JP2000174343A - 窒化物半導体の製造方法及び発光素子 - Google Patents

窒化物半導体の製造方法及び発光素子

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JP2000174343A JP18460299A JP18460299A JP2000174343A JP 2000174343 A JP2000174343 A JP 2000174343A JP 18460299 A JP18460299 A JP 18460299A JP 18460299 A JP18460299 A JP 18460299A JP 2000174343 A JP2000174343 A JP 2000174343A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異種基板を用いて単結晶を合成させる際、基
板との格子定数差からくる歪み及び熱歪みの低減と基板
と該結晶との界面から発生する貫通転位等の欠陥を減少
させ、結晶性のよい結晶を得る必要がある。 【解決手段】 成長抑制効果のある物質からなるマスク
パターンと窒化物半導体膜を交互に積層せさ、かつ各々
のマスクパターンのストライプ方向は異ならせることで
基板との格子定数差による歪み及び熱歪みが低減され、
かつ基板と窒化物半導体膜との界面から発生する貫通転
位等の欠陥の少ない結晶が得られる。特に、高効率の窒
化ガリウム系発光素子作製に有効な手段である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化物半導体の製
造方法及びその方法で作製した発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化ガリウム(GaN)系半導体は短波
長用発光素子や高温高速動作の電子素子に応用されてい
る。このような半導体素子を実現する上で、素子を作製
するための下地となる結晶層または基板の特性は重要で
ある。従来まではサファイアやSiCを代用基板とし
て、その上に形成したGaN層をこれらの素子構造の下
地として適用してきた。
【0003】しかしながら、このようにして形成された
GaN結晶には109〜1010cm- 2台の結晶欠陥が生
じる。また、GaN層の厚みが10μmを越える場合に
は、GaN層の結晶割れや格子歪が大きくなる問題もあ
った。
【0004】上記問題の内、結晶割れや格子欠陥低減に
関する解決策として、図8に第58回応用物理学会学術
講演会予稿集2p−Q−14,No.1(1997)p
265に報告されている第1の従来例を示す。図8にお
いて、500はサファイア基板、501はSiO2マス
ク、502はSiO2に設けられた開口部、503はM
OVPE法(有機金属気相成長法)で成長されたGaN
膜である。本実施の形態に於いては、開口部から結晶成
長が開始されるようなSiO2パターンによる成長抑制
効果(選択成長性)を用いたことにより、SiO2直上
のGaN膜504に於いてのみ、欠陥密度105〜106
cm-2が得られており、SiO2パターンを用いない結
晶よりも4桁程度欠陥密度が低減された。
【0005】また、図9は、第58回応用物理学会学術
講演会講演予稿集2p−Q−15,No.1(199
7)p266に報告された第2の従来例である。図9に
おいて、600はサファイア基板、601はMOVPE
法で成長したGaN膜、602はSiO2マスク、60
3はSiO2マスク開口部、604はHVPE法(ハイ
ドライド気相成長法)で成長したGaN膜である。本実
施の形態においてもHVPE法で成長したGaN膜60
4の表面付近において、欠陥密度6×107cm-2が得
られており、従来得られていた結晶よりも3桁程度欠陥
密度が低減された。このような、従来例に示されたGa
N単結晶膜をGaN系半導体デバイスの成長用基板とし
て用いることによって、電子デバイスの高性能化が期待
された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のSiO2マスク
上への気相成長技術を適用することにより105〜107
cm-2程度への結晶欠陥の低減が図れたが、上述の従来
例によって得られたGaN単結晶の品質は未だ信頼性の
充分高い半導体レーザやLED、さらにはFETのよう
な電子素子を得るためには充分でなかった。すなわち、
上記のいずれの従来例においても、SiO2マスク50
1、602のストライプに垂直な方向の格子歪みは低減
されるが、ストライプに平行方向では格子歪みは、Si
2マスクを使用しない場合とほぼ同等の格子歪みが残
存する。このような一方向に特定された格子歪みを有す
るGaN層には異方性を有する格子歪みがGaN層に残
存する。
【0007】さらに、半導体レーザの充分な信頼性を確
保するには、GaAs等の他のIII−V族半導体基板
と同様の欠陥密度である104cm-2台、さらに望まし
くは1×104cm-2以下の結晶欠陥密度が必要となる
が、従来技術で作製したGaN厚膜層では高々105
-2と結晶欠陥が多いことがもう一つの課題であった。
【0008】このような、格子歪みおよび多くの結晶欠
陥を有するGaN層上に作製した発光素子の信頼性は低
く、例えば半導体レーザ素子の場合には室温での3mW
出力条件下での連続発振で900時間程度の寿命しか確
認できなかった。
【0009】また、GaN層を50μm厚程度に厚く成
長させ、その後サファイア基板を裏面より取り去ったG
aN基板においても、上記の異方性を有する格子歪みや
10 5cm-2台の結晶欠陥の残存に関しては緩和される
ものではなく、上述のGaN層と同様に問題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上方に、
成長抑制効果を有する物質からなる第n(ただし、nは
1以上の正数)のマスクパターンと第nのマスクパター
ンを覆うように窒化物半導体膜とを形成する工程を第n
工程とし、第n工程によって形成された窒化物半導体膜
上に成長抑制効果を有する物質からなる第n+1のマス
クパターンと第n+1のマスクパターンを覆うように窒
化物半導体膜とを形成する工程を第n+1工程と有する
ことを特徴とする。例えば、第1工程によって作製され
た第1のマスクパターン上に第1層目の窒化物半導体膜
を形成し、さらに第2工程となる第2のマスクパターン
と第2層目の窒化物半導体膜を第1工程と同様に形成す
る。これら一連の工程を第n工程まで順次実施すること
によって、各工程の窒化物半導体膜中の結晶歪み(基板
と窒化物半導体結晶との間の格子定数差、または熱膨張
係数差による歪み)が低減され、さらには、基板界面か
ら発生する転位が成長結晶表面に出現しなくなる。本発
明ではnは1以上の整数としていることから、上記工程
を少なくとも第2工程以上形成することを特徴としてい
る。
【0011】本発明は、第n工程によって形成された第
nのマスクパターンと第n+1工程によって形成された
第n+1のマスクパターンが互いにねじれの関係にある
ことからなる。マスクパターン直上を覆う窒化物半導体
膜結晶は選択成長性により該マスクパターン上には直接
成長しにくく、該マスクパターンの開口部から該マスク
パターンのストライプ方向に対して垂直方向にラテラル
成長して形成される。
【0012】従って、第n+1のマスクパターンのスト
ライプ方向に対して垂直方向に成長した第n+1のマス
クパターン上部分の窒化物半導体膜は、第n+1のマス
クパターンとの原子間結合が非常に弱いので格子歪みを
生じないが、ストライプ方向に平行方向では第n工程以
下の下地層からの格子歪みが第n+1のマスクパターン
上部分の窒化物半導体膜に引き継がれる。熱歪みに対し
ても同様である。
【0013】上記発明は、互いのマスクパターンがねじ
れの関係位置にある事により、下地層からの歪みの影響
を一方向のみではなく、多種の方向で歪みによる影響を
解消させることができる。上記歪みの緩和は転位の一つ
であるエッジディスロケーションの発生を抑制する効果
がある。
【0014】本発明は、第nのマスクパターンの方向と
第n+1のマスクパターンのストライプ方向が互いに1
