JP2003243776A - 支持基板の剥離方法 - Google Patents

支持基板の剥離方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】支持基板上に窒化物半導体を成長させた窒化物
半導体基板から窒化物半導体の単体基板を貫通転位を低
減させ、また厚膜の窒化物半導体として得ることを目的
とする。 【解決手段】支持基板上に第1の窒化物半導体、第2の
窒化物半導体を成長後、LD素子を形成する。その後、
支持基板の外周研削を行う。ここで、外周研削の幅はφ
30%以下であって、研削速度は2段階で行う。以上に
より支持基板を除去することができ、LD素子を有する
窒化物半導体を提供可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化物半導体(In
AlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦
1)の単体基板を得る方法であって、特に研削を利用し
た剥離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、サファイアのような窒化物半導体
と格子定数の異なる基板上に、窒化物半導体を成長させ
た窒化物半導体基板よりサファイアを除去することで得
られる窒化物半導体の単体基板が注目されている。窒化
物半導体の単体基板とすることで反りを少なくすること
ができ、更に劈開性が容易になるためである。
【0003】窒化物半導体の単体基板を得る方法、つま
り窒化ガリウム等の窒化物半導体と基板とを分離(剥
離)する方法にはレーザ照射を利用したものがある。サ
ファイア等の基板上に窒化ガリウムを成長させた後、サ
ファイア基板側からKrfパルスエキシマレーザを照射
する。これにより、サファイアと窒化ガリウムとが接し
ている密着面で窒化ガリウムがレーザ光を吸収して窒化
ガリウムの分解が生じ、窒化ガリウムからサファイア基
板を剥離するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記レ
ーザ照射による基板の除去方法であれば、例えば、窒化
ガリウムの単体基板を形成する場合に窒化ガリウムの分
解によって発生する窒素ガスのガス圧によりサファイア
が割れ、この割れが原因でサファイアと接触している窒
化ガリウム面に欠陥が生じる。このような欠陥傷が窒化
ガリウム等の表面にあると、例えばマイクロクラックと
呼ばれる微小な割れなどが発生する場合がある。このよ
うな割れが発生すると、発光素子などにおいては寿命特
性などの素子特性の低下や、歩留まりの低下等を引き起
こすことが考えられる。またレーザ照射装置は高価であ
り、ここで使用するガスが有毒であるため環境によくな
い。また、サファイア上に窒化物半導体を成長後、サフ
ァイア側を全面研削すればサファイアと窒化物半導体と
の格子定数差により反りが大きくなり割れや欠けがサフ
ァイアから窒化物半導体まで伝播してしまう。このた
め、全面研削による窒化物半導体の単体基板を得るのは
困難である。
【0005】そこで、本発明の目的は、基板上に成長さ
せた窒化物半導体に割れや欠け等のダメージを与えるこ
となく異種基板を除去する方法を提供することである。
さらに、本発明で得られる窒化物半導体の単体基板は、
低転位であって結晶性のよい窒化物半導体である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は窒化物半導体の単体基板を得る方法に剥
離方法を用いる。剥離方法としては、支持基板上に窒化
物半導体を成長させた後、支持基板の裏面を外周研削す
ることである。支持基板を全面研削すれば支持基板上に
形成した窒化物半導体にダメージを与えることになり、
窒化物半導体には割れや欠け、更には支持基板の割れか
らせん断応力が発生することで窒化物半導体のえぐれ傷
等が 生じる。そのため、本発明では研削する領域を支
持基板の外周とした。発光素子や受光素子等に用いる窒
化物半導体の直下となる内心部の支持基板は研削しない
ことで、前記ダメージを抑制し、研削時に発生する窒化
物半導体の割れや欠け、えぐれ傷、すべり等による窒化
物半導体の特性低下や歩留まり低下を低減させる。
【0007】前記支持基板の剥離方法は、外周研削の研
削幅が以下の式で示す範囲であることを特徴とする。支
持基板の径(1)、第1の窒化物半導体の径(2)、第
2の窒化物半導体の径(3)、研削範囲(4)の関係
は、(1)≧(2)≧(4)≧(3)とする。前記研削
幅は支持基板や窒化物半導体の径によって変化するた
め、上記式を満たせば特に限定されないが、外周研削の
研削幅が上記(2)以上(3)以下であれば、支持基板
の剥離作用が起こりやすい。これは、支持基板と窒化物
半導体との接触面にある応力が支持基板の外周研削によ
り変化したためである。研削幅つまり研削範囲が(3)
より狭ければ支持基板が剥離するほどの前記応力変化が
発生せず、また(2)を越える範囲であれば切削抵抗等
による第1・第2の窒化物半導体へのダメージや窒化物
半導体の直下の支持基板の割れが生じるため研削が困難
となる。
【0008】前記支持基板の剥離方法における研削速度
は50μm/min以上200μm/min以下である
ことを特徴とする。前記範囲であれば、窒化物半導体の
特性を低下させることなく、単体基板を得ることができ
る。研削速度(砥石の送り速度)が50μm/minよ
り遅ければ研削速度が遅くなり研削時間が大幅に増え
る。また外周研削にムラができ、支持基板が外周部位毎
のバランスが保てずに剥離前に支持基板が割れてしま
う。この割れは窒化物半導体にも伝播することになる。
また200μm/minより速ければ、短時間で研削が
できるものの、窒化物半導体への負荷も大きいため特性
低下となる。
【0009】前記外周研削は少なくとも速度差を有する
ことを特徴とする。好ましくは、支持基板の研削により
支持基板の外周膜厚が研削前の1/2以下になれば研削
速度を上げる。具体的には後半の研削速度は80μm/
min以上200μm/min以下とする。この範囲で
あれば、支持基板と窒化物半導体との接触界面での剥離
がしやすくなる。支持基板が割れて剥離するのではな
く、支持基板と窒化物半導体との応力差を大きくして剥
離するために窒化物半導体を割れ等がなく得ることがで
きる。
【0010】前記窒化物半導体は支持基板上に少なくと
も第1の窒化物半導体、その上に第2の窒化物半導体を
具備したものである。前記第1の窒化物半導体の膜厚は
限定しなくてもよいが、100μm以上とすれば剥離後
のデバイス加工が容易となり好ましい。これにより、研
削時に生じる第2の窒化物半導体へのダメージ低減効果
を有する。
【0011】また第1の窒化物半導体の径φ1と第2の
窒化物半導体の径φ2とはφ2≦φ1である。支持基板
の外周研削は第1の窒化物半導体より内側を研削する。
これは、支持基板と窒化物半導体との内部応力差を考慮
したからである。第1の窒化物半導体の外周にはダメー
ジを直接受ける領域ができる。このダメージが割れ等と
なって窒化物半導体の成長方向に伝播する。前記伝播を
防ぐには第2の窒化物半導体の径を小さくする必要があ
り、以上の理由から前記φ2≦φ1となる。より好まし
くは研削除去後に形成される支持基板の径よりも第2の
窒化物半導体の径φ2が小さいものとする。第2の窒化
物半導体に発光層又は活性層を含む場合には研削範囲の
直下方向(支持基板上の窒化物半導体形成方向)には第
2の窒化物半導体を存在させないためである。また、支
持基板と第1の窒化物半導体、第2の窒化物半導体のそ
れぞれの接触面には転位低減層を介してもよい。
【0012】転位低減層とは、ELO(Epitaxial Late
ral Overgrowth)法などの横方向成長で転位を低減させ
た結晶性の良好な層である。以下に転位低減層の一例を
示す。まず、マスクをパターン形成した後、マスクの開
口部から窒化物半導体を成長させる。窒化物半導体はマ
スク上では横方向に成長が進む。ここで成長を止め、マ
スクを除去することにより窒化物半導体のT字柱を形成
する。T字柱の両翼部分は低転位である。その後、T字
柱上に平坦層を成長させるものである。平坦層には貫通
転位が延びず低転位の領域を広範囲で形成することがで
きる。また前記T字柱は支持基板等の下層との接触界面
が柱部のみである。そのため、格子定数や熱膨張係数の
違う材質同士の接着面には応力が少なく、更にT字両翼
の下部には空間が形成されることでエアギャップの効果
を有し、ウェハー全体の反りを均等に緩和させることが
できる。このような転位低減層は研削工程を容易にす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本実施形態における支持基板の剥
離方法は、前記支持基板を裏面から外周研削するもので
ある。外周研削の条件としては、前記外周研削の研削幅
が外周φ30%以下である。また研削速度は50μm/
min以上200μm/min以下である。さらに外周
研削の研削速度は少なくとも2段階であることが好まし
い。
【0014】前記窒化物半導体は支持基板上に少なくと
も第1の窒化物半導体、その上に第2の窒化物半導体を
具備したものである。また前記第1の窒化物半導体の径
φ1と、第2の窒化物半導体の径φ2はφ2≦φ1であ
ることが好ましい。窒化物半導体はLEDやLD等の発
光素子、また受光素子など特に限定されるものではな
い。
【0015】上記構成とすることで、窒化物半導体の単
体基板を得ることが出来る。支持基板は剥離除去するた
め、当該支持基板には硬く劈開性や放熱性の悪い性質を
有する材料を用いることが可能となる。この外周研削
は、支持基板を最後まで削る必要はなく、支持基板の膜
厚に対して3/4以上削れば支持基板と窒化物半導体と
を分離することができる。時間の効率もよくなる。研削
工程を以下に示す。窒化物半導体の成長面を保護膜でコ
ーティング後、この面を研削治具(例えば、SUS製)
へマウントする。マウント(貼り合わせ)にはワックス
等を用いる。上記マウントは治具に対して中心にされて
いることが好ましい。外周研削は厚みが3/4まで到達
後、支持基板は完全に除去される。その後、端部をダイ
サーカットする。このダイサーカットで窒化物半導体の
厚み誤差を少なくする。次に窒化物半導体のアンマウン
トを150℃で行い、ワックス洗浄をする。さらに、窒
化物半導体の剥離面の鏡面研磨を行う。これは、研削時
に発生した小傷の除去、または劈開を容易にするためで
ある。
【0016】以下、図を用いて支持基板の剥離方法を各
工程ごとに説明する。
【0017】図1は支持基板1上に第1の窒化物半導体
2、第2の窒化物半導体3、第3の窒化物半導体4を形
成したものである。ここでは、第1の窒化物半導体2と
第2の窒化物半導体3とを転位低減層とし、第3の窒化
物半導体4をLD素子としたがこれに限定されない。転
位低減層を介して多層構造としてもよく、また2層構造
として第2の窒化物半導体3がLD素子であってもよ
い。支持基板1としては、窒化物半導体をエピタキシャ
ル成長することが可能であれば、特に限定されない。サ
ファイアは劈開性が良くないが、剥離することで後工程
では窒化物半導体の単体基板となるため、使用可能とな
る。支持基板の具体例には、C面、R面、及びA面のい
ずれかを主面とするサファイア(Al)、スピネ
ル(MgAl)のような絶縁性基板、その他には
SiC(6H、4H、3C)、ZnS、ZnO、GaA
s、Si、または窒化物半導体と格子接合する酸化物基
板等である。
【0018】支持基板1の径は特に限定されない。膜厚
は上に形成する窒化物半導体の膜厚にもよるが、好まし
くは300μm以上である。この膜厚より薄ければ窒化
物半導体を形成後に支持基板の反りが大きくなり、後の
デバイス工程が困難となる。
【0019】また、支持基板1上に転位低減層を介して
窒化物半導体を形成してもよい。この転位低減層にはバ
ッファー層や横方向成長層、その他に2段階成長層があ
る。まず、バッファー層(図示されない)は一般式Al
Ga1−xN(0≦x≦1)、InGaN等が用いら
れる。バッファー層の成長温度は300℃〜900℃の
温度で、膜厚10オングストローム〜5μm、好ましく
は10オングストローム〜0.5μmで成長させる。こ
のバッファー層を多層膜で成長させてもよい。バッファ
ー層は支持基板1と第1の窒化物半導体2との格子定数
差を緩和する効果がある。そのため、第1の窒化物半導
体を低転位で成長させることができる。
【0020】前記転位低減層の1つである横方向成長層
には幾つかの成長方法がある。第1の方法には、窒化物
半導体が成長しにくい材質から成るマスクをパターン形
成後、マスクの開口部より窒化物半導体を成長させる。
この窒化物半導体はマスク上で横方向に成長する。隣り
合う窒化物半導体同士が横方向成長することで接合し平
坦化させて横方向成長層とする。第2の方法には、窒化
物半導体に凹凸を形成後、さらに窒化物半導体を成長さ
せるものである。この方法は、マスクを使用しなくとも
窒化物半導体の側面より横方向に成長させて横方向成長
層とするものである。第3の方法には、図3に示すよう
にマスクをパターン形成後、マスクの開口部より成長さ
せた窒化物半導体を横方向成長が接合する前に成長を止
める。その後、マスクを除去させ空洞を形成する。次に
窒化物半導体を再成長させて横方向成長層とする。
【0021】2段階成長層は窒化物半導体の成長速度差
を利用して転位を減らすものである。成長速度の速い第
1の層上に成長速度の遅い第2の層を形成することで下
から延びてきた転位の進行方向を横方向に変えて転位同
士でループを形成して転位低減させるものである。
【0022】本発明の実施形態において転位低減層は支
持基板にバファー層を成長後、前記第3の方法による横
方向成長層を形成するものが好ましい。前記第3の方法
は転位を低減するだけでなく、横方向成長層下には空洞
を有するため支持基板と窒化物半導体との熱膨張係数の
差から生じるウェハーの反りが緩和する。さらに、前記
空洞は規則的に形成されており、反りの緩和はウェハー
全体を均等にすることができる。そのため、窒化物半導
体を形成後の研削を容易であって、かつ再現性を良くす
る。以下に第3の方法を詳細に示す。
【0023】まず、図3(a)に示すように、支持基板
1上にバッファー層を介して部分的にマスクを形成す
る。尚、前記バッファー層は省略してもよい。
