JP2003238819A - 耐熱性フィラー - Google Patents

耐熱性フィラー

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JP2003238819A
JP2003238819A JP2002038518A JP2002038518A JP2003238819A JP 2003238819 A JP2003238819 A JP 2003238819A JP 2002038518 A JP2002038518 A JP 2002038518A JP 2002038518 A JP2002038518 A JP 2002038518A JP 2003238819 A JP2003238819 A JP 2003238819A
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heat
resistant filler
quaternary phosphonium
layered silicate
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JP2002038518A
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Masaru Oi
勝 大井
Takahiro Sekimoto
貴裕 関本
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Co Op Chemical Co Ltd
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Co Op Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性に優れたフィラーを提供する。特に融
点の高い高分子原料との溶融混練や重合反応に耐えうる
高耐熱性のフィラーとして有用である。 【解決手段】 膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを、
次式(I): 【化1】 [式中、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なり、そ
れぞれ炭化水素基、又は−A−OH(Aは結合基)、又
は−A−COOH(Aは結合基)を表す。]で示される
第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られる
有機粘土複合体からなる耐熱性フィラー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、膨潤性層状ケイ酸
塩の層間カチオンを第四級ホスホニウムイオンとイオン
交換させて得られる有機粘土複合体からなる耐熱性フィ
ラーに関し、更に詳しくは、高分子原料との溶融混練や
重合反応に耐えうる耐熱性を有するフィラーに関する。
【0002】
【従来の技術】膨潤性層状ケイ酸塩は、粘土を構成する
代表的な鉱物であって、2:1型層状ケイ酸塩にあって
は、2層のシリカ四面体ケイ酸塩層がマグネシウム八面
体層又はアルミニウム八面体層を間に挟んだサンドイッ
チ型の3層構造を有し、これが数〜数十層積層した構造
を有している。
【0003】膨潤性層状ケイ酸塩のケイ酸塩層は負の電
荷を有しているが、その電荷は層間に存在するアルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオン等の層間カチオン
によって中和されているため、全体として電荷がバラン
スしている。これらの膨潤性層状ケイ酸塩であるスメク
タイト型粘土や膨潤性雲母は、陽イオン交換能を有する
微粒子で、層間が広がりやすく、水中で分散してチクソ
トロピー性を有するゾルを形成し、濃度を高くするとゲ
ルを形成する性質を有している。
【0004】膨潤性層状ケイ酸塩は、層間カチオンを種
々のカチオン性有機化合物と反応させることにより有機
粘土複合体とすることができる。このような有機粘土複
合体の例としては、スメクタイト層間にジメチルジオク
タデシルアンモニウムイオンやジメチルオクタデシルベ
ンジルアンモニウムイオンが陽イオン交換によって導入
されたものが工業的に生産され、塗料の増粘剤として用
いられている。しかし、このものが分散、増粘可能な有
機溶媒は、トルエン、クロロベンゼン等の低極性有機溶
媒に限られ、高極性有機溶媒に対して充分な増粘効果を
有していない。
【0005】膨潤性雲母やスメクタイトの層間にこれら
第四級アンモニウムイオンを導入した有機粘土複合体は
少量添加により効果を発揮する機能性樹脂フィラーとし
ても知られている。しかしながら、樹脂への練りこみの
際、混練温度によっては第四級アンモニウムイオンが分
解し、着色やフィラーとしての性能を充分に発揮できな
い場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、耐熱性に優れたフィラーを提供することにある。
【0007】本発明の第2の目的は、融点の高い高分子
原料との溶融混練や重合反応に耐えうる高耐熱性のフィ
ラーを提供することである。
【0008】本発明の第3の目的は、有機溶媒に親和性
を有する耐熱性フィラーを提供することにある。
【0009】本発明の第4の目的は、有機溶媒に対し、
長期間分散させることができ、充分な増粘効果を発揮す
る増粘剤としても有用な耐熱性フィラーを提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを第
四級ホスホニウムイオンとイオン交換させることによ
り、耐熱温度の高い有機粘土複合体が形成され、該有機
粘土複合体は耐熱性フィラーとして有用であることを見
出した。
【0011】また本発明者らは、該耐熱性フィラーが、
従来から使用されている膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチ
オンを第四級アンモニウムイオンとイオン交換させて得
られる有機粘土複合体では困難であった、融点の高い高
分子原料との溶融混練や重合反応にも、充分耐えうるこ
とを見出した。
【0012】また本発明者らは、膨潤性層状ケイ酸塩の
層間カチオンを第四級ホスホニウムイオンとイオン交換
させることにより、有機溶媒に親和性を有する有機粘土
複合体が形成され、該有機粘土複合体は有機溶媒に膨潤
する耐熱性フィラーとして有用であることを見出した。
【0013】更に、本発明者らは、膨潤性層状ケイ酸塩
としてスメクタイト型粘土を用いて、その層間カチオン
を第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させて得られ
た有機粘土複合体は、スメクタイト型粘土鉱物が有機溶
媒に分散し、増粘剤として十分な効果を示すため、該有
機粘土複合体は、有機溶媒に分散し増粘剤としても有用
な無機フィラーとして使用できることを見出した。
【0014】即ち、本発明は、以下の発明を包含する。 (1)膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを、次式
(I):
【化2】 [式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なり、それ
ぞれ炭化水素基、−A−OH(Aは結合基)又は−A−
COOH(Aは結合基)を表す。]で示される第四級ホ
スホニウムイオンとイオン交換させて得られる有機粘土
複合体からなる耐熱性フィラー。
【0015】(2)高分子原料との溶融混練及び/又は重
合反応に耐えうる前記(1)記載の耐熱性フィラー。 (3)有機溶媒に親和性を有する前記(1)又は(2)記載
の耐熱性フィラー。 (4)膨潤性層状ケイ酸塩がスメクタイト型粘土である前
記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐熱性フィラー。 (5)有機溶媒に分散し、増粘剤としても有用な前記
(4)記載の耐熱性フィラー。 (6)膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液に、前記
(1)記載の第四級ホスホニウムイオンを含有する第四
級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行うこ
とを特徴とする耐熱性フィラーの製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】膨潤性層状ケイ酸塩は、陽イオン
交換能を有し、更に層間に水を取り込んで膨潤していく
特異な性質を示す層状ケイ酸塩で、スメクタイト型粘土
や膨潤性雲母等が知られている。
【0017】本発明で使用できるスメクタイト型粘土と
しては、例えば、ヘクトライト、サポナイト、スチーブ
ンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、ノントロ
ナイト又はベントナイト等の天然又は化学的に合成した
スメクタイト型粘土、又はこれらの置換体、誘導体ある
いは混合物を挙げることができる。また膨潤性雲母とし
ては、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオ
ライト、Na型四ケイ素フッ素雲母、Li型四ケイ素フ
ッ素雲母等の天然又は化学的に合成した膨潤性雲母で、
層間にLiイオンやNaイオンを有する膨潤性雲母、又
はこれらの置換体、誘導体あるいはこれらの混合物が挙
げられ、バーミキュライト、フッ素バーミキュライト等
も用いることができる。
【0018】膨潤性層状ケイ酸塩の市販品としては、ラ
ポナイトXLG(英国、ラポート社製の合成ヘクトライ
ト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製の
合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘン
ケル社製の合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンS
A−1(クニミネ工業(株)製のサポナイト類似物
質)、ベンゲル((株)豊順洋行販売の天然モンモリロ
ナイト、クニピアF(クニミネ工業(株)販売の天然モ
ンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社
製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業
(株)製の合成膨潤性雲母)、ソマシフ(ME−10
0、コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SW
N(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、S
WF(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)等が
挙げられる。
【0019】具体的には、下記の合成スメクタイトや膨
潤性合成雲母が挙げられる。合成スメクタイトは、特公
昭61−12848号公報に記載されている製法、ある
いはそれと類似の製法により製造される、即ち、ケイ酸
とマグネシウム塩の均質混合液にアルカリ溶液を反応さ
せてケイ素・マグネシウム複合体を合成し、副生した電
解質を除去した後、該複合体にリチウムイオンと必要に
応じてナトリウムイオン及び/又はフッ素イオンを添加
して、100〜350℃で水熱反応させ、次いで乾燥し
て得られ、ヘクトライト型粘土鉱物に類似した構造を有
する一般式(II)の合成スメクタイトが挙げられる。
【0020】
【化3】 XaMgbLicSide(OH及び/又はF)f (II) (式中、Xは層間イオンで、Liイオン及び/又はNa
イオンを表し、aは0.1〜1.0であり、bは2.4
〜2.9であり、cは0.1〜0.6であり、dは3.
5〜4.5であり、eは9.5〜10.5であり、fは
1.5〜2.5である。)
【0021】膨潤性合成雲母は、タルクとケイフッ化ア
ルカリの混合物を加熱処理して得られる膨潤性合成雲母
が挙げられ、タルクとケイフッ化ナトリウム及び/又は
ケイフッ化リチウムとを混合した微粉末を600〜12
00℃に加熱処理して得られるものが好ましい。このよ
うな膨潤性合成雲母としては、具体的には、一般式(II
I)で示される膨潤性合成雲母が挙げられる。
【0022】
【化4】 (Na,Li)aMg3.0-bSi410(F2.0-c,OHd,Oe) (III) [式中、(Na,Li)aは層間にある配位数12の陽
イオン、Mg3.0-bは八面体シートを形成している配位
数6の陽イオン、Siは四面体シートを形成している配
位数4の陽イオンであり、(F2.0-c,OHd,Oe)中
のF、OH、Oは陰イオンとして八面体シートに存在す
る。なお、“,”は“及び/又は”を表す。また、a〜
eの記号は下記の数値を表す。0.2≦a≦1.0;0
≦b≦0.5;c=d+2e≦1.0;0≦d≦1.
0;0≦e≦0.5]
【0023】本発明で用いる有機粘土複合体を製造する
のに使用される膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量
は、通常、粘土100g当り10ミリ当量以上、好まし
くは60ミリ当量以上であり、交換容量が大きいほどよ
い。膨潤性層状ケイ酸塩は、50wt%以下の非粘土鉱
物を含有してもよいが、非粘土鉱物の量は10wt%以
下が望ましい。
【0024】第四級ホスホニウムイオンは、次式
(I):
【化5】 で示されるようにリン原子のまわりに4個の官能基(R
基)がついたイオンであり、本発明で使用する第四級ホ
スホニウムイオンは、前記式(I)において、R 1
2、R3及びR4が、同一又は異なり、それぞれ炭化水
素基、−A−OH又は−A−COOHを表すものであ
る。
【0025】前記式(I)において、R1、R2、R3
はR4で表される炭化水素基としては、例えば、炭素数
1〜40、好ましく1〜25の直鎖状又は分岐状のアル
キル基、炭素数2〜40、好ましく2〜25の直鎖状又
は分岐状のアルケニル基、炭素数6〜22、好ましく6
〜10のアリール基、炭素数7〜22、好ましく7〜1
2のアラルキル基が挙げられる。
【0026】前記アルキル基としては、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニ
ル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシ
ル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0027】前記アルケニル基としては、例えばビニル
基、アリル基、2−メチルアリル基、1−ブテニル基、
2−ブテニル基(クロチル基)、3−ブテニル基が挙げ
られる。
【0028】前記アリール基としては、例えばフェニル
基、ナフチル基、トリル基が挙げられる。
【0029】前記アラルキル基としては、例えばベンジ
ル基、フェネチル基、ビニルベンジル基、ナフチルメチ
ル基が挙げられる。
【0030】前記式(I)において、R1、R2、R3
はR4で表される−A−OH又は−A−COOHにおけ
るAは結合基であり、特に制限はないが、例えば鎖員1
〜35のもの、好ましくは鎖員2〜21のものが挙げら
れる。前記結合基としては、通常、芳香族基、脂肪族基
及びエーテル結合のうち少なくとも一種の構造を有する
ものが挙げられ、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好
ましく、特に炭素数2〜30の直鎖状又は分岐状のアル
キレン基が好ましい。
【0031】前記−A−OHとしては、ヒドロキシメチ
ル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒ
ドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシ
ヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチ
ル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基が挙げ
られる。
【0032】前記−A−COOHとしては、カルボキシ
メチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル
基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カル
ボキシヘキシル基、カルボキシヘプチル基、カルボキシ
オクチル基、カルボキシノニル基、カルボキシデシル基
が挙げられる。
【0033】前記式(I)で示される第四級ホスホニウ
ムイオンを層状ケイ酸塩の層間に導入するには、該イオ
ンを含む第四級ホスホニウム塩が用いられるが、そのよ
うな塩としては、例えばCl-、Br-、I-、NO3 -
OH-、CH3COO-等の陰イオンとの塩を挙げること
ができる。
【0034】前記第四級ホスホニウム塩の具体例として
