JP4125536B2 - 流動性向上剤、燃料油用添加剤組成物および燃料油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性向上剤に関する。詳しくは、ワックス含有燃料油に有用な流動性向上剤、燃料油用添加剤組成物並びに燃料油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油中間留出油、例えば、ディーゼル燃料油、A重油等は、冬期あるいは寒冷地において低温(例えば0℃〜−20℃)にさらされると、その中に含まれるワックスが析出し、配管系のフィルターを目詰まらせたり、又、配管系内にて固化することにより不具合が発生している。
これらの低温での流動性に関する問題点を解決するために、従来、▲1▼エチレン−飽和カルボン酸ビニルエステル系共重合体を基油に添加する方法が数多く提案されている。例えば、特公昭39−200692号公報、特公昭48−23165号公報、特開昭59−136391号公報などに記載されている。
また、これらの低温流動性をより向上させるものとして、▲2▼エチレン−カルボン酸ビニル共重合体の不飽和ジカルボン酸エステルグラフト付加物及びそれら付加物とエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体を併用して添加する方法[特公昭58−39472公報、特開平10−245574号公報]などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら▲1▼、▲2▼に開示されているものは、従来の硫黄含量が高い燃料油に対しては低温流動性を向上させる効果を有しているものの、低硫黄燃料油に対しては低温流動性を向上させるのに必要な添加量が著しく増大し、その結果基油への溶解性が不十分になり、常温でフィルターの目詰まりを起こす問題(通油性の低下)が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、高硫黄含量の燃料油のみならず低硫黄燃料油に対しても、少量の添加で低温流動性を大幅に向上でき、且つ、基油への溶解性が良好で通油性の問題のない流動性向上剤を見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は、ビニル系重合体を含有する流動性向上剤であって、該重合体が+10℃において30重量%以下のヘキサン不溶分および−20℃において60重量%以上のヘキサン不溶分を有するビニル系重合体(A)であることを特徴とする流動性向上剤;(A)並びに他の添加剤および/または希釈剤(C)からなる燃料油用添加剤組成物;並びに該流動性向上剤もしくは添加剤組成物を含む燃料油組成物;である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明においては、流動性向上剤の必須成分であるビニル系重合体(A)[以下において、「重合体」は単独重合体および/または共重合体を表す]は、特定の温度でのヘキサン不溶分が特定の範囲であることが重要である。
(A)は、+10℃において、通常30%以下(以下において特に断りのない限り%は重量%を表す)、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下、とりわけ好ましくは10%以下のヘキサン不溶分を有する。+10℃におけるヘキサン不溶分が30%を超えると、十分な低温流動性を発現させるのに多量の流動性向上剤を添加する必要が生じるとともに、燃料油組成物の常温での通油性が悪化する。
(A)は、−20℃にいて、通常60%以上、好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上のヘキサン不溶分を有する。−20℃におけるヘキサン不溶分が60%未満であると、十分な低温流動性を発現させるのに多量の流動性向上剤を添加する必要が生じる。
また、(A)の+10℃におけるヘキサン不溶分と−20℃におけるヘキサン不溶分の差は、通常30%以上、好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは55%以上、とりわけ好ましくは60%以上である。
この差が大きいほど少量の流動性向上剤の添加で低温流動性が向上する点で好ましい。
さらに、(A)は、0℃において、好ましくは50%以下、さらに好ましくは35%以下、特に好ましくは30%以下、とりわけ好ましくは25%以下のヘキサン不溶分を有する。
0℃におけるヘキサン不溶分が上記範囲であれば、少量の流動性向上剤の添加で燃料油組成物の低温流動性が向上するとともに、常温での通油性が向上する。
【0006】
+10℃および−20℃におけるヘキサン不溶分は、以下の方法により測定することができる。まず、試料100gを500mlのビーカーに採り取り、これを150℃、10mmHgで2時間減圧乾燥することにより揮発成分を蒸発させる。これを約30g精秤し(重量を(W)[g]とする)、重合体濃度が20%になるようにn−ヘキサンを加えてn−ヘキサン溶液を作製する(必要により加温して均一透明になるまで溶解する)。これを400mlの遠沈管に入れ、+10℃の恒温槽中にて4時間静置する。これを+10℃に温調した遠心分離機にて10,000rpmで30分間遠心分離した後、不溶分と可溶分をデカンテーションして分離する。遠沈管内の不溶分を120℃、10mmHgで2時間減圧乾燥することにより残存ヘキサンを蒸発させ、残査の重量(Wi)[g]から10℃におけるヘキサン不溶分(Wi/W)×100[%]を算出する。
一方、+10℃におけるヘキサン可溶分として分離した溶液を再度遠沈管中に入れ、−20℃の恒温槽中にて4時間静置する。これを−20℃に温調した遠心分離機にて前述と同様にして遠心分離し、不溶分と可溶分を分離する。得られた可溶分を減圧エバポレータにて濃縮後前述と同様の条件で減圧乾燥し、その重量(Ws)[g]から−20℃におけるヘキサン不溶分{100−(Ws/W)×100}[%]を算出する。
また、0℃におけるヘキサン不溶分は、静置温度と遠心分離機の温度を0℃にする以外は上記の+10℃におけるヘキサン不溶分の測定と同様にして測定できる。
【0007】
(A)としては、エチレン(a)単位と他のビニル系単量体(b)単位を必須構成単位とする共重合体(A1)および長鎖アルキル基含有ビニル系単量体(c)単位を必須構成単位とし、(a)を含まない重合体(A2)などが挙げられる。
これらのうち(A1)が好ましい。
なお、本発明において、「ビニル系単量体」はビニル重合が可能な不飽和二重結合を有する単量体を意味する。
【0008】
(A1)において、(a)とともに共重合体を構成する他のビニル系単量体(b)には、不飽和エステル(b1)、炭素数3〜22のα-オレフィン(b2)、およびその他のビニル系単量体(b3)が含まれる。
(b1)としては、カルボン酸のアルケニルエステル(b11)、並びに不飽和カルボン酸のアルキル、アリールもしくはアラルキルエステル(b12)などが挙げられる。
