JP2003231983A - 鋼帯の変色防止装置及び変色防止方法 - Google Patents

鋼帯の変色防止装置及び変色防止方法

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JP2003231983A
JP2003231983A JP2002031801A JP2002031801A JP2003231983A JP 2003231983 A JP2003231983 A JP 2003231983A JP 2002031801 A JP2002031801 A JP 2002031801A JP 2002031801 A JP2002031801 A JP 2002031801A JP 2003231983 A JP2003231983 A JP 2003231983A
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preventing
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太郎 小出
Jun Suzuki
純 鈴木
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼帯を酸洗する酸洗処理の洗浄工程における鋼
帯の変色の発生を防止するに際し、比較的簡易な装置に
より比較的低コストで変色を確実に防止でき、長時間の
ライン停止時においても効果的に変色を防止できるよう
にする。 【解決手段】ライン運転時には、液体侵入防止装置13
によりスプレー洗浄槽2等の洗浄工程からリンガーロー
ル部分Aへの液体の浸入を阻止し、ライン停止時には、
リンガーロール4の上ロール4aを鋼帯Sから上昇退避
させ、かつ、ブロー配管11により鋼帯表裏面の液体を
除去して乾燥し、リンガーロール部分Aでの変色を確実
に防止する。必要に応じて、ライン停止前のライン徐動
時に、リンガーロール部分Aまたはその出側において塗
布装置12で鋼帯Sの表裏面に変色防止剤を塗布し、洗
浄工程での変色も防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼帯を酸洗する酸
洗処理の洗浄工程において、鋼帯の変色の発生を防止す
る装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼帯の酸洗処理においては、酸洗工程の
酸洗槽に鋼帯を通過させて鋼帯の表面に生成している酸
化鉄層を除去した後、リンガーロールを経て洗浄工程に
入る。洗浄工程に入る前には、鋼帯表面に付着している
酸を可能な限り取り除いておくことが望ましく、そうし
た目的から上下一対のリンガーロール(絞りロール)を
2〜3列並べて配設するのが一般的である。洗浄工程で
は、鋼帯の表裏面にスプレー水を噴射した後、浸漬リン
ス槽を通過させ、酸を洗い流した後に熱風で乾燥させる
のが一般的である。浸漬リンス槽を用いず、スプレー水
のみで洗浄する場合もある。
【0003】このような洗浄工程では、通板速度の高い
定常操業状態においては美麗な表面性状を有する鋼帯を
製造することができるが、鋼帯の先後端部等の低速通板
時またはライン停止時には、鋼帯表面に酸が残存した状
態で空気中に晒される時間が長くなるため、洗浄未完領
域において鋼帯表面に残存している酸による変色が発生
する。
【0004】この変色を防止するため、例えば特開昭6
4−15386号公報では、通板速度低下時に酸洗出側
で鋼帯表面にキレート化剤を主成分とする黄変防止処理
液を塗布し、該キレート化剤により鉄イオンを捕捉して
安定なキレート化合物を生成させることにより、ライン
停止時または低速通板時に酸洗槽後面で発生する黄変を
防止する技術が開示されている(従来技術1)。
【0005】また、前述の黄変防止処理液による変色防
止技術適用時のコスト増加を抑えるべく、特開2000
−178775号公報では、黄変抑制薬剤を含むリンス
液と窒素ガスとを混合して気水ノズルからリンガーロー
ルと鋼帯の接触部位に吹き付けることにより、少ない薬
剤の使用で変色を防止する技術も提案されている(従来
技術2)。
【0006】さらに、特許第3048704号公報で
は、低速通板域または通板停止時に発生した錆または黄
変色部を鋼帯の通板方向を逆転させて再度酸洗槽に浸漬
した後に、再度正転することで錆または黄変色部を酸洗
除去する技術が開示されている(従来技術3)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1、2におけ
る変色防止剤としては、キレート化剤の水溶液が一般的
であるが、これらは高価な薬剤であり、ラインが長時間
停止する場合には大量の変色防止剤を必要とするため、
コストの増加を避けることができなかった。
【0008】また、従来技術3のライン逆転方式は、作
業能率が低下するばかりでなく、大きな設備改造が必要
となり、かつ、スリ疵等の発生を誘発するため、実用的
ではない。
【0009】また、特開昭61−195984号公報で
は、ライン停止時に水スプレーを停止し、この水スプレ
ー帯に位置する鋼帯を空気吹き付けにより全面乾燥させ
ることで、変色を防止する技術が示されているが(従来
技術4)、鋼板が乾燥するまでの僅かな時間に部分的に
変色が発生してしまうことがあり、十分ではなかった。
【0010】本発明は、前述のような問題を解消すべく
なされたもので、鋼帯を酸洗する酸洗処理の洗浄工程に
おける鋼帯の変色の発生を防止するに際し、比較的簡易
な装置により比較的低コストで変色を確実に防止するこ
とができると共に、長時間のライン停止時においても効
果的に変色を防止することができる鋼帯の変色防止装置
及び変色防止方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1は、鋼
帯を酸洗する酸洗処理の洗浄工程における鋼帯の変色を
防止する鋼帯の変色防止装置であり、酸洗槽の出側に配
設され、鋼帯を挟持して酸を除去可能な上下ロールのい
ずれか一方または両方のロールが昇降可能とされたリン
ガーロールと、このリンガーロール部分に配設されて鋼
帯面の液体を除去可能な気体噴射装置と、前記リンガー
ロール部分の洗浄工程側に配設され、洗浄工程からリン
ガーロール部分への液体の浸入を阻止する液体侵入防止
装置を有することを特徴とする鋼帯の変色防止装置であ
る。
【0012】この請求項1において、酸洗槽は塩酸槽が
一般的であり、洗浄工程はスプレー洗浄槽のみあるいは
スプレー洗浄槽と浸漬リンス槽からなる。洗浄工程で洗
浄された鋼帯は乾燥工程で乾燥される。酸洗槽出側のリ
ンガーロールは、通常、上下ロールが1〜3組配設され
ている。上下一対のリンガーロールは、上ロールのみ、
もしくは、下ロールのみ、あるいは、上下ロール共、昇
降可能とし、エアシリンダ等のアクチュエータで鋼帯面
から退避させる。気体噴射装置は、そのヘッダーをリン
ガーロール部分の鋼帯面の上または下に配設し、ノズル
から噴射したエア等の気体で滞留水等を吹き飛ばし、乾
燥させる。液体侵入防止装置は、液体侵入防止板、液体
侵入防止ローラあるいは液体侵入防止用の気体噴射装置
等を洗浄工程側のリンガーロールに近接配設し、スプレ
ー洗浄槽からリンガーロール部分への液体の浸入を阻止
する。なお、気体噴射装置および液体侵入防止装置は、
鋼帯を挟んで上下に配設するのが好ましい。
【0013】本発明の請求項2は、請求項1に記載の変
色防止装置において、リンガーロール部分またはその出
側に配設されて鋼帯面に変色防止剤を塗布する塗布装置
を有することを特徴とする鋼帯の変色防止装置である。
【0014】この請求項2は、鋼帯の黄変を防止する変
色防止剤を塗布する塗布装置を必要に応じて設置する場
合である。この塗布装置は、スプレー噴射ヘッダーをリ
ンガーロール部分またはその出側に配設し、変色防止剤
を鋼帯面に噴射して塗布する。なお、この塗布装置も、
鋼帯を挟んで上下に配設するのが好ましい。
【0015】本発明の請求項3は、鋼帯を酸洗する酸洗
処理の洗浄工程における鋼帯の変色を防止する方法であ
り、請求項1に記載の変色防止装置を使用し、リンガー
ロール回転駆動時(ライン運転時)には、液体侵入防止
装置により洗浄工程からリンガーロール部分への液体の
浸入を阻止し、リンガーロール回転停止時(ライン停止
時)には、上下リンガーロールのいずれか一方または両
方のロールを鋼帯から退避させ、かつ、気体噴射装置に
より鋼帯面の液体を除去することを特徴とする鋼帯の変
色防止方法である。
【0016】即ち、ライン運転時における通板速度の高
い定常操業状態においては、美麗な表面性状を有する鋼
帯を製造することができるため、液体侵入防止装置によ
り洗浄工程からリンガーロール部分への液体の浸入を阻
止するだけとし、これにより、その後のライン徐動時及
びライン停止時に滞留水と酸により変色が発生するのを
防止する。そして、ライン停止時には、リンガーロール
を鋼帯面から退避させ、鋼帯表裏面の有害な液溜まりの
生成を無くし、さらに、気体噴射により鋼帯表裏面の滞
留液体を吹き飛ばし、乾燥状態を保持する。
【0017】本発明の請求項4は、請求項3に記載の変
色防止方法において、リンガーロール回転停止(ライン
停止時)前のリンガーロール回転徐動時(ライン徐動
時)に、リンガーロール部分またはその出側において鋼
帯面に変色防止剤を塗布することを特徴とする鋼帯の変
色防止方法である。リンガーロール回転停止時(ライン
停止時)には、変色防止剤の塗布を停止するのが好まし
い。
【0018】この請求項4は、必要に応じて鋼帯の黄変
を防止する変色防止剤をライン停止前のライン徐動時に
塗布する場合である。即ち、本発明では変色防止剤を使
用しなくても酸洗槽出側のリンガーロール部分の変色を
確実に防止することができるが、その下流側の洗浄工程
での比較的緩やかな変色も防止したい場合、リンガーロ
ール部分またはその出側において変色防止剤を塗布す
る。
【0019】変色の発生機構は、鋼帯表面の溶出鉄イオ
ンが塩酸と反応して塩化鉄が生成し、次いでこれが水と
反応して2価の水酸化鉄Fe(OH)2が生成し、さらにこ
れが酸素及び水と反応して3価の水酸化鉄FeO・O
H,Fe(OH)3が生成することによる。変色の主原因と
なっているのは、この3価の水酸化鉄である。これは、
すなわち、変色が発生するためには、塩酸、酸素、水と
いう3要素が共存する必要があることを意味している。
洗浄工程で水洗しているにも関わらず、ライン停止時に
変色が発生するのは、鋼帯表面に残存している塩酸、空
気中に含まれる塩酸ヒューム、さらにスプレー水中に巻
き込まれる大気中の酸素、スプレー水そのものの中に含
まれる溶存酸素、そしてスプレー水と、変色の生成する
3要素が全て揃っているためである。
【0020】本発明は、上記変色発生機構に基づいてな
されたもので、その第1の特徴は、ライン停止時に酸洗
最終槽出側に位置するリンガーロール部分内を乾燥状態
に保つことにある。即ち、酸洗槽出側のリンガーロール
部分内において、鋼帯を取り巻く環境を塩酸と酸素のみ
にすることで、変色反応を著しく遅くすることができ
る。そこで、気体噴射で鋼帯上の滞留水を飛ばし、乾燥
状態を維持する。この時、リンガーロールが鋼帯と接し
ていると、その接触部に液溜まりが出来やすく、変色発
生条件が満たされてしまうため、ライン停止時はリンガ
ーロールの例えば上ロールを退避させる。これは、鋼帯
の上面のリンガーロール痕を防止するだけでなく、下面