は、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチ
ルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウム
クロライド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド、
トリブチルオクチルホスホニウムブロマイド、トリブチ
ルドデシルホスホニウムブロマイド、トリブチルヘキサ
デシルホスホニウムブロマイド、トリオクチルエチルホ
スホニウムブロマイド、トリエチルベンジルホスホニウ
ムクロライド、トリブチルメチルホスホニウムアイオダ
イド、トリブチルアリルホスホニウムブロマイド、トリ
ブチルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチル
ビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチル2
−メチルアリルホスホニウムクロライド、トリオクチル
2−メチルアリルホスホニウムクロライド、ジメチルジ
オクタデシルホスホニウムクロライド、ジメチルジオク
タデシルホスホニウムブロマイド、ジメチルオクタデシ
ルベンジルホスホニウムクロライド、ジメチルオクタデ
シルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニル
ホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホ
ニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムブ
ロマイド、トリフェニルブチルホスホニウムブロマイ
ド、ビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチ
ルホスホニウムクロライド、トリフェニルカルボキシエ
チルホスホニウムブロマイド、トリフェニルカルボキシ
ペンチルホスホニウムブロマイド等を挙げることができ
る。
【0035】本発明で用いる有機粘土複合体は、膨潤性
層状ケイ酸塩の層間カチオンと第四級ホスホニウムイオ
ンとの陽イオン交換により得られる。
【0036】本発明の耐熱性フィラーは、前記の有機粘
土複合体からなるが、その特性を損なわない範囲で他の
添加剤を配合してもよい。
【0037】高分子原料は、高分子製造用の原料のこと
である。具体的には、モノマー、オリゴマー、低重合度
ポリマー、ポリマー等が挙げられる。
【0038】以下に具体的な製造方法を記載するが、本
発明の耐熱性フィラーは下記の製法に限定されるもので
はない。
【0039】第一工程として、膨潤性層状ケイ酸塩を溶
媒に分散させる。溶媒は通常水を使用するが、場合によ
りアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール
等の低級アルコール等)及び/又は多価アルコールを混
合してもよい。膨潤性層状ケイ酸塩の分散濃度は通常1
〜15wt%が望ましいが、膨潤性層状ケイ酸塩が充分
分散可能な濃度の範囲ならば自由に設定することができ
る。第二工程として、膨潤性層状ケイ酸塩分散液に第四
級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を行うこ
とにより有機粘土複合体を生成させる。添加順序とし
て、あらかじめ用意した第四級ホスホニウム塩溶液に膨
潤性層状ケイ酸塩分散液を添加してもよい。
【0040】膨潤性層状ケイ酸塩に対する第四級ホスホ
ニウム塩の添加量は自由に設定できるが、第四級ホスホ
ニウムイオンとして、膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交
換容量の0.5〜3倍量が好ましい。0.5倍量より少
ない量でも製造は可能であるが、均一な生成物が得られ
難く、遠心分離等の後処理が著しく困難となる。また、
過剰量添加しても差し支えはないが、陽イオン交換反応
に寄与しない第四級ホスホニウムイオンが多くなり、コ
スト的には好ましくない。
【0041】反応温度は任意に設定してもよい。反応は
室温でも充分進行するが、加温する場合は第四級ホスホ
ニウム塩の耐熱性、反応容器の材質や構造を考慮し、設
定すればよい。反応時間は10分から1夜間の間で任意
に設定できる。第三工程として、陽イオン交換反応終了
後に反応液を固液分離し、有機粘土複合体を得る。必要
に応じて、分離した有機粘土複合体を水洗浄して、副生
電解質等を除去する。最後に得られた有機粘土複合体を
乾燥し、必要に応じて粉砕することにより、本発明の耐
熱性フィラーが得られる。
【0042】本発明で用いる有機粘土複合体は、膨潤性
層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量の50%以上の層間カ
チオンを、第四級ホスホニウムイオンとイオン交換させ
て得られるものであることが好ましい。該陽イオン交換
容量は、60%以上であることがより好ましく、更に好
ましくは70%以上で、最も好ましくは80%以上であ
る。
【0043】本発明で用いる有機粘土複合体の生成確認
や物性評価は、次の測定項目から、目的に応じて選び、
更にそれらを組み合わせて実施することにより確認ある
いは評価することができる。 (a)化学分析 (b)X線回折 (c)熱天秤、示差熱分析 (d)有機溶媒中のレオロジー (e)有機溶媒中の膨潤力 (f)色調
【0044】例えば、本発明で用いる有機粘土複合体の
生成は、X線回折で001底面反射の位置から求められ
る底面間隔により容易に確認することができる。例え
ば、原料としてスメクタイト型粘土を用いる場合、陽イ
オン交換反応前の底面間隔は、脱水状態で10Å、通常
の温度、湿度下では12.5Åであるが、層間に第四級
ホスホニウムイオンが導入されることにより底面間隔は
広がることとなる。
【0045】本発明で用いる有機粘土複合体は、層間の
第四級ホスホニウムイオンが有するアルキル基、ベンジ
ル基等の大きさに依存するが、底面間隔は15Å以上を
示し、有機粘土複合体が生成していることがわかる。
【0046】増粘剤としての効果は、有機粘土複合体分
散液のレオロジー特性を粘度計等で求めることにより評
価することができる。耐熱性については、熱天秤、示差
熱分析の結果により評価することができる。
【0047】膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンとイオ
ン交換された第四級ホスホニウムイオンの量は、得られ
た有機粘土複合体を熱天秤、示差熱分析により測定する
ことができる。例えば、有機粘土複合体をTG(熱重量
分析)を用いて600℃まで加熱して、有機物減量を測
定することにより求めることができる。
【0048】この有機物減量は、多ければ多いほどよ
い。具体的には、20ミリ当量/100g以上、30ミ
リ当量/100g以上、40ミリ当量/100g以上、
50ミリ当量/100g以上、60ミリ当量/100g
以上、70ミリ当量/100g以上、80ミリ当量/1
00g以上の順に好ましく、最も望ましくは90ミリ当
量/100g以上である。
【0049】次に、前記(2)に記載の耐熱性フィラー
について述べる。
【0050】該耐熱性フィラーは、高分子原料との溶融
混練や重合反応に耐えうる高耐熱性を有している有機粘
土複合体からなる。
【0051】該有機粘土複合体の250℃60分間(T
G(熱重量分析)使用)における減量は、少なければ少
ない程よい。具体的には、12%以下、11%以下、1
0%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、
5%以下、4%以下の順に好ましく、最も好ましいの
は、3.5%以下である。
【0052】また、該有機粘土複合体の分解温度(TG
使用)は、高ければ高い程よい。具体的には、320℃
以上、350℃以上、360℃以上、370℃以上、3
80℃以上、390℃以上、400℃以上の順に好まし
く、最も好ましいのは、410℃以上である。
【0053】本発明の耐熱性フィラーが高分子原料との
溶融混練及び/又は重合反応に耐えうる温度は、280
℃以上、290℃以上、300℃以上、310℃以上、
320℃以上、330℃以上、340℃以上、350℃
以上、360℃以上、370℃以上、380℃以上、3
90℃以上、400℃以上の順に好ましく、最も好まし
いのは410℃以上である。
【0054】次に、前記(3)に記載の耐熱性フィラー
について述べる。
【0055】該耐熱性フィラーは、有機溶媒に親和性を
有する有機粘土複合体からなる。有機溶媒としては、高
極性、低極性或いは無極性の各種有機溶媒が選択でき、
具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール等の
低級アルコール類;ヘキサノール、デカノールのような
高級アルコール類;MIBK(メチルイソブチルケト
ン)、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジ
メチルホルムアミドのようなアミド類;テトラヒドロフ
ラン、メチルセロソルブ等のエーテル類;ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、
クロロホルム、ジクロロメタン、パークロロエチレン、
クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類及びジメチル
スルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチ
ル等が挙げられる。
【0056】前記(3)に記載の耐熱性フィラーは、下
記(a)又は(b)の条件を満足する有機粘土複合体か
らなることが好ましい。 (a)前記載の少なくとも1つの有機溶媒中に、有機粘
土複合体を6%の濃度で分散させた場合に、膨潤してい
ることが確認できる有機粘土複合体で、膨潤しているこ
とを示す沈降高さ比(%)[(沈降高さ/懸濁液の高
さ)×100]が高ければ高いほどよい。具体的には、
5%以上、10以上、20%以上、30以上の順に好ま
しく、最も好ましいのは40%以上である。なお、有機
粘土複合体の種類によっては、沈降高さ比が、50%以
上、60%以上、そして70%以上のものもある。
【0057】(b)ジメチルホルムアミドかクロルベン
ゼンの少なくとも一方の溶媒に有機粘土複合体を6%の
濃度で分散させた場合に、膨潤していることが確認でき
る有機粘土複合体で、膨潤していることを示す沈降高さ
比(%)は高ければ高いほどよい。具体的には、5%以
上、10%以上、20%以上、30%以上の順に好まし
く、最も好ましいのは40%以上である。なお、有機粘
土複合体の種類によっては、沈降高さ比が、50%以
上、60%以上、そして70%以上のものもある。
【0058】前記(4)に記載の耐熱性フィラーは、膨
潤性層状ケイ酸塩としてスメクタイト型粘土を用いた有
機粘土複合体からなる。
【0059】前記(5)に記載の耐熱性フィラーは、有
機溶媒に対する親和性に優れており、有機溶媒の種類に
よっては分散させたり、増粘させたりすることができ
る。
【0060】該耐熱性フィラーは、前記のいずれか一つ
の有機溶媒に分散させた場合に、完全分散(沈降高さ比
が100%)させることができる有機粘土複合体からな
ることが好ましい。なお、溶媒との組合せによっては透
明に完全分散させることができるものもある。特に、ジ
メチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベン
ゼンの少なくとも一つの溶媒に分散させた場合に、完全
分散させることができるものが好ましい。
【0061】該耐熱性フィラーは増粘剤として、長期分
散させることができ、塗料、プラスチック製品、フイル
ム、接着剤製造等の各種工業プロセス中で使用する有機
溶媒に対して充分な増粘効果を有するものである。必要
に応じて他の成分との混合が可能であるが、前記(5)
に記載の耐熱性フィラーは有機溶媒に対して優れた増粘
性を有するため、他の添加剤を添加せずに使用すること
ができる。
【0062】
【実施例】以下に、実施例によって本発明を更に詳しく
説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明は
これらの実施例に限定されるものではない。
【0063】合成例1 合成スメクタイトの合成 10リットルのビーカーに水4リットルを入れ、3号水
ガラス(SiO228重量%、Na2O9重量%、モル比
3.22)860gを溶解し、95%硫酸162gを攪
拌しながら一度に加えてケイ酸溶液を得た。次に、水1
リットルに塩化マグネシウム6水和物(MgCl2・6
2O一級試薬(純度98%))560gを溶解し、ケ
イ酸溶液に加えて均質混合溶液を調製し、2規定水酸化
ナトリウム水溶液3.6リットル中に攪拌しながら5分
間で滴下した。
【0064】直ちに得られたケイ素・マグネシウム複合
体(コロイド粒子の凝集体となっている均質複合物)よ
りなる均質沈澱を、濾過及び充分に水洗した後、水20
0mlと水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)
14.5gとよりなる溶液を加えてスラリー状とし、オ
ートクレーブに移し、225℃の自生圧下で3時間、水
熱反応させた。冷却後、反応物を取りだし、80℃で乾
燥、粉砕して、スメクタイトの1種であるヘクトライト
の組成を有し、底面間隔が空気中で12.5Å、陽イオ
ン交換容量が110ミリ当量/100gである前記式
(II)で示される合成スメクタイトを得た。
【0065】合成例2 膨潤性合成雲母の合成 ボールミルにより平均粒径が2μmになるように微粉砕
したタルク13.5gと、その平均粒径が同じく2μm
であるケイフッ化ナトリウム2.5gを2分間混合し磁
性ルツボに入れて蓋をし、電気炉中800℃で2時間保
持して、空気中での底面間隔が12.3Å、陽イオン交
換容量が120ミリ当量/100gである前記式(II
I)で示される合成フッ素雲母を得た。
【0066】実施例1 合成例1で得た合成スメクタイト20gを水道水100
0mlに分散させ、ここに下記式(V)で示される第四
級ホスホニウム塩9.6g(合成スメクタイトの陽イオ
ン交換容量の0.9倍量)を溶解させた水溶液300m
lを添加し、攪拌しながら室温で2時間反応させた。次
いで、反応生成物を固液分離し、水洗浄した後、乾燥、
粉砕して本発明の耐熱性フィラーA24gを得た。
【0067】
【化6】 (式中、C25はエチル基を表し、C817はオクチル
基を表す。)
【0068】本発明品AのX線回折測定によれば、その
001底面反射から計算される底面間隔は21Åであ
り、有機粘土複合体であることが確認された。
【0069】本発明品Aをジメチルホルムアミド、メチ
ルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度
で分散させたところ、完全に分散した。ジメチルホルム
アミド分散液は透明感のある白色で、メチルエチルケト
ン分散液は白色、クロルベンゼン分散液は透明であっ
た。
【0070】実施例2 実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、下
記式(VI)で示される第四級ホスホニウム塩10.2g
(合成スメクタイトの陽イオン交換容量の0.9倍量)
を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の耐熱
性フィラーB24gを得た。本発明品Bの底面間隔は2
0Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0071】
【化7】 (式中、C49はブチル基を表し、C1633はヘキサデ
シル基を表す。)
【0072】本発明品Bをジメチルホルムアミド、メチ
ルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度
で分散させたところ、完全に分散した。ジメチルホルム
アミド分散液は透明感のある白色で、メチルエチルケト
ン分散液は白色、クロルベンゼン分散液は透明であっ
た。
【0073】実施例3 実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、下
記式(VII)で示される第四級ホスホニウム塩6.6g
(合成スメクタイトの陽イオン交換容量の0.9倍量)
を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の耐熱
性フィラーC19gを得た。本発明品Cの底面間隔は1
5Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0074】
【化8】 (式中、C49はブチル基を表し、CH265はベン
ジル基を表す。)
【0075】本発明品Cをジメチルホルムアミド、メチ
ルエチルケトン、クロルベンゼンの各溶媒中に各種濃度
で分散させたところ、ジメチルホルムアミド、クロルベ
ンゼンには完全に分散した。ジメチルホルムアミド分散
液は透明感のある白色で、クロルベンゼン分散液は透明
であった。
【0076】比較例1 実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第
四級アンモニウム塩のジメチルジオクタデシルアンモニ
ウムクロリド11.4gを用いた以外は、実施例1と同
様にして、比較フィラーD25gを得た。比較品Dの底
面間隔は23Åであり、第四級アンモニウム塩を用いた
有機粘土複合体であることが確認された。比較品Dをジ
メチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロルベン
ゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、クロル
ベンゼンには完全に分散したが、ジメチルホルムアミ
ド、メチルエチルケトン中では沈降が見られた。クロル
ベンゼン分散液は透明であった。
【0077】比較例2 実施例1で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第
四級アンモニウム塩のジメチルオクタデシルベンジルア
ンモニウムクロリド8.2gを用いた以外は、実施例1
と同様にして、比較フィラーE23gを得た。比較品E
の底面間隔は19Åであり、第四級アンモニウム塩を用
いた有機粘土複合体であることが確認された。比較品E
をジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、クロル
ベンゼンの各溶媒中に各種濃度で分散させたところ、ど
れも沈降が見られた。
【0078】試験例1 実施例1〜3及び比較例1、2で得られた耐熱性フィラ
ー分散液と比較フィラー分散液の見掛け粘度を測定し
た。測定には回転粘度計(東京計器(株)製B型粘度
計)を用い、6回転(ずり速度5.58s-1)における
見掛け粘度測定結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】表1から明らかなように、本発明の耐熱性
フィラーA〜Cは、高極性有機溶媒及び低極性有機溶媒
との親和性を示し、良好な増粘効果を有することがわか
る。
【0081】実施例4 実施例1で用いた合成スメクタイトの代わりに、合成例
2で得た合成フッ素雲母20gを用い、前記式(V)で
示される第四級ホスホニウム塩の量を11.5g(合成
フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)とした以
外は、実施例1と同様にして、本発明の耐熱性フィラー
F24gを得た。本発明品Fの底面間隔は26Åであ
り、有機粘土複合体であることが確認された。本発明品
FをTG(熱重量分析)で600℃まで加熱した場合の
有機物減量は、99ミリ当量/100gであった。
【0082】また、本発明品Fをジメチルホルムアミ
ド、クロルベンゼンの各溶媒中に6%濃度で分散させた
ところ、いずれも膨潤し有機溶媒に対して親和性を有す
ることが確認された。沈降高さ比(%)は、ジメチルホ
ルムアミドで40%以上、クロルベンゼンで40%以上
であった。
【0083】実施例5 実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、前
記式(VI)で示される第四級ホスホニウム塩12.2g
(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)を
用いた以外は、実施例4と同様にして、本発明の耐熱性
フィラーG24gを得た。本発明品Gの底面間隔は27
Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。本
発明品GをTGで600℃まで加熱した場合の有機物減
量は、102.5ミリ当量/100gであった。
【0084】また、本発明品Gをジメチルホルムアミ
ド、クロルベンゼンの各溶媒中に6%濃度で分散させた
ところ、いずれも膨潤し有機溶媒に対して親和性を有す
ることが確認された。沈降高さ比(%)は、ジメチルホ
ルムアミドで50%以上、クロルベンゼンで70%以上
であった。
【0085】実施例6 実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、前
記式(VII)で示される第四級ホスホニウム塩7.9g
(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)を
用いた以外は、実施例4と同様にして、本発明の耐熱性
フィラーH20gを得た。本発明品Hの底面間隔は18
Åであり、有機粘土複合体であることが確認された。
【0086】比較例3 実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第
四級アンモニウム塩のジメチルジオクタデシルアンモニ
ウムクロリド13.8gを用いた以外は、実施例4と同
様にして、比較フィラーI26gを得た。比較品Iの底
面間隔は36Åであり、第四級アンモニウム塩を用いた
有機粘土複合体であることが確認された。
【0087】比較例4 実施例4で用いた第四級ホスホニウム塩の代わりに、第
四級アンモニウム塩のジメチルオクタデシルベンジルア
ンモニウムクロリド10.2gを用いた以外は、実施例
4と同様にして、比較フィラーJ24gを得た。比較品
Jの底面間隔は26Åであり、第四級アンモニウム塩を
用いた有機粘土複合体であることが確認された。
【0088】試験例2 本発明の耐熱性フィラーF〜Hと比較フィラーI,Jを
熱天秤にて15℃/分で250℃まで昇温した後、25
0℃で60分間保持した。水分の影響を除くために、1
00℃になった時点を基準として、減量を測定した。結
果を表2に示す。
【0089】試験例3 本発明の耐熱性フィラーF〜Hと比較フィラーI,Jを
熱天秤にて15℃/分で600℃まで昇温し、吸着して
いるホスホニウムイオン又はアンモニウムイオンの分解
温度を測定した。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】表2からわかるように、本発明の耐熱性フ
ィラーは、従来からある第四級アンモニウム塩から製造
した比較フィラーと比較して、熱減量が1/4以下
(3.1wt%と12.7wt%)と小さく、また、吸
着している第四級塩の分解温度は100℃以上(416
℃と302℃)高く、耐熱性に優れていることがわか
る。
【0092】
【発明の効果】本発明の耐熱性フィラーは、従来の第四
級アンモニウム塩から製造した有機粘土複合体に比べて
耐熱性に優れているため、融点の高い高分子原料との溶
融混練や重合反応に使用することができる。また、樹脂
製品の製造において少量添加でガスバリヤ性、耐熱性、
各種補強効果等を有する機能性フィラーとして使用でき
る。
【0093】前記(3)に記載の耐熱性フィラーは、有
機溶媒や樹脂に対して親和性を有するため、塗料、プラ
スチック製品、フィルム、接着剤製造等の各種工業プロ
セスで使用することができる。
【0094】特に膨潤性層状ケイ酸塩としてスメクタイ
ト型粘土を用いて得られた前記(5)に記載の耐熱性フ
ィラーは、有機溶媒や樹脂に対し増粘効果を有し、長期
分散させることができるため、塗料、プラスチック製
品、フィルム、接着剤製造等の各種工業プロセス中にお
ける有機溶媒用増粘剤、ゲル化剤としても使用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G073 BB63 BB69 BD16 CM07 CM14 CN07 CP01 FB29 FC01 UA08 4J002 AA001 DJ006 FD016

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨潤性層状ケイ酸塩の層間カチオンを、
    次式(I): 【化1】 [式中、R1、R2、R3及びR4は同一又は異なり、それ
    ぞれ炭化水素基、−A−OH(Aは結合基)又は−A−
    COOH(Aは結合基)を表す。]で示される第四級ホ
    スホニウムイオンとイオン交換させて得られる有機粘土
    複合体からなる耐熱性フィラー。
  2. 【請求項2】 高分子原料との溶融混練及び/又は重合
    反応に耐えうる請求項1記載の耐熱性フィラー。
  3. 【請求項3】 有機溶媒に親和性を有する請求項1又は
    2記載の耐熱性フィラー。
  4. 【請求項4】 膨潤性層状ケイ酸塩がスメクタイト型粘
    土である請求項1〜3のいずれか1項記載の耐熱性フィ
    ラー。
  5. 【請求項5】 有機溶媒に分散し、増粘剤としても有用
    な請求項4記載の耐熱性フィラー。
  6. 【請求項6】 膨潤性層状ケイ酸塩を分散させた分散液
    に、請求項1記載の第四級ホスホニウムイオンを含有す
    る第四級ホスホニウム塩を添加し、陽イオン交換反応を
    行うことを特徴とする耐熱性フィラーの製造方法。
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