【0009】
(b11)を構成するカルボン酸としては、直鎖および分岐の炭素数2〜24(炭素数はカルボニル炭素を含む。以下同じ)(好ましくは、2〜16、特に2〜12)の脂肪族飽和カルボン酸[直鎖脂肪族飽和カルボン酸(酢酸、n−プロピオン酸、n−ヘキサン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など)、分岐2級脂肪族飽和カルボン酸(2-エチルヘキサン酸など)、および分岐3級脂肪族飽和カルボン酸(ネオノナン酸、ネオデカン酸、ネオドデカン酸など);炭素数8〜22の不飽和脂肪族カルボン酸(オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸など);炭素数6〜12の芳香族カルボン酸(安息香酸、フェニル酢酸、ナフタレンカルボン酸など);および炭素数4〜12の脂環式カルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸、デカヒドロナフタレンカルボン酸など)が含まれる。
(b11)を構成するアルケニル基としては炭素数2〜4(好ましくは2)のアルケニル基、例えばビニル基、(メタ)アリル基、イソプロペニル基などが挙げられる。
(b11)の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、パルミチン酸ビニルおよびステアリン酸ビニルなどが挙げられる。
【0010】
(b12)としては、炭素数3〜18(好ましくは、3および4)の不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸(アクリル酸およびメタクリル酸を表す、以下同様)など]のアルキル、アリールおよびアラルキルエステル、並びに炭素数4〜12(好ましくは4〜6)の不飽和ジカルボン酸[フマル酸、マレイン酸およびイタコン酸など]のジアルキル、ジアリールおよびジアラルキルエステルが挙げられる。
(b12)を構成するアルキル基は、炭素数1〜24の直鎖および分岐アルキル基、例えば、低級アルキル基(メチル、エチル、イソプロピルおよびブチル基など)、並びに高級アルキル基[直鎖1級アルキル基(オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびノナデシル基など)および分岐アルキル基(2−エチルヘキシル、2−メチルステアリル、2−メチルアイコシルおよび2−メチルドコシル基など)];アリール基としては炭素数6〜12のアリール基(フェニルおよびナフチル基など);アラルキル基としては炭素数7〜11のアラルキル基(ベンジル基およびフェニルエチル基など)が挙げられる。
(b12)の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジデシル、マレイン酸ジドデシル、フマル酸ジドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、およびマレイン酸ジベンジルなどが挙げられる。
【0011】
(b2)としては、直鎖および分岐の炭素数3〜22のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチルペンテン-1、1-オクテン、1-ドデセン、1-テトラデセンおよび1-オクタデセンなどが挙げられる。
【0012】
(b3)としては、脂環式炭化水素系ビニル単量体[シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ノルボルネン、ピネン、インデン、ビニルシクロヘキセンなど];炭素数4〜12のアルカジエン[ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,7-オクタジエンなど];芳香族炭化水素系ビニル単量体[スチレン、ビニルトルエンなど];炭素数2〜4のアルケニル基を有するアルキルアルケニルエーテル[炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基を有するアルキルアルケニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテルなど)、アリールビニルエーテル(フェニルビニルエーテルなど)];ビニルケトン類[メチルビニルケトン、ブチルビニルケトン、フェニルビニルケトンなど];ハロゲン原子含有ビニル単量体[塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニルなど];アミド基もしくはイミド基含有ビニル単量体{非置換もしくはアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-i-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドなど]、N-ビニルカルボン酸アミド[N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドンなど]、および非置換もしくは置換マレイミド[マレイミド、フェニルマレイミド、エチルマレイミド、ドデシルマレイミドなど]など};ヒドロキシル基含有ビニル単量体{ヒドロキシル基含有芳香族ビニル単量体[p-ヒドロキシスチレンなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなど]、および炭素数2〜12のアルケノール[ビニルアルコール(カルボン酸ビニル単位の加水分解により形成される)、(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、1-オクテノールなど]など};1〜3級アミノ基含有単量体{炭素数2〜6のアルケニルアミン[ビニルアミン、アリルアミン、クロチルアミンなど]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレートなど]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリルアミド[アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど]、アミノ基含有芳香族ビニル単量体[N,N-ジメチルアミノスチレンなど]、含窒素複素環含有ビニル単量体[ビニルピリジン、ビニルカルバゾールなど]など};ニトリル基またはニトロ基含有ビニル単量体[(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、ニトロスチレンなど];エポキシ基含有ビニル単量体[グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アリルエーテルなど]などが挙げられる。
【0013】
(A1)には、(a)と1種の(b)を構成単量体とする2元共重合体、および(a)と2種以上の(b)を構成単量体とする3元もしくはそれ以上の共重合体が含まれる。
(b)の少なくとも一部として(b1)、特に(b11)、とりわけ炭素数2〜16の飽和脂肪族カルボン酸のアルケニルエステルを用いるのが好ましい。
更に好ましいものは酢酸ビニルおよび酢酸ビニルと酢酸ビニル以外の(b1)および/または(b2)との併用、並びにこれらと少量の(b3)の併用である。酢酸ビニル以外の(b1)のうち好ましいものは、(b11)のうちのカルボン酸の炭素数が3〜16の脂肪族飽和カルボン酸アルケニルエステル、(b12)のうちのアルキル基の炭素数が1〜16の不飽和カルボン酸アルキルエステル(ジカルボン酸の場合はジアルキルエステル)であり、さらに好ましいものは直鎖または分岐の炭素数3〜12の脂肪族飽和カルボン酸ビニルエステル、特に好ましいものは炭素数4〜12の分岐脂肪族飽和カルボン酸ビニルエステル、とりわけ好ましいものは分岐3級脂肪族飽和カルボン酸ビニルエステルである。
3元以上、特に3または4元の共重合体は、2元共重合体よりも通油性が向上する点で好ましい。
【0014】
(A1)は、好ましくは70〜95モル%、さらに好ましくは80〜90モル%、特に好ましくは81〜88モル%、とりわけ好ましくは82〜87モル%のエチレン(a)単位のモル含量(Ma)を有するのが、低温流動性が向上する点で好ましい。
(A1)は、好ましくは30〜85重量%、さらに好ましくは50〜75重量%、特に好ましくは52〜68重量%のエチレン(a)単位の重量含量(Wa)を有するのが、低温流動性が向上する点で好ましい。
(A1)は、好ましくは5〜30モル%、さらに好ましくは10〜20モル%、特に好ましくは12〜19モル%、とりわけ好ましくは13〜18モル%の他のビニル単量体(b)単位のモル含量(Mb)を有するのが、低温流動性が向上する点で好ましい。
(A1)は、エチレンおよび酢酸ビニル以外の単量体を、好ましくは0〜15モル%、さらに好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.8〜8モル%、とりわけ好ましくは1〜5モル%含有する。
【0015】
(a)と(b)の組み合わせの具体例としては以下のものなどが挙げられる。
▲1▼エチレン/酢酸ビニル(モル比84/16)共重合体
▲2▼エチレン/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニル(モル比84/15/1)共重合体
▲3▼エチレン/酢酸ビニル/2-エチルヘキサン酸ビニル(モル比83/15/2)共重合体、
▲4▼エチレン/酢酸ビニル/4-メチルペンテン-1共重合体、
▲5▼エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸2-エチルヘキシル共重合体、
▲6▼エチレン/アクリル酸メチル共重合体、
▲7▼エチレン/2-エチルヘキサン酸ビニル共重合体、
【0016】
(A1)には、所定のヘキサン不溶分を与える条件下で(a)と(b)を共重合させてなる重合体(A11)、および(a)と(b)の共重合体(A0)のうちの必要な不溶分のみからなる重合体(A12)が含まれる。
(A11)は、好ましくは2.2%以下、さらに好ましくは2.1%以下、特に好ましくは2.0%以下、とりわけ1.8%以下の分岐度を有する。
分岐度が2.2%以下であれば燃料油組成物の低温流動性が十分である。
(A12)は、好ましくは2.8%以下、さらに好ましくは2.3%以下、特に好ましくは2.2%以下の分岐度を有する。
(A1)の分岐度の好ましい下限は0.3%、さらに好ましく0.4%、特に好ましくは0.5%である。
0.3%以上であれば基油への溶解性が不足することはなく燃料油組成物の通油性が良好である。
尚、分岐度とは、(a)および(b)のビニル基由来のメチレン基およびメチン基の総個数に対する枝分かれによって生じたメチル基の個数の百分率である。
分岐度は1H-NMRによって求めることができる。
たとえばエチレンと酢酸ビニルの共重合体の場合は、0.8〜0.9ppmのピーク強度[1](分岐メチル基由来)と、1.0〜1.9ppmのピーク強度[2](エチレン由来のビニルメチレンおよびメチン、ならびに酢酸ビニルのビニルメチレン由来)と、2.0ppm付近のピーク強度[3](酢酸ビニルのアセチルメチル基由来)と4.7〜5.0ppmのピーク強度[4](酢酸ビニルのビニルメチン由来)から下式のよって算出する。
分岐度(%) = [1]/3÷{([2]−[1]/3)/2+[1]/3+[4]}×100
酢酸ビニル以外のカルボン酸ビニルを含有する場合は、カルボン酸基由来のピークが[1]および[2]と重なる場合がある。その場合はカルボン酸基のカルボニル基の隣の炭素に結合しているプロトンのピークの強度[5](2.0〜2.3ppm)および4.7〜5.0ppmのピーク強度[4](脂肪酸ビニルのビニルメチン由来)からカルボン酸ビニルの含有量を求め、そのモル比から[1]および[2]と重なっているカルボン酸基の吸収を減じて算出する。
α-オレフィン単位を含有している場合は、(1H-NMRでは分岐とα-オレフィンの区別が困難なので)重合時の仕込量と反応率からα-オレフィンの共重合比を算出し、そのモル比から[1]および[2]と重なっているα-オレフィン側鎖の吸収を減じて算出する。
【0017】
(A)および(A0)は、公知の方法によって得ることができる。例えば前記ビニル単量体類を溶剤中もしくは無溶剤下にラジカル重合することにより得られる。
重合開始剤としては、アゾ系開始剤(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなど)や過酸化物系開始剤[例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(以下、DIPCと略記する)、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、ジt-ブチルパーオキサイドなど(以下、DTBPと略記する)]を用いることができる。
重合溶剤としては、脂肪族もしくは脂環式炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素[トルエン、キシレン、エチルベンゼン、炭素数9の芳香族混合溶剤(トリメチルベンゼン、エチルトルエンなどの混合物)、炭素数10〜11の芳香族混合溶剤など]、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)などが使用できる。これらの重合溶剤は重合完了後留去することもできるが、そのまま(A)または(A0)を溶液状にするための溶剤として使用することもできる。
