JP2003509048A - 遺伝子発現調節用植物調節配列 - Google Patents

遺伝子発現調節用植物調節配列

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JP2003509048A JP2001523748A JP2001523748A JP2003509048A JP 2003509048 A JP2003509048 A JP 2003509048A JP 2001523748 A JP2001523748 A JP 2001523748A JP 2001523748 A JP2001523748 A JP 2001523748A JP 2003509048 A JP2003509048 A JP 2003509048A
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アンダーソン,ヘザー・エム
チヤイ,キヤサリン・エイ
チヨン,コイラン
コナー,テイモシー・ダブリユ
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モンサント テクノロジー エルエルシー
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/82Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
    • C12N15/8216Methods for controlling, regulating or enhancing expression of transgenes in plant cells

Abstract

(57)【要約】 本発明は植物における遺伝子発現を調節するための核酸配列に関する。特に、本発明は植物における非相同DNAの発現を調節するために有用な5’調節配列と、DNA配列に作動的に連携すると特定発現プロフィルを付与する多重5’調節配列の同定方法に関する。本発明は更に前記5’調節配列を含む発現ベクターと、この発現ベクターを含むトランスジェニック植物にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の技術分野 本発明は植物における遺伝子発現を調節するための核酸分子、特に新規植物プ
ロモーターの単離と使用に関する。
【0002】 発明の背景 植物遺伝子工学の目的の一つは農学的に重要な特徴又は形質をもつ植物を生産
することである。最近の遺伝子工学の進歩の結果、外来遺伝子を含み、発現する
ように植物を形質転換するために必要なツールが入手できるようになった(Ka
hlら,(1995)World Journal of Microbiol
ogy and Biotechnology 11:449−460)。植物
遺伝子工学に特に望ましい有益な形質又は品質としては、これらに限定するもの
ではないが、昆虫及び他の病虫害や疾病原因物質に対する耐性、除草剤耐性、安
定性、収量又は寿命の増進、環境耐性及び栄養強化が挙げられる。植物形質転換
及び再生の技術的進歩に伴い、研究者らは異種源からの遺伝子や、品質を変化又
は改善するように改変した天然源からの遺伝子等のDNA断片を獲得し、外来D
NAを植物のゲノムに組込むことが可能になった。こうして遺伝子を植物細胞で
発現させると、付加特徴又は形質を示すことができる。1つのアプローチでは、
特定植物又は植物組織で通常は発現されない新規遺伝子を発現させ、所望表現型
効果を付与することができる。別のアプローチでは、遺伝子又は遺伝子の一部を
アンチセンス方向に転写すると、内因性遺伝子の発現を阻止又は阻害することに
より所望効果が得られる。
【0003】 単離植物プロモーターは所望表現型特徴をもつように遺伝子工学により植物を
改変するために有用である。このようなトランスジェニック植物を生産するため
には、植物で発現させると所望表現型を付与する非相同遺伝子配列を含むベクタ
ーを植物細胞に導入する。ベクターは更に非相同遺伝子配列に作動的に連携した
植物プロモーター、多くの場合には非相同遺伝子に通常は関連しないプロモータ
ーも含む。その後、ベクターを植物細胞に導入し、形質転換植物細胞を生成し、
形質転換植物細胞をトランスジェニック植物に再生する。プロモーターはこのプ
ロモーターが作動的に連携した導入DNA配列の発現を制御し、こうしてDNA
配列により付与される所望特徴を変化させる。
【0004】 プロモーターは遺伝子の総体発現の一部としての役割を果たす5’調節配列で
あるので、遺伝子が植物生育及び発育中の適正な時期に植物の最適な位置で所望
効果を生じるために必要な量で有効に転写されるように種々のプロモーターを遺
伝子発現に適応させることが有利である。例えば1例では、遺伝子産物の構成的
発現は植物のある位置では有益であっても、植物の別の部分ではさほど有益でな
いことがある。別の例では、植物の所定発育段階又は環境もしくは化学的刺激に
応答して遺伝子産物を生産すると有利な場合がある。遺伝的に改良した胚原質の
商業的開発も、農作物に多重形質を導入する段階まで進歩し、これは遺伝子スタ
ッキングアプローチと呼ぶことが多い。このアプローチでは、種々の目的特徴を
付与する多重遺伝子を植物に導入することができる。非相同配列の組換えに起因
し得る遺伝子サイレンシングの可能性を減らすためには、多重遺伝子を植物にい
つ導入するかが重要であり、更に、各遺伝子を最適発現にあわせて調節又は制御
することと、調節エレメントが多様であることが重要である。これらの点及び他
の点から明らかなように、植物バイオテクノロジーでは遺伝子発現及び調節エレ
メントの多様性の最適な調節をすることが重要である。
【0005】 新規に挿入したDNAが転写され、所望により植物細胞でタンパク質に翻訳さ
れるためには、目的DNA配列に対して適正な位置に適正な調節配列が存在して
いなければならない。これらの調節配列としては、これらに限定するものではな
いが、プロモーター、5’未翻訳リーダー及び3’ポリアデニル化配列が挙げら
れる。このような外来DNAをどの組織に転写するかと、植物生育中のどの時点
でこのような外来DNAの転写を得るかを選択することもこれらの遺伝子の転写
を調節する適当なプロモーター配列の選択により可能である。
【0006】 植物遺伝子工学には種々多様な型又は分類のプロモーターを使用することがで
きる。プロモーターは範囲又は組織特異性に基づいて分類することができる。例
えば、構成的プロモーターと呼ぶプロモーターは作動的に連携したDNA配列を
効率的に転写し、前記DNA配列を多重組織で発現させることが可能である。通
常は所定植物組織に高レベルで転写されるか又は所定植物組織に特異的に転写さ
れるDNA配列の上流に組織強化又は組織特異的プロモーターが存在し、作動的
に連携している場合もある。他の類のプロモーターとの非限定的な例としては、
化学物質等の外部刺激、発育刺激又は環境刺激により活性化可能な誘導プロモー
ターが挙げられる。このように、構成的、組織強化又は誘導的に転写及び発現さ
れるDNA発現の上流5’調節配列を単離することにより種々の所望プロモータ
ーを得ることができる。
【0007】 高スループットシーケンシングとバイオインフォーマティクスの技術的進歩に
より新たなプロモーター発見用分子ツールが加わった。特定発育段階又は特定化
学、環境もしくは生理的条件下の特定標的植物細胞、組織又は器官をソース材料
として使用し、mRNAを単離し、cDNAライブラリーを構築することができ
る。cDNAライブラリーを迅速に配列決定し、発現された配列を電子的にリス
トする。配列分析ソフトウェアを使用すると、数百種の配列を短時間で分析する
ことができ、選択したcDNAライブラリーからの配列を比較することができる
。実験室とコンピューターによるサブトラクション法を組合せることにより、研
究者らはcDNAライブラリーを精査比較し、所望発現プロフィルをもつ配列を
同定することができる。例えば、ある組織からのcDNAライブラリーを他の組
織のcDNAライブラリーと比較し、共通配列を電子的に「サブトラクト」して
目的標的組織で発現される配列のみを見いだすことにより、ある組織で優先的に
発現される配列を同定することができる。その後、組織強化配列をプローブ又は
プライマーとして使用し、対応する全長cDNAをクローニングすることができ
る。その後、標的植物のゲノムライブラリーを使用し、対応する遺伝子とプロモ
ーター配列等の関連調節エレメントを単離することができる。
【0008】 所望発現プロフィルを付与する多重プロモーター配列(例えば多重組織で作動
的に連携した遺伝子の発現を調節することが可能なプロモーター)を単離するに
は、目的標的組織のcDNAライブラリーを非標的又はバックグラウンドcDN
Aライブラリーと比較し、これらの標的ライブラリーで発現される配列に関連す
る5’調節領域を見出せばよい。単離したプロモーター配列を使用すると、作動
的に連携した任意遺伝子の発現を選択的に調節することができ、遺伝子スタッキ
ングアプローチでは植物発現ベクターにおける調節エレメントダイバーシティを
広げることができる。
【0009】 発明の要約 本発明は目的多重組織に転写される植物DNA構造コーディング配列の5’領
域の上流に位置する配列番号53〜75に示す調節配列を含む核酸配列を提供す
る。
【0010】 1側面において本発明は配列番号53〜75から構成される群から選択される
配列又は作動的に連携したDNA配列の転写を調節することが可能な配列の任意
フラグメント、領域もしくはシスエレメントを含む核酸を提供する。 本発明は更にプロモーターである配列番号53〜75から構成される群から選択
される配列を含む核酸を提供する。
【0011】 本発明の別の側面は新規プロモーターを作製するために併用可能であるか又は
作動的に連携したDNA配列の転写を調節することが可能なハイブリッドもしく
はキメラプロモーターを作製するために別の非相同調節配列との新規組合せで使
用可能な開示5’プロモーター配列の少なくとも1個のフラグメント、領域又は
シスエレメントの使用に関する。
【0012】 従って、本発明は配列番号53〜75に開示する核酸配列、又はDNA配列に
作動的に連携するとDNA配列の転写を調節することが可能な開示配列の任意フ
ラグメント、領域もしくはシスエレメントの使用に関する。従って、本発明は配
列番号53〜75に開示するような配列だけでなく、転写可能な配列に作動的に
連携すると1種以上の調節配列と共に調節配列として機能することが可能なシス
エレメント等のプロモーターとして独立して機能することが可能なその任意切断
もしくは欠失誘導体又はフラグメント又は領域も含む。
【0013】 従って、本発明は配列番号53〜75の核酸を含む新規プロモーター又はハイ
ブリッドもしくはキメラプロモーターを含む。ハイブリッド又はキメラプロモー
ターは配列番号53〜75の開示配列の任意長フラグメント、領域又はシスエレ
メントを他の任意転写活性最小又は全長プロモーターと組合わせることにより構
成することができる。例えば、配列番号53〜75から選択されるプロモーター
配列をCaMV35S又は他のプロモーターと組合わせると、新規ハイブリッド
プロモーターを構築することができる。最小プロモーターを本発明の核酸配列と
併用してもよい。新規プロモーターは更に作動的に連携したDNA配列を転写す
るために十分な任意方法で配列番号53〜75に開示する核酸配列又は開示配列
の任意フラグメント、領域もしくはシスエレメントを操作することにより構築し
た任意プロモーターでもよい。
【0014】 本発明の別の側面は配列番号53〜75のプロモーター配列又はそのフラグメ
ント、領域もしくはシスエレメントが多重組織で作動的に連携した転写可能な配
列の転写を調節できるという点にある。所定組織で作動的に連携したDNA配列
を調節することが可能な配列番号53〜75の配列のフラグメント、領域又はシ
スエレメントを配列番号53〜75の開示核酸配列から単離し、これらを使用し
て所望発現プロフィルを付与する新規プロモーターを構築することができる。
【0015】 本発明は更に配列番号53〜75に示すような開示配列又はその任意フラグメ
ント、領域もしくはシスエレメントを含むDNA構築物も含み、これらの構築物
は開示配列又は開示配列の任意フラグメント、領域もしくはシスエレメントを使
用して作製した新規プロモーターを含む。
【0016】 本発明は更に配列番号53〜75に示すような配列に開示されるDNA又はそ
の任意フラグメント、領域もしくはシスエレメントを含む任意細胞及びトランス
ジェニック植物も含む。
【0017】 本発明は更に配列番号53〜75から構成される群から選択される配列の全部
又は任意フラグメント、領域もしくはシスエレメントを含む核酸を含む任意プロ
モーターにDNA配列を作動的に連携することからなるDNA配列の転写調節方
法も提供する。
【0018】 別の態様では、本発明は配列番号53〜75から構成される群から選択される
配列又は開示配列の任意フラグメント、領域もしくはシスエレメントを任意転写
可能DNA配列に作動的に連携することにより多重組織におけるDNA配列の発
現を調節する方法を提供する。配列番号53〜75に示すような開示プロモータ
ーのフラグメント、領域又はシスエレメントを構築し、マルチマー又は切断誘導
体を含む新規組合せで独立して使用してもよいし、新規プロモーターを転写可能
DNA配列に作動的に連携してもよい。あるいは、開示配列の開示フラグメント
、領域又はシスエレメントを最小プロモーター等の非相同プロモーターと併用し
て新規ハイブリッド又はキメラプロモーターを作製し、新規ハイブリッドプロモ
ーターを転写可能DNA配列に作動的に連携してもよい。
【0019】 本発明は更に(i)配列番号53〜75から構成される群から選択される配列
又はそのフラグメント、領域もしくはシスエレメントを含む核酸を含むプロモー
ターと、該プロモーターに作動的に連携した(i)転写可能DNA配列と(ii
i)3’未翻訳領域を含むDNA構築物を植物の細胞に導入することによりトラ
ンスジェニック植物を作製する方法も提供する。
【0020】 本発明は更に目的植物細胞型から調製した1種以上のcDNAライブラリーに
由来する発現配列タグ(EST)の核酸配列集合を評価し、少なくとも1種の標
的植物cDNAライブラリーと別の植物細胞型からのESTの1種以上の非標的
cDNAライブラリーからのEST配列を比較し、標的及び非標的両者のライブ
ラリーに存在する共通EST配列をサブトラクトし、標的発現配列に相当するサ
ブトラクション後の残留ESTから遺伝子特異的プライマーを設計し、遺伝子特
異的プライマーを使用して標的植物から調製したゲノムライブラリーからのプロ
モーター配列を含む対応する5’フランキング及び調節配列を単離することによ
り、目的標的植物から所望発現プロフィルの少なくとも1種の5’調節配列を単
離する方法も提供する。
【0021】 図面の説明 図1はpMON19469のプラスミドマップである。 図2はpMON43623のプラスミドマップである。 図3はpMON42410のプラスミドマップである。 図4はpMON42411のプラスミドマップである。 図5はpMON25455のプラスミドマップである。 図6はpMON46124のプラスミドマップである。 図7はpMON43644のプラスミドマップである。 図8はpMON45361のプラスミドマップである。 図9はpMON43716のプラスミドマップである。 図10はpMON43738のプラスミドマップである。 図11はpMON45362のプラスミドマップである。 図12はpMON43722のプラスミドマップである。 図13はpMON43739のプラスミドマップである。 図14はpMON45360のプラスミドマップである。
【0022】 発明の詳細な説明 本願は1999年9月16日付け米国仮出願第60/154,182号の優先
権を主張する。
【0023】 定義と方法 本発明をより明確し、当分野の通常の知識をもつ者が本発明を実施する際の手
引きとするために以下に定義と方法を示す。特に指定しない限り、用語は該当分
野の通常の知識をもつ者が慣用的に使用している意味に従うと理解すべきである
。DNA塩基については37CFR§1.822による表記法を使用する。アミ
ノ酸残基については標準1文字及び3文字表記法を使用する。
【0024】 「核酸(配列)」又は「ポリヌクレオチド(配列)」とはゲノム又は合成起源
の1本鎖又は2本鎖DNA又はRNA、即ち5’(上流)末端から3’(下流)
末端に向かって読んだ場合の夫々デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチ
ド塩基のポリマーを意味する。核酸はセンス鎖でも相補(アンチセンス)鎖でも
よい。
【0025】 「天然」とは天然に存在する(「野生型」)核酸配列を意味する。
【0026】 「非相同」配列とは外来源もしくは種に由来する配列又は同一源に由来するが
、その元の形態から改変された配列を意味する。
【0027】 「単離」核酸配列は核酸が天然に存在する場所である生物の細胞で通常結合し
ている他の核酸配列即ち他の染色体又は染色体外DNAから実質的に分離又は精
製されている。この用語は混在する核酸及び他の細胞成分を実質的に除去するよ
うに生化学的に精製された核酸を含む。この用語は組換え核酸及び化学的に合成
された核酸も含む。
【0028】 本明細書で使用する「実質的に精製」なる用語はその天然状態で通常結合して
いる他の全分子から実質的に分離された分子を意味する。実質的に精製されて分
子は調製物に存在する主要種であることがより好ましい。実質的に精製された分
子は天然混合物に存在する他の分子(溶媒を除く)を60%以上、好ましくは7
5%以上、より好ましくは90%以上除去したものとすることができる。「実質
的に精製」なる用語はその天然状態で存在する分子を含まない。
【0029】 第1の核酸配列を他の核酸(又はその相補鎖)と最適に整列させたとき(比較
窓に適当なヌクレオチド挿入又は欠失が参照配列の合計20%未満)に少なくと
も20ヌクレオチド位置、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド位置、より好
ましくは少なくとも100ヌクレオチド位置の比較窓、最も好ましくは第1の核
酸の全長にわたって少なくとも約75%ヌクレオチド配列一致、好ましくは少な
くとも約80%一致、より好ましくは少なくとも約85%一致、最も好ましくは
少なくとも約90%一致が存在する場合に第1の核酸配列は参照核酸配列と「実
質的に一致」を示す。比較窓を整列させるために配列を最適に整列させるには、
SmithとWaterman Adv.Appl.Math.2:482,1
981の局所相同アルゴリズム、NeedlemanとWunsch,J.Mo
l.Biol.48:443,1970の相同整列アルゴリズム、Pearso
nとLipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2
444,1988の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター処理
(Wisconsin Genetics Software Package
Release 7.0,Genetics Computer Group
,575 Science Dr.,Madison,WIのGAP、BEST
FIT、FASTA及びTFASTA)を利用することができる。参照核酸は全
長分子でもよいし、より長い分子の一部でもよい。あるいは、以下に定義するよ
うなストリンジェント条件下で一方が他方にハイブリダイズする場合に2種の核
酸は実質的に一致する。
【0030】 第1の核酸配列が第2の核酸配列の機能を変えないように2種の配列が配置さ
れている場合に第1の核酸配列は第2の核酸配列に「作動的に連携」している。
2種の配列は単一連続核酸配列を構成することが好ましく、隣接しているとより
好ましい。例えば、プロモーターが遺伝子の細胞転写を調節又は媒介する場合に
このプロモーターは遺伝子に作動的に連携している。
【0031】 「組換え」核酸は元々分離している2個の配列セグメントを例えば化学的合成
又は遺伝子工学技術による核酸の単離セグメントの操作により人工的に組合せる
ことにより作製される。核酸操作技術は周知である(例えばSambrookら
,Molecular Cloning,A Laboratory Manu
al,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold
Spring Harbor,New York,1989及びAusube
lら,1992参照)。
【0032】 核酸の化学合成法も例えばBeaucageとCarruthers,Tet
ra.Letts.22:1859−1862,1981及びMatteucc
iら,J.Am.Chem.Soc.103:3185,1981に記載されて
いる。核酸の化学的合成は例えば市販自動オリゴヌクレオチド合成器で実施する
ことができる。
【0033】 「合成核酸配列」は特定宿主細胞での発現を増すため又は適当なベクターへの
クローニング目的のために設計し、化学的に合成することができる。宿主細胞は
多くの場合に好ましいコドン使用パターンを示す(Murrayら,1989)
。従って、特定宿主での発現を増すように設計した合成DNAは宿主細胞でコド
ン使用パターンを示すと思われる。これらの目的に使用可能なコンピュータープ
ログラムとしては、Sequence Analysis Software
Package,Genetics Computer Group,Inc.
