JP2003247096A - 植設材の製造方法及び時計 - Google Patents

植設材の製造方法及び時計

Info

Publication number
JP2003247096A
JP2003247096A JP2002043970A JP2002043970A JP2003247096A JP 2003247096 A JP2003247096 A JP 2003247096A JP 2002043970 A JP2002043970 A JP 2002043970A JP 2002043970 A JP2002043970 A JP 2002043970A JP 2003247096 A JP2003247096 A JP 2003247096A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface portion
blank
plating layer
manufacturing
planting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002043970A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3835305B2 (ja
Inventor
Koichi Yamaguchi
浩一 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2002043970A priority Critical patent/JP3835305B2/ja
Publication of JP2003247096A publication Critical patent/JP2003247096A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3835305B2 publication Critical patent/JP3835305B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 時計の文字板に対して取付足部を挿入した状
態で取り付けられる、植え字などの植設材の製造工程を
大幅に変更することによって、製造コストの上昇を抑制
しつつ、斜面部の平滑性を向上させるとともに、表面形
状の精度とばらつきを低減し、より高級感のある外観を
表出可能な植設材の製造方法を提供する。 【解決手段】 植設材である植え字11を製造する工程
において、予め成形した斜面部11A−2上に第1メッ
キ層11a及び第2メッキ層11bを形成する。その
後、上部をダイヤモンドカッタ等によりカットして上面
部11A−1を形成する。そして、表面全体を仕上げメ
ッキ層11cにて被覆する。これによって、上面部11
A−1はもちろんのこと、斜面部11A−2についても
充分な平滑性を有する高級感のある外観に仕上げること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植設材の製造方法及
び時計に係り、特に、時計の文字板に植設される植え字
を製造する場合に好適な製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、時計の文字板には、時刻を示す
文字、数字、記号、その他の表示が印刷その他の各種の
方法で表されている。特に、高級時計の文字板には、植
え字と称される植設材を取付固定することによって上記
表示が構成される。植え字には、文字や数字などの字を
表すものと、略字(目盛)などのように字そのものでは
ないが、文字板上の表示の一部として構成されるものと
がある。また、植え字の形状としては、表面形状がほぼ
平面のみで構成されるものと、文字自体の曲折を反映し
て表面形状の少なくとも一部に曲面を含むものとがあ
る。植え字を全て平面のみの表面形状で形成することも
可能ではあるが、高級感を出すことはできない。また、
植え字の表面形状には通常斜面部が設けられ、この斜面
部の光反射により高級感をさらに高めるようにしてい
る。
【0003】従来、上記植え字を製造する場合には、最
初に、植え字を文字板に取り付ける際に用いる取付足部
をプレス打ち出しなどの塑性加工によって成形し、次
に、表面形状をダイヤモンドカッタ等でカットして成形
した後に、表面にメッキを施して仕上げるといった方法
が採用されていた。しかし、この方法では上述のように
平面のみで構成される表面形状を有する植え字の場合に
は比較的容易に製造できるが、曲面を含む表面形状を有
する植え字では、手作業に頼らざるを得ないため、製造
コストが高くなり、比較的安価なモデルには採用できな
いという欠点がある。また、製造コストを低減するため
に、外観デザインを犠牲にして、上記のような曲面を含
む表面形状には斜面部を設けない場合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
時計の植え字においては、上述のように、高級感を出す
ためには手間がかかり、製造コストを低減するためには
高級感を犠牲にせざるを得ないといった問題点、すなわ
ち、製造コストの低減と外観の向上とを両立できないと
いう基本的な問題点があった。例えば、曲面を含む表面
形状においては、上記のようにダイヤモンドカッタを用
いることができない曲面状の斜面部に歪みが生じ易く、
また、目立ちやすいことから、高級感を損なう場合があ
る。このような斜面部の歪みを低減するためにバフ研磨
などによって平滑化する方法も考えられるが、植え字そ
のものが微細であるとともに斜面部の境界のダレが生じ
やすいことから、量産工程において実施することはきわ
めて困難である。
【0005】また、上記以外の、例えば外観上の問題点
としては、植え字の表面形状にカットのばらつき等によ
る外観不良が多く、歩留まりが低下し、納期の短縮が困
難であるという問題点がある。
【0006】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、植え字などの植設材の製造工程を
大幅に変更することによって、製造コストの上昇を抑制
しつつ、斜面部の平滑性を向上させるとともに、表面形
状の精度とばらつきを低減し、より高級感のある外観を
表出可能な植設材の製造方法及びこれを用いて製造した
植設材を備えた時計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の植設材の製造方法は、少なくともその第1表
面部が植設材の表面形状に対応するブランク形状部を備
えた植設原材が成形される原材成形工程と、少なくとも
前記第1表面部上に下地メッキ層が形成される下地メッ
キ工程と、前記第1表面部が部分的に除去されるように
前記ブランク形状部が加工されて第2表面部が成形され
る第2表面部成形工程と、前記第1表面部及び前記第2
表面部上に仕上げメッキを施す仕上げメッキ工程と、を
有することを特徴とする。
【0008】この発明によれば、ブランク形状部の第1
表面部上に下地メッキ層を形成することによって第1表
面部の平滑性が向上するとともに、その後の第2表面部
成形工程で第2表面部が形成されてから、第1表面部と
第2表面部とに一括して仕上げメッキを施すようにした
ことにより、第2表面部成形工程による第2表面部が高
精度に加工されてさえいれば、高精度でばらつきの少な
い表面形状を得ることができる。
【0009】本発明において、前記第1表面部が曲面で
あり、前記第2表面部が平面であることが好ましい。
【0010】従来方法では、曲面を含む表面形状を形成
したい場合、曲面の平滑度を高めることができないため
に外観が悪化していたが、本発明では、予め第1表面部
である曲面を成形しておき、この曲面上に下地メッキ層
を形成してから第2表面部である平坦なカット面を形成
し、その後、表面全体を仕上げメッキで覆うといった方
法を採ることにより、下地メッキにより第1表面部であ
る曲面の平滑性を向上させることができ、一方、第2表
面部である平坦なカット面は平坦性が得易いので、高精
度でばらつきの少ない表面形状を容易に形成することが
できる。
【0011】本発明において、前記第1表面部が斜面部
であり、前記第2表面部が上面部であることが好まし
い。
【0012】この発明によれば、原材成形工程において
加工の困難な第1表面部である斜面部が既に成形されて
いることにより、最終段階において加工のより容易な第
2表面部である上面部だけを加工すればよいので、製造
効率を向上させることができるとともに、より高精度で
ばらつきの少ない表面形状を形成できる。
【0013】本発明において、前記下地メッキ工程で
は、前記第1表面部上に厚い第1メッキ層が形成され、
該第1メッキ層上に薄い第2メッキ層が形成されること
が好ましい。
【0014】この発明によれば、メッキの被着性はメッ
キを施す表面の材質、メッキの材質、メッキ方法などに
よって様々であるため、厚い第1メッキ層と、薄い第2
メッキ層の組合せによって下地メッキ層を形成すること
により、第1メッキ層として第1表面部の平滑性を向上
させるのに適した素材(例えばNiメッキ(光沢Ni)
層)を選定し、これを厚く形成することによって平滑性
を高めることが可能になり、第2メッキ層として仕上げ
メッキの被着性を向上させるための素材(例えばAuメ
ッキ層)を選定することが可能になるので、第1表面部
の平滑性を向上させることができるとともに、その上に
形成される仕上げメッキ層の表面状態を良好に形成でき
ることから、外観をさらに向上させることが可能にな
る。なお、第1メッキ層と第2メッキ層の厚さに関して
は、相対的に第1メッキ層が第2メッキ層よりも厚くな
っていればよい。
【0015】本発明において、前記下地メッキ工程の前
に、前記第1表面部を研磨する研磨工程を有することが
好ましい。
【0016】この発明によれば、第1表面部を研磨して
から下地メッキを施すことによって第1表面部の平滑性
をさらに高めることができる。
【0017】本発明において、前記第2表面部成形工程
では、前記ブランク形状部がダイヤモンド製のカッタで
切削加工されることが好ましい。
【0018】この発明によれば、ダイヤモンド製のカッ
タで切削加工されることにより、カッタの形状に対応し
たきわめて高精度で平滑な第2表面部を得ることができ
る。
【0019】また、本発明の時計は、上記のいずれかに
記載の方法で製造した植設材を備えたものである。この
時計としては、植設材を外装ケース上に取り付けたも