(A11)は、上記の方法において、その共重合組成分布をシャープにし、かつ分岐度を小さくする重合条件を採択することにより製造することができる。 共重合組成分布を小さくするためには、重合中に各単量体の比率が一定になるように重合率の進行に合わせてモノマーを滴下する方法などが挙げられる。分岐度を小さくするためには、重合温度を低く(通常0〜300℃、好ましくは30〜160℃、特に好ましくは30〜130℃)するとともに、連鎖移動剤を併用することも有効である。連鎖移動剤としては公知のメルカプタン類(ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど)、2級アルコール(イソプロピルアルコール、s-ブタノールなど)、置換芳香族化合物(トルエン、キシレン、クメンなど)、アルデヒド類(プロピオンアルデヒドなど)などが使用できる。また、溶剤中の重合よりも無溶剤下の重合のほうが分岐度を小さくしやすい点で好ましい。また、(A12)は、(A0)を、重合体の一部が溶剤中で析出する温度(例えば+10℃〜−20℃、またはそれ以下の温度)で、必要な重合体を分別抽出することなどにより得ることができる。例えば、(A0)をヘキサン、ヘプタンまたはシクロヘキサンなどの溶剤に溶解した後、所定温度に温調し遠心分離器を用いて可溶分と不溶分を分離する。その後脱溶剤することで所望のヘキサン不溶分に分別した重合体(A12)が得られる。
【0018】
また、(A2)には、1種または2種以上の(c)の(共)重合体、および(c)と炭素数1〜12の短鎖アルキルを有するビニル単量体(d)の共重合体が含まれる。
(A2)を構成する長鎖アルキル基含有ビニル系単量体(c)には、炭素数13〜50のアルキル基を有する、長鎖脂肪族飽和カルボン酸アルケニルエステル(c1)、不飽和カルボン酸長鎖アルキルエステル(c2)、長鎖アルカノールアルキレンオキサイド付加物不飽和カルボン酸エステル(c3)、長鎖アルキルアルケニルエーテル(c4)、不飽和カルボン酸長鎖アルキルアミド(c5)および不飽和ジカルボン酸長鎖アルキルイミド(c6)、並びに炭素数16〜50の長鎖α-オレフィン(c7)が挙げられる。 これらのうち好ましいものは、(c1)、(c2)および(c7)であり、特に好ましいものは(c2)である。
【0019】
(c1)としては、(b11)として挙げたもののうちカルボン酸の炭素数が14〜24のものが挙げられる。
これら(c1)のうち好ましいものは、ビニルエステルであり、さらに好ましいものは、炭素数14〜22のアルキル基を有する脂肪族飽和カルボン酸ビニルエステルである。
(c2)としては、(b12)として挙げた不飽和カルボン酸アルキルエステルのうち、アルキル基の炭素数が13〜24のものが挙げられる。
これら(c2)のうち好ましいものは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルおよびイタコン酸ジアルキルエステルであり、さらに好ましいものは、アルキル基の炭素数が14〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
(c3)としては、炭素数13〜50のアルカノール(テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、ベヘニルアルコールなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)[エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)]付加物の、(メタ)アクリル酸エステル、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステルなどが挙げられる。
これら(c3)のうち好ましいものは、炭素数14〜22のアルカノールのEO付加物(付加モル数1〜10)の(メタ)アクリル酸エステル、フマル酸ジエステルおよびマレイン酸ジエステルであり、特に好ましいものは、炭素数14〜22のアルカノールのEO付加物(付加モル数1〜10)の(メタ)アクリル酸エステルである。
(c4)、(c5)および(c6)を構成するアルキル基としては、炭素数13〜24のアルキル基(たとえばテトラデシル、ヘキサデシルおよびオクタデシル基など)が挙げられる。(c4)にはこれらのアルキル基を有するビニルエーテル、アリルエーテルおよびイソプロペニルエーテルなどが含まれる。
(c5)にはこれらのアルキル基で置換された(メタ)アクリルアミド、フマルアミド、マレアミドおよびイタコンアミドなど、ならびに、(c6)にはこれらのアルキル基で置換されたマレイミドおよびイタコンイミドなどが含まれる。
(c7)としては、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、炭素数18〜22のα-オレフィン混合物、炭素数20〜28のα-オレフィン混合物、炭素数30〜50のα-オレフィン混合物などが挙げられる。
これら(c7)のうち好ましいものは炭素数16〜24のα-オレフィンである。
【0020】
(d)としては、飽和もしくは不飽和脂肪族カルボン酸(炭素数2〜13)アルケニルエステル(d1)、不飽和カルボン酸アルキル(炭素数1〜12)エステル(d2)、炭素数3〜14のα-オレフィン(d3)、アルキル(炭素数1〜12)アルケニルエーテル(d4)などが挙げられる。
(d1)としては、前述の(b11)のうちの飽和もしくは不飽和脂肪族カルボン酸アルケニルエステルのうち、脂肪族カルボン酸の炭素数2〜13のものなどが挙げられる。
(d2)としては、(b12)のうちの不飽和カルボン酸アルキルエステルのうち、アルキル基の炭素数1〜12のアルキルエステルが挙げられる。
(d3)としては、(b2)のうちの炭素数3〜15のα-オレフィンが挙げられる。
(d4)としては、(b3)のうちのアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは(d2)であり、さらに好ましいものは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、特に好ましいものは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルおよび(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0021】
(A2)は、全単量体の重量に基づいて、好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは30〜70重量%の(c)単位を有する。
また(A2)は、全単量体の重量に基づいて、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは30〜70重量%の(d)単位を有する。
【0022】
(A2)における、(c)と(d)の組み合わせの具体例としては以下の組み合わせが挙げられる。
▲1▼アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸メチル共重合体
▲2▼アクリル酸ベヘニル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸メチル共重合体
▲3▼アクリル酸ベヘニル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体
▲4▼メタクリル酸ベヘニル/メタクリル酸メチル共重合体
▲5▼メタクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ステアリル/メタクリル酸メチル共重合体
▲6▼ステアリン酸ビニル/酢酸ビニル共重合体
【0023】
(A2)は、(A1)と同様にして、重合条件の採択により、または分別抽出により製造することができる。
【0024】
(A)は、好ましくは+30〜−10℃、さらに好ましくは+25〜−5℃、特に好ましくは+25〜0℃の範囲の5%ケロシン溶液の曇点(以下CPと略記する)を有する。低温流動性の観点から−10℃以上が好ましく、通油性の観点から+30℃以下が好ましい。
なおCPは、試料を5%の濃度になるようにケロシンに溶解(必要により加温して溶解)した後、徐々に冷却(0.5℃/分)し、溶液が白濁し始める温度を読み取ることにより測定できる。
(A)は、低温流動性及び溶解性の観点から、好ましくは8.4〜9.7、さらに好ましくは8.9〜9.5、特に好ましくは8.95〜9.4、とりわけ好ましくは9.0〜9.3の溶解度パラメータ(SP)を有する。
SPを8.4以上にすることで低温流動性が向上し、9.7以下にすることで基油に対する溶解性が向上する。
尚、SPは、Fedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって算出される値である。
【0025】
(A)は、好ましくは2,000〜500,000、さらに好ましくは2,500〜100,000、特に好ましくは3,000〜50,000、とりわけ好ましくは5,000〜20,000の重量平均分子量(以下Mwと略記する)を有する。
Mwを2,000以上にすることで低温流動性が向上し、500,000以下にすることで基油への溶解性が向上する。
(A)は、好ましくは1,000〜200,000、さらに好ましくは1,500〜50,000、特に好ましくは2,000〜20,000、とりわけ好ましくは2,500〜10,000の数平均分子量(以下Mnと略記する)を有する。
Mnを1,000以上にすることで低温流動性が向上し、200,000以下にすることで基油への溶解性が向上する。
尚、本発明においてMwおよびMnは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる測定値であり、ポリスチレン換算により測定した分子量である。
(A)は、上記のCP、SPおよびMwのうち少なくとも1つ、さらに2つを満たすことが好ましく、特に好ましいのは全てを満たすことである。
(A)は、好ましくは2.3以下、さらに2.2以下の分子量分布(Mw/Mn)を有するのが好ましい。また(A1)が2元共重合体であって、分岐度が2.2を超える場合、分子量分布は好ましくは1.9以下、特に1.8以下である。
【0026】
本発明の流動性向上剤は、溶剤の存在下に重合させて、溶剤で希釈された状態で得られたものを燃料油用添加剤組成物(以下「添加剤組成物」と表す)として使用することもでき、または重合後に溶剤などの希釈剤で希釈して添加剤組成物として使用することもできる。あらかじめ溶剤で希釈しておくことで、燃料油などに添加する際に容易に溶解するようになり、低温流動性が発現しやすくなる点で好ましい。
希釈剤(C)としては、脂肪族溶剤[炭素数6〜18の脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、デカリン、灯油など)];芳香族溶剤{炭素数7〜15の芳香族溶剤[トルエン、キシレン、エチルベンゼン、炭素数9の芳香族混合溶剤(トリメチルベンゼン、エチルトルエンなどの混合物)、炭素数10〜11の芳香族混合溶剤など]};および後述の燃料油(例えば炭素数7〜30の燃料油)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは炭素数7〜18の炭化水素であり、特に好ましいものは炭素数9の芳香族混合溶剤および炭素数10〜11の芳香族混合溶剤である。
本発明の添加剤組成物中の希釈剤の比率は、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。希釈剤の比率が高いほうが燃料油などに容易に溶解する点で好ましいが、あまり多いのは経済的ではない。
【0027】
本発明の添加剤組成物の曇点(CP)は、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは−20〜75℃、特に好ましくは0〜70℃、とりわけ好ましくは10〜65℃である。曇点を80℃以下にすることで基油への溶解が容易になる。
なお、添加剤組成物の曇点は、添加剤組成物そのものを加温して均一溶解した後、徐々に冷却し、溶液が白濁し始めるる温度をもって曇点とする。
また、該添加剤組成物の100℃における動粘度(JIS K2283に従って測定できる)は、通常100mm2/s以下、好ましくは5〜80mm2/s、さらに好ましくは10〜60mm2/sである。動粘度が100mm2/s以下であれば基油への溶解が容易になる。
【0028】
本発明の添加剤組成物においては、本発明の流動性向上剤並びに希釈剤(C)とともに他の添加剤を含有させることができる。
他の添加剤としては、+10℃におけるヘキサン不溶分が30%を超える、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である重合体(B)などが挙げられる。
なお、+10℃におけるヘキサン不溶分は、(A)の場合と同様の方法によって測定できる。
【0029】
(B)としては、(a)単位を(A1)の場合よりも高い割合で含有する共重合体(B1)、および(c)単位を、(A2)の場合よりも高い長鎖アルキル平均炭素数となる割合で含有する重合体(B2)などが挙げられる。これらのうち(B1)がより好ましい。
【0030】
(B1)を構成する他のビニル単量体(b)としては、前記(A1)を構成する(b)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
(B1)は前記(A1)と比較して+10℃におけるヘキサン不溶分が多いが、これは共重合体中の(a)の比率を(A1)の場合よりも多くすることなどにより得られる。
(B1)は、通常80〜99モル%、好ましくは86〜98モル%、さらに好ましくは88〜97モル%のエチレン(a)単位のモル含量(Mb)を有する。(Mb)は(A1)中の(a)のモル含量(Ma)よりも多いことが好ましい。すなわち、(Mb−Ma)は、好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上、特に好ましくは3モル%以上である。
(a)の含量が多いものを用いることにより、+10℃の不溶分が多くなり、低温流動性が向上する。
(B1)は、通常50〜97重量%、好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは70〜91重量%の重量含量(Wb)を有する。
(Wb)も(Mb)と同様に(Wa)よりも多いことが好ましく、(Wb−Wa)は、好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。
また、(a)と(b)からなる(B1)に、さらに幹ポリマーに使用した(b)と同一または異なる(b)をグラフト重合することもできる。グラフト重合することで基油への溶解性が向上する点で好ましい。
グラフト重合する(b)として好ましいものは前述の(b1)であり、さらに好ましいものは(b12)、特に好ましいものはフマル酸ジアルキルエステルおよびマレイン酸ジアルキルエステルである。
(B1)中のグラフト重合する(b)の比率は、(B1)の全重量に基づいて好ましくは0〜60%、さらに好ましくは10〜50%である。
なお、本発明においては、上記(B1)としてグラフト重合した共重合体を用いる際は、(B1)中の(a)の含量(モル含量および重量含量)としては、幹ポリマー中の(a)の含量を表す。
【0031】
(B2)を構成する(c)としては、前記(A2)を構成する(c)と同様のものが挙げられる。
(B2)は前記(A2)と比較して+10℃におけるヘキサン不溶分が多いが、これは(c)の有する長鎖アルキル基の炭素数を(A2)の場合よりも大きくすること、および/または重合体中の(c)の比率を多くすることで達成できる。
(B2)を構成する(c)として好ましいものはアルキル基の炭素数が18〜24の(c)、さらに好ましいものはアルキル基の炭素数が18〜24の(c2)、特に好ましいものはアルキル基の炭素数が18〜24の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびイタコン酸ジアルキルエステルである。
(B2)を構成する(c)の長鎖アルキル基の平均炭素数(Lb)と(A)を構成する(c)の長鎖アルキル基の平均炭素数(La)との差(Lb−La)は、好ましくは2以上である。
長鎖アルキル基の平均炭素数が多いものを用いることにより+10℃の不溶分が多くなり、低温流動性が向上する。
また、(B2)も(A2)と同様な短鎖アルキルを有するビニル単量体(d)を共重合することもできる。
重合体(B2)を構成する単位のうちの(c)と(d)の割合は、全単量体に基づいて(c)が好ましくは50〜100%、さらに好ましくは70〜100%、特に好ましくは80〜100%であり、(d)の割合は、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。
【0032】
(B)のMwおよびMnの好ましい範囲は(A)と同様である。
(B)を用いることで、より少量の流動性向上剤で低温流動性が向上できる点で好ましい。
【0033】
(B)の具体例としては、以下のものなどが挙げられる。
▲1▼エチレン/酢酸ビニル(モル比90/10)共重合体
▲2▼エチレン/酢酸ビニル(モル比96.5/3.5)共重合体へのジ2−エチルヘキシルフマレートグラフト重合物、
▲3▼エチレン/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニル(モル比82/17/1)共重合体へのジベヘニルフマレートグラフト重合物、
▲4▼ステアリルアクリレート/ベヘニルアクリレート共重合体、
▲5▼ベヘニルアルコールのEO4モル付加物のアクリル酸エステル/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体
【0034】
他の添加剤として(B)を使用する場合、(A)と(B)の重量比は、(A):(B)が好ましくは99:1〜70:30、さらに好ましくは95:5〜80:20となるような重量比である。(B)の比率を1以上にすることで、より少量の流動性向上剤で低温流動性が向上できる点で好ましく、(B)の比率を30以下にすることで常温でのフィルター通油性が良好である。
【0035】
添加剤組成物中に含まれる他の添加剤として、さらに公知の他の添加剤たとえば、ワックス分散剤[フマル酸ジアルキル/酢酸ビニル共重合体、フマル酸ジアルキル/プロピレン共重合体、アルキルフェノールノボラックなど]、潤滑性向上剤(オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸およびそのグリセリンエステルなど)、防錆剤(脂肪族アミンおよびその塩、有機リン酸エステル、有機スルホン酸塩など)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類、サリチリデン誘導体など)、セタン価向上剤(アルキル硝酸エステル類、例えばアミルナイトレートおよびイソプロピルナイトレートなど)、清浄分散剤、燃焼性向上剤、導電性付与剤、およびその他の流動性向上剤(ポリオールの脂肪酸エステルなど)などを含有させることもできる。
他の添加剤のうちの(B)以外の添加剤の使用量は、燃料油組成物の全重量に基づいて、通常0〜10,000ppm、好ましくは10〜5,000ppmになるような量である。
なお、本発明の添加剤組成物は、その成分をそれぞれ別にして燃料油に添加することもでき、その場合の添加する順序も特に限定されない。
【0036】
本発明の流動性向上剤は、石油中間留出油、燃料油(ディーゼル燃料油、A重油等)、特に炭素数17〜22のワックスを含有する燃料油(該ワックスの含有量は通常1〜10%)の低温での流動性の向上[CFPP(低温濾過器目詰まり点)およびPP(流動点)の低下]および低温でのフィルター通油性の向上に有用である。
炭素数17〜22のワックスを含有する燃料油としては、低硫黄原油(たとえば、ミナス原油等、南方系の原油)の通常の蒸留で得られるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油およびA重油;通常の原油から水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油およびA重油;該脱硫軽油と直留軽油(水素化脱硫工程前の軽油)をブレンドして得られる軽油留分から製造されるJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油、JIS特3号軽油およびA重油などが挙げられる。
特に、ワックスの析出温度がシャープな燃料油すなわち蒸留範囲が狭い燃料油、例えば、水素化脱硫処理工程を経て製造される脱硫軽油を50%以上ブレンドして製造される、硫黄含有量が0.05%以下とりわけ0.005%以下のJIS1号軽油、JIS2号軽油、JIS3号軽油およびJIS特3号軽油に有用である。
燃料油の蒸留範囲は、通常JIS(K2254)記載の蒸留試験方法で測定され、90%留出温度(d90)と20%留出温度(d20)の差が小さいものは蒸留範囲が狭いとされている。
【0037】
本発明の流動性向上剤が添加される燃料油の曇り点(JIS K2269)は、通常+5〜−25℃、好ましくは0〜−7℃である。曇り点が0〜−7℃の燃料油に添加した際に特に低温流動性の向上効果に優れる。
本発明の流動性向上剤は、200〜280℃のd20、および325〜344℃、特に330〜341℃d90を有する蒸留性状の燃料油に添加した際に、公知の流動性向上剤と比較してより少量の添加で優れた低温流動性向上効果を示す。
本発明の流動性向上剤の添加量は、燃料油組成物中に、通常10〜2,000ppm、流動性および経済性の観点から、好ましくは20〜1,500ppm、さらに好ましくは20〜1,000ppm、特に好ましくは20〜700ppmとなるような添加量である。
また(B)を併用する場合の(A)と(B)の合計の含量は、通常10〜2,000ppm、好ましくは20〜1,000ppmである。
また、その他の流動性向上剤(ポリオールの脂肪酸エステルなど)を併用する場合の合計の含量も上記と同様である。
本発明の流動性向上剤を用いた燃料油組成物は、(A)の含有量(WA)[ppm]と燃料油のd90[℃]が下式(1)の関係を満たすことが好ましく、さらに好ましくは下式(2)、特に好ましくは下式(3)を満たすことが好ましい。
45+10×(344−d90) ≦ WA ≦ 45+70×(344−d90) (1)
45+12×(344−d90) ≦ WA ≦ 45+60×(344−d90) (2)
45+15×(344−d90) ≦ WA ≦ 45+50×(344−d90) (3)
WAを45+10×(344−d90)以上にすることで低温流動性がより向上し、45+70×(344−d90)以下にすることで常温での通油性が向上する点で好ましい。
【0038】
本発明の流動性向上剤は、燃料油以外の、ワックス分を含有する油に対しても効果を示し、例えば潤滑油などにも有用である。また、石油留分起因のワックス以外の流動性阻害成分を含有する油にも効果を示し、例えば動物油や植物油起因の、偶数のアルキル基を有するワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、および脂肪族アミン等を含有する油の流動性向上にも効果を示す。
【0039】
【実施例】
以下に実施例および製造例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部はいずれも重量部を表す。
【0040】
実施例1〜9および比較例1〜4
<流動性向上剤>
下記の重合体A-1〜A-5、B-1〜B-3、およびX-1〜X-3を流動性向上剤として用いた。これらの共重合組成(モル%)および分析値を表1に示す。
【0041】
重合体A-1
温度計および撹拌装置の付いたガラス製フラスコに、重合体X−1[エチレン/酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニルのモル比=85/15%、分岐度2.5、Mn5500、Mw12000)]200部とヘキサン800部を仕込み、60℃にて撹拌し重合体を溶解した。次いで、これを0℃にて4時間静置後、0℃にて遠心分離(10,000rpm×30分間)し、可溶分をデカンテーションして取り出した。可溶分をさらに−22℃にて4時間静置後、−22℃にて同様に遠心分離し、可溶分をデカンテーションして取り除いた。残った不溶分を150℃にて減圧乾燥し、重合体A-1を得た。A-1は、エチレン85モル%、酢酸ビニル15モル%の共重合体(1H-NMRで測定して確認;以下同じ確認方法)であった。
【0042】
重合体A-2
重合体A-1の場合と同様の装置にエチレン/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニル共重合体(83/16/1モル%、分岐度2.9、Mn4000、Mw7300)200部とヘキサン800部を加え、60℃にて撹拌し重合体を溶解した。次いで、これを−20℃にて4時間静置後、−20℃で遠心分離し、不溶分を単離した。得られた不溶分を150℃にて減圧乾燥し、重合体A-2を得た。
【0043】
重合体A-3
撹拌装置、加熱装置、吹き込みラインおよび滴下ラインを付したオートクレーブにシクロヘキサン300部を仕込み、窒素置換後、エチレンにより9.8MPaに加圧した後、80℃に昇温した。この圧力が反応の間一定になるようにエチレンを吹き込んだ。これに酢酸ビニル98部と2-エチルヘキサン酸ビニル26部の混合物およびDIPCの50%炭化水素溶剤溶液[「パーロイルIPP−50」(日本油脂(株)製)]6部とプロピオンアルデヒド18部の混合物を2時間で滴下し、80℃にて重合させた。滴下終了後、反応混合物をオートクレーブから取り出し、未反応のモノマーおよび溶媒を減圧乾燥により除去し、重合体A-3を得た。
【0044】
重合体A-4
耐圧管状反応器に、エチレン533部、酢酸ビニル360部、ネオデカン酸ビニル107部、プロピオンアルデヒド40部および「パーロイルIPP−50」0.5部の混合物を供給し、120℃、110MPa、滞留時間3分の条件下で重合させた。重合終了後、未反応のモノマーを減圧乾燥により除去し、重合体A-4を得た。
【0045】
重合体A-5
原料単量体の比率を、エチレン506部、酢酸ビニル312部、ネオデカン酸ビニル182部に代える以外は重合体A-4の場合と同様にして重合し、重合体A-5を得た。
【0046】
重合体X-1
エチレン/酢酸ビニル共重合体[エチレン/酢酸ビニル=85/15モル%、分岐度2.5、Mn5500、Mw12000]を重合体X-1とした。
【0047】
重合体X-2
エチレン/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニル共重合体[84/14/2モル%、分岐度4.2、Mn3200、Mw7500]を重合体X-2とした。
【0048】
重合体X-3
重合体A-3の場合と同様のオートクレーブに、溶剤としてベンゼン300部を仕込み、窒素置換後、エチレンにより12.7MPaに加圧した後、90℃に昇温した。この圧力が反応の間一定になるようにエチレンを吹き込んだ。これに酢酸ビニル120部およびジラウロイルパーオキサイド6部を2時間で滴下し、90℃にて重合した。滴下終了後、反応混合物をオートクレーブから取り出し、未反応のモノマーおよび溶媒を減圧乾燥により除去し、重合体X-3を得た。
【0049】
重合体B-1
撹拌装置、加熱装置、温度計、窒素吹き込み管を備えたガラス製反応器に、エチレン/酢酸ビニル共重合体(96.5/3.5モル%、分岐度3.4、Mn2600、Mw6600)500部およびジ2-エチルヘキシルフマレート500部を仕込み、窒素雰囲気とし、155℃に昇温した。これに155℃にてDTBP20部およびラウリルメルカプタン1.7部を2時間で滴下した。滴下終了後さらに2時間155℃で反応し、重合体B-1を得た。
B-1は上記エチレン/酢酸ビニル共重合体にジ2-エチルヘキシルフマレートがグラフトした共重合体であった。
【0050】
重合体B-2
エチレン/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニル共重合体(83/16/1モル%、分岐度2.9、Mn4000、Mw7300)700部およびジベヘニルフマレート300部を使用し、DTBP9部およびラウリルメルカプタン0.7部を使用した以外はB-1と同様に反応して重合体B-2を得た。
B-2は上記のエチレン/酢酸ビニル/ネオデカン酸ビニル共重合体にジベヘニルフマレートがグラフトした共重合体であった。
【0051】
重合体B-3
重合体X-2を200部用い、不溶分を除去する温度を+10℃に、可溶分を除去する温度を+5℃に変える以外は重合体A-1の場合と同様にして、重合体B-3を10部を得た。
【0052】
【表1】
【0053】
<添加剤組成物>
実施例1〜9および比較例1〜4
撹拌装置、加熱装置および温度計を備えたガラス製容器に、表2に示した重合体、および希釈剤として炭素数10〜11の石油系芳香族混合溶剤(初留点182℃〜終点204℃)350部を仕込み、100℃にて均一溶解して、本発明の流動性向上剤を含有する添加剤組成物(T1)〜(T9)および比較例の添加剤組成物(X1)〜(X4)を得た。
それらのCPおよび100℃における動粘度を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
<燃料油組成物>
実施例10〜43、比較例5〜22
表3に示す性状の燃料油(軽油)1〜5に、表4〜8に示した量の添加剤組成物を加えて均一に混合し、PP[流動点(℃):JIS K2269−3に記載の方法]とCFPP[低温濾過器目詰まり点(℃):JIS K2288に記載の方法]を測定することにより低温流動性を評価した。
また、通油性は、メンブランフィルター(孔径5μm、フィルター径13mmφ)を付した加圧濾過器に、5℃に温調した評価油をポンプにて毎分20mLの流量で送液し、その濾過圧が0.1MPaに到達するまでの通油時間(分)をもって評価した。
その結果を表4〜表8に示す。これから明らかなように本発明の流動性向上剤は、いずれの軽油に対しても、非常に優れた低温流動性を与え、通油性への悪影響も小さい。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【発明の効果】
本発明の流動性向上剤および燃料油用添加剤組成物は、従来のものに比較して、燃料油の低温流動性の向上効果に優れ、少量の添加でCFPP(低温濾過器目詰まり点)およびPP(流動点)を低くすることができる。また、通油性への悪影響も小さく、常温でフィルターに目詰まりすることもない。
とりわけ、従来の流動性向上剤では低温流動性の向上が困難であった沸点範囲が狭い低硫黄含量の軽油に対して有効である。
また、本発明の燃料油組成物は、低温流動性が向上され、かつ通油性の問題がない。
Claims (22)
- ビニル系重合体を含有する流動性向上剤であって、該重合体が+10℃において30重量%以下のヘキサン不溶分および−20℃において60重量%以上のヘキサン不溶分を有するビニル系重合体(A)であることを特徴とする流動性向上剤。
- (A)のヘキサン不溶分が0℃において50重量%以下である請求項1記載の流動性向上剤。
- (A)の5%ケロシン溶液の曇点が+30℃〜−10℃である請求項1または2記載の流動性向上剤。
- (A)の溶解性パラメータが8.4〜9.7である請求項1〜3のいずれか記載の流動性向上剤。
- (A)の重量平均分子量が2,000〜500,000である請求項1〜4のいずれか記載の流動性向上剤。
- (A)が、エチレン(a)と少なくとも1種以上の他のビニル系単量体(b)の共重合体(A1)である請求項1〜5のいずれか記載の流動性向上剤。
- (A1)中のエチレン(a)から誘導される単位のモル含量(Ma)が70〜95モル%である請求項6記載の流動性向上剤。
- 単量体(b)が、不飽和エステル(b1)および炭素数3〜22のα−オレフィン(b2)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6または7記載の流動性向上剤。
- 単量体(b1)が、カルボン酸アルケニル(b11)である請求項8記載の流動性向上剤。
- (A1)が、エチレン(a)単位、酢酸ビニル単位、並びに炭素数3〜22のα−オレフィンおよび炭素数3〜12の脂肪族飽和カルボン酸のビニルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単位を有する共重合体である請求項6または7記載の流動性向上剤。
- (A1)が、2.2%以下の分岐度を有する共重合体である請求項9または10記載の流動性向上剤。
- 請求項1〜11のいずれか記載の(A)または(A1)並びに他の添加剤および/または希釈剤(C)からなる燃料油用添加剤組成物。
- (C)が炭素数7〜18の炭化水素である請求項12記載の添加剤組成物。
- 他の添加剤の少なくとも1種が、+10℃におけるヘキサン不溶分が50重量%を超える重合体(B)である請求項12または13記載の添加剤組成物。
- (B)が、エチレン(a)から誘導される単位を必須構成単位とする共重合体(B1)である請求項14記載の添加剤組成物。
- (B1)中の(a)から誘導される単位のモル含量(Mb)と、(A)中の(a)から誘導される単位のモル含量(Ma)の差(Mb−Ma)が1モル%以上である請求項15記載の添加剤組成物。
- 曇点が80℃以下であり、かつ100℃における動粘度が100mm2/s以下である請求項12〜16のいずれか記載の添加剤組成物。
- 炭素数17〜22の炭化水素からなるワックスを含む燃料油に対して請求項1〜11のいずれか記載の流動性向上剤を10〜2,000ppm含有してなる燃料油組成物。
- 炭素数17〜22の炭化水素からなるワックスを含む燃料油に対して請求項12〜17のいずれか記載の添加剤組成物を含有する燃料油組成物。
- 燃料油の硫黄含量が0.05重量%以下である請求項18または19記載の燃料油組成物。
- 燃料油の曇り点が0〜−7℃であり、かつ蒸留性状90%留出温度(d90)が325〜344℃である請求項18〜20のいずれか記載の燃料油組成物。
- 燃料油の蒸留性状90%留出温度(d90)[℃]と燃料油組成物中の(A)の含有量(WA)[ppm]が、下式(1)の関係を満たす請求項18〜21記載の燃料油組成物。
45+10×(344−d90) ≦ WA ≦ 45+70×(344−d90) (1)
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