,ウィスコンシン大学バイオテクノロジーセンター、Madison,WI53
711の“BestFit”又は“Gap”プログラムが挙げられるが、これら
に限定されない。
【0034】 核酸の「増幅」又は「核酸複製」とは核酸配列の付加コピーの生産を意味し、
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して実施される。種々の増幅法が当
分野で公知であり、特に米国特許第4,683,195号及び4,683,20
2号とPCR Protocols:A Guide to Methods
and Applications,Innisら編,Academic Pr
ess,San Diego,1990に記載されている。PCRにおいて、プ
ライマーとはポリメラーゼ連鎖反応を開始するためにDNA鋳型にアニールされ
る規定配列の短いオリゴヌクレオチドを意味する。
【0035】 「形質転換」、「トランスフェクト」又は「トランスジェニック」とは組換え
ベクター等の外来核酸が導入された細胞、組織、器官又は生物を意味する。導入
された核酸はその後の子孫に遺伝されるようにレシピエント細胞、組織、器官又
は生物のゲノムDNAに組込まれていることが好ましい。「トランスジェニック
」又は「形質転換」細胞又は生物はこの細胞又は生物の子孫も含み、更にこのよ
うな「トランスジェニック」植物を親として交配に使用する育種プログラムから
生産され、組換え構築物又はベクターの存在の結果として改変表現型を示す子孫
も含む。
【0036】 「遺伝子」なる用語はペプチド、ポリペプチド、タンパク質をコードする染色
体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNAもしくは他のDNA、又は
RNA分子と、発現調節に関与するコーディング配列のフランキング領域を意味
する。遺伝子はmRNAに転写し、ポリペプチドに翻訳できるもの(構造遺伝子
)と、RNAに転写できるもの(例えばrRNA、tRNA)と、発現レギュレ
ーターとして機能するもの(レギュレーター遺伝子)がある。
【0037】 遺伝子の「発現」とは対応するmRNAを生産するための遺伝子の転写と、対
応する遺伝子産物(即ちペプチド、ポリペプチド又はタンパク質)を生産するた
めのこのmRNAの翻訳を意味する。遺伝子発現は5’調節エレメントを含む調
節エレメント(例えばプロモーター)により制御又は調節される。
【0038】 「遺伝子成分」とは同様にそれ自体が発現ベクターの成分又は一部でもよい任
意核酸配列又は遺伝子エレメントを意味する。遺伝子成分の例としてはプロモー
ター領域、5’未翻訳リーダー、イントロン、遺伝子、3’未翻訳領域及び1種
以上の核酸配列の転写又は翻訳を変えない他の調節配列が挙げられるが、これら
に限定されない。
【0039】 「組換えDNA構築物」、「組換えベクター」、「発現ベクター」又は「発現
カセット」なる用語はゲノム組込み又は自律複製が可能であり、1種以上のDN
A配列を機能的に作動的に連結したDNA分子を含む任意起源のプラスミド、コ
スミド、ウイルス、BAC(細菌性人工染色体)、自律複製配列、ファージ又は
直鎖もしくは環状1本鎖もしくは2本鎖DNAもしくはRNAヌクレオチド配列
等の任意物質を意味する。
【0040】 「相補的」とは塩基対合(A−G−Tは相補的配列T−C−Aに対合する)に
よる核酸配列の天然会合を意味する。核酸対の一部のみが相補的である場合には
2種の1本鎖分子の相補は部分的であり、全塩基対が相補的である場合には完全
である。相補度はハイブリダイゼーション及び増幅反応の効率と強度に影響する
【0041】 「相同」とは夫々ヌクレオチド又はアミノ酸位置一致即ち配列類似性又は一致
百分率として表した核酸又はアミノ酸配列間の類似度を意味する。相同は種々の
核酸又はタンパク質間の類似機能性の概念も意味する。
【0042】 「EST」ないし発現配列タグはcDNA(ないし相補的DNA)ライブラリ
ーからランダムに選択されたクローンの短い配列であり、これらのランダムに選
択されたクローンのcDNAインサートに相当する(McCombieら,Na
ture Genetics,1:124,1992;Kurataら,Nat
ure Genetics,8:365,1994;Okuboら,Natur
e Genetics,2:173,1992)。
【0043】 「エレクトロニックノーザン」なる用語は多重cDNAライブラリーにおける
EST集団又はライブラリーの1個もしくは組合せからのEST集合に限った頻
度等の調査者が識別するパラメーターに基づいて多重cDNAライブラリーから
の配列を電子比較することが可能なコンピューター配列分析を意味する。
【0044】 「サブセッティング」とは特定時期又は特定条件下の特定組織における遺伝子
転写活性とメッセージ安定性を表す核酸配列のプロフィルを識別するために使用
可能な種々又は多重ソースからの核酸配列を比較する任意方法を意味する。
【0045】 「プロモーター」とは遺伝子のオープンリーディングフレーム(又はタンパク
質コーディング領域)の翻訳開始コドンの上流即ち5’に位置しており、転写を
開始するためにRNAポリメラーゼII及び他のタンパク質(トランス作用性転
写因子)の認識及び結合に関与する核酸配列を意味する。「植物プロモーター」
は植物細胞で機能的な天然又は非天然プロモーターである。構成的プロモーター
は植物発育の全期間にわたって植物の大部分又は全組織で機能的である。組織、
器官又は細胞特異的プロモーターは夫々特定組織、器官又は細胞型で限定的又は
優先的に発現される。プロモーターは所与組織、器官又は細胞型で「特異的に」
発現されるのではなく、植物の他の部分に比較して植物の一部分(例えば細胞型
、組織又は器官)で「強い」発現即ち高レベルの発現を示す場合もある。一時的
に調節されたプロモーターは植物発育の所定期間中又は例えば日周性に関連する
遺伝子の場合には1日の所定時間で限定的又は優先的に機能的である。誘導プロ
モーターは例えば化合物(化学インデューサー)による内因性もしくは外因性刺
激の存在又は環境、ホルモン、化学及び/又は発育シグナルに応答して作動的に
連携したDNA配列を選択的に発現する。誘導又は調節プロモーターとしては例
えば光、熱、ストレス、洪水もしくは干魃、植物ホルモン、外傷又は化学物質(
例えばエタノール、ジャスモネート、サリチル酸又はSafener)が挙げら
れる。
【0046】 特定遺伝子の発現を調節する5’調節配列としては任意植物プロモーターを使
用することができる。好ましいプロモーターの1例は植物RNAポリメラーゼI
Iプロモーターである。植物RNAポリメラーゼIIプロモーターは他の高等真
核生物のプロモーターと同様に複雑な構造をもち、数個の別個のエレメントから
構成される。このようなエレメントの1例は真核遺伝子の正しいin vitr
o発現と正確で効率的なin vivo転写開始に必要なTATAボックスない
しGoldberg−Hognessボックスである。TATAボックスは一般
に約−25〜−35、即ち+1位として定義される転写開始部位ないしcap部
位から25〜35塩基対(bp)上流(5’)に位置する(Breathnac
hとChambon,Ann.Rev.Bichem.50:349−383,
1981;Messingら,In:Genetic Engineering
of Plants,Kosugeら,編,pp.211−227,1983
)。別の共通エレメントであるCCAATボックスは−70〜−100bpに位
置する。植物では、CCAATボックスは哺乳動物プロモーターの機能的類似配
列とは異なるコンセンサス配列をもつと思われる(植物類似体は「AGGAボッ
クス」と呼ばれ、動物の対応配列と区別されている。Messingら,In:
Genetic Engineering of Plants,Kosuge
ら,編,pp.211−227,1983)。更に、ほぼ全プロモーターは転写
開始部位の上流−100bpから−1,000bp以上まで伸びる付加的な上流
活性化配列ないしエンハンサーを含む(BenoistとChambon,Na
ture 290:304−310,1981;Grussら,Proc.Na
t.Acad.Sci.USA 78:943−947,1981;及びKho
uryとGruss,Cell 27:313−314,1983)。
【0047】 非相同DNA配列に融合すると、このようなプロモーターは一般にプロモータ
ーが通常結合している遺伝子配列と同様に融合配列を転写させる。調節配列を含
むプロモーターフラグメントを加えることができる(例えば、それ自体の部分又
は完全調節配列をもつ活性プロモーターの5’末端に融合するか又はその内側に
挿入する)(Fluhrら,Science 232:1106−1112,1
986;Ellisら,EMBO J.6:11−16,1987;Strit
tmatterとChua,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 8
4:8986−8990,1987;PoulsenとChua,Mol.Ge
n.Genet.214:16−23,1988;Comaiら,Plant
Mol.Biol.15:373−381,1991)。あるいは、不活性切断
プロモーター(例えばコアTATAのみを含むか、場合によりCCAATエレメ
ントも含むプロモーター)の5’上流領域に非相同調節配列を加えてもよい(F
luhrら,Science 232:1106−1112,1986;Str
ittmatterとChua,Proc.Nat.Acad.Sci.USA
84:8986−8990,1987;Aryanら,Mol.Gen.Ge
net.225:65−71,1991)。
【0048】 プロモーターは一般に各々遺伝子発現の総体調節の異なる特徴を付与すると思
われる別個の多重「シス作用性転写調節エレメント」(単に「シスエレメント」
とも言う)から構成される(StrittmatterとChua,Proc.
Nat.Acad.Sci.USA 84:8986−8990,1987;E
llisら,EMBO J.6:11−16,1987;Benfeyら,EM
BO J.9:1677−1684,1990)。「シスエレメント」は転写を
調節するトランス作用性タンパク質因子と結合する。シスエレメントのうちには
2個以上の因子と結合するものもあり、トランス作用性転写因子は2個以上のシ
スエレメントと異なる親和性で相互作用する場合がある(JohnsonとMc
Knight,Ann.Rev.Biochem.58:799−839,19
89)。植物転写因子、対応するシスエレメント及びそれらの相互作用の分析に
ついては例えばMartin,Curr.Opinions Biotech.
7:130−138,1996;Murai,In:Methods in P
lant Biochemistry and Molecular Biol
ogy,Dashek編,CRC Press,1997,pp.397−42
2;及びMethods in Plant Molecular Biolo
gy,Maligaら編,Cold Spring Harbor Press
,1995,pp.233−300に記載されている。本発明のプロモーター配
列は遺伝子発現を付与又は調節することが可能な「シスエレメント」を含むこと
ができる。
【0049】 シスエレメントは多数の技術により同定することができ、例えばプロモーター
の5’末端又は内部から1個以上のヌクレオチドを欠失させる欠失分析;DNa
se Iフットプリンティング、メチル化干渉、電気泳動移動度変化アッセイ、
連結媒介PCRによるin vivoゲノムフットプリンティング及び他の慣用
アッセイを使用するDNA結合タンパク質分析;あるいは慣用配列比較法による
既知シスエレメントモチーフとの配列類似性を利用することができる。シスエレ
メントの微細構造は1個以上のヌクレオチドの突然変異誘発(又は置換)又は他
の慣用法により更に試験することができる。例えばMethods in Pl
ant Biochemistry and Molecular Biolo
gy,Dashek編,CRC Press,1997,pp.397−422
;及びMethods in Plant Molecular Biolog
y,Maligaら編,Cold Spring Harbor Press,
1995,pp.233−300参照。
【0050】 シスエレメントは化学合成又はこのようなエレメントを含むプロモーターから
のクローニングにより獲得することができ、後続操作を容易にするために有用な
制限酵素部位を含む付加フランキング配列と共に合成することができる。1態様
では、プロモーターは各々遺伝子発現の総体調節の異なる側面を付与すると思わ
れる別個の多重「シス作用性転写調節エレメント」(単に「シスエレメント」と
も言う)から構成される(StrittmatterとChua,Proc.N
at.Acad.Sci.USA 84:8986−8990,1987;El
lisら,EMBO J.6:11−16,1987;Benfeyら,EMB
O J.9:1677−1684,1990)。1好適態様では、配列内のシス
エレメント又はドメイン又はモチーフを同定するように特別に設計されたコンピ
ュータープログラムを使用して配列番号53〜75の核酸配列の「シスエレメン
ト」を含む配列領域を同定する。
【0051】 本発明は配列番号53〜75のシスエレメント又は遺伝子調節を行うことが分
かっており、本発明の核酸配列と相同を示すシスエレメントの相同体を含む。こ
のようなエレメントは多数のものが文献から公知であり、例えば光、熱又はスト
レス等の多数の因子により調節されるエレメント、病原体や薬品により調節又は
誘導されるエレメント等がある。このようなエレメントは条件に応じて正又は負
のいずれかに遺伝子発現を調節することができる。シスエレメントの例としては
酸素応答性エレメント(Cowenら,J.Biol.Chem.268(36
):26904,1993)、光調節性エレメント(例えばBruceとQua
ill,Plant Cell 2(11):1081.1990及びBruc
eら,EMBO J.10:3−15,1991参照)、ジャスモン酸メチル処
理応答性シスエレメント(BeaudoinとRothstein,Plant
Mol.Biol.33:835,1997)、サリチル酸応答性エレメント
(Strangeら,Plant J.11:1315,1997)、熱ショッ
ク応答エレメント(Pelhamら,Trends Genet.1:31,1
985)、外傷及び非生物ストレス応答性エレメント(Loaceら,Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:9230,1992;Mh
iriら,Plant Mol.Biol.33:257,1997)、低温エ
レメント(Bakerら,Plant Mol.Biol.24:701,19
94;Jiangら,Plant Mol.Biol.30:679,1996
;Nordinら,Plant Mol.Biol.21:641,1993;
Zhouら,J.Biol.Chem.267:23515,1992)、及び
干魃応答性エレメント(Yamaguchiら,Plant Cell 6:2
51−264,1994;Wangら,Plant Mol.Biol.28:
605,1995;Bray E.A.Trends in Plant Sc
ience 2:48,1997)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】 従って、本発明は開示核酸分子のフラグメント又は「シスエレメント」を含み
、核酸フラグメントは開示配列の任意領域を含むことができる。配列番号53〜
75に示すような本発明のプロモーター領域又は部分プロモーター領域は非限定
的な例として「シスエレメント」又は多重組織で作動的に連携したDNA配列の
転写を調節することが可能なドメイン等の1個以上の調節エレメントを含むこと
ができる。
【0053】 植物プロモーターは合成、キメラ又はハイブリッドプロモーターを生成するよ
うに既知プロモーターを操作することにより生成されたプロモーターを含むこと
ができる。このようなプロモーターは、例えばそれ自体の部分又は完全調節配列
をもつ活性プロモーターに非相同調節配列を加えることにより、1種以上のプロ
モーターからのシスエレメントを組合せたものでもよい(Ellisら,EMB
O J.6:11−16,1987;StrittmatterとChua,P
roc.Nat.Acad.Sci.USA 84:8986−8990,19
87;PoulsenとChua,Mol.Gen.Genet.214:16
−23,1988;Comaiら,Plant Mol.Biol.15:37
3−381,1991)。不活性切断プロモーター(即ちコアTATAのみを含
むか、場合によりCCAATエレメントも含むプロモーター)の5’上流領域に
非相同調節配列を加えたキメラプロモーターも開発されている(Fluhrら,
Science 232:1106−1112,1986;Strittmat
terとChua,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 84:89
86−8990,1987;Aryanら,Mol.Gen.Genet.22
5:65−71,1991)。作動的に連携した核酸配列の発現を調節するため
の配列番号53〜75の少なくとも1種のシスエレメントを含むキメラ又はハイ
ブリッドプロモーターの設計、構築及び使用も本発明に含まれる。
【0054】 配列番号53〜75のプロモーター配列、そのフラグメント、領域又はシスエ
レメントは多重組織で作動的に連携したDNA配列を転写することが可能であり
、これらの組織で遺伝子発現を選択的に調節することができる。多数の農学的形
質には、所望特徴を付与するために多重組織で目的遺伝子を発現させることが望
ましい。所定組織のみでなく全組織で発現するのは望ましくないと思われるので
、選択された目的標的組織で作動的に連携した遺伝子の転写を調節する適当なプ
ロモーターを入手できることが重要である。例えば、特定組織を標的とする害虫
を防除したい場合には、これらの組織で所望遺伝子産物を発現させると有利であ
ろう。除草剤耐性については、栄養組織と生殖組織の両者で所望レベルの除草剤
耐性を付与するように作動的に連携した遺伝子を転写するプロモーターを獲得す
ることが望ましいと思われる。従って、任意植物バイオテクノロジーストラテジ
ーに合うように5’調節エレメントの選択肢を広げることが重要である。
【0055】 分子及び生物情報技術を含むゲノミクスの出現の結果、非限定的な例として農
学的に重要な植物種等の膨大な数のターゲットから多数のDNAサンプルを迅速
に配列決定及び分析できるようになった。cDNA配列のデータベース又はコレ
クションから本発明の核酸配列を同定するためには、第1段階で目的特定植物組
織ターゲットからcDNAライブラリーを構築する。要約すると、特定発育段階
又は特定環境条件下で回収したこれらの組織からcDNAライブラリーをまず構
築する。植物組織で種々の発育段階又は種々の条件下で示差的に発現される遺伝
子を同定することにより、これらの遺伝子の対応する調節配列を同定及び単離す
ることができる。転写産物画像形成により、cDNAライブラリーからの核酸配
列の特定画像形成に基づいて組織に好適な配列を同定することができる。本明細
書で使用する転写産物画像形成とは1種以上のライブラリーで発現される遺伝子
の頻度を比較する分析を意味する。cDNAライブラリー内に含まれるクローン
を配列決定し、配列を公共入手可能なデータベースからの配列と比較する。コン
ピューターを利用する方法により、調査者は多重ライブラリーからの配列を比較
する問合せを提供することができる。この方法により、当業者に公知の慣用ハイ
ブリダイゼーションサブトラクション法に比較して迅速に目的クローンを同定す
ることができる。
【0056】 慣用法を使用し、ポリdTプライマーと逆転写酵素を使用して所与組織又は生
物のmRNA(メッセンジャーRNA)からcDNAライブラリーを構築するこ
とができる(Efstratiadisら,Cell 7:279,1976;
Higuchiら,Proc.Natl.Acad.Sci(U.S.A.)7
3:3146,1976;Maniatisら,Cell 8:163,197
6;Landら,Nucleic Acids Res.9:2251,198
1;Okayamaら,Mol.Cell.Biol.2:161−1982;
Gublerら,Gene 25:263,1983)。
【0057】 全長cDNA構築物を得るには数種の方法を利用することができる。例えば、
ターミナルトランスフェラーゼを使用して遊離3’ヒドロキシル基にdC残基の
ホモポリマーテールを付加することができる(Landら,Nucleic A
cids Res.9:2251,1981)。その後、全長第2鎖cDNAの
合成用プライマーとして作用することが可能なポリdGオリゴによりこのテール
をハイブリダイズすることができる。OkayamaとBergは全長cDNA
構築物の獲得方法を報告している。この方法は、第1及び第2鎖の合成を開始す
るためのホモポリマーテールと、プラスミド(Colecloughら,Gen
e 34:305,1981)及びバクテリオファージベクター(Krawin
kelら,Nucleic Acids Res.14:1913,1986;
及びHanら,Nucleic Acids Res.15:6304,198
7)にクローニングするための制限部位の両者をもつ合成プライマー−アダプタ
ーを使用することにより簡略化された。
【0058】 これらのストラテジーは低頻度mRNA集団を単離するための他のストラテジ
ーと組合わせることができる。例えば、典型的な哺乳動物細胞は10,000〜
30,000個の異なるmRNA配列を含む。Davidson,Gene A
ctivity in Early Development,第2版,Aca
demic Press,New York,1976。低頻度mRNAがcD
NAライブラリーに存在する所与確率を達成するために必要なクローン数はN=
(ln(1−P))/(ln(1−1/n))であり、式中、Nは必要なクロー
ン数であり、Pは所望確率であり、1/nは単一低頻度mRNAに相当する全m
RNAの比率である(Sambrookら,1989)。
【0059】 mRNA調製物を集積して目的配列とする方法の1つはサイズ分別である。こ
のような方法の1例はアガロースゲル電気泳動による分別である(Pennic
aら,Nature 301:214,1983)。このような方法の別法はR
NA二次構造を変性させる物質(例えば水酸化メチル水銀)の存在下にスクロー
ス勾配遠心分離を利用する(Schweinfestら,Proc.Natl.