20度の角度差を持つことに関する。窒化物半導体は主
にウルツァイト構造を有することから、等価な方向が3
種類ある。これら3種の方向は、互いに120度の角度
差を持つ。上記工程によって作製されたマスクパターン
の方向を互いに120度の角度で形成することによっ
て、これらのマスクパターンは互いに等価な選択特性を
有し、等価な歪み緩和作用で歪みを解消できる。
【0015】本発明は、第nのマスクパターンのストラ
イプ方向と第n+1のマスクパターンのストライプ方向
が互いに90度の角度差を持つことに関する。上記請求
項4とは対照的にこれらのマスクパターンのストライプ
方向は互いに等価ではなく、上記のような等価な選択性
や等価な歪み緩和作用を期待できない。しかしながら、
マスクパターンのストライプ方向が互いに90度である
ために、歪み緩和による効果は大きい。
【0016】本発明は、第nのマスクパターンのストラ
イプ幅が第n+1のマスクパターンのストライプ幅≧第
nのマスクパターンのストライプ幅の関係であることに
関する。
【0017】本発明は、上記工程数が増えるにつれて
(nが大きくなるにつれて)マスクパターンのストライ
プ幅が大きくなることで、各工程によって作製された窒
化物半導体膜は結晶積層方向に向けて基板から発生した
貫通転位密度を減少させることができる。本発明に係わ
るマスクパターンはSiO2又はSiNxで形成するため
成長抑制効果は十分である。
【0018】本発明は、マスクパターンのストライプ方
向が窒化物半導体結晶の<1−100>または<11−
20>方向であることに関する。マスクパターンのスト
ライプ方向を<1−100>に形成した場合、特にMO
VPE法によって形成された窒化物半導体膜はこのスト
ライプ方向に対して垂直な<11−20>方向に沿って
大きくラテラル成長するため、薄膜積層で該マスクパタ
ーンを窒化物半導体膜で埋没させることが可能である。
また、成長条件によっては、貫通転位が該マスクパター
ン上には殆ど現れないという特徴も持っている。これら
の特徴から選択成長(ラテラル成長)において<1−1
00>ストライプ方向は非常に重要な方向である。
【0019】マスクパターンのストライプ方向が<11
−20>の場合、窒化物半導体結晶のラテラル成長は<
1−100>方向に沿って成長する。ただし、<1−1
00>ストライプ方向に比べてラテラル成長速度は遅
い。また、マスク開口部から侵入してきた貫通転位はマ
スク部の方向に折れ曲がり、該マスクの中央部で会合し
て再び結晶成長方向に向かって伸びていく。これは、マ
スクパターンのストライプ方向が<1−100>方向の
場合と比べて、マスク上部にも多くの貫通転位が発生す
る。しかしながら、該マスク直上で新たな転位が発生す
るのではなく、マスク開口部から侵入してきた貫通転位
が拡散したためであり、結果的には<1−100>方向
と同じ、貫通転位密度の低減効果がある。本発明は、マ
スクパターンのストライプ方向を<1−100>もしく
は<11−20>方向に選ぶことにより、ラテラル成長
を促進させて該マスクパターンを効率よく埋め、貫通転
位密度の低減と歪み緩和の効果を実現する。
【0020】本発明は、前記第1のマスクパターン、第
2のマスクパターン、第3のマスクパターンのストライ
プ方向は、窒化物半導体結晶の[1−100]、[10
−10]、[01−10]方向の組み合わせからなるこ
とに関する。第1工程から第3工程での1つのマスクパ
ターンのストライプ方向を<1−100>とし、他のマ
スクパターンのストライプ方向を<1−100>方向か
ら120°角度差をもつように形成することで、窒化物
半導体において、等価な歪み緩和作用を有するととも
に、歪みをラテラル成長を促進させてマスクパターンを
効率よく埋めるので、貫通転位密度の低減と歪み緩和の
効果を最大限に生じさせることができる。
【0021】本発明は、第n工程によって積層された窒
化物半導体膜結晶がAlxInyGa zNで(x+y+z
=1;0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)あること
からなることに関する。上記結晶は成長速度の異方性
(ラテラル成長)から本成長方法に適した材料である。
【0022】本発明は、第n工程によって積層された窒
化物半導体膜、あるいは、窒化物半導体層上に積層する
窒化物半導体膜は5μm以上の膜厚であることに関す
る。基板から発生した貫通転位はマスク部で遮断され、
マスクの開口部からはそのまま成長させた窒化物半導体
膜に侵入する。しかし、5μm以上の窒化物半導体膜を
堆積させることによって、マスクパターンをGaN膜で
覆うともに、遮蔽しきれなかった貫通転位を堆積膜厚に
よって低減することができる。
【0023】本発明は、上記窒化物物半導体の製造方法
を用いて、基板を含む窒化物半導体構造を形成し、前記
窒化物半導体構造から少なくとも前記基板を除去するこ
とによって、少なくとも窒化物半導体構造の一部を窒化
物半導体基板とすることに関する。従来技術ではデバイ
ス生産に適した大きさと表面モフォロジーの良好性を有
する窒化物半導体基板供給が困難であったが、上記製造
方法により、簡易な手法でデバイス生産の要求を満足す
る窒化物半導体基板を供給することが可能となる。ま
た、上記工程による結晶成長方法は、貫通転位密度の低
減の他に歪みの緩和効果がある。この歪みは基板と窒化
物半導体結晶間の格子定数差以外に熱膨張係数差による
要因がある。例えば、サファイア基板上に直接、厚膜窒
化物半導体を結晶成長した場合、その熱膨張係数差によ
り結晶成長終了による降温工程でクラックが発生してし
まい、約20μm程度でクラックが発生することが知ら
れている。しかしながら、本発明による上記結晶成長方
法を使用することにより、クラックを発生させずにサフ
ァイア基板上に厚膜窒化物半導体膜を形成することが可
能である。
【0024】本発明は、上記結晶成長方法を用いて第n
+1工程まで実施したとき、第1のマスクパターンから
第n+1のマスクパターンが全体として基板を覆うこと
に関する。上記の方法を実施することによって、基板も
しくは基板上に結晶成長した窒化物半導体膜直上に形成
された第1のマスクパターンの開口部より発生した転位
は、第n工程によって作製されたn個のマスクパターン
の内、何れかのマスクパターンによって遮蔽される。こ
のことにより、第n+1のマスクパターン上の窒化物半
導体膜の最終表面に到達する貫通転位密度は極めて減少
する。
【0025】本発明の窒化物半導体の製造方法は、前記
第1と第2のマスクパターンのマスク被覆率(マスク幅
/ピッチ)が、それぞれ、20%から80%であること
を特徴とする。
【0026】本発明は、上記結晶成長方法を用いて作製
された第n工程後の窒化物半導体層、あるいは、第n工
程後の窒化物半導体層上に積層する窒化物半導体膜上に
形成された光を発する活性層を有する発光素子に関す
る。上記結晶成長方法により格子歪みや結晶欠陥の少な
い光を発する活性層を有する発光素子が可能になり、発
光効率や信頼性の点で極めて優れたものが形成される。
【0027】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕図1(a)を参
照して、本実施の形態1の結晶成長方法を説明する。図
1(a)は、形成される窒化物半導体の断面図を示して
いる。
【0028】先ず、所定の成長炉内に設置された、C面
を表面とするサファイア基板100上にトリメチルガリ
ウム(TMG)とアンモニア(NH3)を原料に用い
て、GaN層101を2μm厚成長させる。
【0029】次いで、第1のマスクパターンを形成する
ため、GaN層101上に成長抑制物質からなる膜とし
てスパッタ法にて厚さ100nmのSiO2膜を形成し
た。SiO2膜の形成方法としてスパッタ法に限定され
なくて、他の方法例えば、CVD法、EB蒸着法、真空
蒸着法でもよい。また、成長抑制物質としては、SiO
2以外にAl23、TiO2等の酸化物やSiNxでもよ
い。次いで、通常のフォトレジスト法によりSiO2
をストライプ幅(w)7μm、ピッチ(d)10μmの
周期的ストライプ状の第1のマスクパターン102とし
