JP2003232438A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2003232438A JP2002029850A JP2002029850A JP2003232438A JP 2003232438 A JP2003232438 A JP 2003232438A JP 2002029850 A JP2002029850 A JP 2002029850A JP 2002029850 A JP2002029850 A JP 2002029850A JP 2003232438 A JP2003232438 A JP 2003232438A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニュートラル故障時に、発進用の摩擦係合要
素が急に係合されて大きなショックを発生することを防
止する。 【解決手段】 エンジンからの回転が入力される変速機
構と、車両を発進するときに係合される発進用の摩擦係
合要素と、ソレノイド弁に供給される電気信号に応じた
出力油圧を給排して前記摩擦係合要素を係脱させる油圧
サーボ装置と、エンジンの負荷状態を検出するエンジン
負荷検出装置とを備えた自動変速機の制御装置におい
て、前記摩擦係合要素を係合する指令に応じた出力油圧
が供給されていないと判断したとき、エンジンが所定の
高負荷状態であるか否か判定し、所定の高負荷状態の場
合は前記摩擦係合要素を解放する指令を送出する制御装
置を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両を発進すると
きに係脱される発進用の摩擦係合要素の係脱を制御する
自動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンの回転を変速機構に伝達
する流体伝動装置と、該流体伝動装置を介してエンジン
の回転が伝達される変速機構と、該変速機構のギヤ段を
切り換える複数の摩擦係合要素と、ソレノイド弁に印加
される電気信号に応じた出力油圧を給排して各摩擦係合
要素を係脱させる油圧サーボ装置を備えた自動変速機に
おいて、指令通りの変速段を確保するために、ソレノイ
ド弁の断線や短絡等の電気的故障を検出するだけでな
く、ソレノイド弁の弁体のスティックや異物の噛み込み
による誤動作を検出することが行なわれている。例え
ば、一つの変速段への切換えを指令したときに、該変速
段を成立するために係合する摩擦係合要素の係合に必要
な時間が経過した後においても、車速、或いは変速機構
からの出力回転数が所定値以下であり、且つ変速機構へ
の入力回転数が所定値以上であることが検出されたと
き、変速機構がニュートラル状態に固定されたニュート
ラル故障であると判定する自動変速機の故障検出装置が
特開平11−280884号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置では、ニ
ュートラル故障の検出が正確になるので、故障の摩擦係
合要素の特定に効果はある。しかし、例えば、発進時に
アクセルが踏まれて発進用のクラッチを係合する指令が
送出されたときに、発進用クラッチを係脱する油圧サー
ボ装置のソレノイド弁の弁体がスティックして発進用ク
ラッチの油圧駆動部に油圧が供給されない場合、エンジ
ン回転数が高くなり、この状態でソレノイド弁の弁体の
スティックがはずれて油圧サーボ装置からクラッチの油
圧駆動部に油圧が供給されると発進用クラッチが急に係
合されて大きなショックを発生するという不具合は解消
できない。
【0004】このような事情に鑑み、本発明はニュート
ラル故障時に、発進用の摩擦係合要素が急に係合されて
大きなショックを発生することを防止可能な自動変速機
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、エンジンか
らの回転が入力される変速機構と、車両を発進するとき
に係合される発進用の摩擦係合要素と、ソレノイド弁に
供給される電気信号に応じた出力油圧を給排して前記摩
擦係合要素を係脱させる油圧サーボ装置と、エンジンの
負荷状態を検出するエンジン負荷検出装置とを備えた自
動変速機の制御装置において、前記摩擦係合要素を係合
する指令に応じた出力油圧が供給されていないと判断し
たとき、エンジンが所定の高負荷状態であるか否か判定
し、所定の高負荷状態の場合は前記摩擦係合要素を解放
する指令を送出する制御装置を備えたことである。
【0006】請求項2に係る発明の構成上の特徴は、エ
ンジンの回転が流体伝動装置を介して伝達される変速機
構と、車両を発進するときに係合される発進用の摩擦係
合要素と、ソレノイド弁に供給される電気信号に応じた
出力油圧を給排して前記摩擦係合要素を係脱させる油圧
サーボ装置と、エンジンの負荷状態を検出するエンジン
負荷検出装置とを備えた自動変速機の制御装置におい
て、前記摩擦係合要素を係合する指令に応じた出力油圧
が供給されていないと判断したとき、エンジンが所定の
高負荷状態であるか否か判定し、所定の高負荷状態の場
合は前記摩擦係合要素を解放する指令を送出し、高負荷
状態から所定の低負荷状態になったとき前記摩擦係合要
素を係合する指令を送出する制御装置を備えたことであ
る。
【0007】請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1又は2に記載の自動変速機の制御装置において、
走行レンジが選択され、且つ前記発進用の摩擦係合要素
を係合する指令に応じた出力油圧が供給されていないと
判断したとき、エンジンが所定の高負荷状態であるか否
か判定することである。
【0008】請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
において、非走行レンジが選択された状態から走行レン
ジが選択され、且つ前記発進用の摩擦係合要素を係合す
る指令に応じた出力油圧が供給されていないと判断した
とき、エンジンが所定の高負荷状態であるか否か判定す
ることである。
【0009】請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
において、前記エンジン負荷検出装置は、前記摩擦係合
要素の入力側回転数を検出することにより、エンジンの
負荷状態を検出することである。
【0010】請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
において、前記エンジン負荷検出装置は、スロットル開
度を検出することにより、エンジンの負荷状態を検出す
ることである。
【0011】請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至6のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
において、前記制御装置は、前記摩擦係合要素を係合す
る指令を送出した後、所定時間経過後に所定の出力油圧
が供給されたか否かを判断することである。
【0012】
【発明の作用・効果】上記のように構成した請求項1に
係る発明においては、発進用の摩擦係合要素を係合する
指令が送出されると、ソレノイド弁が作動して油圧サー
ボ装置が出力油圧を摩擦係合要素の油圧駆動部に給排し
て摩擦係合要素を係合する。このとき、ソレノイド弁の
弁体が、例えばスティックして油圧サーボ装置が出力油
圧を出力しなくて発進用の摩擦係合要素が係合しない
と、エンジン回転数が増大して摩擦係合要素の入力側回
転数が高くなり、その状態でソレノイド弁の弁体のステ
ィックがはずれて油圧サーボ装置が油圧を摩擦係合要素
の油圧駆動部に供給すると、摩擦係合要素が急に係合さ
れて大きなショックを発生するが、本発明では、発進用
の摩擦係合要素を係合する指令に応じた出力油圧が供給
されていないとき、エンジンが所定の高負荷状態である
場合、摩擦係合要素を解放する指令を送出するようにし
たので、エンジンが高負荷状態で発進用の摩擦係合要素
が急に係合されて大きなショックを発生することを防止
することができる。
【0013】上記のように構成した請求項2に係る発明
においては、発進用の摩擦係合要素を係合する指令が送
出されると、ソレノイド弁が作動して油圧サーボ装置が
出力油圧を摩擦係合要素の油圧駆動部に給排して摩擦係
合要素を係合する。このとき、ソレノイド弁の弁体が、
例えばスティックして油圧サーボ装置が出力油圧を出力
しなくて発進用の摩擦係合要素が係合しないと、エンジ
ン回転数が増大して摩擦係合要素の入力側回転数が高く
なり、その状態でソレノイド弁の弁体のスティックがは
ずれて油圧サーボ装置が油圧を摩擦係合要素の油圧駆動
部に供給すると、摩擦係合要素が急に係合されて大きな
ショックを発生するが、本発明では、発進用の摩擦係合
要素を係合する指令に応じた出力油圧が供給されていな
いとき、エンジンが所定の高負荷状態である場合、摩擦
係合要素を解放する指令を送出し、高負荷状態から所定
の低負荷状態になったとき発進用の摩擦係合要素を係合
する指令を送出するようにしたので、入力側回転数が高
い状態で発進用の摩擦係合要素が急に係合されて大きな
ショックを発生することを防止することができるととも
に、ソレノイド弁の弁体のスティック等の一時的なトラ
ブルが解消した場合に、平常の制御への復帰を許容す
る。
【0014】上記のように構成した請求項3に係る発明
においては、走行レンジが選択され、且つ前記発進用の
摩擦係合要素を係合する指令に応じた出力油圧が供給さ
