JP2003234083A - ショートアーク型放電灯の電極およびその電極製造方法ならびにショートアーク型放電灯 - Google Patents
ショートアーク型放電灯の電極およびその電極製造方法ならびにショートアーク型放電灯Info
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Abstract
され、また、電極の再結晶化を抑制し、かつ、照度維持
率に優れたショートアーク型放電灯の電極およびその電
極製造方法ならびにショートアーク放電灯を提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】 発光管1内に水銀と希ガスを封入して用
いるショートアーク型放電灯20における前記発光管内
に対向して配置される陰極3および陽極4からなる電極
において、前記電極は、その陰極または陽極の少なくと
も一方が製造時の真空中の熱処理温度をTとし、その陰
極または陽極として用いられる金属の融点をMPとした
とき、2300℃≦T<MPの温度範囲において真空中
で熱処理されたことを特徴とするショートアーク型放電
灯の電極として構成した。
Description
ことでワークに所定パターンを形成するために用いられ
るショートアーク型放電灯の電極およびその電極製造方
法ならびにショートアーク型放電灯に関するものであ
る。
長の紫外線を照射して所定パターンを形成することで半
導体集積回路(IC)等を製造するために用いられる露
光装置は、光源としてショートアーク型放電灯が使用さ
れている。
中でもi線(中心波長365nm)の照射をワークに対
して効率的に行うことができるものが使用されている。
そして、IC技術の進歩は極めて早いので、IC製造に
は設備投資が大きく、かつ、価格競争が極めて激しい。
したがって、製造コストの抑制がICメーカの成功には
不可欠であり、IC製造工程で使用される消耗品である
ショートアーク型放電灯についても、長寿命化によるコ
スト低減の要求が厳しくなっている。
積化に伴って、露光時の解像度の要求も高くなってい
る。さらに、ワークを構成するウエハーの大口径化もあ
って、露光面積も大きくなり、あるいは高解像度達成の
ために利用されている光学系の構造上、光源から照射さ
れる紫外線放射量の増加が要求されている。
あるいはその電極の構造は、その照射する光線の高安定
度、かつ、長寿命となるように様々なものが提案されて
いる。なお、ショートアーク型放電灯を長寿命化、およ
び、高安定度を維持させるためには、その電極形状や電
極処理方法を改善することにより電極の消耗を低減させ
ることで、照度維持率の低下抑制に効果が有ることが知
られている。
状には、特公昭39−11128号公報に記載されてい
る点灯中の温度低下(放熱効果の向上)を狙ったヒート
シンク構造(表面積増加)が提案されている。また、特
許第2601435号公報に記載されている電極表面に
炭化タンタルとタングステンの混合物からなる多孔質層
を形成する方法や、さらに、特許第2915368号公
報に記載されている微粒子状タングステン焼結層を形成
する方法等が提案されている。
光源を得るため、例えば、特開2001−135274
号公報に開示されているように、希ガスとして高分子量
の希ガスに体積比で約5%〜40%の低分子量の希ガス
を混合し、これらの混合ガスの常温における圧力を2気
圧以上としたショートアーク型放電灯が提案されてい
る。
封入するための圧力が2気圧未満のショートアーク型放
電灯に比べ、放射輝度が非常に高いため、陽極先端部が
えぐれてしまうほど著しく消耗する。そして、ランプ入
力の高入力化に伴い、ランプ電流の増大による消耗も著
しい。そのため、ショートアーク型放電灯内のガス対流
を考慮し電極の温度分布を最適化するための電極形状の
設計も近年取り入れられている。
造時における処理方法においては、電極表面の酸化膜層
の除去を目的とした水素中の熱処理(還元作用)や、ま
た、電極内部のガス出しを目的とした高真空中での熱処
理が行われている。特に、高真空中での熱処理はその温
度がタングステンの再結晶化(結晶粒成長)の進行に影
響し、これまでは1600〜2200℃で行っていた。
ショートアーク型放電灯の電極ならびにショートアーク
型放電灯は、さらに改良する余地が存在した。すなわ
ち、従来のショートアーク型放電灯およびその電極は、
高真空中での熱処理温度がタングステンを主成分とする
金属の再結晶化(粒成長)の進行に影響し、これまでは
1600〜2200℃で行っていたが、特にアーク領域
で最も輝度が高い位置(輝点)となる陰極先端部は、約
2400〜2700℃またはそれ以上にも達しているた
め、製造時の熱処理温度が1600〜2200℃では電
極の消耗が促進されてしまった。
おいて、陰極および陽極が約2400〜2700℃に達
してしまうと、その陰極および陽極の再結晶化が促進さ
れることにより、結晶間等に存在した不純物が放出され
て発光管内の黒化を促進させてしまった。
電極は、陽極の先端部の構造が平坦形状又は膨出形状と
して形成されていることから、圧力が高くかつ高温状態
となっている発光管内において、陰極から放出される電
子の衝突により陽極の消耗が激しくなってしまった。
もので、高圧力及び高温であっても電極の消耗が抑制さ
れ、また、電極の再結晶化を抑制し、かつ、照度維持率
に優れたショートアーク型放電灯の電極およびその電極
製造方法ならびにショートアーク放電灯を提供すること
を目的とする。
ーク型放電灯の電極は、前記の問題を解決するため、つ
ぎのように構成した。すなわち、発光管内に水銀と希ガ
スを封入して用いるショートアーク型放電灯における前
記発光管内に対向して配置される陰極および陽極からな
る電極において、前記電極は、その陰極または陽極の少
なくとも一方が製造時の真空中の熱処理温度をTとし、
その陰極または陽極として用いられる金属の融点をMP
としたとき、2300℃≦T<MPの温度範囲において
真空中で熱処理されたショートアーク型放電灯の電極と
した。
トアーク型放電灯の電極は、点灯時にアーク領域で最も
輝度が高い位置(輝点)となる陰極先端部が、約240
0〜2700℃に達しても、陰極または陽極の少なくと
も一方が、点灯中に達する温度に対応した温度範囲で製
造時に熱処理されているため、再結晶化が最小限に抑制
される。
において、前記熱処理は、前記金属における所定の平均
金属結晶粒径を形成するのに十分な時間行われる構成と
した。このように構成されることにより、ショートアー
ク型放電灯の電極は、点灯中の高温時においても電極の
平均金属結晶粒径が安定する。なお、所定の平均金属結
晶粒径を形成するのに十分な時間とは、所定の材料から
構成された電極に対して、予備実験等により見出されて
いる所定温度で熱処理した場合、放電灯の点灯時に再結
晶されにくい安定した状態を維持できる時間である。
て用いるショートアーク型放電灯における前記発光管内
に対向して配置される陰極および陽極からなる電極の製
造方法において、前記陰極および前記陽極として用いら
れる金属に対して、目的とする平均金属結晶粒径に応じ
て、その陰極または陽極の少なくとも一方が製造時の真
空中の熱処理温度をTとし、その陰極または陽極として
用いられる金属の融点をMPとしたとき、2300℃≦
T<MPの温度範囲において真空中で熱処理されるショ
ートアーク型放電灯の電極製造方法とした。
トアーク型放電灯の電極製造方法は、陰極および陽極と
して用いられる金属に対して、目的とする平均金属結晶
粒径に応じて、2300℃≦T<MPの温度範囲におい
て真空中で熱処理を行っているため、陰極および陽極と
して用いられた金属中に含まれている不純物を製造時に
排除することができる。
電灯として次のように構成した。すなわち、発光管内に
陰極及び陽極を対向して配置し、前記発光管内に水銀と
希ガスを封入したショートアーク型放電灯において、前
記陰極または前記陽極の少なくとも一方が、製造時の真
空中の熱処理温度をTとし、前記陰極または前記陽極に
用いられる金属の融点をMPとしたとき、2300℃≦
T<MPの温度範囲において真空中で熱処理された構成
とした。
トアーク型放電灯は、所定温度範囲により陰極または陽
極の少なくとも一方が、真空中で所定温度範囲内で熱処
理されているため、点灯中にその陰極または陽極あるい
は両極が、アーク放電および希ガスの封入圧力等の影響
により再結晶化することに対して最小限となる。
て、前記熱処理は、前記金属における所定の平均金属結
晶粒径を形成するのに十分な時間行われる構成とした。
このように構成されることにより、ショートアーク型放
電灯は、平均金属結晶粒径が安定し、点灯時に陰極およ
び陽極に対して熱により再結晶化することを防止し、ま
た、消耗を最小限として安定した光照射を行うことが可
能となる。
て配置し、前記発光管内に水銀と希ガスを封入したショ
ートアーク型放電灯において、前記希ガスとして高分子
量の希ガスに体積比で5%〜40%の低分子量の希ガス
を混合し、これら希ガスの常温における圧力を2気圧以
上とし、前記陽極は、前記陰極に対向する先端部に凹部
を設け、前記凹部が陽極と陰極とを結ぶ中心線の周りに
形成された回転面とし、前記陰極または前記陽極の少な
くとも一方は、それぞれの製造時の真空中の熱処理温度
をTとし、その陰極または陽極として用いられる金属の
融点をMPとしたとき、2300℃≦T<MPの温度範
囲において真空中で熱処理されたショートアーク型放電
灯として構成した。
トアーク型放電灯は、比較的低分子量である希ガスの熱
伝導率が、高分子量の希ガスに対して高いことにより、
複数の希ガスの常温での封入圧力が2気圧以上となった
とき、高分子量の希ガスに体積比で5%〜40%の低分
子量の希ガスを混合して照度を向上させることが可能と
なる。さらに、ショートアーク型放電灯は、陰極から陽
極の凹部に向かって放射される電子に対して消耗するこ
とを最小限に抑制することが可能となる。
て、前記高分子量の希ガスは、キセノン、クリプトン、
アルゴンの少なくとも1種又はこれらの混合ガスとし、
また、前記低分子量の希ガスは、ヘリウム、ネオンの少
なくとも1種又はこれらの混合ガスとすると都合がよ
い。
いて、前記陰極の先端部を点電荷Qとしたとき、陽極の
先端部における電界の強さをEとし、電極間の距離をX
とし、誘電率ε0としたとき、E=Q/(4πε0X2)
で示し、前記陽極の凹部における電界の強さEを均等に
近づける前記回転面として形成したショートアーク型放
電灯の構成とした。
トアーク型放電灯は、陰極からの電子を受け取る陽極の
凹部の各点において、電界の強さを近づけるようにな
り、その凹部の電流密度が分散される。
面を参照して説明する。図1(a)はショートアーク型
放電灯の形状を断面にして模式的に示す側面図、(b)
はショートアーク型放電灯の電極構成を模式的に示す一
部破断した側面図、(c)は陽極の凹部の構成を示す側
面図である。
灯20は、石英ガラスなどの紫外線透過部材により形成
された発光管1の内部に対向して配置させた陰極2およ
び陽極3と、この陰極2および陽極3のそれぞれを支持
する内部リード棒4,5と、この内部リード棒4,5の
後部側に接続された金属箔8,9と、この金属箔8,9
の後部側に接続される外部リード棒10,11とを備え
ており、内部リード棒4,5、金属箔8,9および外部
リード棒10,11の位置を発光管1の封止部6,7お
よび口金(図示せず)により封止して構成されている。
両方の素材がタングステンの単体で形成される場合や、
タングステン合金により形成されている。この陰極2と
陽極3の少なくとも一方がタングステン合金で形成され
る場合は、例えば、タングステン粉末に所定量のカリウ
ム粉末を添加して焼結して製造するものや、また、タン
グステン粉末に所定量のトリウム粉末を添加して焼結す
るものや、あるいは、タングステン粉末に所定量のカリ
ウム粉末およびトリウム粉末を添加して焼結するもの等
がある。
は、製造時に真空中の熱処理温度をTとし、それぞれの
金属の融点をMPとしたとき2300℃≦T<MPの温
度範囲内において高真空中で熱処理されており、ここで
は、一例として、2300〜2900℃としており、好
ましくは2400〜2900℃としている。ショートア
ーク型放電灯20の構成によっては、陰極2または陽極
3の熱処理温度が2300℃を超えた場合、あるいは、
2400℃を超えた場合であると、点灯中に再結晶化が
最小限とすることができる。なお、ここで真空中とは、
133×10-3(Pa)〜133×10-6(Pa)の範
囲としている。
一方の熱処理時間としては、前記温度範囲において適宜
選択して決められる。なお、好ましくは、熱処理時間
は、5分から180分としている。熱処理時間が5分未
満である場合は、熱処理温度が2300℃から2900
℃であっても、ショートアーク型放電灯20を点灯させ
た際に、陰極2あるいは陽極3に使用されている金属が
再結晶化(結晶粒成長)する可能性が高く、この再結晶
化のときに放出される含有ガスにより発光管1内の黒化
が促進されてしまう。また、熱処理時間が180分を超
えた場合は、熱処理温度が2300℃から2900℃の
とき、その熱処理温度において平均金属結晶粒径の安定
性および含有ガスの除去に関して飽和状態となる。
よび陽極3として選択される金属に対して、目的とする
平均金属結晶粒径に応じて、前記温度範囲(2300℃
≦T<MP)内において、真空中で熱処理してその陰極
2および陽極3を構成している。なお、所定の平均金属
結晶粒径を形成するのに十分な時間は、用いられる金属
から構成された電極に対して、予備実験等により見出さ
れている所定温度で熱処理した場合、放電灯の点灯時に
再結晶されにくい安定した状態を維持できる時間であ
る。
一方の熱処理時間としては、前記温度範囲において適宜
選択して決められ、陰極2または陽極3を構成する金属
(タングステンまたはその合金)の種類および初期粒径
に依存して適宜選択される。ここでは熱処理時間として
5分から180分の範囲としている。熱処理時間が5分
未満である場合は、熱処理温度が2300℃から290
0℃であっても、ショートアーク型放電灯20を点灯さ
せた際に、陰極2あるいは陽極3に使用されている金属
が再結晶化(結晶粒成長)する可能性が高く、この再結
晶化のときに放出される含有ガスにより発光管1内の黒
化が促進されてしまう。また、熱処理時間が180分を
超えた場合は、熱処理温度が2300℃から2900℃
のとき、その熱処理温度において平均金属結晶粒径の安
定性および含有ガスの除去に関して飽和状態となる。
少なくとも一方の熱処理時間としては、処理しようとす
る陰極2または陽極3を構成する金属を用いた予備デー
タ(予備実験)を参酌して定めている。
ないし図5で示す、陰極2または陽極3を構成する金属
と、熱処理温度、および平均結晶粒径の関係についての
情報を備えていれば良い。なお、熱処理時間についての
数値が分かっていればさらに適切な陰極2または陽極3
を構成することができる。このような図2ないし図5の
予備データがあれば、平均金属結晶粒径の安定している
状態の熱処理温度(さらに時間)から適切な陰極2ある
いは陽極3を構成することができる。
は陽極3に対して、製造時の真空中での熱処温度が高
く、かつ熱処理時間が長い場合は、陰極2および陽極3
の平均金属結晶粒径が成長して安定した粒径となると共
に、素材が含有している含有ガスを熱処理中に放出す
る。そのため、ショートアーク型放電灯20として点灯
している際には、陰極2および陽極3により予期しなか
った含有ガスを放出することがなく、所定の照度維持率
を保ちながら所定時間点灯することができる。
グステン(W)、タングステンにカリウム(K)をドー
ピングしたもの、あるいは、タングステンにトリウム
(Th)をドーピングした素材、さらに、タングステン
にカリウムとトリウムをドーピングした素材とした場合
を例に挙げて説明したが、もちろん、タングステンに他
の組成がドーピングあるいは焼結または鋳造、鍛造して
形成されてても構わず、前記した陰極2または陽極3の
少なくとも一方を高真空中で熱処理する工程を行うこと
で陰極2および陽極3が安定した状態となる。
に、陰極2と、陽極3との距離は、ショートアーク型放
電灯20において発光管内では、例えば、5.5mmと
しており、陰極2と対面する陽極3の所定位置に凹部3
Aが形成されている。この陽極3に形成されている凹部
3Aは、陰極2の先端からの距離がその凹部3Aの曲面
における各ポイントP0、P1…において、等距離X0,
X1…となるように形成されている。
き、陽極3の先端部における電界の強さをEとし、電極
間の距離をXとし、誘電率ε0としたとき、E=Q/
(4πε0X2)で示し、前記陽極の凹部における各点で
の電界の強さEを均等に近づけるように、その陽極3の
凹部3Aの曲面を回転面として形成しても構わない。こ
の凹部3Aの回転面形状は、円弧の一部となる形状や、
また、楕円の一部となる形状や、さらに、放物線の一部
となる形状等であってもよい。
陰極2から電子が送られたときに、電界Eの強さが均等
あるいは均等に近いため、凹部3A面での電流密度が均
等になり、その陽極3の消耗を最小限に抑えることが可
能となる。なお、電界の強さEを均等に近づけるとき、
陰極2から陽極3の凹部3A面までの距離Xが等しい状
態となる場合もある。
発光管1内に水銀および希ガスとして、キセノン、アル
ゴン、クリプトンのような比較的高分子量の希ガスと、
ネオンまたはヘリウムのような比較的低分子量の希ガス
を体積比で5〜40%混合して混合希ガスが収納されて
いる。そして、前記混合希ガスは、常温における圧力を
2気圧以上で封入されており発光率を高くし、照度安定
性を良くしている。この希ガスの種類についての一例
は、表1に示す。
20は、陽極3を上にして垂直方向に配置し、ランプ入
力電力として3500Wで点灯している。もちろん、シ
ョートアーク型放電灯20の点灯姿勢およびランプ入力
電力は、特に限定されるものではない。
なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
また、予備実験としてここでは、図2ないし図5に示す
ように、試料1から試料4までのデータを揃えた。
テン)、試料2(タングステンにトリウムを2質量パー
セント添加)、試料3(タングステンに30ppmのカ
リウム添加)、試料4(タングステンにトリウムを2質
量パーセントと30ppmのカリウム添加)(φ20×
30mm)を洗浄(メタノール超音波洗浄15分×2
回)、水素処理(1000℃×30分)、および高温真
空処理を行った。高温真空処理は、1600℃、190
0℃、2200℃、2500℃、2700℃でそれぞ
れ、15分、60分、180分加熱した。加熱速度は2
0℃/分とした。なお、真空度は、133×10-3(P
a)〜133×10-6(Pa)の範囲で行った。
ロスコープ、VH−6300(株式会社キーエンス製)
と、走査電子顕微鏡(SEM)、DX−700(株式会
社トプコン製)と、高温真空炉(大亜真空株式会社製)
と、ダイヤモンドカッター、MC−122(株式会社マ
ルトー製)を用いた。
ついて、ダイヤモンドカッターで30mmの中央から切
断した横断面と、直径方向に切断した縦断面において、
SEMにより観察して横断面での結晶粒径を測定した。
なお、平均金属結晶粒径は、その横断面において任意に
選択した5つの結晶粒の平均値を取った。
以下に説明する。図2に示すように、試料1の場合で
は、0.125mm以上で0.185mm以下であるこ
と、あるいは下限値が0.13mm以上とする平均金属
結晶粒径であると都合がよい。この平均金属結晶粒径
は、0.125mm未満であると、点灯中の熱により再
結晶化が起こりやすい状態となり、所定の照度維持率を
保ちながら所定時間点灯することができなくなる。ま
た、平均金属結晶粒径は、0.185mmを超えて大き
くなってもその平均金属結晶粒径が飽和状態に近くな
る。なお、平均金属結晶粒径が0.13mm以上である
場合は、熱処理温度が2400℃以上となり、点灯中に
高温となる両極2,3の再結晶化がさらに起こりにくい
状態となる。
は、0.035(あるいは0.04)mm以上で0.0
6mm以下の平均金属結晶粒径であると都合がよい。こ
の平均金属結晶粒径は、0.035mm未満であると、
点灯中の熱により再結晶化が起こりやすい状態となり、
所定の照度維持率を保ちながら所定時間点灯することが
できなくなる。また、平均金属結晶粒径は、0.06m
mを超えて大きくなった場合、その平均金属結晶粒径が
熱に対して安定して飽和状態に近くなる。
では、平均金属結晶粒径は、0.145mm以上で0.
18mm以下であると都合がよい。この平均金属結晶粒
径は、0.145mm未満であると、点灯中の熱により
再結晶化が起こりやすい状態となり、所定の照度維持率
を保ちながら所定時間点灯することができなくなる。ま
た、平均金属結晶粒径が、0.18mmを超えて大きく
なった場合、その平均金属結晶粒径が熱に対して安定し
て飽和状態に近くなる。
では、0.09mm以上で0.14mm以下の平均金属
結晶粒径であると都合がよい。この平均金属結晶粒径
は、0.09mm未満であると、点灯中の熱により再結
晶化が起こりやすい状態となり、所定の照度維持率を保
ちながら所定時間点灯することができなくなる。また、
平均金属結晶粒径が、0.14mmを超えて大きくなっ
た場合、その平均金属結晶粒径が熱に対して安定して飽
和状態に近くなる。
持率について実験を行った。なお、電極は、陰極および
陽極の両者と、陰極と陽極の少なくとも一方について照
度維持率を測定した。
ク型放電灯の構成は、水銀量が、4.5mg/ccと
し、また、封入した希ガスとして高分子量のArと、低
分子量のNeを体積比で40パーセント混合して封入し
た。また、陰極および陽極の距離を5.5mmとし、ラ
ンプ入力を3500Wで点灯させた。なお、試料4から
陰極を構成し、試料3から陽極を構成し、それぞれ23
00℃で真空中で熱処理した(試料4は、タングステン
に、トリウムを2質量パーセントと、カリウムを30p
pm添加、試料3はタングステンにカリウムを30pp
m添加)。そして、陽極は、図1(c)に示すように、
端面D1の直径は8mmとし、球面状の凹部の直径D2
の直径は6mmとし、その凹部の深さ1mmとした。
処理温度(℃)と、陽極先端部の凹部と、封入ガスの種
類と気圧と、Neの体積比とを特定してショートアーク
型放電灯を構成した。また、図6に示すように、照度維
持率と点灯時間(750時間)について測定した。照度
は、ショートアーク型放電灯からIC露光装置の露光面
となる位置に照度計を配置してi線(中心波長365n
m)の紫外線の初期における照度およびその照度安定性
を測定した。なお、照度安定度は、「0」に近い数値が
安定度について高いといえる。
端部に凹部を設けたランプA4〜A6は、陽極先端部に
凹部が無いランプA1〜A3と比較して、封入ガス圧に
対する照度、照度安定性の傾向が同等であることが確認
された。また、図6に示すように、ランプA4〜A6
は、ランプA1〜A3と比較して、約10%の照度維持
率の向上が見られた。
は、陽極、陰極の高真空中の熱処理温度を共に2100
℃としている。そして、ランプB1〜B6は、陽極、陰
極のいずれか一方について高真空中の熱処理温度を23
00℃、2500℃、2700℃で熱処理し、陽極の凹
部が無い状態としてショートアーク型放電灯を構成し
た。なお、ランプB1〜B3は、陰極についてのみ高真
空中で300℃、2500℃、2700℃で熱処理し、
また、ランプB4〜B6は陽極についてのみ高温真空中
で300℃、2500℃、2700℃で熱処理した。さ
らに、表3にないショートアーク型放電灯の他の構成
(水銀封入量等)は、前記した構成と同じである。
B1〜B6は、照度、照度安定性は同等であることが示
されている。また、図7に示すように、照度維持率は、
基準ランプBに比較して、ランプB1〜B3が約3〜5
%向上していることが示されている。さらに、図8に示
すように、照度維持率は、基準ランプBに比較して、ラ
ンプB4〜B6が約2〜3%向上していることが示され
ている。
表4に示す構成のランプCとしたもで、図9に示すよう
に、照度維持率を測定した。なお、表4にないショート
アーク型放電灯の他の構成(水銀封入量等)は、前記し
た構成と同じである。
約16%の照度維持率の向上が確認された。なお、本実
施例では、図6ないし図9に示す電極に対する熱処理時
間は60分として行ったが、これに限定されるものでは
ない。また、陰極に対して試料4を用い、陽極に対して
試料3を用いたが、他の試料あるいは他のタングステン
合金を試料として予備データを揃えて用いても構わな
い。
め以下の優れた効果を奏する。 (1)ショートアーク型放電灯の電極は、製造時の真空
中の熱処理温度を2300℃あるいは2400℃から、
用いられる金属の融点までの温度範囲において熱処理し
ているため、ショートアーク型放電灯に用いた場合、点
灯時に電極が高温になっても、再結晶化されることおよ
び消耗されることを最小限に抑えることができ、所定の
照度維持率を所定時間において保つことができる。
製造時の真空中での熱処理が、用いられる金属における
所定の平均金属結晶粒径を形成するのに十分な時間行わ
れる。そのため、真空中での熱処理温度、平均金属結晶
粒径、金属成分を示す予備実験によるデータを有するこ
とで、ショートアーク型放電灯の高い封入圧力における
環境での電極の再結晶化および消耗を最小限に抑えるこ
とのできるショートアーク型放電灯を製造できる。
入圧力においても、陰極または陽極の少なくとも一方が
製造時の真空中の熱処理温度を2300℃あるいは24
00℃から、用いられる金属の融点までの温度範囲にお
いて熱処理していることと共に、陽極に凹部を備えてい
るため、所定の照度維持率を所定時間において保つこと
が可能となる。なお、陰極または陽極の両方を所定温度
範囲で熱処理することにより、さらに高い照度維持率を
保つことができる。
以上の高圧力の状態で、封入される希ガスを高分子量と
低分子量の希ガスを所定の割合で用いているため、発光
効率が高く、照度安定性が良く、照度維持率を改善する
ことができる。なお、陽極に凹部を設け、その凹部面が
受ける電解の強さを均等に近づけるようにすることによ
り、電極の消耗を抑制して、更に発光効率が高く、照度
安定性が良く、照度維持率を改善することができる。
の形状を断面にして模式的に示す側面図、(b)はショ
ートアーク型放電灯の電極構成を模式的に示す一部破断
した側面図,(c)は陽極の凹部の構成を示す側面図で
ある。
平均金属結晶粒径と熱処理温度の関係を示すグラフ図で
ある。
平均金属結晶粒径と熱処理温度の関係を示すグラフ図で
ある。
平均金属結晶粒径と熱処理温度の関係を示すグラフ図で
ある。
平均金属結晶粒径と熱処理温度の関係を示すグラフ図で
ある。
持率と点灯時間の関係を示すグラフ図である。
持率と点灯時間の関係を示すグラフ図である。
持率と点灯時間の関係を示すグラフ図である。
持率と点灯時間の関係を示すグラフ図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 発光管内に水銀と希ガスを封入して用い
るショートアーク型放電灯における前記発光管内に対向
して配置される陰極および陽極からなる電極において、 前記電極は、その陰極または陽極の少なくとも一方が製
造時の真空中の熱処理温度をTとし、その陰極または陽
極として用いられる金属の融点をMPとしたとき、23
00℃≦T<MPの温度範囲において真空中で熱処理さ
れたことを特徴とするショートアーク型放電灯の電極。 - 【請求項2】 前記熱処理は、前記金属における所定の
平均金属結晶粒径を形成するのに十分な時間行われるこ
とを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電
灯の電極。 - 【請求項3】 発光管内に水銀と希ガスを封入して用い
るショートアーク型放電灯における前記発光管内に対向
して配置される陰極および陽極からなる電極の製造方法
において、 前記陰極または前記陽極として選択される金属に対し
て、目的とする平均金属結晶粒径に応じて、その陰極ま
たは陽極の少なくとも一方が製造時の真空中の熱処理温
度をTとし、その陰極または陽極として用いられる金属
の融点をMPとしたとき、2300℃≦T<MPの温度
範囲において真空中で熱処理されることを特徴とするシ
ョートアーク型放電灯の電極製造方法。 - 【請求項4】 発光管内に陰極及び陽極を対向して配置
し、前記発光管内に水銀と希ガスを封入したショートア
ーク型放電灯において、 前記陰極または前記陽極の少なくとも一方が、製造時の
真空中の熱処理温度をTとし、前記陰極または前記陽極
に用いられる金属の融点をMPとしたとき、2300℃
≦T<MPの温度範囲において真空中で熱処理されたこ
とを特徴とするショートアーク型放電灯。 - 【請求項5】 前記熱処理は、前記金属における所定の
平均金属結晶粒径を形成するのに十分な時間行われるこ
とを特徴とする請求項4に記載のショートアーク型放電
灯。 - 【請求項6】 発光管内に陰極及び陽極を対向して配置
し、前記発光管内に水銀と希ガスを封入したショートア
ーク型放電灯において、 前記希ガスとして高分子量の希ガスに体積比で5%〜4
0%の低分子量の希ガスを混合し、これら希ガスの常温
における圧力を2気圧以上とし、 前記陽極は、前記陰極に対向する先端部に凹部を設け、
前記凹部が陽極と陰極とを結ぶ中心線の周りに形成され
た回転面とし、 前記陰極または前記陽極の少なくとも一方は、製造時の
真空中の熱処理温度をTとし、その陰極または陽極とし
て用いられる金属の融点をMPとしたとき、2300℃
≦T<MPの温度範囲において真空中で熱処理されたこ
とを特徴とするショートアーク型放電灯。 - 【請求項7】 前記高分子量の希ガスは、キセノン、ク
リプトン、アルゴンの少なくとも1種又はこれらの混合
ガスとし、 前記低分子量の希ガスは、ヘリウム、ネオンの少なくと
も1種又はこれらの混合ガスとしたことを特徴とする請
求項6に記載のショートアーク型放電灯。 - 【請求項8】 前記陰極の先端部を点電荷Qとしたと
き、陽極の先端部における電界の強さをEとし、電極間
の距離をXとし、誘電率ε0としたとき、E=Q/(4
πε0X2)で示し、前記陽極の凹部における電界の強さ
Eを均等に近づける前記回転面として形成したことを特
徴とする請求項6または請求項7に記載のショートアー
ク型放電灯。
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