JPWO2007032111A1 - トウモロコシ由来のストレス誘導性転写因子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、トウモロコシ由来のストレス誘導性転写因子及びこれをコードする遺伝子並びにこれらの利用方法に関する。すなわち、以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子:(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するタンパク質をコードするトウモロコシ由来のDNA、の提供。さらに、該遺伝子を導入され、高温、乾燥などの環境ストレスに対する耐性が向上したトランスジェニック植物に関する。

Description

本発明は、トウモロコシ由来のストレス誘導性転写因子及びこれをコードする遺伝子並びにこれらの利用方法に関する。
植物は、乾燥、高温、凍結、塩など、自然界における様々な環境ストレスに対応するための耐性機構を有している。こうした様々な環境ストレスに応答する遺伝子は重複しており、互いに密接に関連した細胞内応答の結果、各ストレスに対する耐性が獲得されるものと考えられている(非特許文献1)。一方で、温度、乾燥、塩ストレスに応答する遺伝子群は一部では異なっており、各々のストレスが別個のストレスとして認識されるシステムが備わっていることも示唆されている。
発明者らは、これまでにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)からストレス応答性シスエレメントに結合し、その下流に存在する遺伝子の転写を特異的に活性化し、植物に環境ストレス耐性を付与する転写因子、DREB遺伝子(DREB1A、DREB1B、DREB1C、DREB2A、DREB2B等)を単離同定した(特許文献1)。そして、これらの遺伝子を植物に導入し過剰発現させることにより、植物を矮化させることなく、ストレス耐性を付与できることを報告した(特許文献2)。
DREBタンパク質はDREB1タイプとDREB2タイプに大別され、いずれもDRE配列を認識して結合するDNA結合ドメイン(AP2/ERFドメイン)を有している。DREB遺伝子のオーソログは、DREB1タイプについては、イネ、トウモロコシ(非特許文献3)など様々な植物で研究されているが、DREB2タイプについては研究が少なく、ニチニチソウのORCA1やイネのOsDREB2Aが知られている程度である。
DREB1タイプの遺伝子群はAP2/ERFドメイン内にC/SEV/LRの保存配列を持つが、DREB2タイプの遺伝子群はAEIR配列を有し、この違いが両者のDNAの結合特性に違いを与えていると考えられている(非特許文献2)。
DREB1タイプであるDREB1Aを過剰発現させた植物では乾燥、塩、低温ストレスに対する耐性の向上が観察されるのに対し、DREB2タイプであるDREB2AやそのイネオーソログOsDREB2Aを過剰発現させた植物では明確な表現型は現れず、ストレス耐性の向上も見られない(非特許文献2)。つまり、これまで知られているDREB2タイプの活性化には、特定領域を欠失させるなど、何らかの修飾を必要とした。
特開平10−228457号公報 特開平10−292348号公報 Plant Physiol.,115:327−334(1997) The Plant Cell,10:1−17(1998) The Plant Cell Physiology,45:1042−1052(2004)
本発明は、トウモロコシ由来のDREB2タイプの遺伝子を同定し、その機能を解析することで、新たな環境ストレス耐性植物の提供を可能にすることを目的とする。
本発明者らは、トウモロコシよりDREB2A類似遺伝子の同定に成功し、ZmDREB2Aと命名した。ZmDREB2Aは、DREB2Aとは異なり、修飾を加えることなく転写因子活性を示し、植物の環境ストレス耐性を向上させる。さらに、高温耐性をも向上させることが確認された。
すなわち、本発明はトウモロコシ由来の転写因子ZmDREB2Aをコードする遺伝子に関する。前記遺伝子は、具体的には以下の(a)又は(b)のDNAを含む。
(a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA
(b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するタンパク質をコードするトウモロコシ由来のDNA
本発明の遺伝子は、以下の(c)又は(d)のタンパク質をコードする。
(c)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するトウモロコシ由来のタンパク質
本発明の遺伝子は、乾燥ストレス、高温ストレス、又は塩ストレスといった植物の環境ストレス耐性を制御しうる。
本発明はまた、前記(c)又は(d)の組換えタンパク質を提供する。
この組換えタンパク質は、本発明の遺伝子を適当な宿主細胞に導入して発現させ、その培養液等から回収することによって得ることができる。
本発明はまた、本発明の遺伝子を含有する組換えベクター、当該ベクターで形質転換された宿主細胞やトランスジェニック植物も提供する。
本発明の遺伝子を導入し、高発現させたトランスジェニック植物では、乾燥ストレス、高温ストレス、又は塩ストレスといった環境ストレス耐性の向上がみられる。すなわち、本発明は、本発明の遺伝子を植物に導入することにより、該植物のストレス耐性を向上させる方法も提供する。
本発明のZmDREB2A遺伝子は、公知のDREB2Aやそのオーソログ(OsDREB2A等)とは異なり、修飾を加えることなく転写因子活性を示し、植物の環境ストレス耐性を向上させることができる。さらに、ZmDREB2A遺伝子は植物の高温耐性も向上させることができる。
図1Aは、ZmDREB2A Long formのcDNAの全長塩基配列を示す。イントロンと考えられる部分を含むZmDREB2Aの全長cDNA配列を示した。下線部はイントロンを示している。
図1Bは、ZmDREB2A Short formのcDNAの塩基配列と推定アミノ酸配列を示す。AP2ドメインを下線及び赤文字、核移行シグナルを二重下線で示す。C末端は酸性アミノ酸が多く、転写活性領域であると考えられる。
図2(A)は、トウモロコシにおけるZmDREB2A遺伝子のノーザン解析の結果を示す。(B)はRT−PCRにより、Short formとLong formを同時に増幅した結果を示した。各ストレス処理時(低温24時間、高温10分、乾燥1時間、NaCl24時間)において2本のバンドが確認できる。D:Long form positive control、B:Short form positive control、N:Negative control
図3は、RT−PCRによるLong formとShort form mRNA発現解析の結果を示す(◆:Long form mRNA、■:Short form mRNA Long formの無処理の値を1として表示)。(A)RT−PCRによるLong formとShort form mRNA発現解析(B)Long formとShort formのmRNAの変化量:ストレスなしの状況下からの変化量をグラフ化したもの。
図4は、トウモロコシにおけるZmDREB2A遺伝子のサザン解析の結果を示す。左:Low stringency条件(0.5% SSC、0.5% SDS、50℃) 右:High stringency条件(0.1% SSC、0.1% SDS、65℃)
図5Aは、T87プロトプラストを用いたZmDREB2Aの活性解析(ZmDREB2Aの2つの形態のタンパク活性)の結果を示す。実験値はGUS活性をLUC活性で割り、コントロールとしてベクターのみの値を1として示した。DREB2A FL:全長DREB2A、DREB2A CA:改変型DREB2A
図5Bは、T87プロトプラストを用いたZmDREB2Aの活性ドメイン解析(ZmDREB2Aの内部欠失変異体)の結果を示す。実験値はGUS活性をLUC活性で割り、コントロールとして空ベクターの値を1として示した。
図6は、ZmDREB2Aの部分アミノ酸配列の相同性検索結果を示す。トウジンビエ(Pennisetum glaucum:PgDREB2A)、オオムギ(Hordeumvulgare:HvDRF1)、イネ(Oryza sativa:OsDREB2B)図中赤字は相同性がある部分=*:4つの配列で保存されているアミノ酸 .:3つの配列で保存されているアミノ酸。
図7は、ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナにおけるZmDREB2Aとrd29A発現量を示す。
図8は、ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナの特徴を示す。(A)ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナの表現型:通常生育条件下での形態を観察した。寒天培地上で21日間育成させた植物(上段)、及び寒天培地上で2週間育成させた後、土に移植した播種後35日(移植後15日目)の植物(下段)。空ベクター導入株を野生型として用いた。(B)各ストレス処理によるZmDREB2A及び誘導性遺伝子の発現:低温処理は4℃、乾燥処理は培地から抜いた植物を室温でシャーレの上に置いて、塩処理は250mMのNaClで、それぞれ5時間処理することでおこなった。
図9は、ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナのストレス耐性試験結果を示す。(A)凍結耐性:上段 無処理、下段 凍結処理後(B)乾燥耐性 括弧内の数字は生存数/サンプル数
図10は、35Sプロモーターを利用したZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナの高温ストレス耐性を示す。
図11は、高温ストレス負荷後の植物とその生存率(平均と標準偏差
A,B,CはそれぞれZmDREB2Aを導入した植物(3ライン)を示す。
図12は、通常の生育条件、高温ストレス条件、塩ストレス条件、乾燥ストレス条件で生育後の植物におけるノーザン解析結果を示す。図中、WTはZmDREB2Aを導入していないコントロール植物、35S:ZmDREB2A−a,35S:ZmDREB2A−b,35S:ZmDREB2A−cはそれぞれZmDREB2Aを導入した植物(3ライン)を示す。
図13は、ストレス誘導性rd29Aプロモーターを用いたZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナのストレス耐性を示す。図中、rd29A:ZmDREB2A−a,rd29A:ZmDREB2A−b,rd29A:ZmDREB2A−cはそれぞれZmDREB2Aを導入した植物(3ライン)を示す。
図14は、35Sプロモーターを利用した活性型DREB2A(修飾DREB2A)過剰発現シロイヌナズナの高温ストレス耐性を示す。
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2005−270970号の明細書に記載された内容を包含する。
