JP2003246991A - 流動性向上剤および燃料油組成物 - Google Patents

流動性向上剤および燃料油組成物

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秀男 中西
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稔 西田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸留沸点範囲の広い燃料油のみならず、蒸留
沸点範囲の狭い燃料油に対しても従来のものに比べ少量
の添加で低温流動性を大幅に向上でき、かつ基油への溶
解性が良好で通油性に問題のない流動性向上剤および燃
料油組成物を提供する。 【解決手段】 エチレン(a)および下記一般式(1)
〜(3)のいずれかで表される化合物からなる群から選
ばれる1種以上の単量体(b)から誘導される単位を必
須構成単位とする共重合体(A)からなることを特徴と
する流動性向上剤およびそれを含む燃料油組成物であ
る。 R1−COO−R2 (1) R2−COO−R1 (2) R3−(COOR12 (3) 式中、R1は炭素数5〜23の不飽和脂肪族炭化水素
基、R2は炭素数1〜4のアルケニル基、R3は炭素数1
〜4のアルケニレン基である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワックス含有基油
とりわけ燃料油の流動性および通油性を改良する流動性
向上剤に関する。
【0002】
【従来の技術】石油中間留出油(ディーゼル燃料油、A
重油等)は冬期あるいは寒冷地において低温にさらされ
ると、その中に含まれるパラフィンワックスやワックス
状物質が析出し、燃料の配管系にあるフィルターを目詰
まりさせたり、配管系内で固化する等の問題が発生して
いる。
【0003】これらの低温での流動性に関する問題を解
決するため、従来、エチレン−不飽和カルボン酸ビニル
エステル共重合体を燃料油に添加する方法が数多く提案
されている。例えば、特公昭39−20069号公報、
特公昭48−23165号公報、特開昭59−1363
91号公報などに記載されている。また、アルカントリ
オールのポリオキシアルキレンエーテルと直鎖飽和脂肪
酸との完全エステルおよびそれらエステルとエチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共
重合体、長鎖アルキル基を含む(メタ)アクリル酸共重
合体等とを併用して添加する方法[特公平2−5147
7号公報]、ポリオキシアルキレングリコールの脂肪酸
エステルおよびこれらのエステルとエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体とを併用して添加する方法[特開昭57−1
77092号公報]、3価以上の多価アルコールまたは
その部分エステルのアルキレンオキサイド付加物と脂肪
酸との不完全エステルを添加する方法[特開昭61−1
81892号公報]が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記に開示さ
れているものの低温流動性向上効果はいまだ不十分であ
るため、基油中に多量の添加が必要である。その結果、
ワックス析出温度(CP)以上であってもフィルターで
目詰まりを起こすという問題点がある。さらに近年、中
間留出油に対する需要が増大しており、この需要に対応
した結果、ディーゼル燃料油およびA重油の蒸留性状は
蒸留沸点範囲の狭い、すなわちナローカットな中間留出
油になっている。また、軽油中の硫黄含量を低減するた
め水素化脱硫が行われることが多く、さらにナローな蒸
留性状になる傾向にある。これらの中間留出油ではより
多くの流動性向上剤の添加が必要であり、その問題はよ
り大きくなっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果,蒸留沸点範囲の広い燃料油のみならず、蒸留沸
点範囲の狭い燃料油に対しても従来のものに比べ少量の
添加で低温流動性を大幅に向上でき、かつ基油への溶解
性が良好で通油性に問題のない流動性向上剤を見いだし
本発明に至った。すなわち本発明は、エチレン(a)お
よび下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化
合物からなる群から選ばれる1種以上の単量体(b)か
ら誘導される単位を必須構成単位とする共重合体(A)
からなることを特徴とする流動性向上剤、該流動性向上
剤を含む燃料油添加剤組成物および燃料油組成物であ
る。 R1−COO−R2 (1) R2−COO−R1 (2) R3−(COOR12 (3) 式中、R1は炭素数5〜23の不飽和脂肪族炭化水素
基、R2は炭素数1〜4のアルケニル基、R3は炭素数1
〜4のアルケニレン基である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、一般式(1)〜
(3)におけるR1は炭素数5〜23の不飽和脂肪族炭
化水素基であり、アルケニル基、アルカジエニル基、ア
ルカトリエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルケ
ニルアルキル基、アルキルシクロアルケニル基、シクロ
アルカジエニル基、シクロアルカジエニルアルキル基お
よびアルキルシクロアルカジエニル基などが含まれる。
【0007】アルケニル基としては、例えば、直鎖アル
ケニル基(n−ペンテニル基、n−へキセニル基、n−
オクテニル基、n−ウンデセニル基、8−ヘプタデセニ
ル基、n−ヘニコセニル基など)および分岐アルケニル
基(2−メチルペンテニル基、テトラメチルオクテニル
基など);アルカジエニル基としては、例えば、直鎖ア
ルカジエニル基(1,4−ペンタジエニル基、1,5−
ヘキサジエニル基、ウンデカジエニル基、8,11−ヘ
プタデカジエニル基など)および分岐アルカジエニル基
(2−メチル1,5−ペンタジエニル基など);アルカ
トリエニル基としては、例えば、直鎖アルカトリエニル
基(1,3,5−オクタトリエニル基、8,11,14
−ヘプタトリエニル基など);シクロアルケニル基とし
ては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル
基、シクロオクテニル基、ノルボルネニル基など;シク
ロアルケニルアルキル基としては、例えば、シクロペン
テニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、シクロヘ
キセニルブチル基など;アルキルシクロアルケニル基と
しては、例えば、2−メチルシクロペンテニル基、3−
ノニルシクロヘキセニル基など;シクロアルカジエニル
基としては、例えば、シクロペンタジエニル基、シクロ
ヘキサジエニル基、ジシクロペンタジエニル基、テトラ
ヒドロインデニル基など;シクロアルカジエニルアルキ
ル基としては、例えば、シクロペンタジエニルエチル
基、シクロヘキサジエニルメチル基など;アルキルシク
ロアルカジエニル基としては、例えば、3メチルシクロ
ペンタジエニル基、4−メチルシクロヘキサジエニル基
など;が挙げられる。R1のうち、好ましいのはアルケ
ニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基および
シクロアルケニル基であり、さらに好ましいのは、アル
ケニル基、アルカジエニル基およびアルカトリエニル基
である。また、R1の炭素数は好ましくは10〜24、
さらに12〜20、特に18が好ましく、直鎖が好まし
い。
【0008】R2は炭素数2〜4のアルケニル基であ
り、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、プロペ
ニル基およびイソプロペニル基などが含まれる。R2
うち好ましいのはビニル基およびアリル基、特にビニル
基である。
【0009】R3は炭素数2〜4のアルケニレン基であ
り、例えば、ビニレン基、1,3−プロペニレン基、
1、2−プロペニレン基およびイソプロペニレン基など
があげられ、好ましいものはビニレン基およびイソプロ
ペニレン基、特にビニレン基である。
【0010】一般式(1)で表される単量体(b1)の
うち、R2がビニル基のものの具体例としては、炭素数
6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸(炭素数はカルボニ
ル炭素も含む:以下同様)のビニルエステル(b11)
[例えば、デセン酸ビニル、ドデセン酸ビニル、テトラ
デセン酸ビニル、ヘキサデセン酸ビニル、オレイン酸ビ
ニルおよびエイコセン酸ビニルなどR1がアルケニル基
のもの;ドデカジエン酸ビニルおよびリノール酸ビニル
などR1がアルカジエニル基のもの、リノレン酸ビニル
などR1がアルカトリエニル基のものなど]、並びにR2
がその他のアルケニル基のものの具体例としては、炭素
数6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸のアルケニルエス
テル(b12)[例えば、オレイン酸アリル、オレイン酸
プロペニルおよびオレイン酸イソプロペニルなどR1
アルケニル基のもの;リノール酸アリル、リノール酸プ
ロペニルおよびリノール酸イソプロペニルなどR1がア
ルカジエニル基のもの;リノレン酸アリル、リノレン酸
プロペニルおよびリノレン酸イソプロペニルなどR1
アルカトリエニル基のもの]などが挙げられ、これら単
独でもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】一般式(2)で表される単量体(b2)の
うち、R2がビニル基のもの(b21)の具体例としては、ア
クリル酸の不飽和脂肪族炭化水素基エステル[例えば、
アクリル酸ヘキセニル、アクリル酸オクテニル、アクリ
ル酸デセニル、アクリル酸ドデセニルおよびアクリル酸
オレイルなどR1がアルケニル基のもの;アクリル酸リ
ノレイルなどR1がアルカジエニル基もしくはアルカト
リエニル基のもの];R2がイソプロペニル基のもの(b2
2)の具体例としては、メタクリル酸の不飽和脂肪族炭化
水素エステル[例えば、メタクリル酸ヘキセニル、メタ
クリル酸オクテニル、メタクリル酸デセニル、メタクリ
ル酸ドデセニルおよびメタクリル酸オレイルなどR1
アルケニル基のもの;メタクリル酸リノレイルなどR1
がアルカジエニル基もしくはアルカトリエニル基のも
の];R2がその他のアルケニル基のもの(b23)の具体例
としては、クロトン酸アルケニルエステル[例えば、ク
ロトン酸デセニル、クロトン酸ドデセニルおよびクロト
ン酸オレイルなどR1がアルケニル基のものなど];が
挙げられる。
【0012】一般式(3)で表される単量体(b3)の
うち、R3がビニレン基のもの(b31)の具体例としては、
マレイン酸もしくはフマル酸の不飽和脂肪族炭化水素基
ジエステル[例えば、マレイン酸ジヘキセニル、マレイ
ン酸酸ジオクテニル、マレイン酸ジデセニル、フマル酸
ドデセニルおよびマレイン酸オレイルなどR1がアルケ
ニル基のもの;マレイン酸ジリノレイルなどR1がアル
カジエニル基もしくはアルカトリエニル基のもの];R
3がイソプロペニレン基のもの(b32)の具体例としては、
例えば、イタコン酸ジヘキセニル、イタコン酸ジオクテ
ニル、イタコン酸ジデセニル、イタコン酸ドデセニルお
よびイタコン酸ジオレイルなどR1がアルケニル基のも
の;イタコン酸ジリノレイルなどR1がアルカジエニル
基もしくはアルカトリエニル基のもの];が挙げられ
る。
【0013】これら(b)のうち好のましいものは(b
1)であり、さらに好ましいものは(b11)、特に好まし
いものは炭素数18の不飽和脂肪族カルボン酸のビニル
エステルであり、とりわけオレイン酸ビニル、リノール
酸ビニル、リノレン酸ビニルおよびその混合物が好まし
い。
【0014】本発明における(A)は、(a)および
(b)から誘導される単位の他に必要により1種以上の
他の単量体(c)から誘導される単位を構成単位として
含んでいてもよい。(c)としては以下の、飽和脂肪族
カルボン酸または芳香族カルボン酸のアルケニルエステ
ル(c1)、飽和脂肪族アルコールまたは芳香族アルコー
ルなどの不飽和カルボン酸エステル(c2)並びにその他
の単量体(c3)が挙げられる。
【0015】(c1)としては、(c11)飽和脂肪族カルボ
ン酸(好ましくは炭素数1〜30の直鎖または分岐アル
キル基を有するカルボン酸)のアルケニル(ビニル、ア
リル、イソプロペニルなど)エステル[酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2
-エチルヘキサン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、デカ
ン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、酢酸アリル、プロピオ
ン酸アリル、酪酸アリル、ヘキサン酸アリル、2-エチ
ルヘキサン酸アリル、ネオデカン酸アリル、デカン酸ア
リル、ドデカン酸アリル、酢酸イソプロペニル、プロピ
オン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、ヘキサン
酸イソプロペニル、2-エチルヘキサン酸イソプロペニ
ル、ネオデカン酸イソプロペニル、デカン酸イソプロペ
ニル、ドデカン酸イソプロペニルなど];(c12)シク
