JP2003245605A - 積層塗膜の形成方法およびそれにより得られた積層塗膜 - Google Patents

積層塗膜の形成方法およびそれにより得られた積層塗膜

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JP2003245605A
JP2003245605A JP2002049596A JP2002049596A JP2003245605A JP 2003245605 A JP2003245605 A JP 2003245605A JP 2002049596 A JP2002049596 A JP 2002049596A JP 2002049596 A JP2002049596 A JP 2002049596A JP 2003245605 A JP2003245605 A JP 2003245605A
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coating
meth
emulsion
forming
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JP2002049596A
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Tomohito Asai
智仁 淺井
Shinji Nakano
伸司 仲野
Teruaki Kuwajima
輝昭 桑島
Shinji Senoo
親治 妹尾
Yutaka Takeuchi
豊 竹内
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Nippon Paint Co Ltd
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐チッピング性を有するとともに塗膜硬度が低
下しない中塗り塗膜を含む積層塗膜が得られる積層塗膜
の形成方法を提供する。 【解決方法】電着塗装された基板上に、中塗り塗装およ
び上塗り塗装を施す積層塗膜の形成方法において、上記
記中塗り塗装に用いられる中塗り塗料が、アミドモノマ
ーを含むアクリルモノマー混合物を、ゴム粒子をシード
として乳化重合することにより得られたエマルションを
含んでいる水性塗料であり、さらに上記アクリルモノマ
ー混合物は高疎水性の(メタ)アクリル酸エステルを含
んでいてよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車ボディの塗装
に適した積層塗膜の形成方法およびそれにより得られた
積層塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車は走行中、路上に存在する小石な
どの小片を巻き上げ、これがボディに衝突することによ
り塗膜が破損することがある。これがいわゆるチッピン
グといわれるものである。このチッピングを防止するた
めに自動車外板の塗装において通常、電着塗装と中塗り
塗装との間にチッピングプライマーが塗装されている。
【0003】耐チッピング性の機能は、通常、このチッ
ピングプライマーにより形成された層にのみ期待されて
おり、その他の塗膜はこの機能を有するものではなかっ
た。そこで中塗り塗膜にも耐チッピング性を付与するこ
とで、さらに耐チッピング性を積層塗膜として得られる
ことが期待される。さらに、耐チッピング性を中塗り塗
膜に持たせることができれば、チッピングプライマーの
塗装を省くことができ、工程短縮が可能となる。しか
し、チッピングプライマーを塗装せずに充分な耐チッピ
ング性を有する塗膜はこれまで得られていない。
【0004】一方、特開平6−293876号公報に
は、低Tgのシェルと高Tgのコアとの二層構造からな
る樹脂を含んだ耐チッピング性に優れた車両用水性コー
ティング材が開示されている。しかし、この材料は、塩
化プラスチゾルの代替であって、床裏面などの通常目に
触れない部分に1000μm以上の厚膜で塗装するため
のものであり、外観が重視される自動車外板には実質的
に適用することはできなかった。
【0005】また、耐チッピング性を付与するには通常
柔らかい成分を塗膜中に含有させることが考えられる
が、こうすることで塗膜硬度が低下するという問題が起
こる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐チ
ッピング性を有するとともに塗膜硬度が低下しない中塗
り塗膜を含む積層塗膜が得られる積層塗膜の形成方法を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の積層塗膜の形成
方法は、電着塗装された基板上に、中塗り塗装および上
塗り塗装を施す積層塗膜の形成方法において、上記中塗
り塗装に用いられる中塗り塗料が、アミドモノマーを含
むアクリルモノマー混合物を、ゴム粒子をシードとして
乳化重合することにより得られたエマルションを含んで
いる水性塗料であることを特徴としている。上記アクリ
ルモノマー混合物はさらに高疎水性の(メタ)アクリル
酸エステルを含んでいてもよく、先の乳化重合が多段階
で行われ、最初の段階において高疎水性の(メタ)アク
リル酸エステルが用いられ、最後の段階においてアミド
モノマーが用いられてもよい。なお、積層塗膜を形成す
る際に、チッピングプライマー塗装を施さないようにす
ることができる。本発明の積層塗膜は上記方法により得
られるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の積層塗膜の形成方法は、
電着塗装された基板上に、中塗り塗装および上塗り塗装
を施す。ここで中塗り塗装に用いられる中塗り塗料が特
定のエマルションを含有する水性塗料である。
【0009】上記エマルションは、後述するアクリルモ
ノマー混合物を、ゴム粒子をシードとして乳化重合する
ことにより得られたものである。上記ゴム粒子は、塗膜
中でチッピングの衝撃を吸収する役割を果たすものであ
る。そのため上記ゴム粒子は、Tgが−65〜10℃で
あることが好ましい。−65℃未満では乳化重合で得ら
れるエマルションの安定性が低下し、10℃を上回ると
目的とする耐チッピング効果が得られない。
【0010】上記ゴム粒子は水分散体であることが好ま
しい。このような具体例としては、スチレン/ブタジエ
ン系ラテックス、アクリロニトリル/ブタジエン系ラテ
ックス、メタクリル酸メチル/ブタジエン系ラテックス
などを挙げることができる。
【0011】一方、上記アクリルモノマー混合物はアミ
ドモノマーを含んでいる。アミドモノマーは、アミド結
合により親水性を有しているため、乳化重合により得ら
れるエマルション粒子表面に局在化して重合すると考え
られる。このため、エマルション粒子表面の硬度が増加
することが期待される。
【0012】アミドモノマーの具体例としては、例え
ば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ
オクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミ
ド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミドを
挙げることができる。この中で特に親水性の高い(メ
タ)アクリルアミドを用いることが好ましい。
【0013】上記アクリルモノマー混合物に含まれるア
ミドモノマー以外のモノマーとしては、特に限定され
ず、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)
アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アク
リル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシ
クロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシ
クロペンタジエニル等)、重合性芳香族化合物(例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t
−ブチルスチレン、パラクロロスチレンおよびビニルナ
フタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例え
ば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例え
ば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例
えば、ブタジエン、イソプレン等)を挙げることができ
る。アミドモノマー以外のモノマーは任意に組み合わせ
て用いることができるが、表面にアミドモノマーをより
局在化させて重合させるためには、高疎水性の(メタ)
アクリル酸エステルを用いることが好ましい。ここで、
高疎水性の(メタ)アクリル酸エステルとは、エステル
部の炭素数が6以上のものを意味する。
【0014】上記アクリルモノマー混合物中におけるア
ミドモノマーの量は10〜50重量%であることが好ま
しい。10重量%未満では、目的とする効果が得られ
ず、50重量%を超えると乳化重合により得られたエマ
ルションの安定性が低下するだけでなく、耐チッピング
性が低下する恐れがある。また、高疎水性の(メタ)ア
クリル酸エステルを用いる場合、その量はアクリルモノ
マー混合物中で30〜90重量%とすることができる。
【0015】本発明の積層塗膜形成方法において用いら
れる中塗り塗料に含まれるエマルションは、上記アクリ
ルモノマー混合物を、先のゴム粒子をシードとして乳化
重合することにより得られたものである。ここで、乳化
重合は当業者によく知られた方法に基づいて行うことが
できる。上記アクリルモノマー混合物が高疎水性の(メ
タ)アクリル酸エステルを含んでいる場合には、以下の
ように乳化重合を多段階で行うことにより、表面にアミ
ドモノマーをより局在化させて重合させることができ
る。すなわち、まず、最初の段階において、高疎水性の
(メタ)アクリル酸エステルを用いて重合を行い、最後
の段階において、アミドモノマーを用いて重合を行う方
法が採られる。こうすることによって、ゴム粒子内部に
高疎水性の(メタ)アクリル酸エステルが濃縮された形
で、親水性が高いために粒子表面に存在するアミドモノ
マーと共重合するものと考えられる。なお、高疎水性の
(メタ)アクリル酸エステルとアミドモノマーとの親和
性が充分でないときには、最初と最後の段階の間に、こ
れら2種のモノマーの両方と親和性を有するモノマーを
用いて重合を行う段階を設けることができる。この2種
のモノマーの両方と親和性を有するモノマーは、特に限
定されないが、例えば、エステル部の炭素数が6未満の
(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。こ
れらは2種以上を混合して用いてもよく、また、必要に
応じて、高疎水性の(メタ)アクリル酸エステルまたは
アミドモノマーを一部混合して用いてもよい。なお、こ
のように乳化重合を多段階で行う際、先のアクリルモノ
マー混合物とは、各段階で用いたモノマーを全て合わせ
たものを意味するものとする。
【0016】乳化重合は、水、または必要に応じてアル
コール等のような有機溶剤を含む水性媒体中に当業者に
通常使用されている乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、ア
クリルモノマー混合物および重合開始剤を滴下すること
により行われる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したア
クリルモノマー混合物を同様に滴下してもよい。
【0017】好適に用いうる重合開始剤としては、アゾ
系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
および2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)等)、および水性化合物(例えば、アニオン系
の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)およびカチ
オン系の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンア
ミジン));並びにレドックス系の油性過酸化物(例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドおよびt−
ブチルパーベンゾエート等)、および水性過酸化物(例
えば、過硫酸カリウムおよび過酸化アンモニウム等)が
挙げられる。
【0018】さらに、分子量を調節するために、ラウリ
ルメルカプタンのようなメルカプタンおよびα−メチル
スチレンダイマー等のような連鎖移動剤を必要に応じて
用いることができる。
【0019】反応温度は開始剤により決定され、例え
ば、通常アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドッ
クス系では30〜70℃である。一般に、反応時間は1
〜8時間である。不飽和化合物の総量に対する開始剤の
量は、一般に0.1〜5重量%であり、好ましくは0.
5〜2重量%である。
【0020】このようにして得られるエマルションの粒
子径は50〜200nmの範囲であることが好ましい。
粒子径が50nmを下回ると目的とする効果が小さく、
200nmを上回ると得られる中塗り塗料の安定性が悪
化する恐れがある。粒子径の調節は、例えば、モノマー
組成の変更等の当業者に周知の方法で行い得る。
【0021】上記エマルションが酸基を有している場合
には、重合の前または後にジメチルエタノールアミンお
よびトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加し
てこの酸基を中和することにより、その安定性を高める
ことができる。
【0022】本発明の積層塗膜の形成方法において中塗
り塗装に用いられる中塗り塗料は先のエマルションを含
む水性塗料である。この中塗り塗料は、さらに通常、塗
膜形成性樹脂、硬化剤、顔料および添加剤を含んでい
る。
【0023】上記塗膜形成性樹脂は、特に限定されるも
のではなく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキ
ド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の水性樹脂が利
用できる。これらは一般に塩基や酸の添加により水性化
されている。一方、上記硬化剤としては、アミノ樹脂、
ブロックイソシアネート樹脂、金属イオン、エポキシ化
合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキ
サゾリン化合物等が挙げられ、これらは上記塗膜形成性
樹脂が有する官能基に応じて適宜選択することができ
る。得られる塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂
および/またはブロックイソシアネート樹脂が一般的に
用いられる。
【0024】上記硬化剤としてのアミノ樹脂としては、
特に限定されるものではなく、水溶性メラミン樹脂ある
いは非水溶性メラミン樹脂を用いることができる。例え
ば三井サイテック社から市販されている「サイメル30
3」、「サイメル254」、「ユーバン20N60」、
住友化学工業社から市販されている「スミマールM50
W」等が挙げられる。
【0025】さらに、ブロックイソシアネート樹脂とし
ては、ポリイソシアネートにブロック剤を付加させるこ
とによって得られ、加熱によりブロック剤が解離してイ
ソシアネート基が発生し、上記塗膜形成性樹脂中の官能
基と反応し硬化するものが挙げられる。
【0026】上記ブロックイソシアネート樹脂は、特に
限定されず、代表的なポリイソシアネート類としては、
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソ
シアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、1,3−
シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキ
サンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソ
シアネートなどの脂肪族環式イソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族イソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナ
ンジイソシアネートメチル等の脂環族イソシアネート、
これらのヌレート体および混合物を用いることができ
る。
【0027】上記ブロック剤としては、例えば、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、フルフリルアルコールおよびそのアルキル基置換
体、ベンジルアルコールなどの脂肪族、芳香族または複
素環式アルコール、フェノール類、メチルエチルケトン
オキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、アセトン
オキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類、
アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マロン酸エチル
などの活性メチレン化合物、その他、カプトラクタムな
どを挙げることができる。これらの中で好ましいものは
オキシム類であり、アルコール類では、フルフリルアル
コールおよびそのアルキル基置換体である。
【0028】さらに上記顔料としては、着色顔料とし
て、例えば有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系
顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジ
ゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン
系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔
料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、黄色
酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等
が挙げられる。また、体質顔料としては、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、クレー、タルク等が用いられる。さ
らに、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料を添加し
てもよい。標準的には、カーボンブラックと二酸化チタ
ンとを主要顔料としたものや、後述する上塗りとの色相
を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせ
たものを用いることもできる。
【0029】また、上記添加剤としては、粘性制御剤、
表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を挙げることができ
る。
【0030】上記中塗り塗料における上記各成分は、以
下のような比率で混合されていることが好ましい。上記
エマルションは、その固形分が塗料中の全樹脂固形分総
量の15〜40重量%であることが好ましい。15重量
%未満だと目的とする効果が得られず、40重量%を上
回ると得られる積層塗膜の外観低下を引き起こす恐れが
ある。また、硬化剤は、その固形分が塗料中の全樹脂固
形分総量の6〜40重量%となる量であることが好まし
い。6重量%を下回ると硬化性が不足し、40重量%を
上回るとかえって得られる塗膜の物性に悪影響を及ぼす
恐れがある。さらに、顔料は、塗料中の全固形分総量の
10〜50重量%であることが好ましい。これらの範囲
外では、添加効果が得られなかったり塗料の安定性が低
下したりする恐れがある。なお添加剤の配合量は、添加
剤の種類および目的に合わせて任意に設定することがで
きる。
【0031】本発明の形成方法に用いられる塗料組成物
の製造は、後述するものを含めて、特に限定されず、上
記成分をニーダーまたはロール等を用いて混練、分散す
る等の当業者に周知の方法により行うことができる。
【0032】本発明の積層塗膜の形成方法では、電着塗
装された基板上に、まず中塗り塗装を施す。基板は、例
えば金属、鋳造物、プラスチック、発泡体等からなるも
のであってよく、自動車外板であることが好ましい。こ
の基板の電着塗装は防食性の点からカチオン電着塗装で
あることが好ましい。
【0033】上記中塗り塗装は、先の中塗り塗料を用い
て行う。塗装時の中塗り塗膜の膜厚は所望の用途により
変化するが、多くの場合10〜60μmとすることがで
きる。上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時に
ムラあるいは流れ等の不具合が起こることがあり、下限
を下回ると、下地が隠蔽できず膜切れが発生する恐れが
ある。このように形成された中塗り塗膜は、例えば、9
0〜180℃で10〜30分といった条件で焼き付けて
硬化させることができるが、この中塗り塗膜を焼き付け
ずにウエットオンウエットで後述する上塗り塗料を塗装
し、中塗り塗膜と上塗り塗膜とを同時に焼き付けて硬化
させることも可能である。なお、中塗り塗膜が耐チッピ
ング性を有しているため、チッピングプライマーの塗布
は不要であるが、耐チッピング性をさらに向上させるた
めに、電着塗膜と中塗り塗膜との間にチッピングプライ
マー層を形成しても構わない。
【0034】一方、上塗り塗装は、上塗り塗料により行
われるものである。この上塗り塗料は特に限定されず、
例えば、溶剤型上塗り塗料、水性上塗り塗料および粉体
上塗り塗料等の当業者によってよく知られているものを
例示することができる。また、この上塗り塗料はメタリ
ックベース塗料とクリア塗料との組み合わせであっても
よい。
【0035】このメタリックベース塗料とクリア塗料と
を組み合わせて用いる場合には、この2つの塗料はウエ
ットオンウエットで塗装することができる。また、先に
述べたように中塗り塗膜を硬化させない場合には、3層
をウエットオンウエットで塗装することもできる。な
お、メタリックベース塗料が水性塗料で、ウエットオン
ウエットにより塗装を行う場合には、塗装して得られた
未硬化の塗膜を、40〜100℃で2〜10分間加熱し
てから次の塗装を行うことが好ましい。こうすることに
より良好な外観を有する塗膜を得ることができる。例え
ば、メタリックベース塗料から得られるベース塗膜の乾
燥膜厚は10〜30μm、クリア塗料から得られるクリ
ア塗膜の乾燥膜厚は10〜80μmにそれぞれなるよう
に設定することができる。このようにして得られた上塗
り塗膜は、通常、80〜180℃、好ましくは120〜
160℃で10〜30分焼き付けることにより、積層塗
膜を得ることができる。
【0036】本発明の積層塗膜の膜厚は、多くの場合3
0〜300μmであり、好ましくは50〜250μmで
ある。上限を超えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下
し、下限を下回ると膜自体の強度が低下する。
【0037】
【実施例】製造例1 ゴム粒子をシードとしたアミド含
有エマルションの製造 SX1105(日本ゼオン社製のスチレン/ブタジエン
系ラテックス、樹脂固形分:45重量%、Tg:0℃、
粒径:88nm)175.82重量部および脱イオン水
33.52重量部を反応容器に加え、83℃に加熱し
た。ここに2−エチルヘキシルアクリレート1.5重量
部を添加し、10分間撹拌した。ACVA(アゾビスシ
アノ吉草酸、大塚化学社製)0.2重量部、ジメチルエ
タノールアミン0.13重量部を脱イオン水8.0重量
部に混合した開始剤溶液のうち1/4の量を添加し、1
0分間撹拌した。次に、メチルメタクリレート9.0重
量部、2−エチルヘキシルアクリレート3.5重量部、
チオカルコール20(花王社製の連鎖移動剤)0.2重
量部を混合したものを2時間かけて滴下した。また、こ
の滴下開始から10分後から先の開始剤溶液の残量を3
時間かけて滴下した。先のメチルメタクリレート類の滴
下終了後に、脱イオン水7.5重量部にアクリルアミド
6重量部を溶解したものを1時間かけて滴下した。開始
剤溶液の残量分の滴下終了後、2時間撹拌を継続した。
30℃以下に冷却してから、400meshのふるいで
濾過を行い、ゴム粒子をシードとしたアミド含有エマル
ションを得た。このエマルションの樹脂固形分は40.
1重量%であり、レーザー光散乱計によって測定された
粒径は122nmであった。
【0038】製造例2 水性中塗り塗料の製造 水酸基価120、酸価39の水性ポリエステル樹脂とメ
ラミン樹脂(三井サイテック社製のサイメル712とサ
イメル235とを1/2の重量比で混合したもの)と製
造例1で得られたエマルションとを50.6/14.4
/35の樹脂固形分比で、また、塗料中の全固形分総量
に対して40重量%になるように顔料を配合し、これら
を混合分散することにより、水性中塗り塗料を製造し
た。
【0039】実施例1 積層塗膜の形成 カチオン電着塗装された亜鉛メッキ鋼板に、製造例2で
得られた水性中塗り塗料を40μm塗装して、これを6
0℃で3分間プレヒートした後、150℃で30分間焼
き付けた。こうして得られた中塗り硬化膜の上に、レッ
ドマイカ色のスーパーラックM−150(日本ペイント
社製のアクリルメラミン系メタリックベース塗料)およ
びマックフローO−380(日本ペイント社製の酸/エ
ポキシ硬化系のクリア塗料)をウエットオンウエットで
それぞれ17μmおよび37μmになるように塗装し、
140℃で30分間焼き付けることにより、積層塗膜を
得た。この得られた積層塗膜について、鉛筆硬度、密着
性および以下の2種類の耐チッピング性テストを行っ
た。その結果を表1に示した。
【0040】<鉛筆硬度>JIS K 5400に準
じ、塗装板を水平な台の上に塗面を上向きにして固定
し、約45度の角度で鉛筆を持ち、芯が折れない程度に
できる限り強く塗面に押し付けながら、前方に均一な速
さで約1cm押し出して塗面を引っ掻いた。このように
して塗面に破れの生じないもっとも硬い鉛筆の硬度記号
を鉛筆硬度とした。
【0041】<密着性>塗装板を40℃の温水に10日
間浸漬した後、カッターで2mm角の碁盤目を100個
形成し、セロハンテープを用いて剥離試験を行った。剥
離せずに残った碁盤目の個数をカウントした。
【0042】<耐チッピング性テスト>ノズルから吹き
つけられた石が、塗装板に対して垂直または30度の角
度で当たるよう、ノズルと塗装板の中心との距離を30
cmとり、グラベロ試験機に塗装板を設置した。塗装板
を−20℃に冷却した後、7号砕石(玄武岩)100g
を0.3MPaのエアーにより塗装板に吹きつけた。テ
スト後の塗装板を目視で下記に示す基準により評価し
た。なお、以下、塗装板に当たる石の角度が垂直のもの
を90度法、30度のものを30度法と表す。
【0043】90度法 ○:素地に達する剥離が認められない △:素地に達する剥離が微かに認められる ×:素地に達する剥離が多く認められる30度法 ○:素地に達する剥離は認められず、傷の発生が少ない △:素地に達する剥離は認められないが、傷が多く発生
している ×:素地に達する剥離が認められる
【0044】製造例3 ゴム粒子をシードとしたアミド
を含有しないエマルションの製造 製造例1において、アクリルアミド水溶液の滴下を行わ
ず、その代わりにメチルメタクリレートの量を9.0重
量部から15.0重量部に増量するとともに、最初にS
X1105と同時に加える脱イオン水の量を33.52
重量部から41.02重量部に増量する以外は製造例1
と同様にしてエマルションを得た。
【0045】製造例4 エマルションを含まない水性中
塗り塗料の製造 製造例2でエマルションを用いないこと以外は同様にし
て、水性中塗り塗料を得た。
【0046】製造例5 ゴム粒子を含む水性中塗り塗料
の製造 製造例2において、製造例1で得られたエマルションの
代わりに、SX1105を樹脂固形分として同量用いる
以外は同様にして、水性中塗り塗料を得た。
【0047】製造例6 ゴム粒子をシードとしたアミド
を含有しないエマルションを含む水性中塗り塗料の製造 製造例2において、製造例1で得られたエマルションの
代わりに、製造例3で得られたエマルションを樹脂固形
分として同量用いる以外は同様にして、水性中塗り塗料
を得た。
【0048】比較例1〜3 実施例1において、水性中塗り塗料を表1に示すものに
代えた以外は同様にして積層塗膜を形成し、同様に評価
を行った。その結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】本発明の積層塗膜の形成方法では、よりき
びしい条件下での耐チッピング性の評価で優れた結果が
得られるとともに、問題にならない程度の塗膜硬度の低
下しか確認されなかった。これは、アミドモノマーを含
むアクリルモノマー混合物を、ゴム粒子をシードとして
乳化重合することにより得られたエマルションを含んで
いるからであって、ゴム粒子単独やアミドが含まれてい
ないエマルションでは、充分な耐チッピング性を得るこ
とができなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の積層塗膜の形成方法は、中塗り
塗装に用いられる中塗り塗料が、アミドモノマーを含む
アクリルモノマー混合物を、ゴム粒子をシードとして乳
化重合することにより得られたエマルションを含んでい
る水性塗料であり、中塗り塗膜が耐チッピング性を有し
ているともに充分な硬度を有している。これはエマルシ
ョン粒子が、耐チッピング性を向上させることができる
がそのままでは塗膜硬度を低下させてしまう柔らかい成
分を、高いTgを有するアミド結合で覆っている構造を
とっているため、塗膜硬度の低下を最小限にすることが
できていると考えられる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/02 C09D 5/02 5/44 5/44 Z 151/04 151/04 (72)発明者 妹尾 親治 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 竹内 豊 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 BB89X CA03 CA04 CA13 DA06 DA25 DB01 DB08 DB31 DC12 DC13 EA06 EA13 EB12 EB14 EB20 EB22 EB32 EB33 EB35 EB36 EB38 EB45 4J011 AC03 BA03 BA04 BB07 KB13 KB19 PA54 PC02 4J026 AC32 BA24 BA38 DB04 GA06 4J038 CP011 GA06 GA09 MA08 MA10 NA11 PA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電着塗装された基板上に、中塗り塗装およ
    び上塗り塗装を施す積層塗膜の形成方法において、前記
    中塗り塗装に用いられる中塗り塗料が、アミドモノマー
    を含むアクリルモノマー混合物を、ゴム粒子をシードと
    して乳化重合することにより得られたエマルションを含
    んでいる水性塗料であることを特徴とする積層塗膜の形
    成方法。
  2. 【請求項2】前記アクリルモノマー混合物がさらに高疎
    水性の(メタ)アクリル酸エステルを含んでいる請求項
    1記載の積層塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】前記乳化重合が多段階で行われ、最初の段
    階において前記高疎水性の(メタ)アクリル酸エステル
    が用いられ、最後の段階において前記アミドモノマーが
    用いられる請求項2記載の積層塗膜の形成方法。
  4. 【請求項4】チッピングプライマー塗装を施さないこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の
    積層塗膜の形成方法。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4のいずれか1つに記載の
    方法により得られた積層塗膜。
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