッ素プラスチック材
料からなるポリマー内管層と、該内管層の外周表面11
a上に化学的に結合されている溶融押出し可能な熱可塑
性プラスチック材料から形成された外側層とを備えてい
るので、便宜上、図1及び図2を用いて説明する。ま
た、この実施例の図5に示す複数層管の製造方法の過程
を示す模式図(図5)中に示す装置も実質的に図3ある
いは図4中に示す同一装置で実施できる装置は、図3あ
るいは図4中に示す符号と同一符号を付して説明する。
【0159】この実施例では、外側層12を押出成形す
るための熱可塑性プラスチック材料として、イオン性架
橋物を混合した熱可塑性ポリアミド系重合体組成物を下
記の通り調製した。即ち、先ず、ベンゼン等の不活性炭
化水素中で、ブチルリチューム等の有機リチューム化合
物をを重合媒体として、ビニル芳香族化合物と共役ジエ
ン化合物をアニオン重合することによりブロック共重合
体を得、得られたリチューム活性末端を有するブロック
共重合体を四塩化ケイ素の多官能カップリング剤で結合
することで、テーパー状のブタジエン・スチレン共重合
体部分を有するスチレン含有量が40重量%、数平均分
子量が55000の分岐状、放射状のブロック共重合体
を得た。
【0160】次に、得られたブロック共重合体に0.8
重量部の無水マレイン酸及びゲル化防止剤としての0.
2重量部のフエノチアジンをアセトン10重量部に溶解
した溶液を添加して均一に混合した後、窒素パージする
ことにより、アセトンを除去し、この混合物を窒素雰囲
気下で、スクリュー型押出機に供給して、シリンダ温度
200℃でマレイン化反応を行い変性ブロック共重合体
を合成した。
【0161】次に、この変性ブロック共重合体から未反
応の無水マレイン酸を減圧除去し、安定剤として、2・
6−ジ−tertブチル−4−メチルフェノールを重合
体100重量部当たり、0.5重量部添加し、これをト
ルエン溶解して20%溶液とし、この溶液に、架橋剤と
してナトリユームメチラートのトルエンとメタノールと
の混合溶媒を、CH2ONa/酸無水物=0.6(モル
比)に相当する量加え、室温で反応させることにより変
性ブロック共重合体の上記したイオン性架橋物を得た。
【0162】そして、得られたイオン性架橋物(70重
量部)と数数平均分子量が18000のナイロン6(3
0重量部)とを30mm押出機(L/D=26)でブレ
ンドすると共にペレット化した熱可塑性ポリアミド系重
合体組成物(熱可塑性プラスチック材料)を得た。
【0163】このように、外側層押出成形用の熱可塑性
ポリアミド系重合体組成物を準備した上で、実施例2と
同様に、ETFE成形粉末を用いて導電性粒子を含有す
る第一層111を第1の押出機51で押出すと同時に導
電性粒子を含まない第二層112を第一層111の外周
面上に第2の押出機52で押出し、内径6mm、外径
6.6mmの内管層11を押出成形した。そして、この
実施例では、延伸引取装置55の前方に設けたプラズマ
処理装置56Cを用いて内管層11の外周面からプラズ
マを照射して内管層11の外周表面11aを活性化して
カルボキシル基のような親水性基を連続的につくった。
【0164】そして、上記ペレット化した熱可塑性ポリ
アミド系重合体組成物を押出機58に供給しつつ、組成
物が220℃になるように加熱溶融し、親水性基をつく
った内管層の外周表面11a上にクロスヘッド59通じ
て押出し、クロスヘッド59前方に設けた冷却装置60
で50℃まで冷却した外側層12を押出成形した。続い
て、冷却装置60の前方に設けた90℃に設定された加
熱槽62Bで3分間再加熱した多層管10を製造した。
【0165】得られた複数層管10は、強制的に屈曲さ
せてキンクを生じさせても、キンク部において内管層と
外側層間に剥離は見られなかった。また、外側層は耐衝
撃性に優れ且つ着火しても炎が10秒以内に消滅し、結
晶性ポリアミドよりも燃焼しにくいことがわかった。つ
まり耐燃性にも優れていることがわかった。その結果、
耐衝撃性及び耐燃性にも優れた複数層管10を得ること
ができた。
【0166】(実施例5)図6は、本発明の実施例5係
わる複数層管の断面図である。図において、20が複数
層管であり、複数層管20は、押出し成形可能、且つ溶
融加工可能なフッ素プラスチック材料からなる内管層2
1と、内管層21の外周に押出成形された熱可塑性樹脂
あるいは熱可塑性エラストマーからなる外側層22とを
備え、内管層21と外側層22とは内管層21と外側層
22間に堆積された接着性の官能基を有する有機化合物
から形成された中間コーティング膜23を介して化学的
に結合されている。
【0167】この複数層管20の製造方法を、図7に示
す複数層管の製造方法の過程を示す模式図に基づいて説
明する。なお、この実施例の図7に示す複数層管の製造
方法の過程を示す模式図中に使用される装置で、図3、
図4、図5及び図6に示す装置と実質的に同一装置で実
施できる装置は、便宜上、図3、図4、図5及び図6に
示す装置の符号と同一符号を付して説明する。
【0168】先ず、ETFE成形粉末を用いて、導電性
粒子を含有する第一層211を第1の押出機51で押出
すと同時に導電性粒子を含まない第二層212が第2の
押出機52を用いて、共通のダイ53を通じて第一層2
11と第二層212とを溶融結合させた内管層21を共
押出しし、続いて直前方に設けた減圧冷却装置24で冷
却しながら延伸引取装置55で引出して所定の内径と外
径を有する内管層21を押出し、続いて押出し成形され
た内管層21の全外周360°にプラズマが衝突するよ
うに、延伸引取装置55の前方に設けた混合ガスプラズ
マ放電装置56Bを通過させ、内管層21の外周表面2
1a全周を混合ガスプラズマ放電により活性化し、グラ
フトの起点となるラジカルを内管層21の外周表面11
aに生成した。
【0169】続いて、不活性ガス中で減圧缶内57Aに
バルブを通してグリシジルメタアクリレートを80℃に
加熱してできた加熱モノマー蒸気を入れると共に、外周
表面21a全周を活性化した長尺の内管層21をこの減
圧缶内57Aに入れて約15分反応させることにより、
グリシジルメタアクリレートを内管層21の外周表面2
1a上に被覆物として堆積させた。反応後、減圧缶57
を開放して長尺の内管層21を取り出し、アセトン洗浄
装置64で洗浄し、減圧乾燥した。
【0170】続いて、内管層21の外周表面21aに形
成された被覆物の外周表面11a上に、スクリュー押出
機58でナイロン6のペレットを供給しつつ、245℃
に溶融し、外径8mmの外側層12を、クロスヘッド5
9を通じて、内管層11の外周上に密に押出し、クロス
ヘッド59の前方に設けた冷却装置60で、一旦常温ま
で冷却して、ポリマー膜を、内管層11と外側層12間
に密に接触維持した後、最前方に設けた引取機63で引
き取りつつ、加熱槽62Bで外側層を90℃で15分間
再加熱することにより、外側層12を内管層11の活性
化された外周表面11aにグリシジルメタアクリレート
をポリマーとして表面グラフト共重合を引起させると共
にグリシジルメタアクリレートと外側層のアミノ基との
硬化反応で化学的に結合し、中間ポリマーコーティング
膜23を介して内管層21と外側層12とを化学的に結
合した複数層管20を製造した。
【0171】得られた複数層管20は、強制的にV字状
に屈曲させてキンクを生じさせても、キンク部において
内管層と外側層間に剥離は見られなかった。
【0172】(実施例6)この実施例の複数層管は、実
施例5と同様に、溶融加工可能なフッ素プラスチック材
料からなる内管層と、内管層の外周に押出成形されたフ
ッ素プラスチック材料以外の熱可塑性樹脂あるいは熱可
塑性エラストマーからなる外側層とを備え、内管層と外
側層とは内管層と外側層間に設けられた中間コーティン
グ膜23を介して化学的に結合されているので、便宜
上、図6を用いて説明する。また、この実施例の図8に
示す複数層管の製造方法の過程を示す模式図中に示す装
置も図3、図4、図5、図6及び図7に示す装置と実質
的に同一装置で実施できる装置はこれらと同一符号を付
して説明する。
【0173】図6において、20が複数層管であり、複
数層管20は、押出し成形可能、且つ溶融加工可能なフ
ッ素プラスチック材料からなる内管層21と、内管層2
1の外周に押出成形された熱可塑性樹脂あるいは熱可塑
性エラストマーからなる外側層22とを備え、内管層2
1と外側層22とは内管層21と外側層22間に堆積さ
れた官能基(クロロシル基)を有する有機化合物(シラ
ン系界面吸着剤)から形成された中間コーティング膜2
3を介して化学的に結合されている。
【0174】次に、この複数層管20の製造方法を図8
に示すの過程を示す工程模式図に基づいて説明する。
先ず、ETFE成形粉末を用いて、導電性粒子を含有す
る第一層211を第1の押出機51で押出すと同時に導
電性粒子を含まない第二層212が第2の押出機52を
用いて、共通のダイ53を通じて第一層211と第二層
212とを溶融結合させた内管層21を共押出しし、続
いて前方に設けた減圧冷却装置24で冷却しながら延伸
引取装置55で引出して所定の内径と外径を有する内管
層21を押出成形した。
【0175】続いて、押出成形された内管層21を、引
取り機56の前方に設けたシラン系界面吸着液槽57B
での、室温、真空雰囲気下で浸漬して、押出し成形され
た内管層21の全外周に、均一にシラン系界面吸着剤液
を塗布し、シラン系界面吸着剤液が塗布された内管層2
1の外周上に、ナイロン6のペレットを押出機58に供
給しつつ、クロスヘッド59を通じて外側層22を実施
例4と同様に押出成形し、引取り機61の前方に設けら
れた細い針をもつスパイキング機65により外側層22
に連続的に多数の小孔を施した。
【0176】外側層22を形成することにより、未だ完
全に乾燥していないシラン系界面吸着剤液の被覆物を内
管層21と外側層22間に接触維持でき、シラン系界面
吸着剤液が外側層22の内周表面に接触し、シラン系界
面吸着剤液の被覆物を、外側層22の内周表面22aに
シロキサン結合した水分を含むポリマー吸着膜に形成で
きる一方、外側層22の外周から外側層22の全周に、
前方に設けた電子線照射装置62Aで外側層22の外周
上から電子線を、室温下で5MeVの電子線加速機62
Aで、電子線50kGy照射し、水分を外側層22に施
された小孔を通じて乾燥しつつ、内管層21のフッ素系
高分子の結合が開烈して外周表面11aでラジカルを生
成し、単分子吸着膜あるいはポリマー吸着膜とフッ素系
高分子との間に化学結合が形成され、外側層22を内管
層の外周表面21aにポリマー吸着膜で形成された中間
コーティング膜23を介して外側層22に内管層21を
化学的に結合した複数層管20を製造した。
【0177】なお、本実施例に使用したシラン系界面吸
着剤液は、ω−ノナデセニルトリクロロシランの10-2
mol /リットル溶液(80wt%ヘキサデカン+12wt%
四塩化炭素+8wt%クロロホルム)である。
【0178】得られた複数層管20は、強制的にV字状
に屈曲させてキンクを生じさせても、キンク部において
内管層と外側層間に剥離は見られなかった。
【0179】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
接着剤を用いることなく、内管層と外側層とを化学結合
でき、その結果、キンクが生じ難く且つキンクが生じた
としてもキンク部で剥離が生じ難い複数層管を提供で
き、さらに、目的とする特性に応じて、十分な柔軟性、
耐衝撃性、耐熱性、難燃性、強度あるいは加工性を満た
すことができる外側層を有する複数層管及びその製造方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1、実施例2、実施例3及び実
施例4に係わる複数層管の側面断面図
【図2】図1の縦断面図
【図3】本発明の実施例1に係わる複数層管の製造方法
の過程を示す模式図
【図4】本発明の実施例2及び実施例3に係わる複数層
管の製造方法の過程を示す模式図
【図5】本発明の実施例4に係わる複数層管の製造方法
の過程を示す模式図
【図6】本発明の実施例5及び実施例6に係わる複数層
管の縦断面図
【図7】本発明の実施例5に係わる複数層管の製造方法
の過程を示す模式図
【図8】本発明の実施例6に係わる複数層管の製造方法
の過程を示す模式図
【符号の説明】
10,20 複数層管 11,21 内管層 11a,21a 外周表面 12a,22a 内周表面 111,211 第一層 112,212 第二層 23 中間コーティング膜 51,52 内管層押出機 53 ダイ 54 減圧冷却装置 56A 内管層架橋用電子線装置 56B UV放射線装置 62A 内管層外周表面ラジカル生成及び外
側層架橋用電子線装置 62B 加熱槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H111 AA02 BA15 CA07 CA53 CB04 CB14 DA11 DB08 DB20 EA04 4F100 AK01B AK17A AL09B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10B CA30C EH46C EJ05B EJ422 EJ532 GB90 JB13B JB16A JB16B JD14C JK20 4F207 AA16 AA36 AD12 AG03 AG08 KA01 KA17 KB11 KJ05 KK01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融加工可能なフッ素プラスチック材料
    からなるポリマー内管層と;該内管層の外周表面上に化
    学的に結合されている溶融押出し可能な熱可塑性プラス
    チック材料から形成された外側層と;を備え、前記内管
    層が少なくとも活性化された外周表面を有する一方、前
    記外側層を形成する前記熱可塑性プラスチック材料が該
    内管層の該活性化された該外周表面と化学的に、反応し
    得る官能基を有する化合物及び/または架橋反応で共有
    結合し得る化合物を含有し、該プラスチック材料が該内
    管層の外周に該外側層として押出成形されることによ
    り、該内管層の外周表面が該外側層の該内周表面に密に
    接触維持され、加熱および/または放射線誘導により、
    該化合物が該活性化された外周表面と化学的に反応し
    て、該内管層の外周表面が該外側層の該内周表面に化学
    的に結合されていることを特徴とする複数層管。
  2. 【請求項2】 前記架橋反応で共有結合し得る化合物が
    架橋性モノマーまたは熱硬化性樹脂であることを特徴と
    する請求項1に記載された複数層管。
  3. 【請求項3】 前記化学的に反応し得る官能基がグリシ
    ジル基またはエポキシ基であることを特徴とする請求項
    1に記載された複数層管。
  4. 【請求項4】 前記架橋反応で共有結合し得る化合物が
    1価の金属化合物、2価の金属化合物、及び3価の金属
    化合物のうちいずれか一種または二種以上の混合した架
    橋剤化合物であることを特徴とする請求項1に記載され
    た複数層管。
  5. 【請求項5】 フッ素プラスチック材料からなる内管層
    と;該内管層の外周に押出成形されたフッ素プラスチッ
    ク材料以外の熱可塑性プラスチック材料からなる熱可塑
    性樹脂または熱可塑性エラストマーで形成された外側層
    と;該内管層と該外側層間に堆積された、官能基を有す
    るラジカル開始重合を受け得る有機化合物または官能基
    を有する吸着膜を形成し得る有機化合物のいずれかから
    形成された中間コーティング膜と;を備え、前記内管層
    が活性化された外周表面を有する一方、前記外側層が該
    官能基を有する有機化合物の該官能基と化学結合し得る
    反応性官能基を有し、該内管層の外周表面及び/または
    該外側層の内周表面に該化合物が相対的に接触すること
    により中間コーティング膜が形成され、該中間コーティ
    ング膜が、該内管層の外周表面と押出成形された該外側
    層の内周表面間に密に接触維持され、加熱および/また
    は放射線誘導により、該内管層の外周表面に化学的に結
    合されている一方、該外側層の反応性官能基と反応して
    該外側層の内周表面に化学結合されていることを特徴と
    する複数層管。
  6. 【請求項6】 前記官能基を有するラジカル開始重合を
    受け得る有機化合物が、接着性の官能基を有する有機化
    合物の群あるいは親水性の官能基を有する有機化合物の
    群あるいはイオン交換性の官能基を有する有機化合物の
    群から選ばれた1種又は数種であることを特徴とする請
    求項5に記載された複数層管。
  7. 【請求項7】 前記官能基を有する吸着膜を形成し得る
    有機化合物が、界面吸着剤であり、前記吸着膜は加熱お
    よび/または放射線誘導により内管層の不飽和結合の開
    烈による該内管層の外周表面に化学結合されていること
    を特徴とする請求項5に記載された複数層管。
  8. 【請求項8】 前記内管層が架橋処理されていることを
    特徴とする請求項1あるいは請求項2あるいは請求項3
    あるいは請求項4あるいは請求項5あるいは請求項6あ
    るいは請求項7に記載された複数層管。
  9. 【請求項9】 (1)溶融加工可能なフッ素プラスチッ
    ク材料にてポリマー内管層押出成形する工程と、(2)
    押出成形された該内管層の外周表面を放射線及び/また
    は加熱により活性化処理する工程と、(3)押出成形さ
    れた内管層の外周面に、活性化された該外周表面と化学
    的に反応し得る官能基を有する化合物及び/または架橋
    反応で共有結合し得る化合物を含有したプラスチック材
    料にて外側層を押出成形する工程と、を備え、工程
    (2)は工程(3)の前にあるいは工程(3)の後外側層
    の外周からかのいずれか続いて行われる工程を経て、該
    活性化された該外周表面と化学的に反応し得る官能基を
    有する化合物及び/または架橋反応で共有結合し得る化
    合物を含有したプラスチック材料を外側層として内管層
    の外周表面に化学結合することを特徴とする複数層管の
    製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005315362A (ja) * 2004-04-30 2005-11-10 Nitta Moore Co 流体配管用チューブ
JP2009103195A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Kurabe Ind Co Ltd ホース及びその製造方法
KR101090781B1 (ko) * 2010-07-08 2011-12-08 주식회사 평화 3중 합성수지파이프 제조용 압출장치
JP2015127660A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 住友電工プリントサーキット株式会社 歪ゲージ用プリント配線板
JP2017521289A (ja) * 2014-04-18 2017-08-03 テクニ−プレックス,インコーポレーテッド 共押出プラスチックキャピラリー管

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