JP2003222909A - 硬化樹脂層を有する積層物品の製造方法 - Google Patents

硬化樹脂層を有する積層物品の製造方法

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JP2003222909A
JP2003222909A JP2002080793A JP2002080793A JP2003222909A JP 2003222909 A JP2003222909 A JP 2003222909A JP 2002080793 A JP2002080793 A JP 2002080793A JP 2002080793 A JP2002080793 A JP 2002080793A JP 2003222909 A JP2003222909 A JP 2003222909A
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curable resin
resin
cured
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Takuma Aizawa
琢磨 相澤
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3M Innovative Properties Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部応力によるヒケの発生を抑制する積層物
品の製造方法を提供する。 【解決手段】 2枚の基板1、4の間に硬化樹脂層が配
置された積層物品の製造方法において、1枚の基板1を
水平に設置した後、この基板1上に未硬化の硬化性樹脂
3とこの硬化性樹脂3の周囲を囲むように、この硬化性
樹脂3とは不相溶性の、他の硬化性樹脂からなる封止材
2とを配置し、他の一方の基板4を前記封止材2と接触
するよう樹脂上に載せ、2枚の基板1、4と封止材2と
で囲まれた空間から空気を排除し、封止材2に囲まれた
硬化性樹脂3を硬化させ、最後に封止材2を硬化させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、合せガラス、エレ
クトロクロミック素子のような、2枚の基板の間に硬化
樹脂層が配置された積層物品の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】2枚の基板の間に硬化樹脂層を有する積
層物品としては、例えば安全ガラス等として用いられて
いる合せガラスが知られている。この合せガラスは、例
えば、複数のガラス板をスペーサーを用いて互いに隔離
して重ね、その周囲を封止材により封止し、熱もしくは
光硬化性モノマー等の未硬化の状態の液体をガラス板の
間の隙間に注入し、モノマーを重合させて硬化させ、ガ
ラス板同士を結合することによって製造されている。ま
た、調光ガラスといわれているエレクトロクロミック素
子は2枚のガラス基板の間に電極基板、発色層及びイオ
ン伝導性樹脂層を配置した構成を有し、合せガラスと同
様に、2枚のガラス基板を重ね、周囲を封止材で封止
し、硬化性モノマーを注入した後、このモノマーを硬化
させることによってイオン伝導性樹脂層を形成し製造さ
れている。 【0003】このような積層物品の製造方法では、2枚
の基板と封止材で囲まれた密閉空間内でモノマーが重合
されているため、重合収縮によって生じる内部応力が緩
和されることなく、硬化後の固体のポリマーに残ること
になる。この内部応力は、しばしば「ヒケ」と呼ばれる
線状の欠陥として現れ、積層物品の外観を損ね、商品価
値を低下させるという悪影響を及ぼす。 【0004】このような「ヒケ」の発生を抑制するた
め、特開昭63−11552号では、2枚のガラス板を
封止材を介して貼りあわせ、ガラス板の間の隙間に光硬
化性樹脂を注入してこれを光硬化させることによる積層
物品の製法において、前記隙間内の光硬化性樹脂充填部
を複数の区域に区分し、各区分ごとに順次光硬化性樹脂
を硬化させることを提案している。しかしながら、この