本発明の遺伝子は、温度、乾燥、塩などの環境ストレスによって発現されるストレス応答性タンパク質をコードする遺伝子の上流に存在するシスエレメントに結合して、転写を活性化する転写因子をコードするトウモロコシ由来の遺伝子である。前記シスエレメントには、乾燥ストレス応答性エレメント(DRE;dehydration−responsive element)、アブシジン酸応答性エレメント(ABRE;abscisic acid responsive element)、低温ストレス応答性エレメントなどがある。本発明の遺伝子がコードするタンパク質は、前記ストレス応答性エレメント(DRE等)下流の遺伝子の転写を活性化する機能を有するものである。
本発明の遺伝子は、例えば以下のようにして同定することができる。
1.本発明の遺伝子の同定
本発明の遺伝子は、類似の機能を有する公知の遺伝子、すなわち植物のストレス耐性遺伝子に特異的な転写因子をコードする遺伝子との相同性に基づいてスクリーニングすることができる。スクリーニングはトウモロコシのmRNA及びcDNAライブラリーやゲノムライブラリーを調製してこれを対象に行うこともできるし、既存のトウモロコシDNAデータベースを対象に行ってもよい。
スクリーニングされた遺伝子は、適宜クローニングを行った後、公知の方法により全塩基配列の決定を行う。塩基配列の決定法としては、マキサム−ギルバートの化学修飾法又はM13ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法などを挙げることができるが、通常は自動塩基配列決定機(例えばPERKIN−ELMER社製377DNAシークエンサーなど)を用いて行われる。
こうして、トウモロコシ由来のDREB2Aオーソログとして、2種のcDNA(ZmDREB2A Short Form:配列番号1、ZmDREB2A Long Form:配列番号3)が単離された。そして、そのORFを解析することにより該遺伝子がコードするタンパク質、ZmDREB2Aタンパク質(Short Form:配列番号2、Long Form:配列番号4)が同定された。同定された2種のcDNAのうち長いほう(Long form)は、53塩基のイントロンを含んでおり、もう一方の短いほう(Short form)は含んでいなかった。Long formではイントロンの存在によるフレームシフトが起こっており、コードされているアミノ酸配列は極端に短いものと推定された。一方、Short formにコードされているアミノ酸配列はDREB2タイプのものであると推定された。
図1AにLong formのcDNAの塩基配列を、BにShort formのcDNAの塩基配列と推定アミノ酸配列を示す。後述するように、このShort formがZmDREB2A遺伝子の活性型として機能する。そしてこの活性型ZmDREB2A遺伝子(配列番号1)を本発明の遺伝子と呼ぶ。
しかし、本発明の遺伝子は配列番号1で示される塩基配列に限定されるものではない。配列番号1で表される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしうるDNAからなる遺伝子も、ストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するタンパク質をコードする限り、本発明の遺伝子である。ここで、ストリンジェントな条件とは、ホルムアミド濃度が30〜50%、37〜50℃、6×SSCの条件、好ましくはホルムアミド濃度が50%、42℃、6×SSCの条件をいう。
本発明の遺伝子は配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする。ただし、配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であっても、該タンパク質がストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御する機能を有する限り、これをコードする遺伝子も本発明の遺伝子に含まれる。なお、前記数個とは好ましくは20個以下、さらに好ましくは5個以下を意味する。
なお、本発明の遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法やGapped duplex法などの公知の手法又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant−K(TAKARA社製)やMutant−G(TAKARA社製)など)を用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキットを用いて行うことができる。
一旦本発明の遺伝子の塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又は本遺伝子のcDNAないしゲノムDNAを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることにより、本発明の遺伝子を得ることができる。
2.本発明のタンパク質のDRE結合能及び転写活性化能の解析
(1)DRE結合能の解析
本発明のタンパク質のDREへの結合能は、該タンパク質とGST等との融合タンパク質を用い、ゲルシフトアッセイ[Urao,T et al.:Plant Cell5:1529−1539(1993)]を行うことにより確かめることができる。本発明のタンパク質は、本発明の遺伝子をグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子をコードするプラスミド(例えば、pGEX−4T−1ベクター(Pharmacia社製)など)のGSTコード領域の下流にフレー厶を合わせて連結し、該プラスミドにより形質転換した大腸菌を誘導条件下で培養し、この大腸菌から精製して得ることができる。
ゲルシフトアッセイは、DNAとタンパク質との相互作用を調べる方法であり、32Pなどで標識したDREを含むDNA断片と前記融合タンパク質とを混合してインキュベーションした後、該混合物を電気泳動し、ゲルを乾燥後、オートラジオグラムをとり、DNA断片とタンパク質との結合に起因する遅れて泳動されたバンドを検出する方法である。本発明のタンパク質がDRE配列に特異的に結合していることは、DRE配列に変異を加えたDNA断片を用いた場合に、前記のバンドが検出されないことにより確認することができる。
(2)転写活性化能の解析
本発明のタンパク質の転写活性化能は、トウモロコシのプロトプラストの系を用いるトランスアクチベーション実験法を用いることにより解析することができる。例えば、ZmDREB2A cDNAをCaMV35Sプロモーターを含むpBI221プラスミド(Clonetech社製)に連結し、エフェクタープラスミドを構築する。一方、DREを含むDNA断片を、β−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子上流のTATAプロモーターのさらに上流に連結し、レポータープラスミドを構築する。次いでこの2種のプラスミドをトウモロコシのプロトプラストに導入した後、GUS活性を測定する。ZmDREB2Aタンパク質を同時に発現させることにより、GUS活性の上昇が見られれば、プロトプラスト内で発現したZmDREB2Aタンパク質が、DREの配列を介して転写を活性化していることがわかる。
本発明において、プロトプラストの調製及び該プロトプラストへのプラスミドDNAの導入は、Abelらの方法[Abel,S.:Plant J.5:421−427(1994)]により行うことができる。また、実験ごとのプラスミドDNAの導入効率の差による実験誤差を最小限にするため、上記2種のプラスミドとともに、CAMV35Sプロモーター下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結したプラスミドをプロトプラストに導入し、ルシフェラーゼ活性に対するβ−グルクロニダーゼ活性を測定し、得られた測定値を転写活性化能の値とすることができる。β−グルクロニダーゼ活性は、Jeffersonらの方法[Jefferson,R.A.:EMBO J.83:8447−8451(1986)]により、ルシフェラーゼ活性はPicaGeneルシフェラーゼアッセイキット(Toyo−Ink社製)を用いることにより測定することができる。
3.組換えベクター及び形質転換体の作製
(1)組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の遺伝子を連結(挿入)することにより得ることができる。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミドDNA、ファージDNAなどが挙げられる。プラスミドDNAとしては、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119などの大腸菌宿主用プラスミド、pUB110、pTP5などの枯草菌用プラスミド、YEp13、YEp24、YCp50などの酵母宿主用プラスミド、pBI221、pBI121などの植物細胞宿主用プラスミドなどが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージなどが挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
ベクターに本発明の遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。本発明の遺伝子は、その遺伝子の機能が発揮されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、本発明の遺伝子のほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などを含有するものを連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。
(2)形質転換体の作製
本発明の形質転換体は、本発明の組換えベクターを、目的遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。ここで、宿主としては、本発明の遺伝子を発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などのエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などのバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などのシュードモナス属、リゾビウ厶・メリロティ(Rhizobium meliloti)などのリゾビウム属に属する細菌が挙げられ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベなどの酵母が挙げられ、シロイヌナズナ、タバコ、トウモロコシ、イネ、ニンジンなどから株化した植物細胞や該植物から調製したプロトプラストが挙げられ、COS細胞、CHO細胞などの動物細胞が挙げられ、あるいはSf9、Sf21などの昆虫細胞が挙げられる。
大腸菌などの細菌を宿主とする場合は、本発明の組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、本発明の遺伝子、転写終結配列により構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HMS174(DE3)、K12、DH1などが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)MI 114、207−21などが挙げられる。
プロモーターとしては、大腸菌などの宿主中で発現できるものであればいずれを用いてもよい。例えばtrpプロモーター、lacプロモーター、Pプロモーター、Pプロモーターなどの、大腸菌やファージに由来するプロモーターが用いられる。tacプロモーターなどのように、人為的に設計改変されたプロモーターを用いてもよい。細菌への組換えベクターの導入方法は、特に限定されず、例えばカルシウ厶イオンを用いる方法[Cohen,S.N.et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,69:2110−2114(1972)]、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。この場合、プロモーターとしては酵母中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばgal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーターなどが挙げられる。
酵母への組換えベクターの導入方法は、特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法[Becker,D.M.et al.:Methods.Enzymol.,194: l82−187(1990)]、スフェロプラスト法[Hinnen,A.et al.:Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,75:1929−1933(1978)]、酢酸リチウム法[Itoh,H.:J.Bacteriol.,153:163−168(1983)]などが挙げられる。
植物細胞を宿主とする場合は、例えばイネ、トウモロコシ、コムギ、シロイヌナズナ、タバコ、ニンジンなどから株化した細胞や該植物から調製したプロトプラストが用いられる。この場合、プロモーターとしては植物中で発現できるものであれば特に限定されず、例えばカリフラワーモザイクウイルスの35SRNAプロモーター、rd29A遺伝子プロモーター、rbcSプロモーターなどが挙げられる。
植物への組換えベクターの導入方法としては、Abelらのポリエチレングリコールを用いる方法[Abel,H.et al.Plant J.5:421−427(1994)]やエレクトロポレーション法などが挙げられる。動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS−7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用いられる。プロモーターとしては、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーターなどを用いることができる。また、ヒトサイトメガロウイルスの初期遺伝子プロモーターなどを用いてもよい。
動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法などが挙げられる。昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞、Sf21細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが用いられる。
4.本発明の組換えタンパク質の生産
本発明の組換えタンパク質は、本発明の遺伝子によりコードされるアミノ酸配列を有するもの、又は該アミノ酸配列において少なくとも1個のアミノ酸に前記変異が導入されたアミノ酸配列を有し、かつストレス応答性エレメント下流の転写を制御する機能を有するものである。
本発明のタンパク質は、前記形質転換体を培地に培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。「培養物」とは、培養上清、あるいは培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
大腸菌や酵母菌などの微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。また植物細胞を宿主として用いている場合には、必要に応じて、培地にチアミン、ピリドキシンなどのビタミン類を添加し、動物細胞を宿主として用いている場合には、RPMI1640などの血清を添加する。
炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。
無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、30〜37℃位で6時間〜3日間程度行う。培養期間中、pHは7.0〜7.5程度に保持する。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液などを用いて行う。
培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)などを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)などを培地に添加してもよい。
培養は、通常、5%CO存在下、30〜37℃位で6時間〜3日間程度行う。培養中は必要に応じてカナマイシン、ペニシリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、菌体又は細胞を破砕することにより該タンパク質を抽出する。また、本発明のタンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離などにより菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。
5.本発明の遺伝子を導入したトランスジェニック植物の作製
遺伝子工学的手法を用いて本発明のタンパク質をコードするDNAを植物宿主に導入することにより、環境ストレス、特に、高温ストレス、乾燥ストレスなどに対して抵抗性を有するトランスジェニック植物を作製することができる。本発明の遺伝子の植物宿主への導入方法としては、アグロバクテリウム感染法などの間接導入法や、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクション法などの直接導入法などが挙げられる。アグロバクテリウム感染法を用いる場合、以下のようにして本発明の遺伝子導入植物を作製ことができる。
(1)植物導入用組換えベクターの作製及びアグロバクテリウムの形質転換
植物導入用組換えベクターは、本発明の遺伝子を含むDNAを適当な制限酵素で切断後、必要に応じて適切なリンカーを連結し、植物細胞用のクローニングベクターに挿入することにより得ることができる。クローニング用ベクターとしては、pBI2113Not、pBI2113、pBI101、pBI121、pGA482、pGAH、pBIG等のバイナリーベクター系のプラスミドやpLGV23Neo、pNCAT、pMON200などの中間ベクター系のプラスミドを用いることができる。
バイナリーベクター系プラスミドを用いる場合、上記のバイナリーベクターの境界配列(LB,RB)間に、目的遺伝子を挿入し、この組換えベクターを大腸菌中で増幅する。次いで、増幅した組換えベクターをアグロバクテリウム・チュメファシエンスC58、LBA4404、EHA101、C58C1Rif、EHA105等に、凍結融解法、エレクトロポレーション法等により導入し、該アグロバクテリウムを植物の形質導入用に用いる。
上記の方法以外にも、本発明においては、三者接合法[Nucleic Acids Research,12:8711(1984)]によって本発明の遺伝子を含む植物感染用アグロバクテリウムを調製することができる。すなわち、目的遺伝子を含むプラスミドを保有する大腸菌、ヘルパープラスミド(例えばpRK2013など)を保有する大腸菌、及びアグロバクテリウムを混合培養し、リファンピシリン及びカナマイシンを含む培地上で培養することにより植物感染用の接合体アグロバクテリウムを得ることができる。
植物体内で外来遺伝子などを発現させるためには、構造遺伝子の前後に、それぞれ植物用のプロモーターやターミネーターなどを配置させる必要がある。本発明において利用可能なプロモーターとしては、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)由来の35S転写物[Jefferson,R.A.et al.:The EMBO J6:3901−3907(1987)]、トウモロコシのユビキチン[Christensen,A.H.et al.:Plant Mol.Biol.18:675−689(1992)]、ノパリン合成酵素(NOS)遺伝子、オクトピン(OCT)合成酵素遺伝子のプロモーターなどが挙げられ、ターミネーター配列としては、例えばカリフラワーモザイクウイルス由来やノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーターなどが挙げられる。但し、植物体内で機能することが知られているプロモーターやターミネーターであればこれらのものに限定されるものではない。
ここで、用いるプロモーターが目的遺伝子の構成的発現を担うプロモーター(CaMV35Sプロモーターなど)で、これによって、遺伝子導入植物に生長の遅れや矮化が生じる場合は、目的遺伝子の一過性の発現をもたらすようなプロモーター(例えば、rd29A遺伝子プロモーターなど)を用いることができる。また、必要に応じてプロモーター配列と本発明の遺伝子の間に、遺伝子の発現を増強させる機能を持つイントロン配列、例えばトウモロコシのアルコールデヒドロゲナーゼ(Adh1)のイントロン[Genes& Development 1:1183−1200(1987)]を導入することができる。
さらに、効率的に目的の形質転換細胞を選択するために、有効な選択マーカー遺伝子を本発明の遺伝子と併用することが好ましい。その際に使用する選択マーカーとしては、カナマイシン耐性遺伝子(NPTII)、抗生物質ハイグロマイシンに対する抵抗性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(htp)遺伝子及びビアラホス(bialaphos)に対する抵抗性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子等から選ばれる1つ以上の遺伝子を使用することができる。本発明の遺伝子及び選択マーカー遺伝子は、単一のベクターに一緒に組み込んでも良いし、それぞれ別個のベクターに組み込んだ2種類の組換えDNAを用いてもよい。