ロアルキルカルボン酸のアルケニル(ビニル、アリル、
イソプロペニルなど)エステル[シクロヘキサン酸ビニ
ル、シクロオクタン酸ビニル、デカヒドロナフチル酸ビ
ニル、ビシクロペンチル酸プロペニルなど];(c13)
芳香族カルボン酸のアルケニル(ビニル、アリル、イソ
プロペニルなど)エステル[安息香酸ビニル、安息香酸
アリルなど]などが挙げられる。
【0016】(c2)としては、(c21)アルキルアルコ
ール(好ましくは炭素数1〜30の直鎖または分岐アル
キルアルコール)の不飽和カルボン酸[(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
など]エステル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)
アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデ
シル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アク
リル酸ベヘニル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モ
ノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ2-
エチルヘキシル、マレイン酸モノドデシル、マレイン酸
ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、
マレイン酸ビス2-エチルヘキシル、マレイン酸ジドデ
シル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、フマ
ル酸モノ2-エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、フマ
ル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ビス2-エ
チルヘキシル、フマル酸ジドデシルイタコン酸モノメチ
ル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イ
タコン酸モノ2-エチルヘキシル、イタコン酸モノドデ
シル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタ
コン酸ジブチル、イタコン酸ビス2-エチルヘキシル、
イタコン酸ジドデシルなど];(c22)脂環アルコール
の不飽和カルボン酸エステル[(メタ)アクリル酸シク
ロヘキシルおよび(メタ)アクリル酸デカヒドロナフチ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエチルなど];
(c23)芳香族アルコールの不飽和カルボン酸エステル
[(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベ
ンジル、マレイン酸モノベンジル、マレイン酸ジフェニ
ル、フマル酸ジベンジル、フマル酸モノベンジル、フマ
ル酸ジフェニル、フマル酸ジベンジル、イタコン酸モノ
ベンジル、イタコン酸ジフェニル、イタコン酸ジベンジ
ルなど];(c24)多価アルコール類の不飽和カルボン
酸エステル[エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよび(ポ
リ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ジ(メタ)
アクリレートなど]などが挙げられる。
【0017】その他の単量体(c3)としては、炭素数3〜
50の直鎖または分岐の1-オレフィン[プロピレン、1
-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチルペンテン-
1、1-オクテン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-
オクタデセンおよびその他のα−オレフィンなど];脂
環式炭化水素系ビニル単量体[シクロヘキセン、(ジ)
シクロペンタジエン、ノルボルネン、ピネン、インデ
ン、ビニルシクロヘキセンなど];炭素数2〜4のアル
ケニル基を有するアルキルアルケニルエーテル[炭素数
1〜12の直鎖又は分岐アルキル基を有するアルキルア
ルケニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニ
ルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエ
ーテル、ドデシルビニルエーテル、メチルアリルエーテ
ル、エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、オ
クチルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテルな
ど)、アリールビニルエーテル(フェニルビニルエーテ
ルなど)];芳香族炭化水素系ビニル単量体[スチレ
ン、ビニルトルエンなど];炭素数4〜12のアルカジ
エン[ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,
7-オクタジエンなど];ビニルケトン類[メチルビニル
ケトン、ブチルビニルケトン、フェニルビニルケトンな
ど];ハロゲン原子含有ビニル単量体[塩化ビニル、塩
化ビニリデン、臭化ビニルなど];アミド基もしくはイ
ミド基含有ビニル単量体{非置換もしくはアルキル(炭
素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[(メタ)ア
クリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-i-
プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなど]、N-ビニルカルボン酸アミド
[N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビ
ニルピロリドンなど]、および非置換もしくは置換マレ
イミド[マレイミド、フェニルマレイミド、エチルマレ
イミド、ドデシルマレイミドなど]など};ヒドロキシ
ル基含有ビニル単量体{ヒドロキシル基含有芳香族ビニ
ル単量体[p-ヒドロキシスチレンなど]、ヒドロキシア
ルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[2-ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレートなど]、および炭素
数2〜12のアルケノール[ビニルアルコール(カルボ
ン酸ビニル単位の加水分解により形成される)、(メ
タ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコー
ル、1-オクテノールなど]など};1〜3級アミノ基含
有単量体{炭素数2〜6のアルケニルアミン[ビニルア
ミン、アリルアミン、クロチルアミンなど]、アミノア
ルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[アミノ
エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート
など]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アク
リルアミド[アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジ
メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど]、
アミノ基含有芳香族ビニル単量体[N,N-ジメチルアミノ
スチレンなど]、含窒素複素環含有ビニル単量体[ビニ
ルピリジン、ビニルカルバゾールなど]など};ニトリ
ル基またはニトロ基含有ビニル単量体[(メタ)アクロ
ロニトリル、シアノスチレン、ニトロスチレンなど];
エポキシ基含有ビニル単量体[グリシジル(メタ)アク
リレート、グリシジル(メタ)アリルエーテルなど];
カルボキシル基含有ビニルモノマー[(メタ)アクリル
酸、クロトン酸、桂皮酸、(無水)マレイン酸、(無
水)フマル酸および(無水)イタコン酸、シトラコン酸
およびアコニット酸など];ポリオキシアルキレン鎖を
有するビニルモノマー[(メタ)アクリル酸ポリオキシ
エチレン(重合度=2〜100)グリコールモノエステ
ル、(メタ)アクリル酸ポリオキシプロピレン(重合度
=2〜100)グリコールモノエステル、(メタ)アク
リル酸メトキシポリオキシエチレン(重合度=2〜10
0)グリコールエステル、(メタ)アクリル酸ラウロキ
シポリオキシエチレン(重合度=2〜100)グリコー
ルエステルなど];イソシアネート基含有ビニルモノマ
ー[イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、m−イ
ソプロペニル−α,α−ジメチルメチルベンジルイソシ
アネートなど]などが挙げられる。
【0018】これら(c)のうち好ましいものは(c
1)、(c2)およびこれらと少量の(c3)の併用であ
り、さらに好ましいものは(c11)およびこれらと少量
の他の単量体の併用であり、特に好ましいものは炭素数
2〜4の飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルおよび
これらと少量の他の単量体の併用であり、とりわけ好ま
しいものは酢酸ビニルである。
【0019】本発明において重合体(A)は、それを
構成する単量体(a)、(b)および(c)そのものを
共重合してもよいが、(A)に誘導可能な他の単量体
を共重合した後、それをさらに反応せしめて目的の
(A)を得ることもできる。の方法のほうが、容易に
目的の(A)が得られる点で好ましい。の方法として
は、エチレン(a)および炭素数2〜4の直鎖または分
岐の飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステル(d)[酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど]から
誘導される単位を必須構成単位とする共重合体(A0
に、炭素数6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸またはそ
のエステル形成性誘導体[酸無水物、酸ハライド、低級
アルコール(炭素数1〜4)エステル]を用いてエステ
ル交換反応させる方法などが挙げられる。
【0020】(A)における構成単位のうち、エチレン
基(a)の割合は、好ましくは60〜98モル%、さら
に好ましくは70〜95モル%、とくに好ましくは80
〜92モル%であり、重量%としては好ましくは30〜
80重量%、さらに好ましくは40〜65、とくに好ま
しくは45〜60重量%である。エチレン基の割合が6
0モル%以上(または30重量%以上)であれば、流動
性向上効果に優れる点で好ましく、98モル%以下(ま
たは80重量%以下)であれば通油性に優れる点で好ま
しい。(b)の割合は、好ましくは1〜40モル%、さ
らに好ましくは2〜30モル%、とくに好ましくは5〜
15モル%であり、重量%としては好ましくは5〜70
重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、とくに好
ましくは20〜50重量%である。(b)の割合を1〜
40モル%(または5〜70重量%)であれば、流動性
向上効果に優れる点で好ましい。また、必要により併用
される(c)の割合は、好ましくは全構成単位のうちの
30モル%以下であり、さらに好ましくは20モル%以
下、特に好ましくは3〜15モル%である。
【0021】(A)の溶解度パラメーター(SP値)
は、低温流動性および溶解性の観点から、好ましくは
8.4〜9.7、さらに好ましくは8.6〜9.5、特
に好ましくは8.9〜9.3である。8.4以上にする
ことで流動性向上効果に優れる点で好ましく、9.7以
下にすることで基油に対する溶解性が向上する点で好ま
しい。なお、本発明のSP値は、Fedors法[Po
ym.Eng.Sci.14(2)152,(197
4)]によって算出される値である。
【0022】(A)の重量平均分子量は好ましくは1,
000〜100,000、さらに好ましくは3,000
〜50,000である。重量平均分子量は標準物質にポ
リスチレンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)により、ポリスチレン換算分子量とし
て測定することが出来る。
【0023】(A)の分岐度は、好ましくは4%以下、
さらに好ましくは3.5%以下、特に好ましくは3.0
%以下である。なお、分岐度とは(a)、(b)および
(c)のビニル基由来のメチレン基、メチン基の総和に
対する枝分かれによって生じたメチル基の比率であり、
エチレンおよびビニル基由来のメチレン基とメチン基の
総和100個に対する分岐由来のメチル基の個数であ
る。分岐度は1H-NMRによって求めることができる。
たとえばエチレンとオレイン酸ビニルの共重合体の場合
は、0.8〜0.9ppmのピーク強度[1](分岐メ
チル基およびオレイン酸のメチル基由来)と、1.0〜
1.9ppmのピーク強度[2](エチレンおよびオレ
イン酸ビニルのビニルメチレン由来)と、2.0〜2.
3ppm付近のピーク強度[3](オレイン酸基のカル
ボニル基の隣の炭素に結合しているメチレン基由来)と
4.7〜5.0ppmのピーク強度[4](オレイン酸
ビニルのビニルメチン由来)から下式のように[1]お
よび[2]と重なっているオレイン酸基の吸収を減じて
算出する。 分岐度(%)=([1]/3−[4])÷([2]/2−
[4]×12+[1]/3)×100 オレイン酸ビニル以外のアルケニルエステルまたはα-
オレフィンなど1H-NMRでは分岐と単量体側鎖との区
別が困難な単量体から誘導される単位を構成単位として
含有する場合は、重合時の仕込量から各単量体の共重合
比を算出し、そのモル比から[1]および[2]と重な
っている単量体側鎖の吸収を減じて算出する。
【0024】本発明の共重合体(A)の具体例として
は、例えばエチレン/オレイン酸ビニル共重合体、エチ
レン/オレイン酸ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン/オレイン酸ビニル/4−メチルペンテン−1共重合
体、エチレン/リノール酸ビニル共重合体、エチレン/
リノール酸ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/リ
ノレン酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0025】(A)の製造方法は、公知の重合方法が使
用でき、単量体を重合して直接製造する方法(P1)以
外に、既に製造された共重合体(A0)をさらに有機化
学反応させる方法(P2)も含まれる。
【0026】(P1)単量体を重合して直接製造する方
法:(a)、(b)、および必要により(c)を溶剤中
もしくは無溶剤下で重合触媒を使用してラジカル重合す
る方法である。重合温度は通常30〜150℃であり、
加圧下での反応が好ましい。溶剤としては、例えば、芳
香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン、ベンゼンな
ど)、脂肪族炭化水素系溶剤(例えば、n−へキサン、
n−オクタンなど)、ケトン系溶剤(例えば、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル
系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)などが
挙げられる。重合触媒としては、アゾ系(例えば、アゾ
ビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルな
ど)や過酸化物系(例えば、ベンゾイルパーオキシド、
クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなど)を用
い、必要により、連鎖移動剤(例えば、アルキルメルカ
プタン、アルコール類、アルデヒド類など)を用いても
よい。重合反応後は必要により溶剤を留去してもよい。
【0027】(P2)既に製造された共重合体をさらに
有機化学反応させる方法:上記(P1)と同様にして、
(a)、(d)と必要により(c)を共重合し、重合体
(A0)を得る。次いで(A0)を、アルカリもしくは酸
触媒(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウム
メチラート、カリウム-t-ブトキシド、塩酸、硫酸、p-
トルエンスルホン酸など)の存在下、水もしくは低級ア
ルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール)により加水分解する。さらにこれの加
水分解物に、炭素数6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸
またはその誘導体(酸無水物、酸ハライド、低級アルコ
ール(炭素数1〜4)エステル)を加えて、エステル化
もしくはエステル交換反応させる方法などが挙げられ
る。
【0028】本発明の(A)からなる流動性向上剤は後
述の燃料油組成物の重量に基づいて好ましくは10〜
5,000ppm、さらに好ましくは20〜2,000
ppm、特に好ましくは20〜700ppm添加され
る。
【0029】本発明においては、共重合体(A)ととも
に、エチレン(a)および(c)から誘導される単位を
必須構成単位とする共重合体(B)の1種以上を含有し
た燃料油用添加剤組成物とすることもできる。(B)を
併用することで、より少量の(A)で低温流動性が向上
できる点で好ましい。(B)を構成する(c)のうち、
好ましいものは前記と同様な炭素数2〜24の直鎖また
は分岐の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル、および
炭素数3〜18の1−オレフィンであり、これらは単独
でもよく、2種以上を併用してもよい。(B)中の
(a)/(c)の構成比率(モル%)は、好ましくは8
0〜99/20〜1、さらに好ましくは85〜98/1
5〜2である。(a)が80モル%以上、あるいは98
モル%以下であれば流動性向上能が良好な点で好まし
い。また、(B)は、上記の(a)および(c)から構
成される共重合体にさらに(c)をグラフト共重合した
ものであってもよい。(c)をグラフト共重合すること
で基油への溶解性が向上する。グラフト共重合体のグラ
フト部分を構成する単量体としては、好ましいものは
(c2)、さらに好ましいものはフマル酸ジアルキルエス
テルおよびマレイン酸ジアルキルエステルである。
(A)とともに、他の添加剤として(B)を使用する場
合の(A)/(B)の重量比は、好ましくは100〜7
0/0〜30、さらに好ましくは95〜80/5〜2
0、特に好ましくは95〜90/5〜10である。
(A)が70以上であれば流動性向上効果が充分に発揮
できる。
【0030】本発明の燃料油用添加剤組成物に含まれて
いてもよい(B)以外の添加剤としては、フェノール系
酸化防止剤(C)、炭素数6〜24の不飽和脂肪族カル
ボン酸(D)およびその他の添加剤が挙げられる。フェ
ノール系酸化防止剤(C)としては、フェノール、クレ
ゾール、ハイドロキノン、カテコール、メトキシフェノ
ール、t-ブチルフェノール、ジt-ブチルフェノール、
トリt-ブチルフェノール、ジt-ブチルクレゾール、ス
チレン化フェノールなどが挙げられる。これらのうち好
ましいものは、ジt-ブチルフェノール、ジt-ブチルク
レゾールおよびスチレン化フェノールである。(C)を
含有させることで、(A)の保管安定性が向上するとと
もに、燃料油の色相の経日変化が小さくなる点で好まし
い。他の添加剤として(C)を使用する場合の(A)/
(C)の重量比は、好ましくは100〜95/0〜5、
さらに好ましくは99.99〜97/0.01〜3、特に
好ましくは99.98〜98/00.2〜2である。
【0031】炭素数6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸
(D)としては、デセン酸、ドデセン酸、ドデカジエン
酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、リ
ノール酸、リノレン酸およびエイコセン酸などが挙げら
れる。これらのうち好ましいものは、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸およびそれらの混合物である。
(D)を含有させることで、燃料油の潤滑性が向上する
とともに、添加剤組成物中の後述の希釈剤の量を低減で
きる点で好ましい。(A)とともに、他の添加剤として
(D)を使用する場合の(A)/(D)の重量比は、好
ましくは100〜50/0〜50、さらに好ましくは9
5〜70/5〜30、特に好ましくは90〜75/10
〜25である。
【0032】その他の添加剤としては、たとえば、ワッ
クス分散剤(フマル酸ジアルキル/酢酸ビニル共重合
体、フマル酸ジアルキル/プロピレン共重合体など)、
腐食防止剤(ドデシルアミンのエチレンオキサイド付加
物、オクチルアミン、脂肪族アミンおよびその塩、有機
リン酸エステル、有機スルホン酸塩、アルケニルコハク
酸系防錆剤、アルケニルコハク酸のエステル系防錆剤な
ど)、清浄分散剤(ジブチルアミンのエチレンオキサイ
ド付加物、ブタノールのエチレンオキサイド付加物な
ど)、潤滑性向上剤(高級脂肪酸のグリセリンエステ
ル、ソルビタンモノオレート、グリセリンモノオレート
など)、セタン価向上剤(アルキル硝酸エステル類、ア
ミルナイトレート、イソプロピルナイトレートなど)、
酸化防止剤(サリチリデン誘導体など)、その他消泡
剤、燃焼性向上剤、導電性付与剤、および他の流動性向
上剤(ポリアルキルメタクリレート、ポリオールの脂肪
酸エステルなど)などが挙げられる。その他の添加剤の
使用量は、燃料油組成物の全重量に基づいて、通常0〜
10,000ppm、好ましくは10〜5,000pp
mになるような量である。
【0033】本発明の燃料油用添加剤組成物は、さらに
希釈剤で希釈されていてもよい。あらかじめ希釈剤に溶
解し、希釈しておくことで、燃料油などに添加する際に
容易に溶解するようになり、低温流動性が発現しやすく
なる点で好ましい。本発明の燃料油用添加剤組成物に含
まれてもよい希釈剤としては、以下の溶剤および後述の
燃料油などが挙げられる。溶剤としては、脂肪族溶剤
{炭素数6〜18の脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタ
ン、シクロヘキサン、オクタン、デカリン、灯油な
ど)};芳香族溶剤[炭素数7〜15の芳香族溶剤{ト
ルエン、キシレン、エチルベンゼン、炭素数9の芳香族
混合溶剤(トリメチルベンゼン、エチルトルエンなどの
混合物)、炭素数10〜11の芳香族混合溶剤(ジエチ
ルベンゼン、ジエチルトルエンなどの混合物)など}]
など挙げられる。これらのうち好ましいものは炭素数7
〜24の炭化水素、さらに炭素数7〜15の芳香族溶剤
であり、とりわけ好ましいものは炭素数9の芳香族混合
溶剤および炭素数10〜11の芳香族混合溶剤である。
【0034】本発明の燃料油用添加剤組成物が希釈剤を
含む場合の共重合体成分と希釈剤の重量割合は、共重合
体成分と希釈剤の合計重量に対して、好ましくは希釈剤
が10〜80重量%、さらに好ましくは25〜60重量
%、特に好ましくは30〜50重量%である。希釈剤の
割合が多いほうが燃料油などに容易に溶解する点で好ま
しいが、あまり多いのは経済的ではない。また、燃料油
組成物中の添加剤組成物の含量は、好ましくは15〜2
5,000ppm、さらに好ましくは25〜1000p
pmである。なお、本発明の添加剤組成物は、その成分
をそれぞれ別にして燃料油に添加することもでき、その
場合の添加する順序も特に限定されない。
【0035】本発明の燃料油用添加剤組成物の100℃
における動粘度は、好ましくは100mm2/s以下、さら
に好ましくは5〜80mm2/s、特に好ましくは10〜6
0mm2/sである。動粘度を100mm2/s以下にすること
で、燃料油などの基油への溶解が容易になる。
【0036】本発明の燃料油組成物における燃料油とし
ては、少なくとも炭素数17〜22のワックスを含有す
る燃料油であり、例えば、低硫黄原油(たとえば、ミナ
ス原油等南方系の原油)の通常の蒸留で得られるJIS
1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特
3号軽油、A重油;通常の原油から水素化脱硫処理工程
を経て製造される脱硫軽油、A重油;この脱硫軽油と直
留軽油(水素化脱硫工程前の軽油)をブレンドして得ら
れる軽油留分から製造されるJIS1号軽油、JIS2
号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油、A重油が
挙げられる。好ましくは、水素化脱硫処理工程を経て製
造される脱硫軽油を50重量%以上使用して製造され
る、硫黄含有量0.05重量%以下のJIS1号軽油、
JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油で
あり、特に、硫黄含有量0.005重量%以下のJIS
1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特
3号軽油が好ましい。
【0037】また、本発明の流動性向上剤は、燃料油以
外のワックス分を含有する油対しても効果を示し、潤滑
油などにも有用である。また、石油留分含有のワックス
以外にも効果を示し、天然物(例えば動物油や植物油)
起因の、偶数のアルキル基を有するワックス、脂肪酸、
脂肪族アルコール、脂肪族アミン等にも効果を示す。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。以
下、部はいずれも重量部を示す。
【0039】実施例1 温度計、環流冷却管および撹拌装置の付いたガラス製フ
ラスコに、エチレン/酢酸ビニル共重合体(エチレン/
酢酸ビニル=85/15モル%、分岐度3.2%、Mn
3300、Mw8300)50部、イソプロピルアルコ
ール50部および水酸化カリウム3.7部を加え、75
℃にて撹拌下4時間反応させた。反応終了後、反応混合
物をビーカー中の1000部の水に撹拌下に加えた。沈
殿したポリマーをろ別、水洗した後、150℃にて減圧
乾燥し、部分加水分解物(a-1)を得た。温度計、環流冷
却管おおよび撹拌装置の付いたガラス製フラスコに、不
飽和脂肪酸混合物(オレイン酸/リノール酸/リノレン
酸=38/55/7重量%)100部と無水酢酸55部
を加え、無水酢酸の環流温度で2時間反応させた。次い
で、生成した酢酸および残存する無水酢酸を150℃ま
で昇温しながら常圧で留去し、その後150℃、減圧に
て留去することで、不飽和脂肪酸無水物(a-2)を得た。
温度計および撹拌装置の付いたガラス製フラスコに、部
分加水分解物(a-1)30部、不飽和脂肪酸無水物(a-2)2
2.3部を加え、150℃にて撹拌下4時間反応させ
た。反応終了後、80℃まで冷却し、これに水0.12
部、2,6-ジ-t-ブチル-4-クレゾール0.325部、およ
び希釈剤として炭素数10〜11の石油系芳香族混合溶
剤(初留点182℃〜終点204℃)12.2部を加え
溶解させることにより、本発明の添加剤組成物(T1)
を得た。添加剤組成物(T1)は、本発明の重合体(A
1)60重量%、不飽和脂肪酸20.7重量%、2,6-ジ-
t-ブチル-4-クレゾール0.5重量%、希釈剤18.8重
量%の混合物である。(A1)は、エチレン/酢酸ビニ
ル/炭素数18の不飽和カルボン酸のビニルエステル共
重合体であり、その共重合モル比は85/11/4、分
岐度は3.2%、Mnは3400、Mwは10700で
あった。なお、構成成分の比率および分岐度は1H−N
MRから求め、MnおよびMwはGPCを用いて測定し
た。
【0040】実施例2 撹拌装置、加熱装置、温度計、窒素吹き込み管を備えた
ガラス製反応器に、エチレン/酢酸ビニル共重合体(9
6.5/3.5モル%、分岐度3.4%、Mn260
0、Mw6600)500部およびジ2-エチルヘキシル
フマレート500部を加え、窒素雰囲気とし、155℃
に昇温した。これに155℃にてジータシャリーブチル
パーオキサイド20部およびラウリルメルカプタン1.
7部を2時間で滴下した。滴下終了後さらに2時間15
5℃で反応し、重合体(B1)を得た。(B1)は上記
エチレン/酢酸ビニル共重合体にジ2-エチルヘキシルフ
マレートがグラフトした共重合体であった。希釈剤を
9.0部に減らし、重合体(B1)3.2部を加える以外
は実施例1と同様にし、本発明の添加剤組成物(T2)
を得た。添加剤組成物(T2)は、本発明の重合体(A
1)60重量%、重合体(B1)4.9重量%、不飽和
脂肪酸20.7重量%、2,6-ジ-t-ブチル-4-クレゾール
0.5重量%、希釈剤13.9重量%の混合物である。
【0041】実施例3 出発共重合体をエチレン/酢酸ビニル共重合体(エチレ
ン/酢酸ビニル=83/17モル%、分岐度1.0%、
Mn4300、Mw9100)に変え、水酸化カリウム
を3.6部に変える以外は実施例1と同様に加水分解反
応し、部分加水分解物(a-3)を得た。温度計および撹拌
装置の付いたガラス製フラスコに、部分加水分解物(a-
3)30部、オレイン酸無水物22部を加え、150℃に
て撹拌下4時間反応させた。反応終了後、反応混合物を
ビーカー中の500部のメタノールに撹拌下に加えた。
上澄みをデカンテーションにより捨てた後、再度500
部のメタノールを加え撹拌洗浄した後、デカンテーショ
ンにより上澄みを捨て、沈殿物を得た。沈殿物を150
℃にて減圧乾燥し、重合体(A2)を得た。(A2)
は、エチレン/酢酸ビニル/オレイン酸ビニル共重合体
であり、その共重合モル比は83/13/4、分岐度は
0.98%、Mnは4500、Mwは10100であっ
た。撹拌装置、加熱装置および温度計を備えたガラス製
容器に、重合体(A2)650部、2,6-ジ-t-ブチル-4-
クレゾール1部および炭素数10〜11の石油系芳香族
混合溶剤(初留点182℃〜終点204℃)349部を
加え、100℃にて均一に溶解し、本発明の添加剤組成
物(T3)を得た。
【0042】比較例1 重合体(A2)の代わりに、エチレン/酢酸ビニル/ネ
オデカン酸ビニル共重合体(X-1)[84/14/2モ
ル%、分岐度4.2%、Mn3200、Mw7500]
を使用した以外は実施例3と同様にして比較例の添加剤
組成物(U1)を得た。
【0043】<燃料油組成物の評価> 実施例4〜9および比較例2、3 表1に示す性状の燃料油(軽油)に(T1)〜(T3)
および(U1)を所定量(表2、表3に記載)加え均一
に混合し、低温流動性向上効果および潤滑性を評価し
た。低温流動性向上効果は、流動点(以下、PP)と低
温濾過器目詰まり点(以下、CFPP)を測定し評価し
た。潤滑性はHFRRの摩耗痕径を測定し評価した。P
P、CFPPおよびHFRRの評価方法を以下に示す。 流動点(PP):JIS K2269 3に記載の方法 低温濾過器目詰まり点(CFPP):JIS K228
8に記載の方法 潤滑性:石油学会規格PI−5S−50−98に記載の
方法
【0044】燃料油1に添加した場合の評価結果を表2
に、燃料油2に添加した場合の評価結果を表3にそれぞ
れ示す。これらから明らかなように本発明の流動性向上
剤は、いずれの軽油に対しても、非常に優れた低温流動
性を与える。また、本発明の不飽和脂肪族カルボン酸を
含有する添加剤組成物は、いずれの軽油に対しても優れ
た潤滑性(摩耗防止性)を示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【発明の効果】本発明の流動性向上剤および燃料油用添
加剤組成物は従来のものに比較し,燃料油の低温流動特
性をさらに向上させ、少量の添加でPPおよびCFPP
を向上させる。その結果、燃料油のフィルタ−通油性を
良好にするものである。とりわけ、従来の流動性向上剤
および添加剤組成物では低温流動性の向上が困難であっ
た沸点範囲が狭い低硫黄含量の軽油に対して有効であ
る。またさらに、燃料油のエンジン内での潤滑性も向上
する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/08 C08L 23/08 91/06 91/06 //(C08F 210/02 C08F 218:04 218:04) 220:04 (C08F 210/02 C08F 222:00 220:04) (C08F 210/02 222:00) Fターム(参考) 4H013 CC01 4J002 AE001 AE033 AE051 BB042 BB062 BB072 BB082 BB222 BE022 BE032 EA018 EA028 EA038 EA058 EF047 EF057 EJ016 EJ026 FD070 FD076 FD110 FD170 FD200 GD00 GT00 4J100 AA02P AA17R AG04R AG05Q AG76Q BA03H BA14H CA04 CA05 CA31 DA01 DA19 HA08 HA11 HA13 HB25 HB39 HB52 HC27 HC71 HE07 HE08 HE13 JA15 JA28

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン(a)および下記一般式(1)
    〜(3)のいずれかで表される化合物からなる群から選
    ばれる1種以上の単量体(b)から誘導される単位を必
    須構成単位とする共重合体(A)からなることを特徴と
    する流動性向上剤。 R1−COO−R2 (1) R2−COO−R1 (2) R3−(COOR12 (3) [式中、R1は炭素数5〜23の不飽和脂肪族炭化水素
    基、R2は炭素数2〜4のアルケニル基、R3は炭素数2
    〜4のアルケニレン基である。]
  2. 【請求項2】 一般式(1)〜(3)におけるR1がア
    ルケニル基、アルカジエニル基またはアルカトリエニル
    基である請求項1記載の流動性向上剤。
  3. 【請求項3】 (b)が、一般式(1)で表され、R2
    がビニル基である単量体(b11)である請求項1または2
    記載の流動性向上剤。
  4. 【請求項4】 (A)が、エチレン(a)および炭素数
    2〜4の飽和脂肪族カルボン酸のビニルエステルから誘
    導される単位を必須構成単位とする共重合体(A0
    と、炭素数6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸もしくは
    そのエステル形成性誘導体とのエステル交換反応により
    得られた共重合体である請求項1〜3のいずれか記載の
    流動性向上剤。
  5. 【請求項5】 (A)が、さらに(a)および(b)以
    外のビニル単量体から誘導される単位(c)を必須構成
    単位とする共重合体である請求項1〜4のいずれか記載
    の流動性向上剤。
  6. 【請求項6】 (c)が、飽和脂肪族カルボン酸のビニ
    ルエステルである請求項5記載の流動性向上剤。
  7. 【請求項7】 (A)における構成単位のうち、エチレ
    ンから誘導される単位の割合が60〜98モル%である
    請求項1〜6のいずれか記載の流動性向上剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか記載の流動性向
    上剤、並びに他の添加剤および/または希釈剤からなる
    燃料油用添加剤組成物。
  9. 【請求項9】 他の添加剤の少なくとも1種が、エチレ
    ン(a)および(c)から誘導される単位から構成され
    る共重合体(B)である請求項7記載の添加剤組成物。
  10. 【請求項10】 他の添加剤の少なくとも1種が、フェ
    ノール系酸化防止剤(C)である請求項8または9記載
    の添加剤組成物。
  11. 【請求項11】 他の添加剤の少なくとも1種が、炭素
    数6〜24の不飽和脂肪族カルボン酸(D)である請求
    項8〜10のいずれか記載の添加剤組成物。
  12. 【請求項12】 希釈剤が炭素数7〜24の炭化水素で
    ある請求項8〜11のいずれか記載の添加剤組成物。
  13. 【請求項13】 炭素数17〜22の炭化水素からなる
    ワックスを含有する燃料油に対して、請求項8〜12の
    いずれか記載の添加剤組成物を含有する燃料油組成物。
  14. 【請求項14】 炭素数17〜22の炭化水素からなる
    ワックスを含有する燃料油に対して、請求項1〜7のい
    ずれか記載の流動性向上剤を10〜5,000ppm添
    加してなる燃料油組成物。
  15. 【請求項15】 燃料油の硫黄含量が0.05重量%以
    下である請求項13または14記載の燃料油組成物。
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