た。図1(b)に形成される窒化物半導体の上面図を示
す。図1(b)に示すように、ストライプの方向はGa
N結晶の[1−100]方向とした。
【0030】次に、第1のマスクパターン付き基板を用
いて、MOVPE法で第1層目のGaN膜104を成長
する。所定の成長炉内でトリメチルガリウム(TMG)
とアンモニア(NH3)を原料に用いて、成長温度10
50℃で厚さ5μmの第1層目のGaN膜104を成長
させ、第1工程を完了した。第1層目のGaN膜104
は第1のマスクパターンの開口部105から成長を始
め、基板表面に対して垂直方向より水平方向、特にGa
N結晶に対して<11−20>方向に成長速度が早いと
いう異方性により、ほぼサファイア基板全面に渡って平
滑に成長した。
【0031】マスクパターンのストライプ方向に対して
垂直方向に成長したマスクパターン上部分の第1層目の
GaN膜104はマスクパターンとの間の原子間結合は
非常に弱い(マスクからエピタキシャル成長していな
い)ので格子歪みを生じないが、しかし、ストライプ方
向に対して平行方向ではGaN層101がサファイア基
板との格子定数差で格子歪みが残存しており、第1層目
のGaN膜104にも格子歪みが引き継がれる。このよ
うな第1工程のみでは格子歪みや貫通転位密度が十分に
緩和されておらず、これらが内在する第1層目のGaN
膜104上に半導体レーザを形成したところ、室温連続
発振は900時間程度であった。この発振寿命値は、生
産デバイスとしての信頼性を満足するものではなかっ
た。
【0032】また、熱歪み(クラック)に関しても上記
と同様に、マスクパターンの直上ではGaN結晶とマス
クパターンとが原子間結合が非常に小さく、下地層(サ
ファイア基板)からの熱歪みによる影響を受け難いが、
マスクパターンの開口上部のGaN結晶は下地層(サフ
ァイア基板)からの熱歪みの影響を強く受けている。
【0033】第1層目のGaN膜104の貫通転位密度
は第1のマスクパターン直上では約104〜105cm-2
のオーダーであったが、マスク開口部直上は約107
108cm-2のオーダーであった。従来例ではこのよう
な場所を避けてレーザ素子を形成していたが、信頼性お
よび歩留まりの点で不十分となった。
【0034】次いで、第1層目のGaN膜104表面に
SiO2からなる第2のマスクパターン106を形成し
た。この第2のマスクパターン106の形成では、第1
のマスクパターン102と同様の方法により形成した1
00nm厚のSiO2膜に通常のフォトリソグラフィと
エッチングを施し、ストライプ幅8μm、ピッチ10μ
mの周期的なSiO2からなる第2のマスクパターン1
06とした。また、第2のマスクパターン106のスト
ライプ方向をウェハー上方より観察した状態で、第1の
マスクパターンのストライプと120゜の角度をなすよ
うにGaN結晶の[01−10]方向になるようにし
た。この時の半導体素子の上面図を図2に示す。図2は
説明上、透視されたときのマスクパターンを表してい
る。
【0035】また、第2のマスクパターン106のスト
ライプ幅は、下地となるGaN結晶表面を第1のマスク
パターン102より広く覆うように、第1のマスクパタ
ーン102のストライプ幅より1μm広く作製した。
【0036】続いて、この第2のマスクパターン106
が表面に形成された第1層目のGaN膜104上にMO
CVD法にて第2層目のGaN膜107を基板全面に成
長させ、第2工程を終了した。この時の成長条件として
は、基板温度1050℃とし、成長用材料としてはTM
GとNH3を利用した。第2層目のGaN膜107の層
厚は約5μmとした。このようにして、形成された第2
層目のGaN膜107は第2のマスクパターン106上
方を含めウェハー全面にわたって均一に成長し、その表
面はほぼ平坦となった。この状態の第2のマスクパター
ンと平行な方向のa−a’断面図を図3(a)に、第1
のマスクパターンと平行な方向のb−b’断面図を図3
(b)に示す。ただし、b−b’断面は第1のマスクパ
ターン102の欠如部の断面であり、図3(b)には第
1のマスクパターン102は観測できない。
【0037】この第2工程において成長された第2層目
のGaN膜107において、第1工程の場合と同様に、
第2のマスクパターン106のストライプ方向に垂直な
方向での格子歪は、第2のマスクパターンが存在しない
場合に比べて低減される。一方、第2のマスクパターン
のストライプ方向に平行な方向の格子歪は、下地の第1
層目のGaN膜104と同様程度となった。ここで、第
1層目のGaN膜104は、第1のマスクパターン10
2の垂直方向への格子歪は第1工程においてすでに低減
されているため、第2層目のGaN膜107において
は、結果として、第1のマスクパターンのストライプに
垂直な方向と、第2のマスクパターンのストライプに垂
直な方向の2方向において格子歪が緩和されたこととな
った。
【0038】また、第2工程で作製した第2層目のGa
N膜107の貫通転位密度は、第1と第2のマスクパタ
ーンの直上部分108では約103cm-2のオーダーに
減少し、極めて結晶性が向上した。また、第1のマスク
パターンの開口部から成長した第2層目のGaN膜の局
部の貫通転位密度は、第2のマスクパターン106によ
るラテラル成長で約105cm-2のオーダーであった。
また、第1のマスクパターン直上のGaN膜の局部11
0の貫通転位密度は、約104cm-2のオーダーであっ
た。
【0039】さらに、第3工程として、第2層目のGa
N膜107上に第1、第2工程と同様の周期ストライプ
状マスクを利用したGaN結晶の成長を実施した。ま
ず、第2層目のGaN膜107表面に第1工程と同様の
方法により100nm厚のSiO2膜を形成し、通常の
フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を利用して、
幅8μm、周期10μmの周期ストライプ状に加工し、
第3のマスクパターン111とした。この第3のマスク
パターン111のストライプ方向は、第1および第2の
マスクパターンのストライプ方向のいずれに対しても1
20°の角度を有するように配置した。すなわち、Ga
N結晶に対して[−1010]方向である。この時の半
導体素子の上面図を図4(a)に示す。図4(a)は説
明上、上面から透視されたときのマスクパターンを表し
ている。
【0040】次に、この第3のマスクパターン111を
表面に有する第2層目のGaN膜107上に、第1及び
第2工程と同様にして、5μm厚の第3層目のGaN膜
112を結晶成長させ第3工程を終了した。この第3層
目のGaN膜112も、SiO2からなる第3のマスク
パターン111を覆うように、全面均一に成長し、その
表面はほぼ平坦な単一膜を呈した。また、この第3工程
で形成された第3層目のGaN膜112においては、第
3のマスクパターン111のストライプに垂直な方向の
格子歪は第2層目のGaN膜107に比べてさらに低減
された。a−a’断面の構造図を図4(b)に示す。
【0041】このように、3回の工程を経て作製された
最表面に位置する第3層目のGaN膜112は、120
°ずつ互いに角度をなす3種のマスクパターン102、
106、111上へのGaN成長により得られたもので
あり、各工程ごとに、マスクパターンのストライプ方向
に垂直な方向の格子歪が緩和された効果が蓄積されるこ
ととなった。したがって、最表面の第3層目のGaN膜
112では、互いに同じ角度をなす3種のマスクパター
ンにより等方に歪が低減された結果、ほぼ歪がいずれの
面内方向にもない第3層目のGaN膜112が実現され
た。
【0042】また、本実施の形態では第1のマスクパタ
ーンのストライプ方向を[1−100]、第2のマスク
パターンのストライプ方向を[01−10]、第3のマ
スクパターンのストライプ方向を[10−10]とした
が、これに限るものではなく、第1、第2、第3のマス
クパターンのストライプ方向が<1−100>方向であ
り、かつそれぞれのストライプ方向が120°の角度差
を有すれば、ほぼ歪がいずれの面内方向にもないという
効果を奏することができる。
【0043】この第3層目のGaN膜112表面の貫通