(2)宿主への本発明の遺伝子の導入
本発明の形質転換体の宿主は特に限定されないが、植物であることが好ましい。該植物は、植物培養細胞、栽培植物の植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、根茎、種子等)、又は植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)のいずれであってもよい。植物はイネ、トウモロコシ、コムギ等の単子葉植物であることがより好ましい。植物培養細胞、植物体、植物器官又は植物組織を宿主とする場合、本発明のタンパク質をコードするDNAは、採取した植物切片にベクターをアグロバクテリウム感染法、パーティクルガン法又はポリエチレングリコール法などで導入し、植物宿主を形質転換することができる。あるいはプロトプラストにエレクトロポレーション法で導入して形質転換植物を作製することもできる。
たとえばアグロバクテリウム感染法によりシロイヌナズナに遺伝子を導入する場合、目的の遺伝子を含むプラスミドを保有するアグロバクテリウムを植物に感染させる工程が必須であるが、これは、バキュームインフィルトレーション法[CR Acad.Sci.Paris,LifeScience,316:1194(1993)]により行うことができる。すなわち、シロイヌナズナをバーミキュライトとパーライトを等量ずつ合わせた土で生育させ、生育させたトウモロコシを本発明の遺伝子を含むプラスミドを含むアグロバクテリウムの培養液に直接浸し、これをデシケーターに入れバキュームポンプで65〜70mmHgになるまで吸引後、5〜10分間、室温に放置する。鉢をトレーに移しラップで覆い湿度を保つ。翌日ラップを取り、植物をそのまま生育させ種子を収穫する。
次いで、種子を目的の遺伝子を保有する個体を選択するために、適切な抗生物質を加えたMS寒天培地に播種する。この培地で生育したシロイヌナズナを鉢に移し、生育させることにより、本発明の遺伝子が導入されたトランスジェニネック植物の種子を得ることができる。一般に、導入遺伝子は宿主植物のゲノム中に同様に導入されるが、その導入場所が異なることにより導入遺伝子の発現が異なるポジションイフェクトと呼ばれる現象が見られる。プローブとして導入遺伝子のDNA断片を用いたノーザン法で検定することによって、より導入遺伝子が強く発現している形質転換体を選抜することができる。
本発明の遺伝子を導入したトランスジェニック植物及びその次世代に目的の遺伝子が組み込まれていることの確認は、これらの細胞及び組織から常法に従ってDNAを抽出し、公知のPCR法又はサザン分析を用いて導入した遺伝子を検出することにより行うことができる。
(3)本発明の遺伝子の植物組織での発現レベル及び発現部位の分析
本発明の遺伝子を導入したトランスジェニック植物における該遺伝子の発現レベル及び発現部位の分析は、これらの細胞及び組織から常法に従ってRNAを抽出し、公知のRT−PCR法又はノーザン分析を用いて導入した遺伝子のmRNAを検出することにより行うことができる。また、本発明の遺伝子産物を、該遺伝子産物に対する抗体を用いたウエスタン分析等により直接、分析することによっても行うことができる。
(4)本発明の遺伝子が導入されたトランスジェニック植物体内における各種遺伝子のmRNAレベルの変化
本発明の遺伝子が導入されたトランスジェニック植物体内において、本発明の転写因子の作用により、発現レベルが変化したと考えられる遺伝子はノーザンハイブリダイゼーションによって同定することができる。
例えば、水耕栽培などで育てた植物に、所定期間(例えば1〜2週間)の環境ストレスを与える。環境ストレスとしては、高温、乾燥、塩等が挙げられる。例えば乾燥ストレスの負荷は、水耕栽培から植物体を、抜き取り濾紙上で10分〜24時間乾燥させることにより与えることができる。高温ストレスの負荷は、30〜50℃に10分〜24時間保持することにより与えることができる。また、塩ストレスの負荷は、例えば培地を50〜500mM NaCl溶液に変更し、10分〜24時間保持することによって与えることができる。
ストレスを与えないコントロール植物と環境ストレスを与えた植物から全RNAを調製して電気泳動を行い、発現をみたい遺伝子のプローブを用いてノーザンハイブリダイゼーションを行えば、その発現パターンが解析できる。
(5)トランスジェニック植物の環境ストレスに対する耐性の評価
本発明の遺伝子を導入したトランスジェニック植物の環境ストレスに対する耐性は、例えばバーミキュライト、パーライトなどを含む土を入れた植木鉢にトランスジェニック植物を植え、各種環境ストレスを負荷した場合の生存を調べることによって評価することができる。環境ストレスとしては、高温、乾燥、塩等が挙げられる。例えば、乾燥ストレスに対する耐性は、2〜4週間、水を与えずその生存を調べることにより評価することができる。また高温ストレスに対する耐性は、30〜50℃に、30分〜10日間おいた後、2日〜3週間、20〜35℃で生育させその生存率を調べることにより評価することができる。また、塩ストレスは例えば100〜600mM NaClで1時間〜7日間おいた後、1〜3週間、20〜35℃で生育させその生存率を調べることにより評価することができる。
6.植物のストレスレベルの測定
本発明の遺伝子は、低温ストレス、乾燥ストレス、塩ストレス,高温ストレスにより転写が活性化されるため、本発明の遺伝子の転写レベルを調べることにより、植物の受けている低温・乾燥・塩・高温などによるストレスのレベルを調べることができる。
本発明の遺伝子の転写レベルは、RNAゲルブロット分析、定量的PCRなどにより行うことができる。RNAゲルブロット分析に用いるプローブは、本発明の遺伝子及び/又は該遺伝子に隣接する特異的な配列を含む100〜1000bpの領域を基に、公知の方法を用いて作製することができる。また定量的PCRに用いるプライマーは、本発明の遺伝子のコード領域内又はそれに隣接する領域の配列を基に、公知の方法を用いて調整することができる。
上記のプローブ又はプライマーは、本発明の遺伝子の転写レベルを測定するためのキットとして使用することもできる。
7.その他
以上述べたほか、本発明のタンパク質はこれに対する抗体を作製して利用することもできる。該抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよい。抗体の作製方法は、特に限定されず、公知の方法[例えばSambrook,J et al.,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照]を用いて行うことができる。該抗体はウェスタンブロッティング法や、免疫沈降法による該タンパク質の検出等に利用することができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕ZmDREB2A遺伝子の単離
1.データベースのホモロジー検索
AP2/ERFドメインの配列をもとに、「GenBank」のトウモロコシのDNAデータベースを、Blastを用いてホモロジー検索を行い、いくつかのEST配列を得た。最も長いEST配列をもとに、下記のRT−PCR用プライマーを設計しトウモロコシRNAよりRT−PCRにより、2種のcDNAを得た。
ZmDREB2A単離用プライマー
AY108198 Forward:5’−GGTCTTATCGACTCCAACAAGAAC−3’(配列番号5)
AY108198 Reverse:5’−AAAAGCAAGCACTCTTTTTA−3’(配列番号6)
得られたZmDREB2A全長遺伝子のcDNAは、PERKIN−ELMER社製377DNAシークエンサーを用いて塩基配列の決定を行った。さらにORFを解析して、全てのアミノ酸配列を決定した。
以上の結果、ZmDREB2A遺伝子の塩基配列(Short form:配列番号1、Long form:配列番号3)及び対応するZmDREB2Aタンパク質のアミノ酸配列(Short form:配列番号2、Long form:配列番号4)が同定された。同定された2種のcDNAのうち長いほう(Long form)は、53塩基のイントロンを含んでおり、もう一方の短いほう(Short form)は含んでいなかった。Long formはイントロン中でフレームシフトを起こしており、ORFが極端に短くなっていた。Short formはDREBタイプの構造を示していた。図1AにLong formの塩基配列を、BにShort formのcDNAの塩基配列と推定アミノ酸配列を示す。後述するように、このShort formがZmDREB2A遺伝子の活性型として機能する。
〔実施例2〕非形質転換体におけるZmDREB2A遺伝子の発現解析
トウモロコシ中におけるZmDREB2A遺伝子の発現特性をノーザン解析、RT−PCR、サザン解析により解析した。
1.材料と方法
(1)トウモロコシの栽培条件
トウモロコシ(品種名:ゴールデンクロスバンタム)の種子を5分間、70%エタノール処理した後、水でよく洗浄し、ステンレスメッシュの上に種子を置き、水を入れたバットに入れ、12時間の日長で26℃のインキュベーター内で生育させた。
(2)ストレス処理
1週間水耕栽培で生育させた植物体を以下のストレス処理で処理した。
低温処理:あらかじめ4℃に冷却しておいた水に種子を置いていたステンレスメッシュごと移した。この状態で4℃の培養器で処理した。
高温処理:あらかじめ42℃に保温していた水に種子を置いていたステンレスメッシュごと移した。この状態で37℃の培養器で処理した。
塩処理 :250mMのNaClの溶液で処理し、26℃の培養器で処理した。
乾燥処理:根の水をよく切った状態でキムタオルの上に置いて乾燥させた。
これらの植物をそれぞれ、0分、10分、20分、40分、1時間、2時間、5時間、24時間処理した後回収し、直ちに液体窒素で凍結、−80℃で保存した。
(3)RNA抽出
それぞれストレス処理した植物体を凍結状態を保ちながら、shake master(トミー、BMS−12)を利用して破砕し、Trizol液(invitrogen社)を用いて常法によりRNAを抽出した。
(4)ノーザン解析
抽出したRNAを6μgとり、これを19μlのNorthern dye[0.1%BPB、1×RNA泳動buffer、20%ホルムアルデヒド、60%ホルムアミド、0.033μg/μlEtBr]を加え、65℃で15分間処理し、急冷して変性させた。
調製したRNAをゲルにアプライし、1×RNA泳動buffer[0.02M MOPS、8mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA]中で90V、2時間半泳動した。これを20×SSCを用いて、ナイロンメンブレン(Hybond−XL:amasham社)に一晩かけて転写し、1時間風乾した後、80℃で2時間、減圧下で処理した。
ZmDREB2Aに特異的なC末端の約500bpがプローブとなるようにプライマーを作成した。プライマーの配列は表1に示すとおりである。このプライマーを使用して、PCRによりプローブを作成した。PCR反応液の組成(総量20μl)は以下のとおりでKOD DNA polymerase plus(TOYOBO社)のプロトコルにしたがった。