の、文字板上に取り付けたもの、時計バンド上に取り付
けたものなどが挙げられる。また、この時計には、置時
計、掛時計、柱時計、腕時計、懐中時計、時計機能を有
するダイビングコンピュータや卓上カレンダーなどが含
まれる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明
に係る植設材の製造方法の実施形態について詳細に説明
する。以下に説明する本実施形態は、腕時計の文字板に
植設される植え字(植えマーク、植えネームなども含
む。)を製造する方法に関するものについて説明する
が、本発明の製造方法は、上記の植え字に限らず、種々
の部材に植設されるべき取付足部を備えた各種の植設材
に適用可能である。
【0021】図1は、本実施形態により製造される植設
材である植え字を備えた文字板の構造の一例を示す平面
図である。文字板10には、いずれも植設材である植え
字(植え数字)11、植え略字12、及び、植えリング
13が取付固定されている。植え字11としては、時刻
を表す数字「1」、「2」及び「6」があり、植え略字
12としては、時刻を表す棒状の目盛となっている。こ
れらの植え字11、植え略字12及び植えリング13は
いずれも背面側に突出した図示しない取付足部を備えて
おり、この取付足部が文字板10の穴部若しくは孔部に
挿入された状態で固定されている。
【0022】図2は、植え字11の構造を示す平面図及
び側面図である。植え字11は、上記の文字板10に取
り付けた場合に視認可能な表面11Aと、取付足部11
Bとを有している。表面11Aには、文字板10の板面
に対してほぼ平行平面で構成される上面部11A−1
と、文字板10の板面に対して傾斜した斜面部11A−
2とが形成されている。また、取付足部11Bは、植え
字11の背面から突出した軸状に構成されている。な
お、植え略字12においても、図1に示すように、その
表面にはほぼ平坦な上面部12A−1と、斜面部12A
−2が設けられている。
【0023】次に、本実施形態の植設材の製造方法の工
程について詳細に説明する。図3乃至図11は、本実施
形態の製造工程を順次説明するための工程説明図であ
り、図12は、本製造方法の工程手順を示す概略フロー
チャートである。
【0024】最初に、黄銅等の金属材料で構成された帯
状材(フープ材)20にプレス加工を施し、図3に示す
ように、帯状材20の表面20aから突出するようにブ
ランク形状部20bを成形する(図12に示すブランク
成形工程)。このブランク形状部20bは、図1及び図
2に示した植設材の表面形状の原形となる形状を備えて
いる。このように、帯状材20の表面20aからブラン
ク形状部20bを突出させることにより、帯状材20の
ままで上記植え字11の表面11Aに対応するブランク
形状部20bを形成することができる。したがって、個
々に分離した状態でブランク形状部20bの成形を行わ
なくてもよいので、製造効率を上げることが可能にな
る。
【0025】また、帯状材20の表面20aには、加工
時位置決め部20cと、プレス時位置決め部20dとが
突起として設けられる。なお、これらの加工時位置決め
部20c、プレス位置決め部20dは、いずれも凹部或
いは貫通孔で構成されていてもよい。
【0026】さらに、この工程においては、帯状材20
における表面20aのうち、上記ブランク形状部20b
の周囲表面を凹凸面若しくは粗面20eに成形する。こ
の凹凸面若しくは粗面20eは図示例のように部分的に
形成されてもよく、或いは、ブランク形状部20bの周
囲全てに形成されていてもよい。図3には、帯状材20
の表面20aに格子状(クロス状)の筋目が形成されて
いる例を示してある。なお、上記と同様の凹凸面若しく
は粗面を、帯状材20の裏面(図示せず)に形成しても
よい。
【0027】次に、上記帯状材20からプレス打ち抜き
加工により、上記ブランク形状部20b及び加工時位置
決め部20cを含む部分(図示点線)を抜き落とすこと
により、ブランク基材21を形成する(図12に示すブ
ランク外形抜き)。このブランク基材21は、基部21
aと、この基部21aの表面から突出した上記ブランク
形状部21bと、ブランク基材21を後の工程で位置決
めするために上記の加工時位置決め部20cが残されて
なる加工時位置決め部21cとを備えている。そして、
このブランク基材21の基部21aの表面には、上記の
凹凸面若しくは粗面20eがそのまま残されてなる凹凸
面若しくは粗面21eが形成されている。
【0028】次に、図4に示すように、上記ブランク基
材21を冶具30に取付固定する。冶具30には、ブラ
ンク基材21のブランク形状部21bを、余裕を持って
収容可能な収容凹部31と、加工時位置決め部21cと
嵌合し、位置決めすることができる位置決め部32(図
示例では穴部若しくは凹部)とが形成されている。収容
凹部31はブランク基材21が取り付けられたときにブ
ランク形状部21bの損傷を防止するために、ブランク
形状部21bと冶具30とが直接接触しないように構成
されている。そして、ブランク基材21は、ブランク形
状部21bが収容凹部31に収容され、加工時位置決め
部21cが位置決め部32に位置決めされた状態で、ニ
ス、ニカワ、ワックス等の固着材33によって冶具30
に貼付固定される(図12に示す足切削用冶具貼付)。