【0024】前記マスクの材料には、マスク上で窒化物
半導体が成長しないか、若しくは成長しにくい性質を有
する材料を使用する。例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ
素、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の酸化物、窒化
物、又はこれらの多層膜、その他には1200℃以上の
融点を有する金属であるタングステンやモリブデン等を
用いることができる。
【0025】このマスクの形成方法としては、CVD、
スパッタリング及び、蒸着法を用い、マスクを支持基板
上に成膜し、その後、レジストを塗布して、フォトリソ
グラフィによりマスクを所定の形状であるストライプ
状、ドット状、格子状、又は多角形状にするためにエッ
チングする。マスク幅はストライプ幅を5〜50μmと
し、マスクの開口部の幅も5〜50μmとする。また、
マスクの形状が格子状であれば、格子幅も同様に5〜5
0μmとできる。このマスクは後工程でT字柱を形成し
た後、除去して空洞を形成する。そのため、この空洞を
形成するにはマスクの膜厚には0.05μm〜10μm
が必要となる。マスクをストライプ状に形成する場合に
は、支持基板をサファイア基板とすれば、オリフラ面を
サファイアのA面とし、このオリフラ面の垂直軸に対し
て左右どちらかに、θ=0°〜2°、好ましくはθ=
0.1°〜1°ずらしてストライプを形成すると、窒化
物半導体に荒れが生じることなく、より平坦化させるこ
とができる。
【0026】次に、図3(b)に示すように、マスクの
開口部より窒化物半導体を成長させ、断面形状がT字形
状となるT字柱を形成する。支持基板との接合部である
成長起点から、窒化物半導体を成長させる時に、貫通転
位は最初縦方向に成長する。その後、窒化物半導体はマ
スク上を横方向に成長すると、貫通転位も成長方向を横
方向に変更することで転位を低減することができる。
【0027】このT字柱は、一般式InAlGa
1−x−yN(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<
1)であって、 ノンドープ、p型不純物ドープ、n型
不純物ドープ、p型不純物とn型不純物を同時ドープし
たものがある。これらにより、後工程において支持基板
を研削で剥離後、窒化物半導体の単体基板とした場合
に、この支持基板の剥離除去面をn型窒化物半導体層、
又はp型窒化物半導体層とすることができる。これによ
り、この支持基板の除去面にn型電極、又はp型電極を
形成したLED、LD素子等を形成することができる。
また、T字柱の膜厚としては、マスクの膜厚や形状、幅
によっても異なるがマスクの膜厚に対して少なくとも
1.5倍以上とする。具体的には2μm以上、好ましく
は5μm以上とする。
【0028】次に、T字柱を形成した後、図3(c)に
示すようにマスクを除去する。このマスクの除去方法と
しては、ドライエッチングやウェットエッチングがあ
る。マスクを除去すれば、T字柱の両翼下部に空間がで
きる。この空間はエアギャップとしての効果を有するた
め、支持基板と窒化物半導体との歪みを緩和することが
でき、さらに基板全体の反りを緩和させることもでき
る。T字両翼部の下方部、及び隣接する窒化物半導体同
士の中央には空間を有するために、外周研削を行うこと
により発生する応力を緩和することができる。
【0029】また、マスクは支持基板が露出するまでエ
ッチング除去する以外には、マスクを底面に薄膜で残す
状態とすることもできる。これはマスクが薄膜で残って
いたとしてもT字両翼の下部に空間があれば、支持基板
と窒化物半導体との歪みを緩和する効果を有するからで
ある。その他、T字柱の両側に保護膜を残してもよい。
【0030】次に、図3(d)に示すように、T字柱の
上面及び両翼の側面から平坦層を成長させる。CL(カ
ソード・ルミネッセンス)法で測定すると単位面積あた
りの転位数は5×10個/cm以下となる。この平
坦層としては、一般式InAlGa1−x−y
(0≦X<1、0≦Y<1、0≦X+Y<1)で表すこ
とができる。また、ノンドープ、p型不純物ドープ、n
型不純物ドープ、p型不純物とn型不純物を同時ドープ
したものが挙げられる。平坦層は、T字柱上の成長であ
ると同時に、空間部上の成長でもある。そのため、マス
ク上での連続成長で窒化物半導体の平坦面を形成するE
LO法では選択性が低いために用いることができなかっ
たAlGa1−xN(0≦X<1)を用いることもで
きる。
【0031】上記平坦層は図3(e)に示すように、T
字柱の開口部である底面から成長させてもよい。T字柱
の両翼下に空間を有するのであればウェハーの反り緩和
効果があるためである。第3の方法は、平坦層を再成長
させるためマスク幅を広くすることが可能となる。マス