電気泳動でバンドを確認した後、切り出して精製したものを、TaKaRaのBcaBEST Labeling Kitでラベルし、プローブとして用いた。Randam Primer2μlとプローブ用鋳型DNA溶液25ngとRandam Primer2μlに蒸留水を加えて全量を14μlにし、95℃で3分間加熱した後、氷中で5分間急冷し変性した。これに10×bufferとdNTPをそれぞれ2.5μl、DNA polymeraseを1μl、[α−32P]dCTPを5μl加え、55℃で10分間処理した。反応後、セファデックスG50(Pharmacia社)カラムに通し、標識プローブと遊離の[α−32P]dCTPを分離した。
ガラスチューブにRNAを転写したメンブレンを入れ、蒸留水と5×SSC[NaCl80mM,クエン酸ナトリウム80mM]溶液で洗浄した後、30mlのハイブリダイゼーションbuffer[0.5M NaHPO・12HO、0.5M NaHPO・2HO、7% SDS、10mM EDTA]を加えて65℃で30分間以上プレハイブリダイゼーションをおこなった。ついで液を捨て新たなハイブリダイゼーションバッファー30mlに、標識したプローブを1.0×10dpm/mlになるように加え、65℃で一晩ハイブリダイゼーションをおこなった。
メンブレンの洗浄は洗浄液1[1×SSC,1×SDS]で65℃、5分間洗浄した後、洗浄液2[0.1×SSC,0.1×SDS]で30分を2回、5分を1回おこなった。1時間以上風乾させたあと、シグナルの検出をおこなった。シグナル解析はBAS2000Imaging Analyzer(FUJIフィルム)を用いた。
(5)定量RT−PCRによる解析
Long formとShort formは53塩基対しか長さが違わないので、ノーザン解析ではシグナルの区別ができない。そこで、それぞれの発現を個別に解析するために、Long formとShort formそれぞれに特異的なプライマーを作成し、定量RT−PCRで解析をおこなった。
cDNA合成はTOYOBO社のReverTra Ace kitを用いておこなった。Long form、Short form特異的プライマーの配列は表1に記した。
定量RT−PCR装置はRoche社のLight Cyclerを使用し、反応試薬はTaKaRa社のSYBR Green Ex taqを使用した。2×SYBR 5μl、フォワード・リバースプライマーを各2pmol、MilliQ水3.5μlをテンプレートcDNA(ZmDREB2A 1μl、18SrRNA 0.001μl)に加え反応させた。なお、内部標準としては18SrRNAをもちいた。使用したプライマーの配列は表1に示した。
このあと、増幅産物の融解温度を解析する事により想定される塩基配列が増幅されている事を確認した。
それぞれの発現量を定量化するために、濃度のわかっているLong formとShort formを組み込んだpBlueScriptベクターを用いて検量線を作成した。この検量線より算出した濃度を、内部標準で除した値を用いて、それぞれの相対発現量を求めた。
(6)サザン解析
トウモロコシゲノム上のZmDREB2Aのコピー数を確認するためにGenomic Southernをおこなった。
プライマー及びキットは(4)で使用したものと同様である。ゲノムDNAはトウモロコシの葉より、CTAB法に従って抽出した。
抽出したDNA10μgを制限酵素BamHI、DraI、HindIII(TaKaRa)10μlでそれぞれ37℃、一晩処理した。この溶液よりエタノール沈殿でDNAを回収し、TE溶液300μlに溶解した。1×TBEの1%アガロースゲルに70Vで6時間半泳動した。これを酸性溶液[0.25N HCl]、変性液[0.5N NaOH,1.5M NaCl]、中和液[0.5M Tris−HCl,1.5M NaCl]の順で変性処理し、ナイロンメンブレン(Amarsham社)に一晩かけて転写した。
転写したメンブレンをプローブとハイブリダイズさせた。プローブはノーザン解析と同じものを用いた。これはノーザン解析の手法に準ずる。ただしWashingについては以下の2通りでおこなった。
Low stringency 0.5×SSC、0.5×SDS 50℃(30分で2回)
High stringency 0.1×SSC、0.1×SDS 65℃(30分で2回)
2.結果
(1)ノーザン解析
播種後1週間水耕栽培した植物体に種々のストレス処理をおこない、この植物より抽出したRNAを用いて実験をおこなった。ZmDREB2A特異的領域をプローブとしてノーザン法による発現解析をおこなった(図2A)。ZmDREB2Aは低温ストレス処理をおこなったとき、2時間後に発現の誘導が観察され、5時間後ではかなり強い発現が見られた。高温処理としては42℃で処理したときに誘導が見られた。高温による発現誘導は10分から20分の処理で強く発現した後、徐々に減少していくことが確認された。乾燥処理では恒常的な弱い発現は見られるものの、発現誘導はそれほど見られなかった。塩処理では処理後10分という早い時間帯からやや強めの発現が根で見られ、時間が経つにつれさらに強まっていく様子が確認できた。
またZmDREB2Aは各ストレス下で主に根で発現しており、茎、葉での発現はあまり見られなかった。しかし、低温及び高温処理では葉での発現誘導が確認できた。
このことより、ZmDREB2Aはストレスにより発現が誘導され、かつストレスの種類によってその発現パターンが異なることが明らかになった。
(2)定量RT−PCRによる解析
Short formのフォワードプライマーは一部Long primerと相同性を持つ配列を含む。それぞれのプライマーが配列特異的に機能していることを確認した。Long form、Short form cDNAそれぞれをテンプレートとし、これらのプライマーを加えてPCRをおこない、反応溶液を2%のアガロースゲルで泳動した。その結果、それぞれのプライマーが各テンプレート特異的に配列を増幅していることが確認された。
イントロンの外側に同一のプライマー(AY108198 cDNA BamHI、AY108198 shorter R90)を設定し、長さの異なる2本の断片を同時に増幅することにより、2種類のmRNAが実際に蓄積しているかどうかを確認した(図2B)。無処理状態を除き、各ストレスをかけたときに泳動のバンドが二本生じていることが確認できた。Long formとShort formそれぞれのポジティブコントロールと同じ位置にバンドが出ていることから、このバンドがLongとShortのもので、2種類のクローンが実際に存在していることが示された。
さらに、それぞれのmRNAの蓄積がどのように経時的な変化をするかを解析した(図3A、B)。無処理の時点では双方ともほとんど発現が認められないものの、Long formとShort form同士の比較ではLong formがShort formの1000倍ほどの量であった。しかし双方ともストレス処理をおこなうことで発現が誘導された。全体的にはLong formのほうが多く発現しているが、ストレス時にはShort formの発現率が非常に高くなり、高温処理10分のように、Short formの蓄積量のほうが多い時間帯も存在した。
(3)サザン解析
トウモロコシゲノム上のZmDREB2Aのコピー数を確認するためにGenomic Southern解析をおこなった(図4)。ノーザン解析と同様にZmDREB2AのC末端部位をプローブとした。なお、相同性の高い遺伝子が存在するかを調べるために、メンブレン洗浄を強い条件(High stringency)と弱い条件(Low stringency)の2種類でおこなった。High stringency処理によるバンドはそれぞれひとつだけなので、トウモロコシにおけるZmDREB2Aのコピー数はひとつだけであると考えられる。しかし、Low stringency条件ではいくつかのバンドが検出されたことから、相同性が高い遺伝子もいくつか存在するものと考えられる。
3.考察
シロイヌナズナのDREB2Aは乾燥、塩、高温ストレスにより誘導される。ZmDREB2AはDREB2Aと同様に塩、高温ストレス処理による発現誘導がよく観察された(図2A)。一方、乾燥ではほとんど誘導が見られず、低温ではかなり時間が遅くなってからの発現が見られた。これはDREB2Aの発現パターンと異なる。シロイヌナズナの場合、乾燥ストレス処理時には20分から2時間まで弱い発現が続いた後、5時間でかなり強い発現となり、約10時間でピークに達し、24時間では5時間後と同程度の発現量が見られる(Liu et al.The Plant Cell 10 1391−1406,1998、Nakashima et al.Plant Molecular Biology 42 657−65,2000)。一方、イネのOsDREB2Aの乾燥時における発現は、一過的ではなく恒常的にやや強めの発現が見られる(Dubouzet et al.前掲)。ZmDREB2Aの発現パターンはイネに似ているが、発現量はさらに弱い。乾燥処理すると、シロイヌナズナやイネが5時間を過ぎるとほとんどの水分を失った状態になるのに対し、トウモロコシは5時間の処理ではまだ充分水分を失っておらず、乾燥に対して強い植物であると考えられる。したがって、ZmDREB2Aは乾燥応答性も持つが、24時間以内の乾燥状態では充分な乾燥ストレスと認識しないために、発現がみられなかったと考えられた。
ZmDREB2Aは主に根での誘導が見られたが、温度を変化させたときは葉、茎での発現も見られた。塩ストレス処理は地下部を塩化ナトリウム溶液に浸すことでおこない、乾燥処理は水耕栽培している植物を一度ステンレスメッシュから引き抜くことでおこなった。このため、これらの処理は地下部により強くストレスを与えたと考えられる。一方、温度の場合は、葉や茎でもそのストレスを受けるために発現が誘導されるものと考えられる。したがって、ZmDREB2Aは根での発現が強いものの植物体全身でその発現が観察され、ストレスを受けるとすぐに発現誘導されるものと考えられる。
ZmDREB2AのLong form、Short formのmRNAがどのように蓄積されるかを検討した(図3)。双方ともにストレスによる誘導が見られるが、Short formのほうがその割合が大きい。Long formはイントロンを有し、イントロン部位にストップコドンが存在するためタンパク合成が止まると考えられる。したがって、ストレス時に必要であるのはShort formのmRNAである。また、活性型と考えられる(実施例3で検討)Short formはストレスが強いほど多く蓄積していた。無処理の時点ではLong formに比べて1000分の1程度しか存在しないが、ストレス時にはその割合は増大していく(図3B)。このことより、活性型のShort formは、ストレスの度合いが強いときに必要とされる遺伝子であることが示唆される。しかしながら、低温ストレスにおいては非活性型のLong formの蓄積が時間とともにかなり増大するものの、Short formはそれほど大きな割合での蓄積は見られない。これはLong formからShort formが形成されるにあたって必要な酵素が、低温により活性が低下している可能性が考えられた(図3A)。