【0029】このとき、上記のようにブランク基材21
の表面に(或いは裏面にも)形成された凹凸面若しくは
粗面によって、ブランク基材21の固着強度を高めるこ
とができるので、より安定した状態で後述する加工を行
うことができる。特に、固着材33が凹凸面若しくは粗
面と強固に固着するので、冶具30の表面上の平面方向
にブランク基材21が位置ずれを起こすことを防止でき
る。
【0030】なお、図4には冶具30に一つのブランク
基材21だけが取り付けられている状態を示すが、実際
には、冶具30に複数の上記収容凹部31や位置決め部
32が形成され、一つの冶具30に複数のブランク基材
21が取り付けられるようにすることが好ましい。
【0031】そして、図5に示すように、上記のように
冶具30に固定されたブランク基材21に対して、切削
加工によって基部21aを除去して、表面22Aと取付
足部22Bを備えた植設原材22を形成する(図12に
示す足切削)。このとき、基部21aの一部を残存させ
ることにより、植設原材22の取付足部22Bを形成す
る。表面22Aは、上記ブランク形状部21bと同じ形
状のままである。
【0032】図6及び図7には、上記切削加工の方法を
示す。図6は加工前のブランク基材21を基部21a側
から見た背面図であり、図7は、切削方法を示す原理図
である。この切削加工では、上記取付足部22Bを避け
るように回転軸から切削刃35をシフトさせた状態で回
転させ、基部21aを切削していくことにより、ブラン
ク形状部の形成された範囲に相当する平面範囲を有する
植設原材22が分離されると同時に取付足部22Bが形
成される。切削刃35は、その回転範囲(図6に一点鎖
線で示す)によって上記ブランク基材21の基部21a
がブランク形状部21bから完全に除去され得る大きさ
に構成される。この切削加工によって植設原材22と加
工時位置決め部21cとは相互に分離される。
【0033】上記のようにして形成された植設原材22
は有機溶剤等で冶具30から剥離され、その後、図12
に示すように、植設原材22に乾式バレル研磨が施さ
れ、切削加工時にバリが生じた場合には、この研磨によ
り除去される。その後、図8に示すように、植設原材2
2の表面22AにNi等の厚付けメッキ処理(光沢Ni
メッキ)が施されて、好ましくは厚さ2〜3μmの第1
メッキ層22aが形成される。この第1メッキ層22a
は、上面部22A−1と斜面部22A−2とを含む表面
22Aのうち、特に斜面部22A−2上に形成される、
最終的に得られる植設材の斜面部の歪みを低減し、その
平滑性を向上させるためのものである。本実施形態にお
いては、植設原材22の素材が黄銅であることによっ
て、メッキの被着性が良好である。
【0034】また、上記第1メッキ層22aの更にその
上にはAu等の薄付けメッキ処理が施され、好ましくは
0.2μm程度の第2メッキ層22bが形成される。こ
の第2メッキ層は、後述する仕上げメッキの被着性を高
める目的で形成される。これらの第1メッキ層22a及
び第2メッキ層22bは下地メッキ層を構成する(図1
2に示す下地メッキ)。
【0035】その後、図9に示すように、上記の植設原
材22を冶具36に取付固定する(図12に示す上面カ
ット用冶具貼付)。この冶具36には、植設原材22の
取付足部22Bに嵌合し、位置決め可能な位置決め部3
6a(図示例では穴部若しくは凹部)が形成されてお
り、この位置決め部36aによって位置決めされた植設
原材22は、ニス、ニカワ、ワックス等の固着材37で
固定される。そして、ダイヤモンド製の刃を有するダイ
ヤモンドカッタ38によって図8に一点鎖線Cで示すよ
うに植設原材22の上部を薄く削り取る(図12に示す
上面カット)。
【0036】図10は、上記の上面カット工程によって
加工された植設原材22’を示す。この植設原材22’
においては、表面22’のうち上部の上面部22A−
1’がダイヤモンドカッタ38によって高精度な平坦面
(鏡面)に加工されており、斜面部22A−2’はカッ
ト部分だけ上部がなくなっている。なお、取付足部22
Bに変わりはない。その後、植設原材22’は冶具36
から有機溶剤等により剥離される。なお、必要に応じ
て、粗カットと仕上げカットなど、複数回カット加工を
繰り返すことにより、仕上げ精度及び面精度を向上させ
ることができる。
【0037】なお、本実施形態では、上面カットにより
上面部が平坦になるように加工しているが、刃形状を変
えたり、複数回のカット加工を行ったりすることによ
り、上面形状を凹凸形状にしたり、スジ目を入れたりと
いった適宜の面形状に加工することもできる。
【0038】最後に、図11及び図12に示すように、
上記の植設原材22’の表面22A’全体に仕上げメッ
キを施し、仕上げメッキ層11cを形成して、植設材1
1を完成させる。この仕上げメッキ層11cは、例え
ば、外観を銀色にしたい場合にはNi−Rr合金で構成
し、外観を金色にしたい場合にはNi−Au合金で構成
する。仕上げメッキ層11cの厚さは0.1〜0.2μ
m程度が平坦性を損なわずに充分に被覆できる点で好ま
しい。これにより、図1に示す植え字11が完成する。
【0039】ここで、本実施形態では植設原材22’の
素材として黄銅を用いることにより、この仕上げメッキ