Acad.Sci.(U.S.A.)79:4997−5000,1982)。
【0060】 頻繁に採用されている方法は等化又は標準化cDNAの構築である(Ko,N
ucleic Acids Res.18:5705,1990;Patanj
ali,S.R.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.
)88:1943,1991)。一般には、サブトラクティブハイブリダイゼー
ションによりcDNA集団を標準化する(Schmidら,J.Neuroch
em.48:307,1987;Fargnoliら,Anal.Bioche
m.187:364,1990;Travisら,Proc.Natl.Aca
d.Sci(U.S.A.)85:1696,1988;Kato,Eur.J
.Neurosci.2:704,1990;及びSchweinfestら,
Genet.Anal.Tech.Appl.7:64,1990)。サブトラ
クションはcDNAライブラリーで所定配列の集団を減らす別法である(Swa
roopら,Nucleic Acids Res.19:1954,1991
)。標準化ライブラリーはSoares法を使用して構築することができる(S
oaresら,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)91
:9228,1994)。このアプローチはライブラリーの総体配列複雑度を維
持しながら、一桁以内の頻度を達成するように個々のcDNA頻度の初期100
00倍変動を減らすように意図されている。標準化法では、高頻度cDNAクロ
ーンの割合は著しく減り、中レベル頻度のクローンは比較的変化せず、低頻度転
写産物のクローンは有効に頻度を増す。
【0061】 ESTは多数の方法により配列決定することができる。DNA配列決定には2
種の基本的方法を使用することができ、即ちSangerら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.(U.S.A.)74:5463,1977のチェーン
ターミネーション法と、MaxamとGilbert,Proc.Nat.Ac
ad.Sci.(U.S.A.)74:560,1977の化学分解法である。
放射性同位体に代わる蛍光シーケンシング等の技術の進歩と自動化により、DN
Aの配列決定に必要な労力は少なくてむようになった(Craxton,Met
hods,2:20,1991;Juら,Proc.Natl.Acad.Sc
i.(U.S.A.)92:4347,1995;TaborとRichard
son,Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)92:63
39,1995)。例えばPharmacia Biotech,Inc.,P
iscataway,New Jersey(Pharmacia ALF)、
LI−COR,Inc.,Lincoln,Nebraska(LI−COR
4,000)及びMillipore,Bedford,Massachuse
tts(Millipore BaseStation)等の多数の製造業者か
ら自動シンケンサーが市販されている。
【0062】 150bpよりも長いESTは類似性検索とマッピングに有用であることが分
かっている(Adamsら,Science 252:1651,1991)。
EST配列は一般に150〜450塩基である。これは単回配列データを使用し
て常法で確実に生成される配列情報の長さである。一般に、cDNAライブラリ
ーからは単回配列データしか得られない(Adamsら,Science 25
2:1651,1991)。一般に、自動単回シーケンシングでは約2〜3%エ
ラー又は塩基曖昧率が生じる(Boguskiら,Nature Geneti
cs,4:332,1993)。
【0063】 ESTデータベースは例えばC.elegans(McCombrieら,N
ature Genetics 1:124,1992)、ヒト肝細胞系Hep
G2(Okubo,ら,Nature Genetics 2:173,199
2)、ヒト脳RNA(Adamsら,Science 252:1651,19
91;Adamsら,Nature 355:632,1992)、Arabi
dopsis(Newmanら,Plant Physiol.106:124
1,1994)及びコメ(Kurataら,Nature Genetics
8:365,1994)から構築又は部分的に構築されている。本発明は所望組
織で発現される遺伝子の同定用ツールとして多重トウモロコシ組織から調製した
多数のライブラリーからのESTを使用し、遺伝子を調節するプロモーター等の
5’調節配列の単離を容易にする。
【0064】 非限定的な例として別の組織に比較してある組織で発現される配列等の示差的
に発現される配列を同定するにはコンピューター配列分析を使用することができ
る。例えば、根組織と葉組織から抽出した植物組織から単離したcDNAからは
異なる配列系列を検出することができる。従って、種々の環境又は生理的条件下
で生育した植物から調製したcDNAライブラリーからの配列を比較することが
できる。目的cDNAライブラリーから好適配列が同定されたら、植物組織から
調製したゲノムライブラリーからゲノムクローンを抽出し、非限定的な例として
5’調節配列等の対応する調節配列を同定及び単離することができる。
【0065】 1好適態様では、種々のcDNAライブラリーからの発現配列タグ(EST)
を配列データベースにリストする。このデータベースを使用して特定目的組織か
らプロモーターターゲットを同定する。後続プロモーター単離に使用する発現配
列タグの選択は、個々のcDNAライブラリー又はcDNAライブラリー集合の
ランダムサンプリングからの代表的EST中の1種以上の配列の存在によって選
択される。例えば、葉及び根組織における転写産物の発現を調節する調節配列の
同定は、葉及び根cDNAライブラリーに存在し、他のcDNAライブラリーに
存在しないか又は低頻度で存在するESTを同定することにより実施され、所与
ESTの発現プロフィルを評価する。本明細書で使用する頻度とはクローン又は
クローン集団が1つのライブラリーに出現する回数を意味する。標的発現プロフ
ィルを示す特定組織又は器官に高濃度ないし高頻度で存在する配列をこのように
同定し、同定したEST配列からプライマーを設計することができる。PCRア
プローチを使用すると、目的標的植物のゲノムライブラリーからフランキング領
域を増幅することができる。既知配列のコア領域に隣接する未知DNA配列を増
幅する方法は多数の方法が当業者に公知である。非限定的な例としてはインバー
スPCR(IPCR)、ベクトレットPCR、Y形PCR及びゲノムウォーキン
グアプローチが挙げられる。
【0066】 1好適態様では、遺伝子特異的プライマーとアダプター配列にアニールするプ
ライマーを使用してアダプターに連結したゲノムDNAを第1回PCR増幅にか
ける。次にPCR産物を鋳型として使用し、第2の遺伝子特異的プライマーと第
2のアダプターを使用してnested−PCR増幅する。その後、neste
d−PCR反応から得られたフラグメントを単離、精製し、適当なベクターにサ
ブクローニングする。フラグメントを配列決定し、ESTが切断cDNAに由来
する場合には翻訳開始部位を同定することができる。フラグメントをβ−グルク
ロニダーゼ(GUS)等のリポーター遺伝子との転写又は翻訳融合体として植物
発現ベクターにクローニングすることができる。構築物はトランジェント分析で
試験することができ、その後、5’調節領域を適当な植物形質転換ベクターで他
の遺伝子及び目的調節配列に作動的に連携させ、当業者に公知の任意数の方法に
より目的遺伝子の発現について形質転換植物を分析する。
【0067】 遺伝子及び調節配列の同定には任意植物を選択することができる。遺伝子と調
節配列の単離に利用可能な植物ターゲットの例としてはアカシア、アルファルフ
ァ、リンゴ、アプリコット、アラビドプシス、アーティチョーク、キバナスズシ
ロ、アスパラガス、アボカド、バナナ、オオムギ、マメ類、ビート、ブラックベ
リー、ブルーベリー、ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツ、カノラ、カンタルー
プ、ニンジン、キャッサバ、ヒマ、カリフラワー、セロリ、チェリー、チコリ、
コリアンダー、柑橘類、クレメンタイン、クローバー、ココナッツ、コーヒー、
トウモロコシ、ワタ、キュウリ、ベイマツ、ナス、エンダイブ、キクヂシャ、ユ
ーカリ、ウイキョウ、イチジク、ガーリック、ゴード、ブドウ、グレープフルー
ツ、ハネデューメロン、ヒーカマ、キーウィフルーツ、レタス、リーキ、レモン
、ライム、テーダマツ、アマ、マンゴー、メロン、マッシュルーム、ネクタリン
、ナッツ、エンバク、ギネアアブラヤシ、アブラナ、オクラ、オリーブ、タマネ
ギ、オレンジ、鑑賞植物、ヤシ、パパイヤ、パセリ、パースニップ、エンドウ、
モモ、ラッカセイ、ナシ、コショウ、カキ、マツ、パイナップル、オオバコ、プ
ラム、ザクロ、ポプラ、ジャガイモ、パンプキン、マルメロ、ラジアタマツ、ラ
ディッキオ、ラディッシュ、ナタネ、ラズベリー、コメ、ライムギ、モロコシ、
ナンブマツ、ダイズ、ホウレンソウ、カボチャ、イチゴ、テンサイ、サトウキビ
、ヒマワリ、サツマイモ、モミジバフウ、タンジェリン、チャ、タバコ、トマト
、トリチカレ、シバクサ、カブ、蔓植物、スイカ、コムギ、ヤムイモ及びズッキ
ーニが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい植物ターゲットとし
てはトウモロコシ、ワタ、ダイズ及びコムギが挙げられる。
【0068】 本発明の核酸分子はトウモロコシ(Zea mays)から単離される。トウ
モロコシは約20〜21葉になり、出芽後約65日で開花し、出芽後約125日
で熟する。正常なトウモロコシ植物は一般発育パターンに従うが、各形態段階間
の時間間隔は各ハイブリッド、生育及び環境条件により異なる。
【0069】 トウモロコシ植物発育段階は多数の識別可能な段階からなる。これらの段階は
栄養(V)段階と生殖(R)段階として定義される。V段階はV1、V2、V3
等からV(n)に細分され、(n)は雄花出穂(VT)前の最終葉段階であり、
最初のV段階は出芽(VE)段階である。例えば、VEは土壌からの苗葉の出芽
であり、V1は最初の本葉であり、V2は2枚目の葉、以下同様である。生殖段
階は最初の絹糸出現から成熟種子までであり、R1開花、R2膨張、R3乳液段
階、R4糊熟段階、R5馬歯段階、R6生理的成熟である(例えばRitchi
e SWら(1986)How a Corn Plant Develops
,Iowa State University of Science an
d Technology Cooperative Extension S
ervice, Ames,IA48:1−21参照)。
【0070】 遺伝子及び関連調節エレメント(例えば非限定的な例としてプロモーター配列
)の同定のための標的組織としては任意種の植物組織を使用することができる。
本発明では、トウモロコシの多重組織を使用する。トウモロコシ分裂組織、未成
熟雄穂、葉、根、稈、軟白化苗、葉鞘、一次新芽、雌穂、絹糸及び内乳をプロモ
ーター配列の同定のための標的組織とするとより好ましい。
【0071】 目的遺伝子又は調節配列を単離するには、各種型又は分類の配列を示差比較す
ることが可能な任意方法を使用することができる。例えば、示差スクリーニング
アプローチの1例では、市販クローニングキットを使用してバクテリオファージ
宿主で特定組織から単離したmRNAからのcDNAライブラリーを調製するこ
とができる。大腸菌等の細菌宿主のローンを入れたプレートにプラークを撒き、
バクテリオファージプラークを生成する。約10〜10個のプラークをDN
A結合膜上に引上ることができる。標的及び非標的又はバックグラウンド組織か
らのmRNAから作製したプローブを使用して2組の膜を探査する。プローブは
ハイブリダイゼーションと発生後の検出を容易にするように標識する。標識組織
に由来するプローブにハイブリダイズし、所望示差発現パターンを示す非標的組
織に由来するプローブにはハイブリダイズしないプラークを後期分析に選択する
ことができる。制限酵素で部分消化し、特定サイズ範囲内のDNAフラグメント
をサイズ選択することにより選択種からゲノムDNAライブラリーを調製するこ
ともできる。ゲノムDNAは非限定的な例として例えばバクテリオファージ等の
適当なベクターにクローニングし、上記のような適当なキットを使用して調製す
ることができる(例えばStratagene,La Jolla,CA又はG
ibco BRL,Gaithersburg,MD参照)。
【0072】 上記のような示差ハイブリダイゼーション技術は当業者に周知であり、所望配
列類を単離するために使用することができる。本明細書で使用する配列類とは、
非限定的な例として例えば共通標的植物、共通ライブラリー又は共通植物組織型
から単離した配列等の共通識別子に基づいて分類可能な配列を意味する。1好適
態様では、配列分析と、各種組織型のライブラリーからの種々のcDNA配列の
集団への問合せに基づいて目的配列を同定する。開示方法は種々のcDNAライ
ブラリーに由来する植物ESTの電子配列分析に基づく示差スクリーニングアプ
ローチの1例である。
【0073】 遺伝子発現を評価するために使用する多数の方法は器官、組織又は細胞サンプ
ル中のmRNA濃度の測定に基づく。典型的な方法としてはRNAブロット、リ
ボヌクレアーゼ保護アッセイ及びRT−PCRが挙げられるが、これらに限定さ
れない。別の好適態様では、高スループット法を使用し、転写産物プロフィル決
定アプローチから調節配列を同定する。cDNAマイクロアッセイ技術の発展に
より、数千個の遺伝子の遺伝子発現プロフィルを体系的にモニターできるように
なった(Schenaら,Science,270:467,1995)。この
DNAチップ技術は数千個のcDNA配列を支持表面に配列させる。これらの配
列を各種細胞又は組織型のRNAサンプルから作製した多数の標識cDNAプロ
ーブに同時にハイブリダイズさせ、発現を直接比較分析することができる。この
技術は48個のアラビドプシス遺伝子を根と苗条における示差発現について分析
することにより最初に実証された(Schenaら,Science,270:
467,1995)。より最近では、cDNAマイクロアッセイを使用して14
00個を超える遺伝子の発現プロフィルがモニターされた(Ruanら,The
Plant Journal 15:821,1998)。マイクロアッセイ
は遺伝子発現を分析し、遺伝子機能を特性決定するための高スループットの定量
的で再現可能な方法を提供する。このように、マイクロアッセイを使用する転写
産物プロフィル決定アプローチはこれらの遺伝子に関連するプロモーター等の調
節配列の単離に有用な別のツールを提供する。
【0074】 本発明は高スループット配列分析を使用して目的配列の迅速なコンピューター
同定の基礎を形成する。配列分析に利用可能な資源は当業者に自明である。公共
入手可能又は私有データベース中の配列と試験又は照合配列の類似性を調べる(
「類似性分析」)か、あるいは所定モチーフを検索する(「固有配列分析」)(
例えばシスエレメント)ことにより配列比較を行うことができる(Coulso
n,Trends in Biotechnology,12:76,1994
;Birrenら,Genome Analysis,1:543,1997)
【0075】 配列番号53〜75のヌクレオチド配列もしくはそのフラグメントもしくはそ
の補体、又は配列番号53〜75の配列に少なくとも90%、好ましくは95%
、より好ましくは99%もしくは100%一致するヌクレオチド配列もしくはそ
のフラグメントもしくはその補体は使用し易いように種々の媒体に保存して「提
供」することができる。このような媒体は当業者が配列を試験できるような形態
でそのサブセットを提供することもできる。
【0076】 この態様の1適用例では、本発明のヌクレオチド配列をコンピューターで読取
可能な媒体に記録することができる。本明細書で使用する「コンピューターで読
取可能な媒体」とはコンピューターにより読取り、直接アクセスすることが可能
な任意媒体を意味する。このような媒体としては磁気記憶媒体(例えばフロッピ
ー(登録商標)ディスク、ハードディスク、記憶媒体及び磁気テープ)、光学記
憶媒体(例えばCD−ROM)、電気記憶媒体(例えばRAMとROM)、及び
これらの分類のハイブリッド(例えば磁気/光学記憶媒体)が挙げられるが、こ
れらに限定されない。当業者に自明の通り、本発明のヌクレオチド配列を記録し
たコンピューターで読取可能な媒体を含む製品を製造するにはコンピューターで
読取可能な現在公知の任意媒体を使用できる。
【0077】 本発明のヌクレオチド配列の1種以上を提供することにより、当業者は種々の
目的で配列情報に定常的にアクセスすることができる。コンピューターで読取可
能な媒体に提供される配列情報に当業者がアクセスするためのコンピューターソ
フトウェアは公共入手可能である。公共データベースの例としてはDNA Da
tabase of Japan(DDBJ)(http://www.ddb
j.nig.ac.jp/)、Genbank(http://www.ncb
i.nlm.nih.gov/web/Genbank/Index.html
)及びEuropean Molecular Biology Labora
tory Nucleic Acid Sequence Database(
EMBL)(gttp://www.ebj.ac.uk/ebi_docs/
embl_db.html)又はそのバージョンが挙げられるが、これらに限定
されない。多数の各種検索アルゴリズムが開発されており、これに限定するもの
ではないが、例えばBLASTプログラムと呼ばれる一連のプログラムが挙げら
れる。BLASTには5種類があり、3種はヌクレオチド配列照合用であれ(B
LASTN、BLASTX及びTBLASTX)、2種はタンパク質配列照合用
である(BLASTP及びTBLASTIN)(Coulson,Trends
in Biotechnology,12:76−80,1994;Birr
enら,Genome Analysis,1:543,1997)。
【0078】 本発明では任意モチーフ検索用プログラムも有用である。モチーフ検索用配列
分析プログラムを使用してシスエレメントを同定することができる。好適コンピ
ュータープログラムとしてはMEME、SIGNAL SCAN及びGENES
CANが挙げられるが、これらに限定されない。Memeは1組の未整列配列で
保存モチーフ(核酸又はペプチド)を識別するプログラムである。Memeはこ
れらのモチーフを1組のプロフィルとして保存する。これらのプロフィルを使用
して配列データベースを検索することができる。MEMEアルゴリズム(ver
sion 2.2)はGCGパッケージのversion 10.0,MEME
(T.BaileyとC.Elkan,Machine Learning,2
1(1−2):51−80,1995)に含まれ、ウェブサイトは次の通りであ
る(http://www.sdsc.edu/MEME/meme/webs
ite/COPYRIGHT.html.)。Signal Scanは他のモ
チーフデータベースからの情報を使用して試験配列中の既知モチーフを識別する
プログラムである(Prestridge,D.S.,CABIOS 7,20
3−206(1991))。Signal Scan version 4.0
情報は次のウェブサイトで入手可能である:http://biosci.cb
s.umn.edu/software/sigscan.html。Sign
al Scanのftpサイトはftp://biosci.cbs.umn.
