JP5613861B2 - 固体電解コンデンサの陽極体 - Google Patents

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Description

本発明は、タングステン粉を焼結し焼結体とするコンデンサの陽極体、その製造方法、及び前記陽極体を用いた固体電解コンデンサに関する。
携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器の形状の小型化、高速化、軽量化に伴い、これらの電子機器に使用されるコンデンサは、より小型で軽く、より大きな容量、より低いESR(等価直列抵抗)が求められている。
電解コンデンサは、導電体(陽極体)を一方の電極とし、その電極の表層に形成した誘電体層とその上に設けられた他方の電極(半導体層)とで構成される。このようなコンデンサとしては、陽極酸化が可能なタンタルなどの弁作用金属粉末の焼結体からなるコンデンサの陽極体を陽極酸化して、この電極の細孔内層と外表層に前記金属の酸化物からなる誘電体層を形成し、前記誘電体層上で半導体前駆体(導電性重合体用のモノマー)の重合を行って導電性高分子からなる半導体層を形成し、さらに半導体層上の所定部上に電極層を形成した電解コンデンサが提案されている。
弁作用金属としてタングステンを用い、タングステン粉の焼結体を陽極体とする電解コンデンサは、同一粒径のタンタル粉を用いた同体積の陽極体、同化成電圧で得られる電解コンデンサに比較して、大きな容量を得ることができるが、漏れ電流(LC)が大きく電解コンデンサとして実用に供されなかった。このことを改良するために、タングステンと他の金属との合金を用いたコンデンサが検討されているが漏れ電流は幾分改良されるものの十分ではなかった(特開2004−349658号公報(US6876083);特許文献1)。
特許文献2(特開2003−272959号公報)には、WO3、W2N、WN2から選択される誘電体層が形成されたタングステン箔の電極を用いたコンデンサが開示されているが、前記漏れ電流について解決したものではない。
また、特許文献3(国際公開第2004/055843号パンフレット(US7154743))には、タンタル、ニオブ、チタン、タングステンから選択される陽極を用いた電解コンデンサを開示しているが、明細書中にタングステンを用いた具体例の記載はない。
また、ケイ素化タングステン粉の焼結体の造粒粉にカリウムをドープする本発明の好ましい態様に関連する先行技術として、白熱ランプフィラメント用のタングステン線材において、タングステン線の耐クリープ性のためのカリウムを添加したタングステン線材の製造法が開示され、そのときの焼結助剤として珪素とアルミニウムを焼結後100ppm未満加えることが記載されている(特開2003−105412号報(US6478845);特許文献4)。
特開2004−349658号公報 特開2003−272959号公報 国際公開第2004/055843号パンフレット 特開2003−105412号公報
そこで、本発明者らは先に、タングステン粉の焼結体を陽極体とする電解コンデンサにおける漏れ電流(LC)の問題を解消し得るタングステン粉として、ケイ素含有量が特定の範囲となるように表面の一部をケイ素化タングステンとしたタングステン粉、それを焼結してなるコンデンサの陽極体、及びその陽極体を電極として用いた固体電解コンデンサを発明し、特許出願している(国際公開第2012/086272パンフレット)。
このタングステン粉焼結体(陽極体)を用いて固体電解コンデンサを作製する場合には、タングステンの造粒粉とリード線とからリード線が植立した成形体を作製した後、成形体を真空下で加熱して焼結体とするが、焼結体のリード線が植立した面及び前記植立面に垂直な面の植立面に近い部分に、割れ、ヒビ及び/または欠け(以下、外観不良と称す。)が発生することがある。
このような不良品は、その焼結体を陽極体として固体電解コンデンサを作製した場合に容量の減少やLCの不良を発生させる。この対策として焼結温度を上げて焼結体の密度を大きくすると外観不良の発生確率は減少するが、焼結体内の空隙(細孔)が小さくなる。その結果、密度が大きい焼結体を陽極として細孔表層に誘電体層を形成後に細孔中に陰極となる半導体層を設けることが困難になる。
このような外観不良の発生はタンタルやニオブの造粒粉から作製した焼結体では殆ど問題にならない現象であり、タングステン造粒粉から作製した焼結体に特有のものである。
従って、本発明の課題は、タングステン粉焼結体のリード線が植立した面及び植立面に垂直な面の植立面に近い部分における外観不良が発生しない固体電解コンデンサの陽極体を提供することにある。