転位密度を調べたところ、第1から第3のマスクパター
ンにより、サファイア基板100からまっすぐ上方に伸
びる貫通転位のほとんどはいずれかのマスクにカバーさ
れて、マスクより上方向に伸びるのを防止できた。この
ため、第3層目のGaN膜112の表面における貫通転
位密度は103cm-2から104cm-2と従来技術による
ものより一桁以上低減できた。また、第1のマスクパタ
ーンの開口部から成長した第3層目のGaN膜の局部1
13のように3種のマスクによりカバーできていない領
域も一部存在するが、全体の面積に占める割合は10%
未満と小さく、特にこの領域で貫通転位が増加すること
もなかった。これは、サファイア基板100から上方に
伸びる貫通転位が、GaN膜をトータル15μm以上形
成する工程にて、左右に拡散し、第3工程において形成
された第3層目のGaN膜112の表面では、ほぼ均一
に貫通転位が分布したものと考えられる。
【0044】また、本実施の形態1では、第1のマスク
パターン、第2のマスクパターンと第3のマスクパター
ンは、同じ厚み、且つ、同じ成長抑制材料(SiO2
で作製されたが、お互いに異なる膜厚、異なる成長抑制
材料から構成されても良くなる。特に、これらマスクパ
ターンの成長抑制材料を同一にすれば、生産性の観点か
ら成長炉を変えずに済み、同一の成長抑制効果が得られ
ることから成長の制御性が良い。窒化物半導体成長方法
については上記MOVPE法以外にHVPE法、MBE
(分子線エピタキシャル)法を使用しても良い。
【0045】〔実施の形態2〕本発明に係る実施の形態
2は、実施の形態1での第2工程で形成したGaN膜1
07をデバイスの下地として用いる場合の、下地として
も特性を評価したものである。すなわち、第1実施形態
においては、マスク形成とマスク上の結晶成長を3度繰
り返したが、ここでは2回で終了した場合の、本発明の
効果について説明する。この場合、第1と第2のマスク
パターンは互いに120°の角度を有する方向に形成さ
れているため、この2つのマスクパターンのストライプ
方向に垂直な2方向の格子歪は低減された。ただし、両
方のマスクパターンが120°をなす角を2分する方向
(すなわち図2の紙面の左右方向)の格子歪は若干残存
する。
【0046】また、第1のマスクパターンと第2のマス
クパターンの直上部に位置する第2層目のGaN膜10
7の貫通転位密度は103cm-2台に低減できており、
また、第1のマスクパターンの開口部から成長した第2
層目のGaN膜の局部109における貫通転位密度は1
5cm-2であった。第2層目のGaN膜107の表面
全体で平均した貫通転位密度は3×104cm-2であ
り、従来例に比べて一桁程度の貫通転位の低減も確認で
きた。歪みに関しては、実施の形態1で記述したよう
に、本発明の第2工程まで行うことによって従来例(第
1工程のみ)よりも緩和効果が得られた。
【0047】〔実施の形態3〕本実施の形態3は、実施
の形態2の変形例であり、第1工程によって形成された
第1マスクパターンのストライプ方向と第2工程によっ
て形成された第2マスクパターンのストライプ方向との
角度差が90度であること以外は実施の形態2と同一で
ある。図5(a)には本実施の形態3によって作製され
たGaN膜の上面図を示す。ただし、図5(a)は説明
上、上面から透視されたときのマスクパターンを表す。
図5(a)に示すように上記の第1のマスクパターン2
02と第2のマスクパターン204のストライプ方向は
互いに90度の角度をなし、かつGaN結晶に対してそ
れぞれ<11−20>方向と<1−100>方向に沿っ
て形成されている。この第1と第2のマスクパターンの
ストライプ方向は、それぞれ<1−100>方向と<1
1−20>方向に沿って形成されることが好ましいが、
この方向に限られれるものではない。
【0048】図5(b)は図5(a)のa−a′での断
面図を示している。まず、C面のサファイア基板200
をMOVPE成長炉に設置し、トリメチルガリウム(T
MG)とアンモニア(NH3)を原料に用いて、GaN
層201を2μm厚成長させた。次いで、第1のパター
ン化したマスクを形成するため、GaN層201上に成
長抑制物質としてEB(electron beam)
蒸着方法を用いて厚さ100nmのSiO2膜を形成し
た。次いで、通常のフォトレジスト法により該SiO2
膜をストライプ幅3μm、ピッチ7μmの周期的ストラ
イプ状パターンとし、第1のマスクパターン202を形
成した。図5(a)に示すように、第1のマスクパター
ン202のストライプ方向はGaN結晶の<11−20
>方向とした。
【0049】上記第1のマスクパターン付き基板を用い
て、MOVPE法で第1層目のGaN膜203を成長さ
せた。所定の成長炉内でトリメチルガリウム(TMG)
とアンモニア(NH3)を原料に用いて、成長温度10
50℃で厚さ10μmの第1層目のGaN膜203を成
長させ、第1工程を完了した。第1層目のGaN膜20
3は第1のマスクパターンの開口部206から成長を始
め、基板表面に対して平行方向にラテラル成長した。実
施の形態1または2のマスクパターンのストライプ方向
である<1−100>方向に比べて、ラテラル成長速度
が遅いものの、厚さ10μmのGaN膜203を積層す
ることによって第1のマスクパターンを覆い、平滑に成
長した。
【0050】第1層目のGaN膜203の貫通転位密度
は第1のマスクパターン202直上では約106cm-2
のオーダーであったが、第1のマスクパターンの開口部
206直上は約107cm-2のオーダーであった。マス
クパターンのストライプ方向が<1−100>方向であ
るのに比べて、マスクパターン直上での貫通転位密度は
1桁〜2桁程度大きかった。歪みの緩和が生じる方向
は、上記実施の形態1、2と同様に、マスクパターンの
ストライプ方向に対して垂直である。
【0051】次に、第1層目のGaN膜203上に第2
のマスクパターン204を形成した。第1のマスクパタ
ーン202形成と同じEB法で、100nmの厚さのS
iO 2を形成し、フォトレジスト法でストライプ幅5μ
m、ピッチ7μmの周期的ストライプ状パターンとし
た。この時、第2のマスクパターン204のストライプ
方向は図5(a)に示すように、<1−100>方向で
ある。また、第2のマスクパターン204のストライプ
幅は第1のマスクパターン202のそれより2μm大き
くした。
【0052】次いで、MOVPE成長炉内でトリメチル
ガリウム(TMG)とアンモニア(NH3)を原料に用
いて、成長温度1050℃で厚さ5μmの第2層目のG
aN膜205を成長させ、第2工程を完了した。このよ
うにして成長させたGaN膜205はウエハー全面に渡
って均一に成長した。
【0053】全体的な第2層目のGaN膜205の貫通
転位密度は105cm-2のオーダーであり、従来例のそ
れと比べて若干減少していた。歪み(熱歪みも含む)緩
和に関して、第1のマスクパターン202で生じた歪み
の方向は第2のマスクパターン204に関しては歪みの
緩和方向である。同様に、第2のマスクパターン204
で生じた歪みの方向は第1のマスクパターン202の歪
み緩和方向である。従って、本実施の形態3は、実施の
形態1、2と比べて歪みを取り除く効果が大きい。 ま
た、上記実施の形態3では、第2工程まで実行したが、
上記第1と第2のマスクパターンで遮蔽しきれなかった
部分を覆うように第3のマスクパターンを第2層目のG
aN膜205上に形成し、続いて第3層目のGaN膜を
形成しても良い(第3工程まで実施)。このことにより
貫通転位密度を上記約105cm- 2のオーダーから104
cm-2のオーダーに低減することができる。
【0054】〔実施の形態4〕本実施の形態4は、成長
抑制効果のあるマスクパターンを含有したGaN膜上に
厚膜GaNを形成することを目的とした。従来技術で
は、窒化物半導体デバイス生産を目的とした適切な大き
さ及び良好な表面モフォロジーを有するGaN基板が供
給されていないことから、本実施の形態4を実施するこ
とによってクラックフリーのGaN基板を提供するもの
である。
【0055】図6(a)は本実施の形態4で作製した厚
膜GaNを積層した窒化物半導体構造の断面図を示して
いる。符号300は、実施の形態1から3に示すGaN
膜の形成方法を用いて第n工程まで繰り返して作製され
た基板を含む窒化物半導体(例えばGaN膜)を表し、
窒化物半導体300の最表面301は第n工程によって
作製された第n層目の窒化物半導体膜(例えばGaN
膜)を表している。302はHVPE法で作製された厚
膜のGaN膜を表している。厚膜GaN302はHVP
E法以外にMOVPE法を用いても良い。図6(a)に
示されるように、窒化物半導体構造は、基板を含む窒化
物半導体300と厚膜GaN302とからなっている。
【0056】本実施の形態4では、第n工程を有する窒
化物半導体300として前記実施の形態1で作製された
GaN膜を例にして説明する。前記実施の形態1で作製
されたサファイア基板を含む窒化物半導体300をHV
PE装置内にセッティングした。次に、厚膜GaN30
2を結晶成長させるためにV族ガスとしてNH3ガスと
キャリアH2ガスを混合したガスを、III族ガスにつ
いてはHVPE装置内に予め約850℃の温度で保持さ
れたGa金属上に、HClガスを供給してGaとHCl
ガスとの反応生成物であるIII族塩化物とキャリアH
2ガスとを混合したガスを、それぞれ窒化物半導体30
0がセッティングされているHVPE成長炉に送り込
み、厚膜GaN302を350μm成長させた。厚膜G
aN302は平滑に成長し、その表面を光学顕微鏡で観
測したところクラックは発生していなかった。このよう
にして、窒化物半導体構造を形成することができた。
【0057】本実施の形態4で作製された厚膜GaN3
02の貫通転位密度は、約103〜104cm-2のオーダ
ーで実施の形態1で作製された窒化物半導体300であ
るGaN膜のそれと殆ど同じか若干減少していた。歪み
に関しては上記実施の形態1と同様である。
【0058】本実施の形態4では、第n工程によって作
製された基板を含む窒化物半導体(例えばGaN膜)3
00の最表面301が第n工程によって作製された第n
層目の窒化物半導体膜(例えばGaN膜)であったが、
図6(b)に示すように第nのマスクパターン303直
上に直接HVPE法を用いて厚膜GaN302を形成し
ても良い。例えば、図6(b)に示す窒化物半導体30
0が実施の形態1の場合は第3のマスクパターン直上
に、窒化物半導体300が実施の形態2と3の場合は第
2マスクパターン直上に直接厚膜GaNを形成する。結
晶性の特性については本実施の形態4と同じである。
【0059】本実施の形態4で作製したサファイア基板
を含む半導体構造を新たな基板として利用することがで
きる。また、サファイア基板を、研磨、エッチングまた
は熱歪みを利用して剥離し、完全なGaN基板として利
用することもできる。完全なGaN基板として用いると
きには、厚膜GaN302を基板としてもよいし、サフ
ァイア基板を除去するのみではなく、窒化物半導体構造
の一部を研磨、またはエッチングを行ったものを用いて
もよい。この場合の例としては、最表面をなす第n層目
の窒化物半導体膜を基板として用いることなどが挙げら
れる。
【0060】〔実施の形態5〕図7は、本実施の形態5
によって作製されたLD素子構造について示している。
図7中のGaN400から412は実施の形態1で述べ
たもの100から112と全く同じである。
【0061】この図で413はn−GaN型コンタクト
層、414はn−Al0.1Ga0.9N型クラッド層、41
5はn−GaN光ガイド層、416は5層のIn0.2
0.8N量子井戸層と6層のIn0.05Ga0.95N障壁層
からなる多重量子井戸構造活性層、417はAl0.2
0.8N蒸発防止層、418はp−GaN光ガイド層、
419はp−Al0.1Ga0.9N型クラッド層、420は
p−GaN型コンタクト層、421はp型電極、422
はn型電極、423はSiO2絶縁膜である。
【0062】本発明において、サファイア基板400の
表面はa面、r面、m面等の他の面方位であっても構わ
ない。また、サファイア基板に限らずGaN基板、Si
C基板、スピネル基板、MgO基板、Si基板、GaA
s基板も用いることが出来る。特に、GaN基板の場合
にはサファイア基板に比べて基板に堆積した窒化ガリウ
ム系半導体材料との格子定数差が小さく良好な結晶性の
膜が得られ、さらに、劈開しやすいため、劈開によるレ
ーザ共振器の形成が容易であるという利点がある。n型
クラッド層414およびp型クラッド層419は、Al
0.1Ga0.9N以外のAl組成をもつAlGaN3元混晶
でも良い。この場合、Al組成を大きくすると活性層と
クラッド層とのエネルギーギャップ差および屈折率差が
大きくなり、キャリアや光が活性層に閉じ込められてさ
らに発振閾値電流の低減および温度特性の向上が図られ
る。また、キャリアや光の閉じ込めが保持される程度で
Al組成を小さくしていくと、クラッド層におけるキャ
リアの移動度が大きくなるため、半導体レーザ素子の素
子抵抗を小さくできる利点がある。さらにこのクラッド
層は微量に他の元素を含んだ4元混晶半導体でも良く、
n型クラッド層414とp型クラッド層419とで混晶
の組成が同一でなくても構わない。
【0063】光ガイド層415と418は、そのエネル
ギーギャップが、多重量子井戸構造活性層416を構成
する量子井戸層のエネルギーギャップとクラッド層41
4、419のエネルギーギャップの間の値を持つような
材料であればGaNにこだわらず他の材料、例えばIn
GaN、AlGaN3元混晶等を用いてもよい。また、
光ガイド層全体にわたってドナー又はアクセプタをドー
ピングする必要はなく、多重量子井戸構造活性層416
側の一部のみをノンドープとしてもよく、さらには光ガ
イド層全体をノンドープとしてもよい。この場合、光ガ
イド層に存在するキャリアが少なくなり、自由キャリア
による光の吸収が低減されて、さらに発振閾値電流が低
減できるという利点がある。
【0064】多重量子井戸構造活性層416を構成する
In0.2Ga0.8N量子井戸層とIn 0.05Ga0.95N障壁
層は、必要なレーザ発振波長に応じてその組成を設定す
ればよく、発振波長を長くしたい場合は量子井戸層のI
n組成を大きくし、短くしたい場合は量子井戸層のIn
組成を小さくする。また量子井戸層と障壁層はInGa
N3元混晶に微量の他の元素を含んだ4元以上の混晶半
導体でもよい。さらに障壁層は単にGaNを用いてもよ
い。
【0065】また、本実施の形態5では、多重量子井戸
構造活性層416に接するようにAl0.2Ga0.8N蒸発
防止層417を形成しているが、これは多重量子井戸構
造活性層416のInが、p−GaN光ガイド層の成長
温度に到達する間に蒸発してしまうことを防ぐためであ
る。従って、多重量子井戸構造活性層を保護するもので
あれば蒸発防止層417として用いることが出来、他の
Al組成を有するAlGaN3元混晶やGaNを用いて
もよい。また、この蒸発防止層417にMgをドーピン
グしてもよく、この場合はp−GaN光ガイド層418
やp−Al0.1Ga0.9N型クラッド層419から正孔が
注入され易くなるという利点がある。さらに、多重量子
井戸構造活性層を構成している量子井戸層のIn組成が
小さい場合は、蒸発防止層417を形成しなくてもIn
蒸発による活性層のIn組成変化が小さいため、特に、
蒸発防止層417を積層しなくても、本実施の形態5の
窒化ガリウム系半導体レーザ素子の特性は損なわれな
い。
【0066】次に、図7を参照して、上記窒化ガリウム
系半導体レーザ作製方法を説明する。以下の説明では、
MOVPE法を用いた場合を示しているが、GaNをエ
ピタキシャル成長できる成長方法であればよく、MBE
やHVPE等の他の結晶成長法を用いることも出来る。
【0067】先ず所定の成長炉に設置され、実施の形態
1で作製した、基板上にトリメチルガリウム(TMG)
とアンモニア(NH3)およびシランガス(SiH4)を
原料に用いて、成長温度1050℃で厚さ3μmのSi
ドープn−GaN型コンタクト層413を成長する。さ
らに、続けてトリメチルアルミニウム(TMA)を原料
に加え、成長温度1050℃のままで0.4μmのSi
ドープn−AI0.1Ga0.9N型クラッド層414を成長
する。続けて、TMAを原料から除いて、成長温度10
50℃のままで厚さ0.1μmのSiドープn−GaN
光ガイド層415を成長する。
【0068】次に、成長温度を750℃に下げて、TM
GとNH3、及びトリメチルインジウム(TMI)を原
料に用いて、In0.05Ga0.95N障壁層(厚さ3nm)
/In0.2Ga0.8N量子井戸層(厚さ2nm)を5周期
成長した後、In0.05Ga0. 95N障壁層(厚さ3nm)
を成長することにより多重量子井戸構造活性層(トータ
ルの厚さ28nm)416を作製する。さらに続けてT
MG、TMAとNH3を原料に用いて、成長温度は75
0℃のままで厚さ30nmのAl0.2Ga0.8N蒸発防止
層417を成長する。
【0069】次に、再び成長温度を1050℃に上昇し
て、TMGとNH3、およびビスエチルシクロペンタジ
エニルマグネシウム(EtCp2Mg)を原料に用い
て、厚さ0.1μmのMgドープp−GaN光ガイド層
418を成長する。さらに続けてTMAを原料に加え、
成長温度は1050℃のままで0.4μmのMgドープ
p−Al0.1Ga0.9N型クラッド層419を成長する。
続けて、TMAを原料から除いて、成長温度は1050
℃のままで厚さ0.5μmのMgドープp−GaN型コ
ンタクト層420を成長して、窒化ガリウム系LD構造
を有するエピキシャルウエハーを完成する。その後、こ
のウエハーを800℃の窒素ガス雰囲気中でアニールし
て、Mgドープのp型層を低抵抗化する。
【0070】さらに、通常のフォトリソグラフィーとド
ライエッチング技術を用いて、200μm幅のストライ
プ状にp−GaN型コンタクト層420の最表面から、
n−GaN型コンタクト層413が露出するまでエッチ
ングを行いメサ構造を作製する。次に、上記と同様のフ
ォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて、
残ったp−GaN型コンタクト層420、p−Al0.1
Ga0.9N型クラッド層419をエッチングする。この
時、ストライプ状のリッジ構造は、上記200μm幅の
メサ構造の両端から3μm以上離しておけばよく、本実
施の形態5ではn型電極422を形成する側のメサ構造
の端より10μm離れたところにストライプ状のリッジ
構造を形成した。このようにn型電極422に近付ける
ようにストライプ状のリッジ構造を配置すれば、素子の
電気抵抗が小さくなり動作電圧が低減される。また、こ
のドライエッチングの際には多重量子井戸構造活性層4
16に達しないようにエッチングを停止しているので、
活性層へのエッチングダメージが抑えられており、信頼
性の低下や発振閾値電流の増大が防がれている。
【0071】続いて、リッジの側面とリッジ以外のp型
層表面に厚さ200nmのSiO2絶縁膜423を電流
阻止層として形成する。このSiO2絶縁膜423とp
型コンタクト層420の表面にニッケルと金からなるp
型電極421を形成し、エッチングにより露出したn−
GaN型コンタクト層413の表面にチタンとアルミニ
ウムからなるn型電極422を形成して、窒化ガリウム
系LDウエハーを完成する。
【0072】その後、このウエハーをリッジのストライ
プ方向と垂直な方向に劈開してレーザの共振面を形成
し、さらに個々のチップに分割する。そして、各チップ
をステムにマウントし、ワイヤーボンディングにより各
電極とリード端子とを接続して、窒化ガリウム系半導体
LD素子を完成する。
【0073】以上のようにして作製された半導体LD素
子は、発振波長410nm、発振閾値50mAという良
好なLD特性が得られた。また、結晶欠陥の減少によ
り、900時間(60℃)と極めて信頼性の高いLD素
子であった。また、結晶欠陥によって劣化したと思われ
るLD素子の割合が極めて低下し、素子歩留まり80%
以上が得られた。
【0074】なお、本実施の形態5では、多重量子井戸
構造活性層416を構成する量子井戸層と障壁の層厚を
それぞれ2nm、3nmとしたが、量子井戸層と障壁層
の各層厚を10nm以下とすれば、本実施の形態5にか
かわらず、他の層厚でも同等の効果が得られる。また、
多重量子井戸構造416の量子井戸層数は4層や3層で
もよく、単一量子井戸構造活性層でも構わない。
【0075】さらに本実施の形態5では絶縁体であるサ
ファイアを基板として用いたため、エッチングにより露
出した、n−GaN型コンタクト層413の表面にn型
電極422を形成しているが、n型導電性を有するGa
N,SiC,Si,GaAs等を用いれば、この基板の
裏面にn型電極を形成してもよい。この場合、200μ
m幅のストライプ状のメサ構造は半導体レーザ素子チッ
プの両端より3μm以上離しておけばよい。また、p型
とn型の構成を逆にしても構わない。
【0076】更に、本発明の結晶成長方法によるGaN
は大電流を扱うパワーデバイスいわゆるハードエレクト
ロニクス分野のデバイスとしてGaN FETやAlG
aN/GaN HEMT素子作製にも適用できる。窒化
物半導体をパワーデバイスに適用した場合、大電流によ
る発熱による熱歪みが素子に内在する歪みと重畳して素
子の信頼性に大きく悪影響を与えるので、特に、本発明
の結晶成長方法は有利である。
【0077】(実施の形態6)本発明の実施の形態は、
第1と第2のマスクパターンを利用することによって形
成された窒化物半導体膜の貫通転位密度の低減効果につ
いて説明する。本実施の形態で説明する前記第1と第2
のマスクパターンを利用した第2層目の窒化物半導体膜
の形成方法は実施の形態2と同様である。
【0078】表1は、第1のマスクパターンのマスク被
覆率と第2のマスクパターンのマスク被覆率による、実
施の形態2によって形成された窒化物半導体膜の貫通転
位密度との関係を示した表である。ここで、マスク被覆
率とは、マスク幅(w)とピッチ(d)を用いて、w/
dで表記される。
【0079】
【表1】 表1の実験結果から、貫通転位密度は、第1、第2のマ
スクパターンによらず、マスク被覆率が増加するに連れ
て、貫通転位密度が減少する傾向に有る。ただし、マス
ク被覆率が80%以上になると、逆に貫通転位密度が増
加し始める。一般に、マスク直上に成長した窒化物半導
体結晶は結晶成長軸方向(基板表面に対して垂直方向)
から、マスクストライプ方向と垂直な方向に微傾斜角度
を持って成長する。特に、マスク被覆率が大きくなる
(マスク幅が大きくなる)と、この微傾斜角度が大きく
なる。この事から、前述のマスク被覆率が80%以上に
なると、前記微傾斜角度が大きくなり、両側のマスク開
口部から結晶成長してきた窒化物半導体結晶がマスク直
上で会合するときに、空洞部を形成し、その事が新たな
貫通転位の発生要因になっているものと考えられる。
【0080】また、マスク被覆率が、約80%よりも上
回ると、ラテラル成長速度が急激に遅くなるために、該
マスクを被覆することが困難になり(空洞部の発生要因
となる)、完全に該マスクを被覆するためには厚膜を積
層しなければならない。さらに、マスク被覆率が90%
以上になると、厚膜を積層しても完全にマスクを埋没さ
せることは困難となる。本発明者らの実験結果では、マ
スク被覆率90%において、窒化物半導体膜を50μm
まで積層したが、埋没しなかった。
【0081】表1で示した90%のマスク被覆率は、第
1、第2のマスクパターンによらず、マスクパターンを
被覆することができなかった。これらマスクパターンの
中央部は、窒化物半導体膜で覆われておらず、マスク方
向に対して平行方向に空洞の溝が形成されていた。表1
の第1と第2のマスクパターンのどちらかが、マスク被
覆率90%である窒化物半導体膜の貫通転位密度を調べ
てみると、106cm- 2台〜107cm-2台のものが存在
した。これは完全にマスクが被覆されていないために、
その分だけ貫通転位が減少したものと考えられる。
【0082】さらに、表1をみると、第1のマスクパタ
ーンのマスク被覆率A%、第2のマスクパターンのマス
ク被覆率B%のときの貫通転位密度と、第1のマスクパ
ターンのマスク被覆率B%、第2のマスクパターンのマ
スク被覆率A%のときの貫通転位密度とを比較したとこ
ろ、後者の貫通転位密度の方が高かった。ここで、前記
A,Bは数値であり、A<Bの大小関係を有する。これ
は、第1のマスクパターン直上に積層した第1層目の窒
化物半導体膜厚が、第1のマスクパターンのマスク被覆
率に比べて前記微傾斜角度を十分に解消できるほど、厚
くなかったためだと考えられる。すなわち、第1層目で
の微傾斜角度が十分に解消されることなく、第2のマス
クパターンを形成したために、さらに微傾斜角度が大き
くなり、空洞部の発生を容易にし、第2層目の窒化物半
導体膜中の貫通転位密度が低減し難くなったからであ
る。従って、貫通転位密度を効率良く低減するために
は、第1層目の窒化物半導体膜厚を十分に厚くして、前
記微傾斜角度(空洞部)の発生を抑制するか、第1のマ
スクパターンのマスク被覆率を小さくして、第2のマス
クパターンのマスク被覆率を大きくする必要が有る。本
発明者らの実験結果によれば、第1のマスクパターンと
第2のマスクパターンとの間の、第1層目の窒化物半導
体膜の厚みが、10μm以上になると、徐々に微傾斜角
度が緩和し始めた。しかしながら、前者の窒化物半導体
膜厚を十分に厚くする方法は、生産性を考えると得策で
はない。
【0083】以上の実験結果から、第1と第2のマスク
パターンを利用して貫通転位密度を効率良く低減するた
めには、第1、第2のマスクパターンのマスク被覆率
が、それぞれ約20%から80%(貫通転位密度約10
7cm-2台以下、完全な被覆膜)が好ましい。より好ま
しくは、第1、第2のマスクパターンの被覆率が約50
%以上80%以下(貫通転位密度約105cm-2台以
下)である。さらに好ましくは、60%以上70%以下
(貫通転位密度約104cm-2台以下)である。また、
第1のマスクパターンのマスク被覆率A%、第2のマス
クパターンのマスク被覆率B%との関係がA≦Bである
ことが好ましい。加えて、生産性を考慮した場合、第
1、第2のマスパターンのマスク被覆率が同一であるこ
とが望ましい。この事によって、第1、第2層目の窒化
物半導体膜の選択成長様式が同一になるため、選択成長
の制御制、再現性が良く、また、同一の生産プロセスを
適用することができるため、歩留まりも向上する。
【0084】第1、第2のマスクパターンの、各々のマ
スク被覆率については、約60%〜70%のときが最も
貫通転位密度が低かった。このことは、各々の第n番目
のマスクパターンについても同じであった(n≧1)。
【0085】本発明の実施の形態で示した第1と第2の
マスクパターンは、互いに120度回転した方向に形成
した場合であるが、実施の形態3で記述した、互いに9
0度回転した方向であっても同様の効果が得られた。ま
た、第1と第2のマスクパターンとの間の角度が、上記
で指定した角度(120度または90度)から±10度
以内のズレであれば、本質的な相違は無く、本発明の実
施の形態と同様な効果が得られた。さらに、詳細に調べ
た結果、第1と第2のマスクパターンが平行でない限
り、本発明の実施の形態と同様な効果が得られた。これ
は、上記で述べたように、各々のマスクパターンのマス
ク被覆率に対する貫通転位密度の特性は変わっておら
ず、第1と第2のマスクパターンで、どれだけ窒化物半
導体膜を被覆できたかに依存しているためだと考えられ
る。
【0086】(実施の形態7)本実施の形態は、発明の
実施の形態で述べた第1と第2のマスクパターンのマス
ク被覆率がそれぞれ、70%、70%の場合について、
平坦な第2層目の窒化物半導体膜上に形成した窒化物半
導体レーザについて述べる。窒化物半導体レーザの作製
方法については、実施の形態5と同様の手法で作製し
た。レーザ発振寿命を調べたところ、発振波長410n
mで、レーザ出力40mW一定下、雰囲気温度50℃で
1200時間以上であった。
【0087】また、第1と第2のマスクパターンのマス
ク被覆率が、それぞれ60%以上70%以下であれば、
本実施の形態と同様のレーザ発振寿命が得られた。これ
は、窒化物半導体レーザ素子を構成している窒化物半導
体結晶の貫通転位密度が大きく低減したことによって、
レーザの利得損失が大幅に改善されたためである。この
ことから、本手法を用いれば、光ディスクシステムにお
ける記録用高出力レーザが作製できる。
【0088】上記第1と第2のマスクパターンのマスク
被覆率が、それぞれ60%以上70%以下であれば、第
1と第2のマスクパターンのマスク被覆率が異なってい
ても構わない。発明の実施の形態で記述したように、好
ましくは、第1のマスクパターンのマスク被覆率A%、
第2のマスクパターンのマスク被覆率B%との関係がA
≦Bである。
【0089】(実施の形態8)本実施の形態は、発明の
実施の形態で述べた第1と第2のマスクパターンのマス
ク被覆率がそれぞれ、50%、50%の場合について、
平坦な第2層目の窒化物半導体膜上に形成した窒化物半
導体レーザについて述べる。窒化物半導体レーザの作製
方法については、実施の形態5と同様の手法で作製し
た。レーザ発振寿命を調べたところ、発振波長410n
mで、レーザ出力10mW一定下、雰囲気温度50℃で
2000時間以上であった。
【0090】上記では第1と第2のマスクパターンのマ
スク被覆率がそれぞれ、50%、50%の場合について
述べたが、第1と第2のマスクパターンのマスク被覆率
がそれぞれ50%以上80%以下であれば、本実施の形
態と同様のレーザ発振寿命が得られた。これは、窒化物
半導体レーザ素子を構成している窒化物半導体結晶の貫
通転位密度が低減したことによって、レーザの利得損失
が改善されたためである。このことから、本手法を用い
れば、光ディスクシステムにおける再生用に必要なレー
ザ出力が十分に確保された。さらに、実施の形態7で示
したように、第1と第2のマスクパターンのマスク被覆
率がそれぞれ、60%以上70%以下であればさらなる
効果が得られる。
【0091】尚、上記第1と第2のマスクパターンのマ
スク被覆率が、それぞれ50%以上80%以下であれ
ば、第1と第2のマスクパターンのマスク被覆率が異な
っていても構わない。発明の実施の形態で記述したよう
に、好ましくは、第1のマスクパターンのマスク被覆率
A%、第2のマスクパターンのマスク被覆率B%との関
係がA≦Bである。
【0092】(実施の形態9)本実施の形態は、発明の
実施の形態で述べた第1と第2のマスクパターンのマス
ク被覆率がそれぞれ、30%、30%の場合について、
平坦な第2層目の窒化物半導体膜上に形成した窒化物半
導体レーザについて述べる。窒化物半導体レーザの作製
方法については、実施の形態5と同様の手法で作製し
た。レーザ発振寿命を調べたところ、発振波長410n
mで、レーザ出力5mW一定下、雰囲気温度50℃で1
800時間以上であった。
【0093】このようにそれぞれのマスクの被覆率が3
0%の場合でも、実施の形態8よりは寿命は短いが、充
分実用化できる寿命を達成することができた。また、第
1と第2のマスクパターンのマスク被覆率が、それぞれ
20%以上80%以下であれば、本実施の形態と同様の
レーザ発振寿命が得られた。これは、窒化物半導体レー
ザ素子を構成している窒化物半導体結晶の貫通転位密度
が低減したことによって、レーザの利得損失が改善され
たためである。このことから、本手法を用いれば、光デ
ィスクシステムにおける再生用レーザが作製できる。ま
た、第1と第2のマスクパターンのマスク被覆率がそれ
ぞれ、50%以上80%以下であれば実施の形態8の効
果が、さらに60%以上70%以下であれば実施の形態
7で示す効果が得られる。
【0094】つまり、上記第1と第2のマスクパターン
のマスク被覆率が、それぞれ20%以上80%以下であ
れば、第1と第2のマスクパターンのマスク被覆率が異
なっていても構わない。発明の実施の形態で記述したよ
うに、好ましくは、第1のマスクパターンのマスク被覆
率A%、第2のマスクパターンのマスク被覆率B%との
関係がA≦Bである。
【0095】
【発明の効果】上述したように、本発明による窒化ガリ
ウム結晶は、成長抑制効果のある物質と窒化物半導体膜
を交互に積層させることによって、歪みが殆どなくかつ
貫通転位密度が104cm-2以下と極めて小さい結晶が
得られた。このような結晶を用いて作製した窒化ガリウ
ム半導体レーザは信頼性が高くかつ極めて歩留まりよく
生産できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1又は2で示した第1工程
完了後の製造工程図である。
【図2】本発明の実施の形態1又は2で示した第2工程
完了後の上面からの透視図である。
【図3】本発明の実施の形態1又は2で示した第2工程
完了後の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1で示した第3工程完了後
の透視図及び断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3で示した製造方法での透
視図及び断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4で示した厚膜窒化物半導
体の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明に係る窒化物半導体を用いた半導体レー
ザダイオードデバイスの断面図である。
【図8】選択成長方法による第1の従来例である。
【図9】選択成長方法による第2の従来例である。
【符号の説明】
100、200、400 サファイア基板 101、201、401 GaN層 102、202、402 第1のマスクパターン 104、203、404 第1層目のGaN膜 105、206 第1のマスクパターンの開口部 106、204、406 第2のマスクパターン 107、205、407 第2層目のGaN膜 108 第1と第2のマスクパターン直上部分 109 第1のマスクパターンの開口部から成長した第
2層目のGaN膜の局部 110 第1のマスクパターン直上の第2層目のGaN
膜の局部 111、411 第3のマスクパターン 112、412 第3層目のGaN膜 113 第1のマスクパターンの開口部から成長した第
3層目のGaN膜の局部 300 窒化物半導体 301 最表面 302 厚膜GaN 303 第nのマスクパターン 413 n−GaNコンタクト層 414 n−Al0.1Ga0.9Nクラッド層 415 n−GaN光ガイド層 416 多重量子井戸構造活性層 417 Al0.2Ga0.8N蒸発防止層* 418 p−GaN光ガイド層 419 p−Al0.1Ga0.9N型クラッド層 420 p−GaN型コンタクト層 421 p型電極 422 n型電極 423 SiO2絶縁膜 500、600 サファイア基板 501、602 SiO2マスク 502、603 SiO2マスク開口部 503 GaN膜 504 SiO2マスク直上のGaN 601 MOVPE法で成長したGaN膜 604 HVPE法で成長したGaN膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上方に、成長抑制効果を有する物質
    からなる第n(ただし、nは1以上の正数)のマスクパ
    ターンと第nのマスクパターンを覆うように窒化物半導
    体膜とを形成する第n工程と、前記第n工程によって形
    成された前記窒化物半導体膜上に成長抑制効果を有する
    物質からなる第n+1のマスクパターンと第n+1のマ
    スクパターンを覆うように窒化物半導体膜とを形成する
    第n+1工程とを有することを特徴とする窒化物半導体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 第n工程で形成される第nのマスクパタ
    ーンと第n+1工程で形成される第n+1のマスクパタ
    ーンが互いにねじれの関係にあることを特徴とする請求
    項1に記載の窒化物半導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第nのマスクパターンのストライプ
    方向と第n+1のマスクパターンのストライプ方向が互
    いに120度の角度差を持つことを特徴とする請求項1
    から2のいずれかに記載の窒化物半導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第nのマスクパターンのストライプ
    方向と第n+1のマスクパターンのストライプ方向が互
    いに90度の角度差を持つことを特徴とする請求項1か
    ら2のいずれかに記載の窒化物半導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 第n+1のマスクパターンのストライプ
    幅が、第n+1のマスクパターンのストライプ幅≧第n
    のマスクパターンのストライプ幅の関係であることを特
    徴とする請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記成長抑制効果を有する物質がSiO
    2、又は、SiNxであることを特徴とする請求項1から
    5のいずれかに記載の窒化物半導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第nのマスクパターンのストライプ
    方向が、窒化物半導体結晶の<1−100>方向あるい
    は、<11−20>方向であることを特徴する請求項1
    から6のいずれかに記載の窒化物半導体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1のマスクパターン、第2のマス
    クパターン、第3のマスクパターンのストライプ方向
    は、窒化物半導体結晶の[1−100]、[10−1
    0]、[01−10]方向の組み合わせからなることを
    特徴する請求項3に記載の窒化物半導体の製造方法。
  9. 【請求項9】 第n工程によって積層された窒化物半導
    体膜結晶がAlxInyGazN(x+y+z=1;0≦
    x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)であることを特徴と
    する請求項1から8のいずれかに記載の窒化物半導体の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第n工程によって積層された窒化
    物半導体膜、あるいは、前記第n工程によって積層され
    た窒化物半導体層上に積層する窒化物半導体膜が、5μ
    m以上の膜厚を有する厚膜窒化物半導体膜であることを
    特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の窒化物半
    導体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記請求項1から10のいずれかに記
    載の窒化物半導体の製造方法を用いて基板を含む窒化物
    半導体構造を形成し、前記窒化物半導体構造から少なく
    とも前記基板を除去することによって、少なくとも窒化
    物半導体構造の一部を窒化物半導体基板とすることを特
    徴とする窒化物半導体の製造方法。
  12. 【請求項12】 基板上方に、前記第n+1工程まで結
    晶成長させたとき、第1のマスクパターンから第n+1
    のマスクパターンが全体として基板を覆うことを特徴と
    する請求項1から11のいずれかに記載の窒化物半導体
    の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第1と第2のマスクパターンのマ
    スク被覆率(マスク幅/ピッチ)が、それぞれ、20%
    から80%であることを特徴とする請求項1から7のい
    ずれかに記載の窒化物半導体の製造方法。
  14. 【請求項14】 上記請求項1から13のいずれかに記
    載の結晶成長方法を用いて作製された第n工程の窒化物
    半導体膜の上方に形成された光を発する活性層を有する
    ことを特徴とする発光素子。
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