れていないとき、エンジンが所定の高負荷状態であるか
否か判定するようにしたので、走行レンジが選択されて
アクセルが踏まれているにもかかわらず、車両が発進し
ないような状況を生じる発進用の摩擦係合要素を係脱す
る油圧サーボ装置のソレノイド弁の弁体のスティック等
に迅速、且つ的確に対応することができる。
【0015】上記のように構成した請求項4に係る発明
においては、非走行レンジが選択された状態から走行レ
ンジが選択され、発進用の摩擦係合要素を係合する指令
に応じた出力油圧が供給されず、エンジンが所定の高負
荷状態となったとき、摩擦係合要素を解放する指令を送
出するようにしたので、車両の発進時に摩擦係合要素が
急に係合されて大きなショックを発生することがない。
【0016】上記のように構成した請求項5に係る発明
においては、摩擦係合要素の入力側回転数を検出するこ
とにより、エンジンの負荷状態を簡単な構成で検出する
ことができる。
【0017】上記のように構成した請求項6に係る発明
においては、スロットル開度を検出することにより、エ
ンジンの負荷状態を簡単な構成で正確に検出することが
できる。
【0018】上記のように構成した請求項7に係る発明
においては、摩擦係合要素を係合する指令を送出してか
ら所定時間経過後に所定の出力油圧が供給されたか否か
を判断するので、所定の出力油圧の供給の有無を正確に
判定することができる。
【0019】
【実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態
を説明する。図1は本発明に係る自動変速機の制御装置
により制御される自動変速機10の一例を示すスケルト
ン図で、自動変速機10は、図略のエンジンが回転連結
された流体伝動装置としてのトルクコンバータ11及び
トルクコンバータ11の出力回転が入力軸20に伝達さ
れる前進6速、後進1速の変速機構12から構成されて
いる。トルクコンバータ11は、ポンプインペラ13、
タービンランナ14、ステータ15、ステータ15を変
速機構12のケース16に一方向の回転のみ許容して支
承するワンウェイクラッチ17、ワンウェイクラッチ1
7のインナレースをケース16に固定するステータシャ
フト18を備えている。19はポンプインペラ13とタ
ービンランナ14とを直結するロックアップクラッチで
ある。
【0020】変速機構12の主要部である変速プラネタ
リギヤGは、ダブルピニオン型で、大径及び小径サンギ
ヤS2,S3、大径サンギヤS2に直接噛合するととも
に小径サンギヤS3にピニオンP3を介して噛合するロ
ングピニオンP2、ロングピニオンP2及びピニオンP
3を支持するキャリヤC2(C3)及びロングピニオン
P2と噛合し出力軸21に連結されたリングギヤR2
(R3)から構成されている。大径サンギヤS2は第1
ブレーキB-1に連結され、キャリヤC2(C3)は第2
クラッチC-2を介して入力軸20に連結されるととも
に、ケース16に支持されたワンウェイクラッチF-1及
びブレーキB-2に並列に連結されている。
【0021】変速機構12の減速プラネタリギヤG1
は、シングルピニオン型で、リングギヤR1が入力軸2
0に連結され、サンギヤS1がケース16に固定されて
反力を受け、リングギヤR1とサンギヤS1に噛合され
たピニオンを支承するキャリヤC1が第1クラッチC-1
を介して小径サンギヤS3に連結されるとともに、第3
クラッチC3を介して大径サンギヤS2に連結されてい
る。
【0022】自動変速機10の各クラッチ、ブレーキ及
びワンウェイクラッチの係合、解放と各変速段との関係
は図2の係合表に示すようになる。係合表における○印
は係合、無印は解放、△印はエンジンブレーキ時のみの
係合を示す。図3は各クラッチ、ブレーキ及びワンウェ
イクラッチの係合により達成される変速段と、そのとき
のプラネタリギヤG,G1の各要素の回転数比との関係
を示す速度線図である。
【0023】図2,3から明らかなように、第1速(1
st)は、クラッチC-1の係合とワンウェイクラッチF
−1の自動係合により達成される。入力軸20の回転が
減速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1
の回転が、クラッチC-1により変速プラネタリギヤGの
小径サンギヤS3に入力され、ワンウェイクラッチF−
1により逆転を阻止されたキャリヤC2(C3)が反力
を受け、リングギヤR2(R3)が最大減速比で減速回
転されて出力軸21に出力する。
【0024】第2速(2nd)は、クラッチC-1とブレ
ーキB-1の係合により達成される。入力軸20の回転が
減速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1
の回転が、クラッチC-1経由で変速プラネタリギヤGの
小径サンギヤS3に入力され、ブレーキB-1の係合によ
り回転を阻止された大径サンギヤS2が反力を受け、リ
ングギヤR2(R3)が第2速に減速回転されて出力軸
21に出力する。このときの減速比は、図3に示すよう
に、第1速(1st)より小さくなる。
【0025】第3速(3rd)は、クラッチC-1とクラ
ッチC-3との係合により達成される。入力軸20の回転
が減速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC
1の回転が、クラッチC-1及びC-3により小径サンギヤS
3と大径サンギヤS2に同時に入力されて変速プラネタ
リギヤGが直結状態となり、リングギヤR2(R3)が
キャリヤC1と同一回転数で回転されて出力軸21に出
力する。
【0026】第4速(4th)は、クラッチC-1とクラ
ッチC-2との係合により達成される。入力軸20の回転
がクラッチC-2により変速プラネタリギヤGのキャリヤ
C2(C3)に直接入力され、入力軸20の回転が減速
プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1の回
転が、クラッチC-1により変速プラネタリギヤGのサン
ギヤS3に入力され、リングギヤR2(R3)が入力軸
20とキャリヤC1との中間の回転数に減速されて出力
軸21に出力する。
【0027】第5速(5th)は、クラッチC-2とクラ
ッチC-3との係合により達成される。入力軸20の回転
がクラッチC-2により変速プラネタリギヤGのキャリヤ
C2(C3)に直接入力され、入力軸20の回転が、減
速プラネタリギヤG1により減速されたキャリヤC1の
回転が変速プラネタリギヤGのクラッチC-3によりサン
ギヤS2に入力され、リングギヤR2(R3)が第5速
に増速回転されて出力軸21に出力する。
【0028】第6速(6th)は、クラッチC-2とブレ
ーキB-1との係合により達成される。入力軸20の回転
が、クラッチC-2により変速プラネタリギヤGのキャリ
ヤC2(C3)に直接入力され、ブレーキB-1の係合に
より回転を阻止されたサンギヤS2が反力を受け、リン
グギヤR2(R3)が第6速に増速回転されて出力軸2
1に出力する。
【0029】後進(R)は、クラッチC-3とブレーキB-2
との係合により達成される。入力軸20の回転が減速プ
ラネタリG1により減速されたキャリヤC1の回転が、
クラッチC-3経由で変速プラネタリギヤGのサンギヤS
2に入力され、ブレーキB-2の係合により回転を阻止さ
れたキャリヤC2(C3)が反力を受け、リングギヤR
2(R3)が逆転されて出力軸21に出力する。
【0030】上記自動変速機10においては、第1クラ
ッチC-1が、前進時に走行レンジDが選択されて車両が
発進するときに係合される発進用の摩擦係合要素であ
る。ここで発進用の摩擦係合要素とは、前進時の走行レ
ンジD又は後進時の走行レンジRが選択されたときに係
合されるクラッチ又はブレーキを含む概念である。ま
た、走行レンジが選択された状態でブレーキの制動力に
より車両が第1速状態で停止し、ニュートラル制御され
てクラッチC-1が解放された状態になると第1速から第
2速が選択されるため発進時にブレーキが離された場
合、登り坂で車両に後退方向の力が作用してもブレーキ
B1が出力軸21の逆転を阻止するので、車両は後退す
ることがなく、クラッチC-1が係合し始めて駆動力を伝
達すると第1速に切り換えられて車両は円滑に発進す
る。なお、エンジンブレーキが必要な時にはブレーキB-
2が係合され、キャリヤC2(C3)が正回転を阻止さ
れて、出力軸21からの回転がサンギヤS3、クラッチ
C-1、減速プラネタリG1、トルクコンバータ11を経
由してエンジンに伝達され、エンジンブレーキがかか
る。
【0031】次に、クラッチC-1の油圧駆動部に給排さ
れる出力油圧を出力する油圧サーボ装置26を図4に基
づいて説明する。25は運転者がシフトレバーを操作し
てニュートラルN(非走行レンジ)、パーキングP(非
走行レンジ)、前進走行レンジD、後進走行レンジRに
手動で切り換えるマニュアルバルブで、ポートPLにオ
イルポンプからのライン圧が供給されている。マニュア
ルバルブ25が走行レンジDにシフトされたときポート
PLと連通されるポートDには、クラッチC-1の油圧駆
動部に供給される出力油圧を出力する油圧サーボ装置2
6の増幅弁27の入力ポート28及び切換弁29のライ
ン圧ポート30が夫々接続されている。31はオイルポ
ンプからのライン圧が減圧弁を介して供給されるソレノ
イドモジュレータバルブで、所定圧に制御した出力油圧
を油圧サーボ装置26のリニアソレノイド調圧弁32の
入力ポート33及び切換弁29のポート34に供給す
る。リニアソレノイド調圧弁32は、リニアソレノイド
35が後述する制御装置から供給される制御信号である
制御電流に応じて作動して弁体36を圧縮バネ37のバ
ネ力とバランスするまで移動し、入力ポート33から流
入する所定圧に制御された油圧を絞って制御装置からの
制御電流の増大につれて減少する制御油圧を出力ポート
38に生成する。リニアソレノイド調圧弁32の出力ポ
ート38は、増幅弁27の制御ポート39に接続される
とともに、切換弁29の切替ポート40に接続されてい
る。増幅弁27は、弁体40が制御ポート39から供給
されて弁体40の大径端面に作用するリニアソレノイド
調圧弁32の制御油圧による軸力が弁体40の小径端面
に作用する圧縮バネ41のバネ力とフィードバック油圧
による軸力とが釣り合う位置に移動され、入力ポート2
8に供給されたライン圧を制御電流の増大につれて減少
するリニアソレノイド調圧弁32の制御油圧に応じた出
力油圧Pcを出力し、出力ポート42から切換弁29の入
力ポート43に供給する。切換弁29は、弁体45が図
示右半分位置にシフトされると、入力ポート43を出力
ポート44に連通し、増幅弁27からの出力油圧Pcをク
ラッチC-1の油圧駆動部に供給し、弁体45が図示左半
分位置にシフトされると、ライン圧ポート30を出力ポ
ート44に連通し、マニュアルバルブ25のポートDか
らのライン圧をクラッチC-1の油圧駆動部に供給し、ク
ラッチC-1をライン圧によって係合状態に維持する。
【0032】自動変速機の制御装置を図5に示すブロッ
ク図に基づいて説明する。CPUを内蔵した制御装置50
は、エンジンの回転が伝達されるトルクコンバータ11
のエンジン側回転数Neを検出するエンジン側回転数セン
サ51、トルクコンバータ11の出力回転が入力される
入力軸20の回転数Niを検出する入力軸回転数センサ5
2、アクセルの踏み込み量Ssを検出するスロットル開度
センサ53、出力軸21の回転数Nvを検出する車速セ
ンサ55及びマニュアルバルブ25が走行レンジDにシ
フトされているか否かを示す信号Drを送出するレンジ位
置センサ56等から各検出信号が入力され、これら検出
信号に基づいて制御プログラムを実行し、制御信号であ
る制御電流を油圧サーボ装置26のリニアソレノイド調
圧弁32に出力するようになっている。入力軸20の回
転数Niが減速プラネタリギヤG1で減速されてキャリヤ
C1からクラッチC-1に入力されるので、入力軸20の
回転数NiがクラッチC-1の入力側回転数となる。
【0033】次に、本発明に係る自動変速機の制御装置
の作動を図6に示す制御プログラムのフロー図に基づい
て説明する。マニュアルバルブ25がシフトレバーによ
りニュートラルNにシフトされると、制御装置50は、
クラッチC-1を解放するために、出力油圧Pcを0にする
最大制御電流Imaxを油圧サーボ装置50のリニアソレノ
イド35に供給する。これにより、リニアソレノイド調
圧弁32の弁体36及び増幅弁27の弁体40が図4の
左半分位置にシフトされ、出力ポート38及び出力ポー
ト42がタンクに連通されて出力油圧Pcが0になる。切
換弁29は、調圧弁32から切替ポート40に供給され
る制御油圧が0になるので、制御油圧と圧縮バネ46の
バネ力との和がソレノイドモジュレータバルブ31から
ポート34に供給される所定圧より小さくなり、弁体4
5が図示右半分位置にシフトされ、クラッチC-1の油圧
駆動部がタンクに連通されてクラッチC-1が解放され
る。運転者はマニュアルバルブ25を走行レンジDにシ
フトし、ブレーキペダルを離してアクセルを踏んで発進
する。制御装置50は、マニュアルバルブ25がニュー
トラルNから走行レンジDにシフトされたことを判定す
ると(ステップ61)、ND制御を行なって第1クラッチ
C-1を係合ショックが発生しないように係合し、第1速
を成立する(ステップ62)。即ち、第1クラッチC-1
のクラッチ板間の隙間を早くつめるために、第1クラッ
チC-1用の油圧サーボ装置26のリニアソレノイドSLC-1
に供給する制御電流Iをパルス状に低下して第1クラッ
チC-1の油圧駆動部にパルス状の初期油圧を供給した後
に、制御電流を若干増加して第1クラッチC-1がクラッ
チ板の接触によりスリップを開始する位置まで油圧駆動
部のピストンを移動させるために必要なストローク圧を
供給し、次に制御電流Iを漸減して出力油圧Pcを漸増
し、第1クラッチC-1をショックが発生しないように係
合する。その後に制御電流は0に低下され、第1クラッ
チC-1はライン圧によって係合状態に維持される。
【0034】ところが、リニアソレノイド調圧弁32又
は増幅弁27の弁体36,40がスティックした場合、
制御電流Iが減少されても、制御電流Iに応じた制御油圧
がリニアソレノイド調圧弁32の出力ポート38に生成
されず、或いは増幅弁27が制御電流Iに応じた出力油
圧Pcを切換弁29を介してクラッチC-1に供給しないの
で、クラッチC-1は係合されない。この場合において
は、制御装置50は、制御電流Iをリニアソレノイド3
5に供給した後、クラッチC-1の係合が完了するのにか
かる所定時間が経過しても、制御電流Iに応じた出力油
圧が供給されないことを検出し、クラッチC-1が係合さ
れていないと判断する。クラッチC-1が係合されない状
態でエンジン側回転数Neが高くなるとトルクコンバータ
11を介して入力軸20の回転数Ni、即ちクラッチC-1
の入力側回転数が高くなる。この状態で弁体36又は4
0のスティックがはずれて油圧サーボ弁26が出力圧力
Pcを出力するとクラッチC-1が急に係合されて大きなシ
ョックを発生する。
【0035】本実施形態では、この大きなショックの発
生を防止するために、制御装置50がND制御を完了する
と(ステップ63)、自動変速機10が第1速(1s
t)、第2速(2nd)又は第3速(3rd)状態であ
るか否かが判定される(ステップ64)。通常の自動変
速モードでの発進の場合は第1速が選択されるが、手動
変速モードで、低μ道路での発進時に第2速又は第3速
が選択されることがあるので、第1〜3速のいずれかで
あるかが判定される。いずれかの変速段である場合、第
1クラッチC-1を係合する指令に応じた出力油圧Pcが油
圧サーボ装置26からクラッチC-1の油圧駆動部に供給
されているか否か判定される(ステップ65)。即ち、
クラッチC-1の係合に必要な時間が経過してND制御が完
了した後に、変速機構12の出力軸21の回転数Nvが一
定値以下のときに、クラッチC-1の入力側回転数である
入力軸20の回転数Niが第1〜3速の夫々に対して設定
された閾値以上であるか否かチェックされる。閾値以上
の場合、第1クラッチC-1を係合する指令に応じた出力
油圧PcがクラッチC-1の油圧駆動部に供給されていなく
てクラッチC-1が係合されていないと判断される。出力
油圧Pcが供給されている場合、プログラムは終了する
(ステップ71)。
【0036】出力油圧Pcが供給されていない場合は、エ
ンジンの負荷状態を検出するエンジン負荷検出装置とし
て機能する入力軸回転数センサ52によって検出された
入力軸20の回転数Niが所定値A以上か否か判定される
(ステップ66)。所定値Aとはエンジンの高負荷状態
を判定するために設定される値であり、クラッチC-1が
正常に係合されていれば検出されないような値である。
例えば、運転者がエンジンの吹き上がりを体感するよう
な値に設定してもよいし、出力軸21の回転数Nv×ギヤ
比+αのように入力軸20の回転数Niが正常時のギヤ比
から所定値以上外れた場合の値に設定してもよい。所定
値A以上の場合は、エンジンが所定の高負荷状態である
と判定し、リニアソレノイド調圧弁32のリニアソレノ
イド35に印加する電流を最大にして、油圧サーボ装置
26の出力油圧Pcを0にしてクラッチC-1を解放し、タ
イマTの計時を開始する(ステップ67,68)。これ
により、クラッチC-1の入力側回転数が所定値Aより高
い状態で、リニアソレノイド調圧弁32又は増幅弁27
の弁体36,40のスティック等が解除され、油圧サー
ボ弁26がクラッチC-1の油圧駆動部に出力圧力Pcを出
力し、クラッチC-1が急に係合されて大きなショックを
発生することを防止できる。なお、スロットル開度セン
サ53をエンジンの負荷状態を検出するエンジン負荷検
出装置とし、アクセルの踏み込み量Ssが所定量以上の場
合、エンジンが所定の高負荷状態であると判定するよう
にしてもよい。
【0037】そして、エンジン側回転数Neは高いが車両
が発進しない状態がしばらく続くと、運転者はアクセル
を離すので、エンジン側回転数Neは低下する。これによ
り、入力軸20の回転数Niが所定値A以下になったこと
が判定されると(ステップ69)、クラッチC-1を係合
する指令が送出され(ステップ70)、クラッチC-1用
の油圧サーボ装置26のリニアソレノイドSLC-1に供給
する制御電流Iを前述のように制御して第1クラッチC-
1の油圧駆動部に出力油圧Pcを供給し、第1クラッチC-1
をショックが発生しないように係合する。その後に制御
電流は0に低下され、第1クラッチC-1はライン圧によ
って係合状態に維持され、制御プログラムを終了する
(ステップ71)。タイマTの設定時間TOが経過しても
(ステップ72)、入力軸20の回転数Niが所定値以下
にならない場合は、故障モードに切り換えて異常ランプ
を点灯する等の処理を行なう(ステップ73)。ステッ
プ65において、入力軸20の回転数Niが所定値A以下
であると判定された場合も、クラッチC-1を係合する指
令を送出して(ステップ69)制御プログラムを終了す
る。なお、ステップ69,70において、入力軸20の
回転数Niが所定値A以下になったことが判定されると、
クラッチC-1を係合する指令を送出しているが、直後に
何らかの理由で、回転数Niが所定値以上になるとステッ
プ66,67でクラッチC-1が解放されてハンチングを
起すことを防止するために、ステップ69で回転数Niが
A−βになるとクラッチC-1を係合するようにヒステリ
シスをもたせてもよい。
【0038】上記のように制御することで、運転者が走
行レンジDにしたにもかかわらず、ソレノイド弁のステ
ィックにより発進クラッチが係合せず、アクセル操作に
よりエンジンが吹き上がるような状況において、スティ
ックが突然解消されても、クラッチC-1が急係合されて
大きなショックを発生することが防止できる。
【0039】第1〜3速のいずれかで発進する場合の他
に、5−3変速(第5速から第3速への変速)、6−2
変速のように、切換え後に発進用のクラッチC-1が係合
される場合に、入力軸20の回転数Ni、即ちクラッチC-
1の入力側回転数が高い状態でリニアソレノイド調圧弁
32又は増幅弁27の弁体36,40のスティック等が
解除され、油圧サーボ弁26からクラッチC-1の油圧駆
動部に出力圧力Pcが出力され、クラッチC-1が急に係合
されて大きなショックを発生することがある。また、1
−2,2−1,1−3,3−1,2−3,3−2,2−
4,4−2,3−4,4−3変速のように切換えの前後
において発進用のクラッチC-1が係合される場合も、切
換え前に既に、弁体36のスティック等により制御電流
Iに応じた制御油圧がリニアソレノイド調圧弁32の出
力ポート38に生成されておらず、出力油圧Pcがクラッ
チC-1の油圧駆動部に供給されなくてクラッチC-1が係合
されていないとき、新しい切換え指令により弁体36の
スティック等が解除され、油圧サーボ弁26からクラッ
チC-1の油圧駆動部に出力圧力Pcが出力され、クラッチC
-1が急に係合されて大きなショックを発生することがあ
る。これら特定の変速の場合の大きなショックの発生を
防止するために、ステップ64において、第1〜3速で
あるか否かの判定に加えて、これら特定の変速であるか
否かも判定するようにしてもよい。変速時は車両速度が
あるので、第1クラッチC-1を係合する指令に応じた出
力油圧Pcが油圧サーボ装置26からクラッチC-1の油圧
駆動部に供給されているか否か判定するために、クラッ
チC-1の係合に必要な時間が経過して変速制御が完了し
た後に、変速機構12の入力軸20の回転数Niが、出力
軸21の回転数Nvに変速後の変速段のギヤ比を乗じた値
に所定値を加算して求めた閾値以上であるか否かチェッ
クし、閾値以上の場合、第1クラッチC-1を係合する指
令に応じた出力油圧PcがクラッチC-1の油圧駆動部に供
給されずクラッチC-1が係合されていないと判断するよ
うにしてもよい。
【0040】上記実施形態では、ニュートラルNから前
進走行レンジDを選択した場合を説明したが、パーキン
グPから前進走行レンジD、又はニュートラルNから後
進走行レンジR、又はパーキングPから後進走行レンジ
R、又は後進走行レンジRから前進走行レンジD、又は
前進走行レンジDから後進走行レンジRを選択した場合
等に適用できる。その中でも非走行レンジから走行レン
ジを選択した時、特に有効に適用でき、停車状態から発
進する際に、上述したように弁体36のスティック等が
急に復帰したとしても、発進用の摩擦係合要素の急係合
によるショックの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動変速機の制御装置により制
御される自動変速機のスケルトン図である。
【図2】 自動変速機の各変速段におけるクラッチ、ブ
レーキの係合表である。
【図3】 自動変速機の各速度段におけるプラネタリギ
ヤの各要素の回転数比を示す速度線図である。
【図4】 クラッチC-1を係脱する油圧サーボ装置を示
す図である。
【図5】 自動変速機の制御装置を示すブロック図であ
る。
【図6】 制御プログラムのフロー図である。
【符号の説明】
10・・・自動変速機、11・・・トルクコンバータ
(流体伝動装置)、12・・・変速機構、20・・・入
力軸、21・・・出力軸、25・・・マニュアルバル
ブ、26・・・油圧サーボ装置、27・・・増幅弁、2
9・・・切換弁、32・・・リニアソレノイド調圧弁、
35・・・リニアソレノイド、36,40・・・弁体、
50・・・制御装置、51・・・エンジン側回転数セン
サ、52・・・入力軸回転数センサ、53・・・スロッ
トル開度センサ、55・・・車速センサ、56・・・レ
ンジ位置センサ、C-1・・・第1クラッチ(発進用の摩
擦係合要素)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早渕 正宏 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 西田 正明 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 筒井 洋 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 Fターム(参考) 3J552 MA02 MA12 NA01 NB01 PA03 PB01 RA20 RB17 RC14 SA07 VA07W VA32W VA61W VA66W VC03W VD01W

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンからの回転が入力される変速機
    構と、車両を発進するときに係合される発進用の摩擦係
    合要素と、ソレノイド弁に供給される電気信号に応じた
    出力油圧を給排して前記摩擦係合要素を係脱させる油圧
    サーボ装置と、エンジンの負荷状態を検出するエンジン
    負荷検出装置とを備えた自動変速機の制御装置におい
    て、前記摩擦係合要素を係合する指令に応じた出力油圧
    が供給されていないと判断したとき、エンジンが所定の
    高負荷状態であるか否か判定し、所定の高負荷状態の場
    合は前記摩擦係合要素を解放する指令を送出する制御装
    置を備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの回転が流体伝動装置を介して
    伝達される変速機構と、車両を発進するときに係合され
    る発進用の摩擦係合要素と、ソレノイド弁に供給される
    電気信号に応じた出力油圧を給排して前記摩擦係合要素
    を係脱させる油圧サーボ装置と、エンジンの負荷状態を
    検出するエンジン負荷検出装置とを備えた自動変速機の
    制御装置において、前記摩擦係合要素を係合する指令に
    応じた出力油圧が供給されていないと判断したとき、エ
    ンジンが所定の高負荷状態であるか否か判定し、所定の
    高負荷状態の場合は前記摩擦係合要素を解放する指令を
    送出し、高負荷状態から所定の低負荷状態になったとき
    前記摩擦係合要素を係合する指令を送出する制御装置を
    備えたことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 走行レンジが選択され、且つ前記発進用
    の摩擦係合要素を係合する指令に応じた出力油圧が供給
    されていないと判断したとき、エンジンが所定の高負荷
    状態であるか否か判定することを特徴とする請求項1又
    は2に記載の自動変速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 非走行レンジが選択された状態から走行
    レンジが選択され、且つ前記発進用の摩擦係合要素を係
    合する指令に応じた出力油圧が供給されていないと判断
    したとき、エンジンが所定の高負荷状態であるか否か判
    定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
    載の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記エンジン負荷検出装置は、前記摩擦
    係合要素の入力側回転数を検出することにより、エンジ
    ンの負荷状態を検出することを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記エンジン負荷検出装置は、スロット
    ル開度を検出することにより、エンジンの負荷状態を検
    出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記
    載の自動変速機の制御装置。
  7. 【請求項7】 前記制御装置は、前記摩擦係合要素を係
    合する指令を送出した後、所定時間経過後に所定の出力
    油圧が供給されたか否かを判断することを特徴とする請
    求項1乃至6のいずれかに記載の自動変速機の制御装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112780763A (zh) * 2019-11-06 2021-05-11 株式会社斯巴鲁 车辆用控制装置

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