層11cのうち特に上面部22A−1’上に形成される
部分のメッキ不良(霜降りと呼ばれ白濁して見える状態
など)を防止することができた。また、上記の下地メッ
キである第2メッキ層11bの存在により斜面部22A
−2上に形成される部分におけるメッキ不良もほとんど
生じない。
【0040】なお、図11に示す植設材11において
は、植設原材22の第1メッキ層22aを第1斜面メッ
キ層11aとして示し、植設原材22の第2メッキ層2
2bを第2斜面メッキ層11bとして示してある。
【0041】本実施形態によれば、最初に基部上に突出
するブランク形状部を成形してブランク基材を形成し、
その後に、基部を除去することにより取付足部を形成す
るようにしているので、ブランク形状部を高精度かつ容
易に成形することが可能になる。特に斜面部となる部分
を予め成形することによって、斜面部を高精度に成形で
きるとともに、後の加工が容易になる。
【0042】特に、ブランク成形工程において、基部上
に突出するブランク形状部を有するブランク基部を形成
することにより、基部形状の如何に拘わらずブランク形
状部を最初に成形できるようになった。すなわち、帯状
材などの素材から最初に取付足部を打ち出す代りに、素
材からブランク形状部を突出成形させることによって、
基部とは別にブランク形状部を設けることができる。し
たがって、素材を個々に分離しなくても加工が可能にな
り、高精度且つ容易にブランク形状部を成形することが
できるようになった。また、その後、基部を部分的に除
去することによって取付足部を形成することも可能にな
った。
【0043】また、ブランク形状部を塑性加工によって
成形することにより、複雑なブランク形状部であっても
容易且つ高精度に成形することができる。例えば、植え
字11のように表面11Aに曲面が含まれた形状を有す
る植設材の場合には、曲面状の斜面部を容易に成形でき
る。
【0044】さらに、取付足部を切削加工によって形成
することにより、取付足部が突出する背面部を容易且つ
高精度に平坦化できるので、植設材を文字板等に取り付
けたときに取付姿勢の不良(取付姿勢の傾斜)が生ずる
ことを防止でき、取付精度を高めることができた。
【0045】本実施形態では、バレル研磨によって上記
切削加工によって形成された取付足部及びその周辺のバ
リ等を除去しているが、このとき同時に斜面部分につい
ても平滑化され、型肌が除去される。さらに、その上に
厚付けメッキによって斜面部を覆うことにより、植設材
の斜面部の歪みをさらに低減することが可能になった。
【0046】本実施形態においては、植設原材には斜面
部に相当する傾斜面が既に形成されているために、上記
のように処理された植設原材の上部をカットするだけ
で、上面部と斜面部との境界を鋭利に形成することが可
能になる。したがって、それ以前の研磨作業等によるダ
レが外観に影響することはない。また、上記のように斜
面部を最初に成形した面で構成し、厚付けメッキ等で平
滑化しているので、この時点において改めて斜面部の加
工を行う必要がなくなるため、作業性が向上する。
【0047】上記のようにして製造された植設材は図1
に示すように文字板10に取り付けられ、この文字板1
0は、図13に示す時計(腕時計)100に組み込まれ
る。この時計100は、時計本体110と、時計バンド
120とを有する。時計本体110には、時計ケース1
11、リュウズ112、表示窓113、指針114など
が含まれる。また、必要に応じて図示しない裏蓋が時計
ケース111の背面側に設けられる。
【0048】この時計100においては、植え字11な
どの植設材の斜面部が通常の使用態様において目立つこ
とから、外観上きわめて重要な要素になり、時計100
の高級感の程度を決定する大きなポイントになる。した
がって、本発明の植設材を用いることによって高品位の
植設材を効率的に製造することが可能になるので、きわ
めて品位の高い時計を安定的に市場に供給していくこと
が可能になる。
【0049】尚、本発明の植設材の製造方法は、上述の
図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を
逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿
論である。例えば、植え字11の加工について説明した
が、同様の加工を植え字以外の植え略字や植えマークな
どの種々の植設材に適用することができる。また、植設
材の取付対象としては上記時計の文字板に限定されるも
のではなく、本発明は、他の種々の装飾品、携帯品、身
飾品等に取り付けられるものに適用することができる。
【0050】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
製造コストの上昇を抑制しつつ、曲面や斜面部など表面
部分の平滑性を向上させることができるとともに、植設
材を高精度且つ容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る植設材の製造方法の実施形態に
よって製造された植設材を取り付けた時計用文字板を示
す平面図である。
【図2】 図1に示す植設材の構造を示す平面図及び側
面図である。
【図3】 製造プロセスのうちブランク基材の成形工程
を示す工程説明図である。
【図4】 製造プロセスのうち取付足部の成形工程の状
態を示す工程説明図である。
【図5】 図4の取付足部の成形工程によって加工され
た後の状態を示す工程説明図である。
【図6】 ブランク基材に対する取付足部の成形工程の
内容を説明するための工程説明図である。
【図7】 ブランク基材に対する取付足部の成形工程の
加工方法を説明するための工程説明図である。
【図8】 植設原材の構造を示す縦断面図である。
【図9】 植設原材に対する上面カット加工の状態を示
す工程説明図である。
【図10】 上面カット加工の施された植設原材の構造
を示す縦断面図である。
【図11】 最終的に形成された植設材の断面構造を示
す縦断面図である。
【図12】 植設材の製造プロセスの手順を示す概略フ
ローチャートである。
【図13】 上記植設材を取り付けた文字板を有する時
計の正面図である。
【符号の説明】
10・・・文字板、11・・・植え字、11A・・・表
面、11A−1・・・上面部、11A−2・・・斜面
部、12・・・植え略字、13・・・植えリング、20
・・・帯状材、20a・・・表面、20b・・・ブラン
ク形状部、20c・・・加工時位置決め部、20d・・
・プレス時位置決め部、21・・・ブランク基材、21
a・・・基部、21b・・・ブランク形状部、21c・
・・加工時位置決め部、22・・・植設原材、22A・
・・表面、22A−1・・・上面部、22A−2・・・
斜面部、22B・・・取付足部、30,36・・・冶
具、35・・・切削刃、38・・・ダイヤモンドカッタ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともその第1表面部が植設材の表
    面形状に対応するブランク形状部を備えた植設原材が成
    形される原材成形工程と、 少なくとも前記第1表面部上に下地メッキ層が形成され
    る下地メッキ工程と、前記第1表面部が部分的に除去さ
    れるように前記ブランク形状部が加工されて第2表面部
    が成形される第2表面部成形工程と、 前記第1表面部及び前記第2表面部上に仕上げメッキを
    施す仕上げメッキ工程と、を有することを特徴とする植
    設材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1表面部が曲面であり、前記第2
    表面部が平面であることを特徴とする請求項1に記載の
    植設材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1表面部が斜面部であり、前記第
    2表面部が上面部であることを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載の植設材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記下地メッキ工程では、前記第1表面
    部上に厚い第1メッキ層が形成され、該第1メッキ層上
    に薄い第2メッキ層が形成されることを特徴とする請求
    項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の植設材の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記下地メッキ工程の前に、前記第1表
    面部を研磨する研磨工程を有することを特徴とする請求
    項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の植設材の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記第2表面部成形工程では、前記ブラ
    ンク形状部がダイヤモンドカッタで切削加工されること
    を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記
    載の植設材の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に
    記載の方法で製造した植設材を備えた時計。
JP2002043970A 2002-02-20 2002-02-20 植設材の製造方法及び時計 Expired - Fee Related JP3835305B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002043970A JP3835305B2 (ja) 2002-02-20 2002-02-20 植設材の製造方法及び時計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002043970A JP3835305B2 (ja) 2002-02-20 2002-02-20 植設材の製造方法及び時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003247096A true JP2003247096A (ja) 2003-09-05
JP3835305B2 JP3835305B2 (ja) 2006-10-18

