JP2005097028A - 有機変性層状珪酸塩およびその組成物 - Google Patents

有機変性層状珪酸塩およびその組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
従来の親有機化剤で親有機化された層状珪酸塩と同等以上の熱安定性及び分散性が得られる有機変性層状珪酸塩およびその組成物を提供すること。
【解決手段】
テトラアルキルホスホニウム塩を層間に含有した有機変性層状珪酸塩において、表面処理剤が珪酸塩と結合していることを特徴とする有機変性層状珪酸塩、およびその組成物。

Description

本発明は、優れた熱安定性と分散性を有する有機変性層状珪酸塩及びその組成物に関する。より詳しくは、食品・医薬品等の包装材、建築材料、電気機器、自動車などの部材に利用される難燃性材料、粘度調節剤、化粧品、医薬品、染料等への添加剤、コーティング剤、及び繊維などポリマーコンポジットの材料分野に含有される、有機変性層状珪酸塩及びその組成物に関する。
ベンナイトやモンモリロナイトのような層状珪酸塩の層間に存在する無機カチオンを有機カチオンに置換することにより得られる、いわゆる「有機粘土(有機化層状珪酸塩)」に関する研究は、1945年以降、数多く報告されている。例えば、1947年に提出された特許文献1には、有機粘土を添加することによりポリマーの構造を強化できることが報告されている。また、特許文献2には、有機粘土を有機溶媒中に分散することによりグリースを作成できることが報告されている。
層状珪酸塩に含まれるイオン交換可能な親水性無機カチオンをイオン交換反応により有機カチオンへ置換すると、層状珪酸塩は親有機性(親油性)を帯びるようになる(以下、これを「親有機化」という)。このため、この性質を利用して親油性の重合体中に親有機化した層状珪酸塩(以下、これを「有機変性層状珪酸塩」ともいう)を容易に分散することができる。
近年、上記性質を利用して製造された有機変性層状珪酸塩とポリマーとのコンポジット材料に関する数多くの研究が報告されている(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。
有機カチオンによる層状珪酸塩の親有機化では、イオン交換により層状珪酸塩の主平面が親有機化されるのに対し、層状珪酸塩の端面の水酸基は未反応のまま残存している。そのため層状珪酸塩の端面は、イオン交換後も親水性を示す。有機化層状珪酸塩のアスペクト比が大きい場合、親有機化された主平面に対する親水性端面の割合は小さいが、アスペクト比が小さくなるのに伴い、親水性端面の割合が相対的に大きくなる。非極性有機溶媒や疎水性ポリマーのごとき疎水性媒体が、親水性表面と接触することは、界面エネルギー的に不利なため、その接触面積を小さくするために、親水性表面同士が向き合う形で会合する傾向を持つことは、一般的に知られている事実である。このことは、低アスペクト比を有する有機変性層状珪酸塩、すなわち親水性端面の割合が大きな有機化層状珪酸塩は、非極性有機溶媒や疎水性ポリマーのごとき疎水性媒体中で、親水性端面同士が接触した構造、すなわち層状珪酸塩が凝集した構造をとり易いことを意味している。
これに対し、層状珪酸塩端面に存在する水酸基に対し、疎水性シランカップリング剤等を反応させることで疎水性媒体との親和性を持たせる技術が開示されており、例えば層状珪酸塩端面の水酸基とシランカップリング剤とを反応させた後に、4級アンモニウム塩により親有機化された有機変性層状珪酸塩が、優れたレオロジー特性を示すことが報告されている(特許文献4参照)。
しかし、従来用いられている4級アンモニウム塩を含有する有機変性層状珪酸は、熱安定性に乏しいという欠点があった。このため、前記4級アンモニウム塩を含有する有機変性層状珪酸塩は、高い融点を有する熱可塑性樹脂中で溶融混練を行った場合、混練中に4級アンモニウム塩の熱分解が進行するという問題が指摘されていた。また、この4級アンモニウム塩を含有する有機変性層状珪酸塩をグリースとして有機溶媒中に分散させた場合、高温状態(例えば、モーターの軸受けなどの発熱部位)での使用が制限されるという問題も指摘されていた。さらに、ポリアルキレンオキシド基はアルキル基と比較して熱安定性に劣るため、ポリアルキレンオキシド基を有する4級アンモニウム塩を親有機化剤として含有する有機変性層状珪酸塩は、アルキル基を有する4級アンモニウム塩を含有する場合と比較して、さらに熱安定性が劣るという問題があった。
したがって、予てから4級アンモニウム塩以外の構造を有する親有機化剤により、4級アンモニウム塩と同等以上に親有機化され、かつ、非極性有機溶媒や疎水性ポリマーのごとき疎水性媒体中での分散性に優れる層状珪酸塩の開発が望まれていた。
米国特許第2,531,369号明細書 米国特許第2,531,440号明細書 特開2000−26655号公報(第2頁の請求項1、第5頁[0023]〜第10頁[0074]) T. J. Pinnavaiaら, Polymer−Clay Nanocomposite, John Wiley & Sons Ltd社,(2000年発行) P.97〜189 特開平5−254823号公報(第2頁の特許請求の範囲、第2頁[0008]〜第3頁[0012])
本発明の課題は、従来の親有機化剤で親有機化された層状珪酸塩と同等以上の熱安定性及び分散性が得られる有機変性層状珪酸塩を提供することにある。また、本発明のもう一つの課題は、前記有機変性層状珪酸塩を含む組成物を提供することにある。
4級アンモニウム塩は、ホフマン脱離と呼ばれる化学反応により熱分解され、3級アミンとオレフィンが生成するということが一般的に知られている。新有機化剤である4級アンモニウム塩は、融点が高い熱可塑性樹脂中において、このホフマン脱離に起因した熱分解が起こり、熱安定性が損なわれているものと推測される。
本発明者らは、この熱分解反応が窒素原子周辺の化学構造に依存すると考え、種々のオニウム塩について熱安定性を検討した。その結果、本発明者らは、テトラアルキルホスホニウム塩を含む有機変性層状珪酸塩が、4級アンモニウム塩を含む有機変性層状珪酸塩と比較して、分解開始温度が100℃程度上昇し、テトラアルキルホスホニウム塩を含む有機変性層状珪酸塩が耐熱性に優れることを見出した。
本発明者らはさらに、テトラアルキルホスホニウム塩を含む有機変性層状珪酸塩の親水性端面を、シランカップリング剤がごとき表面処理剤と共有結合させることで、表面処理剤と共有結合していない有機変性層状珪酸塩と比較して、非極性有機溶媒や疎水性ポリマーのごとき疎水性媒体中での分散性がより優れた有機変性層状珪酸塩を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、以下の有機変性層状珪酸塩により達成される。
(1)テトラアルキルホスホニウム塩を層間に含有した有機変性層状珪酸塩において、表面処理剤が珪酸塩と結合していることを特徴とする有機変性層状珪酸塩。
(2)層状珪酸塩に含まれる無機イオンの1モル当量に対して、0.05〜3モル当量の前記テトラアルキルホスホニウム塩を含有する上記(1)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(3)総炭素数が4〜100であるアルキル鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(4)総炭素数が6〜50であるアルキル鎖を、少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(5)総炭素数が8〜36であるアルキル鎖を、少なくとも1つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(6)前記アルキル鎖が分岐アルキル基であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩。
(7)前記分岐アルキル鎖が、2位で分岐していることを特徴とする上記(1)〜(6)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(8) 前記分岐アルキル鎖が、2−ヘキサデシルイコシル基であることを特徴とする上記(6)または(7)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(9)前記分岐アルキル鎖が1つのみであることを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩。
(10)総炭素数が8〜36であるアルキル鎖を3つ有するテトラアルキルホスホニウム塩を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の有機変性層状珪酸塩。
(11)前記表面処理剤がシラン系表面処理剤である上記(1)〜(10)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩。
(12)前記表面処理剤がチタネート系表面処理剤である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩。
(13)前記表面処理剤がアルミナ系表面処理剤である上記(1)〜(12)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩。
(14)前記表面処理剤が、有機化層状珪酸塩の親水性端面に存在する水酸基の1〜100%と共有結合している上記(1)〜(13)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩。
(15)上記(1)〜(14)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物。
(16)上記(1)〜(14)のいずれかに記載の有機変性層状珪酸塩、または上記(15)に記載の組成物と、熱可塑性樹脂とからなる組成物。
本発明の有機変性層状珪酸塩は、親有機化剤としてテトラアルキルホスホニウム塩を含有する。このため、本発明の有機変性層状珪酸塩は、親有機化剤として従来の4級アンモニウム塩を含有する有機変性層状珪酸塩と同等以上の効果、すなわち、良好な分散性と分解開始温度が250℃以上であるという優れた耐熱性とを有する。
また、本発明の別の課題は、上記有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物又は上記有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物によって達成される。
本発明の有機変性層状珪酸塩は、有機溶媒中又は熱可塑性樹脂中に良好に分散し混合することができる。これにより本発明の組成物は、優れた熱安定性を有するコンポジット材料としての利用が可能である。
以下において、本発明の有機変性層状珪酸塩及びその組成物についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
[本発明の有機変性層状珪酸塩]
本発明の有機変性層状珪酸塩は、層状珪酸塩の層間に親有機化剤であるテトラアルキルホスホニウム塩を含有し、かつ、端面が表面処理剤と共有結合している。
<親有機化剤>
本発明の親有機化剤として使用されるテトラアルキルホスホニウム塩は、特に限定されないが、総炭素数が4〜100であるアルキル鎖を少なくとも1つ有することが好ましく、総炭素数が6〜50であるアルキル鎖を少なくとも1つ有することがより好ましく、総炭素数が8〜36であるアルキル鎖を少なくとも1つ有することがさらに好ましい。前記アルキル鎖は、直鎖アルキル基であっても分岐アルキル基であっても良い。
上記テトラアルキルホスホニウム塩の置換基として好ましい分岐アルキル鎖は、例えば、2−ブチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルイコシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル基などを用いることができ、好ましくは2−ブチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルイコシル基など2位で分岐したアルキル鎖であり、さらに好ましくは2−ヘキサデシルイコシル基を用いることができる。
また、上記分岐アルキル鎖は、アルキル基の一部に不飽和結合(二重結合や三重結合)、エステル基、アミド基、エーテル基、フェニレン基などを含むこともできる。上記総炭素数が9以上の分岐アルキル鎖を有するテトラアルキルホスホニウム塩は、単独で使用することができ、また複数を組み合わせて使用することもできる。さらに、分岐アルキル鎖の数は特に限定されないが、1つであることが好ましい。
テトラアルキルホスホニウム塩として、リン原子に長鎖アルキル基が3本結合している化合物も、親有機化剤として好ましく用いることができる。3本の長鎖アルキル基を有するテトラアルキルホスホニウム塩の場合、各々のアルキル鎖の炭素数は4〜100であることが好ましく、6〜50であることがより好ましく、8〜36であることがさらに好ましい。
上記テトラアルキルホスホニウム塩は、4級塩を形成するリン原子(P+)とアニオン(X-)とからなる。この4級塩を構成するアニオンは特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、p−トルエンスルホン酸、BF4、ClO4、PF6、NO3などのアニオンを挙げることができる。
本発明で用いられるテトラアルキルホスホニウム塩は、トリアルキルホスフィンとハロゲン化アルキルを反応させることにより得られる。前記テトラアルキルホスホニウム塩の原料となるトリアルキルホスフィンは、市販の化合物を用いることができる。
本発明で使用できるテトラアルキルホスホニウム塩の具体的例を以下に示す。但し、本発明で使用可能なテトラアルキルホスホニウム塩はこれらの化合物に限定されるわけではない。
Figure 2005097028
<層状珪酸塩>
本発明で使用できる層状珪酸塩は、特に限定されるものではないが、膨潤性及び/又は劈開性を有する粘土鉱物やハイドロタルサイト類化合物及びその類似化合物が好ましい。これら粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石などを挙げることができる。前記層状珪酸塩は、天然物であっても合成物であってもよい。また、これらの層状珪酸塩は、単独で用いることができ、また複数を併用することもできる。
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、層状珪酸塩が多層に重なっていると有機化した後に劈開することが困難になることから、親有機化されていない層状珪酸塩の厚さは、可能な限り1層における厚み(約1nm)であることが好ましい。また、平均長さは0.01〜50μm、好ましくは0.05〜10μm、アスペクト比は20〜500、好ましくは50〜200であるものを好適に用いることができる。
上記層状珪酸塩は、その層間にイオン交換可能な無機カチオンを有する。イオン交換可能な無機カチオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウム、カリウム、リチウムなどの金属イオンのことである。これらのイオンは、親有機化剤とのイオン交換性を有し、イオン交換反応によりカチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)できるものが好ましい。
なお、上述した親有機化剤は、有機変性層状珪酸塩の表面及び層間に存在すると考えられ、特に層間に存在することは親有機化された層状珪酸塩の層間隔の拡張をX線を用いて解析することにより容易に確認することができる。
上記層状珪酸塩のカチオン交換容量(CEC)は、特に限定されるものではないが、例えば10〜200meq/100gであることが好ましく、50〜150meq/100gであることがより好ましく、90〜130meq/100gであることがさらに好ましい。層状珪酸塩のカチオン交換容量が10meq/100g未満であると、イオン交換により層状珪酸塩の層間に挿入(インターカレート)されるテトラアルキルホスホニウム塩の量が少なくなるために、層間が十分に親有機化されないことがある。一方、カチオン交換容量が200meq/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固になりすぎて、結晶薄片が剥離しにくくなり、分散性が悪くなることがある。
上記条件を満たす層状珪酸塩の具体例としては、例えば、クニミネ工業のスメクトンSA、クニミネ工業のクニピアF、コープケミカル社のソマシフME−100、コープケミカル社のルーセンタイトSWNなどの商品を挙げることができる。
上記層状珪酸塩の層間にテトラアルキルホスホニウム塩を含有させる方法は、特に限定されないが、合成操作が容易であるという観点からイオン交換反応で無機カチオンをテトラアルキルホスホニウム塩に交換することにより含有させる方法が好ましい。上記層状珪酸塩のイオン交換可能な無機カチオンをテトラアルキルホスホニウム塩とイオン交換する手法は、特に限定されるものではなく、既知の方法を用いることができる。具体的には、水中におけるイオン交換、アルコール中におけるイオン交換、水/アルコール混合溶媒中におけるイオン交換等の手法を用いることができる。例えば、水中におけるイオン交換は、テトラアルキルホスホニウム塩を水に加えて均一に溶解した水溶液に層状珪酸塩を加えてイオン交換を行う操作を示す。
水中におけるイオン交換におけるテトラアルキルホスホニウム塩と水との混合比は特に限定されるものではないが、1:1〜1:10000の範囲であることが好ましく、1:10〜1:1000の範囲であることがより好ましく、1:20〜1:200の範囲であることがさらに好ましい。
イオン交換は、0〜100℃の温度で行うことが好ましく、10〜90℃の温度範囲で行うことがより好ましく、20〜80℃の温度範囲で行うことがさらに好ましい。さらに、反応終了後に溶媒、未反応の原料、副成される無機塩をろ過して取り除くことにより、イオン交換された層状珪酸塩を単離することができる。
上記イオン交換の進行状況は、既知の方法で確認することができる。例えば、濾液のICP発光分析法により交換された無機イオンを確認する方法、X線解析により層状珪酸塩の層間隔が拡張したことを確認する方法、熱天秤により昇温過程の質量減少から親有機化剤の存在を確認する方法等により、層状珪酸塩のイオン交換可能な無機イオンがテトラアルキルホスホニウム塩と置換されたことを確認することができる。イオン交換は、層状珪酸塩のイオン交換可能な無機イオン1当量に対し、0.05当量(5%)〜3当量(300%)の範囲であることが好ましく、0.1当量(10%)〜2.5当量(250%)の範囲であることがより好ましく、0.5当量(50%)〜2当量(200%)の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の有機変性層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で親有機化された層状珪酸塩と同等以上の分解開始温度を有する。この分解開始温度は、180〜400℃の範囲であり、200〜350℃であることが好ましく、220〜300℃であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において分解開始温度とは、アルゴン雰囲気下における10℃/minの昇温過程において親有機化剤の質量が有機変性層状珪酸塩の全質量に対して1%減少する温度をいう。
<表面処理剤>
本発明で用いられる表面処理剤としては、シラン系表面処理剤、チタネート系表面処理剤、アルミナ系表面処理剤などがあげられるが、反応性、取扱性、経済性、安定性の点から、シラン系表面処理剤が好ましく使用される。
前記シラン系表面処理剤の好ましい例としては、一般式(I):
nSiX4-n (I)
(Xは加水分解性基または水酸基、Xが複数個存在する場合、それらは互いに異なっていてもよい。Yは置換基を有していても良い炭素数1〜30の炭化水素基であって、該置換基としては、たとえばエポキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアシルオキシ基、カルボキシル基が炭素数1〜22のアルキルアルコールでエステル化された基、水酸基が炭素数1〜22のアルキルアルコールでエーテル化された基よりなる群から選ばれた1種以上であり、Yが複数個存在する場合、それらは互いに異なっていてもよい。nは1〜3の整数)で表わされるシランカップリング剤があげられる。
一般式(I)の加水分解性基Xとしては、たとえば炭素数1〜8のアルコキシ基(たとえばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など)、炭素数3〜8のアルケニルオキシ基(たとえばイソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシム基など)、炭素数3〜8のケトオキシム基(ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基など)、炭素数2〜8のアシルオキシ基(アセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロイロキシ基、ベンゾイルオキシム基など)、アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基など)、アミノキシ基(ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基など)、アミド基(N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基など)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)などがあげられる。これらの中で、炭素数1〜4のアルコキシ基および塩素原子が、反応性の点から好ましい。
一般式(I)の炭化水素基Yとしては、置換基を有さない炭素数1〜25のアルキル基(たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基など)、置換基を有さない炭素数2〜25のアルケニル基(たとえばビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、3−オクテニル基、シクロヘキセニル基など)、置換基を有さない炭素数6〜25の芳香族基(たとえばフェニル基、ナフチル基など)、置換基を有さない炭素数7〜25のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基など)、置換基を有さない炭素数6〜25のシクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロオクチル基など)、置換基(たとえばエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアシルオキシ基、カルボキシル基が炭素数1〜10のアルキルアルコールでエステル化された基、水酸基が炭素数1〜10のアルキルアルコールでエーテル化された基など、以下、単に置換基という)を有する炭素数1〜25のアルキル基(たとえばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−アミノプロピル基など)、置換基を有する炭素数2〜25のアルケニル基(たとえばγ−メタクリロキシプロピル基、4−メチル−4−アミノ−1−ヘキセニル基など)、置換基を有する炭素数2〜25のアルキニル基(たとえばγ−アミノプロピニル基など)、置換基を有する炭素数6〜25の芳香族基(たとえばγ−アニリノプロピル基など)、置換を有する炭素数7〜25のアラルキル基(たとえばN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピル基など)、置換基を有する炭素数6〜25のシクロアルキル基(たとえば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基など)などがあげられる。これらの中で、置換基を有さない炭素数1〜25のアルキル基(たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基など)が好ましい。
一般式(I)中のX、Y、nは前記のごときものであるが、これらを組み合わせた一般式(I)で表わされるシラン系カップリング処理剤などのシラン系表面処理剤の具体例としては、たとえばデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシランのようにYがポリメチレン鎖を有するもの、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシランのようにYが低級アルキル基であるもの、2−ヘキセニルトリメトキシシランのようにYが不飽和炭化水素基を有するもの、2−エチルヘキシルトリメトキシシランのようにYが側鎖を有するもの、フェニルトリエトキシシランのようにYがフェニル基を有するもの、3−β−ナフチルプロピルトリメトキシシランのようにYがアラルキル基を有するもの、p−ビニルベンジルトリメトキシシランのようにYがフェニレン基を有するもの、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシランのようにYがビニル基を有するもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのようにYがエステル基を有するもの、γ−ポリオキシエチレンプロピルトリメトキシシラン、2−エトキシエチルトリメトキシシランのようにYがエーテル基を有するもの、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようにYがエポキシ基を有するもの、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランのようにYがアミノ基を有するもの、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシランのようにYがカルボニル基を有するもの、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランのようにYがメルカプト基を有するもの、γ−クロロプロピルトリエトキシシランのようにYがハロゲンを有するもの、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3−プロピルトリエトキシシランのようにYが水酸基を有するものがあげられる。
前記シラン系表面処理剤として、より好ましくは、一般式(II):
3SiX(II)
(Xは加水分解性基または水酸基、Xが複数個存在する場合、それらは互いに異なっていてもよい。Yは置換基を有していても良い炭素数1〜30の炭化水素基であって、該置換基としては、たとえばエポキシ基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアシルオキシ基、カルボキシル基が炭素数1〜22のアルキルアルコールでエステル化された基、水酸基が炭素数1〜22のアルキルアルコールでエーテル化された基よりなる群から選ばれた1種以上であり、Yが複数個存在する場合、それらは互いに異なっていてもよい)で表わされるシランカップリング剤があげられる。さらに好ましくは、一般式(II)において、Xがメトキシ基、エトキシ基、塩素原子のいずれか、Yは直鎖アルキル基であり、最も好ましくは、トリメチルメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシランのいずれかである。これらのシラン系表面処理剤は単独で用いてもよく、また複数種を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤を有機変性層状珪酸塩に結合させる方法は、既知の方法を用いることができる。具体的には、溶媒中に有機変性層状珪酸塩を懸濁させた後、表面処理剤を加え、室温あるいは加熱条件下で反応を行うことにより、表面処理剤を有機変性層状珪酸塩に結合させることができる。層状珪酸塩と結合していない過剰の表面処理剤は、減圧留去、あるいは酢酸エチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、エタノールがごとき表面処理剤の良溶媒を用いて洗浄することにより、除去することが可能である。表面処理剤が有機変性層状珪酸塩に結合していることは、たとえば、赤外分光法(IR)で表面処理剤の官能基に由来する吸収帯を測定することによって確認することができる。
本発明において表面処理剤は、有機化層状珪酸塩に存在する水酸基に対して1〜100%の比率で結合していることが好ましく、20〜100%の比率で結合していることがより好ましく、50〜100%の比率で結合していることがさらに好ましい。有機化層状珪酸塩の水酸基に対する存在比率は、赤外吸収法やNMR法を用いて、表面処理剤有無の条件下で有機層状珪酸塩の水酸基を定量することによって求めることができる。
[本発明の組成物]
次に本発明の組成物について説明する。本発明の組成物は、有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物である。
本発明の組成物に含まれる有機溶媒は、本発明の有機変性層状珪酸塩との親和性があるものであれば特に限定されるものではない。そのような有機溶媒として、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム、メチルセロソルブのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、スクワランのような脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、パークロロエチレン、クロロベンゼンのようなハロゲン系炭化水素;酢酸エチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルのようなエステル類;ジメチルホルムアミドのようなアミド類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類などを挙げることができる。
本発明の組成物における有機変性層状珪酸塩と有機溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、有機溶媒中における有機変性層状珪酸塩の割合が0.01〜30質量/容積%であることが好ましく、0.1〜10質量/容積%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物は、さらに有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物であることができる。本発明の組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、有機変性層状珪酸塩の熱分解温度と同等以下のものであれば特に制限されず、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、スチレン/無水マレイン酸共重合体・ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ナイロン6、ナイロン66、酢酸セルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)などを挙げることができる。
有機変性層状珪酸塩を熱可塑性樹脂中へ分散する方法は、特に限定されないが、好ましくは次の2つの方法である。すなわち、第一の方法は、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱可塑性樹脂と有機変性層状珪酸塩とを混練する方法である。第二の方法は、熱可塑性樹脂を有機溶媒中に均一溶解した後、この溶媒中に有機溶媒に分散した有機変性層状珪酸塩を加え、十分に混合・攪拌した後、有機溶媒を留去することで、熱可塑性樹脂中に有機変性層状珪酸塩を分散する方法である。
本発明の有機変性層状珪酸塩及びその組成物は、様々な分野で利用することができる。例えば、本発明の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒からなる組成物は、有機溶媒のレオロジー特性を改良することが可能である。したがって、本発明の組成物は、化粧品、医薬品、染料、顔料、紫外線吸収剤等の分散媒として、好ましく用いることができる。また、本発明の組成物を塗布・乾燥することにより、薄膜状の形態として使用することもできる。
さらに、本発明の有機変性層状珪酸塩と熱可塑性樹脂とからなる組成物は、力学特性、帯電性、ガスバリアー性、抗菌性等に優れたコンポジット材料として利用可能である。特に耐熱性の高いプラスチック基板として好ましく用いることができる。
本発明の組成物で作製されたフィルム(以下「本フィルム」という)は、本発
明の組成物のほかに、他の成分(例えば、帯電防止剤などの添加剤)を添加することができる。本フィルムは、本発明の組成物を通常の溶融押出法、カレンダー法、溶液流延法などを用いてフィルム状にすることにより得られる。また、本フィルムは、さらに一軸延伸又は二軸延伸したものであってもよい。本フィルムは、さらに塗布層との密着を向上させるために、コロナ処理、グロー処理、UV処理、プラズマ処理などにより表面処理されているものであってもよい。
本フィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定することができるが、好ましくは10〜300μmの範囲であり、さらに好ましくは50〜250μmの範囲である。10μmより薄くなると強度不足や取扱いが困難になり、300μmより厚くなると、透明性の低下や可撓性が損なわれる傾向がある。
本フィルムを含む基板は、例えばディスプレイ用基板や電子回路用基板として用いることができる。本フィルムを含む基板をディスプレイ用基板として用いる場合、フィルム上に、電極、誘電体層、保護層、隔壁、蛍光体などを形成してディスプレイ用部材を得ることができ、さらにこれを用いてPDP、PALC、FED、VFD等のディスプレイを作製することができる。また、本フィルムを含む基板を電子回路用基板として用いる場合、フィルム上に回路を形成し、各種の電子機器、半導体素子に用いられる電子回路を作製することができる。その他、本フィルムを含む基板は 太陽電池、電子ペーパー、その他、各種の携帯を目的とした商品などの基板として用いることができる。
本フィルムを含む画像表示素子は、液晶素子及び有機EL素子などが挙げられ、有機EL素子は、例えば、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特願2001-58834号明細書、特願2001-58835号明細書、特願2001-89663号明細書、特願2001-334858号明細書に記載された態様で用いることが好ましい。
すなわち、本フィルムを含む有機EL素子は、本フィルムを基材フィルム及び/又は保護フィルムとして用いることができる。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1〜5及び比較例1〜9]
本実施例では、直鎖アルキル基を有するアルキルホスホニウム塩(化合物1,2)、分岐アルキル基を有するテトラアルキルホスホニウム塩(化合物3〜5)、直鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩(化合物6,7)、分岐アルキル基を有する4級アンモニウム塩(化合物8)を用いて、有機変性層状珪酸塩における分散性と耐熱性について比較した。
I. テトラアルキルホスホニウム塩の調製
(a.化合物1,2)
化合物1,2は、Aldrich社より購入した物をそのまま用いた。
(b.化合物3の合成)
化合物3の原料である分岐ハロゲン化アルキル基は、エヌジェコールC32−36(新日本理化製)の水酸基を、四臭化炭素とトリフェニルホスフィンを用いて臭素化することにより合成した。エヌジェコールC32−36の2500g(5mol)をTHF5Lに懸濁し、四臭化炭素1759g(5.3mol)を添加した。さらに、水冷下トリフェニルホスフィン1391g(5.3mol)を分割添加した。次いで、7時間攪拌た後、室温で一晩放置し、析出物を濾別した。濾液からTHFを留去後、2−プロパノールとヘキサンで再結晶を行った。室温で乾燥し目的とするハライドを2236g(収率79%)得た。得られたエヌジェコールC32−36のハライド200g(0.36mol)とトリブチルホスフィン89ml(0.36mol:東京化成製)を窒素下100℃で30時間反応させた。反応液を室温まで戻した後、酢酸エチルを加え、不溶物を濾別した。濾液から酢酸エチルを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。真空乾燥後、94gの化合物4(収率34%;透明オイル)を得た。
(c.化合物4の合成)
化合物6の原料である分岐ハロゲン化アルキル基は、ファインオキソコール1800(日産化学製)の水酸基を、三臭化リンを用いて臭素化することにより合成した。ファインオキソコール1800の1622g(6mol)に三臭化リン812g(3mol)を室温で滴下した。その後、反応温度を70〜80℃に上昇させて攪拌を行った。TLCで反応終了を確認し、ヘキサンと水を加えた。抽出、洗浄の後、蒸留を行い、1960g(収率98%)の化合物(ハライド)を得た。
この化合物6.7g(20mmol)とトリブチルホスフィン5ml(20mmol)を窒素下で90℃で37時間反応させた。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、3.3gの化合物4(収率31%;淡黄色オイル)を得た。
(d.化合物5の合成)
1−ブロモ−2エチルヘキサン(東京化成製)と、トリブチルホスフィン(東京化成製)を化合物3と同様の方法で反応し精製を行った。3.3gの化合物5(収率42%)を得た。
II. 4級アンモニウム塩の調製
(e.化合物6,7)
化合物6,化合物7は、東京化成より購入した物をそのまま用いた。
(f.化合物8の合成)
化合物10の原料である分岐ハロゲン化アルキル基は、化合物5の場合と同様に合成した。得られたエヌジェコールC32−36のハライド58g(0.1mol)と33%トリメチルアミンエタノール溶液(ACROS)25ml(0.1mol)を30日間室温で攪拌し、析出物を濾集した。得られた固体を再結晶することによって、19gの化合物8(収率30%;白色固体)を得た。
III. 化合物の同定
1H−NMR、31P−NMR及びFAB−MSを用いて、合成した上記化合物3〜5、8が目的の構造であることを同定した。NMR及びFAB−MSのデータを以下に示す。
<化合物3>
1H−NMR/ppm (TMS,CDCl3)
0.97 (t,6H), 0.99 (t,9H),1.37〜1.8 (m,73H), 2.3 (m,2H), 2.5 (m,6H)
<化合物4>
31P−NMR/ppm (85% H3PO4, CD3OD)
39.4, 60.6
FAB−MS (Negative)
m/z = 615.4 ((M)+(Br−) )
<化合物5>
1H−NMR/ppm (TMS,CDCl3)
1.0 (m,15H), 1.2〜1.8 (m, 21H), 2.3〜2.6 (m,8H)
31P−NMR/ppm (85% H3PO4, CD3OD)
38.8
FAB−MS (Negative)
M/z = 475.2 ((M)+(Br−) )
<化合物8>
1H−NMR/ppm (TMS,CDCl3)
0.88 (t, 6H), 1.8〜1.2 (m, 61H), 3.40 (d, 2H), 3.50 (s, 9H)
上記化合物1〜8の構造を以下に示す。
Figure 2005097028
IV. 有機変性層状珪酸塩の調製
親有機化剤である化合物1〜8(各2.5g)を、水/イソプロピルアルコール混合溶媒(250g:親有機化剤の溶解性により、水の割合を20〜80質量%まで変化させる)に室温で完全に溶解させた後、ルーセンタイトSWN(コープケミカル社製)又は天然モンモリロナイト(Kunipia F:クニミネ工業社製)(2.5g)を添加し、80℃で1時間攪拌した。反応終了後、溶媒、未反応の原料、副成する無機塩をろ過して取り除き、さらに、反応溶媒と同一組成の水/イソプロピルアルコール混合溶媒で充分に洗浄することで、有機変性層状珪酸塩を単離した。
V. 表面処理剤と共有結合した有機変性層状珪酸塩の調製
表面処理剤として、シランカップリング剤の一種であるトリメチルメトキシシランを用いて、層状珪酸塩端面の表面処理を行った。トルエン50mLに対し、トリメチルメトキシシラン10mL、酢酸1.5mLを溶解させた後、化合物1〜8により有機化された有機変性層状珪酸塩の各々10gを懸濁し、トリメチルメトキシシランの沸点以下である55℃で8時間加熱した。トルエンを減圧留去し、残渣に酢酸エチルを加え懸濁攪拌した後、固形分を濾別し、さらに酢酸エチルで洗浄することにより、表面処理剤と共有結合した有機変性層状珪酸塩を単離した。
VI. 有機変性層状珪酸塩の層間隔及・分散性・分解開始温度の測定
得られた16種類の有機変性層状珪酸塩の層間隔は、リガク株式会社製RINT−2500を用いて、CuKα線を線源としてθ−2θ法により、2θ=1.2〜30°の範囲のX線回折を室温で測定することにより決定した。クロロホルム及びシクロヘキサン中の分散性に関しては、得られた10種類の層状珪酸塩(各0.25g)を細かく砕いた後、クロロホルム(20.0g)又はシクロヘキサン(10.0g)とともにガラス製サンプル瓶に入れ、10分間超音波照射した後、1晩静置し、分散性を目視で評価した。分解開始温度は、アルゴン雰囲気下、25〜600℃の範囲を30℃/minの速度で昇温した場合における重量変化を、リガク株式会社製Thermo Plusシステムを用いて測定し、親有機化剤の質量が1%減少する温度と定義した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2005097028
表1より、親有機化されていない層状珪酸塩(比較例9)と比較すると、化合物1〜8で親有機化された層状珪酸塩(実施例1〜5及び比較例1〜8)は、層間隔の拡張が認められており、親有機化剤が層状珪酸塩の層間にインターカレートしたことは明らかである。
比較例1〜5の層状珪酸塩と比較例6〜8の層状珪酸塩の熱安定性を比較すると、層間にテトラアルキルホスホニウム塩により親有機化された有機変性層状珪酸塩(比較例1〜5)の方が、4級アンモニウム塩を有する化合物6〜8で親有機化された層状珪酸塩(比較例6〜8)よりも100℃程度、熱安定性に優れていることが分かる。
親有機化層状珪酸塩(比較例1〜8)の有機溶媒中における分散性を、親有機化されていない層状珪酸塩(比較例9)と比較すると、実施例1〜8の層状珪酸塩は、比較例9の層状珪酸塩よりも良好な分散性が得られた。分散性の効果は、特に総炭素数9以上の直鎖あるいは分岐アルキル鎖を有する化合物2〜4、7,8により親有機化された層状珪酸塩において特に顕著であった。さらに、端面が表面処理剤と共有結合している親有機化層状珪酸塩(実施例1〜5)と、端面が表面処理剤と共有結合していない親有機化層状珪酸塩(比較例1〜5)を比較すると、端面が表面処理剤と共有結合している親有機化層状珪酸塩が、端面が表面処理剤と共有結合していない親有機化層状珪酸塩と比較して、層間隔と熱分解開始温度は同等であり、有機溶媒中における分散性が向上していることが結論される。
本発明のテトラアルキルホスホニウム塩と、表面修飾剤とを含む有機変性層状珪酸塩は従来の有機変性層上珪酸塩以上の分散性及び熱安定性を有する。また、本発明の組成物は、上記有機変性層状珪酸塩を含む組成物であるため、レオロジー特性を改良し、力学特性、帯電性、ガスバリアー性、抗菌性に優れたコンポジット材料として応用可能である。

Claims (3)

  1. テトラアルキルホスホニウム塩を層間に含有した有機変性層状珪酸塩において、表面処理剤が珪酸塩と結合していることを特徴とする有機変性層状珪酸塩。
  2. 請求項1に記載の有機変性層状珪酸塩と有機溶媒とからなる組成物。
  3. 請求項1に記載の有機変性層状珪酸塩または請求項2に記載の組成物と、熱可塑性樹脂とからなる組成物。
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