〔実施例3〕プロトプラストを用いた転写活性化機構の検討
1.材料と方法
(1)培養細胞
シロイヌナズナT87培養細胞を利用した。この細胞は理化学研究所のバイオリソースセンターに保存されているものを提供していただいた。
(2)継代方法及び培地
生育培地(JPL培地)の組成は以下のとおり。22℃、白色連続照射下、軽度の振とう条件下で培養、継代した。実験には継代して5〜6日目のものを用いた。
以上のストック及び他の試薬を以下のように混合して作成した。
(3)コンストラクション(deletion mutant)の作成
ベクターとしては、pGreenIIEl35Ωを用いた。deletion mutantの作成は常法に従い2組のプライマー(プライマーAとプライマーB、プライマーCとプライマーD)を用いた2段階PCRにより作製した。C末端deletion mutantは削除する部分からプライマーを作成して通常通りのPCRをおこなった。pGreenIIVectorをEcoRV、BamHIで30℃、一晩処理し、ここに目的断片を挿入した。目的の断片はそれぞれプライマーを用いてPCRで増幅後、EcoRV、BamHIで30℃、一晩処理し、Ligation high(TOYOBO社)を用いてライゲーションした。このプラスミドを大腸菌DH5αに導入し、カナマイシン耐性株を得た。大腸菌の形質転換はヒートショックによる方法を用いた。それを25mg/mlのカナマイシン入りLB培地で一晩培養し、耐性株を選抜した。これをDNA自動分離装置(KURABO社;PI−100)でプラスミド抽出した。さらにRNaseで37℃、1時間処理し、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿により精製をおこなったものをシークエンサー(Applied Biosystem Japan社 ABI3100 Genetic Analyzer)で配列確認した。使用したプライマーは表2〜4に記した。
(4)プラスミドの調製とプロトプラストへの導入
プラスミドDNAの大量調製はQIAGENのPlasmid Mega kit又はMaxi kitを用いたアルカリ−SDS法に準じた。組み換えプラスミドを、抗生物質を添加した2mlのLB培地で37℃、8時間プレ培養した後、500mlのLB培地[1Lあたりの組成bacto tryptone 10g,bacto yeast extract 5g,NaCl 10g,1N NaOH 1.5mlに移し変え、更に一晩培養した。これを集菌し、P1溶液50mlに懸濁して激しく攪拌したあと、50mlのP2溶液を加え、転倒混和し、室温で5分間静置した。これにP3溶液を加え、上下に撹拌した後、50mlのFWB溶液を加えフィルターで濾した液を取り出した。この濾液にQBT bufferを加えてカラムに流し、QF bufferでプラスミドDNAを溶出した。これをイソプロパノール沈殿したあと、適当量のTE bufferに溶かして濃度を測定した。
5〜6日間培養したT87細胞を5g回収し、酵素液[0.4M mannitol,0.5mM MES−KOH(pH5.6),0.1% Cellulase Onozauka R−10,0.05% Macerozyme]100mlに懸濁し暗条件下で80rpmで撹拌しながら2時間処理することでプロトプラスト化した。SoluationA[0.4M mannitol,0.5mM MES−KOH(pH5.6),70mM CaCl]で洗浄後、プロトプラストを約5.0×10個/mlになるようにMaMg溶液[0.4M mannitol,15mM MgCl,0.5mM MES−KOH(pH5.6)]に懸濁した。10μgのレポータープラスミド及びエフェクタープラスミドを加えた後、PEG−CMS溶液[400mM mannitol,100mM CaNO、40%PEG]100μlを加え穏やかに撹拌した後、氷上に30分静置した。希釈溶液[0.4M mannitol,125mM CaCl,5mM KCl,5mM glucose,1.5mM MES−KOH(pH5.7)]で希釈後、遠心して上澄を除去し、プロトプラストをMS−Mannitol培地[ショ糖を除いたMS培地に0.4M mannitolを加えたもの]に懸濁し22℃暗黒下で20時間静置培養した。
実験に用いたエフェクターコンストラクトはZmDREB2Aの全長及び欠失変異を加えたcDNAとCaMV35Sプロモーター、TMVΩ配列を結合して作製した。レポーターコンストラクトはrd29AプロモーターのDREを含む75bp断片を3つ並べたもの(DRE×3)にTATA最小プロモーターとGUS配列を結合して作製した。内部標準プラスミドはCaMV35Sプロモーターとルシフェラーゼ遺伝子を結合して作製した。エフェクター及びレポーター、内部標準プラスミドのプロトプラストへの導入はPEG法によりおこなった。
(5)ルシフェレース活性測定
プロトプラストを500rpm、室温、5分間の遠心分離で回収し、破砕バッファー[50mM sodium−phosphate buffer,1mM EDTA,0.1% Triton X−100,10mM β−mercaptoethanol]150μlに懸濁し、ホモジェナイザーで破砕した後、15000rpm、4℃、10分間遠心して不溶画分を除き、細胞抽出液とした。ルシフェレース活性の測定にはLuciferace Assay kit・ピッカジーン(東洋インキ製造)を用い、使用説明書に従っておこなった。細胞抽出液10μlとピッカジーン50μlを反応させてルミノメーターによって測定した。
(6)GUS活性測定
細胞抽出液10μlに100μlの基質溶液[破砕バッファーに2.5mMの4−MUG(4−methylumbilliferyl−β−D−glucuronide)]に混合し、37℃で一時間反応させた後、1mlの反応停止液[2M NaCo]に加えて反応を停止した。この溶液100μlを測定に用いた。
2.結果
単離されたLong form、Short formそれぞれのcDNAの全長及び、そのなかからORFと考えられる領域を取り出したものを2種類、計4種類の活性を調べた。
ただし、Long form cDNAのORFについてはデータベースに登録されている配列の部分を参考に作成した(図1B,72番目のアミノ酸であるメチオニンから開始する)。Long form cDNAを用いた場合は全長でもORFでもGUSの転写活性化はほとんど見られなかった(図5A)。これに対し、Short formのcDNAを導入した細胞ではGUS/LUC活性が40〜100倍に達していた。また、シロイヌナズナのDREB2A(活性型)と比較しても、約2倍の活性が示された。欠失変異を加えたcDNAを用いた実験ではC末端から272番目のアミノ酸(272aa、以下同様に記述)まで削るだけでかなり活性が低くなる。更に236aaまで削るとほとんど活性が見られなくなった(図5B)。また、ZmDREB2Aタンパク質の内部である235aa−272aaを削ったときに極端に活性が減少することが示された。以上の結果から、235aa−C末端までの領域にZmDREB2Aの転写活性化ドメインが含まれると考えられた。
3.考察
T87細胞のプロトプラストを用いたトランジェント発現系で、ZmDREB2Aによる高い転写活性化が見られたことから、ZmDREB2AはDREに結合し、転写活性因子として機能することが示された。また、Long formはほとんど活性が見られなかったが、Short formは非常に高い転写活性能を持つことが示された(図5A)。Long cDNAでは、配列の途中にありイントロンと考えられる53塩基の配列(Short formには存在しない)がフレームシフトを起こし、途中にストップコドンが入ってしまうために、活性を持つタンパクがコードできないと考えられる。データベースにはESTとしてLong form cDNAが登録され、72aaのメチオニンを開始コドンとしているが、実際にはこのLong form ORFをエフェクターとして用いてもまったく転写活性化は見られなかった。
シロイヌナズナのDREB2Aは完全長のcDNAをエフェクターとして用いたときの転写活性は低く、DNA結合ドメインの下流30アミノ酸を削ると高い活性を示した(Sakuma et al.未発表)。これに対して、ZmDREB2Aは完全長のcDNAで高い転写活性能が示され、内部領域(141aa−208aa)を削ってもそれほど大きな活性の変化は見られなかった(図5B)。C末端は酸性アミノ酸の割合が多く、酸性アミノ酸は転写活性ドメインに多く存在していることが知られている。また、C末端の236aa−272aaを削ったときに転写活性が著しく減少することから、この付近に転写活性化ドメインが存在すると考えられる。236aa−272aa付近をデータベースで検索したところ、コムギのHvDRF1とイネのOsDREB2B及びトウジンビエのDREB2A相同性タンパク質において、この領域と高い相同性を持つ配列が存在していた(図6)。一方、削ることで完全長よりも活性を示す領域が見られなかったことから、DREB2Aのネガティブドメインに相当する領域は存在しないものと考えられた。
シロイヌナズナのDREB2Aを導入した植物は野生株との間に明確な表現型の差が観察されず、環境ストレスに対して耐性を示さない。したがってDREB2Aタンパク質は合成されただけでは活性を持たないと考えられた。この原因として、DREB2Aにはセリン(Ser)/スレオニン(Thr)リッチドメインが存在していることから、この部分のリン酸化が活性に必要である可能性が示唆されている(Liu et al.1998)。またDREB2Aの135aa−165aaを削除したときにDREB2Aは活性型となる(Sakuma et al.未発表)。ZmDREB2Aのアミノ酸配列には、99aaから118aaにかけてSer/Thrに富んだ領域が存在する。ZmDREB2Aが常に活性型である原因のひとつとして、この領域がリン酸化を受けやすい立体構造的メカニズムが存在している可能性が考えられる。
またDREB2Aの135aa−165aaにはPEST配列が存在する。これは塩基性アミノ酸で区切られた10塩基以上の配列でプロリン(P)、グルタミン酸(E)、セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン酸(D)に富む領域をさす。この領域は短寿命タンパク質の多くに含まれており、酵素により認識され、分解される。DREB2AとZmDREB2AにこのPEST配列が存在するのか、EMBNet AUSTRIAのWWW PEST find Analysis(http://www.at.embnet.org/embnet/tools/bio/PESTfind/)を用いて検索したところ、ZmDREB2Aには候補となる配列が検索されなかった。このことからも、DREB2AがこのPEST配列によって分解されているために、通常では活性を示さない可能性も考えられる。しかし、OsDREB2Aも転写活性を示さないことが報告されている(Dubouzet et al.,The Plant Journal,33,751−763)。
このOsDREB2Aも同様にPEST配列の検索をおこなったところ、それに相当すると思われる領域は存在しなかった。このため、この配列だけが非活性化の原因とは考えにくい。
〔実施例4〕形質転換体を用いたZmDREB2Aの機能解析(1)
ZmDREB2Aの植物中での機能を詳細に調べることを目的にZmDREB2Aを導入した形質転換シロイヌナズナを作製し、標的遺伝子や形質転換植物の低温、乾燥ストレス耐性を解析した。
1.材料と方法
(1)サンプル植物と生育条件
完全長のZmDREB2Aを導入した形質転換体の作製をおこなった。乾燥種子を1%NaClO、0.02%Triton X−100の溶液に10分間浸し、滅菌処理をおこなった。これをGMK寒天培地に撒いて、2日間4℃で低温処理した後、22℃、16時間の日長で14日間生育させた。植物体を4個体取り出し、ZmDREB2Aの発現量の解析をおこなった。さらに残りの植物体を鉢に移し替えて1週間生育させた後、ストレス耐性処理等に用いた。なお鉢植えはプロフェッショナル培土(カキウチ)を入れた丸型プラントポットでおこなった。
(2)生育培地
植物培地の組成は以下のとおりである。
・GMK寒天培地・・・ムラシゲ・スクーグ塩(和光)、0.4g/l Tiaine−HCl、0.1g/l myo−inositol、3%(w/v)sucrose、1nM indol acetic acid、10nM 6−benzil aminopurine、0.83%bacto−agar、30mg/l kanamycin
・GMKV寒天培地・・・GMK寒天培地、100mg/l vancomycin
(3)形質転換シロイヌナズナの作製
シロイヌナズナの形質転換には、プロトプラストを用いた実験で使用した、pGreen El2 35SΩ−ZmDREB2A short formを用いた。1μl(約70μg)のプラスミドと40μlのエレクトロポレーション用コンピテントセル(ヘルパープラスミドpSoupをあらかじめ導入したアグロバクテリウムGV3101)を混ぜ、4℃に冷却したキュベットに入れ、200Ω、25μF、2.5kVでエレクトロポレーションをおこなった。1mlのSOC培地[bacto tryptone 20g,bacto yeast extract 5g,NaCl 0.5g,0.02M glucose,0.01M MgSO,0.01M MgCl]を加え、28℃で1時間培養した後、カナマイシンを加えたLB寒天培地で2日間培養し、耐性株を選抜した。
形質転換したアグロバクテリウムを常法に従いシロイヌナズナに感染させた。感染後のシロイヌナズナから得た種子をGMKV培地に撒いて生育したカナマイシン耐性植物を選抜した。選抜した植物を新たなGMKV培地に移植し、適当な大きさになったら土へ植え替えた。
(4)ノーザン解析及び定量RT−PCRによる解析
実施例2に従い、ノーザン解析及び定量RT−PCRによる解析をおこなった。ただし、使用したRNAの量は5μgである。
(5)ストレス処理
低温、乾燥ストレスによるZmDREB2A及びストレス誘導性遺伝子rd29Aの発現量を調べるために、ZmDREB2Aを導入したもの4ライン、DREB1A、DREB2A(野生型及び活性型)を導入したもの、pBI121ベクターコントロールを導入したものにそれぞれ低温、乾燥ストレス、塩ストレス処理を行った。低温ストレス処理は4℃にプレートごと5時間静置して行った。乾燥ストレス処理は、根に培地が残らないよう引き抜いたシロイヌナズナをプレート上においてクリーンベンチの中で5時間処理する事で行った。塩ストレス処理は、根に培地が残らないよう引き抜いたシロイヌナズナを、250mMのNaCl溶液に浸す事で行った。
(6)ストレス耐性試験
凍結処理はGMK培地で生育後21日目の植物を土ポットへ移し、1週間育成した植物体を−6℃のインキュベーターに移して30時間処理し、その後1週間の生育させた後評価した。
乾燥処理は播種後21日目の植物を土ポットへ移し一週間育成した後、水供給を停止し、約10日間後、ふたたび水を与えた。その後の植物体の回復状態を観察することで耐性を評価した。
(7)マイクロアレイによる誘導性遺伝子の解析
Agilent社のArabidopsis2オリゴDNAマイクロアレイキット(21500遺伝子がスポット)を用いて実験をおこなった。なお、以下のすべての試薬、装置について、特記しない限り、Agilent社のものを使用した。
実施例2と同様にInvitrogen社のTrizol法によりRNAを抽出した。1試料あたり植物体を4個体用いた。抽出したRNAはBioanalyzerを使用して、rRNAのバンドが明瞭であり、それぞれのrRNAの量比が理論値と矛盾していないことを確認した。
1試料あたり800ngのtotal RNAを使用し、これを400ngずつCy3,Cy5により標識した。これにT7 promoter primerを加え、65℃で10分間熱変性をした後、氷中で5分間急冷した。これにcDNA合成Master Mix[5×First Strand buffer2.0μl、0.1M DTT 1.0μl、10mM dNTP mix 0.5μl、MMLV−RT 0.5μl、RNaseOUT 0.25μl]を加え、40℃で2時間処理した。その後65℃で15分間処理し、反応を停止させた後、氷中で5分間急冷した。それぞれの反応液に10mM Cyanine3 CTP(cytosine triphosphate)、10mMのCyanine5 CTPを1.2μlずつ加え、これにTranscription Mix[Nuclease−free water 7.65μl,4×Transcription buffer 10.0μl,0.1M DTT 3.0μl,NTP Mix 4.0μl,50%PEG(pre−warm,40℃)3.2μl,RNaseOUT 0.25μl,Inorganic Pyrophosphatase 0.3μl,T7 RNA Polymerase0.4μl]を加え、激しく撹拌して遮光状態で40℃、120分間反応させた。これに60μlのnuclease free water、350μlのRLT−buffer、250μlのEtOHを加え、ピペットで混合した。この溶液を2mlのコレクションチューブをつけたRNeasyminiカラム(QIAGEN)に移し、13,000rpmで30秒間遠心した。新しいコレクションチューブにカラムを移し、500μlのRPR−Bufferを加え、13,000rpmで30秒間遠心した。この作業をもう一度繰りかえし、カラムを1.5mlのコレクションチューブに移したあと30μlのRNase−Free waterを加え、1分間静置し、13,000rpmで30秒間遠心しcRNAを回収した。もう一度この作業を繰り返し、260nmの吸光度を測定し濃度を決定した。
cRNAターゲット溶液[Cy3ラベル化cRNA 1μg,Cy5ラベル化cRNA 1μg、10×コントロールターゲット50μl、nuclease free water up to 250μl]を作成し、これに25×fragmentation buffer 10μlを加え、激しく撹拌しターゲットの断片化をおこなった。この溶液を遮光状態で60℃、30分間処理した。この溶液に250μlの2×ハイブリダイゼーションバッファーを加え、泡立てないように撹拌し、マイクロアレイスライドへ充填した。そして60℃で約17時間ハイブリダイゼーションをおこなった。ハイブリダイゼーションの終了したスライドを洗浄バッファー1[6×SSC、0.005%Triton X−102]で室温、10分間洗浄した。次に洗浄バッファー2[0.1×SSC、0.005%Triton X−102]で4℃、5分間洗浄した。それをフィルターエアガンによる窒素ガスで乾燥させた。最後にスライドをアジレントマイクロアレイスキャナスライドのフォルダにセッティングしてスキャニングし、スポット数値化とデータ解析をおこなった。
2.結果
(1)ZmDREB2A形質転換シロイヌナズナの形質及び導入遺伝子の発現解析
ZmDREB2A形質転換体は51ライン得られたが、このうちT2種子が以後の解析に用いるのに十分取れた32ラインについて定量RT−PCRによって導入遺伝子の発現量を解析した。一部の結果を図7に示した。GMK寒天培地で生育させ、播種後21日目の植物の形態を観察した(図8A上段)。過剰発現植物体はコントロール株と比較して矮化する傾向が見られた。2週間GMK培地で生育させ植物を土に移植し、形態を観察した。図8Aに35日目(移植後21日目)の植物体を示した。この植物も、寒天プレートと同様に生育の遅れが観察された。ZmDREB2Aがシロイヌナズナ中で制御する標的遺伝子は不明であるが、実施例3で、ZmDREB2Aはrd29AプロモーターのDRE配列の下流に結合したレポーター遺伝子の発現を誘導した。したがって、ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナ中でもrd29A遺伝子の発現が上昇していると予想される。ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナにおける導入遺伝子およびrd29A遺伝子のノーザン解析の結果を図8Bに示した。導入遺伝子及びrd29A発現量が多く、形質に変化の見られた4ライン(R6、R14、R21、R25)を後の解析に用いた。
(2)ZmDREB2A形質転換シロイヌナズナのストレス耐性評価
上記で選抜した4ラインの形質転換シロイヌナズナについて、凍結及び乾燥ストレス時における耐性評価をおこなった。ベクター導入株(pBI121コントロール)を比較対照とした。凍結耐性は2回繰り返し、乾燥耐性は4回繰り返し実験をおこなった。凍結ストレス処理をおこなうとR14ラインの25個体の植物中10個体生存したものの、ほかの形質転換植物はすべての個体が枯死した(図9A)。乾燥処理は21日目の植物を土ポットへ移し一週間通常条件下で生育させた後、10日間灌水を停止した。その後1〜2週間にかけて形質を観察することで耐性を評価した。R6において特に強い耐性の向上が示された。他の3ラインについてもコントロールに比べて比較的強い耐性が見られた(図9B)。以上のとおり、ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナは、乾燥耐性は見られたものの、凍結耐性の向上はほとんど見られなかった。
(3)マイクロアレイによる標的遺伝子の解析
ZmDREB2Aの過剰発現により、発現量が変化する遺伝子を特定するためにAgilent社のArabidopsis 2 オリゴDNA マイクロアレイキットを用いて、網羅的に発現解析をおこなった(表5)。マイクロアレイ解析にはR6、R14の2ラインを用いた。R6のほうが導入遺伝子の発現の強いラインである。各ラインとも2回繰り返し実験をおこなったが、2回の相関係数は非常に高かった。コントロールと比較してどちらか片方で5倍以上発現が見られた遺伝子は88個あった。これらの遺伝子を機能で分類すると、LEAタンパク質関連遺伝子が11個、ヒートショック関連遺伝子が7個、酸化ストレス関連遺伝子が5個、オレオシン関連遺伝子が7個、糖代謝関連遺伝子が5個、膜輸送関連遺伝子が2個、発芽に関与する遺伝子が6個であった。
Ratio:ノーマライズ後の野生株と過剰発現植物のシグナルの強さをとり、2回のハイブリダイズの値を平均したものを平均したもの。