のリンガーロール痕を防止する効果も併せ持つ。即ち、
上ロールを上昇させることで、鋼帯の反りやリンガーロ
ールの摩耗クラウンにより、鋼帯と下ロールの接触は点
接触状態となる。これにより、鋼帯表裏面の有害な液溜
まりの生成が防止できる。なお、下ロールを下降退避さ
せてもよいし、上下ロールを退避させるようにしてもよ
い。なお、酸洗槽出側のリンガーロール列が1列しかな
い場合も、同様にリンガーロールを開放してエア等の気
体噴射で乾燥させることにより、本発明の効果が得られ
ることは言うまでもない。
【0021】本発明では、更に酸洗槽出側に位置するリ
ンガーロール列のうち、最も下流側に位置する上下リン
ガーロールの洗浄工程側に液体侵入防止装置をそれぞれ
設置する。この液体侵入防止装置は、板状のものでも、
ロール状のものでもよい。また、ロールへのエア等の気
体吹き付けによっても液体の侵入防止を図ることが可能
である。図2(a) ,(b)には、リンガーロールの液体侵入
防止装置有り無しでのリンガーロール部分内の状況が模
式的に示されている。液体侵入防止装置無しの場合、リ
ンガーロール出側で鋼帯に供給される洗浄リンス水がリ
ンガーロールに付着し、リンガーロールの回転と共に上
流側に移動して行き、リンガーロール部分内に滞留水を
形成している。本発明者らが詳細に調査した結果、この
滞留水中にはリンガーロールで搾り取られた塩酸が濃化
しており、ライン停止時には殆ど瞬時にリンガーロール
部分内で変色を発生させることを突き止めた。一方、液
体侵入防止装置を有する図2(a) の場合、リンガーロー
ルに付着した洗浄水は液体侵入防止装置で掻き取られる
ため、リンガーロール部分内に水が浸入することはな
い。従って、本発明によれば、ライン停止時には、リン
ガーロールの例えば上ロールを上昇させ、エア等の気体
を供給するだけで、速やかに鋼帯表裏面を乾燥させるこ
とができる。
【0022】本発明では、特に変色防止剤を使用しなく
ても、前述した通り、酸洗槽出側のリンガーロール部分
には著しい効果を発揮するが、その後のスプレー槽、浸
漬リンス槽における比較的緩やかな変色をも防止する必
要がある場合には、ライン停止前の徐動時にリンガーロ
ール部分内もしくはリンガーロール部分の出側において
変色防止剤を噴射することで、リンガーロールから浸漬
リンス槽までの間の変色を長時間効果的に抑制すること
が可能である。変色防止剤は、化学親和力により鋼帯表
面に化学的に吸着し、変色反応の起点となる鉄イオンを
捕捉すると共に、鋼帯表面への酸素の供給を遮断する。
そのため、塩酸や水が存在する環境下でも変色反応を著
しく遅くする。なお、変色防止剤を用いる場合でも、酸
洗槽出側のリンガーロール部分内ではライン停止時には
変色防止スプレーの噴射は停止し、気体噴射装置により
乾燥状態を作る。これにより、最小のコストで効果的に
変色を防止できる。この場合は、ライン停止時に瞬時に
鋼帯表面において乾燥状態を作ることができないが、リ
ンガーロール部分内に滞留しているのは変色防止剤であ
るため、変色が発生することはない。
【0023】以上のように、本発明によれば、酸洗槽出
側のリンガーロール部分内に設置した開放可能なリンガ
ーロール、気体噴射装置、液体侵入防止装置等の比較的
簡易な装置により比較的低コストで酸洗槽出側リンガー
ロール部分内における変色を確実に防止することができ
る。さらに、ライン徐動時に変色防止剤を用いることに
より、酸洗槽出側リンガーロール部分及びその下流側の
洗浄工程の変色を最小のコストで確実に防止することが
できる。また、液体侵入防止装置で水の浸入を防止し、
ライン停止時には、リンガーロールの例えば上ロールを
上昇させ、かつ、エア等の気体ブローにより鋼帯表面を
乾燥させるため、さらに、変色防止剤を用いることによ
り、長時間のライン停止時においても効果的に変色を防
止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する一実施形
態に基づいて説明する。この実施形態は、鋼帯を塩酸に
より酸洗する酸洗処理の洗浄工程に本発明を適用した例
である。図1は、本発明が適用される酸洗処理設備の1
例を示したものである。図2(a) は、本発明で使用する
液体侵入防止装置の例を示したものである。図2(b)
は、液体侵入防止装置が無い場合の状況を示したもので
ある。
【0025】図1において、酸洗処理設備は、主に、酸
洗槽(塩酸槽)1と、スプレー洗浄槽2と、浸漬洗浄槽
(浸漬リンス槽)3、乾燥工程(図示省略)から構成さ
れ、酸洗槽1の最終塩酸槽とスプレー洗浄槽2との間
に、3組の上下ロールからなる酸洗槽出側リンガーロー
ル4が配設され、鋼帯Sの表裏面に付着している塩酸を
可能な限り取り除くようにされている。また、スプレー
洗浄槽2及び浸漬洗浄槽3の出側にそれぞれ中央リンガ
ーロール5、出側リンガーロール6が設置されている。
【0026】本実施形態においては、酸洗槽出側リンガ
ーロール4の3つの上ロール4aをエアシリンダ10で
昇降可能な構造とし、鋼帯Sに対して上方に退避できる
ようにしている。また、各リンガーロール4間に気体噴
射装置としてエアブロー装置のエアブロー配管(ヘッダ
ー)11を鋼帯Sを挟んで上下に配設し、ノズルから鋼
帯Sの表裏面にエアを吹き付けて、滞留液体を飛ばし、
鋼帯Sの表裏面を乾燥させる。さらに、このブロー配管
11に隣接して、変色防止剤塗布装置のスプレー噴射配
管(ヘッダー)12も上下に配設し、鋼帯Sの表裏面に
変色防止剤を塗布する。また、スプレー洗浄槽2側に位
置する最下流のリンガーロール4の上ロール4a3 及び
下ロール4b3 の下流側にそれぞれ液体侵入防止装置1
3を設置する。なお、変色防止剤のスプレー噴射配管1
2は、酸洗槽出側リンガーロール部分Aの出側に設置し
てもよい。
【0027】液体侵入防止装置13は、図2(a) に示す
ように、平板状の液体侵入防止板13a、液体侵入防止
ローラ13bあるいは液体侵入防止用の気体噴射装置
(ヘッダー)13cなどとし、液体侵入防止板13aの
先端あるいは液体侵入防止ローラ13bをロール表面に
当接させ、あるいは、ヘッダー13cのノズルからのエ
ア等の気体カーテンをロール表面に噴射して、スプレー
洗浄槽2からの液体を遮断し、酸洗槽出側リンガーロー
ル部分A内に液体が浸入するのを防止する。
【0028】以上のような構成の本発明の変色防止装置
を使用して、例えば次に示すように変色防止方法を実施
する。
【0029】(1) ライン運転時 酸洗槽出側リンガーロール4の上下ロールで鋼帯Sを挟
み、酸洗槽1からの塩酸を取り除く。液体侵入防止装置
13により、スプレー洗浄槽2から酸洗槽出側リンガー
ロール部分A内に液体が浸入するのを防止する。必要に
応じて、鋼帯Sの先後端部等におけるライン停止前の低
速通板時(徐動時)に、スプレー噴射配管12から鋼帯
Sの表裏面に変色防止剤(例えば、濃度0.2%)を噴
射し塗布する。ライン停止と同時に変色防止剤の噴射は
停止するのが好ましい。
【0030】(2) ライン停止時 ライン停止と同時に酸洗槽出側リンガーロール4の3つ
の上ロール4aをエアシリンダ10で上昇退避させ、エ
アブロー配管11のノズルから鋼帯Sの表裏面にエアを
吹き付けて、滞留液体を飛ばし、鋼帯Sの表裏面を乾燥
させる。
【0031】
【実施例】上記の変色防止装置を使用して試験を実施し
た。表1に試験条件と変色発生状況を示す。
【0032】表1において、実施例1〜3は、本発明の
効果を示す例である。実施例1、2は、ライン停止時
に、酸洗槽出側リンガーロール4の3つの上ロール4a
の開放、ブロー配管11によるエアブロー、液体侵入防
止装置13による液体侵入防止を実施した例であり、酸
洗槽出側リンガーロール部分A内は非常に美麗であり、
変色の発生は無かった。但し、下流側のスプレー洗浄槽
2、浸漬洗浄槽(浸漬リンス槽)3などで、軽度な変色
の発生が見られた。
【0033】実施例3は、実施例1、2の条件に加え、
ライン停止前の徐動時に酸洗槽出側リンガーロール部分
A内で変色防止剤(濃度0.2%)を噴射し塗布した例
である。ライン停止と同時に変色防止剤の噴射は停止
し、実施例1、2と同様のリンガーロール開放、エアブ
ロー、液体侵入防止により、酸洗槽出側リンガーロール
部分A内を乾燥させた。その結果、酸洗槽出側リンガー
ロール部分A内は10分停止後も美麗であり、変色の発
生は無く、また、スプレー洗浄槽や浸漬洗浄槽等の下流
域においても変色の発生は全く見られなかった。
【0034】比較例4は、ライン停止時にエアブローの
みを実施し、リンガーロール開放を行わなかった例であ
る。但し、リンガーロールの液体侵入防止は実施したた
め、酸洗槽出側リンガーロール部分A内への液体の浸入
は無く、リンガーロールと鋼帯の接触部に筋状の変色が
発生した以外は美麗であった。
【0035】比較例5は、比較例4と同条件であるが、
リンガーロールの液体侵入防止を行わなかった例であ
る。この場合、ライン運転時にリンガーロール表面に付
着した洗浄水が酸洗槽出側リンガーロール部分A内に浸
入し(図2(b) 参照) 、大きな液溜まりを形成したた
め、ライン停止後にエアブローで液体を除去したもの
の、既に強度の変色を生じていた。
【0036】比較例6は、ライン停止時のリンガーロー
ル開放と液体侵入防止は実施し、エアブローは実施しな
かった例である。液体侵入防止装置を使用したため、酸
洗槽出側リンガーロール部分A内は乾燥状態に近かった
が、大気中の水分などが影響し、リンガーロールが接触
していた部分を中心にマーク状の変色が発生した。
【0037】比較例7は、ライン停止時のリンガーロー
ル開放とエアブローは実施し、液体侵入防止は実施しな
かった例である。この場合、酸洗槽出側リンガーロール
部分A内には、塩酸が濃化した滞留水が発生し、エアブ
ローで乾燥状態を作るまでの間に既に激しい変色を生じ
ていた。
【0038】比較例8は、エアブローも液体侵入防止も
実施しなかった例であり、リンガーロールを上昇させて
も、鋼帯上の滞留液体はそのまま残存し、短時間で激し
い変色が酸洗槽出側リンガーロール部分A内の全面に発
生した。
【0039】
【表1】
【0040】なお、リンガーロールは、上ロールのみ上
昇退避させているが、下ロールのみ下降退避させてもよ
いし、上下ロール共に退避させるようにしてもよい。下
ロールを下降退避させる場合には、例えば図3に示すよ
うに、中央の下ロール4b2の基部の両側の支軸を中心
として、左右の下ロール4b1 ,4b3 を下方に回動可
能とする。下方に下降退避させた状態でブロー配管11
から気体を噴射させれば、鋼帯Sの下面は下ロール4b
1 ,4b3 から浮き上がり、鋼帯下面は乾燥状態とな
る。中央の下ロール4b2 の接触部は、鋼帯Sを徐動さ
せることで、直ぐに乾燥状態になる。また、気体噴射装
置、変色防止剤塗布装置、液体侵入防止装置は、鋼帯の
上下に配設しているが、鋼帯の上下のいずれか一方に配
設してもよい。また、気体噴射装置は、エアを吹き付け
る例を示したが、その他の気体を吹き付けるものでもよ
い。
【0041】
【発明の効果】(1) 本発明によれば、酸洗槽出側のリン
ガーロール部分内に設置した開放可能なリンガーロー
ル、気体噴射装置、液体侵入防止装置等の比較的簡易な
装置により比較的低コストで酸洗槽出側リンガーロール
部分内における変色を確実に防止することができる。
【0042】(2) 主としてライン徐動時に変色防止剤を
用いることにより、酸洗槽出側リンガーロール部分及び
その下流側の洗浄工程の変色を最小のコストで確実に防
止することができる。
【0043】(3) 液体侵入防止装置で液体の浸入を防止
し、ライン停止時には、リンガーロールを退避させ、か
つ、気体噴射装置により鋼帯表面を乾燥させるため、さ
らに、変色防止剤を用いることにより、長時間のライン
停止時においても効果的に変色を防止することができ
る。
【0044】(4) 以上のように変色が確実に防止される
ことにより、鋼帯の歩留り落ちを解消することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される酸洗処理設備の1例を示す
概略側面図である。
【図2】酸洗槽出側のリンガーロール部分の概略側面図
であり、(a) は本発明で使用する液体侵入防止装置の例
を示し、(b) は液体侵入防止装置が無い場合の状況を示
す。
【図3】本発明のリンガーロール部分におけるロール昇
降の変形例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
S……鋼帯 A……酸洗槽出側リンガーロール部分 1……酸洗槽(塩酸槽) 2……スプレー洗浄槽 3……浸漬洗浄槽(浸漬リンス槽) 4……酸洗槽出側リンガーロール 4a…上ロール 4b…下ロール 5……中央リンガーロール 6……出側リンガーロール 10……エアシリンダ 11……エアブロー配管(気体噴射装置) 12……スプレー噴射配管(変色防止剤塗布装置) 13……液体侵入防止装置 13a…液体侵入防止板 13b…液体侵入防止ローラ 13c…液体侵入防止用の気体噴射装置
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Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼帯を酸洗する酸洗処理の洗浄工程にお
    ける鋼帯の変色を防止する鋼帯の変色防止装置であり、
    酸洗槽の出側に配設され、鋼帯を挟持して酸を除去可能
    な上下ロールのいずれか一方または両方のロールが昇降
    可能とされたリンガーロールと、このリンガーロール部
    分に配設されて鋼帯面の液体を除去可能な気体噴射装置
    と、前記リンガーロール部分の洗浄工程側に配設され、
    洗浄工程からリンガーロール部分への液体の浸入を阻止
    する液体侵入防止装置を有することを特徴とする鋼帯の
    変色防止装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の変色防止装置におい
    て、リンガーロール部分またはその出側に配設されて鋼
    帯面に変色防止剤を塗布する塗布装置を有することを特
    徴とする鋼帯の変色防止装置。
  3. 【請求項3】 鋼帯を酸洗する酸洗処理の洗浄工程にお
    ける鋼帯の変色を防止する方法であり、請求項1に記載
    の変色防止装置を使用し、リンガーロール回転駆動時に
    は、液体侵入防止装置により洗浄工程からリンガーロー
    ル部分への液体の浸入を阻止し、リンガーロール回転停
    止時には、上下リンガーロールのいずれか一方または両
    方のロールを鋼帯から退避させ、かつ、気体噴射装置に
    より鋼帯面の液体を除去することを特徴とする鋼帯の変
    色防止方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の変色防止方法におい
    て、リンガーロール回転停止前のリンガーロール回転徐
    動時に、リンガーロール部分またはその出側において鋼
    帯面に変色防止剤を塗布することを特徴とする鋼帯の変
    色防止方法。
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