ク幅を100μm以上としても、T字柱の両翼を長くす
れば平坦化することは可能であり、横方法成長した低転
位領域を広範囲で得ることができる。
【0032】以上より得られる転位低減層を支持基板上
に介して第1の窒化物半導体を形成する。第1の窒化物
半導体の膜厚は好ましくは100μm以上である。これ
により研削時のダメージを第1の窒化物半導体で吸収す
ることができ、研削後に得られる第2の窒化物半導体の
結晶特性を維持することができる。この第1の窒化物半
導体を2段階成長で形成してもよい。これにより、更に
転位低減が期待できる。転位低減層は2層以上形成して
多層形成してもよい。
【0033】HVPE法によって窒化物半導体を形成す
る方法を以下に示す。
【0034】まず、ウェハーをHVPE装置にセットす
る。Ga源として、Gaメタルをボートに用意し、キャ
リアガスに窒素、及び/又は水素を用いてハロゲンガス
であるHClガスを流すことによりGaClを生成す
る。次に、別の導入管よりキャリアガスに窒素、及び/
又は水素を用いてN源であるアンモニアガスを流すこと
によりGaClとアンモニアガスとを反応させGaNを
形成する。また、ドーピングガスはさらに別の導入管ら
Si系化合物を流すことでドーピングを行い、Siドー
プGaNよりなる第1の窒化ガリウム系化合物半導体を
基板上に成長させる。Si系化合物としてはSiCl4
等がある。基板領域の温度は電気炉で1000〜110
0℃に設定した。第1の窒化物半導体の成長速度は50
〜100μm/hourとする。GaCl分圧は1.
25×10−3atm、NH分圧は0.375at
m、SiCl分圧は2.87×10−7atmとす
る。
【0035】また、窒化物半導体は2段階成長をするこ
とができる。SiCl分圧を前記条件の半分以下(例
えば、1.0×10−8atm)とした以外は成長条件
を同様にする。成長速度は前記速度を越えない範囲であ
って50±25μm/hourであり、トータル膜厚は
100μm以上とする。2段階成長であれば転位をより
低減させることができる。
【0036】上記に示す方法により、第1の窒化物半導
体を転位低減層とし、第2の窒化物半導体をHVPE層
として形成後、第2の窒化物半導体上に第3の窒化物半
導体を形成する。この第3の窒化物半導体は活性層を備
えたLD素子とすれば、n−コンタクト層、クラック防
止層、n−クラッド層、n−光ガイド層、量子井戸構造
から成る活性層、キャップ層、p−光ガイド層、p−ク
ラッド層、p−コンタクト層から成るLD素子である。
【0037】n−コンタクト層としては、TMG(トリ
メチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウ
ム)、アンモニア、不純物ガスにシランガスを用い、成
長温度を1000℃〜1050℃でSiドープのAl
Ga1−xN(0≦X<1)を膜厚2〜10μmで成長
させる。クラック防止層としては、TMG、TMI(ト
リメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を10
00℃以下にしてInGa1−xN(0≦X<1)を
膜厚0.1〜2μmで成長させる。なお、クラック防止
層は省略可能である。n−クラッド層としては、成長温
度を1000℃以上にして、原料ガスにTMA、TMG
及びアンモニアを用い、アンドープのAlGa1−x
N(0≦X<1)より成るA層、シランガスをドープし
たSiを5×1018/cmドープしたGaNよりな
るB層をそれぞれ20±10Åの膜厚で200回繰り返
して積層し、総膜厚1.5μm以下の超格子多層膜とす
る。n−光ガイド層は、同温でアンドープのGaNを膜
厚0.1〜0.3μmで成長させる。
【0038】活性層は、シランガスをドープしたIn
Ga1−xN(0≦X<1)を障壁層(B)、アンドー
プのInGa1−xN(0≦X<1)を井戸層(W)
として、障壁層を50〜200Å、井戸層を30〜10
0Åとして、(B)/(W)/(B)/(W)〜/
(B)として好ましくは2ペア以上とし総膜厚を300
〜600Åの多重量子井戸構造(MQW)とする。
【0039】キャップ層には不純物ガスとしてCp
g(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mg
を約10.5×1018/cm以下ドープしたAl
Ga 1−xN(0≦X<1)を膜厚50〜150Åで成
長させる。p−光ガイド層としては、成長温度を約10
00℃とし、アンドープGaNを膜厚0.10〜0.2
0μmで成長させる。続いて、1000℃でアンドープ
のAlGa1−xN(0≦X<1)より成るA層、M
gドープGaNより成るB層をそれぞれ20±10オン
グストロームで成長させ、この積層を数十回繰り返し行