DRE:RIKENのシロイヌナズナ完全長cDNAデータベースを参照にした。転写開始点の上流1000塩基内に存在しているDRE配列(ACCGAC)の数を示している。
*:RARGEに全長cDNAが登録されていない遺伝子。DREB2A:改変型DREB2Aをアレイにかけたときに発現上昇(3倍以上)が見られた遺伝子を示す。数値はそのときのRatioである。
Stress:ストレスによって3倍以上の発現誘導される遺伝子を示した。(N:250mM NaCl 10時間、D:乾燥10時間、C:4℃10時間、H:高温5時間)
3.考察
シロイヌナズナの過剰発現体32ラインについて2週間生育した植物を用いてのZmDREB2Aの発現量を調べたところ(図8B)、生育の遅れているものについては発現が多い傾向が見られた。この中からZmDREB2Aの発現レベルの高い4ラインを選択した。選択したラインの中でもっともZmDREB2Aの発現量が多かったのがR6ラインであるが、このラインは発芽率が低かった。また4ラインの形質転換体は野生型と比較して生育の遅れが見られた(図8A)。DREB/CBFタイプの遺伝子を、35Sプロモーターを用いて過剰発現させた植物は生育の遅れが見られることがすでに報告されている。しかし、これまで報告されているのはDREB1タイプの遺伝子であり、DREB2AやイネのOsDREB2A過剰発現シロイヌナズナでは表現型の違いは観察されていない。今回はDREB2Aタイプの遺伝子でこのような生育の遅れが生じたことから、ZmDREB2AはシロイヌナズナのDREB2A、イネのOsDREB2Aと異なり、植物中において修飾なしで転写活性能を持つものと考えられた。
DREB2Aの機能発現には何らかの翻訳後修飾が必要と考えられている。佐久間らは活性型DREB2Aを作製し、活性型DREB2A形質転換シロイヌナズナのマイクロアレイ解析をおこなっている(未発表)。ZmDREB2A過剰発現シロイヌナズナのマイクロアレイ解析ではDREB2Aの下流遺伝子及びNaClで誘導される遺伝子と共通の遺伝子が数多く検出された(表5)。RIKENシロイヌナズナ完全長cDNAデータベースhttp://rarge.gsc.riken.go.jp/で公開されている転写開始点から1000bp上流までのプロモーター配列を調べたところ、同定された遺伝子にはDRE配列を含むものが35個見られた。このなかで、改変型DREB2Aでも発現上昇の見られたものは24個存在した。ZmDREB2AはDRE配列に結合し、下流遺伝子の発現を誘導すると考えられるので、これらのプロモーター配列を持つ遺伝子の発現量の増加はZmDREB2Aタンパク質によって直接誘導されたものと思われる。これらのことよりZmDREB2Aはシロイヌナズナ中でDREB2Aと同様の働きを示すと考えられ、DREB2タイプの遺伝子であることが確認された。
〔実施例5〕形質転換体を用いたZmDREB2Aの機能解析(2)
ZmDREB2Aの植物中での機能を詳細に調べることを目的に、実施例4に従ってZmDREB2Aを導入した形質転換シロイヌナズナを作製し、標的遺伝子や形質転換植物の高温ストレス耐性を解析した。
材料と方法は基本的に実施例4に従った。ZmDREB過剰発現シロイヌナズナは2ライン(ライン6及びライン25)を用い、それぞれ2個体を使用した。18日間GM培地上で生育した幼植物体を培養土を入れたポットに移植した。11日間生育した後、地上部を44℃のウォーターバスに10分間浸漬した(高温ストレス処理)。ストレス処理後通常条件で培養し、4日後と7日後に生育状況を観察した。結果を図10に示す。
ストレス処理後7日でコントロール植物は枯死したが、ライン6の1個体が生存していた(図10)。この結果からZmDREB2Aは高温ストレス応答に寄与することが確認された。
〔実施例6〕形質転換体を用いたZmDREB2Aの機能解析(3)
(1)高温ストレスに対する生存率
ZmDREB2Aを導入した植物は、カナマイシンを含むGM寒天培地に播種して6日間培養し、4mlのGM培地に浸したろ紙上(シャーレ内)に移した。植物は、まず22℃で2日間生育させた後、22℃、44℃又は45℃の環境(高温ストレス)に1時間置き、再度22℃に戻して生育させた。コントロールとして、ZmDREB2Aを導入していないシロイヌナズナ(野生株)を同様に生育させた。
図11に、試験後さらに2週間液体GM培地で生育させた植物とその生存率(平
植物、A,B,CはそれぞれZmDREB2Aを導入した植物(3ライン)を示す。
図11から明らかなように、ZmDREB2Aを導入した植物は、野生株に比較して、有意に高い高温ストレス耐性を示した。
(2)ノーザン解析
ZmDREB2Aを導入した植物を、通常の生育条件、高温ストレス(37℃で1時間又は5時間)、塩ストレス(250mM食塩水に5時間)、乾燥ストレス(乾燥5時間)に置き、特に高温によって誘導されることが既知の遺伝子( At5g03720(AtHSFA3)、 At3g12580(heat shock protein 70)、At1g52560(chloroplast−localized small heat shock protein)、At4g25200(AtHSP23.6−mito)、At4g10250(heat shock protein 22.0)、At5g12030(heat shock protein 17.6A))の発現をノーザン法により解析した。コントロールとして、ZmDREB2Aを導入していないシロイヌナズナ(野生株、WT)を同様に生育させて解析した。
結果を図12に示す。前記の遺伝子は、コントロール(野生株)に比較して、ZmDREB2A導入した植物で有意に高い発現が認められた。
〔実施例7〕形質転換体を用いたZmDREB2Aの機能解析(4)
実施例3と4にしたがい、ストレス誘導性プロモーターであるrd29AプロモーターにZmDREB2Aを連結して導入した形質転換シロイヌナズナ(3ライン)を作製し、その乾燥、低温ストレス耐性を解析した。コントロールとして、ZmDREB2Aを導入していないシロイヌナズナ(野生株)を同様に生育させた。
結果を図13に示す。35Sプロモーターで恒常的にZmDREB2Aを過剰発現させたシロイヌナズナでは生育阻害が強く見られたが(図8A)、rd29Aプロモーター支配下でZmDREB2Aを高発現させた植物では野生型と比較して明確な生育の遅延は観察されなかった(図13A)。ZmDREB2Aにより発現誘導を受けるrd29A mRNAの蓄積は、ストレス処理により増加していた(図13B)。10日間の灌水停止による乾燥ストレス処理により、野生型シロイヌナズナは30%しか生存できなかったが、rd29A:ZmDREB2A植物3ラインはそれぞれ96.3%、88.8%、81.3%の生存率を示した(図13C)。rd29AプロモーターによりZmDREB2Aの発現を制御する事により、生育阻害を回避しつつ乾燥ストレス耐性を改善する事が可能であった。一方、35Sプロモーターを用いた場合と同様に(図9A)、凍結ストレスに対する耐性の改善は乾燥ストレスの場合ほど顕著ではなかった(図13C)。
参考例:改変型DREB2A(修飾DREB2A)過剰発現シロイヌナズナの高温ストレス耐性
アミノ酸136番目から165番目の領域を削除した活性型DREB2A過剰発現シロイヌナズナ(DREB2A CA OX)の高温ストレス耐性を、コントロール植物と比較した。コントロール植物にはDREB2A配列を挿入していない発現ベクターを導入したシロイヌナズナを用いた。播種後GM寒天培地上で5日間生育した植物を、GM培地で湿らせたロ紙の上に移植しさらに2日間生育させた。この、播種後7日目の植物を用いて高温ストレス耐性試験を行った。高温ストレス処理は、22℃、42℃、43℃、44℃、45℃で1時間行った。高温ストレス処理後、直ちに室温に戻し、1週間生育させた後、生存率を計数した。
42℃、43℃処理ではコントロール植物とDREB2A CA OXの間に差は見られなかった(図14)。しかしながら、コントロール植物では44℃処理で生存率が76%に低下し、45℃処理における生存率はわずか2%であった。一方、DREB2A CA OXでは45℃処理においても生存率の低下は観察されなかった(図14)。
本研究により、ZmDREB2Aが乾燥、高温ストレス応答等の環境ストレスで機能していることが明らかにされた。さらに、ZmDREB2A遺伝子を用いた乾燥、高温耐性作物の開発への可能性が示唆された。
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
本発明のZmDREB2A遺伝子を用いれば、特別な改変を加えることなく植物に乾燥、高温といった環境ストレスに対する耐性を付与することができる。したがって、本発明は、新たな環境ストレス耐性植物の作出等に利用価値が高い。
配列番号1−ZmDREB2A遺伝子cDNA(Short form)
配列番号3−ZmDREB2A遺伝子cDNA(Long form)
配列番号5〜45−人工配列の説明:合成DNA(プライマー)
[配列表]

Claims (9)

  1. 以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子。
    (a)配列番号1で表される塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号1で表される塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するタンパク質をコードするトウモロコシ由来のDNA
  2. 以下の(c)又は(d)のタンパク質をコードする遺伝子。
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (d)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するトウモロコシ由来のタンパク質
  3. 前記ストレスが乾燥ストレス、低温ストレス、高温ストレス、又は塩ストレスである請求項1又は2記載の遺伝子。
  4. 以下の(c)又は(d)の組換えタンパク質。
    (c)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
    (d)配列番号2で表されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつストレス応答性エレメント下流の遺伝子の転写を制御するトウモロコシ由来のタンパク質
  5. 前記ストレスが乾燥ストレス、低温ストレス、高温ストレス、又は塩ストレスである請求項4記載のタンパク質。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の遺伝子を含有する、組換えベクター。
  7. 請求項6記載の組換えベクターで形質転換された宿主細胞。
  8. 請求項6記載の組換えベクターで形質転換されたトランスジェニック植物。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項記載の遺伝子を植物に導入することにより、該植物のストレス耐性を向上させる方法。
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