JP2003234701A - 四光波混合による伝送品質劣化を低減可能な光伝送装置および光伝送システム - Google Patents

四光波混合による伝送品質劣化を低減可能な光伝送装置および光伝送システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】大容量かつ長距離伝送方式ではファイバへの光
入力レベルが高くなるため、非線型効果という伝送特性
を劣化させる問題が顕著化することとなった。そのよう
な非線形効果として四光波混合(FWM)による伝送品
質劣化の問題がある。本発明の目的は、波長分割多重伝
送を行う光伝送装置において光ファイバ中で発生するF
WMに起因する伝送品質劣化の低減方法を提供するとと
もに、波長多重密度に制限を受けない波長多重光伝送シ
ステムを提供することにある。 【解決手段】本発明はWDM光伝送装置において光ファ
イバ中で発生するFWMに起因する伝送品質劣化を低減
するため、各スパン毎の光ファイバ伝送路で発生したF
WM光強度を受信側で観測し、送信側における当該スパ
ンを伝送するための光出力光強度を決定するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバを用い
た波長多重光伝送システムで生じる四光波混合(FW
M:Four Wave Mixing)に起因する伝送
品質劣化を低減可能な光伝送装置および光伝送システム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光伝送システムの大容量化の手段とし
て、波長の異なる複数の光信号を一本の光ファイバを用
いて伝送する波長多重(WDM:Wavelength
Division Multiplexing)伝送
システムが実用化されている。また、エルビウム添加フ
ァイバ増幅器(EDFA)等の光ファイバアンプ(以
下、光アンプ)は広い波長範囲に対して一括に増幅し得
る特性を持つ。このため、WDMと光アンプとを組み合
わせることにより、波長の異なる複数の光信号を一括し
て増幅するので、簡素な構成で、経済的、大容量かつ長
距離伝送が実現可能である。
【0003】しかしながら、このようなWDM光増幅伝
送方式ではファイバへの光入力レベルが高くなるため、
非線型効果という伝送特性を劣化させる問題が顕著化す
ることとなった。そのような非線形効果として相互波長
変調(XPM:CrossPhase Mudulat
ion)、FWM、誘導ラマン散乱(SRS:Stim
ulatted Raman Scatering)によ
る伝送品質劣化の問題がある。
【0004】XPMは光ファイバへの2波以上の光入力
信号が相互に位相変調し合い、さらに光伝送路が有する
波長分散の影響を受けることによって、伝送波形の劣化
を発生させるものである。ただしこのXPMに関して
は、特開平7−74699に示すように分散補償器を光
伝送路上に適当に配置することによって、XPMの発生
に関与する波長分散を抑圧することが可能であり、波形
劣化を回避することができる。
【0005】一方、SRSは光ファイバへの波長多重入
力信号光の一部が励起光として作用し、ファイバ中のよ
り低周波数側の信号光と相互作用することによって、高
周波数側の信号光から低周波数側の信号光へとエネルギ
ーが移動する。このため、波長帯域によって光信号対雑
音比(OSNR)の偏差が生じることがある。しかし、
伝送路に入力される波長毎の信号光強度を適当に制御す
ることにより、波長間のOSNRを均一化することがで
きる(例えば、特願2001−167609)。
【0006】FWMは2波長以上の波長多重された入力
信号光が光ファイバへ入力した際に、非線形光学効果に
よって新たに光が発生し、信号光に対する干渉雑音とな
る。FWMは各種の光ファイバで発生し、その強さ(F
WM光強度)は光ファイバの種類や光ファイバへの入力
強度、あるいはポンプ光として作用する信号の波長間隔
などに依存する。また、FWM光強度は光ファイバに収
容されている波長多重数に比例して大きくなるため、W
DM装置に収容される波長数が多く、入力される光強度
が強いほど発生するFWMの光強度が増加することとな
り、それによる影響が顕著に現れる。さらに、伝送距離
が長くなると中継点が増加し、その結果FWM発生量が
増加するため、現れる影響は一層顕著になる。
【0007】従来のWDM装置における運用稼動状態
は、収容される光信号の波長多重数や伝送距離が比較的
少なかったため、FWMによる影響もそれほど大きくな
かった。しかし、近年の通信トラヒックの増大に従い、
WDM装置に対しても収容波長数の増加、および伝送距
離の拡大が要求されるようになった。このため、FWM
による影響が軽視できないようになり、WDM装置にお
いて設計当初の想定収容波長を全て収容するとFWMに
よる影響が増大し、伝送不可能な状態になることが報告
されている。
【0008】従来、WDM装置を用いた伝送システムで
は、FWMによって新たに発生する光の波長がどの信号
光波長にも一致しないようにする方法が文献1(F. F
orghieri、“Reduction of Fou
r−Wave MixingCrosstalk in
WDM Systems Using Unequall
y Spaced Channels“、IEEE Ph
otonics Technology Letter
s、6、pp.754−756、1994)に記載されて
いる。
【0009】また伝送路に励起光を入力し、信号光に分
布定数型ラマン増幅利得を与えることで光ファイバに対
する信号光の入力強度を低減し、FWMの発生効率を低
減する方法が文献2(N. Takachio、“32x
10 Gbps distributed Raman a
mplification transmission
with 50GHz channel spacing
in the zero dispersion wave
length region over 640km of
1.55μm dispersion shifted
fiber”、1999年光ファイバ交際会議、Pos
tdeadline Paper 9)や特開2001−
217781に記載されている。
【0010】また、これらの非線型効果による伝送品質
劣化を最小化する設計法が文献3(J. Kani “I
nter−wavelength−band nonl
inear interaction and thei
r suppression inmulti−wave
length−band WDM transmissi
on systems”、IEEE Journal o
f LightwaveTechnology、vol.
17、November、1999)に記載されている。
この方法によると、FWMによる伝送品質劣化が予想さ
れる信号光に対しては、それぞれの波長間隔が不等間隔
になるように配置したり、一本の光ファイバ中を互いに
逆向きに伝搬させることにより発生する非線形相互作用
が低減するように設計する。これによって、前述の非線
型効果による伝送特性劣化のうち、特にFWMに起因す
るものが最小化されることが記載されている。また、特
開平8−97771には伝送ファイバの波長分散値が適
当な組合わせとなるようにすることで、FWM光の発生
を低減できることが示されている。
【0011】しかしながら、これらの文献や発明に記さ
れた技術では、分布ラマン増幅用のポンプ光や光カプラ
が必要なため、システムのコストが高価なものとなる。
また、波長毎に信号光強度偏差が発生するため、OSN
Rの偏差が発生する可能性がある。さらに、文献3の不
等間隔配置法では、波長多重密度に制限を加えるため大
容量伝送には不向きであるといった問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、波長
分割多重伝送を行う光伝送装置において光ファイバ中で
発生するFWMに起因する伝送品質劣化の低減方法を提
供するとともに、波長多重密度に制限を受けない波長多
重光伝送システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明はWDM光伝送装
置において光ファイバ中で発生するFWMに起因する伝
送品質劣化を低減するため、各スパン毎の光ファイバ伝
送路で発生したFWM光強度を受信側で観測し、送信側
における当該スパンを伝送するための光出力光強度を決
定するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、FWMによる影響を説明
するための図である。横軸は周波数、縦軸は光強度を示
している。ここで、100(100−1〜5)は信号光
と雑音光の和、101(101−1〜3)は発生したF
WM光と雑音光の和、102は雑音光を示している。ま
た、信号光とそれに最も隣接して発生しているFWM光
との光強度の差分をFWMクロストークと定義する。例
えば、103は信号光と雑音光の和100−2とFWM
光と雑音光の和101−2とのFWMクロストークであ
る。
【0015】図1に示すFWM光の発生は、光ファイバ
への波長多重光の入力光強度が大きく、また波長間隔が
狭い、すなわち波長多重密度が高いほど光ファイバ伝送
後の発生が顕著となり、さらに、発生したFWM光が信
号光波長と重なると干渉雑音となる。また、発生するF
WM光は伝送ファイバの分散値に大きく依存する。
【0016】図2はFWMと伝送品質劣化との関係を示
したものであり、横軸はFWMクロストーク量、縦軸は
FWMによる受信感度劣化量を示す。ここでFWMによ
る伝送品質劣化は、信号波長の位相や偏波状態に大きく
依存し、さらに、これらは時間的に変動することもある
ため、伝送品質劣化も時間的に変動することとなる。従
って、FWMクロストーク量が一定であっても、それによ
って生じる伝送品質劣化は変動することがある。例え
ば、図2において200は受信感度劣化の最悪状態であ
り、201は最良状態である。202はあるFWMクロ
ストーク時における受信感度劣化最悪値と最良値との差
分(変動量)である。
【0017】図3はFWM発生量に影響を与える光ファ
イバの波長分散を説明するための図であり、アンプと光
ファイバによって多段構成された光伝送路と、その各部
位における光強度を模式的に示したものである。横軸は
伝搬軸方向の距離、縦軸は光強度を示している。信号光
強度300は伝送路302で失われた光強度を補償する
ために周期的に配置された光アンプ301(301−1
〜4)で光増幅される。FWM光は光ファイバの分散値
に大きく依存するが、一般的に光ファイバの分散値は伝
搬軸方向に変動する。これは、アンプ301−1と30
1−2との間隔が数百キロメートルの伝送路であって
も、実際には数キロメートルの短いファイバ302−1
〜nが多段に接続されて構成されたものが多く、その接
続された各光ファイバの特性が一様でないためである。
従って、信号光強度300がファイバ入力後次第に減衰
し、非線型効果が発生しなくなる地点310までの伝送
路の分散値を把握しておくことが望ましい。
【0018】しかし、伝搬軸方向の分散値を測定する際
に、現状では十分な精度が得られていないことや、伝搬
軸方向の分散値が把握できたとしても伝送路自体は既に
敷設されている場合が多いため、それに対してもはや有
効な対策を講じることができないこともある。
【0019】そこで本発明では、光ファイバ伝搬後に発
生するFWM光がある一定量になるように光ファイバへの
入力信号光強度を制御し、時間変動を伴ったFWMによ
る伝送品質劣化が十分小さくなるような手段を提供す
る。
【0020】図4は本発明の実施例における波長分割多
重光伝送システムの基本的な装置構成である。図4にお
いて400は送信端局、401は中継局、402は受信
端局を、また403は光ファイバ伝送路を示す。416
はシステム全体の監視や制御を行うため、別途設けられ
た監視制御装置である。本構成では、4つの波長帯域毎
(1530nm〜1545nm、1545nm〜156
0nm、1570nm〜1585nm、1585nm〜
1600nm)に別個の光アンプで増幅しており、それ
ぞれBバンド、Rバンド、L1バンド、L2バンドと称
する。また、各光アンプには、いずれもn個の別波長の
光信号が多重されて入力するものとする。送信端局40
0の光送信器405(1)〜405(n)は、それぞれBバ
ンド内の異なる波長にて光信号を送出する。送出された
光信号は波長合波器406(1)にて波長多重された後、
プリアンプ407(1)にて増幅され、波長合波器408
へ入力される。同様にして、光送信器405(n+1)〜
405(2n)から送出されたRバンドの波長信号光は波
長合波器406(2)、プリアンプ407(2)にて、ま
た、光送信器405(2n+1)〜405(3n)から送出
されたL1バンドの波長信号光は波長合波器406
(3)、プリアンプ407(3)にて、そして、L2バンド
の波長信号光は波長合波器406(4)、プリアンプ40
7(4)にて波長多重および光増幅がなされる。波長合波
器408では各プリアンプ407(1)〜407(4)から
送出された光信号を波長多重して、光ファイバ伝送路4
03(1)へ送出する。
【0021】中継局401では、入力した波長多重光を
波長分波器409にて、前記の4つの帯域(B、R、L
1、L2)へ分波し、各ラインアンプ410(1)〜41
0(4)で、帯域毎に光ファイバ403(1)における伝
送損失を補償すべく光増幅する。増幅後の光信号は波長
合波器4111にて再度波長多重され、光ファイバ伝送
路403(2)へ送出される。
【0022】この後、不図示の複数の中継局にて同様に
光増幅された後、最終スパンの光ファイバ403(N)
を経て、多重光信号は受信端局402へ到達する。受信
端局402では、入力した波長多重光を波長分波器41
2にて前記の4つの帯域(B、R、L1、L2)へ分波
した後、各ポストアンプ413(1)〜413(4)でそれ
らの帯域毎に光増幅する。増幅された光信号は、各光分
波器414(1)〜414(4)にて個々の光波長信号へ分
波された後、各々光受信器415にて受信される。
【0023】次にFWMによる伝送品質劣化を低減する
方法を図5を用いて説明する。図5は光ファイバ403
によって接続された光伝送装置401−1および401
−2内部の光アンプ410−1および410−2相互間
で行う制御方法を説明するための最小限の構成要素や信
号を簡略化して示したものである。例えば、光伝送装置
401−1と401−2および光アンプ410−1と4
10−2は、いずれもそれぞれ図4における中継局40
1および光アンプ410(1)に相当する。
【0024】なお、図5では光伝送装置401中の1つ
のアンプ410についてのみ示しているが、図4に示す
ような帯域毎に複数の個別のアンプで増幅する場合に
は、各帯域毎のアンプ相互間で以下に説明する制御機構
を有することとなる。
【0025】以下、具体的な制御方法を説明する。 (1)図2に示したような、FWMクロストークと受信
感度劣化の変動特性を予め理論的あるいは実験的に算出
しておく。なお、理論的な算出方法としては、例えば文
献4(Kyo. Inoue、“Crosstalk a
nd PowerPenalty Due to Fi
ber Four−Wave Mixing in M
ultichannel Transmission
s”、IEEE Journal of Lightw
ave Technology、vol. 12、Aug
ust、1994)等に記されたものがある。 (2)上記特性より、受信端におけるFWMクロストー
クの許容値を決定する。具体的には、FWMによる伝送
品質劣化やその時間変動を考慮した上で、許容値として
のFWMクロストークレベル203を決定する。ここで
は、図4の光受信器415各々において、例えば−30
dBと規定する。 (3)上記で規定した受信端におけるFWMクロストー
ク値(FWM(END))を中継スパン数(N)で分割
し、1スパン当たりに割り当てるFWMクロストーク値
(FWM(MID))を次の(数1)式から算出する。
【0026】
【数1】FWM(MID)=FWM(END)−10*
Log(N) (4)図5において、監視制御装置416にて算出され
た、上記の1スパン当たりに割り当てられるFWM(M
ID)504−1は、送信側装置401−1の監視制御
部404−1へFWM(MID)504−1として送信
される。 (5)受信側装置401−2では、波長多重信号光が光
ファイバ伝送路403を伝送中に発生したFWM光強度
500−2、雑音光強度501−2、信号光強度502
−2を不図示のモニタ機構にて観測し、演算器405−
2に送信する。 (6)演算器405−2では、前述の受信した観測値か
ら、次の(数2)式を用いてFWMクロストーク503
−2を算出する。
【0027】
【数2】FWMクロストーク[dB]=(信号光強度−
雑音光強度)[dBm]−(FWM光強度−雑音光強
度)[dBm] (数2)式は雑音成分を除いた信号光とFWM光の差分
をFWMクロストークとするものであるが、デシベル
[dB]計算であることに注意する必要がある。 (7)上記算出されたFWMクロストーク503−2は
監視制御部404−2を介して監視制御装置416へ送
信され、さらに送信側装置401−1の監視制御部40
4−1に対しても503−1として送信される。 (8)監視制御部404−1では、観測されたFWMク
ロストーク503−1と割り当てられたFWMクロスト
ーク504−1とを比較し、FWMクロストーク503
が許容値、すなわち割り当てられたFWMクロストーク
504−3と一致するように、アンプ410−1へ出力
レベル制御信号505−1を送出する。ここで、FWM
光の強度は、送信側における光ファイバへの入力光強度
の2乗に比例して大きくなるため、送信側アンプ410
−1の出力レベルを調整することでFWMクロストーク
504−3の値を可変制御することが可能である。
【0028】以上(1)〜(8)に説明した手段を送信
局、受信局および全ての中継局に適用することによっ
て、最終的な受信局におけるFWMクロストークを許容
値以下に抑制することが可能となる。ただし、上述の手
段は光伝送路を介して対向する装置間でのフィードバッ
ク制御を基本とするため、例えば図4に示したような波
長多重システム全体の内、一部の装置が故障等によって
動作していない場合や、あるいは伝送路で発生するFW
Mが極端に小さい、もしくは大きい場合には不安定動作
を起こすこともあり得る。
【0029】従って、通常は各アンプ410において、
それぞれ個別に出力光強度を一定とする制御を行い、F
WM光が観測された場合に上記のFWMクロストーク制
御動作へ移行するよう構成する。
【0030】また、監視制御装置416では伝送システ
ム全体の全てのアンプ410に設定される出力光強度を
監視し、その強度が予め定めた一定範囲に収まっている
ことを監視することによって、システムの動作を一層安
定化させることが可能となる。
【0031】図6は上記説明した実施例における光伝送
装置の光アンプの周辺部を詳細に示したものである。光
アンプ入力部600−1を介して受信した波長多重光
は、光カプラ610−1によって分岐され、波長解析部
680によってFWM光強度500−60、信号光強度
502−60、雑音光強度501−60が観測される。
波長解析部680は上記の各光強度を観測する市販の光
スペクトルアナライザ等を使用してもよい。
【0032】演算部690では(数2)を用いてFWM
クロストーク503−60を計算し、上流に位置する伝
送装置に対し送信される。また、通常動作においては、
エルビウムドープファイバ(EDF)等の光アンプ63
0から出力された信号光は光カプラ610−2にて分岐
された後、光電気変換器650を用いて出力光強度を示
す電気信号に変換され、その強度が予め定めた一定の値
となるように、出力光制御部655およびセレクタ66
0を介して励起ポンプレーザ640−1および640−
2へ駆動信号を送信する。励起ポンプレーザ640−1
および640−2は前記駆動信号を受け、多重部620
−1および620−2を介して光アンプ630に対して
相応の励起光を送信することで、出力光強度一定制御が
実施される。
【0033】ここで、下流側装置から、ある一定量以上
の大きさのFWMクロストーク504−60が入力され
ると、前述の出力強度一定制御からFWMクロストーク
一定制御に切り替わる。すなわち、FWMクロストーク
503−60と割り当てられたFWMクロストーク50
4−60と一致するよう、FWM制御部670からセレ
クタ660を介して励起ポンプレーザ404へ駆動信号
を送信される。励起ポンプレーザ404からは励起光が
多重部408を介して光アンプ601−10に対して入
力されることによって、前述のFWMクロストーク一定
制御が実行される。
【0034】なお、図6は励起ポンプレーザ640を光
アンプ630の前後に備えた双方向励起方法を示したも
のであるが、前後のいずれか一方に備えた前方励起ある
いは後方励起でも構わない。
【0035】また、FWMクロストークの値は、伝送路
である光ファイバで発生する量が支配的であり、光増幅
器で発生する量はほぼ無視できため、光アンプ630に
て増幅後の信号を用いても観測することが可能である。
すなわち、図7に示すように、波長解析部780および
演算部790を光アンプ730の後段に配置した構成を
採ることも可能である。
【0036】次に本実施例における各種光信号強度の具
体的な観測方法を図8を用いて説明する。図7において
800は信号光、801はFWM光、802は雑音レベ
ル、横軸は周波数、縦軸は光信号強度を表す。
【0037】FWM光は、波長多重された複数の光信号