い、 総膜厚を約0.5μmで成長させる。p−コンタ
クト層としてはMgドープのGaNで、膜厚が約150
Åとする。
【0040】本発明において、窒化物半導体の一般式と
しては、InAlGa1−x− N(0≦X<1、
0≦Y<1、0≦X+Y<1)であるが、III族元素
にBを用いたり、V族元素であるNの一部をAs、Pで
置換した混晶物を用いることができる。またMOCVD
(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハライド気相
成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)等、窒化物
半導体を成長させるのに公知である方法を適用すること
ができる。また、窒化物半導体の成長時に用いるn型不
純物としては、具体的にはSi、Ge、Sn、S、O、
Ti、Zr等のIV族、若しくはVI族元素を用いるこ
とができ、p型不純物としては、Be、Zn、Mn、C
r、Mg、Ca等が挙げられる。また、第2の窒化物半
導体層を成長させるとき、n型導電性を得るには良好な
オーミック性を確保する必要がある。n型不純物は、5
×1016/cm〜5×1021/cmの範囲でド
ープすることが好ましい。
【0041】第3の窒化物半導体を形成後、n型コンタ
クト層の露出面にn電極を形成し、p型コンタクト層の
露出面にp電極を形成する。両電極を形成後、ZnO等
でコーティングを行う。また窒化物半導体の単体基板を
形成後、裏面に一方の電極を形成する電極対構造とする
こともできる。
【0042】次に、研削装置を用いてウェハーの支持基
板側を外周研削する。この外周研削とは、砥石とウェハ
ーとを回転させながら、お互い押し当てて支持基板の外
周のみを研削するものである。ウェハーの窒化物半導体
の表面側を土台にマウント(張り合わせ)を行い、固定
させてから研削を行うものである。この張り合わせに用
いる接着剤には、ワックスやメタル、エポキシ樹脂等を
使用する。
【0043】さらに、前記工程で得られた窒化物半導体
の単体基板を支持基板を除去した側の窒化物半導体をさ
らに表面をミラーで平坦な面とするために表面研磨をす
る。ここで得られる窒化物半導体の単体基板はCL測定
において貫通転位密度が5×10個/cm以下であ
る。さらに、研磨等によりこの単体基板の表面の微細な
小傷を除去する。よって、窒化物半導体の単体基板を得
ることができる。また、本発明によれば、デバイス工程
後の基板でも支持基板を除去することが可能である。
【0044】実施形態2.本実施形態は、実施形態1に
おいて第2の窒化物半導体を成長させた後、第3の窒化
物半導体として転位低減層を成長後、第4の窒化物半導
体としてLD素子を成長させ、その後、支持基板を除去
するものである。本実施形態2においても、前記実施形
態と同様の効果を有する。
【0045】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが本発明はこれ
に限定されない。 [実施例1]C面を主面とし、オリフラ面をA面とする
膜厚2mmであり2インチφのサファイア基板を支持基
板101に用い、支持基板101上にバッファ層102
を介して、CVD法によりSiOよりなるマスク10
3を0.5μmの膜厚で成膜し、ストライプ状のフォト
マスクを形成し、エッチングによりストライプ幅14μ
m、窓部6μmのSiOよりなるマスク103を形成
する。このマスク103のストライプ方向はサファイア
A面に対して垂直な方向とする。
【0046】次に、MOCVD法により、温度を510
℃、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTM
G(トリメチルガリウム)とを用い、マスク103の開
口部上に窒化ガリウムよりなるバッファ層を200オン
グストロームの膜厚で成長させる。その後、MOCVD
法により、減圧条件で温度を1050℃にして、原料ガ
スにTMG、アンモニア、シランガスを用い、窒化ガリ
ウムよりなるT字柱104を10μmの膜厚で成長させ
る。この時、T字柱は、SiOマスクの開口部を成長
起点とし、T字形状となるように形成する。
【0047】次に、ドライエッチングである等方性エッ
チングにより、温度120℃で、エッチングガスに酸
素、CFを用い、SiOマスク103を取り除く。
さらに、横方向成長させた窒化物半導体の側面および上
面より、常圧でMOCVD法により、温度を1050℃
にし、原料ガスにTMG、アンモニア、シランガスを用
い、窒化ガリウムよりなる平坦層105を15μmの膜
厚で成長させる。以上により得られた転位低減層の表面
を、CL(カソードルミネセンス)により観測すると、
マスクの開口部上には転位が見られるが、マスクが形成
されていた上部に成長させた平坦層の表面には結晶欠陥
が見られず良好な結晶性を有している。
【0048】上記に示す方法により、第1の窒化物半導
体を転位低減層とし、第2の窒化物半導体をHVPE層
として膜厚100umでGaNを形成後、第2の窒化物
半導体上に第3の窒化物半導体を形成する。この第3の
窒化物半導体は活性層を備えたLD素子とする。
【0049】LD素子はn−コンタクト層、クラック防
止層、n−クラッド層、n−光ガイド層、量子井戸構造
から成る活性層、キャップ層、p−光ガイド層、p−ク
ラッド層、p−コンタクト層の順で形成する。以下に詳
細な条件を示す。
【0050】[n型コンタクト層]第2の窒化物半導体
上にTMG、TMA、アンモニア、不純物ガスとしてシ
ランガスを用い、1050℃でSiドープしたAl
0.05Ga0.95Nよりなるn型コンタクト層を4
μmの膜厚で成長させる。
【0051】[クラック防止層]次に、TMG、TMI
(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を
900℃にしてIn0.07Ga0.93Nよりなるク
ラック防止層を0.15μmの膜厚で成長させる。な
お、このクラック防止層は省略可能である。
【0052】[n型クラッド層]次に、温度を1050
℃にして、原料ガスにTMA、TMG及びアンモニアを
用い、アンドープのAl0.05Ga0.95Nよりな
るA層を25Åの膜厚で成長させ、続いて、TMAを止
め、不純物ガスとしてシランガスを用い、Siを5×1
18/cmドープしたGaNよりなるB層を25Å
の膜厚で成長させる。この操作を200回繰り返しA層
とB層との積層構造とし、総膜厚1μmの多層膜(超格
子構造)よりなるn型クラッド層を成長させる。
【0053】[n型光ガイド層]次に、シランガスを止
め、同様の温度で、原料ガスにTMG及びアンモニアを
用い、アンドープのGaNよりなるn型ガイド層5を
0.15μmの膜厚で成長させる。このn型光ガイド層
は、n型不純物をドープしてもよい。
【0054】[活性層]次に、温度を900℃にし、原
料ガスにTMI(トリメチルインジウム)、TMG及び
アンモニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用
い、Siを5×1018/cmドープしたIn
0.05Ga0.95Nよりなる障壁層を140Åの膜
厚で成長させ、シランガスを止め、アンドープのIn
0.13Ga0.8 Nよりなる井戸層を25Åの膜厚
で成長させることにより、障壁層/井戸層/障壁層/井
戸層の順に積層し、最後に障壁層として、TMI、TM
G及びアンモニアを用い、アンドープのIn0.05
0.95Nを成長させる。活性層6は、総膜厚500
Åの多重量子井戸構造(MQW)となる。
【0055】[p型キャップ層(図示されていない)]
次に、活性層と同じ温度で、原料ガスにTMA、TMG
及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてCpMg
(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを
1×1019/cmドープしたAl0.3Ga0.7
Nよりなるp型電子閉じ込め層を100Åの膜厚で成長
させる。
【0056】[p型光ガイド層]次に、CpMg、T
MAを止め、温度を1050℃にして、原料ガスにTM
G及びアンモニアを用い、アンドープのGaNよりなる
p型ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。
【0057】[p型クラッド層]次に、1050℃でア
ンドープAl0.05Ga0.95NよりなるA層を2
5Åの膜厚で成長させ、続いてTMAを止め、Cp
gを用いて、Mgを1×1020/cmドープしたG
aNよりなるB層を25Åの膜厚で成長させ、それを9
0回繰り返して総膜厚0.45μmの超格子層よりなる
p型クラッド層8を成長させる。p型クラッド層は、G
aNとAlGaNとを積層した超格子構造とする。p型
クラッド層8を超格子構造とすることによって、クラッ
ド層全体のAl混晶比を上げることができるので、クラ
ッド層自体の屈折率が小さくなり、さらにバンドギャッ
プエネルギーが大きくなるので、しきい値を低下させる
上で非常に有効である。
【0058】[p型コンタクト層]最後に、1050℃
で、p型クラッド層109の上に、TMG、アンモニ
ア、CpMgを用い、Mgを1×1020/cm
ープしたp型GaNよりなるp型コンタクト層9を15
0Åの膜厚で成長させる。反応終了後、反応容器内にお
いて、ウェハを窒素雰囲気中、700℃でアニーリング
を行い、p型層をさらに低抵抗化する。
【0059】その後、アニーリング後、窒化物半導体を
積層させたウェハを反応容器から取り出し、最上層のp
型コンタクト層の表面にSiOよりなる保護膜を形成
して、RIE(反応性イオンエッチング)法を用いCl
ガスによりエッチングし、n電極を形成すべきn型コ
ンタクト層の表面を露出させる。次に、レジストをマス
クとして形成し、RIEを用いClガス、及びSiC
ガスとによりエッチングすることにより、ストライ
プ状の導波路領域としてリッジストライプをリッジのス
トライプ幅を1.8μmで形成する。このエッチングは
p側ガイド層までエッチングして、ストライプ状の光導
波路領域となるリッジを形成する。その後、スパッタ装
置を用いて絶縁膜であるZrOを膜厚550Åで形成
する。その後、剥離液を用いてリッジ上部を露出させ
る。次に前記リッジ最上面の露出したp型コンタクト層
上にp電極をNi/Auで100μmのストライプ幅で
形成し、また、エッチングにより露出したn型コンタク
ト層上にはTi/Alよりなるn型電極を形成する。こ
のp電極は、リッジ上にストライプ形成されており、同
じくストライプ形成されているn電極とは平行な方向で
形成する。
【0060】その後、窒化物半導体面をZrOでコーテ
ィングした後、ウェハーの窒化物半導体表面をワックス
により土台に固定させる。次に、図2に示すように砥石
と窒化物半導体基板とを回転させながら砥石を押し当て
ることにより外周研削を行う。外周研削幅は6.5mm
とする。まず、研削速度を50μm/minとして、サ
ファイア基板の研削により外周基板の厚さが0.5mm
になった時に研削速度を100μm/minまで上げ
る。この場合、外周研削時の水平応力によって、支持基
板を最後まで研削することなく、途中で窒化物半導体と
分離することができる。さらに、窒化物半導体を土台か
ら取り除き、ワックスを洗浄後、剥離面を研磨により鏡
面とする。
【0061】以上により得られたLD素子をヒートシン
クに設置し、それぞれの電極にワイヤーボンディングを
することで窒化物半導体レーザダイオードとする。この
窒化物半導体レーザダイオードは、室温においてしきい
値2.8kA/cm、5〜80mWの出力においてリ
ップルが発生せず、5000時間以上の寿命特性を有す
る発振波長405nmの連続発振の窒化物半導体レーザ
ダイオードである。
【0062】
【発明の効果】本発明における窒化物半導体から成る単
体基板の製造方法であれば、容易に窒化物半導体の単体
基板をLD素子を形成後に低転位で得ることができる。
さらに、窒化物半導体基板を表面が平坦な単体基板とし
て得ることができれば、劈開が容易にでき、裏面に例え
ばn側電極を形成した発光素子等を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、支持基板上に窒化物半導体を成長させ
たものを模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本件発明における支持基板の外周研削
を模式的に示す断面図である。
【図3】図3(a)〜(e)は、転位低減層の製造工程
を模式的に示す断面図である。
【符号の簡単な説明】
1、101・・・支持基板 2・・・第1の窒化物半導体 3・・・第2の窒化物半導体 4・・・第3の窒化物半導体 5・・・研削砥石 102・・・バッファー層 103・・・マスク 104・・・T字柱 105・・・平坦層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化物半導体を有する支持基板から当該
    支持基板を剥離する方法であって、 前記支持基板を裏面から外周研削することを特徴とする
    支持基板の剥離方法。
  2. 【請求項2】 前記外周研削の研削幅が外周φ30%以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の支持基板の
    剥離方法。
  3. 【請求項3】 前記研削速度は50μm/min以上2
    00μm/min以下であることを特徴とする請求項1
    に記載の支持基板の剥離方法。
  4. 【請求項4】 前記外周研削は少なくとも速度差を有す
    ることを特徴とする請求項1乃至3に記載の支持基板の
    剥離方法。
  5. 【請求項5】 前記窒化物半導体は支持基板上に少なく
    とも第1の窒化物半導体、その上に第2の窒化物半導体
    を具備したものであることを特徴とする請求項1に記載
    の支持基板の剥離方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の窒化物半導体の径φ1と、第
    2の窒化物半導体の径φ2はφ2≦φ1であることを特
    徴とする請求項5に記載の支持基板の剥離方法。
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