JP2003231813A - 繊維強化熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂組成物

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JP2003231813A
JP2003231813A JP2002032508A JP2002032508A JP2003231813A JP 2003231813 A JP2003231813 A JP 2003231813A JP 2002032508 A JP2002032508 A JP 2002032508A JP 2002032508 A JP2002032508 A JP 2002032508A JP 2003231813 A JP2003231813 A JP 2003231813A
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thermoplastic resin
fiber
resin
heat
resin composition
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JP2002032508A
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Manabu Nomura
学 野村
Masao Fujimoto
征夫 藤本
Yasumochi Hamada
泰以 濱田
Hiroshi Yui
浩 由井
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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SCIENCE NET KK
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱変形温度が高く、高い温度環境で使用でき
る耐熱性繊維強化樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 A)ガラス転移点Taを有するマトリッ
クス相を形成する非晶性熱可塑性樹脂、(B)融点Mb
又はガラス転移点Tbを有する分散相を形成する熱可塑
性樹脂、及び(C)強化繊維からなり、ガラス転移点T
aより20℃以上高い熱変形温度を有する耐熱性繊維強
化樹脂組成物。非晶性熱可塑性樹脂2に、他の熱可塑性
樹脂3を分散させ、強化繊維4と連結させていわゆる梁
構造を形成することにより熱変形温度を高める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性繊維強化樹
脂組成物に関し、特に、マトリックスを形成する熱可塑
性樹脂、分散相を形成する熱可塑性樹脂及び強化繊維か
らなる耐熱性繊維強化樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂に、各種強化繊維を均一に
分散させた繊維強化樹脂は、強度や剛性、耐熱性が高
く、様々な用途に用いられている。また、この強化繊維
による樹脂改質の手法は、非常に多くの樹脂に適用さ
れ、樹脂の重要な改質技術となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの技術
においても、熱可塑性樹脂の熱変形温度を、その樹脂の
ガラス転移点以上に高くすることはできず、製品の使用
温度によって、樹脂が使い分けられている。言い換えれ
ば、ある樹脂の使用温度の上限は、その樹脂のガラス転
移点で決定されることが従来の常識であった。本発明は
上記課題に鑑み、熱変形温度が高く、高い温度環境で使
用できる耐熱性繊維強化樹脂組成物を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明者らは、熱可塑性樹脂に、他の熱可塑性樹脂を
分散させ強化繊維と連結させていわゆる梁構造を形成す
ることにより、熱可塑性樹脂の熱変形温度を大幅に向上
できることを見出した。
【0005】本発明の第1の態様によれば、(A)ガラ
ス転移点Taを有するマトリックス相を形成する非晶性
熱可塑性樹脂、(B)融点Mb又はガラス転移点Tbを
有する分散相を形成する熱可塑性樹脂、及び(C)強化
繊維からなり、ガラス転移点Taより20℃以上高い熱
変形温度を有する耐熱性繊維強化樹脂組成物が提供され
る。ここで、熱変形温度はJIS K 7207 B法
(4.6kg/cm荷重)で測定した値である。本発
明の第2の態様によれば、(A)マトリックス相を形成
する非晶性熱可塑性樹脂、(B)分散相を形成する熱可
塑性樹脂、及び(C)強化繊維からなり、強化繊維
(C)の周囲が熱可塑性樹脂(B)に実質的に被覆され
て、強化繊維(C)と熱可塑性樹脂(B)が連結して梁
構造を形成している耐熱性繊維強化熱可塑性樹脂組成物
が提供される。
【0006】好ましくは、熱可塑性樹脂(B)の融点又
はガラス転移点が、非晶性熱可塑性樹脂(A)のガラス
転移点より高い。好ましくは、熱可塑性樹脂(B)の強
化繊維(C)との界面せん断強度Fbが、非晶性熱可塑
性樹脂(A)の強化繊維(C)との界面せん断強度Fa
よりも10MPa以上大きい。好ましくは、非晶性熱可
塑性樹脂(A)がポリスチレン系樹脂、又はポリカーボ
ネート系樹脂である。好ましくは、熱可塑性樹脂(B)
がポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、又はポリフ
ェニレンスルフィド系樹脂である。好ましくは、強化繊
維(C)がガラス繊維である。
【0007】好ましくは、雰囲気温度T℃の環境で24
時間使用できる。 T=非晶性熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点
【0008】
【発明の実施の態様】図1は本発明の一実施形態にかか
る耐熱性繊維強化樹脂組成物を説明するための概念模式
図である。図2は従来の繊維強化樹脂組成物を説明する
ための概念模式図である。図1に示すように、この耐熱
性繊維強化樹脂組成物1は、マトリックス相を構成する
結晶性熱可塑性樹脂2、分散相を構成する熱可塑性樹脂
3、及び強化繊維4を含む。強化繊維4の周囲は実質的
に熱可塑性樹脂3で覆われ、さらに、熱可塑性樹脂3と
強化繊維4は互いに連結して梁構造を形成し、繊維強化
樹脂組成物1全体を補強している。このような梁構造に
より熱変形温度が向上すると考えられる。ここで、「実
質的」とは、強化繊維4の周囲を完全に熱可塑性樹脂3
で覆う必要は無いが、大部分を覆って有意に熱変形温度
を向上させることのできる程度をいう。本発明の組成物
において、熱可塑性樹脂3のドメイン径が大きいので、
強化繊維4が熱可塑性樹脂3と連結しやすくなる。また
熱可塑性樹脂3の強化繊維4との界面せん断強度が、結
晶性熱可塑性樹脂2の強化繊維4との界面せん断強度よ
りも大きいので、強化繊維4は結晶性熱可塑性樹脂2と
の親和性に乏しく、熱可塑性樹脂3と親和(接着)しや
すくなり、強化繊維4が熱可塑性樹脂3と連結しやすく
なる。
【0009】強化繊維4と熱可塑性樹脂3の連結方法と
して以下の様なメカニズムが考えられる。即ち、強化繊
維4は結晶性熱可塑性樹脂2との親和性が乏しく、熱可
塑性樹脂3と接着し易いので、強化繊維4の周辺に熱可
塑性樹脂3が選択的に集まり、隣接する強化繊維間の隙
間に熱可塑性樹脂3が入り込む場合、又は、熱可塑性樹
脂3の周辺に強化繊維が集合して互いに連結する場合で
ある。いずれの場合においても、分散している強化繊維
同士が、熱可塑性樹脂3を連結点として結合し梁構造を
形成し、繊維強化樹脂組成物1全体を補強し、熱変形温
度を向上させる。即ち、本発明の組成物では、分散相を
構成する樹脂を強化繊維の径より大きな分散粒子径にな
るように分散させ、好ましくは、大きな層になるように
分散させ、その分散層を強化繊維で繋ぐ、即ち梁の構造
を形成させることにより、本特性が発揮される。そのと
き、強化繊維は、マトリックス樹脂よりも分散層樹脂と
の接着性が高い。
【0010】これに対し、一般に熱可塑性樹脂2に、相
溶性のない熱可塑性樹脂3のアロイを形成する場合、系
を安定させるために相溶化剤を用いることが常識的に行
われている。この場合は分散相のドメイン径は、微細に
安定に保たれる。そのため、一般的にはこうした系に強
化繊維4を加えることが行われている。その様にして得
られる繊維強化樹脂組成物の模式図が図2である。繊維
強化樹脂組成物5は、マトリックスを形成する結晶性熱
可塑性樹脂2に、強化繊維4と分散相を形成する熱可塑
性樹脂3が均一に分散している。この様な形態を持つ繊
維強化樹脂組成物5の熱変形温度は結晶性熱可塑性樹脂
2の融点によりほぼ決定され、それ以上の熱変形温度を
有することはない。
【0011】以下、上述したような本発明の耐熱性繊維
強化樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。繊維強
化樹脂組成物の熱変形温度は、非晶性熱可塑性樹脂
(A)のガラス転移点Taより高く、好ましくは、少な
くとも20℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに
好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上高
い。ただし、好ましくは、200℃を超えない。20℃
未満の熱変形温度の改善では実用上有為性が小さく、2
00℃を超えると、非晶性熱可塑性樹脂(A)より著し
く高融点の熱可塑性樹脂(B)を用いる必要があるた
め、非晶性熱可塑性樹脂(A)の熱分解等が起こり易く
なり好ましくない。
【0012】さらに、非晶性熱可塑性樹脂(A)と熱可
塑性樹脂(B)は非相溶であることが重要である。非晶
性熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を溶融ブレ
ンドした場合、相溶可能では、熱可塑性樹脂(B)が分
散相(梁構造)として存在することはできない。また、
相溶化剤等を用い熱可塑性樹脂(B)が形成する分散相
のドメイン径が小さくなった場合、得られる繊維強化樹
脂組成物の熱変形温度は改善されない恐れがある。
【0013】強化繊維(C)と熱可塑性樹脂(B)間の
界面せん断強度Fbが、強化繊維(C)と熱可塑性樹脂
(A)間の界面せん断強度Faよりも大きいことが好ま
しい。界面せん断強度は強化繊維(C)と熱可塑性樹脂
の親和性(接着性)を示しており、FbがFaより大き
いことは、熱可塑性樹脂(B)が非晶性熱可塑性樹脂
(A)よりも強化繊維(C)の周辺に集まり易い状態で
あることを意味する。この傾向が大きくなるほど、組成
物の熱変形温度が高くなり得る。界面せん断強度(τ)
はマイクロドロプレット法により測定する。測定方法は
ガラス繊維(断面の半径r)1本に溶融樹脂を付着させ
冷却し、樹脂球(直径L)を作製する。48時間状態調
整した後、23℃にて引抜速度0.06mm/分でガラ
ス繊維を引抜きそのときの最大荷重(F)を測定し、τ
=F/(2πrL)より求める。
【0014】上記の手段で測定したFbはFaよりも好
ましくは10MPa以上、さらに好ましくは15MPa
以上大きい。FbとFaの差が10MPa未満である場
合、得られる繊維強化樹脂組成物の熱変形温度が十分改
善されない恐れがある。
【0015】マトリックス相を形成する非晶性熱可塑性
樹脂(A)はガラス転移点を有する非晶性樹脂であれば
特に制限されないが、示差走査熱量測定(DSC、JI
SK 7121)で測定する結晶融解熱ΔHが20J/
g以下であることが好ましい。例えば、ポリスチレン系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン、アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)
等の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中で、好ましく
は、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であ
る。
【0016】分散相を形成する熱可塑性樹脂(B)は、
上記非晶性樹脂に限らず、融点を有する結晶性樹脂でも
よい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シンジ
オタクチックポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステル系樹脂、ナイロン、アラミド等の
ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリフ
ェニレンエーテル、エチレン系アイオノマー樹脂等が挙
げられる。上記結晶性樹脂、非晶性樹脂の中で樹脂
(B)は好ましくは、ポリアミド系樹脂、ポリエステル
系樹脂、又はポリフェニレンスルフィド系樹脂である。
また、樹脂(B)は好ましくは上記非晶性熱可塑性樹脂
(A)のガラス転移点よりも融点又はガラス転移点が高
い。好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上
高い。熱可塑性樹脂(A)より融点又はガラス点移転が
低いと樹脂(A)の熱変形温度を向上させる効果が十分
得られない恐れがある。
【0017】強化繊維(C)は、有機繊維、無機繊維の
どちらを用いてもよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊
維、アラミド繊維、セラミック繊維、ゾノトライト、ウ
ォラストナイト、スラグ繊維、セピオライト、ドーソナ
イト、石膏繊維等が挙げられる。好ましくは、ガラス繊
維、炭素繊維であり、特にガラス繊維が好ましい。組成
物中の強化繊維(C)の平均繊維長は好ましくは0.1
mm以上である。平均繊維長が0.1mm未満では効果
的に梁構造が形成できない恐れがある。組成物中の強化
繊維(C)の直径は、好ましくは3〜30μm、より好
ましくは6〜18μmである。直径が3μm未満では、
分散性が悪くなり、30μmより大きい場合は、強度の
低下が発生する場合がある。強化繊維(C)は熱可塑性
樹脂(B)との親和性を向上するため、表面処理を施す
ことが好ましい。この処理剤としては例えば、シラン
系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系、
ボラン系等のカップリング剤がある。特にアミノシラン
処理、エポキシシラン処理等の表面処理が好ましい。表
面処理剤を選択するときは、熱可塑性樹脂(A)より熱
可塑性樹脂(B)に良い接着性(親和性)を示す表面処
理剤を選択する。例えば、樹脂(A)が樹脂(B)より
極性が低い場合は、極性の高い(親水性)表面処理剤を
選択することが好ましい。
【0018】上記非晶性熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性
樹脂(B)の配合比率は、樹脂(A)と樹脂(B)の総
和を100重量%としたとき、樹脂(B)の比率が好ま
しくは50重量%未満、さらに好ましくは5〜45重量
%、特に好ましくは10〜40重量%である。樹脂
(B)の比率が5重量%未満になると梁構造を形成しな
くなり、50重量%を超えると層剥離が発生する恐れが
ある。
【0019】耐熱性繊維強化樹脂組成物の強化繊維
(C)の配合量は好ましくは10〜60重量%、より好
ましくは15〜45重量%である。配合量が10重量%
未満では、強化繊維(C)の効果が現れず、60重量%
を超えると、流動性や外観が悪化する恐れがある。
【0020】尚、上記熱可塑性樹脂(A)及び(B)
は、各熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲において、
酸化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、エラ
ストマー等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0021】次に、本発明の耐熱性繊維強化樹脂組成物
の製造方法について説明する。本発明の樹脂組成物は、
非晶性熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)を溶融
ブレンドした場合、分散相を形成する熱可塑性樹脂
(B)のドメイン径が大きくなるような不安定系とな
り、また、好ましくは、分散相の熱可塑性樹脂(B)と
強化繊維(C)の界面せん断強度Fbが、マトリックス
樹脂を形成する熱可塑性樹脂(A)と強化繊維(C)の
界面せん断強度Faに比べて、大きくなるように非晶性
熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び繊維
(C)を選定する。分散相の熱可塑性樹脂(B)のドメ
イン径を大きくするためには、例えば、非晶性熱可塑性
樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び繊維(C)を混合
するときにカルボン酸及びその誘導体等で変性された樹
脂(変性樹脂)(相溶化剤)を混合しないことが好まし
い。変性樹脂を混合すると分散相のドメイン径が微細に
なり、繊維全体を被覆したり、繊維間を連結させたりで
きない恐れがある。また、マトリックス樹脂を形成する
非晶性熱可塑性樹脂(A)を二軸押出機の上部から供給
し、強化繊維(C)と分散相を形成する熱可塑性樹脂
(B)をブレンドしたものを、二軸押出機の側面から供
給し、両者を溶融混練する。熱可塑性樹脂(B)を押出
機の側面から供給すると、分散相のドメイン径を大きく
保てるとともに、強化繊維(C)が選択的に分散相をつ
なぎ易くできる。但し、この方法に限らず強化繊維
(C)が熱可塑性樹脂(B)で連結された構造が形成さ
れればよい。分散相の熱可塑性樹脂(B)と強化繊維
(C)の界面せん断強度Fbを、マトリックス樹脂を形
成する熱可塑性樹脂(A)に比べて、大きくするために
は、強化繊維(C)を樹脂(A)より樹脂(B)に良い
接着性(親和性)を示す表面処理剤で処理することが好
ましい。
【0022】上記に説明したような本発明の樹脂組成物
は、従来考えられなかったような、熱可塑性樹脂(A)
と強化繊維(C)からなる組成物の熱変形温度よりはる
かに高い熱変形温度を有する。従って、樹脂(A)の使
用温度範囲を大幅に拡大できる。
【0023】また、雰囲気温度T℃の環境で24時間使
用することができる。 T=非晶性熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点 ここで、「使用できる」とは、プラスチックのヒートサ
グ試験(JIS K7195)によって、雰囲気温度T
℃で24時間測定したときのヒートサグ値が10mm以
下、好ましくは5mm以下、特に好ましくは0mmであ
る。
【0024】具体的には、例えば、コンピューター、O
A機器、VTR、TV、家庭用電気機器のハウジング、
カバー、内部機構部品、プリンターシャーシ、コネクタ
ー、温調付き便座、便蓋用材、自動車、自動二輪エンジ
ン近傍のカバー、機構部品、厨房電気器具等の用途が可
能となる。また、成形性にも優れる。
【0025】[実施例]以下、本発明の実施例を説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。なお、各例で得られた繊維強化樹脂組成物の
評価は下記の通りである。 (1)熱変形温度(HDT):JIS K7207 B
法(4.6kg/cm荷重)により測定した。 (2)分散相の大きさ:電子顕微鏡写真(倍率500
倍)により、分散相の長径を測定した平均値である。 (3)界面せん断強度:マイクロドロプレット法により
測定した。測定装置は複合材界面特性評価装置(東栄産
業社製)を使用した。 (4)ガラス転移点:示差走査熱量測定(DSC)によ
りJIS K 7121に準じて測定した。 (5)形態観察:電子顕微鏡により行った。 (6)ヒートサグ値:JIS K 7195に規定され
た試験片を作製し、同規格の試験片保持具にセットして
雰囲気温度100℃の恒温槽に24時間放置した後のヒ
ートサグ値を測定した。
【0026】実施例1 MI=5、ガラス点移転(以下、Tg)100℃の非晶
性ポリスチレン(出光石油化学製、出光ポリスチHH−
30、以下GPPS)を二軸押出機のホッパーに供給し
た。一方、融点231℃のナイロン6(宇部興産製、U
BEナイロン61013B)と、アミノシラン処理し
た、繊維径10μmのガラス繊維(旭ファイバーガラス
製、FT−17)をブレンドし、二軸押出機のサイドよ
り供給した。得られる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の構
成が、GPPS56重量%、ナイロン6 24重量%及
びガラス繊維20重量%となるように各供給量を調製
し、250℃で溶融混練を行い試料を作製した。ここ
で、ナイロン6をサイドフィードしたのは、分散径を大
きく保つとともに、ガラス繊維が選択的に分散相を繋ぎ
易くするためである。得られた試料の熱変形温度は19
7℃であった。上記のGPPS80重量%とガラス繊維
20重量%からなる組成物の熱変形温度は101℃であ
った。従って、この実施例の組成物は従来では考えられ
なかった高い耐熱性を示しているのが分かる。また、G
PPSとガラス繊維との界面せん断強度は5.6MPa
であり、ナイロン6のガラス繊維との界面せん断強度は
48MPaであり、ヒートサグ値は0mmであった。実
施例1及び下記比較例1〜3で得られた試料の構成成分
比率、融点、熱変形温度、及び界面せん断強度の測定結
果を表1に示す。
【0027】マトリックス樹脂であるGPPSを溶剤で
溶解し残った試料の形態を観察した結果、ガラス繊維を
ナイロン6が繋いでいる梁構造が観察された。また、分
散相の大きさを確認するため、ガラス繊維を添加しない
他は実施例1と同様の方法でサンプルを作製した。その
結果、層状の非常に大きな分散相(上記繊維径10μm
よりはるかに大きい)が確認された。この形態は、従来
のポリマーアロイの概念では悪しき形態と言われる状態
であった。
【0028】比較例1 実施例1と同じGPPS80重量%を二軸混練機のホッ
パーに供給した。一方、アミノシラン処理した直径10
μmのガラス繊維20重量%を二軸押出機のサイドより
供給し、250℃で溶融混練を行い試料を作製した。得
られた試料の熱変形温度は104℃で、マトリックス相
を形成するGPPSのガラス転移点と同程度であった。
また、GPPSとガラス繊維との界面せん断強度は5.
6MPaであり、ヒートサグ値は80mm(試験片の先
端が保持具の基板についた状態)であった。
【0029】比較例2 実施例1と同じGPPS75重量%と、相溶化剤として
変性率3.5重量%のマレイン酸変性ポリフェニレンオ
キシド5重量%を混合した後、二軸混練機のホッパーに
供給した。一方、アミノシラン処理した直径10μmの
ガラス繊維20重量%を二軸押出機のサイドより供給
し、250℃で溶融混練を行い試料を作製した。により
混練し、試料を作製した。得られた試料の熱変形温度は
109℃であった。また、GPPSとガラス繊維との界
面せん断強度は17.8MPaであり、ヒートサグ値は
80mm(試験片の先端が保持具の基板についた状態)
であった。
【0030】比較例3 実施例1と同じGPPS51重量%、マレイン酸変性ポ
リフェニレンオキシド5重量%及びナイロン6 24重
量%を混合して、二軸押出機のホッパーに供給した。一
方、アミノシラン処理した直径10μmのガラス繊維2
0重量%を二軸押出機のサイドより供給し、250℃で
溶融混練を行い、試料を作製した。得られた試料の熱変
形温度は115℃であった。また、GPPSとガラス繊
維との界面せん断強度は、17.8MPaであり、ナイ
ロン6のガラス繊維との界面せん断強度は、48MPa
であり、ヒートサグ値は80mm(試験片の先端が保持
具の基板についた状態)であった。電子顕微鏡により形
態観察した結果、ガラス繊維はマトリックス相であるG
PPS中に分散しており、ナイロン6も単独で平均長径
約1μmでGPPSの相に分散していた。分散相の大き
さを確認するため、ガラス繊維を添加しない他は比較例
3と同様の方法でサンプルを作製した。その結果、分散
相を形成するナイロン6は平均長径約1μmの非常に小
さな径で分散しており、マレイン酸変性ポリフェニレン
オキシドがGPPSとナイロン6の良い相溶化剤として
作用していることが確認できた。以上の結果、上記の比
較例では熱変形温度を大幅に改善できないことが判っ
た。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、熱変形温度が高く、高
い温度環境で使用できる耐熱性繊維強化樹脂組成物を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる耐熱性繊維強化樹
脂組成物を説明するための概念模式図である。
【図2】従来の繊維強化樹脂組成物を説明するための概
念模式図である。
【符号の説明】
1 耐熱性繊維強化樹脂組成物 2 マトリックス相を構成する非晶性熱可塑性樹脂 3 分散相を構成する熱可塑性樹脂 4 強化繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 学 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 藤本 征夫 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 (72)発明者 濱田 泰以 京都府京都市左京区松ヶ崎御所海道町 (72)発明者 由井 浩 東京都文京区本郷2−14−14 Fターム(参考) 4F205 AA13 AA24 AA28 AA29 AA34 AD04 AD16 AE10 AR06 HA13 HA29 HA34 HC16 HF02 4J002 BB032 BB122 BB232 BC031 BN151 CF062 CF072 CG001 CH072 CL002 CL062 CL063 CN012 CN031 DA016 DG056 DJ006 DL006 DM006 FA043 FA046 FB076 FB096 FB136 FB146 FB161 GN00 GQ00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ガラス転移点Taを有するマトリ
    ックス相を形成する非晶性熱可塑性樹脂、(B)融点M
    b又はガラス転移点Tbを有する分散相を形成する熱可
    塑性樹脂、及び(C)強化繊維からなり、ガラス転移点
    Taより20℃以上高い熱変形温度を有する耐熱性繊維
    強化樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)マトリックス相を形成する非晶性
    熱可塑性樹脂、(B)分散相を形成する熱可塑性樹脂、
    及び(C)強化繊維からなり、前記強化繊維(C)の周
    囲が前記熱可塑性樹脂(B)に実質的に被覆されて、前
    記強化繊維(C)と前記熱可塑性樹脂(B)が連結して
    梁構造を形成している耐熱性繊維強化熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂(B)の融点又はガラ
    ス転移点が、前記非晶性熱可塑性樹脂(A)のガラス転
    移点より高い請求項1又は2に記載の耐熱性繊維強化熱
    可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂(B)の前記強化繊維
    (C)との界面せん断強度Fbが、前記非晶性熱可塑性
    樹脂(A)の前記強化繊維(C)との界面せん断強度F
    aよりも10MPa以上大きい請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の耐熱性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記非晶性熱可塑性樹脂(A)がポリス
    チレン系樹脂、又はポリカーボネート系樹脂である請求
    項1〜4のいずれか一項に記載の耐熱性繊維強化熱可塑
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂(B)がポリアミド系
    樹脂、ポリエステル系樹脂、又はポリフェニレンスルフ
    ィド系樹脂である請求項1〜5のいずれか一項に記載の
    耐熱性繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記強化繊維(C)がガラス繊維である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐熱性繊維強化熱
    可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 雰囲気温度T℃の環境で24時間使用で
    きる請求項1〜7のいずれか一項に記載の耐熱性繊維強
    化樹脂組成物。 T=前記非晶性熱可塑性樹脂(A)のガラス転移点
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