本発明者は上記課題解決のため鋭意検討した結果、タングステン粉(1次粉(原料粉)または2次粉、すなわち造粒粉)の成形体を焼成した焼結体を化成処理することにより作製するコンデンサの陽極体において、前記1次粉または造粒粉の成形前または前記成形体の焼結時にカリウムを特定の量ドープすると焼結温度を上げて密度を高くしなくても、欠け、割れ、ヒビ等の外観不良が発生せず、細孔の収縮も見られないことを見出し本発明に到達した。
なお、前記特許文献4のタングステン線材については、焼結助剤として用いている100ppm未満のケイ素とアルミニウムは、最終的なタングステン線材には積極的な役割を有しないことが明記されている。すなわち、タングステン線材では細孔のない材料が必須であるのに対して、細孔表層に誘電体層と陰極となる半導体層を設ける本発明は、タングステン表層の一部をケイ素化し、カリウムをドープすることにより焼結体細孔の収縮を防止しつつ外観不良を減少させるものであって、ケイ素が最終コンデンサ製品に重要な役割を果たしている点、及びアルミニウムを使用しない点で特許文献4の技術とは大きく異なる。
本発明は、下記のコンデンサの陽極体、その製造方法、及び固体電解コンデンサに関する。
[1]タングステン粉の成形体を焼成した焼結体を基材とするコンデンサの陽極体であって、陽極体にカリウムが0.003〜0.3質量%の量ドープされていることを特徴とするコンデンサの陽極体。
[2]タングステン粉が、表面の一部をケイ素化したタングステンの1次粉またはその造粒粉である前項1に記載のコンデンサの陽極体。
[3]表面の一部をケイ素化したタングステン1次粉のケイ素含有量が0.05〜7質量%である前項2に記載のコンデンサの陽極体。
[4]タングステン1次粉が、さらに窒素、炭素、及びホウ素から選択される少なくとも1種の元素を有する前項2に記載のコンデンサの陽極体。
[5]窒素元素の含有量が0.01〜0.5質量%である前項4に記載のコンデンサの陽極体。
[6]炭素元素の含有量が0.001〜0.1質量%である前項4に記載のコンデンサの陽極体。
[7]ホウ素元素の含有量が0.001〜0.1質量%である前項4に記載のコンデンサの陽極体。
[8]タングステン1次粉が酸素を0.05〜8質量%含有する前項2に記載のコンデンサの陽極体。
[9]タングステン1次粉がリン元素を1〜500質量ppm含有する前項2に記載のコンデンサの陽極体。
[10]タングステン1次粉のタングステン、ケイ素、カリウム、窒素、炭素、ホウ素、リン及び酸素の各元素を除く元素の含有量が0.1質量(1000質量ppm)以下である前項2に記載のコンデンサの陽極体。
[11]タングステン粉の成形体を焼成した焼結体を基材とするコンデンサの陽極体の製造方法において、陽極体にカリウムを0.003〜0.3質量%の量ドープする工程を有することを特徴とする製造方法。
[12]成形体の作製前に、タングステン粉にカリウム源を添加して陽極体にカリウムをドープする前項11に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[13]成形体の焼成時に焼結炉内にカリウム源を存在させて陽極体にカリウムをドープする前項11に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[14]タングステン粉が、表面の一部をケイ素化したタングステンの1次粉またはその造粒粉である前項11に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[15]表面の一部をケイ素化したタングステン1次粉のケイ素含有量が0.05〜7質量%である前項14に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[16]タングステン1次粉が、さらに窒素、炭素、及びホウ素から選択される少なくとも1種の元素を有する前項14に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[17]窒素元素の含有量が0.01〜0.5質量%である前項16に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[18]炭素元素の含有量が0.001〜0.1質量%である前項16に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[19]ホウ素元素の含有量が0.001〜0.1質量%である前項16に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[20]タングステン1次粉が酸素を0.05〜8質量%含有する前項16に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[21]タングステン1次粉がリン元素を1〜500質量ppm含有する前項14に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[22]タングステン1次粉のタングステン、ケイ素、カリウム、窒素、炭素、ホウ素、リン及び酸素の各元素を除く元素の含有量が0.1質量(1000質量ppm)以下である前項14に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[23]前記成形体の作製前が、タングステンのケイ素化前、ケイ素化時、またはケイ素化後である前項12に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[24]タングステン1次粉または2次粉をケイ素源とカリウム源の存在下に減圧下で焼成して塊状物を作製後、解砕し分級して、タングステンのケイ素化時にカリウムをドープする前項23に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[25]ケイ素化したタングステン1次粉または2次粉にカリウム源を添加し、減圧下で焼成して塊状物を作製後、解砕し分級して、タングステンのケイ素化後にカリウムをドープする前項23に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[26]酸化タングステン、タングステン酸アンモニウムまたはハログン化タングステンを水素還元してタングステン1次粉を得る方法において、水素還元の前に所定量のケイ素源とカリウム源を添加し、還元終了後、引き続き、減圧下で焼成して塊状物を作製し、解砕し分級して、タングステンのケイ素化時にカリウムをドープする前項23に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[27]カリウム源をドープしたタングステン1次粉または2次粉にケイ素源を添加し減圧下で焼成して塊状物を作製後、解砕し分級して、タングステンのケイ素前にカリウムをドープする前項23に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[28]カリウム源として、ハロゲン化物、鉱酸塩、炭酸塩、珪酸塩、水酸化物、硫化物、硫化水素化物、鉱酸水素化物、炭酸水素化物、及びカリウム含有錯体から選択される少なくとも1種を使用する前項12、13及び24〜27のいずれかに記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[29]カリウム源として、炭酸カリウムまたは硝酸カリウムを使用する前項28に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[30]タングステン1次粉をケイ素と炭酸カリウムまたは硝酸カリウムの存在下に減圧下で焼成して塊状物を作製後に解砕し分級して、タングステンのケイ素化時にカリウムをドープする前項25に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[31]前項1〜10のいずれかに記載のコンデンサの陽極体、または前項11〜30のいずれかに記載の製造方法により得たコンデンサの陽極体と対電極との間に介在する誘電体とから構成される固体電解コンデンサ。
本発明は、タングステン粉の成形体を焼成した焼結体(陽極体)にカリウムを0.003〜0.3質量%ドープしたコンデンサの陽極体を提供したものであり、本発明によれば、タングステン粉焼結体のリード線が植立した面及び植立面に垂直な面の植立面に近い部分に生じる外観不良(割れ、ヒビ及び/または欠け)の発生が抑制される。
また、タングステン粉として、表面の一部をケイ素化したタングステン粉(1次粉またはその造粒粉)を使用した焼結体(陽極体)の場合には、焼結体の外観不良が抑制されると共に、陽極体から作製する固体電解コンデンサ素子の容量が安定し、かつ漏れ電流(LC)が小さくなる。
本発明では、タングステン粉の成形体を焼成した焼結体を化成処理することにより作製されるコンデンサの陽極体において、陽極体に微量のカリウムをドープする。ドープするカリウム量は焼結体の全成分に対してカリウム元素換算で0.003〜0.3質量%、好ましくは0.003〜0.2質量%、より好ましくは0.01〜0.08質量%である。カリウム量が0.003質量%未満であると効果が認められず、一方0.3質量%より多いと焼結体から作製した固体電解コンデンサ素子の容量が低くなり、かつLC値が大きくなる傾向があるので好ましくない。
陽極体へカリウムをドープする方法としては、(1)タングステン粉の成形体の作製前に、タングステン粉にカリウム源(後述する。)を添加して成形体を作製し、その後成形体を焼成して陽極体にカリウムをドープする方法、及び(2)タングステン粉の成形体の焼成時に焼結炉内にカリウム源を存在させて陽極体にカリウムをドープする方法があるが、これらの方法の具体的な説明に先だって、原料タングステン粉について説明する。
原料のタングステン粉としては市販されているものを使用することができる。本発明では粒径の小さいタングステン粉が好ましいが、より小さい粒径のタングステン粉は、例えば三酸化タングステン粉を水素雰囲気下で粉砕して得ることができ、また、タングステン酸及びその塩(タングステン酸アンモニウム等)やハロゲン化タングステンを水素やナトリウム等の還元剤を使用し、還元条件を適宜選択することによっても得ることができる。
さらに、タングステン含有鉱物から直接または複数の工程を得て、還元条件を選択することによっても得ることができる。
本発明で使用するタングステン粉は、後述するように造粒されたものでもよい(以後、タングステン粉が造粒されたものかどうかを区別する場合は、未造粒のタングステン粉を「1次粉」、造粒されたタングステン粉を「造粒粉」と言う。)。
タングステン粉としては、表面の一部をケイ素化したタングステン粉が好ましく用いられる。
タングステン粉の表面の一部をケイ素化する方法としては、例えば、タングステン粉にケイ素粉をよく混合し、通常10-1Pa以下の減圧下で1100℃以上2600℃以下の温度にて加熱し反応させることにより得ることができる。この方法の場合、ケイ素粉はタングステン粒子表面より反応し、W5Si3等のケイ素化タングステンが粒子表層から通常50nm以内に局在して形成される。そのため、一次粒子の中心部は導電率の高い金属のまま残り、コンデンサの陽極体を作製したとき、陽極体の等価直列抵抗を低く抑えられるので好ましい。ケイ素化タングステンの含有量はケイ素の添加量により調整することができる。タングステン粉中のケイ素含有量は、7質量%以下が好ましく、0.05〜7質量%がより好ましく、0.2〜4質量%が特に好ましい。この範囲のケイ素含有量のタングステン粉は、よりLC特性の良好なコンデンサを与え、電解コンデンサ用粉体としてより好ましいものとなる。
また、本発明で使用する表面の一部をケイ素化したタングステン粉は、さらに酸素、窒素、炭素、ホウ素、リンやその他各種元素を含んでいてもよい。特に炭素及びホウ素の内、いずれかの元素が、タングステン粉表面の一部に、炭化タングステンまたはホウ化タングステンとして存在するものも好ましく用いられる。
タングステン粉に窒素を含有させる方法の一例として、タングステン粉を窒素ガス雰囲気の減圧下(通常、1Pa以下)に350〜1500℃で1分から10時間程度置く方法がある。
窒素の導入は、タングステン粉の場合と同様の条件で、その後の混合粉を得る工程あるいは焼結体を得る工程のいずれかで、焼結体材料または焼結体に対して行ってもよい。このように、窒素元素の導入の時期に限定はないが、好ましくは、工程の早い段階で窒素を導入しておくとよい。窒素元素を含ませることにより、粉体を空気中で取り扱う際、必要以上の酸化を防ぐことができる。
窒素元素の量としては、陽極体中に、好ましくは0.01〜0.5質量%、より好ましくは0.05〜0.3質量%の窒素が残るようにしておくとよい。例えば、タングステン粉の内、一次粉に窒素を含ませるのであれば、目標とする陽極体中の含有量に対し、同量程度から倍量を目安に窒素元素量を調整すればよい。すなわち、一次粉の窒素元素量として0.01〜1質量%の範囲で予備試験をし、陽極体として前記好ましい含有量とすることができる。
なお、前記窒素含有量には、タングステンと結合している窒素と,タングステンと化学結合していない窒素(例えば、固溶している窒素)とが含まれる。
タングステン粉の表面の一部を炭化する方法の一例としては、炭素電極を使用した減圧高温炉中にタングステン粉を減圧下(通常103Pa以下)、300〜1500℃に1分〜10時間置く方法がある。温度と時間を選択することにより、炭素元素含有量を調整できる。炭素元素含有量は、得られる陽極体中に、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.01〜0.1質量%になるように炭化することが好ましい。炭化の時期は、前述した窒素元素導入の時期と同様である。ただし、炭素は収率よく陽極体中に残るので、どの時期に炭化する場合でも、前記含有量の範囲に調整することができる。炭素電極炉で窒素を所定条件で通じると、炭素元素と窒素元素との導入が同時に起こり、窒素元素及び炭素元素を含むタングステン粉を作製することも可能である。
タングステン粉の表面の一部をホウ化する方法の一例としては、タングステン粉を造粒するときにホウ素元素やホウ素元素を有する化合物をホウ素源として置き、造粒する方法がある。得られる陽極体中のホウ素元素の含有量が、好ましくは0.001〜0.1質量%、より好ましくは0.01〜0.1質量%になるようにホウ素源を添加するのが好ましい。この範囲であれば良好なLC特性が得られる。ケイ素、窒素あるいは炭素の元素を導入した粉を炭素電極炉に入れ、ホウ素源を置き造粒を行うと、表面の一部をさらにホウ化したタングステン粉を作製することも可能である。所定量のホウ化を行うと、さらにLCが良くなる場合がある。
タングステン粉中の酸素含有量は、0.05〜8質量%であることが好ましく、0.08〜1質量%であることがより好ましい。
酸素含有量を0.05〜8質量%にする方法としては、前述のようにケイ素、窒素、炭素及びホウ素のいずれかの元素を導入する際、減圧高温炉からの取り出し時に、酸素を含有した窒素ガスを投入する。この時、減圧高温炉からの取り出し温度が280℃未満であると窒素よりも酸素が優先して取り込まれる。徐々にガスを投入することにより所定の酸素含有量にすることができる。前もってタングステン粉を所定の酸素含有量にしておくことにより、該粉を使用して後々の電解コンデンサの陽極体を作製する工程中での不規則な過度の酸化劣化を緩和することができる。酸素含有量が前記範囲内であれば、作製した電解コンデンサのLC特性をより良好に保つことができる。この工程で窒素元素を導入しない場合には、窒素ガスの代わりにアルゴンやヘリウムガス等の不活性ガスを使用してもよい。
タングステン粉はリン元素の含有量が1〜500質量ppmであることが好ましい。
表面の少なくとも一部がケイ素化されたタングステン粉、さらに、窒素、炭素、ホウ素、酸素の少なくとも1種の元素を含ませたタングステン粉に、リン元素を1〜500質量ppm含有させる方法の1例として、各粉の一次粉作製時や造粒粉作製時に、減圧高温炉中にリンやリン化合物をリン化源として置いてリンを含有する粉を作製する方法がある。リン化源の量を調整するなどして、前述の含有量となるようにリンを含有させると、陽極体を作製したときの陽極体の物理的破壊強度が増加する場合があるので好ましい。この範囲であれば、作製した電解コンデンサのLC性能がさらに良好になる。
より良好なLC特性を得るために、陽極体中の不純物元素の含有量は、タングステン、ケイ素、カリウム、窒素、炭素、ホウ素、酸素及びリンの各元素以外の元素量が各1000質量ppm以下となるように抑えることが好ましい。これらの元素を前記含有量以下に抑えるためには、原料や、使用粉砕材、容器等に含まれる不純物元素量を詳細に吟味する。
タングステン粉の形態は、造粒粉であってもよい。造粒粉は、流動性が良好で成形等の操作がしやすいので好ましい。造粒粉は、さらに、例えばニオブ粉について特開2003−213302号公報に開示されている方法と同様の方法により細孔分布を調整したものでもよい。
例えば、造粒粉は、1次粉に水等の液体や液状樹脂等の少なくとも1種を加えて適当な大きさの顆粒状とした後に、減圧下に加熱し、焼結して得ることもできる。取り扱いのし易い造粒された顆粒が得られる減圧条件(例えば、水素等の非酸化性ガス雰囲気中、1kPa以下)や高温放置条件(例えば、1100〜2600℃、0.1〜100時間)は、予備実験により求めることができる。造粒後に顆粒同士の凝集がなければ、解砕の必要はない。
このような造粒粉は、ふるいで分級して粒径を揃えることができる。平均粒径が好ましくは50〜200μm、より好ましくは100〜200μmの範囲であれば、成形機のホッパーから金型にスムーズに流れるために好都合である。
1次粉の平均1次粒子径を0.1〜1μm、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲にしておくと、特にその造粒粉から作製した電解コンデンサの容量を大きくすることができ好ましい。
このような造粒粉を得る場合、例えば、前記1次粒子径を調整して、造粒粉の比表面積(BET法による)が、好ましくは0.2〜20m2/g、より好ましくは1.5〜20m2/gになるようにすると、電解コンデンサの容量をより大きくすることができ好ましい。
次に、カリウムを陽極体へドープする方法を、タングステン粉として好ましい態様である表面の一部をケイ素化したタングステンの1次粉または2次粉(造粒粉)の成形体を焼成して焼結体(陽極体)を作製する場合を例に挙げて説明する。
(1)タングステン粉の成形体の作製前
本発明では、表面の一部をケイ素化したタングステンの1次粉または2次粉(造粒粉)成形体の成形前の段階で粉にカリウム源を添加混合し、成形後焼成して焼結体にカリウムをドープする。
使用するカリウム源としては、カリウムを含有する化合物や鉱物、カリウム元素が挙げられる。このうち、カリウム化合物が取り扱い易さから好ましい材料である。カリウム化合物としては、例えば、ハロゲン化物、鉱酸塩、炭酸塩、珪酸塩、水酸化物、硫化物、硫化水素化物、鉱酸水素化物、炭酸水素化物、カリウム含有錯体がある。
カリウムのドープは、前記1次粉または造粒粉の成形前または前記成形体の焼結時にカリウム源を用いて行われる。
前記1次粉または造粒粉の成形前にドープする具体例として、(i)タングステンのケイ素化後、(ii)タングステンのケイ素化時、及び(iii)タングステンのケイ素化前が挙げられる。
(i)タングステンのケイ素化後
上述の方法でケイ素化したタングステン1次粉または2次粉にカリウム源を添加し、減圧下で仮焼して塊状物を作製後、解砕し分級してカリウムをドープしたタングステン粉を得る。
(ii)タングステンのケイ素化時
タングステン1次粉または2次粉をケイ素源とカリウム源の存在下に減圧下で焼成して塊状物を作製後、解砕し分級してケイ素化と同時にカリウムをドープしたタングステン粉を得る。
別の態様として、酸化タングステン、タングステン酸アンモニウムまたはハログン化タングステンを水素還元してタングステン1次粉を得る方法において、水素還元の前に所定量のケイ素源とカリウム源を添加し、還元終了後、引き続き、減圧下で焼成して塊状物を作製し、解砕し分級してケイ素化と同時にカリウムをドープしたタングステン粉を得ることもできる。
(iii)タングステンのケイ素化前
カリウム源を添加混合し、減圧下で焼成して塊状物を作製後、解砕し分級してカリウムをドープしたタングステン粉を得る。その後ケイ素源を添加し減圧下で焼成して塊状物を作製後、解砕し分級してカリウムをドープしたケイ素タングステン粉とする。
これらのうち、タングステン1次粉にケイ素源とカリウム源の存在下に減圧下で仮焼して塊状物を作製後、解砕・分級する(ii)の方法が、煩雑でなく、ケイ素化とカリウムのドープを所定濃度で1回の仮焼で行えるので好ましい。
特に好ましいのは、タングステン1次粉をケイ素と炭酸カリウムまたは硝酸カリウムの存在下に減圧下で焼成して塊状物を作製後に解砕し分級して、タングステンのケイ素化時にカリウムをドープする方法である。
この方法の場合、ケイ素は、タングステン粒子表面より反応し、粒子表層から通常50nm以内に局在して、W5Si3等のケイ素化タングステンが形成される。そのため、一次粒子の中心部は導電率の高い金属のまま残りやすく、コンデンサの陽極体を作製したとき、陽極体の等価直列抵抗を低く抑えられるので好ましい。ケイ素の含有量はケイ素の添加量により調整することができる。造粒粉のケイ素含有量は、前記の通り、0.05〜7質量%が好ましく、0.2〜4質量%が特に好ましい。この範囲のケイ素含有量の造粒粉は、LC特性の良好なコンデンサ素子を与え、固体電解コンデンサ用粉体として好ましいものとなる。ケイ素含有量が0.05質量%未満であると、LC性能が良好な固体電解コンデンサ素子を与える造粒粉にならない場合がある。7質量%を超えると造粒粉のケイ素化部分が多すぎて、後工程で焼結体を陽極体として化成する際に、誘電体層がうまく形成できないことがある。
カリウムがドープされたケイ素化タングステン造粒粉の比表面積(BET法による)が、好ましくは0.2〜20m2/g、より好ましくは1.5〜20m2/gになるようにすると、固体電解コンデンサの容量をより大きくすることができ好ましい。
本発明では上記の方法により製造した焼結体をコンデンサの陽極体とし、その陽極体の表層に化成処理して誘電体層を形成し、その誘電体層上に半導体層を形成する。半導体層の形成は、例えば、半導体前駆体(ピロール、チオフェン、アニリン骨格を有するモノマー化合物、及びこれら化合物の各種誘導体から選択される少なくとも1種)を複数回重合反応させて導電性高分子からなる所望厚みの半導体層を形成する。この方法により、陽極体上に誘電体層、半導体層を順次形成したものをそのままコンデンサ素子としてもよいが、好ましくは半導体層の上にコンデンサの外部引き出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために半導体層上に、カーボン層及び銀層を前記半導体層上に順次積層した電極層を設けてコンデンサ素子とする。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
実施例1〜9及び比較例1〜2:
酸化タングステンを水素還元して得た平均粒径0.5μmのタングステン1次粉100gに、ケイ素(市販の平均粒径1μm)と水100mLに炭酸カリウム(市販試薬)を溶解した溶液を充分混合して80℃、102Paで減圧乾燥後、10-1Paの減圧下、1400℃で30分放置し、室温に戻した後に塊状物を解砕・分級し、平均粒径90μm(粒径25〜160μm、比表面積0.5m2/g)の造粒粉を得た。ここで、前記したタングステン1次粉に加えるケイ素量と水溶液中の炭酸カリウム量を変えることにより造粒粉中のケイ素量とカリウム量を変化させた(ケイ素量:0〜7.0質量%、カリウム量:0〜0.2質量%)。各例の造粒粉中の測定値を表1に示した。測定は、IPC発光分析で行った。
次いで、外径0.29mmφのタングステン線を植立させて成形体を作製した後に、10-1Paの減圧下、1420℃で30分放置し、室温に戻して大きさ1.0×1.5×4.5mm、密度8.85g/cm2で1.0×1.5mm面にリード線が内部に3.3mm、外部に7mm植立した焼結体を各例300個作製した。この段階で、各例から任意の20個の焼結体を抜き取り、リード線を6mm切断後、リード線植立面を顕微鏡で観察して外観不良数を数えた。外観不良数は、長さ(直線距離)0.01mm以上の不良部の個数である。割れと欠け、欠けとヒビ、ヒビと割れが連続している部分は、各々、独立しているものとしてカウントした。表1に焼結体1個当たりに換算した外観不良部の平均数(外観不良数)を記載した。
焼結体を、化成液(0.1質量%硝酸水溶液)中で、焼結体のリード線を陽極に、別途設けた電極を陰極として、10℃8時間、初期2mA/個の電流密度で、その後10V定電圧で化成し誘電体層を形成した。
誘電体層を形成した焼結体を、5質量%のエチレンジオキシチオフェン(以下、EDTHと略す。)エタノール溶液に浸漬後室温乾燥し、別途用意した10質量%のナフタレンスルホン酸鉄アルコール溶液に漬け、引き上げた後に80℃で10分反応させた。この一連の操作を5回繰り返した。次いで、電解重合により電導性高分子からなる半導体層を次のようにして形成した。
20質量%EDTHエタノール溶液に浸漬した後、別途用意した0.4質量%EDTH及び0.6質量%アントラキノンスルホン酸を投入した水30質量部とエチレングリコール70質量部からなる溶媒が入ったSUS303容器に所定位置まで浸漬し、20℃、65μAで45分間電解重合した。液から引き上げ後、水洗、エタノール洗浄、乾燥した。さらに、前記誘電体層形成液で20℃15分、初期0.1mA/個の電流密度でその後6.5Vの定電圧、後化成を行い、水洗、エタノール洗浄、乾燥を行った。前記した、20質量%EDTHエタノール溶液に浸漬、電解重合、後化成の工程を8回繰り返した。このようにして形成した半導体層の所定部分にカーボン層と銀ペースト層を順次積層し電極層を形成し固体電解コンデンサ素子を各例128個作製した。この中から任意の100個を抜き取り、容量とLC値を測定した。容量は、アジレンタ社製のLCR測定器で測定した。測定条件は、120Hz、バイアス2.5Vの値である。LC値は、印加電圧2.5Vで室温30秒値である。なお、容量測定は、LCR測定器に配線された導線をコンデンサ素子の電極層とコンデンサ素子に植立したリード線に当てて行った。また、LC測定は、電源のプラス端子からコンデンサ素子のリード線、コンデンサ素子の電極層、さらに電源のマイナス端子に渡る回路の電流値から求めた。
Figure 0005613861
実施例10〜18及び比較例3〜4:
酸化タングステンを水素還元して得た平均粒径0.3μmのタングステン1次粉100gに、ケイ素(市販の平均粒径1μm)と水100mLに炭酸カリウム(市販試薬)を溶解した溶液を充分混合して80℃、102Paで減圧乾燥後、10-1Paの減圧下、1400℃で30分放置し、室温に戻した後に塊状物を解砕・分級し、平均粒径120μm(粒径30〜180μm、比表面積1.8m2/g)の造粒粉を得た。ここで、タングステン1次粉に加えるケイ素量と水溶液中の炭酸カリウム量を変えることにより造粒粉中のケイ素量とカリウム量を変化させた(ケイ素量:0〜7.0質量%、カリウム量:0〜0.2質量%)。IPC発光分析で測定した各例の造粒粉中の値を表2に示す。
次いで、外径0.29mmφのタングステン線を植立させて成形体を作製した後、10-1Paの減圧下、1400℃で30分放置し、室温に戻し、大きさ1.0×1.5×4.5mm、密度8.89g/cm2で1.0×1.5mm面にリード線が内部に3.3mm、外部に7mm植立した焼結体を各例300個作製した。各例から任意の20個の焼結体を抜き取り、リード線を6mm切断後、リード線植立面を顕微鏡で観察して、実施例1〜9及び比較例1〜2と同様に外観不良数を数えた。表2にその平均数(焼結体1個当たりに換算した数)を示す。
焼結体を、化成液(0.1質量%硝酸水溶液)中で、焼結体のリード線を陽極に、別途設けた電極を陰極として、10℃8時間、初期2mA/個の電流密度で、その後10V定電圧で化成し誘電体層を形成した。
誘電体層を形成した焼結体を、5質量%のエチレンジオキシチオフェン(以下、EDTHと略す。)エタノール溶液に浸漬後室温乾燥し、別途用意した10質量%のナフタレンスルホン酸鉄アルコール溶液に漬け、引き上げた後に80℃で10分反応させた。この一連の操作を5回繰り返し、次いで、電解重合により電導性高分子からなる半導体層を、実施例1〜9及び比較例1〜2と同様に形成した。次に、半導体層の所定部分にカーボン層と銀ペースト層を順次積層し電極層を形成し固体電解コンデンサ素子を各例128個作製した。この中から任意の100個を抜き取り、実施例1〜9及び比較例1〜2と同様に容量とLC値を測定した。
Figure 0005613861
表1及び表2に示されるように、カリウムを含まない比較例(比較例1及び比較例3)、ドープ量が0.001質量%の比較例(比較例2及び比較例4)の外観不良率が3.0〜3.4であるのに比べて、カリウムドープ量が0.005〜0.2質量%の実施例(実施例1〜18)によるコンデンサ素子は外観不良率が0〜0.4と低く、カリウムの少量のドープにより外観不良率が大幅に改善されている。なお、カリウムのドープ量が多くなると容量が低下し、かつLC値が増大する傾向が認められる。
表3に実施例5と実施例8、表4に実施例14と実施例17の固体電解コンデンサ素子について、各例100素子について測定した容量とLC値の平均値を示す。
Figure 0005613861
Figure 0005613861
表3及び4から、カリウムドープ量が0.05質量%の実施例5、8、14及び17は外観不良率が共に良好であるが、ケイ素を含まない素子(実施例8及び実施例17)に比べて、ケイ素を4.0質量%含む素子(実施例5及び実施例14)では、容量が高く、かつ漏れ電流(LC)が顕著に低いことが分かる。
産業上利用可能性
タングステン粉焼結体(陽極体)にカリウムを0.003〜0.3質量%ドープした本発明のコンデンサの陽極体によれば、焼結体のリード線が植立した面及び植立面に垂直な面の植立面に近い部分に生じる外観不良(割れ、ヒビ及び/または欠け)発生が抑制される。また、タングステン粉として表面の一部をケイ素化したタングステン粉を使用した焼結体(陽極体)では、焼結体の外観不良が抑制されると共に、陽極体から作製する固体電解コンデンサ素子の容量が安定し、また漏れ電流(LC)が小さくなる。

Claims (13)

  1. タングステン粉の成形体を焼成した焼結体を基材とするコンデンサの陽極体であって、陽極体にカリウムが0.00〜0.質量%の量ドープされていることを特徴とするコンデンサの陽極体。
  2. タングステン粉が、表面の一部をケイ素化したタングステンの1次粉またはその造粒粉である請求項1に記載のコンデンサの陽極体。
  3. 表面の一部をケイ素化したタングステン1次粉のケイ素含有量が0.05〜7質量%である請求項2に記載のコンデンサの陽極体。
  4. タングステン1次粉が、さらに窒素、炭素、及びホウ素から選択される少なくとも1種の元素を有する請求項2に記載のコンデンサの陽極体。
  5. タングステン粉の成形体を焼成した焼結体を基材とするコンデンサの陽極体の製造方法において、陽極体にカリウムを0.00〜0.質量%の量ドープする工程を有することを特徴とする製造方法。

  6. 成形体の作製前に、タングステン粉にカリウム源を添加して陽極体にカリウムをドープする請求項5に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  7. 成形体の焼成時に焼結炉内にカリウム源を存在させて陽極体にカリウムをドープする請求項5に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  8. タングステン粉が、表面の一部をケイ素化したタングステンの1次粉またはその造粒粉である請求項5に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  9. 表面の一部をケイ素化したタングステン1次粉のケイ素含有量が0.05〜7質量%である請求項8に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  10. タングステン1次粉が、さらに窒素、炭素、及びホウ素から選択される少なくとも1種の元素を有する請求項8に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  11. カリウム源として、ハロゲン化物、鉱酸塩、炭酸塩、珪酸塩、水酸化物、硫化物、硫化水素化物、鉱酸水素化物、炭酸水素化物、及びカリウム含有錯体から選択される少なくとも1種を使用する請求項6または7に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  12. カリウム源として、炭酸カリウムまたは硝酸カリウムを使用する請求項11に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサの陽極体、または請求項5〜12のいずれかに記載の製造方法により得たコンデンサの陽極体と対電極との間に介在する誘電体とから構成される固体電解コンデンサ。
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