edu/software/sigscan.htmlである。Signal
Scanと併用可能なデータベースとしては、PLACE(http://ww
w.dna.affrc.go.ip/htdocs/PLACE(Higoら
,Nucleic Acids Research 27(1):297−30
0(1999))とTRANSFAC(Heinemeye,X.ら,Nucl
eic Acid Research 27(1):318−322;次のウェ
ブサイトで入手可能:http://transfac.gbf.de/)が挙
げられる。GeneScanはモチーフ検索に適した別のプログラムであり(B
urge,CとKarlin,S.J.Mol.Biol.268,78−94
(1997))、version 1.0情報は次のウェブサイトで入手可能で
ある:http://gnomic.stanford.edu/GENESC
ANW.html。本明細書で使用する「標的構造モチーフ」又は「標的モチー
フ」とは標的モチーフのフォールディング後に形成される三次元構造に基づいて
論理的に選択された任意配列又は配列組合せを意味する。種々の標的モチーフが
当業者に公知である。タンパク質標的モチーフの非限定的な例としては酵素活性
部位とシグナル配列が挙げられる。本発明の好適標的モチーフとしてはプロモー
ター配列、シスエレメント、ヘアピン構造及び他の発現エレメント(例えばタン
パク質結合配列)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】 本明細書で使用する「検索手段」とは標的配列又は標的構造モチーフをデータ
記憶手段に保存された配列情報と比較するためにコンピューター利用システムで
実行される1種以上のプログラムを意味する。検索手段は特定標的配列又は標的
モチーフに対応する本発明の配列のフラグメント又は領域を識別するために使用
される。更に、特定機能に関与すると思われる共通領域又はモチーフを識別する
ために多重配列を比較することもできる。例えば、同類プロモーターの多重プロ
モーター領域を整列させ、所定ソフトウェアパッケージにより分析すると、特定
発現プロフィルを付与するシスエレメント又は配列ドメインを識別することがで
きる。
【0080】 本発明は更に本明細書に記載する配列情報を含むシステム、特にコンピュータ
ー利用システムも提供する。本明細書で使用する「コンピューター利用システム
」とは本発明のヌクレオチド配列情報を分析するために使用されるハードウェア
手段、ソフトウェア手段及びデータ記憶手段を意味する。本発明のコンピュータ
ー利用システムの最小ハードウェア手段は中央処理装置(CPU)と、入力手段
と、出力手段と、データ記憶手段を含む。当業者に自明の通り、本発明では任意
市販コンピューター利用システムを利用できる。
【0081】 配列番号6〜52はコンピューターによる配列比較から同定したcDNA配列
から設計したプライマーである。これらの配列を使用し、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)増幅技術を使用して核酸配列を伸長させる(例えばMullisら,
Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.5
1:263,1986;Eilichら,ヨーロッパ特許出願第50,424号
;ヨーロッパ特許出願第84,796号、ヨーロッパ特許出願第258,017
号、ヨーロッパ特許出願第237,362号;Mullis,ヨーロッパ特許出
願第201,184号;Mullisら,米国特許第4,683,202号;E
rlich,米国特許第4,582,788号;及びSaikiら,米国特許第
4,683,194号参照)。多数のPCR増幅法が当業者に公知であり、既知
配列に隣接する核酸配列を同定するために使用されている。例えば、既知配列の
コア領域に隣接する未知DNA配列を増幅するためのインバースPCR(IPC
R)法が記載されている。キャプチャーPCR(Lagerstrom,M.ら
,PCR Methods Applic.1:111,1991)やウォーキ
ングPCR(Parker,JDら,Nucleic Acids Res 1
9:3055,1991)等の他の方法も利用できる。目的配列を同定する目的
でこれらの方法の変法に基づくキットも多数の製造業者に開発されている。プラ
イマー及びアダプター設計の改善、ポリメラーゼ酵素の改善及びサーモサイクラ
ー能力等の技術的進歩により、目的配列をより迅速で効率的に単離できるように
なった。
【0082】 1好適態様では、ゲノムウォーキングアプローチを使用して本発明の5’調節
配列を含むフランキング配列を単離する(Universal GenomeW
alker(登録商標)Kit,CLONTECH Laboratories
,Inc.,Palo,Alto,CA)。要約すると、精製ゲノムDNAを制
限酵素消化し、末端をGenomeWalker(登録商標)アダプターに連結
したゲノムDNAフラグメントを生成する。2回の連続PCR反応(一次及びn
ested−PCR反応)でGenomeWalker(登録商標)プライマー
を遺伝子特異的プライマーと併用し、5’調節配列を含むPCR産物を生産し、
その後、クローニング及び配列決定する。
【0083】 遺伝子発現調節での使用に加え、本発明のプロモーター配列は核酸ハイブリダ
イゼーション発現におけるプローブ又はプライマーとしても有用である。本発明
の核酸プローブ及びプライマーはストリンジェント条件下で標的DNA配列とハ
イブリダイズすることができる。「ストリンジェントハイブリダイゼーション条
件」なる用語は経験により決定できるように、プローブ又はプライマーが標的配
列と特異的にハイブリダイズし、非標的配列とはハイブリダイズしない条件とし
て定義される。「ストリンジェント条件」なる用語はSambrookら,19
89,9.52−9.55に記載されている特定ハイブリダイゼーション手順に
よる核酸プローブと標的核酸(即ち目的特定核酸配列)とのハイブリダイゼーシ
ョンに関して機能的に定義される。Sambrookら,1989,9.47−
9.52、9.56−9.58;Kanehisa,Nucl.Acids.R
es.12:203−213,1984;及びWetmurとDavidson
,J.Mol.Biol.31:349−370,1968も参照されたい。D
NAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件(例えば
約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)後に50℃
で2.0×SSCで洗浄)は当業者に公知であり、あるいはCurrent P
rotocols in Molecular Biology,John W
iley & Sons,N.Y.,1989,6.3.1−6.3.6に記載
されている。例えば、洗浄段階の塩濃度は50℃で約2.0×SSCの低ストリ
ンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選
択することができる。更に、洗浄段階の温度は約22℃の室温の低ストリンジェ
ンシー条件から約65℃の高ストリンジェンシー条件まで増すことができる。温
度と塩の両方を変えてもよいし、温度又は円濃度のいずれかを一定に維持し、他
方の変数を変えてもよい。
【0084】 例えば、DNA又はRNAプローブ又はプライマーを使用するハイブリダイゼ
ーションは高ストリンジェンシーでは6×SSC、0.5%SDS、5×デンハ
ルト液、100μg/mL非特異的DNA(例えば音波処理サケ精子DNA)中
、65℃で実施し、65℃で0.5×SSC、0.5%SDSで洗浄することが
できる。
【0085】 プローブ又はプライマーと標的配列の結合特異性が維持されるならば、より低
温のハイブリダイゼーション及び/又は洗浄温度等のより低ストリンジェンシー
ハイブリダイゼーション条件を使用して配列類似度の低い関連配列を同定するこ
とができる。従って、本発明のヌクレオチド配列はDNAフラグメントの相補領
域とデュプレクス分子を選択的に形成する能力により使用することができる。ハ
イブリダイゼーションによるDNAセグメントの検出は当業者に周知であるので
、目的用途に応じて標的配列に対するプローブの種々の選択性度に達するように
種々のハイブリダイゼーション条件を利用することが望ましく、選択方法は所望
結果によって異なる。
【0086】 配列番号53〜75の核酸配列とその任意変異体は適当に選択されたストリン
ジェンシー条件下で他の核酸配列とハイブリダイズすることが可能である。本明
細書では2個の核酸分子が逆平行2本鎖核酸構造を形成できる場合にこれらの2
個の分子は相互に特異的にハイブリダイズできると言う。ある核酸分子が別の核
酸分子の「補体」であると言うのは、両者が完全な相補性を示す場合である。本
明細書において分子が「完全な相補性」を示すと言うのは、分子の一方の各ヌク
レオチドが他方のヌクレオチドに相補的である場合である。2個の分子が「最小
限に相補的」と言うのは、少なくとも慣用「低ストリンジェンシー」条件下で相
互にアニールさせておくために十分な安定性で相互にハイブリダイズできる場合
である。同様に、分子が「相補的」であると言うのは、慣用「高ストリンジェン
シー」条件下で相互にアニールさせておくために十分な安定性で相互にハイブリ
ダイズできる場合である。慣用ストリンジェンシー条件はSambrookら,
Molecular Cloning,A Laboratory Manua
l,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold
Spring Harbor,New York,1989とHaymesら,
Nucleic Acid Hybridization,A Practic
al Approach,IRL Press,Washington,DC,
1985に記載されている。
【0087】 1好適態様では、配列番号53〜75の核酸配列又はこれらの配列のいずれか
のフラグメント、領域、シスエレメントもしくはオリゴマーを他の植物組織のハ
イブリダイゼーションアッセイで使用し、密接に関連するか又は相同の遺伝子と
関連調節配列を同定することができる。これらのアッセイの非限定的な例として
は任意支持体(非限定的な例として例えば適当に調製した植物組織、セルロース
、ナイロンもしくは組合せフィルター、チップ又はガラススライド)でのサザン
又はノーザンハイブリダイゼーションアッセイが挙げられる。このような方法は
当分野で周知であり、市販キット又は製剤で利用可能である。
【0088】 当然のことながら、自動オリゴヌクレオチド合成器を使用して一般に実施され
ているように、化学的手段によりフラグメントを直接合成するなどの他の方法に
よりフラグメントを得ることもできる。また、分子生物学の当業者に一般に公知
の組換えDNA技術によりPCR(登録商標)(ポリメラーゼ連鎖反応)技術等
の核酸複製技術を適用することによりフラグメントを得ることもできる。特定増
幅プライマー対を使用する標的核酸配列の(例えばPCRによる)増幅に関して
、「ストリンジェントPCR条件」とはプライマー対が対応する野生型配列をも
つプライマー(又はその補体)の結合対象である標的核酸配列のみとハイブリダ
イズして好ましくは固有増幅産物を生産できるような条件を意味する。
【0089】 本明細書で使用する核酸のフラグメントとは全長よりも短い核酸の任意部分を
意味する。例えば、本発明では配列番号53〜75の開示ヌクレオチド配列より
も短い任意長のヌクレオチド配列をフラグメントとみなす。フラグメントは上記
に定義したようなストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で天然核酸と
特異的にハイブリダイズすることが可能な少なくとも最小長でもよい。このよう
な最小フラグメント長は好ましくは天然核酸配列の少なくとも8ヌクレオチド、
より好ましくは15ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも20ヌクレオチド
、最も好ましくは少なくとも30ヌクレオチドである。
【0090】 本発明の核酸配列はプローブ及びプライマーとして使用することもできる。核
酸プローブ及びプライマーは天然遺伝子配列に基づいて作製することができる。
「プローブ」は慣用検出可能ラベル又はリポーター分子(例えば放射性同位体、
リガンド、化学発光物質又は酵素)を結合した単離核酸である。「プライマー」
は核酸ハイブリダイゼーションにより相補的標的DNA鎖にアニールしてプライ
マーと標的DNA鎖のハイブリッドを形成した後、ポリメラーゼ(例えばDNA
ポリメラーゼ)により標的DNA鎖に沿って伸長する単離核酸である。プライマ
ー対は例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は他の慣用核酸増幅法により核
酸配列の増幅に使用することができる。
【0091】 プローブとプライマーは一般に15ヌクレオチド長以上、好ましくは20ヌク
レオチド長以上、より好ましくは25ヌクレオチド、最も好ましくは30ヌクレ
オチド長以上である。このようなプローブとプライマーは高ストリンジェンシー
ハイブリダイゼーション条件下で標的DNA又はRNA配列と特異的にハイブリ
ダイズし、低ストリンジェンシー条件下で別種の標的天然配列と特異的にハイブ
リダイズする。本発明のプローブとプライマーは天然配列と完全な配列類似性を
もつことが好ましいが、標的天然配列とハイブリダイズする能力を維持しながら
天然配列と相違するプローブも慣用法により設計することができる。プローブと
プライマーの作製及び使用方法は例えばMolecular Cloning:
A Laboratory Manual,第2版,vol.1−3,Samb
rookら編,Cold Spring Harbor Laboratory
Press,Cold Spring Harbor,New York,1
989(以下、“Samtrookら,1989”と言う);Current
Protocols in Molecular Biology,Ausub
elら編,Greene Publishing and Wiley−Int
erscience,New York,1992(及びその定期改訂版)(以
下、“Ausubelら,1992”と言う);及びInnisら,PCR P
rotocols:A Guide to Methods and Appl
ications,Academic Press:San Diego,19
90に記載されている。PCR−プライマー対は例えばPrimer(Vers
ion 0.5,(C)1991,Whitehead Institute
for Biomedical Research,Cambridge,MA
)等のこの目的のためのコンピュータープログラムを使用することにより既知配
列から誘導することができる。本明細書に開示する天然プロモーター配列に基づ
くプライマーとプローブは慣用方法(例えば再クローニングと再配列決定)によ
り開示配列を確認し、必要に応じて改変するために使用することができる。
【0092】 別の態様では、本明細書に開示するプロモーターのヌクレオチド配列を改変す
ることができる。当業者はヌクレオチド配列に変異をもつDNA分子を作製する
ことができる。配列番号53〜75に示すような本発明のヌクレオチド配列を改
変してその調節特徴を強化することができる。核酸配列の改変方法の好適1例で
はPCRを使用して配列の選択ヌクレオチド又は領域を改変する。これらの方法
は当業者に公知である。例えばPCRによるDNA改変アプローチで鋳型配列の
挿入、欠失又は置換により配列を改変することができる。「変異」DNA分子は
好ましくはプロモーター機能を実質的に維持しながら天然配列の1個以上のヌク
レオチドを欠失、付加及び/又は置換する変異を含むDNA分子である。プロモ
ーターフラグメントの場合には、「変異」DNAはこのフラグメントが作動的に
連携した最小プロモーターの転写を変えないような変異を含むことができる。変
異DNA分子は例えば標準DNA突然変異誘発技術を使用するか、変異DNA分
子又はその一部を化学的に合成することにより生産することができる。
【0093】 別の態様では、配列番号53〜75に示すようなヌクレオチド配列は作動的に
連携したDNA配列を調節することが可能な前記ヌクレオチド配列の任意長を含
む。例えば、作動的に連携したDNA配列の転写を調節することが可能であれば
、配列番号53〜75に示すような配列を切断してもよいし、一部を欠失させて
もよい。関連態様では、開示配列のシスエレメントは所定組織における作動的に
連携したDNA配列の発現強化を付与する等の特定特異性を付与することができ
る、従って、作動的に連携したDNA配列の転写を調節することも可能である。
従って、配列番号53〜75の開示配列の任意配列フラグメント、部分又は領域
を調節配列(非限定的な例として例えば開示配列のシスエレメント又はモチーフ
)として使用することができる。例えば、プロモーター配列の5’又は3’末端
から1塩基対以上を欠失させ、「切断」プロモーターを生成してもよい。プロモ
ーター配列に1塩基対以上を挿入、欠失又は内部置換してもよい。プロモーター
はプロモーターフラグメント又はエレメントが例えばこのようなフラグメントを
最小プロモーターの上流に配置することにより作動的に連携するように構築する
ことができる。最小又は基本プロモーターは基本転写機構に補充結合することが
可能なDNA断片である。真核細胞における基本転写機構の1例はRNAポリメ
ラーゼII複合体とその補助タンパク質である。基本転写機構の酵素成分は最小
又は基本プロモーターを利用して所与遺伝子の転写を開始及び延長することが可
能である。即ち、転写を調節する(例えば強化、抑制、転写ホルモン依存性にす
る等)転写因子に補充結合することが可能なシス作用性配列はプロモーター領域
に付加しない。置換、欠失、挿入又はその任意組合せを併用して最終構築物を生
成することができる。
【0094】 本発明の天然又は合成核酸は宿主細胞に導入して複製することが可能な組換え
核酸構築物(一般にはDNA構築物)に組込むことができる。1好適態様では、
選択可能、スクリーニング可能又はスコア可能なマーカー遺伝子等の遺伝子成分
に作動的に連携した本発明のプロモーター領域を含む発現ベクターカセットに配
列番号53〜75に示すような本発明のヌクレオチド配列又はそのフラグメント
、変異体もしくは誘導体を組込む。本発明の開示核酸配列は植物形態、生理機能
、生育、収量、栄養強化、疾病もしくは病虫害耐性、又は環境もしくは薬品耐性
に関連する所望特徴を付与する核酸等の遺伝子成分に作動的に連携していること
が好ましい。マーカー遺伝子や農学に有用な遺伝子等のこれらの遺伝子成分は形
質転換植物細胞もしくは植物の同定又は農学的に有用な生産物の生産で機能する
ことができる。
【0095】 1好適態様では、ある遺伝子成分は選択装置として機能する産物を生産し、通
常は毒性の化合物に対する耐性を植物組織に付与する化合物を生産するように再
生植物組織で機能する。選択可能、スクリーニング可能又はスコア可能なマーカ
ーとして使用するのに有用な遺伝子としては、β−グルクロニダーゼ(GUS)
のコーディング配列、グリーン蛍光タンパク質(GFP)のコーディング配列、
ルシフェラーゼ(LUX)のコーディング配列、抗生物質又は除草剤耐性遺伝子
が挙げられるが、これらに限定されない。トランスポゾン及び関連抗生物質耐性
遺伝子の例としてはトランスポゾンTns(bla)、Tn5(nptII)、
Tn7(dhfr)、ペニシリン、カナマイシン(及びネオマイシン、G418
、ブレオマイシン)、メトトレキセート(及びトリメトプリム)、クロラムフェ
ニコール、カナマイシン及びテトラサイクリンが挙げられる。
【0096】 植物で選択マーカーとして有用な特徴は微生物の使用に関する報告に要約され
ている(Advisory Committee on Novel Food
s and Processes,July 1994)。これらの特徴として
は、最小数の非形質転換組織による厳密な選択、有意再生干渉を伴わない多数の
独立した形質転換イベント、多数の種への適用、及びマーカーの存在について組
織を採点するためのアッセイを利用できることなどが挙げられる。
【0097】 多数の選択マーカー遺伝子が当分野で公知であり、カナマイシン(nptII
)、ハイグロマイシンB(ahpIV)及びゲンタマイシン(aac3及びaa
cC4)耐性マーカー等の数種の抗生物質耐性マーカーがこれらの基準を満足す
る。有用な主要選択マーカー遺伝子としては、抗生物質耐性遺伝子(例えばハイ
グロマイシン、カナマイシン、ブレオマイシン、G418、ストレプトマイシン
又はスペクチノマイシン耐性)と除草剤耐性遺伝子(例えばホスフィノトリシン
アセチルトランスフェラーゼ)をコードする遺伝子が挙げられる。除草剤耐性の
形質転換体の選択に有用なストラテジーは例えばVasil,Cell Cul
ture and Somatic Cell Genetics of Pl
ants,Vols.I−III,Laboratory Procedure
s and Their Applications Academic Pr
ess,New York,1984に記載されている。本発明で使用するのに
特に好ましい選択マーカー遺伝子は抗生物質(例えばカナマイシン)や除草剤(
例えばグリホセート)等の化合物に対する耐性を付与する遺伝子である(Del
la−Cioppaら,Bio/Technology 5(6),1987,
米国特許第5,463,171号、米国特許第5,633,435号)。他の選
択装置も利用することができ、本発明の範囲に含まれる。
【0098】 本発明を実施するためには、特にSambrookら,1989に記載されて
いるような慣用組成物と、ベクター及び宿主細胞の作製及び使用方法を利用する
。1好適態様では、宿主細胞は植物細胞である。植物細胞の安定的トランスフェ
クション又はトランスジェニック植物の樹立に適した多数のベクターが例えばP
ouwelsら,Cloning Vectors:A Laboratory
Manual,1985,追補1987;WeissbachとWeissb
ach,Methods for Plant Molecular Biol
ogy,Academic Press,1989;Gelvinら,Plan
t Molecular Biology Manual,Kluwer Ac
ademic Publishers,1990;及びR.R.D.Groy,
Plant Molecular Biology LabFax,BIOS
Scientific Publishers,1993等の文献に記載されて
いる。植物発現ベクターとしては例えば5’及び3’調節配列の転写制御下の1
個以上のクローン化植物遺伝子が挙げられる。また、発現ベクターを含む宿主細
胞を選択できるように上記のような選択マーカーを加えてもよい。このような植
物発現ベクターは更に一般にプロモーター調節領域(例えば誘導もしくは構成的
であるか、環境もしくは発育に応じて調節されるか、又は細胞もしくは組織特異
的な発現を調節する調節領域)と、転写開始部位と、リボソーム結合部位と、R
NAプロセシングシグナルと、転写終結部位と、ポリアデニル化シグナルを含む
。ベクターを細菌宿主にクローニングできるように細菌起源の他の配列も加える
。ベクターは更に一般に広い宿主範囲の原核複製起点を含む。特に好ましい態様
では、宿主細胞は植物細胞であり、植物発現ベクターは配列番号53〜75に開
示するようなプロモーター領域と、作動的に連携した転写可能配列と、転写終結
配列を含む。クローニング目的の制限酵素部位以外に、5’非翻訳リーダー等の
他の調節配列も加えてもよい。
【0099】 任意目的遺伝子の植物遺伝子発現には多数のプロモーターが有用であり、非限
定的な例として選択マーカー、スコラブルマーカー、病虫害耐性遺伝子、疾病耐
性遺伝子、栄養強化遺伝子、及び農学的に有用な他の任意遺伝子が挙げられる。
植物遺伝子発現に有用な構成的プロモーターの例としては単子葉類(例えばDe
keyserら,Plant Cell 2:591,1990:Terada
とShimamoto,Mol.Gen.Genet.220:389,199
0参照)を含む殆どの植物組織(例えばOdelら,Nature 313:8
10,1985参照)で構成的な高レベル発現を付与するカリフラワーモザイク
ウイルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター(
Anら,Plant Physiol.88:547,1988)、及びオクト
ピンシンターゼプロモーター(Frommら,Plant Cell 1:97
7,1989)及びゴマノハグサモザイクウイルス(FMV)プロモーターが挙
げられるが、これらに限定されない。
【0100】 環境、ホルモン、薬品及び/又は発育シグナルに応答して調節される種々の植
物遺伝子プロモーターを植物細胞における作動的に連携した遺伝子の発現に使用
することができ、例えば(1)熱(Callisら,Plant Physio
ol.88:965,1988)、(2)光(例えばエンドウrbcS−3Aプ
ロモーター、Kuhlemeierら,Plant Cell 1:471,1
989;トウモロコシRbcSプロモーター、SchaffnerとSheen
,Plant Cell 3:997,1991;又はクロロフィルa/b結合
タンパク質プロモーター、Simpsonら,EMBO J.4:2723,1
985)、(3)アブシジン酸等のホルモン(Marcotteら,Plant
Cell 1:969,1989)、(4)外傷(例えばwunI、Sieb
ertzら,Plant Cell 1:961,1989)、又は(5)ジャ
スモン酸メチル、サリチル酸もしくはSafener等の薬品により調節される
プロモーターが挙げられる。更に、(6)器官特異的プロモーター(例えばRo
shalら,EMBO J.6:1155,1987;Schernthane
rら,EMBO J.7:1249,1988;Bustosら,Plant
Cell 1:839,1989)を利用すると有利な場合もある。
【0101】 本発明のプロモーターは多重組織で作動的に連携したDNA配列を転写するこ
とが可能な植物プロモーターであり、発現ベクターで任意目的遺伝子に作動的に
連携することができる。
【0102】 植物発現ベクターはトランスジーンでポリペプチドをコードする配列の上流又
は下流のいずれに配置してもよいRNAプロセシングシグナル(例えばイントロ
ン)を含むことができる。更に、発現ベクターは植物遺伝子の3’未翻訳領域(
Thornburgら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84
:744(1987);Anら,Plant Cell 1:115(1989
))からの付加調節配列を含むことができ、例えばジャガイモのPI−IIター
ミネーター領域やオクトピン又はノパリンシンターゼ3’ターミネーター領域等
のmRNAの安定性を増すための3’ターミネーター領域を含むことができる。
mRNAの5’非翻訳領域は翻訳開始に重要な役割を果たすことができ、植物発
現ベクターにおける遺伝子成分でもあり得る。例えば、熱ショックタンパク質遺
伝子に由来する非翻訳5’リーダー配列は植物における遺伝子発現を増すことが
立証されている(例えば参考資料としてその開示内容全体を本明細書の一部とす
る米国特許第5,362,865号参照)。これらの付加上流及び下流調節配列
は発現ベクターに存在する他のエレメントに対して天然又は異種のいずれに由来
するものでもよい。
【0103】 本発明のプロモーター配列は植物細胞における遺伝子発現を調節するために使
用される。開示プロモーター配列は植物形質転換で使用されるベクターの一部で
あるゲノム成分である。本発明のプロモーター配列は特定の望ましい形質を付与
するために十分な方法で発現される1種以上の核酸と共に上述のような選択可能
又はスクリーニング可能なマーカーと関連調節エレメントを含む任意の適当な植
物軽質転換プラスミド又はベクターで使用することができる。本発明が想定する
農学的に有用な利用可能な構造遺伝子の例としては昆虫耐性(例えばBacil
lus thuringiensis)、病害虫耐性(例えば菌類病防除遺伝子
)、除草剤耐性(例えばグリホセート耐性を付与する遺伝子)、品質改善(例え
ば収量、栄養強化、環境又はストレス耐性)、又は植物生理状態、生育、発育、
形態もしくは植物産物の任意の望ましい変化をコードする1種以上の遺伝子が挙
げられるが、これらに限定されない。特に好ましい遺伝子としては除草剤グリホ
セート耐性を付与する任意除草剤耐性遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子とし
ては参考資料としてその開示内容全体を本明細書の一部とする米国特許第5,4
63,175号及び参考資料としてその開示内容全体を本明細書の一部とする米
国特許第5,633,435号に記載されているようなAGRTU.aroA:
CP4及びGOX遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】 あるいは、DNAコーディング配列は例えばアンチセンス又は同時抑圧媒介メ
カニズムにより内因性遺伝子の発現の標的阻害を生じる非翻訳可能RNA分子を
コードすることによりこれらの表現型を発現することができる(例えばBird
ら,Biotech.Gen.Engin.Rev.9:207,1991参照
)。RNAは所望内因性mRNA産物を開裂するように構築された触媒RNA分
子(即ちリボザイム)でもよい(例えばGibsonとShillitoe,M
ol.Biotech.7:125,1997参照)。従って、目的表現型又は
形態変化を発現するタンパク質又はmRNAを生産する任意遺伝子が本発明の実
施に有用である。
【0105】 上流(5’)又はDNA配列内に位置する調節エレメント又は配列に加え、遺
伝子発現に影響する下流(3’)配列もあり、従って、本明細書で使用する調節
配列なる用語は、細胞のタンパク質合成装置と共に遺伝子産物の発現を調節、媒
介又は変化させるDNA配列の上流、内側又は下流に位置する任意ヌクレオチド
配列を意味する。
【0106】 本発明のプロモーター配列は例えば他の植物系で発現するように改変してもよ
い。別のアプローチでは、多数の方法により新規ハイブリッドプロモーターを設
計又は構築することができる。多数のプロモーターはプロモーターの強度及び/
又は特異性を活性化、強化又は規定する上流配列を含む(Atchison,A
nn.Rev.Cell Biol.4:127,1988)。T−DNA遺伝
子は例えば転写開始部位を規定する「TATA」ボックスを含み、転写開始部位
の上流に位置する他の上流エレメントは転写レベルを調節する(Gelvin,
In Transgenic Plants(Kung,S.−D.とUs,R
.編),San Diego:Academic Press,pp.49−8
7,1988)。別のキメラプロモーターはオクトピンシンターゼ(ocs)ア
クチベーターの三量体をマンノピンシンターゼ(mas)アクチベーターとプロ
モーターに組合せ、リポーター遺伝子の発現を増した(Min Niら,The
Plant Journal 7:661,1995)。本発明の上流調節配
列はこのようなキメラ又はハイブリッドプロモーターの構築に使用することがで
きる。本発明の変異プロモーターの構築方法としては、種々のプロモーターの調
節エレメントを組合せる方法や、プロモーターの部分又は領域を二重にする方法
が挙げられるが、これらに限定されない(例えば参考資料としてその開示内容全
体を本明細書の一部とする米国特許第5,110,732号及び参考資料として
その開示内容全体を本明細書の一部とする米国特許第5,097,025号参照
)。巨大分子(例えばDNA分子、プラスミド等)の構築と操作と単離、組換え
生物の作製、及び遺伝子のスクリーニングと単離に関する特定条件及び手順を記
載した標準資料は当業者に周知である(例えばSambrookら,Molec
ular Cloning,A Laboratory Manual,Col
d Spring Harbor Press,1989;Mailgaら,M
ethods in Plant Molecular Biology,Co
ld Spring Harbor Press,1995;Birrenら,
Genome Analysis:volume 1,Analyzing D
NA,(1997);volume 2,Detecting Genes,(
1998); volume 3,Cloning Systems,(199
9);volume 4,Mapping Genomes,(1999),C
old Spring Harbor,New York参照)。
【0107】 本発明のプロモーター配列は上記のようなスクリーニング可能又はスコア可能
なマーカーを使用して発現ベクターに組込み、安定な植物系における遺伝子発現
の指標を提供するトランジェント分析で試験することができる。トランジェント
アッセイにおける遺伝子発現の試験方法は当業者に公知である。種々の植物、組
織及びDNA送達システムを使用したマーカー遺伝子のトランジェント発現が報
告されている。例えば、トランジェント分析の種類としては、任意目的植物種を
使用する任意トランジェント植物アッセイでエレクトロポレーション又は組織の
粒子ボンバードメントによる直接遺伝子送達が挙げられるが、これに限定されな
い。このようなトランジェントシステムとしてはコムギ懸濁培養液からのプロト
プラスト(Zhouら,Plant Cell Reports 12:612
,1993)、コムギの葉プロトプラストのエレクトロポレーション(Seth
iら,J.Crop Sci.52:152,1983)、トウモロコシ組織か
ら調製したプロトプラストのエレクトロポレーション(Sheen,J.The
Plant Cell 3:225,1991)、又は目的特定組織の粒子ボ
ンバードメントが挙げられるが、これらに限定されない。本発明は選択されたリ
ポーター遺伝子、マーカー遺伝子又は農学的に有用な遺伝子に作動的に連携した
調節配列を評価するための任意トランジェント発現系の使用を含む。適当な送達
システムによるトランジェントアッセイの試験対象とする植物組織の例としては
葉基組織、カルス、子葉、根、内乳、胚、花組織、花粉及び表皮組織が挙げられ
るが、これらに限定されない。
【0108】 トランジェントアッセイでは任意スコア可能又はスクリーニング可能なマーカ
ーを使用することができる。本発明のプロモーター又は5’調節配列のトランジ
ェント分析に好適なマーカー遺伝子としてはGUS遺伝子(β−グルクロニダー
ゼのコーディング配列)やGFP遺伝子(グリーン蛍光タンパク質のコーディン
グ配列)が挙げられる。マーカー遺伝子に作動的に連携した5’調節配列を含む
発現ベクターを組織に送達し、マーカーに応じて適当なメカニズムにより組織を
分析する。定量又は定性分析をツールとして使用し、安定な植物で農学的に有用
な遺伝子に作動的に連携している場合に5’調節配列の発現の可能性を評価する
。最終的に、選択マーカーに作動的に連携した5’調節配列と目的遺伝子を含む
適当な植物形質転換発現ベクターに本発明のプロモーター配列を直接組込み、植
物に形質転換し、5’調節配列により付与される所望発現プロフィルについて植
物を分析する。
【0109】 植物形質転換に適したベクターは当業者に自明である。利用可能なベクターの
非限定的な例としてはAgrobacterium媒介法のディスアームドTi
プラスミドが挙げられる。これらのベクターは1種以上の目的遺伝子と関連調節
配列に加え、耐性マーカーと1−2 T−DNAボーダーと大腸菌及びAgro
bacteriumの複製起点を含むことができる。Agrobacteriu
m媒介アプローチに多数の菌株と方法を利用できることは当業者に自明である。
このような菌株としてはAgrobacterium株C58、LBA4404
、EHA101及びEHA105が挙げられるが、これらに限定されない。特に
好ましい株はAgrobacterium tumefaciens株である。
他の植物形質転換用DNA送達システムも当業者に公知であり、非限定的な例と
して選択植物組織の粒子ボンバードメントが挙げられる。
【0110】 本発明に含まれる方法により導入することができる核酸の例としては、例えば
別種からのDNA配列又は遺伝子だけでなく、同一種に由来又は存在するが、旧
来の繁殖又は育種技術ではなく遺伝子工学的方法によりレシピエント細胞に組込
まれる遺伝子又は配列も挙げられる。他方、外因性なる用語は形質転換される細
胞に通常は存在しないか又は恐らく単に形質転換DNAセグメントもしくは遺伝
子に存在するような形態、構造等で存在しないと思われる遺伝子や、通常存在す
るが、例えば過剰発現させたい遺伝子も意味する。従って、「外因性」遺伝子又
はDNAなる用語は類似遺伝子がレシピエント細胞に既に存在しているか否かに
関係なく、レシピエント細胞に導入される任意遺伝子又はDNAセグメントを意
味する。外因性DNAに含まれるDNAの種類としては、植物細胞に既に存在す
るDNA、別の植物からのDNA、異なる生物からのDNA、又は外部で作製し
たDNA(例えば遺伝子のアンチセンスメッセージを含むDNA配列又は遺伝子
の合成もしくは改変種をコードするDNA配列)が挙げられる。
【0111】 本発明のプロモーター配列を含む植物形質転換ベクターは任意植物形質転換法
により植物に導入することができる。DNA配列を植物細胞に導入する方法は数
種が利用可能であり、当分野で周知である。利用可能な方法としては細菌感染、
バイナリー細菌人工染色体ベクター、(例えばPEG媒介形質転換、乾燥/阻害
媒介DNA取込み、エレクトロポレーション、炭化ケイ素ファイバーによる撹拌
及びDNA被覆粒子の加速による)DNAの直接送達が挙げられるが、これらに
限定されない(Potrykus,Ann.Rev.Plant Physio
l.Plant Mol.Biol.,42:205,1991参照)。
【0112】 双子葉植物を特異的に形質転換する方法は主にAgrobacterium
tumefaciensを使用する。例えば、これらの限定するものではないが
、報告されているトランスジェニック植物にはワタ(米国特許第5,004,8
63号;米国特許第5,159,135号;米国特許第5,518,908号;
WO97/43430)、ダイズ(米国特許第5,569,834号;米国特許
第5,416,011号;McCabeら,Bio/Technology,6
:923,1988;Christouら,Plant Physiol.,9
87:671,1988)、アブラナ科アブラナ属(米国特許第5,463,1
74号)及びエンドウ(Chengら,Plant Cell Rep.,15
:653,1996)がある。
【0113】 同様の方法が単子葉植物の形質転換でも報告されている。これらの方法を使用
した形質転換及び植物再生は多数の農作物について記載されており、これらに限
定するものではないが、アスパラガス(Asparagus officina
lis;Bytebierら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S
.A.,84:5345,1987)、オオムギ(Hordeum vulga
rae;WanとLemaux,Plant Physiol.,104:37
,1994)、トウモロコシ(Zea mays:Rhodes,C.A.ら,
Science,240:204,1988;Gordon−Kammら,Pl
ant Cell,2:603,1990;Frommら,Bio/Techn
ology,8:833,1990;Kozielら,Bio/Technol
ogy,11:194,1993)、エンバク(Avena sativa;S
omersら,Bio/Technology,10:1589,1992)、
オーチャードグラス(Dactylis glomerata;Homら,Pl
ant Cell Rep.,7:469,1988)、コメ(indica及
びjaponica種を含むOryza sativa,Toriyamaら,
Bio/Technology,6:10,1988;Zhangら,Plan
t Cell Rep.,7:379,1988;LouとWu,Plant
Mol.Biol.Rep.,6:165,1988;ZhangとWu,Th
eor.Appl.Genet.,76:835,1988;Christou
ら,Bio/Technology,9:957,1991)、モロコシ(So
rghum bicolor;Casas,A.M.ら,Proc.Natl.
Acad.Sci.U.S.A.,90:11212,1993)、サトウキビ
(Saccharum種;BowerとBirch,Plant J.,2:4
09,1992)、ヒロハノウシノケグサ(Festuca arundina
cea;Wang,Z.Y.ら,Bio/Technology,10:691
,1992)、シバクサ(Agrostis palustris;Zhong
ら,Plant Cell Rep.,13:1,1993)、コムギ(Tri
ticum aestivum;Vasilら,Bio/Technology
,10:667,1992;Weeks T.ら,Plant Physiol
.,102:1077,1993;Beckerら,Plant,J.5:29
9,1994)及びアルフアルファ(Masoud,S.A.ら,Transg
en.Res.,5:313,1996)が挙げられる。当業者に自明の通り、
任意数の標的有用農作物から安定なトランスジェニック植物を生産するために多
数の形質転換技術を使用及び応用できる。
【0114】 目的遺伝子の存在と、本発明のプロモーター配列により付与される発現レベル
及び/又はプロフィルについて形質転換植物を分析する。形質転換植物の分析に
利用可能な多数の方法は当業者に自明である。種々の方法を使用して遺伝子発現
を試験し、導入遺伝子が予想通り組込まれ、正しく機能し、遺伝されているか否
かを調べる。本発明では、プロモーターが作動的に連携した遺伝子の発現レベル
を測定することによりプロモーターを評価することができる。リポーター遺伝子
を使用するトランジェントアッセイ法によりプロモーター機能の予備評価を行っ
てもよいが、安定な植物の分析からより明確なプロモーター評価が得られる。植
物分析法としてはサザンブロット又はノーザンブロット、PCRによるアプロー
チ、生化学分析、表現型スクリーニング法、圃場評価及び免疫診断アッセイが挙
げられるが、これらに限定されない。
【0115】 非限定的な例としてcDNAライブラリー調製、ゲノムライブラリー調製、配
列決定、配列分析、PCR技術、ベクター構築、トランジェントアッセイ及び植
物形質転換法等の本発明の方法は当業者に周知であり、標準技術又はその変法を
使用して実施される。
【0116】 以下、実施例により本発明の好適態様を実証する。当業者に自明の通り、以下
の実施例に開示する技術は発明の実施に有効であるとして本発明者らが確認した
技術である。他方、個々の開示態様に多数の変更を加えることができ、発明の精
神と範囲から逸脱することなく同様の結果が得られることも本明細書の開示から
当業者に自明であり、従って、明細書又は添付図面に記載する全事項は例示であ
り、発明を限定するものではない。
【0117】 実施例 実施例1 植物材料、DNA単離及びライブラリー構築 多数の組織及び植物発育段階をトウモロコシライブラリーの調製に選択する。
組織選択と調製が組織サンプル毎に変動することは当業者に自明である。標的ラ
イブラリー条件は以下の通りである。
【0118】 植物生育条件。Metro Mix200生育媒体を加えた2”〜3”ポット
で土中約3cmの深さに種子を撒き、2〜3週間後に同一土壌を入れた大型の1
0”ポットに移植した。移植後、週に約3回ずつ濃度150ppm NのPet
ers15−16−17肥料を移植から開花までの植物生活中2〜3回与える。
各ポットに合計約900mgのFeを加える。トウモロコシ苗は温室で15時間
昼/9時間夜サイクルで生育させる。昼温度は80°F、夜温度は70°Fとす
る。1000Wナトリウム灯で照明する。
【0119】 組織単離。トウモロコシ未成熟雄穂cDNAライブラリー(SATMON02
1)はV8植物発育段階の未成熟トウモロコシ(DK604,DEKALB G
enetics,Dekalb Illinois,米国)雄穂から作製する。
雄穂は約2〜3cm長の未成熟雄穂とする。雄穂を採取して液体窒素で凍結し、
回収した組織をRNA調製まで−80℃で保存する。
【0120】 トウモロコシ根cDNAライブラリー(SATMON010)はV8植物発育
段階のトウモロコシ(DK604,DEKALB Genetics,Deka
lb Illinois,米国)根組織から作製する。根組織はトウモロコシ苗
が8葉段階のときに採取する。根系を苗から切断し、水で土壌を洗い流す。組織
を液体窒素で凍結し、回収した組織をRNA調製まで−80℃で保存する。
【0121】 トウモロコシ葉cDNAライブラリー(SATMON004)はV6植物発育
段階のトウモロコシ(B73×Mo17,Illinois Foundati
on Seeds,Champaign,Illinois,米国)全葉組織か
ら作製する。基本位置の旧葉とそれよりも上位の若葉を全て葉基から切断する。
葉をプールし、すぐに液体窒素で凍結し、粉砕する。回収した組織をRNA調製
まで−80℃で保存する。
【0122】 トウモロコシ初根cDNAライブラリー(SATMON007)はトウモロコ
シ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Illin
ois,米国)5日齢苗の初根組織から作製する。湿した濾紙を入れた蓋付きト
レーに種子を撒き、発芽まで(1日)暗所におく。発芽後、湿した濾紙を入れた
トレーを15時間昼/9時間夜サイクルの温室に移し、苗が5日齢になるまで生
育させる。昼温度は80°F、夜温度は70°Fとする。苗が5日齢のときに組
織を採取する。この段階で初根(幼根)は種皮をから突き出た根鞘から突き出て
いる。約2〜3cm長の初根を切断し、液体窒素で凍結する。回収した組織をR
NA調製まで−80℃で保存する。
【0123】 トウモロコシ初苗条cDNAライブラリー(SATMON008)は約5日齢
(初根ライブラリーについて記載したと同一条件)のトウモロコシ(DK604
,DEKALB Genetics,Dekalb Illinois,米国)
苗の初苗条(2〜3cm子葉鞘)から作製する。子葉鞘を苗の残りの部分から切
離し、すぐに液体窒素で凍結し、RNA調製まで−80℃で保存する。
【0124】 トウモロコシ未発育葉cDNAライブラリー(SATMON011)はトウモ
ロコシ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Ill
inois,米国)から作製する。トウモロコシ苗が6葉発育段階のときに組織
を採取する。V6トウモロコシ苗の頂葉基部の第2幼葉を葉基から切断し、すぐ
に液体窒素容器に移し、葉を粉砕する。回収した組織をRNA調製まで−80℃
で保存する。
【0125】 トウモロコシ分裂組織cDNAライブラリー(SATMON013)はトウモ
ロコシ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Ill
inois,米国)から作製する。トウモロコシ苗は4葉段階とする。V4段階
トウモロコシ苗の頂端の葉は分裂組織原として知られている。この頂端分裂組織
原を切断し、すぐに液体窒素で凍結し、粉砕する。回収した組織をその後、RN
A調製まで−80℃で保存する。
【0126】 トウモロコシ葉鞘cDNAライブラリー(SATMON016)はトウモロコ
シ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Illin
ois,米国)から作製する。トウモロコシ苗がV8段階のときに葉鞘組織を採
取する。トウモロコシ苗がV8段階のときに苗の基部からの第5葉と第6葉は葉
身が完全に発育している。これらの葉の基部では小舌が分化し、葉身が葉鞘に結
合している。葉鞘を葉の基部から切離し、液体窒素で凍結し、粉砕する。回収し
た組織をRNA調製まで−80℃で保存する。
【0127】 トウモロコシ稈(茎)cDNAライブラリー(SATMON019)はトウモ
ロコシ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Ill
inois,米国)から作製する。トウモロコシ苗がV8発育段階のときに基部
からの第5葉と第6葉は葉身が完全に発育している。基部からの第5葉と第6葉
の節間の領域が採取する茎領域である。葉を引抜き、葉鞘も茎から引きちぎる。
この茎組織は葉及び葉鞘組織を完全に除去してある。組織を液体窒素で凍結し、
RNA調製まで−80℃で保存する。
【0128】 トウモロコシ未成熟雄穂cDNAライブラリー(SATMON001)はトウ
モロコシ(B73,Illinois Foundation Seeds,C
hampaign,Illinois,米国)から作製する。V6発育段階でト
ウモロコシ未成熟雄穂を採取する。2〜3cm長の雄穂を採取し、液体窒素で凍
結する。回収した組織をRNA調製まで−80℃で保存する。
【0129】 トウモロコシ雌穂cDNAライブラリー(SATMON023)はトウモロコ
シ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Illin
ois,米国)から作製する。苗がV8段階のときに組織を採取する。回収する
雌穂の長さは約10〜15cmとし、絹糸がやっと露出し始めた状態(約1イン
チ)である。絹糸の付いたまま雌穂を液体窒素で凍結し、組織をRNA調製まで
−80℃で保存する。
【0130】 トウモロコシ軟白化苗cDNAライブラリー(SATMON029)はトウモ
ロコシ(DK604,DEKALB Genetics,Dekalb Ill
inois,米国)から作製する。湿した濾紙を入れた蓋付きトレーに種子を撒
き、4日間暗所におく。昼温度は約80°F、夜温度は約70°Fとする。苗が
4日齢のときに組織を採取する。苗の全構造は細長い外観である。初根は根鞘か
ら突き出ており、約4〜5cm長である。二次側根も出現している。子葉鞘も種
皮から突き出ており、約4〜5cm長である。その後、苗を液体窒素で凍結し、
粉砕する。その後、回収した組織をRNA調製まで−80℃で保存する。
【0131】 トウモロコシ内乳cDNAライブラリー(受粉後22日即ち22−DAP)(
SATMON036)はトウモロコシRX601から作製する。生育条件は次の
通りである。トウモロコシ種子を10%Clorox溶液で1分間滅菌し、発芽
紙に巻き、0.5mM硫酸カルシウム中2日間30℃で発芽させる。3”ポット
に入れた泥炭混合媒体に苗をポット当たり苗3本の割合で移植する。苗を温室で
生育させ、ポット20個を高CO環境(〜1000ppmCO)におき、2
0個を約450ppmCO下に生育させる。苗に手で灌水し、Peters
20−20−20を軽く施肥する。播種後10日に両雰囲気からの苗条を液体窒
素に入れ、手で軽くつぶす。根を蒸留水で濯いで土壌の大部分を洗い流し、液体
窒素で凍結する。組織をRNA調製まで−80℃で保存する。
【0132】 cDNAライブラリーの調製では、Life Technologies(G
aithersburg,Maryland)から市販されているTrizol
試薬をほぼ製造業者に推奨されているように使用してRNAを精製する。ポリA
+RNA(mRNA)は磁気オリゴdTビーズをほぼ製造業者(Dynabea
ds,Dynal Corporation,Lake Success,Ne
w York)に推奨されているように使用して精製する。
【0133】 cDNAライブラリーの構築は当分野で周知であり、多数のクローニングスト
ラテジーが存在する。多数のcDNAライブラリー構築キットが市販されている
。Superscript(登録商標)Plasmid System for
cDNA synthesis and Plasmid Cloning
(Gibco BRL,Life Technologies,Gaither
sburg,MD)を製造業者に提案された条件に従って使用する。
【0134】 適当な選択抗生物質を加えたLB寒天にcDNAライブラリーを撒き、個々の
コロニーを増殖させるために十分な時間37℃でインキュベートする。選択抗生
物質を含む液体LBを加えた96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに単コ
ロニーを各々加える。培養物の増殖を促進するように温和に振盪しながらプレー
トを約37℃で一晩インキュベートする。製造業者(Qiagen Inc.,
Santa Clara,CA)に推奨されている条件でQiaprep Pl
asmid Isolationキットを使用して各クローンからプラスミドD
NAを抽出する。
【0135】 後期配列決定には鋳型プラスミドDNAクローンを使用する。配列決定には、
ABI PRISM dRhodamine Terminator Cycl
e Sequencing Ready Reaction KitとAmpl
iTaq(登録商標)DNA Polymerase,FSを使用する(PE
Applied Biosystems,Foster City,CA)。
【0136】 実施例2 プロモーター同定 各種トウモロコシ組織から調製したcDNAライブラリーに由来するEST配
列のデータベースを使用して多重組織における作動的に連携したDNA配列の発
現のプロモーター候補を同定する。これらの配列は先に同定及び注釈付けされた
配列を含むGenBankデータベースに対する照合配列としても使用し、BL
ASTプログラムを使用して相同領域を検索する。後続プロモーター単離に使用
する発現配列タグ(EST)の選択は個々のcDNAライブラリー又はcDNA
ライブラリー集合のランダムサンプリングからの代表的EST中の1種以上の配
列の存在によって選択される。データベース中のEST配列から目的標的組織に
おける転写産物の発現を調節する調節配列を同定するためには、サブセッティン
グ機能を実施し、葉、雌穂、稈、雄穂、分裂組織、根及び苗等の標的ライブラリ
ーに存在するESTを要求する。グリホセート耐性遺伝子の発現プロモーターに
は、栄養及び生殖耐性に適した5’調節配列を同定できるので、迅速に分裂する
生殖組織からのライブラリーを特に選択して検索する。選択した標的を電子ノー
ザン機能にかけ、所与ESTについてライブラリー中の推定組織発現プロフィル
と頻度レベルを表示する。所望発現プロフィルと頻度レベルをもつ標的ESTを
同定し、同定したEST配列に基づいて遺伝子特異的プライマーを設計する。頻
度百分率は関連配列群のメンバーがESTの出自ライブラリーに出現する回数を
示す。選択されたESTを得るためには多数のパラメーターを選択することがで
き、配列分析と照合に利用可能なESTデータベースとコンピュータープログラ
ムによって異なる。配列番号53〜75のプロモーター又は5’調節配列では、
約0.05〜0.50の選択ライブラリー頻度百分率を使用する。
【0137】 表1は配列番号54〜75のプロモーター配列の後期単離に使用するESTの
バックグウンドクローンID(EST)情報、ライブラリーソース、及びGen
Bank識別子(g)情報を示す。p値カットオフ10〜8によるGenBan
k BLAST検索に基づき、クローンIDの配列アノテーションをリストする
。情報は新規配列が配列データベースに加わるにつれて変更する。ESTのアノ
テーションを以下にリストする(括弧内はアノテーション情報)。クローンID
700333814(システインプロテイナーゼのトウモロコシmRNA、クロ
ーンCCP、完全化合物)、クローンID700806028(エノラーゼのト
ウモロコシmRNA)、クローンID700210506(UDPピロホスホリ
ラーゼのH.vulgare mRNA)、クローンID700043360(
トウモロコシピルビン酸、オルトリン酸ジキナーゼmRNA、完全化合物)、ク
ローンID700094769(細胞質ホスホグリセリン酸キナーゼのコムギm
RNA)、クローンID700150082(Z.mays株B73 β−D−
グルコシダーゼmRNA、クロロプラストタンパク質をコードする核遺伝子、完
全化合物)、クローンID700094721(細胞質ホスホグリセリン酸キナ
ーゼのコムギmRNA)、クローンID700164347(Z.mays W
−22ヒストンH2A mRNA、完全化合物)、2種クローン(配列番号53
と約2.0kbの付加配列を含む配列番号54)、クローンID7001544
43(Z.mays伸長因子1−α)、クローンID700017196(シク
ロフィリンのZ.mays遺伝子)、クローンID700342364(翻訳開
始因子5AのZ.mays mRNA)、クローンID700342580(D
NA結合タンパク質のZ.mays MNB1b mRNA)、クローンID7
00342746(Z.maysリボソームタンパク質S8 mRNA、完全化
合物)、クローンID700164205(Z.mays DnaJ関連タンパ
ク質ZMDJ1(mdJ1)遺伝子、完全化合物)、クローンID700343
485(Sorghum bicolor熱ショックタンパク質70コグネイト
(hsc70)mRNA、部分化合物)、クローンID700345557(Z
.maysユビキチン結合酵素(UBC)mRNA、完全化合物)、クローンI
D700345819(Z.maysスーパーオキシドジスムターゼ4A(so
d4A)遺伝子、完全化合物)、クローンID700345704(V.fab
aグアニンヌクレオチド調節タンパク質mRNA、完全化合物)。
【0138】
【表1】
【0139】 実施例3 ゲノムライブラリー構築、PCR増幅及びプロモーター単離 ゲノムライブラリーには、Ausubelら,1992のCsCl精製プロト
コール、CTAB精製法(RogersとBendich,Plant Mol
.Biol.,5:69,1988)又は植物DNAの抽出に適した同様のDN
A抽出法により(トウモロコシハイブリッドFr27×FrMo17から)トウ
モロコシDNAを単離する。試薬は市販品である(例えばSigma Chem
ical Co.,St.Louis,MO参照)。ライブラリーは製造業者の
指示に従って調製する(CLONTECH Laboratories,Inc
.,Palo ALto,CAの商標であるGENOME WALKER)。別
反応で、以下の平滑末端エンドヌクレアーゼ:EcoRV、ScaI、DraI
、PvuII又はStuI(CLONTECH Laboratories,I
nc.,Palo ALto,CA)を使用してゲノムDNAを37℃で一晩制
限酵素消化する。反応混合物をフェノール:クロロホルム抽出し、エタノール沈
殿させ、Tris−EDTAバッファーに再懸濁する。次に、精製平滑末端ゲノ
ムDNAフラグメントを製造業者のプロトコールに従ってGenomeWalk
er(登録商標)アダプターに連結する。GenomeWalker(登録商標
)サブライブラリーを分取し、−20℃で保存する。
【0140】 遺伝子特異的プライマー1(GSP1)とアダプター配列にアニールするプラ
イマーであるアダプタープライマー1(AP1)配列番号1を使用して(上記)
GenomeWalker(登録商標)アダプターに連結したゲノムDNAを第
1回PCR増幅する。第1PCR反応の希釈(1:50)アリコートを入力DN
Aとして使用し、遺伝子特異的プライマー2(GSP2)とアダプタープライマ
ー2(AP2)配列番号2又はアダプタープライマー3(AP3)配列番号3を
使用してnested−PCR増幅する。GenomeWalker(登録商標
)一次プライマー(AP1)とnestedプライマー(AP3)のアニール温
度は夫々59℃及び71℃とする。一般に、遺伝子特異的プライマーは次の特徴
をもつように設計する。26〜30ヌクレオチド長、GC濃度40〜60%、遺
伝子特異的プライマーの大半の温度60℃代後半又は約70℃。Taqポリメラ
ーゼはPerkin−Elmer Biosystems(Branchbur
y,New Jersey)から市販されているAmplitaq Gold(
登録商標)を使用する。PCR実験を実施するために多数の温度サイクリング装
置と試薬キットが市販されており、例えば、PE Biosystems(Fo
ster City,CA)、Stratagene(La Jolla,CA
)及びMJ Research Inc.(Watertown,MA)から市
販されているものが挙げられる。一次PCR反応後、アガロースゲル分析用アリ
コート(10〜15μl)を分取する。各未知配列の単離には5種のサブゲノム
ライブラリーと陰性対照(DNAなし)から増幅する必要があった。
【0141】 一般に使用されているPCR成分及び条件を以下に要約する。
【0142】
【表2】
【0143】
【表3】
【0144】 ポリメラーゼ、サイクル条件及び反応成分濃度の選択を含むPCR条件の変形
は当業者に自明である。上記手順の他の変法としてはExpand High
Fidelityポリメラーゼ(Boehringer Mannheim,I
ndianapolis,IN)、Taqポリメラーゼ(Promega Co
rp.,Madison,WI)の使用が挙げられ、多少の温度変更を以下に要
約する。
【0145】 変法1:ポリメラーゼ(Expand High Fidelity,Boe
hringer Mannheim,IN) 一次PCR反応 ステップ1 95℃ 2分間 ステップ2 94℃ 2秒間 ステップ3 72℃ 3分間 ステップ4 ステップ2及び3を7回反復 ステップ5 94℃ 2秒間 ステップ6 68℃ 3分間 ステップ7 ステップ5及び6を36回反復。 二次PCR反応 ステップ1、ステップ2、ステップ3(一次PCR反応と同じ) ステップ4 ステップ2及び3を5回反復 ステップ5及びステップ6(一次PCR反応と同じ) ステップ7 ステップ5及び6を24回反復。
【0146】 変法2:ポリメラーゼ(AmpliTaq Gold(登録商標),Perk
in Elmer,Foster City,CA) 一次PCR反応 ステップ1 95℃ 10分間 ステップ2 94℃ 2秒間 ステップ3 72℃ 3分間 ステップ4 ステップ2及び3を7回反復 ステップ5 94℃ 2秒間 ステップ6 68℃ 3分間 ステップ7 ステップ5及び6を36回反復。
【0147】 変法3:ポリメラーゼ酵素をTaq(Promega Corp.,Madi
son,WI)とし、ステップ1を2分間とする以外は変法2と同一サイクル条
件。
【0148】 変法4:ポリメラーゼ酵素をAccuTaq(Sigma,St.Louis
,MO)とし、変法3と同一サイクル条件。
【0149】 変法5:ポリメラーゼをExpand High Fidelity(BMと
する。)
【0150】
【表4】
【0151】 変法5:PCRサイクル条件: ステップ1 94℃ 1分間 ステップ2 94℃ 2秒間 ステップ3 70℃ 3分間 ステップ4 ステップ2を更に5サイクル反復 ステップ5 94℃ 2秒間 ステップ6 68℃ 3分間 ステップ7 ステップ5を更に34サイクル反復 ステップ8 68℃ 10分間 ステップ9 10℃維持。
【0152】 変法6:PCR条件 ステップ1 95℃ 2分間 ステップ2 94℃ 30秒間 ステップ3 65℃ 30秒間、各サイクル1℃下げながら14サイクル ステップ4 72℃ 3分間 ステップ5 2〜4を14回反復 ステップ6 50℃ ステップ7 72℃ ステップ8 6〜7を15回反復。
【0153】 配列番号53(クローンID#700164347)のプロモーター配列の単
離には変法5を使用する。配列番号1とGSP1配列番号6を一次PCR反応で
併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番号7を
二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0154】 配列番号54(クローンID#700164347に2kbの5’配列を付加
)のプロモーター配列の単離には変法5を使用する。配列番号1とGSP1配列
番号6を一次PCR反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号
2とGSP2配列番号7を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0155】 配列番号55(クローンID#700154443)のプロモーター配列の単
離には変法5を使用する。配列番号1とGSP1配列番号8を一次PCR反応で
併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番号9を
二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0156】 配列番号56(クローンID#700017196)のプロモーター配列の単
離には変法5を使用する。配列番号1とGSP1配列番号10を一次PCR反応
で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番号1
1を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0157】 配列番号62(クローンID#700333814)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号22を一次PCR
反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番
号23を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0158】 配列番号59(クローンID#700043360)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号16を一次PCR
反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番
号17を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0159】 配列番号60(クローンID#700094769)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号18を一次PCR
反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番
号19を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0160】 配列番号61(クローンID#700210506)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号20を一次PCR
反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番
号21を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0161】 配列番号57(クローンID#700046047)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号12を一次PCR
反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番
号13を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0162】 配列番号58(クローンID#700806028)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1と配列番号14を一次PCR反応で併
用する。nested−PCR反応には、配列番号2と配列番号15を二次PC
R反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0163】 配列番号63(クローンID#700150082)のプロモーター配列の単
離にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号24を一次PCR
反応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番
号25を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0164】 配列番号64(クローンID#70094721)のプロモーター配列の単離
にはPCR法1を使用する。配列番号1とGSP1配列番号26を一次PCR反
応で併用する。nested−PCR反応には、配列番号2とGSP2配列番号
27を二次PCR反応で併用し、PCR産物を単離する。
【0165】 配列番号65(クローンID#700342364)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法1による一次PCR反応でGSP1プライマー配列番号28と
配列番号1を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号2
とGSP2プライマー配列番号29を併用し、PCR産物を単離し、pGEM−
T easyベクター(Promega,Madison,WI)にクローニン
グし、大腸菌HB101に形質転換する。プロモーターの3’末端にStuI制
限部位、5’末端にHindIII部位を導入するために、配列番号3とGSP
プライマー配列番号30で方法6を使用するPCR反応でpGEM−Tプロモー
タークローンを鋳型として使用する。
【0166】 配列番号66(クローンID#700342746)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法1による一次PCR反応でGSP1配列番号31と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号2とGSP2
配列番号32を併用し、PCR産物を単離する(DraI消化ゲノムライブラリ
ーを使用して〜1.2kbPCR産物)。プロモーターの3’末端にStuI部
位、5’末端にHindIII部位を導入するために、アダプタープライマー配
列番号3とGSPプライマー配列番号33で方法6を使用するPCR反応でプロ
モータークローンを鋳型として使用する。PCR産物を単離し、pGEM−T
easy(Promega Corp.,Madison,WI)にクローニン
グする。
【0167】 配列番号67(クローンID#700342649)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法2による一次PCR反応でGSP1配列番号34と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号2とGSP2
配列番号35を併用し、PCR産物を単離する。プロモーターの3’末端にSt
uI部位、5’末端にHindIII部位を導入するために、アダプタープライ
マー配列番号3とGSPプライマー配列番号33で方法6を使用するPCR反応
でプロモータークローンを鋳型として使用する。
【0168】 配列番号68(クローンID#700164205)の単離にはPCR変法3
による一次PCR反応でGSP1配列番号37と配列番号1を併用する。二次P
CR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2プライマー配列番号
38を併用し、PCR産物を単離し(StuI消化ゲノムライブラリーを使用し
て〜0.5kbPCR産物)、pGEM−T Easy(Promega Co
rp.,Madison,WI)にクローニングする。
【0169】 配列番号69(クローンID#700343485)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法3による一次PCR反応でGSP1配列番号39と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2
配列番号40を併用し、PCR産物を単離し、pGEM−T Easy(Pro
mega Corp.,Madison,WI)にクローニングする。
【0170】 配列番号70(クローンID#700345557)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法3による一次PCR反応でGSP1配列番号41と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2
配列番号42を併用し、PCR産物を単離する。
【0171】 配列番号71(クローンID#700345819)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法3による一次PCR反応でGSP1配列番号43と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2
配列番号44を併用し、EcoRV消化ライブラリーを使用してPCR産物を単
離する。
【0172】 配列番号72(クローンID#700342580)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法4による一次PCR反応でGSP1配列番号45と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2
配列番号46を併用する。ScaI消化ゲノムライブラリーを使用して〜2.2
kbPCR産物を単離する。
【0173】 配列番号73(クローンID#700342976)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法4によりGSP1配列番号47と配列番号1を併用する。二次
PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2配列番号48を併
用する。ScaI消化ゲノムライブラリーを使用して〜4.0kbPCR産物を
単離する。
【0174】 配列番号74(クローンID#700345704)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法4による一次PCR反応でGSP1配列番号49と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2
配列番号50を併用する。EcoRV消化ゲノムライブラリーを使用して〜1.
3kbPCR産物を単離する。
【0175】 配列番号75(クローンID#700350638)のプロモーター配列の単
離にはPCR変法4による一次PCR反応でGSP1配列番号51と配列番号1
を併用する。二次PCR反応にはnestedプライマー配列番号3とGSP2
配列番号52を併用する。StuI消化ゲノムライブラリーを使用して〜1.0
kbPCR産物を単離する(PCR法4)。
【0176】 実施例4 プロモーター単離及びクローニング 上記nested−PCR増幅により得られたDNAフラグメントを単離し、
ゲル精製する。二次PCRの40μlアリコートをアガロースゲルで精製する。
BIO101 Geneclean II Kit(Midwest Scie
ntific,Valley Park,MO)を製造業者に提案される条件に
従って使用し、二次PCR産物のDNAフラグメントをアガロースゲルから精製
する。精製DNAを製造業者に推奨される条件に従ってpGEM−T Easy
ベクター(pGEM−T Easy Vector System I,Pro
mega Corp.,Madison,WI)に連結する。連結反応のアリコ
ートをDH10B等の適当な大腸菌宿主に形質転換し、細胞を選択培地(DH1
0Bでは100μg/mlカルベニシリン)に撒く。細菌形質転換細胞を選択し
、液体培地で増殖させ、Qiaprep Spin Microprep Ki
t(Qiagen Corp.,Valencia,CA)等の市販キットを使
用してプラスミドDNAを単離する。配列番号4(M13フォワードプライマー
)及び配列番号5(M13リバースプライマー)に示すM13フォワード及びリ
バースプライマーを使用して両方向に色素ターミネーター法を使用し、制限酵素
分析に基づいて予想インサート寸法を含む精製プラスミドを配列決定する。制限
酵素は多数の製造業者から市販されている(例えばBoehringer Ma
nnheim(Indianapolis,IN)参照)。プロモーター配列を
含む5’フランキング領域を決定し、配列番号53〜75に示す。適当なベクタ
ーにクローニングするための制限部位の操作は一般に当業者に公知の標準分子生
物学技術を使用して方法6に要約したPCR法を使用する。
【0177】 実施例5 プロモーター活性の植物細胞分析 植物細胞発現のために、図1に示すようなpMON19469等の発現ベクタ
ーにプロモーターフラグメントをクローニングする。プラスミドpMON194
69は以下の遺伝子成分から構成される発現ベクターである。P−CaMV.3
5S:enは−90〜−300領域を二重に含むカリフラワーモザイクウイルス
からの35S RNAのプロモーターであり、I−Zm.Hsp70は参考資料
としてその開示内容全体を本明細書の一部とする米国特許第5,593,874
号及び参考資料としてその開示内容全体を本明細書の一部とする米国特許第5,
859,347号に記載されているようなトウモロコシ熱ショックタンパク質の
イントロンであり、Ec.GUS:1(GUS:1)はβ−グルクロニダーゼの
コーディング領域であり、T−AGRTU.nosはAgrobacteriu
m tumefaciensから抽出したノパリンシンターゼ遺伝子からの終結
シグナルであり、ori−M13とori−pUCは複製起点であり、AMPは
アンピシリン選択の調節領域である。標的プロモーターのAUGが同定されてい
るならば、フラグメントをP−CaMV.35S:en遺伝子エレメントの代り
にpMON19469にクローニングする。AUGが同定されていないならば、
β−グルクロニダーゼ(GUS)(Jeffersonら,EMBO J.,6
:3901,1987)又はPangら,Plant Physiol.112
:893(1996)に記載されているようなグリーン蛍光タンパク質(GFP
)等のリポーターと翻訳融合できるように改変した発現ベクターにプロモーター
フラグメントをクローニングする。pMON25455(図5)はAct1遺伝
子からのコメアクチンプロモーターと、GUS:1コーディング領域と、T−A
GRTU.nosターミネーターから構成される基本発現ベクターである。種々
の発現エレメントを含む他の基本発現ベクターとしてはpMON42410(図
3)、pMON42411(図4)、及びpMON46124(図6)が挙げら
れるが、これらに限定されない。本発明のプロモーターDNAフラグメントを基
本発現ベクターのプロモーターエレメントに置換すると、DNAフラグメントの
プロモーター活性を測定することができる。
【0178】 分子生物学の当業者に周知の適切な条件下で制限酵素消化とフラグメントのD
NAリガーゼ処理によりGUSを含む基本発現構築物にクローン番号70034
2746(配列番号66)、700342364(配列番号65)、70035
0638(配列番号75)、700164205(配列番号68)、70034
3485(配列番号69)、700345557(配列番号70)、70034
5819(配列番号71)、7003442580(配列番号72)、7003
42976(配列番号73)、700345704(配列番号74)のプロモー
ターDNAフラグメントをクローニングする。得られた発現カセットの精製プラ
スミドDNAのGUS活性をトウモロコシプロトプラストエレクトロポレーショ
ンアッセイで試験する。多数のアッセイが利用可能であり、当業者に公知である
。リポーター遺伝子に作動的に連携したプロモーター等の調節エレクトロポレー
ションの活性を評価するにはプロトプラスト系におけるリポーター遺伝子の分析
を使用することができる。葉プロトプラスト単離及びエレクトロポレーションプ
ロトコールはほぼSheen(Plant Cell 3:225−245,1
991)に記載されて通りであるが、次のように変更する。種子はIllino
is Foundation Seeds製品FR27RHM X FRMol
7RHMを使用する。種子は95%エタノールで2分間表面滅菌し、滅菌水で2
回濯ぎ、Tween−20を2滴加えた50%漂白剤(Clorox)に30分
間浸漬し、滅菌水で3回濯いだ後、ベンレイト/キャプタン溶液に5分間浸漬し
て菌増殖を防ぐ。1/2MS培地(2.2g/L MS塩類、0.25%ゲルラ
イト)100mlを加えた植物トレーでトレー当たり種子7個の割合で種子を発
芽させる。種子は16/8時間昼/夜の光周期で26℃で5日間、28℃の暗所
で7日間生育させる。Feather no.11外科用ブレードを使用して各
苗から第2葉を縦方向にスライスする。消化時間は26℃の明所で2時間10分
とする。消化後、植物を20秒ずつ80〜100rpmで2回撹拌し、プロトプ
ラスト/酵素溶液を190μm組織コレクターでピペッティングする。ヘマサイ
トメーターを使用し、無傷で円形のプロトプラストのみを計数する。目的ベクタ
ーを含むDNA10〜50μg/キュベットを加える。エレクトロポレーション
の最終プロトプラスト密度は3×10個/ml〜4.5×10個/mlとす
る。エレクトロポレーションは125μファラデーキャパシタンスと260ボル
トで0.4cmギャップ及び最大容量0.8mlとし、Bio−rad Gen
eパルサーキュベット(Bio/Rad Hercules,CA)を使用して
明所で実施する。エレクトロポレーションバッファーに再懸濁後にプロトプラス
トを氷上でインキュベートし、エレクトロポレーション後10分までキュベット
に入れたまま氷上に保持する。プロトプラストを10分間室温に維持した後、プ
ロトプラスト増殖培地7mlを加える。プロトプラスト培地は文献に記載されて
いる(Frommら,Methods in Enzymology 153,
351−366,1987)。培養プレートに増殖培地と1.5%SeaPla
queアガロース(FMC BioProducts,Rockland,ME
)を重層し、プロトプラスト損失を防ぐ。サンプルはアッセイのために回収する
まで(一般にエレクトロポレーション後18〜22時間)26℃の明所で16/
8昼夜サイクルで培養する。サンプルをペトリ皿から15ml遠心管にピペッテ
ィングし、800〜1000rpmで遠心分離により回収する。上清を除去し、
目的遺伝子についてサンプルをすぐにアッセイする。サンプルを更に後期分析に
備えて凍結してもよい。
【0179】 基本発現ベクターpMON25455(P−Os.Act1/GUS/AGR
TU.nos)をトウモロコシプロトプラストにエレクトロポレーションにより
導入した場合に観察される活性の百分率として本発明のDNAプロモーターによ
るGUSの発現を測定する(表2)。MUGアッセイによりトランスジェニック
植物細胞におけるGUS発現を定量分析した。各サンプルから全タンパク質を抽
出した。MUGアッセイではGUS抽出バッファー500μlを組織に加え、組
織を1.5mlエッペンドルフチューブでテフロン(登録商標)乳棒で粉砕し、
10KRPMで5分間4℃で遠心分離した(Beckman GS−15R)。
上清400μlを別の96深穴プレートに移した。抽出液をドライアイスで凍結
し、使用時まで−80℃で保存した。MUGアッセイは31.2pmol〜20
00pmolの4−メチルウンベリフェロン(Sigma Chemical
Co M1381)の連続希釈液で標準活性曲線を作成することにより行った。
バックグラウンドを差引くために植物を予め読取った後に各抽出液5μlを平底
96穴プレート(Falcon3872)2組に加えた。GUSアッセイ溶液(
0.1M KPO pH7.8,1.0mM EDTA,5%グリセロール,
10.0mM DTT,2mM 4−メチルウンベリフェリルグルクロニドFl
uka69602)200μlを各ウェルに加え、ピペッティングによりサンプ
ルと混合した。励起−355/発光−460のフィルター対を使用して37℃で
プレートをF−max(Molecular Devices)で動的に読取っ
た。典型的な読取りは3分間隔で21回読取り、1時間続ける。各サンプルのM
UG結果とタンパク質結果に基づいてGUS活性(pmol/分/μgタンパク
質)を計算した。Bio−Rad Protein Assayキットを使用し
て全タンパク質を定量した。BSAタンパク質の0.05mg/ml〜0.5m
g/ml連続希釈液を標準曲線に使用した。抽出液1.5μlを平底96穴プレ
ート(Falcon)2組に加えた。希釈色素試薬200μlを加え、サンプル
と混合した。室温で5分間インキュベーション後に595nmの吸光度をSpe
ctromax 250(Molecular Devices)で室温で測定
した。
【0180】 3種の実験(1、2及び3)を各々2回ずつ実施し、表2に示すような10種
のプロモーター配列の発現をアッセイした。この分析の結果、コメアクチン1プ
ロモーター配列から観察される以上の発現を示す4種のプロモーター配列が同定
され、これらの発現カセットはpMON43716(図9)、pMON4372
2(図12)、pMON43734(P−Zm,700342976/I−Os
.Act1/GUS/T−Ta.Hsp17)及びpMON43736(P−Z
m.700345704/I−Os.Act1/GUS/T−Ta.Hsp17
)に含まれる。
【0181】
【表5】
【0182】 実施例6 本発明のDNAプロモーター配列を含む植物発現ベクターによるコムギの形質
転換 GUS:1リポーターコーディング配列を発現する本発明のDNAプロモータ
ー配列を含むDNAベクターでコムギ細胞を形質転換する。pMON43644
(クローンID#700154443)(図7)、pMON43738(クロー
ンID#700342364)(図10)及びpMON43739(クローンI
D#700343485)(図13)はトランスジェニックコムギ植物の葉、子
房及び葯でGUS遺伝子を発現する。トランスジェニックコムギ植物にグリホセ
ート耐性を付与するためにグリホセートEPSPS酵素のAGRTU.aroA
:CP4(CP4)コーディング配列を発現する本発明のDNAプロモーター配
列でコムギ植物を形質転換する。CP4 EPSPSコーディング配列の発現を
誘導するP−Zm.700343485プロモーターとCP4 EPSPSコー
ディング配列の付加コピーの発現を誘導するP−CaMV.35Sプロモーター
をもつ二重発現カセットベクターであるpMON45360(P−Zm.700
343485/I−Os.Act/CP4/Ta.hsp17::P−CaMV
.35S/Zm.Hsp70/CP4/T−AGRTU.nos)(図14)、
CP4 EPSPSコーディング配列の発現を誘導するP−Zm.700154
43プロモーターとCP4 EPSPSコーディング配列の付加コピーの発現を
誘導するP−CaMV.35Sプロモーターをもつ二重発現カセットベクターで
あるpMON45361(P−Zm.700154443/Ta.CAB/I−
Os.Act/CP4/Ta.Hsp17::P−CaMV.35S/Zm.H
sp70/CP4/T−AGRTU.nos)(図8)、CP4 EPSPSコ
ーディング配列の発現を誘導するP−Zm.700342364プロモーターと
CP4 EPSPSコーディング配列の付加コピーの発現を誘導するP−CaM
V.35Sプロモーターをもつ二重発現カセットベクターであるpMON453
62(P−Zm.700342364/I−Os.Act/CP4/Ta.Hs
p17::P−CaMV.35S/Zm.Hsp70/CP4/T−AGRTU
.nos)(図11)、CP4 EPSPSコーディング配列の発現を誘導する
P−Zm.700164347プロモーターをもつ単独発現カセットベクターで
あるpMON43623(P−700164347/Ta.CAB/I−Os.
Act/CP4/Ta.Hsp17)(図2)を含むコムギ植物を形質転換する
。これらのベクターと、対照ベクターpMON42411(図4)、pMON4
2410(図3)及びpMON30167(P−Os.Act/I−Os.Ac
t/CP4/T−AGRTU.nos)を以下の方法によりコムギ細胞に形質転
換する。
【0183】 コムギ(Triticum aestivum L)Bobwhite品種の
未成熟胚を受粉後13〜15日に未成熟穎果から抽出し、CM4C(表3)で3
〜4日間培養する。活性細胞分裂を示し且つ明白なカルス形成を示さない胚をA
grobacterium感染に選択する。
【0184】
【表6】
【0185】 目的バイナリーベクター(pMON45367、図5)を含むディスアームド
Agrobacterium株C58(ABI)を全実験に使用する。pMON
ベクターを3親交配法によりAgrobacteriumに導入する(Ditt
aら,Proc.Natl.Acad.Sci.77:7347−7351)。
グリセロールストック又は新たに画線したプレートからAgrobacteri
umの液体培養を開始し、50mg/mlカナマイシン、50mg/lストレプ
トマイシンとスペクチノマイシン、25mg/lクロラムフェニコール及び20
0μMアセトシリンゴン(AS)を加えた液体LB培地(pH7.0)で中期対
数期(OD660=1〜1.5)まで振盪(約150rpm)下に26℃〜28
℃で一晩増殖させる。Agrobacterium細胞を接種培地(液体CM4
C)に再懸濁し、密度をOD660=1に調整する。ペトリ皿当たり10ml又
は細胞培養クラスタープレート当たり5mlの接種培地を加えた無菌ペトリ皿(
16×20mm)又は6穴細胞培養プレート(Costar Corporat
ion,Cambridge,MA)のウェルにCM4C培地で培養した未成熟
胚を移す。Agrobacterium細胞の最終濃度がOD660=0.5と
なるように等量のAgrobacterium細胞懸濁液を加える。殆どの実験
ではプルロニックF68を最終濃度0.01%で接種混合物に加える。Agro
bacteriumと未成熟胚(IE)の比は約10ml:20〜200IEと
する。接種は23℃〜26℃で5〜60分間行う。接種期間後に社内真空装置を
使用することにより残りのAgrobacterium細胞を外植片から除去す
る。(ペトリ皿の寸法に合わせた)無菌Whatman No.1濾紙を60×
15又は60×20mmペトリ皿の各々に入れる。滅菌水200μlを濾紙の中
央に加える。2〜3分後に接種した未成熟胚をプレートに入れる。通常は、外植
片20〜50個を1層(寸法約1cm、60〜80mg/層)とし、各プレート
に4〜5層重ねる。プレートをすぐにParafilm(登録商標)で覆った後
、24℃〜26℃の暗所で2〜3日間同時培養する。
【0186】 同時培養したPCIEを暗所においたCM4C+500mg/lカルベニシリ
ン培地(遅延培地)に移す。遅延培地で7日後に、2mMグリホセート(Rou
ndup製剤以外のもの)と500mg/lカルベニシリンを加えたCM4Cに
未成熟胚を移し、1週間選択する。その後、カルスをMMS0.2C+0.1m
Mグリホセート(Roundup(登録商標)製剤以外のもの)+250mg/
mlカルベニシリン培地に移し、2週間明所で更に選択する。より低濃度(0.
02mM)のグリホセート(Roundup(登録商標)製剤以外のもの)と5
00mg/lカルベニシリンを加えた第2の再生培地MMS0Cに胚形成性カル
スを移し、植物再生させる。これらの胚形成性カルスを2週間毎に新鮮な培地に
移す。第2の再成培地を入れたSundaeカップ(Sweetheart C
up Company,Chicago,IL)に再生した小植物を移し、更に
増殖及び選択する。トランスジェニック植物の根がしっかり定着したら、植物を
土壌に移し、更に評価する。
【0187】 Rトランスジェニック植物でトランスジェニック植物グリホセート耐性の評
価を行った。グリホセート64oz/Aを放出するように設定したリニアトラッ
クスプレヤーを使用してグリホセートを施用する。植物に1回又は2回噴霧する
。噴霧から1週間後に0から5の段階に基づいてグリホセートに対する栄養耐性
を目視評価する(0=グリホセートの観測可能/栄養効果なし、1=クロロシス
が観察される、2=クロロシス進行と軽度ネクロシス、3=クロロシス進行と中
度ネクロシス、4=クロロシス進行と重度ネクロシス、5=生存組織残存せず)
。生産されたR植物の自家稔性率を未噴霧対照植物の百分率として評価する。
栄養耐性と80%以上の稔性を示す植物をR子孫のスクリーンに進め、R
クリーンについて上述したようにグリホセートの噴霧施用と評価を行う。この方
法によりプロモーターの効力を評価する。グリホセート除草剤及び他の浸透除草
剤に対する有効なトランスジェニック耐性はプロモーター発現パターンの構成的
性質に依存することが多い。表3に示すプロモーター評価では、栄養及び生殖耐
性を示す生産植物の百分率として構成的発現プロモーターの効力を示す。プロモ
ーターP−Zm.700343485及びP−Zm.70015443をP−C
aMV.35S発現カセットを組合せると、グリホセート除草剤に対するトラン
スジェニックコムギ植物の栄養及び生殖耐性が増すことが判明した。P−Zm.
700342364は栄養耐性は増加したが、生殖耐性の低下が観察された。単
独発現カセットプロモーターであるP−Zm.700164347はトランスジ
ェニックコムギ植物に栄養及び稔性耐性を付与するのに有効であった。これらの
プロモーターをこれらの実験で試験した以外の発現カセットの調節エレメント(
例えばイントロン、リーダー、トランジットペプチド及び3’未翻訳ターミネー
ター領域)と組合せると、植物科学分野の当業者により選択可能な所望発現パタ
ーンを更に発現することができる。例えば、表3に示すように、CaMV.35
SプロモーターをOs.Act1イントロンに作動的に連携させると、栄養及び
生殖耐性の両者を示すトランスジェニックグリホセート耐性植物系をZm.Hs
p70イントロンに比較して高頻度で選択することができる。これらのプロモー
ターは除草剤耐性農作物の生産に使用するのに有用であり、昆虫耐性遺伝子、疾
病耐性遺伝子、ストレス耐性遺伝子及び収量形質の発現にも有用であり、この点
も本発明の側面の1つである。
【0188】
【表7】
【0189】 実施例7 シス作用性エレメントの同定 適正なプロモーター調節に必要なシス作用性エレメントは多数の手段により同
定することができる。1方法では、欠失分析を実施してプロモーターの領域を除
去し、得られたプロモーターフラグメントのプロモーター活性をアッセイする。
切断プロモーターの活性が元のプロモーターフラグメントと比較して変化してい
る場合にはDNAフラグメントはプロモーター調節に必要であるとみなされる。
この欠失分析により、正又は負の転写調節に必要なDNAの小領域を同定するこ
とができる。プロモーター配列モチーフも同定し、作動的に連携した転写可能な
配列の発現を調節するためにこれらのシスエレメントを含むように新規プロモー
ターを構築することができる。例えば参考資料としてその開示内容全体を本明細
書の一部とする米国特許第5,223,419号、参考資料としてその開示内容
全体を本明細書の一部とする米国特許第4,990,607号、及び参考資料と
してその開示内容全体を本明細書の一部とする米国特許第5,097,025号
参照。
【0190】 別のアプローチでは類似発現プロフィルをもつプロモーター間の類似配列を探
索する。オーバーラップする活性パターンをもつプロモーターは共通の調節メカ
ニズムをもつと考えられる。プロモーター間の保存配列モチーフを同定するには
数種のコンピュータープログラムを使用することができ、非限定的な例としては
MEME、SIGNAL SCAN又はGENE SCANが挙げられる。これ
らのモチーフはプロモーターを調節するように作用する転写因子の結合部位に相
当する可能性がある。配列モチーフが同定されたら、その機能をアッセイするこ
とができる。例えば、モチーフ配列をプロモーターから欠失させると、このモチ
ーフが適正なプロモーター機能に必要であるか否かを調べることができる。ある
いは、モチーフを最小プロモーターに付加し、転写を活性化するために十分であ
るか否かを試験することもできる。負の調節エレメントと予想される場合には活
性プロモーターに付加してプロモーター活性の低下を調べることにより試験する
ことができる。シス作用性調節エレメントには機能するために他のエレメントを
必要とするものもある。従って、当業者に公知の任意数の方法により多重エレメ
ントを種々の組合せで試験することができる。
【0191】 機能的プロモーターエレメントが同定されたら、タンパク質結合を変えるよう
にヌクレオチドレベルでプロモーターエレメントを改変することができる。この
改変により親和性結合が増減し、該当プロモーターからの転写レベルが変化する
【0192】 プロモーターエレメントはプロモーター活性を変えるように付加的又は相乗的
に作用することができる。この点では、種々の5’調節領域からのプロモーター
エレメントをタンデム配置すると、異なる活性スペクトル又は異なる発現プロフ
ィルをもつプロモーターが得られる。従って、異種ソースからのプロモーターエ
レメントを組合せるか又は類似エレメントもしくは同一エレメントを重複させる
と、作動的に連携した転写可能な配列の発現レベルを上げることができる。例え
ば、プロモーターエレメントを多量化すると、当該プロモーターエレメントによ
り変化するパターンで特異的に発現レベルを上げることができる。
【0193】 新規構築5’調節エレメントを含む発現ベクターの構築に必要な技術的方法は
当業者に公知である。構築したプロモーターを発現ベクターで試験し、新規プロ
モーターを適当なリポーター遺伝子(例えばGUS)に作動的に連携させてトラ
ンジェント植物アッセイで試験することによりトランジェント試験する。新規プ
ロモーターを1種以上の目的遺伝子に作動的に連携させ、1種以上の付加調節エ
レメントと共に植物形質転換ベクターに組込み、適当なDNA送達システムによ
り目的標的植物に形質転換する。所望農学特徴を試験するのに適した任意数の分
子、免疫診断、生化学、表現型又は圃場法により安定に形質転換された植物とそ
の子孫を評価する。
【0194】 以上、本発明の原理について説明したが、当業者に自明の通り、本発明はこの
ような原理から逸脱することなく構成と詳細を変更することができる。本発明者
らは特許請求の範囲の精神と範囲に含まれる全変形を請求する。
【0195】 本明細書に引用した全刊行物及び公開特許明細書は各刊行物又は特許明細書を
参考資料として本明細書に組込むと具体的に個々に示した場合と同一程度まで参
考資料として本明細書に組込む。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pMON19469のプラスミドマップである。
【図2】 pMON43623のプラスミドマップである。
【図3】 pMON42410のプラスミドマップである。
【図4】 pMON42411のプラスミドマップである。
【図5】 pMON25455のプラスミドマップである。
【図6】 pMON46124のプラスミドマップである。
【図7】 pMON43644のプラスミドマップである。
【図8】 pMON45361のプラスミドマップである。
【図9】 pMON43716のプラスミドマップである。
【図10】 pMON43738のプラスミドマップである。
【図11】 pMON45362のプラスミドマップである。
【図12】 pMON43722のプラスミドマップである。
【図13】 pMON43739のプラスミドマップである。
【図14】 pMON45360のプラスミドマップである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 チヨン,コイラン アメリカ合衆国、ミズーリ・63040、ワイ ルドウツド、ポート・オブ・ナンタケツ ト・ドライブ・16154 (72)発明者 コナー,テイモシー・ダブリユ アメリカ合衆国、ミズーリ・63025、ワイ ルドウツド、ラドクリフ・プレイス・ドラ イブ・17434 Fターム(参考) 2B030 AD04 CA15 CA17 CA19 4B024 AA08 CA04 EA04 FA02 GA11 HA01 4B065 AA88X AA99Y AB01 BA02 CA53

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号53〜75から構成される群から選択されるポリヌ
    クレオチド又は少なくとも20ヌクレオチドをもつそのフラグメントを含む単離
    DNA分子。
  2. 【請求項2】 前記DNA分子に連携した第2のポリヌクレオチド分子を更
    に含む請求項1に記載の単離DNA分子。
  3. 【請求項3】 ポリヌクレオチドがトランスジェニック植物組織における前
    記第2のポリヌクレオチド分子の発現を付与する請求項2に記載の単離DNA分
    子。
  4. 【請求項4】 ポリヌクレオチドがハイブリッドプロモーターである請求項
    2に記載の単離DNA分子。
  5. 【請求項5】 最小プロモーター配列を更に含む請求項4に記載の単離DN
    A分子。
  6. 【請求項6】 配列番号53〜75から構成される群から選択される単離ポ
    リヌクレオチド又は少なくとも20ヌクレオチドをもつそのフラグメントを含み
    、第2のポリヌクレオチドと3’非翻訳領域に作動的に連携している単離DNA
    構築物。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の単離DNA構築物を含むトランスジェニッ
    ク植物又は植物細胞。
  8. 【請求項8】 前記植物が単子葉植物である請求項7に記載のトランスジェ
    ニック植物。
  9. 【請求項9】 前記DNA構築物が前記植物に除草剤耐性を付与する請求項
    7に記載のトランスジェニック植物。
  10. 【請求項10】 (i)(a)配列番号53〜75から構成される群から選
    択されるポリヌクレオチド又は少なくとも20ヌクレオチドをもつそのフラグメ
    ントを含むプロモーターを(b)第2のポリヌクレオチドと(c)3’非翻訳領
    域に作動的に連携させたDNA構築物を植物細胞に導入し、(ii)前記植物細
    胞を選択し、(iii)前記植物細胞を植物に再生することからなるトランスジ
    ェニック植物の作製方法。
  11. 【請求項11】 (i)(a)CaMV−35Sプロモーターを(b)ライ
    スアクチンイントロンと(c)第2リポリヌクレオチドと(d)3’非翻訳領域
    に作動的に連携させたDNA構築物を植物細胞に導入し、(ii)前記植物細胞
    を選択し、(iii)前記植物細胞を植物に再生することからなるトランスジェ
    ニック植物の作製方法。
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