JP2003225090A - 種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター - Google Patents

種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター

Info

Publication number
JP2003225090A
JP2003225090A JP2002028109A JP2002028109A JP2003225090A JP 2003225090 A JP2003225090 A JP 2003225090A JP 2002028109 A JP2002028109 A JP 2002028109A JP 2002028109 A JP2002028109 A JP 2002028109A JP 2003225090 A JP2003225090 A JP 2003225090A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
promoter
dna
seed
germination
gene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002028109A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003225090A5 (ja
JP4100494B2 (ja
Inventor
Kazuo Shinozaki
一雄 篠崎
Tokunori Yasuura
徳昇 保浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Oriented Technology Research Advancement Institution
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Sasaki Co Ltd
Original Assignee
Bio Oriented Technology Research Advancement Institution
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Sasaki Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bio Oriented Technology Research Advancement Institution, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research, Sasaki Co Ltd filed Critical Bio Oriented Technology Research Advancement Institution
Priority to JP2002028109A priority Critical patent/JP4100494B2/ja
Publication of JP2003225090A publication Critical patent/JP2003225090A/ja
Publication of JP2003225090A5 publication Critical patent/JP2003225090A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4100494B2 publication Critical patent/JP4100494B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 種子成熟後期及び発芽期に特異的誘導性を示
すプロモーターを提供する。 【解決手段】 以下の(a)、(b)又は(c)のDNAを含む、種
子成熟後期及び発芽期に特異的誘導性を示すプロモータ
ー。 (a) 特定の塩基配列からなるDNA (b) 特定の塩基配列において1若しくは複数の塩基が欠
失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、かつ種
子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーターとして
機能するDNA (c) 特定の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな
条件下でハイブリダイズし、かつ種子成熟後期及び発芽
期特異的誘導性プロモーターとして機能するDNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種子成熟後期及び
発芽期に特異的誘導性を示す新規なプロモーターに関す
る。
【0002】
【従来の技術】シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)
に関しては、遺伝子の配列決定プロジェクト等における
モデル植物として幅広く研究がなされており、2つの染
色体の完全なゲノム配列が決定されるに至り(Lin, X. e
t al., (1999) Nature 402, 761-768.; Mayer, K. et a
l., (1999) Nature 402, 769-777.)、約2万6千個の遺
伝子を有していると推定されている。
【0003】このようなゲノム情報をもとに植物特異的
な遺伝子やシロイヌナズナの様々な変異体を用いること
によって、植物全般に亘って重要な遺伝子の働きを解明
することが望まれている。シロイヌナズナに関するゲノ
ム機能研究から、植物が共通に持っている有用な遺伝子
の役割を理解も可能となっている。特に、今日までに、
シロイヌナズナの遺伝子のなかで環境応答、形態形成、
発生分化、光合成、物質代謝などに関わる植物に特徴的
な遺伝子の機能が明らかにされてきた。さらに、ゲノム
機能解析研究を通して、作物、樹木の育種や有用物質や
エネルギーの生産に関わる有用な遺伝子の探索も望まれ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、シロイヌナ
ズナ等の植物において、種子形成過程は、受精後盛んに
細胞分裂を繰り返して幼生としての形態形成を行う初期
段階と、細胞分裂を停止して貯蔵物質を蓄積し、乾燥耐
性を獲得して休眠状態に入る中・後期段階とに大分され
る。初期段階が終わった未熟種子は、適当な条件で培養
すれば発芽させることができ、胚発生を中断させて中・
後期段階に入ると考えられている。
【0005】しかしながら、上述したようなシロイヌナ
ズナに関する研究によっても、種子形成過程における所
定の期間に特異的に発現する遺伝子を同定した例は知ら
れていない。本発明は、種子形成過程における所定の期
間に特異的に発現する遺伝子を同定することによって、
種子成熟後期及び発芽期に特異的誘導性を示すプロモー
ターを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意研究を行った結果、種子成熟後期に特
異的に発現する遺伝子を同定し、そのプロモーター領域
を単離することに成功し、本発明を完成するに至った。 (1)以下の(a)、(b)又は(c)のDNAを含む、種子成熟後
期及び発芽期に特異的誘導性を示すプロモーター。 (a) 配列番号1の塩基配列からなるDNA (b) 配列番号1の塩基配列において1若しくは複数の塩
基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、
かつ種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター
として機能するDNA (c) 配列番号1の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズし、かつ種子成熟後期及
び発芽期特異的誘導性プロモーターとして機能するDNA
【0007】(2)上記種子成熟後期は、種子内のアブ
シジン酸合成が開始されてから完熟種子が完成するまで
の期間であることを特徴とする(1)記載のプロモータ
ー。 (3)上記発芽期は、完熟種子が完成してから発芽後12
日目までの期間であることを特徴とする(1)記載のプ
ロモーター。 (4)(1)記載のプロモーターを含む発現ベクター。 (5)(4)記載の発現ベクターに、さらに任意の遺伝
子が組み込まれた発現ベクター。 (6)(5)記載の発現ベクターを含む形質転換体。 (7)(5)発現ベクターを含むトランスジェニック植
物。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)ゲ
ノムに存在するAtNCED2遺伝子が種子内のアブシジン酸
量に応じて発現していることを見いだした。シロイヌナ
ズナ等の植物において、アブシジン酸は乾燥、低温スト
レス応答や耐性の獲得、種子の成熟、休眠、発芽などの
重要な生理機能に関わっている。また、アブシジン酸
は、種子形成過程における初期段階においては合成され
ず、中・後期段階に合成され始める。
【0009】従ってAtNCED2遺伝子のプロモーターは、
少なくとも、種子成熟後期に特異的に下流の遺伝子を発
現誘導する。AtNCED2遺伝子の上流1.9kbpの塩基配列を
配列番号1に示す。すなわち、本発明にかかるプロモー
ターは、以下の(a)、(b)又は(c)のDNAを含み、下
流に配された遺伝子を種子成熟後期及び発芽期に特異的
に発現させることができる。
【0010】(a) 配列番号1の塩基配列からなるDNA (b) 配列番号1の塩基配列において1若しくは複数の塩
基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなるDN
A (c) 配列番号1の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズするDNA
【0011】上記(b)に示すDNAにおいて、「複数の」
とは、下流に配された遺伝子を種子成熟後期及び発芽期
に特異的に発現させる機能を喪失しない限り、配列番号
1のDNAに対して欠失、置換若しくは付加する塩基の数
は限定しないことを意味する。具体的には、配列番号1
のDNAに対して、数100個程度の塩基が欠失、置換若しく
は付加された塩基配列であっても、下流に配された遺伝
子を種子成熟後期及び発芽期に特異的に発現させる機能
を喪失しない場合には本発明に係るプロモーターに含ま
れる。
【0012】上記(c)に示すDNAにおいて、ストリンジ
ェントな条件とは、ナトリウム濃度が25〜500mM、好ま
しくは25〜300mMであり、温度が42〜68℃、好ましくは4
2〜65℃を意味する。より具体的に、ストリンジェント
な条件とは、5×SSC(83mM NaCl、83mMクエン酸ナトリウ
ム)、温度42℃を意味する。すなわち、配列番号1のDNA
とは完全に一致しない塩基配列であっても、上記ストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、
且つ、下流に配された遺伝子を種子成熟後期及び発芽期
に特異的に発現させる機能を喪失しない場合には本発明
に係るプロモーターに含まれる。
【0013】ここで、「種子成熟後期及び発芽期に特異
的に発現させる」とは、種子成熟後期及び発芽期にプロ
モーターをさらしたときに、RNAポリメラーゼがプロモ
ーターに結合し、転写開始させる機能をいう。また、種
子成熟後期とは、種子内のアブシジン酸合成が開始され
てから完熟種子が完成するまでの期間を意味する。発芽
期とは、完熟種子が完成してから発芽後12日目までの期
間を意味する。
【0014】一旦、プロモーターの塩基配列が確定され
ると、その後は化学合成によって、又はクローニングさ
れたプローブを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩
基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイ
ズさせることによって、本発明に係るプロモーターを得
ることができる。さらに、部位特異的突然変異誘発法等
によって本発明に係るプロモーターの変異型であって変
異前のプロモーターと同等の機能を有するものを合成す
ることもできる。
【0015】なお、プロモーター配列に変異を導入する
には、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又は
これに準ずる方法を採用することができる。例えば部位
特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例
えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))な
どを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mu
tagenesis シリーズキットを用いて変異の導入が行われ
る。
【0016】1.プロモーターの単離 本発明のプロモーターは、種子形成過程における種子成
熟後期及び発芽期に特異的に発現されるAtNCED2遺伝子
の上流に存在するシスエレメントであり、転写因子と結
合して、その下流の遺伝子の転写を活性化する機能を有
するものである。本発明のプロモーターを単離するにあ
たり、まず、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に
おいて、種子形成過程の種子成熟後期に特異的に発現し
ている遺伝子として、AtNCED2遺伝子を以下のようにし
て同定する。
【0017】トウモロコシでは種子成熟後期におけるAB
A合成能欠損株が知られており、その遺伝子もすでにVp1
4遺伝子として単離されている。このVp14遺伝子と相同
性の高い遺伝子をシロイヌイスナのゲノム配列からBlas
tサーチにより収集した。得られる遺伝子の中で種子巾
のABA量の増加と同じパターン、つまり種子成熟期に発
現する遺伝子をノーザンハイブリダイゼーションにより
同定した。
【0018】このように、種子形成過程における種子成
熟後期及び発芽期に特異的に発現する遺伝子としてAtNC
ED2遺伝子を同定した後、当該AtNCED2遺伝子の上流1.9k
bpの塩基配列をプロモーターとして単離する。AtNCED2
遺伝子の上流1.9kbpの塩基配列を単離する際には、公知
の如何なる手法を用いてもよい。具体的に、シロイヌナ
ズナのゲノムDNAを抽出し、当該ゲノムDNAを鋳型として
所定の塩基配列を有する一対のプライマーを用いたPCR
により1.9kbpの塩基配列を特異的に増幅し、精製するこ
とによってAtNCED2遺伝子の上流1.9kbpの塩基配列を得
ることができる。PCRの際に用いる一対のプライマー
は、シロイヌナズナのゲノム塩基配列情報から適宜設計
することができ、この設計に基づいて化学合成により作
製することができる。
【0019】単離されたAtNCED2遺伝子の上流1.9kbpの
塩基配列が、その下流に配された遺伝子を種子成熟後期
及び発芽期に特異的に発現させる機能を有するか否か
は、例えば、後述する「2.」で構築した発現ベクター
を用いて検討することができる。すなわち、AtNCED2遺
伝子の上流1.9kbpの塩基配列の下流にマーカーとなる遺
伝子を組み込んだ発現ベクターを、所定の植物細胞に形
質転換し、得られた形質転換植物を育成する。このと
き、形質転換植物の育成の各段階でマーカー遺伝子の発
現レベルを観察し、当該マーカー遺伝子が種子成熟後期
及び発芽期に特異的に発現しているかを確認する。そし
て、マーカー遺伝子が種子成熟後期及び発芽期以外の生
育段階で発現しておらず、種子成熟後期及び発芽期のみ
に発現していることを確認することで、単離されたAtNC
ED2遺伝子の上流1.9kbpの塩基配列がその下流に配され
た遺伝子を種子成熟後期及び発芽期に特異的に発現させ
る機能を有することを実証することができる。
【0020】2.発現ベクターの構築 本発明に係る発現ベクターは、適当なベクターに上記
「1」で単離したプロモーターを連結(挿入)することに
より得ることができる。プロモーターを挿入するための
ベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定
されず、例えばプラスミド、シャトルベクター、ヘルパ
ープラスミドなどが挙げられる。
【0021】プラスミド DNAとしては、大腸菌由来のプ
ラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pU
C18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミ
ド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド
(例えばYEp13、YCp50等)などが挙げられ、ファージDNA
としてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EM
BL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さら
に、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物
ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクタ
ーを用いることもできる。
【0022】ベクターにプロモーターを挿入するには、
まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当
なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニング
サイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用さ
れる。本発明においては、任意遺伝子を発現させるた
め、上記発現ベクターに、さらに当該任意遺伝子を挿入
することができる。任意の遺伝子を挿入する手法は、ベ
クターにプロモーターを挿入する方法と同様である。任
意の遺伝子は特に限定されるものではない。
【0023】本発明に係るプロモーターは、その3'末端
にレポーター遺伝子、例えば、植物で広く用いられてい
るGUS遺伝子を連結して用いれば、GUS活性を調べること
でプロモーターの強さを容易に評価することができる。
なお、レポーター遺伝子としては、GUS遺伝子以外に
も、ルシフェラーゼ、グリーンフルオレセイントプロテ
インなども用いることができる。
【0024】このように、本発明においては、様々なベ
クターを用いることができる。さらに、本発明のプロモ
ーターに目的の任意遺伝子をセンス又はアンチセンス方
向で接続したものを作製し、これをバイナリーベクター
と呼ばれるpBI101(Clonetech社)などのベクターに挿入
することができる。
【0025】3.形質転換体の作製 本発明に係る形質転換体は、上記「2」で得られた発現
ベクターを宿主中に導入することにより得ることができ
る。ここで、宿主としては、プロモーター又は目的遺伝
子を発現できるものであれば特に限定されるものではな
いが、植物が好ましい。宿主が植物である場合は、形質
転換植物(トランスジェニック植物)は以下のようにし
て得ることができる。
【0026】形質転換の対象となる植物は、植物体全
体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物
組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は
植物培養細胞のいずれをも意味するものである。形質転
換に用いられる植物としては、アブラナ科、イネ科、ナ
ス科、マメ科等に属する植物(下記参照)が挙げられる
が、これらの植物に限定されるものではない。
【0027】アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis
thaliana) ナス科:タバコ(Nicotiana tabacum) イネ科:トウモロコシ(Zea mays) 、イネ(Oryza sativ
a) マメ科:ダイズ(Glycine max) 上記組換えベクターは、通常の形質転換方法、例えば電
気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテ
リウム法、パーティクルガン法、PEG法等によって植物
中に導入することができる。
【0028】例えばエレクトロポレーション法を用いる
場合は、パルスコントローラーを備えたエレクトロポレ
ーション装置により、電圧500〜1600V、25〜1000μF、2
0〜30msecの条件で処理し、遺伝子を宿主に導入する。
また、パーティクルガン法を用いる場合は、植物体、植
物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片
を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製
して使用してもよい。このように調製した試料を遺伝子
導入装置(例えばBio-Rad社のPDS-1000/He等)を用いて
処理することができる。処理条件は植物又は試料により
異なるが、通常は1000〜1800psi程度の圧力、5〜6cm程
度の距離で行う。
【0029】また、植物ウイルスをベクターとして利用
することによって、目的遺伝子を植物体に導入すること
ができる。利用可能な植物ウイルスとしては、例えば、
カリフラワーモザイクウイルスが挙げられる。すなわ
ち、まず、ウイルスゲノムを大腸菌由来のベクターなど
に挿入して組換え体を調製した後、ウイルスのゲノム中
に、これらの目的遺伝子を挿入する。このようにして修
飾されたウイルスゲノムを制限酵素によって組換え体か
ら切り出し、植物宿主に接種することによって、目的遺
伝子を植物宿主に導入することができる。
【0030】アグロバクテリウムのTiプラスミドを利用
する方法においては、アグロバクテリウム(Agrobacteri
um)属に属する細菌が植物に感染すると、それが有する
プラスミドDNAの一部を植物ゲノム中に移行させるとい
う性質を利用して、目的遺伝子を植物宿主に導入する。
アグロバクテリウム属に属する細菌のうちアグロバクテ
リウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefacien
s)は、植物に感染してクラウンゴールと呼ばれる腫瘍を
形成し、また、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrob
acteriumu rhizogenes)は、植物に感染して毛状根を発
生させる。これらは、感染の際にTiプラスミド又はRiプ
ラスミドと呼ばれる各々の細菌中に存在するプラスミド
上のT-DNA領域(Transferred DNA)と呼ばれる領域が植物
中に移行し、植物のゲノム中に組み込まれることに起因
するものである。
【0031】Ti又はRiプラスミド上のT-DNA領域中に、
植物ゲノム中に組み込みたいDNAを挿入しておけば、ア
グロバクテリウム属の細菌が植物宿主に感染する際に目
的とするDNAを植物ゲノム中に組込むことができる。形
質転換の結果得られる腫瘍組織やシュート、毛状根など
は、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いる
ことが可能であり、また従来知られている植物組織培養
法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サ
イトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、
ブラシノライド等)の投与などにより植物体に再生させ
ることができる。
【0032】上記「2」で得られた発現ベクターは、上
記植物宿主に導入するのみならず、大腸菌(Escherichia
coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス
(Bacillus subtilis)等のバチルス属、又はシュードモ
ナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス
属に属する細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Sacchar
omyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Sch
izosaccharomyces pombe)等の酵母、COS細胞、CHO細胞
等の動物細胞、あるいはSf9等の昆虫細胞などに導入し
て形質転換体を得ることもできる。大腸菌、酵母等の細
菌を宿主とする場合は、本発明の組換えベクターが該細
菌中で自律複製可能であると同時に、本発明のプロモー
ター、リボソーム結合配列、目的遺伝子、転写終結配列
により構成されていることが好ましい。また、プロモー
ターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
【0033】細菌への組換えベクターの導入方法は、細
菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるもので
はない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレク
トロポレーション法等が挙げられる。酵母を宿主とする
場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharom
ycescerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizo
saccharomyces pombe)などが用いられる。酵母への組換
えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法で
あれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション
法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられ
る。
【0034】動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞CO
S-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細
胞)、マウスL細胞などが用いられる。動物細胞への組
換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポ
レーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション
法等が挙げられる。昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9
細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの
導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフ
ェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げら
れる。
【0035】遺伝子が宿主に組み込まれたか否かの確認
は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザ
ンハイブリダイゼーション法等により行うことができ
る。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プ
ライマーを設計してPCRを行う。PCRは、前記プラスミド
を調製するために使用した条件と同様の条件で行われ
る。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳
動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー
電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等に
より染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出
することにより、形質転換されたことを確認する。ま
た、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いて
PCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さら
に、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、
蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法も採
用してもよい。
【0036】4.植物の製造 本発明に係るトランスジェニック植物は、上記「3」で
得られた形質転換植物細胞等から形質転換植物体に再生
することで得ることができる。再生方法としては、カル
ス状の形質転換細胞をホルモンの種類、濃度を変えた培
地へ移して培養し、不定胚を形成させ、完全な植物体を
得る方法が採用される。使用する培地としては、LS培
地、MS培地などが例示される。
【0037】得られたトランスジェニック植物は、種子
形成過程における種子成熟後期に特異的に、本発明に係
るプロモーターの下流に配された遺伝子を発現させるこ
とができる。これにより、成熟種子に所望の形質を付与
することができ、例えば、各種環境に対して耐性を有す
る種子や、発芽時期が制御された種子、所望の物質を蓄
積した種子等を得ることができる。例えば、本発明に係
るプロモーターの下流に発芽抑制に関わる遺伝子を導入
することによって、種子の発芽を抑制することができ
る。例えば、本発明に係るプロモーターの下流に休眠に
関わる遺伝子を導入することによって、野生型と比較し
て深い休眠状態を維持することができる。例えば、本発
明に係るプロモーターの下流に人体に有用な物質生産に
関わる遺伝子を導入することによって、成熟種子内に有
用物質を蓄積させることができる。
【0038】形質転換植物体から植物種子を得るには、
例えば、形質転換植物体を発根培地から採取し、水を含
んだ土を入れたポットに移植し、一定温度下で生育させ
て、花を形成させ、最終的に種子を形成させる。また、
種子から植物体を生産するには、例えば、形質転換植物
体上で形成された種子が成熟したところで、単離して、
水を含んだ土に播種し、一定温度、照度下で生育させる
ことにより、植物体を生産する。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範
囲が限定されるものではない。 〔1〕 プロモーターの単離 先ず、シロイヌナズナ(Colombia)において、AtNCED2遺
伝子が種子成熟後期に特異的に発現していることをノー
ザンブロット分析によって確認した。開花後、5日目、8
日目、11日目、13日目及び15日目のシロイヌナズナの莢
から全RNAをそれぞれ抽出した。RNAの抽出は、S.Naito
らの方法(Plant. Physiol. 104: 497-503 (1994))に
従った。抽出したRNAの15μgを、0.66Mホルムアルデヒ
ドを含む1.2%アガロースゲルで電気泳動した。その
後、10×SSC(1.5M NaCl、0.15Mクエン酸ナトリウムを
含む)を用いて、当該ゲルをナイロンメンブレンフィル
ター(Nylon Membranes, positively charged;ロシュ社
製)に2昼夜キャピラリーブロットした。その後、当該
フィルターを80℃で2時間ベーキングした。
【0040】プローブとしてはAtNCED2遺伝子のアンチ
センスRNAを用いた。AtNCED2遺伝子のアンチセンスRNA
は、pBluescriptII SK(-)-AtNCED2(Iuchi, S et al, P
lantJournal 27, 325-333 (2001))をNheI処理して得
られたDNA断片から、DIG-11-dUTPを用いたin vitro ト
ランスクリプション法により合成した。
【0041】ベーキング後の上記フィルターと上記プロ
ーブとを用いて、ハイブリダイゼーションを行った。ハ
イブリダイゼーションは、ロシュ社製のDIG Northern S
tarter Kitを用い、キットに添付された説明書に記載さ
れた方法に従って行った。ハイブリダイゼーションの結
果を図1に示す。
【0042】この図1からAtNCED2遺伝子は、開花後13
日目あたりから発現し始め、15日目には発現量が増加す
ることが明らかになった。この結果より、AtNCED2遺伝
子は、シロイヌナズナの種子成熟後期に特異的に発現し
ていることが明らかとなった。そこで、AtNCED2遺伝子
の種子成熟後期特異的な発現を制御すると考えられたプ
ロモーターを単離した。
【0043】先ず、シロイヌナズナ(Colombia)の染色体
DNAを以下のように抽出した。すなわち、シロイズナの
組織の一部を1.5ml容チューブに入れ、200μlの3%CTAB
buffer[3% CTAB, 100mM Tris-HCl(pH8.0), 1.4M NaC
l, 20mM EDTA(pH8.0)]を加えてホモジェナイザー等で
すりつぶした。次に、300μlの3% CTABを加え懸濁後60
℃で30分間インキュベーションする。次に、500μlのク
ロロホルムを加えて転倒混和して遠心後、上清を新しい
チューブに移す。これに0.7容のイソプロパノールを加
え転倒混和後、遠心して上清を取り除き、ペレットに対
して70%エタノールを1ml加え直ちに遠心して上清を取
り除く。ペレットを乾燥後、50μlのTE[10mM Tris-HCl
(pH8.0), lmM EDTA(pH8.0)]を加えて懸濁する事により
染色体DNAを抽出した。
【0044】次に、得られた染色体DNAを鋳型とし、5’
側プライマーとしてNCED2P HindIII5’(AAGCTTGAAT TCG
ATTATGG ACTACGGTTT TAGAGTTGCA AGA:配列番号2)及び
3’側プライマーとしてNCED2P SpeI3’(ACTAGTCTTC GGT
ATAGAGA GGCTTGAGAC AGTG:配列番号3)を用いたPCRを
行った。PCRは、一反応あたり50μlの反応液を用い、変
性反応95℃30秒、アニーリング反応56℃30秒及び伸長反
応72℃3分を1サイクルとして25サイクル行った。なお、
反応液は、200nMのdNTP混合液、1μMの上記各プライマ
ー及び1.25ユニットのLA Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造
社製)を含むLAバッファーを含んでいる。
【0045】PCRに用いたプライマーNCED2P HindIII5’
及びNCED2P SpeI3’は、既に決定されているシロイヌナ
ズナ(Colombia)の染色体DNA塩基配列情報に基づいて設
計した。これらプライマーNCED2P HindIII5’及びNCED2
P SpeI3’によって増幅されたDNA断片は、AtNCED2遺伝
子の上流に存在する1977bpのDNA断片であり、AtNCED2遺
伝子の時期特異的な発現を制御すると考えられた。
【0046】〔2〕 発現ベクターの構築 上記〔1〕で単離したDNA断片が時期特異的な発現を制御
するプロモーターであることを確認するために、当該DN
A断片及びを導入した発現ベクターを以下のように構築
した。得られたDNA断片をHindIIIで処理し、予めSpeIで
処理したpBluescriptII SK(-)(ストラタジーン社製)
と連結反応を行った。反応産物をSK(-)-NCED2とした。
なお、SK(-)-NCED2の塩基配列を決定することによっ
て、〔1〕で単離したDNA断片が配列番号1に示す塩基配
列を含むことを確認した。
【0047】次に、SK(-)-NCED2をHindIII及びSpeIで処
理し、得られた断片を予めHindIII及びSpeIで処理したp
IG121(Akama, K. et al., Plant Cell Rep., 12, 7-11
(1992))に連結した。得られたベクターをpIG121-NCED
2pとした。pIG121-NCED2pは、上記〔1〕で単離したDNA
断片の下流にGUS遺伝子を含んでいる。
【0048】〔3〕形質転換体の作製 上記〔1〕で単離したDNA断片が時期特異的な発現を制御
するプロモーターであることを確認するために、上記
〔2〕で得られた発現ベクターpIG121-NCED2pを用いて、
以下のようにシロイヌナズナを形質転換した。
【0049】先ず、上記〔2〕で得られた発現ベクターp
IG121-NCED2pをアグロバクテリウムGV3101に遺伝子導入
した。次に、アグロバクテリウムGV3101を用いて減圧浸
潤法によりシロイヌナズナ(Colombia)を形質転換した。
すなわち、まず、pIG121-NCED2pをもつアグロバクテリ
ウムGV3101を100μl/mlリファンピシンと50μl/mlジェ
ンタマイシンおよび50μl/mlカナマイシンを含む3ml LB
培地に懸濁して28℃で2日間振とう培養する。次に、そ
の培養液を100μl/mlリファンピシンと50μl/mlジェン
タマイシンおよび50μl/mlカナマイシンを含む250ml LB
培地に移し、OD600値が1.2〜1.5になるまで28℃で振と
う培養する。
【0050】得られた培養液を遠心して菌体を沈殿させ
て上清を捨て、250ml浸潤用懸濁液[1/2 Murashige-Sko
og塩, 1/2 Gamborg B5 ビタミン,5% スクロース,0.5
mg/ml MES (pH5.7), 44nM ベンジルアミノプリン,0.02
% Silwet L-77]に懸濁する。得られた懸濁液に鉢を逆
さにして植物を浸ける。その状態で圧力が400 mm Hg (1
5inches Hg, 50 kPa)になるように調節して約10分間減
圧する。減圧解除後に植物を懸濁液から取り出して、約
2〜4週間で種子の収穫する事により、形質転換した種子
を得た。
【0051】形質転換されたシロイヌナズナは以下のよ
うに育成し、形質転換植物体を得た。すなわち、まず、
形成転換によって得られた種子を70%エタノール中に2
分間、5%ブリーチ・1% SDS中に15分間浸水後、減菌水
で3〜5回水洗する事により表面減菌した。表面滅菌後の
種子を0.1%滅菌寒天溶液に懸濁後、選択プレート培地
[Murashige-Skoog 塩,Gamborg B5 ビタミン,1%スク
ロース,0.5mg/ml MES(pH5.7), 200mg/ml クラフォラ
ン, 100mg/mlカナマイシン]に蒔いて、22℃で2週間静
置培養して生育してくる植物体を選択することにより形
質転換体を得た。
【0052】得られた形質転換植物体の葉、未熟な莢、
黄色くなって開列しかけけている莢及び完熟した種子を
それぞれ採取し、GUS活性を測定した。なお、対象とし
て形質転換を行っていない野生型のシロイヌナズナ(co
lombia)の種子についてもGUS活性を測定した。
【0053】GUS活性は、以下のように測定した。すな
わち、先ず、測定対象のサンプルを液体窒素で凍結させ
た後、粉末状になるまで粉砕処理した。次に、氷中に載
置したチューブ内で、粉末状のサンプルをGUS抽出用緩
衝液(100mMリン酸ナトリウム(pH7.2)、5mMDTT、20μg/
mlロイペプチン)に懸濁した。その後、4℃で15000rp
m、15分間遠心処理を行い、上清を氷中に載置した新し
いチューブに回収した。このチューブ内の溶液をGUS活
性測定の解析サンプルとした。
【0054】この解析サンプルを用いたGUS活性の測定
は、先ず、37℃にした4-メチルウンベリフェリル-β-D-
グルクロニド(4-methylumbelliferyl-β-D-glucronid
e;4MUG)緩衝液(20%メタノール、1mM 4MUG、50mMリン
酸ナトリウム(pH7.0)、1mM Na2EDTA、0.1%トリトンX-10
0を含む)112.5μlに解析サンプル75μlを加え、37℃で
インキュベートした。インキュベート開始後、15分、75
分及び195分で、反応液50μlを採取し、4mlの2%Na2CO3
を添加して良く混合することによって酵素反応を停止さ
せ、インキュベート開始後、15分、75分及び195分にお
けるGUS活性測定用サンプルを調製した。
【0055】次に、調製したGUS活性測定用サンプルに
ついて、分光蛍光光度計(F-2000型、日立製作所製)を
用いて、励起波長を365nmとし、455nmの蛍光波長を測定
した。標準試料としては、50nMの4-メチルウンベリフェ
ロン(4-methylumbelliferone;4MU)炭酸ナトリウム溶
液を用いた。GUS活性の値は、解析サンプルに含まれる
タンパク質量で標準化し、1μgのタンパク質あたりのGU
S活性とした。結果を図2に示す。
【0056】図2から、野生型のシロイヌナズナ(colo
mbia)の種子及び形質転換植物体の葉においては、GUS
活性がほとんど認められない。また、未熟な莢において
も、GUS活性がほとんど認められない。これに対して、
黄色くなって開列しかけけている莢及び完熟した種子に
おいては、GUS活性が認められた。このことから、上記
〔1〕で単離したDNA断片は、種子形成工程における種子
成熟後期から時期特異的に、下流の遺伝子を発現させる
プロモーターであった。
【0057】次に、得られた形質転換植物体から収穫し
た種子を発芽させ、上記〔1〕で単離したDNA断片の発芽
期におけるプロモーター活性を検討した。発芽期におけ
るプロモーター活性の検討は、種子を吸水させて発芽を
促進し、GUS染色によるGUS活性を経時的に観察すること
により行った。GUS染色は、染色対象のサンプルをGUS染
色液に浸漬し、その後、GUS染色液をバキューム装置に
より除去し、脱気後37℃で一晩静置することにより行っ
た。また、観察に際しては、染色を行ったサンプルをエ
タノール液に浸漬することによって、クロロフィル色素
を除去した。これにより、GUS染色がより明確に観察す
ることができた。
【0058】結果を図3〜図6に示す。図3は吸水処理
後0〜1日の写真であり、図4は吸水処理後2日の写真で
あり、図5(A)及び(B)は吸水処理後4日の写真であり、
図6(A)及び(B)は吸水処理後21日の写真である。また、
図5及び6において、(B)は(A)の根の部分を拡大して示
す写真である。なお、吸水処理を行わずにGUS染色を行
った種子の写真を図7に示す。
【0059】図3〜図5に示すように、発芽期におい
て、上記〔1〕で単離したDNA断片のプロモーター活性を
確認することができた。また、図6に示すように、発芽
期を過ぎた吸水処理後21日目には、上記〔1〕で単離し
たDNA断片のプロモーター活性を確認することができな
かった。さらに、図7に示すように、吸水処理を行って
いない種子において、上記〔1〕で単離したDNA断片のプ
ロモーター活性を確認することができた。したがって、
上記〔1〕で単離したDNA断片は、完全に成熟した種子内
において下流の遺伝子を発現させるとともに、発芽期に
おいても下流の遺伝子を特異的に発現させるプロモータ
ーであった。
【0060】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、種子成熟後期及び発芽期に特異的誘導性を示す
プロモーターを提供することができる。
【0061】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> RIKEN Bio-oriented Technology Research Advancement Institution <120> A novel promoter regulating a seed maturation <130> RJH13-133 <160> 3 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 1977 <212> DNA <213> Arabidopsis thaliana <400> 1 atggactacg gttttagagt tgcaagattt ttcctaacaa taataaattg acactaaaaa 60 tctttcgata gtaaatatat attcaatact tgcaaccatt cgagaaaaat gaacatagtc 120 taaaatacat gatcaactct catcaaatat aacatattac attattacta tattagatta 180 cgacgttata aaaacaattg gattagcatc atatttagta gcattcatat aaaattattg 240 tgacataaat tttcatgcaa tatttgtata gaataattcc aatattatat tgtcatacat 300 ttagctaaac tattgtcggg gtaaataatt gattctaggc tttggtccta ggtttatcta 360 caaatatatt aatactacta aattaaaaaa ttcagttagt gtatttagtc tggtgtgatg 420 ggtacatcag tctcagcatt ttcatgtgca ttgaatgtga acacccttac atcaaatctt 480 gacttctttt tcccgctttt tgggattgta atcagatgtc aatatttagt atttacacaa 540 aaacatttga tttgtgtaac aaagaagaac atgaatgaac tatatcaaag caaggcccaa 600 aaatatgaag cctaaatatt aaaattattt aacaaattcc catatctatg tctacatatg 660 tggtagaatt taaacgtaat atttgtttgg ctgtcaaaaa aaaaaaaaaa aaaacgtaat 720 atttgtttgg aactgtttgt atttcttttt tttcttaacg tttgtatgtc tatctcattt 780 ataactccga aagttgatcg cagtaactaa tgataggtat ttttcgaaac tgctgaccat 840 atttcactgt tgatggcgtc atggtccgta tgtcaacaaa atctagtatt atgtacgtac 900 tacatttagt tatgttattt tcttgagttc acgtgttggc ttggttgata atacacgggg 960 tatcctcgtc cacgcattat gaggtagagt tcctcctgct tcattctcac ttcattcttc 1020 cctcgaaata ttcaaattaa tttattacaa atctcttcgt gtttttaatt tttgacgaag 1080 tttcttgaaa gtttaggata tttatattta ggtttttaat tcgttaacga atttcttaga 1140 tctgaaactt ttacagattt ccaagagcaa gtttcttatc tatagtcatc ctttatttat 1200 ccttagaata tgaagttatc aaatgaaata tttctatcta ctattttaat tggatttata 1260 atatatatag tgacgaatgt acaattatat caattaatct caattttccg aataatattt 1320 gctaactaat atacatcatg ttttagctag tcaaaatttc acctgggatt ttatatgtta 1380 caattttggt aaaacattta ctgactatca tttctaaaac atgaactgtg gtcatttgga 1440 ggattattct taaacctaaa ctttgattta tgagtatata aatctaaatt aaatcaccct 1500 tatatcaatt aatgaatcat taatatatat gatatatcca ttacccaaag atatttgtat 1560 ctttcgctta ctttaaaatg ttgaagctat aaaattttac atatttgaaa aatgagttat 1620 tagtatttca tcaacaaaat gcattctact gtatattgga ttccaacgca aacaataaca 1680 tagctacaaa gctatcacaa agcactatca ttagtttatt acactaaaat ttcgaatatt 1740 ttcatgtacg acttcaaata tttttcattt tctgccgcat tctcatgtca ttagtcatca 1800 ttactccctc tctcgcgtac ccaactctat ataagatttc tccttcttct ttttctcttc 1860 tcatcgaact ttcctctttc ttctctcatc tcctctcttt cactcttcac accagaagat 1920 acaaaaaaca atcactgtct caagcctctc tataccgaag ataagaaaac aaaagcc 1977 <210> 2 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 2 aagcttgaat tcgattatgg actacggttt tagagttgca aga 43 <210> 3 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 3 actagtcttc ggtatagaga ggcttgagac agtg 34
【0062】
【配列表フリーテキスト】配列番号2及び3は、合成プ
ライマーである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノーザンブロット分析におけるハイブリダイゼ
ーションの結果を示す電機泳動写真である。
【図2】形質転換植物体におけるGUS活性測定の結果を
示す特性図である。
【図3】形質転換植物体から収穫した種子に対する吸水
処理後0〜1日の写真である。
【図4】形質転換植物体から収穫した種子に対する吸水
処理後2日の写真である。
【図5】形質転換植物体から収穫した種子に対する吸水
処理後4日の写真である。
【図6】形質転換植物体から収穫した種子に対する吸水
処理後21日の写真である。
【図7】形質転換植物体から収穫した種子に吸水処理を
行わなかったときの写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 5/00 A C (72)発明者 保浦 徳昇 茨城県つくば市高野台3丁目1番地1 理 化学研究所 筑波研究所内 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD08 CA06 CA17 CA19 CB02 CD03 CD07 CD09 4B024 AA08 CA01 FA02 GA11 GA17 HA20 4B065 AA88X AA88Y AB01 AC12 AC20 BA02 BD50 CA53

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)、(b)又は(c)のDNAを含む、種
    子成熟後期及び発芽期に特異的誘導性を示すプロモータ
    ー。 (a) 配列番号1の塩基配列からなるDNA (b) 配列番号1の塩基配列において1若しくは複数の塩
    基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、
    かつ種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター
    として機能するDNA (c) 配列番号1の塩基配列からなるDNAとストリンジェ
    ントな条件下でハイブリダイズし、かつ種子成熟後期及
    び発芽期特異的誘導性プロモーターとして機能するDNA
  2. 【請求項2】 上記種子成熟後期は、種子内のアブシジ
    ン酸合成が開始されてから完熟種子が完成するまでの期
    間であることを特徴とする請求項1記載のプロモータ
    ー。
  3. 【請求項3】 上記発芽期は、完熟種子が完成してから
    発芽後12日目までの期間であることを特徴とする請求項
    1記載のプロモーター。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のプロモーターを含む発現
    ベクター。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の発現ベクターに、さらに
    任意の遺伝子が組み込まれた発現ベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の発現ベクターを含む形質
    転換体。
  7. 【請求項7】 請求項5発現ベクターを含むトランスジ
    ェニック植物。
JP2002028109A 2002-02-05 2002-02-05 種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター Expired - Fee Related JP4100494B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002028109A JP4100494B2 (ja) 2002-02-05 2002-02-05 種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002028109A JP4100494B2 (ja) 2002-02-05 2002-02-05 種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003225090A true JP2003225090A (ja) 2003-08-12
JP2003225090A5 JP2003225090A5 (ja) 2005-09-02
JP4100494B2 JP4100494B2 (ja) 2008-06-11

Family

ID=27749428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002028109A Expired - Fee Related JP4100494B2 (ja) 2002-02-05 2002-02-05 種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4100494B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017536822A (ja) * 2014-11-14 2017-12-14 ビーエーエスエフ プラント サイエンス カンパニー ゲーエムベーハー Pufaを含有する植物性脂質の改質
JPWO2021033779A1 (ja) * 2019-08-22 2021-02-25

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017536822A (ja) * 2014-11-14 2017-12-14 ビーエーエスエフ プラント サイエンス カンパニー ゲーエムベーハー Pufaを含有する植物性脂質の改質
JP7423177B2 (ja) 2014-11-14 2024-01-29 ビーエーエスエフ プラント サイエンス カンパニー ゲーエムベーハー Pufaを含有する植物性脂質の改質
JPWO2021033779A1 (ja) * 2019-08-22 2021-02-25
WO2021033779A1 (ja) * 2019-08-22 2021-02-25 北海道三井化学株式会社 イチイ属の毛状根の製造方法
JP7266226B2 (ja) 2019-08-22 2023-04-28 北海道三井化学株式会社 イチイ属の毛状根の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4100494B2 (ja) 2008-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110791523B (zh) 一种棉花抗旱相关基因GhRCHY1及其应用
US8133988B2 (en) Tissue specific promoters
US7385105B2 (en) Root active promoters and uses thereof
EP2661498B1 (en) Fiber selective promoters
JPH10507913A (ja) ジャガイモ由来のプロモーター配列
JP2003509048A (ja) 遺伝子発現調節用植物調節配列
US7314757B2 (en) Drought inducible promoters and uses thereof
CN112522283B (zh) 一种花粉发育相关基因及其应用
CN110499325B (zh) TRV-based病毒诱导的报春花属植物基因沉默的方法
JPWO2007032111A1 (ja) トウモロコシ由来のストレス誘導性転写因子
CN112430619A (zh) 一种FoMV病毒介导的GFP-ATG8表达载体及其应用
CN108841835B (zh) 大豆ZF-HD蛋白编码基因GmZFHD11的应用
AU2007311982B2 (en) Environmental stress responsive promoter and method of tissue-specific gene expression using the same
JP4100494B2 (ja) 種子成熟後期及び発芽期特異的誘導性プロモーター
KR102265780B1 (ko) 식물체의 개화기 조절 efg1 유전자 및 이의 용도
US7238864B2 (en) Acetolactate synthase gene promoter
KR101687106B1 (ko) 감귤 유래 CuCRTISO-like 프로모터 및 이를 포함하는 재조합 벡터
KR101700102B1 (ko) 감귤 유래의 CuCRTISO 프로모터 및 이의 용도
JP6427329B2 (ja) コムギ由来プロモーター
JPWO2003004649A1 (ja) 根と茎頂で外来遺伝子を発現するプロモーター
KR101444215B1 (ko) 배추 유래 BrSTY1 프로모터 및 상기BrSTY1 프로모터로 형질 전환된 식물
KR20220161020A (ko) 벼 Os03g52870 유전자 유래 화분 특이적 발현 프로모터 및 이의 용도
US20030101474A1 (en) DNA fragment having promoter function
JP2004215658A (ja) プロモーターdna断片
CN117327718A (zh) 一种GhCrRLK1L104基因及其应用、蛋白、过表达载体和方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031201

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040323

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040225

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050204

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050204

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071217

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080128

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080226

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080312

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110328

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees