JP4261232B2 - 新規ホスホニウム塩、該ホスホニウム塩を含有する有機変性層状珪酸塩及びその組成物 - Google Patents

新規ホスホニウム塩、該ホスホニウム塩を含有する有機変性層状珪酸塩及びその組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なホスホニウム塩、該ホスホニウム塩により親有機化された有機変性層状珪酸塩及びその組成物に関する。より詳しくは、本発明は、優れた界面化学特性と優れた熱安定性とを併有する新規なホスホニウム塩、該ホスホニウム塩により親有機化された有機変性層状珪酸塩及びその組成物に関する。
本発明は、前記ホスホニウム塩、前記有機変性層状珪酸塩及びその組成物を含有させることにより性能を発揮し得る食品、医薬品等の包装材、建築、電気機器、自動車などの部材として利用される難燃性材料、並びに粘度調節剤、化粧品等における添加剤、コーティング剤、繊維などのポリマーコンポジットとしての材料分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、長鎖アルキル基を有するオニウムは、カチオン性界面活性剤として機能することが知られている。中でも4級アンモニウム塩は、カチオン性界面活性剤として広く実用化されている。例えば、4級アンモニウム塩は、ヘアリンス、柔軟仕上げ剤等といった界面活性剤や、ベンナイトやモンモリロナイトのような層状珪酸塩の層間に存在する無機カチオンを4級アンモニウム塩で置換するための親有機化剤などとして広く利用されている。
【0003】
界面活性剤の分子構造は、界面活性及び分子集合構造に大きな影響を与えることが知られており、界面活性剤の親水性親油性バランスにより統一的に説明されている。すなわち、1本の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩は、親水性が親油性に勝るため、水中でミセルを形成する。これに対し、2本の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩は、親水性と親油性が釣り合うため、水中でラメラ液晶や二分子膜ベシクルを形成する。
【0004】
また、カチオン性界面活性剤は、その分子構造の相違が層状珪酸塩の無機カチオンをカチオン性界面活性剤で置換したことにより得られる「有機変性層状珪酸塩」の分散特性に大きな影響を与えることが知られている。このため、従来は、この分子構造の相違に着目して、分岐アルキル基を有する4級アンモニウム塩を親有機化剤として層状珪酸塩に使用した例が報告されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、分岐アルキル基を有する4級アンモニウム塩で親有機化した有機変性層状珪酸塩が直鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩で親有機化した有機変性層状珪酸塩よりも有機溶媒中及び熱可塑性樹脂中において良好な分散性を示すことが報告されている。
【0005】
しかしながら、上記4級アンモニウム塩を親有機化剤として使用した有機変性層状珪酸塩は、熱可塑性樹脂とともに200℃以上で溶融混練した場合、4級アンモニウム塩がホフマン脱離(又はホフマン分解)により3級アミンとオレフィンとに分解し、親有機化剤として機能し得ないという課題があった。また、上記4級アンモニウム塩で親有機化した有機変性層状珪酸塩を有機溶媒中に分散させてグリースとして使用した場合、200℃以上の高温状態(例えば、モーターの軸受けなどの発熱部位)では4級アンモニウム塩が熱分解するため使用できないという課題があった。
【0006】
さらに、上記の4級アンモニウム塩の熱分解に関連し、例えば、ホットソープ法による半導体ナノ粒子合成の分野においても4級アンモニウムの使用に関する課題があった。すなわち、ホットソープ法では250〜300℃の高温で反応を行うため、このような条件下では、4級アンモニウム塩が熱分解を起こし、カチオン性保護コロイドとして利用できないという課題があった。
【0007】
4級アンモニウム塩と比較して熱安定性に優れるオニウムとして、4級ホスホニウム塩が挙げられ、特にテトラアルキルホスホニウムが熱安定性に優れている。このような特徴を有するテトラアルキルホスホニウムの機能については、様々な角度から検討され、相間移動触媒、抗菌剤、サーモトロピック液晶(例えば非特許文献1〜3参照)等への応用が可能であることが示されている。
【0008】
しかし、非特許文献1〜3は、いずれも界面活性剤として直鎖状のテトラアルキルホスホニウム塩とアンモニウム塩とを比較したものであって、分子構造に起因する分散性について開示するものではない。さらに、非特許文献1〜3は、いずれもテトラアルキルホスホニウム塩の耐熱性界面活性剤や親有機化剤としての利用可能性を開示するものでもない。
したがって、予てから4級アンモニウム塩と同等以上の界面活性及び熱安定性をするカチオン性界面活性剤、並びに熱安定性と分散性に優れる有機変性層状珪酸塩の開発が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−309720号公報(第2頁の請求項1、第3頁[0006]〜第4頁[0012])
【非特許文献1】
A.W. Herriott, D. Picker,"Journal of the American Chemical Society" 97, 2345-2349 (1975)
【非特許文献2】
A.Kanazawaら,"Journal of Polymer Science", Part A : Polymer Chemistry, 31, 3003-3011 (1993).
【非特許文献3】
D.J. Abdallahら,"Journal of the American Chemical Society"122, 3053-3062 (2000).
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、従来のカチオン性界面活性剤と同等以上の界面活性を有し、かつ熱安定及び分散性をも併有する新規なテトラアルキルホスホニウム塩を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、新規なテトラアルキルホスホニウム塩を親有機化剤として含有する有機変性層状珪酸塩、及びその有機変性層状珪酸塩を含む組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の4級アンモニウム塩と比較して高い熱安定性を示すテトラアルキルホスホニウム塩について、異なるアルキル基を有する化合物を系統的に合成し、それらの化合物の界面活性と熱安定性を検討すると同時に、これらの化合物により親有機化された層状珪酸塩の有機溶媒又は熱可塑性樹脂中での分散性について鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の第一の目的は、以下のテトラアルキルホスホニウム塩により達成される。
(1)総炭素数が9〜40であり、分岐アルキル鎖を有するアルキル基を1つと、総炭素数が4以上であるアルキル基を3つ有し、かつ、すべてのアルキル基がアルキル鎖のみからなり、前記分岐アルキル鎖が、少なくとも、2位で分岐していることを特徴とする、テトラアルキルホスホニウム塩。
(2)総炭素数が16〜40であり、分岐アルキル鎖を有するアルキル基を1つと、総炭素数が4以上であるアルキル基を3つ有し、かつ、すべてのアルキル基がアルキル鎖のみからなり、前記分岐アルキル鎖が、少なくとも、2位で分岐していることを特徴とする、テトラアルキルホスホニウム塩。
(3)層状珪酸塩の層間に(1)または(2)に記載のテトラアルキルホスホニウム塩を含有することを特徴とする有機変性層状珪酸塩。
(4)(3)に記載の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物。
(5)(3)に記載の有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物。
【0013】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、従来の4級アンモニウム塩と同等以上の界面活性及び熱安定性を有する。このため、本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、200℃以上の高温条件下であっても、カチオン性界面活性剤として利用することができる。
【0014】
また、本発明の第二の目的は、以下の有機変性層状珪酸塩により達成される。
(1)層状珪酸塩の層間に前記テトラアルキルホスホニウム塩を含有する有機変性層状珪酸塩。
(2)前記層状珪酸塩に含まれる無機イオンの1モル当量に対して、0.05〜3モル当量の前記テトラアルキルホスホニウム塩を含有する(1)に記載の有機変性層状珪酸塩。
【0015】
本発明の有機変性層状珪酸塩は、総炭素数が9〜0である分岐アルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を含有する。このため、本発明の有機変性層状珪酸塩であれば、層状珪酸塩の層間に存在する無機カチオンをテトラアルキルホスホニウム塩でイオン交換できるため、従来の親有機化剤(4級アンモニウム塩)で親有機化した層状珪酸塩と同等以上の分散性及び耐熱性が得られる。
【0016】
また、本発明の第三の目的は、前記有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物、又は前記有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物によって達成される。
本発明の有機変性層状珪酸塩は、有機溶媒中又は熱可塑性樹脂中に良好に分散混合できる。これにより本発明の組成物は、優れた熱安定性を有するコンポジット材料としての利用が可能である。
【0017】
【発明の実施の態様】
以下に本発明のテトラアルキルホスホニウム塩、有機変性層状珪酸塩及びその組成物についてさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0018】
[本発明のテトラアルキルホスホニウム塩]
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、総炭素数が9〜40であり、分岐アルキル鎖を有するアルキル基を1つと、総炭素数が4以上であるアルキル基を3つ有し、かつ、すべてのアルキル基がアルキル鎖のみからなり、前記分岐アルキル鎖が、少なくとも、2位で分岐していることを特徴とする。総炭素数が9〜40の分岐アルキル鎖は、総炭素数が12〜50の分岐アルキル鎖であることがより好ましく、総炭素数が16〜36の分岐アルキル鎖であることがさらに好ましい。総炭素数が9未満の分岐アルキル鎖であると、疎水性が低下するため、十分な界面活性が得られない場合がある。一方、総炭素数が100を越える分岐アルキル鎖を有すると、親水性が著しく低下して十分な界面活性が得られなかったり、分散性が低下したりする場合がある。
【0019】
総炭素数が9〜40の分岐アルキル鎖は、具体的には、分岐アルキル鎖が、2−ブチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルイコシル基など2位で分岐したものであり、より好ましくは、2−ヘキサデシルイコシル基である。
【0020】
上記総炭素数が9〜40である分岐アルキル鎖は、テトラアルキルホスホニウム塩に少なくとも1つ含まれていればよく、2以上の分岐アルキル鎖を有する場合には、各分岐アルキル鎖は同一であっても異なっていてもよい。分岐アルキル鎖は1つであることがより好ましい。また、分岐アルキル鎖以外のアルキル鎖は、総炭素数が4以上であ、n−ブチル基であることがより好ましい。分岐アルキル鎖以外のアルキル鎖は、全てn−ブチル基であることが特に好ましい。総炭素数が3以下のアルキル鎖を有するホスホニウム化合物は融点が低いため、取り扱いが困難となる場合がある。
【0021】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、4つのアルキル基を有するホスホニウムイオン(P+)とアニオン(X-)とからなる。本発明のテトラアルキルホスホニウム塩を構成するアニオンは特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、p−トルエンスルホン酸、BF4、ClO4、PF6、NO3などのアニオンを挙げることができる。
【0022】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、1種類のテトラアルキルホスホニウム塩からなるものであってもよく、また2種以上のテトラアルキルホスホニウム塩からなるものであってもよい。
【0023】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、トリアルキルホスフィンと分岐ハロゲン化アルキルとを反応させることにより得られる。トリアルキルホスフィンは、市販の化合物を用いることができる。分岐ハロゲン化アルキルは、市販の分岐アルコールをハロゲン化することにより合成される。市販の分岐アルコールは、エヌジェコール160BR、エヌジェコール200A、エヌジェコール240A、エヌジェコールC32−36(以上、新日本理化)、ファインオキソコール140、ファインオキソコール1600、ファインオキソコール180、ファインオキソコール180N、ファインオキソコール2000、ファインオキソコール2600(以上、日産化学)等を好ましく用いることができるが、分岐アルコールはこれらに限定されるわけではない。分岐アルコールから分岐ハロゲン化アルキルを合成する方法は、公知の反応条件を採用することができる。例えば、三臭化リンを用いて臭素化する方法や、四臭化炭素とトリフェニルホスフィンを用いて臭素化する方法などが挙げられる。
得られた分岐ハロゲン化アルキルとトリアルキルホスフィンの反応条件は、公知の合成法における反応条件を採用することができる。例えば、無溶媒で分岐ハロゲン化アルキルとトリアルキルホスフィンを加熱することにより反応させる方法、などが挙げられる。
【0024】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩の具体例を以下に示す。但し、本発明のテトラアルキルホスホニウム塩はこれらの化合物に限定されない。
【0025】
【化1】
Figure 0004261232
【0026】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、2本の長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩と同等の親水性−親油性バランスを有することから、水中でラメラ液晶や二分子膜ベシクルを形成させるための界面活性剤として好ましく用いることができる。この特性は、本発明のテトラアルキルホスホニウム塩が水中又は有機溶媒中で顔料等の分散剤、相間移動触媒、水/油系における超低界面張力を発現する界面活性剤等としても有用であることを示している。
【0027】
[本発明の有機変性層状珪酸塩]
本発明の有機変性層状珪酸塩は、親有機化剤として上記の総炭素数が9〜100である分岐アルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を層状珪酸塩の層間に含有する。
【0028】
本発明の有機変性層状珪酸塩で使用できる層状珪酸塩は、特に限定されるものではないが、膨潤性及び/又は劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物及びその類似化合物が特に好ましい。これら粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などが挙げられる。
層状珪酸塩は、天然物であっても合成物であってもよい。また、これらの層状珪酸塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0029】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、層状珪酸塩が多層に重なっていると、親有機化した後に劈開することが困難になることから、親有機化されていない層状珪酸塩の厚さは、可能な限り1層における厚み(約1nm)であることが好ましい。また、平均長さは0.01〜50μm、好ましくは0.05〜10μm、アスペクト比は20〜500、好ましくは50〜200であるものを好適に用いることができる。
【0030】
上記層状珪酸塩は、その層間にイオン交換可能な無機カチオンを有する。イオン交換可能な無機カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属イオンのことである。これらのイオンは、カチオン性物質とのイオン交換性を有し、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)することができるものが好ましい。
なお、上述した親有機化剤は、有機変性層状珪酸塩の表面及び層間に存在すると考えられ、特に層間に存在することは親有機化された層状珪酸塩の層間隔の拡張をX線を用いて解析することにより容易に確認することができる。
【0031】
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量(CEC)は、特に限定されるものではないが、10〜200meq/100gであることが好ましく、50〜150meq/100gであることがより好ましく、90〜130meq/100gであることがさらに好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が10meq/100g未満であると、イオン交換により層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)されるカチオン性物質(テトラアルキルホスホニウム塩)の量が少なくなるために、層間が十分に親有機化されないことがある。一方、カチオン交換容量が200meq/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離しにくくなることがある。
【0032】
上記条件を満たす層状珪酸塩として、具体的には、クニミネ工業のスメクトンSA、クニミネ工業のクニピアF、コープケミカル社のソマシフME−100、コープケミカル社のルーセンタイトSWN等を挙げることができる。
【0033】
上記層状珪酸塩の層間に本発明のテトラアルキルホスホニウム塩を含有させる方法は、特に限定されないが、合成操作が容易であるという観点から、イオン交換反応で無機カチオンを本発明のテトラアルキルホスホニウム塩に交換することにより含有させる方法が好ましい。
【0034】
上記層状珪酸塩のイオン交換可能な無機カチオンを総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩とイオン交換する方法は、特に限定されるものではなく、既知の方法を用いることができる。
具体的には、水中におけるイオン交換、アルコール中におけるイオン交換、水/アルコール混合溶媒中におけるイオン交換等の方法を用いることができる。例えば、水中におけるイオン交換は、総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を水に加えて均一に溶解した水溶液に層状珪酸塩を加えてイオン交換を行う操作を示す。水中におけるイオン交換における総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩と水との混合比は特に限定されるものではないが、1:1〜1:10000の範囲であることが好ましく、1:10〜1:1000の範囲であることがより好ましく、1:20〜1:200の範囲であることがさらに好ましい。イオン交換は、0〜100℃の温度範囲で行うことが好ましく、10〜90℃の温度範囲で行うことがより好ましく、20〜80℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。さらに、反応終了後に溶媒、未反応の原料、副成する無機塩を濾過して取り除くことにより、イオン交換された層状珪酸塩を単離することができる。
【0035】
上記イオン交換の進行状態は、既知の方法を用いて確認することができる。例えば、濾液のICP発光分析法により交換された無機イオンを確認する方法、X線解析により層状珪酸塩の層間隔が拡張したことを確認する方法、熱天秤により昇温過程の重量減少から有機化合物の存在を確認する方法などの方法を用いることによって、層状珪酸塩中のイオン交換可能な無機イオンが炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を有するテトラアルキルホスホニウム塩と置換されたことを確認することができる。イオン交換は、層状珪酸塩のイオン交換可能な無機イオン当量に対し、0.05当量(5%)以上であることが好ましく、0.1当量(10%)以上であることがより好ましく、0.5当量(50%)以上であることがさらに好ましい。
【0036】
[本発明の組成物]
次に本発明の組成物について説明する。本発明の組成物は、本発明の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒又は熱可塑性樹脂とからなる組成物である。
本発明の組成物に含まれる有機溶媒は、本発明の有機変性層状珪酸塩との親和性があるものであれば特に限定されるものではない。そのような有機溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム、メチルセロソルブのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、スクワランのような脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレン、クロロベンゼンのようなハロゲン系炭化水素;酢酸エチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルのようなエステル類;ジメチルホルムアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類などを挙げることができる。
【0037】
本発明の組成物における有機変性層状珪酸塩と有機溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、有機溶媒中における有機変性層状珪酸塩の割合が0.01〜30w/v%であることが好ましく、0.1〜10w/v%であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明の組成物は、さらに有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物であることができる。本発明の組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、有機変性層状珪酸塩の分解開始温度と同等以下のものであれば特に制限されず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、スチレン/無水マレイン酸共重合体・ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ナイロン6、ナイロン66、酢酸セルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。
【0039】
有機変性層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中へ分散する方法は、特に限定されないが、好ましくは次の2つの方法である。すなわち、第一の方法は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱可塑性樹脂と有機変性層状珪酸塩とを混練する方法である。第二の方法は、熱可塑性樹脂を有機溶媒中に均一溶解した後、この溶媒中に有機溶媒に分散した有機変性層状珪酸塩を加え、充分混合・攪拌した後、有機溶媒を留去することで、熱可塑性樹脂中に有機変性層状珪酸塩を分散する方法である。
【0040】
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩により親有機化された層状珪酸塩及びその組成物は、様々な分野で利用することができる。例えば、本発明の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒からなる組成物は、有機溶媒のレオロジー特性を改良することが可能である。したがって、本発明の組成物は、化粧品、医薬品、染料、顔料、紫外線吸収剤等の分散媒として、好ましく用いることができる。また、本発明の組成物を塗布・乾燥することにより、薄膜状の形態として使用することもできる。
【0041】
さらに、本発明の有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物は、力学特性、帯電性、ガスバリアー性、抗菌性等に優れたコンポジット材料として利用可能である。特に、耐熱性の高いプラスチック基板として好ましく用いることが可能である。
【0042】
本発明の組成物を用いて作製したフィルム(以下「本フィルム」という)は、本発明の組成物の他に、他の成分(例えば、帯電防止剤などの添加剤)を含有することができる。本フィルムは、本発明の組成物を通常の溶融押出法、カレンダー法、溶液流延法などを用いてフィルム状にすることにより得られる。また、本フィルムは、さらに一軸延伸又は二軸延伸したものであってもよい。本フィルムは、さらに塗布層との密着を向上させるために、コロナ処理、グロー処理、UV処理、プラズマ処理などにより表面処理されているものであってもよい。
【0043】
本フィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定することができるが、好ましくは10〜300μmの範囲であり、さらに好ましくは50〜250μmの範囲である。10μmより薄くなると強度不足や取扱いが困難になり、300μmより厚くなると、透明性の低下や可撓性が損なわれる傾向がある。
【0044】
本フィルムを含む基板は、例えばディスプレイ用基板や電子回路用基板として用いることができる。本フィルムを含む基板をディスプレイ用基板として用いる場合、本フィルム上に電極、誘電体層、保護層、隔壁、蛍光体などを形成してディスプレイ用部材を得ることができ、さらにこれを用いてPDP、PALC、FED、VFD等のディスプレイを作製することができる。また、本フィルムを含む基板を電子回路用基板として用いる場合、本フィルム上に回路を形成し、各種の電子機器、半導体素子に用いられる電子回路を作製することができる。その他、本フィルムを含む基板は 太陽電池、電子ペーパー、その他、各種の携帯を目的とした商品などの基板として用いることができる。
【0045】
また、本フィルムを含む画像表示素子は、液晶素子や有機EL素子などとして利用可能であり、有機EL素子は、例えば、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特願2001-58834号明細書、特願2001-58835号明細書、特願2001-89663号明細書、特願2001-334858号明細書に記載された態様で用いることが好ましい。
すなわち、本フィルムを含む有機EL素子は、本フィルムを基材フィルム及び/又は保護フィルムとして用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0047】
(実施例1、2及び比較例1〜4)
本実施例は、分岐アルキル基を有するアンモニウム塩(化合物1)、分岐アルキル基を有するテトラアルキルホスホニウム塩(化合物2〜6)に関するものである。
【0048】
1.テトラアルキルホスホニウム塩の調製とその同定
a.化合物1の合成
化合物1の原料である分岐ハロゲン化アルキル基は、エヌジェコールC32−36(新日本理化製)の水酸基を、四臭化炭素とトリフェニルホスフィンを用いて臭素化することにより合成した。エヌジェコールC32−36の2500g(5mol)をTHF5Lに懸濁し、四臭化炭素1759g(5.3mol)を添加した。さらに、水冷下トリフェニルホスフィン1391g(5.3mol)を分割添加した。次いで、7時間攪拌た後、室温で一晩放置し、析出物を濾別した。濾液からTHFを留去後、2−プロパノールとヘキサンで再結晶を行った。室温で乾燥し目的とするハライドを2236g(収率79%)得た。
この化合物58g(0.1mol)と33%トリメチルアミンエタノール溶液(ACROS)25ml(0.1mol)を30日間室温で攪拌し、析出物を濾集した。得られた固体を再結晶することによって、19gの化合物1(収率30%;白色固体)を得た。
【0049】
b.化合物2の合成
化合物2の原料である分岐ハロゲン化アルキル基は、化合物1の場合と同様に合成した。得られたエヌジェコールC32−36のハライド200g(0.36mol)とトリブチルホスフィン89ml(0.36mol:東京化成製)を窒素下100℃で30時間反応させた。反応液を室温まで戻した後、酢酸エチルを加え、不溶物を濾別した。濾液から酢酸エチルを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。真空乾燥後、94gの化合物2(収率34%;透明オイル)を得た。
【0050】
c.化合物3の合成
化合物3の原料である分岐ハロゲン化アルキル基は、ファインオキソコール1800(日産化学製)の水酸基を、三臭化リンを用いて臭素化することにより合成した。ファインオキソコール1800の1622g(6mol)に三臭化リン812g(3mol)を室温で滴下した。その後、反応温度を70〜80℃に上昇させて攪拌を行った。TLCで反応終了を確認し、ヘキサンと水を加えた。抽出、洗浄の後、蒸留を行い、1960g(収率98%)の化合物(ハライド)を得た。
この化合物6.7g(20mmol)とトリブチルホスフィン5ml(20mmol)を窒素下で90℃で37時間反応させた。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.3gの化合物3(収率31%;淡黄色オイル)を得た。
【0051】
d.化合物4の合成
1−ブロモ−2エチルヘキサン(東京化成製)と、トリブチルホスフィン(東京化成製)を化合物3と同様の方法で反応し精製を行った。3.3gの化合物4(収率42%)を得た。
【0052】
e.化合物の同定
1H−NMR、31P−NMR及びFAB−MSを用いて合成した上記化合物1〜4が目的の構造であることを同定した。NMR及びFAB−MSのデータを以下に示す。
<化合物1>
1H-NMR ・・・/ ppm (TMS,CDCl3)
0.88 (t, 6H), 1.8〜1.2 (m, 61H), 3.40 (d, 2H), 3.50 (s, 9H)
<化合物2>
1H-NMR ・・・/ ppm (TMS,CDCl3)
0.97 (t,6H), 0.99 (t,9H),1.37〜1.8 (m,73H), 2.3 (m,2H), 2.5 (m,6H)
<化合物3>
31P-NMR ・・・/ ppm (85% H3PO4, CD3OD)
39.4, 60.6
FAB-MS (Negative)
m/z = 615.4 ([M]+[Br-] )
<化合物4>
1H-NMR ・・・/ ppm (TMS,CDCl3)
1.0 (m,15H), 1.2〜1.8 (m, 21H), 2.3〜2.6 (m,8H)
31P-NMR ・・・/ ppm (85% H3PO4, CD3OD)
38.8
FAB-MS (Negative)
m/z = 475.2 ([M]+[Br-] )
【0053】
f.化合物5及び6
化合物5及び6は、東京化成より購入した物をそのまま用いた。
上記化合物1〜6の構造を以下に示す。
【0054】
【化2】
Figure 0004261232
【0055】
2.有機変性層状珪酸塩の調製
親有機化剤である化合物1〜6(各2.5g)を、水/イソプロピルアルコール混合溶媒(250g:親有機化剤の溶解性により、水の割合を20〜80質量%まで変化させる)に室温で完全に溶解させた後、膨潤性合成雲母(ME−100:コープケミカル社製)又は天然モンモリロナイト(Kunipia F:クニミネ工業社製)(2.5g)を添加し、80℃で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒、未反応の原料、副成する無機塩をろ過して取り除き、さらに、反応溶媒と同一組成の水/イソプロピルアルコール混合溶媒で充分に洗浄することで、有機変性層状珪酸塩を単離した。
【0056】
3.有機変性層状珪酸塩の層間隔及び分散性の測定
得られた12種類の有機変性層状珪酸塩の層間隔は、リガク株式会社製RINT−2500を用いて、CuKα線を線源としてθ−2θ法により、2θ=1.2〜30°の範囲のX線回折を室温で測定することにより決定した。クロロホルム及びシクロヘキサン中の分散性に関しては、得られた12種類の層状珪酸塩(各0.25g)を細かく砕いた後、クロロホルム(20.0g)又はシクロヘキサン(10.0g)とともにガラス製サンプル瓶に入れ、10分間超音波照射した後、1晩静置し、分散性を目視で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0057】
分解開始温度は、アルゴン雰囲気下、25〜600℃の範囲を30℃/minの速度で昇温した場合における15〜26の重量変化を、リガク株式会社製Thermo Plusシステムを用いて測定し、親有機化剤の質量が1%減少する温度と定義した。得られた結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004261232
◎: 均一な分散物 ○: 上澄みのある分散物 △: 膨潤した沈殿×: 膨潤しない沈殿
【0059】
表1より、親有機化されていない層状珪酸塩(参考例1)と比較すると、化合物1〜5で親有機化された層状珪酸塩(実施例1、2、比較例1〜3)では層間隔の拡張が認められた。これより親有機化剤が層状珪酸塩の層間にインターカレートしていることが分かる。一方、親有機化剤として化合物6を用いた場合(比較例4)、層間の拡張が認められないことから親有機化が起こらないことが分かる。
【0060】
また、層状珪酸塩を有機溶媒中で分散した場合における分散性を比較してみると、総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を有する化合物1〜3で親有機化された層状珪酸塩(実施例1及び2)は、親有機化されていない層状珪酸塩(参考例1)、総炭素数が8以下の分岐アルキル基を有する化合物4で親有機化された層状珪酸塩(比較例2)、直鎖アルキル基を有する化合物5(比較例3)よりも有機溶媒中における分散性が優れていることが分かる。
【0061】
さらに、層状珪酸塩の熱安定性を比較してみると、総炭素数が9以上のアルキル鎖を有する化合物2及び3で親有機化された層状珪酸塩(実施例1及び2)は、4級アンモニウム塩を有する化合物1で親有機化された層状珪酸塩(比較例1)よりも熱安定性に優れていた。
【0062】
以上の実施例、比較例及び参考例より、本発明の総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を有するテトラアルキルホスホニウム塩で親有機化された層状珪酸塩は、分散性及び熱安定性の双方とも優れていることが分かる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のテトラアルキルホスホニウム塩は、従来のカチオン性界面活性剤と比較して同等以上の界面活性能及び熱安定性を有する。さらに本発明の有機変性層状珪酸塩は、層間に総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム化合物を含有するため、これまでの親有機化剤で親有機化された層状珪酸塩と同等に親有機化でき、かつ従来以上の優れた熱安定性及び分散性を有する。また、本発明の組成物は、上記有機変性層状珪酸塩を含む組成物であるため、レオロジー特性を改良し、力学特性、帯電性、ガスバリアー性、抗菌性に優れたコンポジット材料として応用可能である。

Claims (5)

  1. 総炭素数が9〜0であり、分岐アルキル鎖を有するアルキル基を1つと、総炭素数が4以上であるアルキル基を3つ有し、かつ、すべてのアルキル基がアルキル鎖のみからなり、前記分岐アルキル鎖が、少なくとも、2位で分岐していることを特徴とする、テトラアルキルホスホニウム塩。
  2. 総炭素数が16〜40であり、分岐アルキル鎖を有するアルキル基を1つと、総炭素数が4以上であるアルキル基を3つ有し、かつ、すべてのアルキル基がアルキル鎖のみからなり、前記分岐アルキル鎖が、少なくとも、2位で分岐していることを特徴とする、テトラアルキルホスホニウム塩。
  3. 層状珪酸塩の層間に請求項1または2に記載のテトラアルキルホスホニウム塩を含有することを特徴とする有機変性層状珪酸塩。
  4. 請求項に記載の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物。
  5. 請求項に記載の有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物。
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