Family

ID=28659055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002043970A Expired - Fee Related JP3835305B2 (ja) 2002-02-20 2002-02-20 植設材の製造方法及び時計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3835305B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006291275A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Kayoh Technical Industry Co Ltd 装飾板の製造方法
CN100543615C (zh) * 2004-01-26 2009-09-23 尼瓦洛克斯-法尔股份有限公司 用于制造小时标记的方法以及用于实施该方法的设备

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100543615C (zh) * 2004-01-26 2009-09-23 尼瓦洛克斯-法尔股份有限公司 用于制造小时标记的方法以及用于实施该方法的设备
JP2006291275A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Kayoh Technical Industry Co Ltd 装飾板の製造方法
JP4699793B2 (ja) * 2005-04-08 2011-06-15 華陽技研工業株式会社 装飾板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3835305B2 (ja) 2006-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3584908B2 (ja) 装飾板、および、その製造方法、ならびに、この装飾板を利用する装飾品および時計
JP5379311B2 (ja) インビジブル・セッティングによる装飾用部品
JP2019158869A (ja) 計時器のためのダイヤモンド研磨された装飾
JP2007232724A (ja) 支持要素に石を嵌め込む方法
JP2003247096A (ja) 植設材の製造方法及び時計
JP3966009B2 (ja) 植設材の製造方法及び時計
JP6872574B2 (ja) 時計製作技術に適したダイヤモンド研磨されたアップリケを製作するための方法
US4371429A (en) Timepiece hand manufacturing method
JP7052830B2 (ja) 時計用文字板の製造方法、時計用文字板、時計
JPH0792276A (ja) 時計用文字板の製造方法
US20230418234A1 (en) Decorating Method Of Dial, Dial, And Timepiece
JPH07104075A (ja) 腕時計用多針文字板の製造方法
RU2743709C1 (ru) Композиционный компонент для часов или ювелирных изделий, имеющий керамическую структуру и вставки
JP2005214903A (ja) 指標付き文字板の製造方法及びその製造方法を用いて製造した指標付き文字板。
JP2001180392A (ja) オーナメント
JP3150803B2 (ja) 時計文字板用足無し時字及びその製造方法並びにそれを使用した時計用文字板
JP2006266954A (ja) 植字及びその製造方法と、その植字を用いた表示板及び時計
JPH08285957A (ja) 時計用文字板
CN108957783A (zh) 一种镜框的制作方法及一种眼镜
JP3290284B2 (ja) 時計用文字板及びその製造方法
GB2031621A (en) Watch hand
JP2573683Y2 (ja) 時計用文字板及び時計
JPH0675061A (ja) 腕時計用文字板の製造方法
JP2006266937A (ja) 加飾構造体、時計用パーツ及び加飾構造体の製造方法
JPH0743476A (ja) 時計用文字板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060629

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20060717

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090804

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100804

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110804

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120804

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130804

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees