JP7253528B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、潤滑油組成物に関する。
駆動系油の省燃費化技術として近年よく適用される技術は、製品粘度の低粘度化により攪拌損失を低減することである。例えば、潤滑油基油に特定の添加剤を配合することによって、製品粘度を低粘度化しつつ、低温流動性の改善が図られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2006-274209号公報
しかしながら、低温流動性を有する従来の潤滑油組成物は、オイルシール部材からのオイル漏れを防止するシール性が充分でない場合がある。これは、低温時(例えば、0℃以下)において、潤滑油組成物の粘度が低いこと、さらにはオイルシール部材が収縮することによって、オイルシール部材からオイル漏れが発生し易くなるためと考えられる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、優れた省燃費性能を有するとともに、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることが可能な潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者らは、特定の潤滑油基油に特定の共重合体を加えることによって、得られる潤滑油組成物が優れた省燃費性能を有しつつ、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[5]に示す潤滑油組成物を提供する。
[1]潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上の水素化脱ろう油成分を含み、100℃における動粘度が2.0~3.5mm/sである潤滑油基油と、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含み、重量平均分子量が8000~12000である共重合体と、を含有し、共重合体の含有量が、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~1.2質量%である、潤滑油組成物。
[2]潤滑油基油の尿素アダクト値が2.5質量%以下である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]ポリ(メタ)アクリレートをさらに含有する、[1]又は[2]に記載の潤滑油組成物。
[4]共重合体の含有量に対するポリ(メタ)アクリレートの含有量の質量比が0.4以下である、[3]に記載の潤滑油組成物。
[5]自動変速機に用いられる、[1]~[4]のいずれかに記載の潤滑油組成物。
なお、本発明は、潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上の水素化脱ろう油成分を含み、100℃における動粘度が2.0~3.5mm/sである潤滑油基油と、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含み、重量平均分子量が8000~12000である共重合体と、を含有し、共重合体の含有量が、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~1.2質量%である組成物の、自動変速機油としての使用(応用)又は自動変速機油の製造のための使用(応用)に関してもよい。
本発明によれば、優れた省燃費性能を有するとともに、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることが可能な潤滑油組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る潤滑油組成物は、潤滑油基油と、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含む共重合体(本明細書において、単に「共重合体」という場合がある。)と、を含有する。
<潤滑油基油>
本実施形態に係る潤滑油組成物は、100℃における動粘度が2.0~3.5mm/sである潤滑油基油を含有する。潤滑油基油は、潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上の水素化脱ろう油成分を含む。潤滑油基油は、水素化脱ろう油成分と水素化脱ろう油成分以外の基油成分とから構成される混合油であり得る。
潤滑油基油(混合油)の100℃における動粘度は、2.0~3.5mm/sである。潤滑油基油の100℃における動粘度は、好ましくは2.1mm/s以上、より好ましくは2.2mm/s以上である。100℃における動粘度は、好ましくは3.3mm/s以下、より好ましくは3.0mm/s以下である。100℃における動粘度が上記の範囲内にあると、潤滑油基油の適正な粘性を確保でき、良好な油膜が得られる傾向にある。また、このような潤滑油基油を用いることによって、省燃費性に優れる潤滑油組成物が得られる傾向にある。
潤滑油基油(混合油)の40℃における動粘度は、特に制限されないが、5.0~15.0mm/sであることが好ましい。40℃における動粘度は、より好ましくは6.0mm/s以上、さらに好ましくは7.0mm/s以上である。潤滑油基油の40℃における動粘度は、より好ましくは13.0mm/s以下、さらに好ましくは10.0mm/s以下である。40℃における動粘度が上記の範囲内にあると、潤滑油基油のより適正な粘性を確保でき、より良好な油膜が得られる傾向にある。また、このような潤滑油基油を用いることによって、省燃費性により優れる潤滑油組成物が得られる傾向にある。
潤滑油基油(混合油)の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは95以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは105以上である。粘度指数が上記の範囲内であると、外部の温度に対して粘度の安定性が確保されるため、使用時における外部の温度変化に対しても安定的に油膜を形成できる傾向にある。潤滑油基油の粘度指数は、例えば、150以下であってよい。
潤滑油基油が水素化脱ろう油成分と水素化脱ろう油成分以外の基油成分とから構成される場合、例えば、100℃における動粘度、40℃における動粘度、及び粘度指数が、以下の(I)~(IV)の範囲にある各成分(水素化脱ろう油成分及び水素化脱ろう油成分以外の基油成分)を組み合わせて用いてもよい。
(I)100℃における動粘度:1.0mm/s以上2.0mm/s未満、40℃における動粘度:2.0mm/s以上6.0mm/s未満、好ましくは3.0~5.0mm/s
(II)100℃における動粘度:2.0mm/s以上3.5mm/s未満、好ましくは2.0~3.0mm/s、40℃における動粘度:6.0mm/s以上14mm/s未満、好ましくは7.0~13mm/s、粘度指数:90以上、好ましくは95~150
(III)100℃における動粘度:3.5mm/s以上4.5mm/s未満、好ましくは3.5~4.3mm/s、40℃における動粘度:14mm/s以上28mm/s未満、好ましくは14~21mm/s、粘度指数:110以上、好ましくは120~160
(IV)100℃における動粘度:4.5~20mm/s、好ましくは4.8~11mm/s、より好ましくは5.5~8.0mm/s、40℃における動粘度:28~50mm/s、好ましくは29~45mm/s、粘度指数:110以上、好ましくは120~180
本明細書における40℃及び100℃における動粘度並びに粘度指数は、それぞれJIS K2283「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して測定される値を意味する。
潤滑油基油においては、尿素アダクト値を低温流動性の評価指標として用いることができる。ここで、尿素アダクト値とは、以下の方法により測定し、定義される値を意味する。秤量した試料油(潤滑油基油)100gを丸底フラスコに入れ、尿素200g、トルエン360mL及びメタノール40mLを加えて室温で6時間撹拌する。これにより、反応液中に尿素アダクト物として白色粒状結晶が生成する。反応液を1μmフィルターでろ過することにより、生成した白色粒状結晶を採取し、得られた結晶をトルエン50mLで6回洗浄する。回収した白色粒状結晶をフラスコに入れ、純水300mL及びトルエン300mLを加えて80℃で1時間撹拌する。分液ロートで水相を分離除去し、トルエン相を純水300mLで3回洗浄する。トルエン相に乾燥剤(硫酸ナトリウム)を加えて脱水処理を行った後、トルエンを留去する。このようにして得られた尿素アダクト物の試料油に対する割合(質量百分率)が尿素アダクト値である。
尿素アダクト値の測定においては、尿素アダクト物として、低温流動性に悪影響を及ぼす成分(特に、鉱油系基油に由来するノルマルパラフィン及びイソパラフィンのうち特定のイソパラフィン)が残存している場合のそれらを精度よくかつ確実に捕集することができる。そのため、潤滑油基油の低温流動性の評価指標として優れている。なお、本発明者らは、GC及びNMRを用いた分析により、尿素アダクト物の主成分が、ノルマルパラフィン及び主鎖の末端から分岐位置までの炭素数が6以上であるイソパラフィンの尿素アダクト物であることを確認している。
潤滑油基油の尿素アダクト値は、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。尿素アダクト値が2.5質量%以下であると、潤滑油基油の低温流動性により優れる傾向にある。潤滑油基油の尿素アダクト値は、例えば、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよい。潤滑油基油の尿素アダクト値が0.1質量%以上であると、潤滑油基油に含まれる後述の水素化脱ろう油成分の製造工程における条件を緩和でき、経済性により優れる傾向にある。
潤滑油基油の尿素アダクト値は、2種以上の基油成分を任意の割合で組み合わせた混合油において、加成性が成り立つ。そのため、例えば、潤滑油基油を構成する基油成分の尿素アダクト値を予め測定し、その含有量をそれぞれ調整することによって、潤滑油基油の尿素アダクト値を所望の値に調整することができる。
潤滑油基油は、潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上の水素化脱ろう油成分を含む。水素化脱ろう油成分は、原油(パラフィン系等)を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、水素化脱ろう(接触脱ろう)による精製処理を施した鉱油(パラフィン系等)を意味する。精製処理には、溶剤脱れき、溶剤精製、水素化分解、水素化異性化、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等をさらに組み合わせてよい。水素化脱ろう油成分は、主成分としてイソパラフィンを含む。水素化脱ろう油成分は、API(米国石油協会)の基油分類において、グループII又はIIIに分類される鉱油成分であってよい。水素化脱ろう油成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
水素化脱ろう油成分の原油としては、例えば、以下に示す原油(1)~(7)が挙げられる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)~(2)から選ばれる1種又は2種以上の混合油及び/又は当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)~(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸残渣油の脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)~(6)から選ばれる2種以上の混合油
水素化脱ろう油成分は、上記基油(1)~(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる以下に示す基油成分(8)が特に好ましい。
(8)上記基油(1)~(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について水素化脱ろう(接触脱ろう)処理を行い、又は当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化脱ろう油成分
水素化脱ろう油成分の尿素アダクト値は、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.2質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。尿素アダクト値が2.5質量%以下であると、水素化脱ろう油成分の低温流動性により優れる傾向にある。水素化脱ろう油成分の尿素アダクト値は、例えば、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよい。水素化脱ろう油成分の尿素アダクト値が0.1質量%以上であると、製造工程における水素化脱ろうの条件を緩和することができ、経済性にも優れる。
水素化脱ろう油成分の尿素アダクト値は、原料、触媒、製造工程等を適宜選定することによって、調整することができる。例えば、製造工程における水素化脱ろうに着目すると、水素化脱ろうの条件をより厳しくすることによって、尿素アダクト値を小さく、すなわち、水素化脱ろう油成分中の低温流動性に悪影響を及ぼす成分を減少させることができる。
水素化脱ろうは、例えば、以下の条件で実施される。温度範囲は好ましくは250~400℃であり、水素分圧範囲は好ましくは791~20786kPa(100~3000psig)であり、液空間速度範囲は好ましくは0.1~10hr-1であり、水素/油比範囲は好ましくは45~1780m/m(250~10000scf/B)である。
潤滑油基油は、潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上の水素化脱ろう油成分を含む。水素化脱ろう油成分の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。水素化脱ろう油成分の含有量が、潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上であると、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることができる傾向にある。水素化脱ろう油成分の含有量は、例えば、50~100質量%、70~100質量%、80~100質量%、90~100質量%、又は95~100質量%であってもよい。
潤滑油基油は、水素化脱ろう油成分以外の他の基油成分を含んでいてもよい。他の基油成分としては、例えば、合成系炭化水素油成分、溶剤脱ろう油成分等が挙げられる。
合成系炭化水素油成分としては、例えば、ポリα-オレフィン(PAO、API基油分類:グループIV)又はその水素化物;プロピレンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ポリブテン、1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、エチレン-プロピレンオリゴマー等のオレフィンオリゴマー又はその水素化物などが挙げられる。これらの合成系炭化水素油成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。これらのうち、合成系炭化水素油成分は、ポリα-オレフィンであることが好ましい。合成系炭化水素油成分の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、0~50質量%、0~30質量%、0~20質量%、0~10質量%、又は0~5質量%であってよい。
溶剤脱ろう油成分は、原油(パラフィン系等)を常圧蒸留又は減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱ろうによる精製処理を施した鉱油(パラフィン系等)を意味する。精製処理には、溶剤脱ろう以外に、溶剤脱れき、水素化分解、白土処理、及び硫酸洗浄から選ばれる1種又は2種以上をさらに組み合わせてもよい。溶剤脱ろう油成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。溶剤脱ろう油成分は、一般に水素化脱ろう油成分よりも尿素アダクト値が大きい傾向にある。溶剤脱ろう油成分の尿素アダクト値は、例えば、4~6質量%であり得る。溶剤脱ろう油成分の含有量は、潤滑油基油全量を基準として、0~20質量%、0~15質量%、0~10質量%、0~5質量%、又は0~3質量%であってよい。
潤滑油組成物における潤滑油基油の含有量は、後述のエチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含む共重合体、ポリ(メタ)アクリレート、及びその他の添加剤の含有量の残部であってよい。潤滑油基油の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、好ましく70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。潤滑油基油の含有量が70質量%以上であると、粘度が高くなり過ぎて省燃費性を損なうことを防ぐことができる傾向にある。また、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含む共重合体、ポリ(メタ)アクリレート、及びその他の添加剤が多くなり過ぎることによる貯蔵安定性の低下を防ぐことができる傾向にある。
<共重合体>
本実施形態に係る潤滑油組成物は、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含み、重量平均分子量が8000~12000である共重合体を含有する。共重合体中の酢酸ビニルに由来するアセトキシ基(-OCOCH基)による立体障害によって、潤滑油基油中のパラフィン同士の相互作用を低下させ、潤滑油基油が結晶化することを防ぐことが可能となる。そのため、当該共重合体は、例えば、特開平10-237469号公報、特開平11-181453号公報、特開2005-15798号公報等に開示されているように低温流動性向上剤(流動点降下剤)として作用し得る。
共重合体は、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含む。共重体は、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位以外のその他の単量体に由来する構造単位を含んでいてよい。共重合体は、エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位からなるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)であることが好ましい。共重合体は、重量平均分子量が上述の条件を満たすものであれば、1種を単独で用いても、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。共重合体は、市販品をそのまま用いてもよいし、公知の方法によって製造したものを用いてもよい。
その他の単量体としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。より具体的には、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル等のアルキル基の炭素数が2~10であるアルキルカルボン酸ビニルなどが挙げられる。これらのうち、その他の単量体は、分岐状のアルキル基を有するものを含むことが好ましく、2-エチルヘキサン酸ビニルを含むことが好ましい。
共重体は、例えば、特開2005-015798号公報に記載されているように、単量体同士を直接共重合させて得ることができる。また、共重合体は、エステル交換、又は加水分解/再エステル化によって共重合体中に含まれる構造単位の一部を変換してその他の単量体に由来する構造単位を導入してもよい。例えば、エチレン-酢酸ビニル-2-エチルヘキサン酸ビニル共重合体は、この方法によって、エチレン-酢酸ビニル共重合体から得ることができる。このようにして、三元共重合体、四元共重合体、さらに多元共重合体を得ることができる。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、8000~12000である。重量平均分子量は、好ましくは8500以上、より好ましくは9000以上、さらに好ましくは9500以上である。重量平均分子量が8000以上であると、流動点を降下させる作用が発現し易い傾向にある。重量平均分子量は、好ましくは11500以下、より好ましくは11000以下、さらに好ましくは10500以下である。重量平均分子量が12000以下であると、低温流動性に優れる傾向にある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、標準ポリスチレン検量線に基づき換算した値を意味する。
共重合体の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~1.2質量%である。共重合体の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。共重合体の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。共重合体の含有量が上記の範囲内にあると、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることが可能となる。
<ポリ(メタ)アクリレート>
本実施形態に係る潤滑油組成物は、ポリ(メタ)アクリレートをさらに含有していてよい。ポリ(メタ)アクリレートは、共重合体と同様に、低温流動性向上剤(流動点降下剤)として作用し得る。なお、ポリ(メタ)アクリレートは、ポリアクリレート又はポリメタクリレートを意味する。
ポリ(メタ)アクリレートは、一般的に低温流動性向上剤(流動点降下剤)として使用されているものを用いことができる。ポリ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
ポリ(メタ)アクリレートは、例えば、一般式(A-1)で表される単量体の重合体であってよい。すなわち、ポリ(メタ)アクリレートは、非分散型のポリ(メタ)アクリレートであってよい。
Figure 0007253528000001
式(A-1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1~30の直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示す。
で表される炭素数1~30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基(これらアルキル基は直鎖状又は分岐状であってよい。)などが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートは、市販品をそのまま用いてもよいし、公知の方法によって製造したものを用いてもよい。ポリ(メタ)アクリレートの製造方法としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド等の重合開始剤の存在下で、一般式(A-1)で表される単量体をラジカル溶液重合させる方法が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、5000~100000であることが好ましい。重量平均分子量は、より好ましくは10000以上、さらに好ましくは15000以上、特に好ましくは20000以上である。重量平均分子量が5000であると、粘度温度特性により優れる傾向にある。重量平均分子量は、より好ましくは80000以下、さらに好ましくは70000以下、特に好ましくは60000以下である。重量平均分子量が100000以下であると、せん断安定性により優れる傾向にある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、標準ポリスチレン検量線に基づき換算した値を意味する。
ポリ(メタ)アクリレートをさらに含有する場合、その含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~0.5質量%であることが好ましい。ポリ(メタ)アクリレートの含有量は、0.015質量%以上、0.02質量%以上、又は0.025質量%以上であってもよく、0.45質量%以下、0.4質量%以下、又は0.35質量%以下であってもよい。
ポリ(メタ)アクリレートをさらに含有する場合、共重合体の含有量に対するポリ(メタ)アクリレートの含有量の質量比(ポリ(メタ)アクリレートの含有量(潤滑油組成物全量基準)/共重合体の含有量(潤滑油組成物全量基準))は、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.3以下である。当該質量比が上記の範囲内にあると、より充分なシール性が得られる傾向にある。
<その他の添加剤>
潤滑油組成物は、その目的に応じて、一般的に使用されている任意の潤滑油用添加剤をさらに含有することができる。このような添加剤としては、例えば、金属系清浄剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤(極圧剤)、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を挙げることができる。
金属系清浄剤としては、例えば、スルホネート系清浄剤、サリチレート系清浄剤、フェネート系清浄剤等が挙げられ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との正塩、塩基性塩、過塩基性塩のいずれをも配合することができる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤が使用でき、例えば、炭素数40以上400以下の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノ又はビスコハク酸イミド、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、これらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品などが挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
摩擦調整剤としては、例えば、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。例えば、炭素数6~30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6~30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、イミド化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩等を好ましく用いることができる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
摩耗防止剤としては、例えば、硫黄系、リン系、硫黄-リン系等の摩耗防止剤が挙げられる。より具体的には、例えば、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤などが挙げられる。具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェニル-α-ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤などが挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4-チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4-チアジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート、2-(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β-(o-カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000mm/s以上1000000mm/s以下のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレートとo-ヒドロキシベンジルアルコールとのエステル等が挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
これらの添加剤を潤滑油組成物に含有させる場合には、それぞれの含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~20質量%であってよい。
本実施形態に係る潤滑油組成物の100℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは2.0~4.0mm/sである。100℃における動粘度は、より好ましくは2.2mm/s以上、さらに好ましくは2.4mm/s以上である。100℃における動粘度は、より好ましくは3.7mm/s以下、さらに好ましくは3.4mm/s以下である。100℃における動粘度が上記の範囲内であると、潤滑油組成物のより適正な粘性を確保でき、省燃費性により優れる傾向にある。
本実施形態に係る潤滑油組成物の40℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは5.0~19.0mm/sである。40℃における動粘度は、より好ましくは6.0mm/s以上、さらに好ましくは8.0mm/s以上である。40℃における動粘度は、より好ましくは18.0mm/s以下、さらに好ましくは14.0mm/s以下である。40℃における動粘度が上記の範囲内であると、潤滑油組成物のより適正な粘性を確保でき、省燃費性により優れる傾向にある。
本実施形態に係る潤滑油組成物の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは95以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは105以上である。粘度指数が上記の範囲内であると、外部の温度に対して粘度の安定性が確保されるため、使用時における外部の温度変化に対しても安定的に油膜を形成できる傾向にある。潤滑油組成物の粘度指数は、例えば、160以下であってよい。
本実施形態に係る潤滑油組成物の-40℃におけるBF粘度は、特に制限されないが、好ましくは3000~12000mPa・sである。-40℃におけるBF粘度は、より好ましくは10000mPa・s以下、さらに好ましくは8000mPa・s以下である。-40℃におけるBF粘度が12000mPa・s以下であると、潤滑油組成物の低温始動性がより優れる傾向にある。-40℃におけるBF粘度は、より好ましくは3500mPa・s以上、さらに好ましくは4000mPa・s以上である。-40℃におけるBF粘度が3000mPa・s以上であると、潤滑油組成物のシール性により優れる傾向にある。なお、本明細書における-40℃におけるBF粘度は、ASTM D 2983に準拠して測定される値を意味する。
本実施形態に係る潤滑油組成物の流動点は、特に制限されないが、好ましくは-35℃以下、より好ましくは-37.5℃以下、さらに好ましくは-40℃以下、特に好ましくは-42.5℃以下、最も好ましくは-45℃以下である。流動点が-35℃以下であると、潤滑油組成物の低温始動性がより優れる傾向にある。なお、本明細書における流動点は、JIS K2269に準拠して測定される値を意味する。
本発明によれば、優れた省燃費性能を有するとともに、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることが可能な潤滑油組成物が提供される。このような潤滑油組成物は、自動変速機に好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1~16及び比較例1~8)
[潤滑油組成物の調製]
表1、表2、及び表3に示すように、実施例1~16及び比較例1~8の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。得られた潤滑油組成物について、動粘度(40℃及び100℃)、粘度指数、BF粘度(-40℃)、流動点等を測定した。なお、潤滑油基油は、以下の2種の基油成分からなる混合油であり、表1、表2、及び表3における動粘度、粘度指数、及び尿素アダクト値の項目は混合油の数値を意味する。また、混合油の尿素アダクト値は、各基油成分の尿素アダクト値から、その仕込み量における尿素アダクト値を求め、その和を混合油の尿素アダクト値として求めた。例えば、後述の潤滑油基油X-1の尿素アダクト値は、以下のように求めることができる。
潤滑油基油X-1:
尿素アダクト値=1.0×0.80+2.2×0.20=1.2[質量%]
表1、表2、及び表3に示した潤滑油基油は、以下の基油成分から構成されるものである。なお、尿素アダクト値における「0.1質量%未満」との記載は、尿素アダクト物が測定装置の測定限界以下であったことを意味する。また、2つの基油成分からなる混合油の尿素アダクト値の算出において、尿素アダクト値が「0.1質量%未満」のものは、「0質量%」として計算した。
<水素化脱ろう油成分>
A-1:水素化脱ろう油成分(100℃動粘度:2.2mm/s、40℃動粘度:7.3mm/s、粘度指数:106、API基油グループ:グループII、尿素アダクト値:1.0質量%)
A-2:水素化脱ろう油成分(100℃動粘度:4.2mm/s、40℃動粘度:19.4mm/s、粘度指数:124、API基油グループ:グループIII、尿素アダクト値:2.2質量%)
A-3:水素化脱ろう油成分(100℃動粘度:2.7mm/s、40℃動粘度:9.8mm/s、粘度指数:113、API基油グループ:グループII、尿素アダクト値:0.1質量%未満)
A-4:水素化脱ろう油成分(100℃動粘度:2.6mm/s、40℃動粘度:9.2mm/s、粘度指数:126、API基油グループ:グループIII、尿素アダクト値:1.6質量%)
<溶剤脱ろう油成分>
A-5:溶剤脱ろう油成分(100℃動粘度:2.0mm/s、40℃動粘度:6.6mm/s、粘度指数:96、API基油グループ:グループI、尿素アダクト値:6.2質量%)
A-6:溶剤脱ろう油成分(100℃動粘度:4.4mm/s、40℃動粘度:23.0mm/s、粘度指数:102、API基油グループ:グループI、尿素アダクト値:5.9質量%)
<合成系炭化水素油成分>
B-1:ポリα-オレフィン(PAO)成分(100℃動粘度:1.7mm/s、40℃動粘度:5.1mm/s、API基油グループ:グループIV、尿素アダクト値:0.1質量%未満)
B-2:ポリα-オレフィン(PAO)成分(100℃動粘度:4.1mm/s、40℃動粘度:18.4mm/s、粘度指数:124、API基油グループ:グループIV、尿素アダクト値:0.1質量%未満)
<潤滑油基油>
X-1:水素化脱ろう油成分A-1(80質量%)と水素化脱ろう油成分A-2(20質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:8.9mm/s、粘度指数:107、尿素アダクト値:1.2質量%)
X-2:水素化脱ろう油成分A-1(38質量%)と水素化脱ろう油成分A-3(62質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:8.9mm/s、粘度指数:107、尿素アダクト値:0.4質量%)
X-3:水素化脱ろう油成分A-1(17質量%)と水素化脱ろう油成分A-4(83質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:8.8mm/s、粘度指数:111、尿素アダクト値:1.5質量%)
X-4:水素化脱ろう油成分A-1(76質量%)とポリα-オレフィン(PAO)成分B-2(24質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:9.1mm/s、粘度指数:98、尿素アダクト値:0.8質量%)
X-5:水素化脱ろう油成分A-1(100質量%)(100℃動粘度:2.2mm/s、40℃動粘度:7.3mm/s、粘度指数:106、尿素アダクト値:1.0質量%)
X-6:水素化脱ろう油成分A-1(40質量%)と水素化脱ろう油成分A-2(60質量%)との混合油(100℃動粘度:3.2mm/s、40℃動粘度:12.5mm/s、粘度指数:123、尿素アダクト値:1.7質量%)
X-7:水素化脱ろう油成分A-1(90質量%)と溶剤脱ろう油成分A-6(10質量%)との混合油(100℃動粘度:2.4mm/s、40℃動粘度:8.2mm/s、粘度指数:106、尿素アダクト値:1.5質量%)
X-8:水素化脱ろう油成分A-1(50質量%)と溶剤脱ろう油成分A-6(10質量%)とポリα-オレフィン(PAO)成分B-1(40質量%)との混合油(100℃動粘度:2.4mm/s、40℃動粘度:8.6mm/s、粘度指数:98、尿素アダクト値:1.1質量%)
Y-1:溶剤脱ろう油成分A-5(80質量%)と溶剤脱ろう油成分A-6(20質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:9.2mm/s、粘度指数:94、尿素アダクト値:6.1質量%))
Y-2:ポリα-オレフィン(PAO)成分B-1(45質量%)とポリα-オレフィン(PAO)成分B-2(55質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:8.9mm/s、粘度指数:107、尿素アダクト値:0質量%)
Y-3:水素化脱ろう油成分A-1(10質量%)と水素化脱ろう油成分A-2(90質量%)との混合油(100℃動粘度:3.9mm/s、40℃動粘度:17.4mm/s、粘度指数:119、尿素アダクト値:2.1質量%)
Y-4:水素化脱ろう油成分A-2(20質量%)と溶剤脱ろう油成分A-6(80質量%)との混合油(100℃動粘度:2.5mm/s、40℃動粘度:9.0mm/s、粘度指数:95、尿素アダクト値:5.4質量%)
Y-5:水素化脱ろう油成分A-1(50質量%)とポリα-オレフィン(PAO)成分B-1(50質量%)との混合油(100℃動粘度:1.9mm/s、40℃動粘度:6.0mm/s、尿素アダクト値:0.5質量%)
表1、表2、及び表3に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<流動点降下剤>
C-1:エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(重量平均分子量(Mw):10400)
C-2:エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(重量平均分子量(Mw):9500)
D-1:ポリメタアクリレート(PMA)(重量平均分子量(Mw):56000)
流動点降下剤の重量平均分子量(Mw)の測定条件は以下のとおりである。
装置:Waters社製 Alliance 2695
カラム:東ソー株式会社製 GMHHR-M
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:25℃
流量:1.0mL/min
濃度:2.0質量%
注入量:100μL
検出器:RI
検量線:ポリスチレン
<その他の添加剤>
E-1:添加剤パッケージ(コハク酸イミド系無灰分散剤(4質量%)、アミン系酸化防止剤(0.3質量%)、フェノール系酸化防止剤(0.3質量%)、亜リン酸エステル系摩耗防止剤(リン原子含有量0.03質量%)、過塩基性カルシウム系清浄剤(カルシウム原子含有量0.01質量%)、無灰系摩擦調整剤(3質量%)、金属不活性化剤(硫黄原子含有量0.04質量%)、消泡剤(ケイ素原子含有量0.001質量%)、希釈剤(残部)を含む)
(1)動粘度、粘度指数
JIS K2283に準拠し、各潤滑油組成物の40℃及び100℃における動粘度並びに粘度指数を測定した。
(2)BF粘度
ASTM D 2983に準拠し、各潤滑油組成物の-40℃におけるBF粘度を測定した。本試験においては、BF粘度の値が小さいほど(例えば、12000mPa・s以下)、低温流動性に優れていることを意味する。一方、潤滑油組成物のBF粘度の値が小さすぎると(例えば、3000mPa・s未満)、オイル漏れが生じる傾向にある。そのため、BF粘度は、低温流動性とシール性とのバランスの観点から、特定の範囲(例えば、3000~12000mPa・s)にあることが好ましい。
(3)流動点
JIS K2269に準拠し、各潤滑油組成物の流動点を測定した。本試験においては、流動点が低いほど(例えば、-35℃以下)、低温流動性に優れていることを意味する。
Figure 0007253528000002
Figure 0007253528000003
Figure 0007253528000004
表1、表2、及び表3に示すとおり、実施例1~16の潤滑油組成物は、BF粘度及び流動点が所定の範囲内にあったのに対して、比較例1~8の潤滑油組成物は、BF粘度又は流動点の少なくとも一方が所定の範囲外にあった。これらの結果から、本発明の潤滑油組成物が、優れた省燃費性能を有するとともに、低温流動性とシール性とをバランスよく備えることが可能であることが確認された。

Claims (5)

  1. 潤滑油基油全量を基準として、50質量%以上の水素化脱ろう油成分を含み、100℃における動粘度が2.0~3.5mm/sである潤滑油基油と、
    エチレンに由来する構造単位及び酢酸ビニルに由来する構造単位を含み、重量平均分子量が8000~12000である共重合体と、
    を含有する、潤滑油組成物であって、
    前記共重合体の含有量が、潤滑油組成物全量を基準として、0.01~1.2質量%であり、
    前記潤滑油組成物の粘度指数が95以上160未満である、潤滑油組成物。
  2. 前記潤滑油基油の尿素アダクト値が2.5質量%以下である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. ポリ(メタ)アクリレートをさらに含有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記共重合体の含有量に対する前記ポリ(メタ)アクリレートの含有量の質量比が0.4以下である、請求項3に記載の潤滑油組成物。
  5. 自動変速機に用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
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