の相互作用で発生するため、その発生個数や発生波長は
不確定である。したがって、図7に示すようにFWM光
801−2が信号光800−3と同一波長に重なり合っ
て発生すると、その存在が確認できず、当然その強度を
測定することも不可能となる。したがって、各信号光8
00を順次消光して、その際に観測されたFWM光をそ
の強度とする。
【0038】より具体的には、図4記載の光送信器40
5を順次1つずつ消光して測定を行っていく。例えば、
ある波長の信号光800−3を消光した際に観測された
FWM光801−2の強度を測定する。信号光強度80
0−3は該当光送信器を発光させることによって測定す
る。実際に観測を行う上で、信号光800−3およびF
WM光801−2の雑音成分を把握することは困難であ
るため、近似的に、例えば隣接する信号波長と1/2だ
け隔てた両側の光強度802−1および802−2を測
定し、その平均値を信号光800−3およびFWM光8
01−2の雑音光強度として読み取る。
【0039】以上のような光信号の消光によるFWM光
の観測を全ての光信号に対して順次行っていき、FWM
光が観測された際には前述の(数2)式を用いてFWM
クロストーク量を算出する。そして算出された中で最大
のFWMクロストークを対象として、前述のクロストー
ク一定制御を行う。光ファイバ入力強度を制御する際、
収容する全ての波長帯に渡って同じ量の制御(減衰、も
しくは増幅)を加えることで、波長毎の偏差が発生しな
い様に制御可能である。もしくは、予め目標となる光フ
ァイバ入力強度にセットしておき、本アルゴリズムにて
制御される量を極力少なくすることにより、制御により
発生する波長間の偏差を無視することが出来る。上記に
より、最初に最大FWMクロストークが得られる波長と
して設定した、目標波長が制御によって変わることは無
い。また、収容される波長数が十分多い(5〜6波程度
以上)状態で上記アルゴリズムに乗っ取りFWMクロス
トークを解析することで、該当チャネルを消光したこと
による影響は、その他の収容チャネルによる影響に比べ
て十分小さく、無視することが出来る。上述の観測方法
は、波長多重装置に収容している光送信器405のう
ち、特定の送信器を発光あるいは消光させる必要が有る
ため、装置を設置等(セットアップ等)する際には問題
ないが、システムとして顧客の信号を収容して稼動して
いる際には用いることができない。
【0040】次に、図9を用いて他の観測方法を説明す
る。本観測方法では、当該光アンプに収容されている波
長多重光の波長帯域910の両端に発生するFWM光9
01−1および901−2のみを観測対象とする。そし
て、それらのうち光強度の大きい方、すなわちここでは
901−2を制御対象のFWM光とする。信号光強度は
もっとも近い位置にある信号波長900−6の信号光強
度を観測する。また、雑音光強度は上記FWM光901
−2から波長多重間隔の1/2だけ隔てた両側の光強度
902−1および902−2の平均値を信号光900−
6およびFWM光901−2雑音光強度とする。
【0041】以上説明した観測方法は、一部のFWM光
のみを観測するため、FWMクロストーク一定制御にお
いて、先に説明した観測方法が、より高精度となる場合
があるものの、光送信器405を消光する手順が不要で
あるため、システム稼動状態においても実施することが
できる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、光
ファイバを用いた波長多重光伝送システムで生じるFW
Mに起因する伝送品質劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 FWM光およびFWMクロストークを説明す
るスペクトルである。
【図2】 FWMクロストークと受信感度劣化の関係を
説明する図である。
【図3】 ファイバ伝送中の光信号の伝播距離と光強度
との関係を説明する図である。
【図4】 波長多重伝送システムの一般的構成を示すブ
ロック図である。
【図5】 本発明の実施例の基本構成図である。
【図6】 本発明の実施例のにおける光アンプ周辺の構
成図である。
【図7】 本発明の実施例のにおける光アンプ周辺の構
成図である。
【図8】 本発明の実施例におけるFWMクロストーク
の観測方法を説明する図である。
【図9】 本発明の実施例におけるFWMクロストーク
の他の観測方法を説明する図である。
【符号の説明】
400・・・送信端局、401・・・中継局、402・・・受信
端局、403・・・光ファイバ伝送路、404・・・監視部、
405・・・光送信器、406・・・波長合波器、407・・・
プリアンプ、408・・・波長合波器、409・・・波長分波
器、410・・・ラインアンプ、411・・・波長合波器、4
12・・・波長分波器、413・・・ポストアンプ、414・・
・光分波器、415・・・光受信器、416・・・監視制御装
置、500・・・FWM光強度、501・・・雑音光強度、5
02・・・信号光強度、503・・・FWMクロストーク、5
04・・・許容値、600・・・光アンプ入力部および出力
部、610・・・光分岐部、620・・・光合波部、630・・
・ドープファイバ、640・・・励起ポンプレーザ、650
・・・光電気変換器、660・・・セレクタ、670・・・FW
M制御部、680・・・スペクトラム解析部、690・・・演
算部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 10/18 H04J 14/00 14/02 (72)発明者 中田 健 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所通信事業部内 (72)発明者 草野 慶将 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所通信事業部内 (72)発明者 滝沢 英一郎 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所通信事業部内 Fターム(参考) 5F072 AB09 AK06 JJ20 KK30 YY17 5K002 AA06 CA02 CA10 CA13 DA02 EA06 FA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の光ファイバから受信した波長多重光
    を増幅する光アンプと、 前記光アンプからの波長多重光の強度を制御する励起光
    源と、 前記励起光源からの励起光を前記光アンプへ入力する多
    重部と、 前記光アンプにて増幅された波長多重光を第2の光ファ
    イバへ出力する光伝送装置であって、 前記第2の光ファイバによって接続された受信側の光伝
    送装置にて観測されたFWMクロストークが予め定めた
    目標値以下となるよう、前記励起光源から出力される励
    起光の前記光アンプに対する作用量を制御することを特
    徴とする光伝送装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の光伝送装置であって、さら
    に、 前記光アンプからの波長多重光の光強度を観測するモニ
    タ部とを有し、 前記FWMクロストークが予め定めた閾値より小さい場
    合は、前記モニタ部で観測された光強度が予め定めた第
    1の目標値と一致するよう、前記励起光源から出力され
    る励起光の前記光アンプに対する作用量を制御し、 前記FWMクロストークが予め定めた閾値以上の場合
    は、予め定めた第2の目標値以下となるよう、前記励起
    光源から出力される励起光の前記光アンプへの作用量を
    制御することを特徴とする光伝送装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の光伝送装置であっ
    て、 前記励起光源は、 前記光アンプの入力側から前記光アンプへ入力される第
    1の励起光を出力する第1の励起光源と、 前記光アンプの出力側から前記光アンプへ入力される第
    2の励起光を出力する第2の励起光源とからなることを
    特徴とする光伝送装置。
  4. 【請求項4】光ファイバから受信した波長多重光のFW
    Mクロストークを観測する手段と、前記観測したFWM
    クロストークを他の装置へ送信する手段とを有すること
    を特徴とする光伝送装置。
  5. 【請求項5】請求項4記載の光伝送装置であって、 前記FWMクロストークを観測する手段は、 前記波長多重光における各波長の信号光を出力する複数
    の光送信器からの出力を順次停止させることによって当
    該信号光と同一波長域に発生したFWM光を検出し、 前記検出したFWM光の光強度と前記同一波長の信号光
    の光強度とを用いて算出したFWMクロストークのう
    ち、最大のものを前記送信の対象とすることを特徴とす
    る光伝送装置。
  6. 【請求項6】請求項4記載の光伝送装置であって、 前記FWMクロストークを観測する手段は、 前記波長多重光の波長帯域の長波長側あるいは単波長側
    の帯域外かつ最も前記波長帯域の近傍で発生したFWM
    光のうち光強度が大きい方のFWM光の光強度と、 前記波長多重された信号光のうち、前記FWM光の最も
    近傍に存在する信号光の光強度とを用いて算出したFW
    Mクロストークを前記送信の対象とすることを特徴とす
    る光伝送装置。
  7. 【請求項7】波長多重信号を増幅して光ファイバへ送信
    する第1の光伝送装置と、 前記光ファイバを介して前記波長多重信号を受信する第
    2の光伝送装置とからなる光伝送システムであって、 前記第2の光伝送装置は、前記光ファイバから受信した
    波長多重光のFWMクロストークを観測する手段と、 前記観測したFWMクロストークを他の監視制御装置へ
    送信する手段とを有するものであり、 前記第1の光伝送装置は、 前記波長多重光を増幅する光アンプと、 前記光アンプからの波長多重光の強度を制御する励起光
    源と、 前記励起光源からの励起光を前記光アンプへ入力する多
    重部と、 前記光アンプにて増幅された波長多重光を前記光ファイ
    バへ出力する光伝送装置であって、 前記第2の光伝送装置にて観測されたFWMクロストー
    クを前記監視制御装置を介して受信し、その値が予め定
    めた目標値以下となるよう、前記励起光源から出力され
    る励起光の前記光アンプに対する作用量を制御すること
    を特徴とする光伝送システム。
  8. 【請求項8】請求項7記載の光伝送システムであって、 前記第1の光伝送装置は前記光アンプからの波長多重光
    の光強度を観測するモニタ部を有し、 前記受信したFWMクロストークが予め定めた閾値より
    小さい場合は、前記モニタ部で観測された光強度が予め
    定めた第1の目標値と一致するよう、前記励起光源から
    出力される励起光の前記光アンプに対する作用量を制御
    し、 前記FWMクロストークが予め定めた閾値以上の場合
    は、予め定めた第2の目標値以下となるよう、前記励起
    光源から出力される励起光の前記光アンプへの作用量を
    制御することを特徴とする光伝送システム。
  9. 【請求項9】光ファイバによって接続された伝送装置間
    で波長多重信号の送受信を行う伝送方法であって、 受信側の伝送装置において前記波長多重光のFWMクロ
    ストークを観測するステップと、 前記観測したFWMクロストークを送信側の伝送装置に
    送信するステップと、 送信側の伝送装置において前記FWMクロストークが予
    め定めた目標値以下となるよう、光アンプから前記光フ
    ァイバへ出力される波長多重光の強度を調整するステッ
    プとからなることを特徴とする波長多重信号の伝送方
    法。
  10. 【請求項10】光ファイバによって接続された伝送装置
    間で波長多重信号の送受信を行う伝送方法であって、 受信側の伝送装置において前記波長多重光のFWMクロ
    ストークを観測するステップと、 前記観測したFWMクロストークを送信側の伝送装置に
    送信するステップと、 送信側の伝送装置において前記FWMクロストークと予
    め定めた閾値と比較するステップと、 前記比較した結果、前記FWMクロストークが前記閾値
    以上の場合に予め定めた第1の目標値以下となるよう、
    光アンプから前記光ファイバへ出力される波長多重光の
    強度を調整するステップと、 前記比較した結果、前記FWMクロストークが前記閾値
    より小さい場合に、光アンプから前記光ファイバへ出力
    される波長多重光の強度を予め定めた目標値となるよう
    調整するステップとからなることを特徴とする波長多重
    信号の伝送方法。
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