方法では、樹脂の注入という時間のかかる手順が必要で
あり、また光硬化を複数区分に分けて行うため、工程が
煩雑かつ長時間なものになる。 【0005】また、特開平10−58465号では、保
持手段により一定の間隔で保持された2枚の面板の間の
隙間に光硬化性樹脂を注入してこれを光硬化させること
による樹脂シートの製法において、まず光硬化性樹脂が
ゲル化して自己保形性を有するに至る程度まで光硬化を
行い、次いで保持手段を取り除き、さらに光硬化を行い
完全に硬化させるという、2段階で光硬化を行うことを
提案している。しかしながら、この方法では、2段階で
照射する光量を正確に制御する必要があり、また樹脂の
種類ごとに最適な光量を実験により求める必要がある。
さらに、ゲル化に至る程度までは樹脂を密閉空間内で重
合させているため、樹脂シートを面板から取り外さない
と、シートには内部応力が残ることになる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解消し、樹脂を注入するという時間のかかるプロセスを
回避し、樹脂の硬化時に生じる収縮の影響を緩和する積
層物品の製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記問
題点を解決するために、2枚の基板の間に硬化樹脂層が
配置された積層物品の製造方法において、1枚の基板を
水平に設置した後、この基板上に未硬化の硬化性樹脂と
この硬化性樹脂の周囲を囲むように、この硬化性樹脂と
は不相溶性の、他の硬化性樹脂からなる封止材とを配置
し、他の一方の基板を前記封止材と接触するよう樹脂上
に載せ、2枚の基板と封止材とで囲まれた空間から空気
を排除し、封止材に囲まれた硬化性樹脂を硬化させ、最
後に封止材を硬化させている。 【0008】本発明の方法では、硬化させる樹脂の周囲
を封止する封止材を液体として配置し、まず内部の樹脂
を硬化させ、この硬化が完了した後に封止材を硬化させ
ている。内部の樹脂の硬化時点では封止材はまだ液体で
あり、樹脂の硬化に伴う収縮にあわせてこの封止材が移
動することができるため、収縮に起因する樹脂の内部応
力を大幅に緩和することができる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明を説
明する。図1は、本発明の方法の工程を上面から示す。
まず、図1(a)に示すように、1枚の基板1を水平に設
置する。この基板1は特に限定されず、形成される積層
物品の用途に応じて選択され、例えば合せガラスやエレ
クトロクロミック素子として用いる場合には、この基板
1は透明なガラス板であることが好ましい。 【0010】次に図1(b)に示すように、基板1の外周
を一周するように液体の封止材2を載せる。次の工程に
おいてこの封止材2で囲まれた部分に液体の硬化性樹脂
3が満たされるため、この封止材2はこの硬化性樹脂3
が溢れないように、ある程度の高さを持つ土手を形成す
るように配置する。 【0011】次いで、図1(c)に示すように、この封止
材2に囲まれた部位に未硬化の、液体の硬化性樹脂3を
必要量滴下する。この量は、所望の硬化樹脂の面積、硬
化後の樹脂の厚さ、硬化時の樹脂の収縮率等を考慮して
決定する。この硬化性樹脂3も液体であり、基板上1に
濡れ広がっても、周囲に配置された封止材2の土手でと
まり、基板1上から流れ落ちることはない。 【0012】ここで、封止材2を先に配置し、その後硬
化性樹脂3を滴下したが、先に硬化性樹脂3を滴下し、
その後、この硬化性樹脂3の周囲に封止材2を配置して
もよい。 【0013】次に、図1(d)に示すように、基板4を前
記封止材2と接触するよう樹脂上に水平に、硬化性樹脂
3及び封止材2の液体層がつぶれて基板4の外にあふれ
ないように静かに載せ、基板4と封止材2と密着させ
る。この際、封止材2の土手の高さが、この封止材2に
囲まれた硬化性樹脂3の液面よりも高いため、基板4は
封止材2と先に接触する。この封止材2は液体であるた
め、速やかにこの基板4に濡れて密着する。この封止材
2と基板4の接触は液体と固体の接触であるため、固体
同士の接触の場合よりも密着性が高い。 【0014】こうして基板4と封止材2が密着した後、
硬化性樹脂3が基板4と接触する。硬化性樹脂3は液体
であるため、図1(e)に示すように、硬化性樹脂3は濡
れ広がるが、ここでも硬化性樹脂と基板の接触は液体と
固体の接触であるため、固体同士の接触の場合よりも密
着性が高い。密閉空間には、図1(e)に示すように空気
5が残るが、任意の手段、例えば注射針等により封止材
にごく小さな穴を開けることにより、この空気5を排除
する。 【0015】こうして両基板1、4の間を、封止材2で
囲まれた硬化性樹脂3で満たした後、液体の封止材2で
液体の硬化性樹脂3を封止した構成を維持しつつ、任意
の手段によってまず硬化性樹脂3を硬化させる。硬化性
樹脂3が光硬化性樹脂であれば光を照射し、熱硬化性樹
脂であれば加熱することによって硬化させる。この際、
内部応力の原因となる硬化収縮が発生するが、硬化する
樹脂3を取り囲む封止材2はまだ液体であるため、封止
材2及び基板4も容易に動くことができる。そのため、
硬化性樹脂3が密閉されている空間の容積は、硬化する
樹脂3の収縮に合せて変化することができ、硬化後の樹
脂に残る内部応力は大幅に緩和されることになる。 【0016】硬化性樹脂3を硬化させた後、最後に封止
材2を硬化させ、本発明の積層物品を完成させる。この
硬化は、封止材2の種類によって任意の手段によって行
われる。すなわち、硬化性樹脂3を硬化させる場合と同
様に、封止材2が光硬化性樹脂であれば光を照射し、熱
硬化性樹脂であれば加熱することによって硬化させる。 【0017】上記のように、本発明の方法は、硬化性樹
脂と封止材とを液体状態で基板に適用し、まず硬化性樹
脂を硬化させた後、封止材を硬化させることを特徴とす
る。従って、硬化性樹脂と封止材とは互いに相溶性が実
質上ないことが必要である。また、一方が光硬化性であ
り、他方が熱硬化性であるように、硬化方法が互いに異
なることが好ましい。硬化方法が同じであっても、硬化
条件が異なり、例えば、硬化性樹脂が低温で硬化するよ
うな熱硬化性を有し、封止材がより高温で硬化するよう
な熱硬化性を有するものであれば、先に内側の硬化性樹
脂を硬化させ、次いで温度を高めることにより封止材を
硬化させることができる。また、共に光硬化性樹脂であ
っても、硬化する光線の波長が異なれば、先に硬化性樹
脂を硬化させる波長の光を照射し、次いで封止材を硬化
させる波長の光を照射することによって可能となる。さ
らに、封止材は硬化性樹脂を閉じ込めるために、ある程
度の粘度を有することが好ましい。しかしながら、あま
りに粘度が高いと、硬化性樹脂の硬化の際に移動するこ
とが難しくなるため十分に内部応力を緩和することがで
きない。すなわち、封止材の粘度は、液体の硬化性樹脂
が濡れ広って基板上からあふれ出ることを防ぐに十分な
粘度を有し、かつ硬化の際の収縮に伴って移動すること
ができる程度であることが好ましい。 【0018】このような硬化性樹脂と封止材の組み合わ
せとしては、例えばポリアルキレンオキサイドアクリレ
ートやウレタン等とシリコーン樹脂やエポキシ等との組
み合せがあげられる。形成される積層物品の用途に応じ
て、硬化性樹脂及び封止材ともに柔軟に選択が可能であ
る。 【0019】図2には、上述した積層物品の一つである
エレクトロクロミック素子の断面模式図が示されてい
る。本発明は、かかるエレクトロクロミック素子の製造
に有効で、また、そのエレクトロクロミック素子を調光
ガラスのような調光部材に適用することができる。 【0020】図示のエレクトロクロミック素子は、対向
した一対の基板6、12を有する。エレクトロクロミック
素子が調光ガラスとして使用される場合は、基板6、12
はいずれも、例えばガラス板のように透明である必要が
ある。 【0021】ガラス板6、12の内面には透明電極層7、
13並びに発色層8、11がそれぞれ積層している。通常、
透明電極層7、13は酸化インジウムと酸化錫からなるI
TO又は酸化錫にフッ素をドープしたFTOを含有して
いる。発色層8、11はエレクトクロミズムを示す物質か
らなる。このような発色層8、11には、例えば、酸化還
元反応によって着色する化合物が含まれている。 【0022】詳細に述べると、透明ガラス板6の発色層
8は例えば酸化タングステンを有して、還元により電子
を注入され着色する還元発色性を示し、他方、透明ガラ
ス板12の発色層11は酸化バナジウムを有して、酸化によ
り電子を失い着色する酸化発色性を示す。この酸化タン
グステンの発色層8は米国特許第5,772,978号及び5,91
1,965号に記載の方法に従い、酸化タングステン前駆体
溶液から形成することができ、また酸化バナジウムの発
色層11は米国特許第6,177,130号に記載の方法に従い、
酸化バナジウム前駆体溶液から形成することができる。
いずれの溶液も、基板に塗布して焼成することにより、
簡易にそれぞれの酸化物の薄膜層を形成することができ
る。この塗布方法は、ディップコーティング、スピンコ
ーティング、スプレーコーティング等の一般的な方法を
選択することができる。特に、酸化バナジウムの発色層
11については、焼成後の時点ですでに一部リチウムイ
オンが取り込まれている還元状態になっているため、素
子構成前の電解処理、すなわちリチウムによる還元処理
が不要であり、そのまま酸化タングステン層、固体電解
質と組み合わせて素子を作成することができる。 【0023】発色層8、11の間には、上述したような硬
化性樹脂の固体電解質からなるカチオン(陽イオン)伝
導層10が好適には1μm〜1mmの厚さで配置される。カ
チオン(陽イオン)伝導層10と発色層8、11は封止材9
によって囲まれる。その結果、固体電解質あるいはそれ
に含まれる後述の可塑剤の外部へのはみ出しもしくは滲
出を防止することができ、また、固体電解質への外部の
水やガスの侵入を抑制することができる。さらに、本発
明によれば、この固体電解質層10及び封止材9は、発色
層8、11やガラス基板6、12と液体として接触してから
硬化するため、よく密着して一体になり易くなる。ま
た、硬化樹脂は原料モノマーの重合収縮によるヒケ等の
欠陥を生じさせない。したがって、本発明によって製造
されたエレクトロクロミック素子は、そのような欠陥を
伴うことのない表示が可能となる。 【0024】固体電解質は本発明の目的と効果を逸脱し
ない限り特に限定されないけれども、典型的には、ポリ
エチレンオキサイド又はポリプロピレンオキサイド等の
硬化樹脂と、この硬化樹脂中に溶解するリチウム塩とを
備えるカチオン伝導性のポリマー電解質である。リチウ
ム塩の一例にはLiC23SO3、LiC49SO3、L
iN(CF3SO2)2又はLiN(C25SO2)2がある。
また、特に、リチウム塩はLiN(CF3SO2)2及び/
又はLiN(C25SO2)2を含んでいることが好まし
い。上述した硬化樹脂の原料モノマーと相溶が非常に容
易であるからである。その結果、かかるリチウム塩が原
料モノマーに高濃度で溶解して混合物になっても、その
混合物は比較的高い粘度を持つことなく、作業性に優れ
て素子への組み込みを容易にする。さらに、これらリチ
ウム塩を備えた固体電解質はイオン伝導性に特に優れ、
素子の透過率を迅速に変えることができる。 【0025】また、この固体電解質に可塑剤として、非
水系液体であり誘電率が高いプロピレンカーボネートを
添加することが好ましい。上記のように、素子組み込み
の際に固体電解質のカチオン伝導層を紫外線照射によっ
て硬化させるが、この際、プロピレンカーボネートは硬
化しないため、固体電解質はゲル状となり、素子の透過
率変化速度の向上に寄与し、また硬化に伴う収縮による
「ヒケ」の発生も防ぐことができる。このプロピレンカ
ーボネートの添加量は、固体電解質全量に対して50wt%
以下とすることが好ましい。50wt%より多く添加する
と、流動性が高くなり、素子組み込み時に漏れたり、染
み出したりするおそれがあるからである。 【0026】本発明は、また、エレクトロクロミック素
子を調光ガラスに限定しない。エレクトロクロミック素
子は他の調光部材(例えば調光鏡)や表示素子にも使用
可能である。ただし、エレクトロクロミック素子が調光
鏡として使用される場合は、基板6、12の一方が透明に
なり、他方は光反射性を持っている必要がある。 【0027】 【実施例】実施例1 10cm×10cm×3mmのソーダライムのガラス板を2枚用意
した。硬化性樹脂としては、ポリエチレンオキサイドア
クリレート(AM-90G、新中村化学)に、光開始剤として
IRUGACURE 651(Ciba)を0.16wt%加えたものを用い、封
止材としては、室温硬化型シリコーン接着剤(Silicone
SH9555、東レ・ダウコーニングシリコーン)を用い
た。この封止材は2液型であり、2液を混合後、速やか
に使用した。 【0028】まず、1枚のガラス板を水平な台の上に置
いた。このガラス板の外周に沿って封止材を載せ、切れ
目のない土手を形成した。次いで、ガラス板の中央に硬
化性樹脂を約4ml滴下した。この硬化性樹脂は粘度が低
く、またガラス表面との濡れ性もよいため濡れ広がりや
すく、外周にある封止材のところまで広がった。 【0029】硬化性樹脂が封止材の土手の上を越えてい
ないことを確認し、もう1枚のガラス板を上から静かに
水平に覆いかぶせた。この上部ガラス板は最初に封止材
と密着した。すべての外周が密着したことを確認した
後、注射針を挿入して内部の空気を除去した。上部ガラ
ス板は空気が除去されるに従い、封止材に囲まれた内側
の全面が内部の硬化性樹脂と密着していった。空気を完
全に除去した後、注射針を引き抜き、その孔を塞いだ。 【0030】このようにして、2枚のガラス板間に液体
である硬化性樹脂を液体である封止材で封止した構造を
得た。この構造を保持したまま、紫外線を10分間照射
し、内部の硬化性樹脂を硬化させた。最後に、外周の封
止材の硬化を完了させ、本発明の積層物品を得た。この
積層物品は、長時間の放置、紫外線の照射、高温での放
置のいずれの外部刺激に対しても外観の変化はなかっ
た。 【0031】比較例1 封止材として、固体テープ状のエポキシ接着剤(スーパ
ーエポキシテープ1520、住友スリーエム製)を使用
した。このシートを細いひも状に裁断し、ガラス板の外
周に載せた。後の硬化性樹脂の注入口とするため、外周
のごく一部のみイソブチレンゴムを載せ、そこに注射針
を載せた。次いで、上からもう1枚のガラス板を載せ、
下のシートと密着させ、クリップで挟んで、150℃、30
分の条件で封止材を硬化させた。硬化後はクリップを外
しても2枚のガラス板は強固に接着していた。このガラ
ス板の間に、注射針から実施例1で使用した硬化性樹脂
を注入し、気泡をすべて除去した後、注射針を引き抜
き、その跡をゴムで埋めて密封した。こうして作製した
サンプルを紫外線照射して内部の硬化性樹脂を硬化させ
たところ、照射直後に樹脂の収縮が起き、硬化樹脂層に
虫食いのようにヒケが発生し、外観が大きく損なわれ
た。 【0032】比較例2 封止材として、イソブチレンゴムを使用した。ひも状に
したゴムをガラス板の外周に載せ、硬化性樹脂注入用の
注射針を載せ、上からもう1枚のガラス板を載せ、クリ
ップで挟んた。この状態で注射針から実施例1で使用し
た硬化性樹脂を注入し、気泡をすべて除去した後、注射
針を引き抜き、その跡をゴムで埋めて密封した。こうし
て作製したサンプルを紫外線照射して内部の硬化性樹脂
を硬化させた。こうして得た積層物品は、紫外線照射後
は外観に変化はなかったが、90℃のオーブン中で3時間
保持したところ、比較例1と同様に、硬化樹脂層に虫食
いのようにヒケが発生し、外観が大きく損なわれた。こ
れは、加熱により、収縮によって生じていた内部応力が
表面化したためであると考えられる。 【0033】比較例3 封止材として、実施例1で用いた同じシリコーン接着剤
を使用した。実施例1と同様にして作業を行ったが、硬
化の順序のみを変えた。すなわち、2枚のガラス板間に
液体である硬化性樹脂を液体である封止材で封止した構
造を得た後、この構造を室温に放置し、先に封止剤を硬
化させ、次いで紫外線を10分間照射し、内部の硬化性樹
脂を硬化させた。この積層物品は、比較例2と同様に、
90℃のオーブンで3時間保持すると硬化樹脂層に虫食い
のようにヒケが発生し、外観が大きく損なわれた。 【0034】実施例2 本例では、一方のガラス板にはFTOの透明電極層(15
Ω/□)と酸化タングステンの発色層(100nm〜1000nm)
を積層し、残りのガラス板にはFTOの透明電極層(15
Ω/□)と酸化バナジウムの発色層(100nm〜1000nm)を
積層し、且つ、硬化性樹脂として、メトキシポリエチレ
ングリコールアクリレート(新中村化学製、NKエステ
ルAM−90G)20gに対してプロピレンカーボネート
2g、光重合開始剤(Ciba製、Irugacure651)0.16wt%、
リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(Li
N(CF3SO2)2、3M製、フロラードTM HQ-115)11.0g
(0.038mol)を加え、24時間振盪して混合後、窒素で5分
間バブリングして溶存酸素を追い出し、さらに真空ポン
プで脱ガス処理を行って得たものを用いた以外は、上記
実施例1と同様の方法で、積層物品たるエレクトロクロ
ミック素子を製造した。 【0035】酸化タングステン発色層は、以下のように
して形成した。10cm×10cm×3mmのフッ素添加酸化錫薄
膜透明電極層付ガラス基板(FTO基板、面抵抗15Ω/
□)を用意して洗浄、乾燥後、周囲を約5mm〜15mmの幅
でメンディングテープ(住友スリーエム製スコッチメン
ディングテープ810)にてマスキングを施し、後工程で
封止部分及び電極となる部分を確保した。次いで、米国
特許第5,911,965 号に記載の方法に従って、メタタング
ステン酸アンモニウム(Aldrich製)20gを100gの純水に
溶解させ、この水溶液をイオン交換樹脂AMBERLITE IR 1
20(Aldrich製)約90cm3に通し、イオン交換を行った。
その後、30%過酸化水素10gを加え、30分攪拌し、ロー
タリーエバポレータにて水を蒸発させた。この残留粉末
にエタノール90mlを加えてこの粉末を溶解させ、得られ
たエタノール溶液に5mlの純水を更に加え、約90分間還
流を行った。こうして得られた酸化タングステンの前駆
体溶液をスピンコーティング法(回転速度500rpm)によ
って上記FTO基板の電極面側に塗布し、溶液の乾燥
後、焼成炉にて300℃で5分間焼成を行い、酸化タング
ステン発色層を得た。 【0036】酸化バナジウム発色層は、以下のようにし
て形成した。米国特許第6,177,130号に記載の方法に従
い、水酸化リチウム一水和物0.86gを54.80gのエタノー
ルに加え、約60℃にて加熱しながらよく攪拌した。さら
に3.75gの五酸化バナジウムを加え、攪拌しながら約4
時間還流した。還流後放置し、暗緑色の沈殿物を除去し
た。こうして得られた酸化バナジウムの前駆体溶液をス
ピンコーティング法(回転速度900rpm)によって上記F
TO基板の電極面側に塗布し、溶液の乾燥後、焼成炉に
て180℃で30分間焼成を行い、酸化バナジウム発色層を
得た。 【0037】実施例3 硬化性樹脂の作成において、リチウムビストリフルオロ
メタンスルホンイミドに代えてリチウムビスペンタフル
オロエタンスルホンイミド(LiN(C25SO2)2、3
M製、フロラードTM L-13858)を同じモル量(14.8g)用
いたことを除き、実施例2と同様にしてエレクトロクロ
ミック素子を得た。 【0038】実施例4 硬化性樹脂の作成において、リチウムビストリフルオロ
メタンスルホンイミドに代えてトリフルオロメタンスル
ホン酸リチウム(LiCF3SO3)を同じモル量(6.0g)
用いたことを除き、実施例2と同様にしてエレクトロク
ロミック素子を得た。 【0039】実施例5 硬化性樹脂の作成において、リチウムビストリフルオロ
メタンスルホンイミドに代えてLiC49SO3を同じ
モル量(11.6g)用いたことを除き、実施例2と同様にし
てエレクトロクロミック素子を得た。 【0040】実施例2〜5にて製造したエレクトロクロ
ミック素子について、いずれも「ヒケ」等の外観上の欠
陥は発生していなかった。これらの素子の特性を以下の
とおりにして評価し、結果を表1に示す。 【0041】基本動作条件 このエレクトロクロミック素子の酸化タングステン側電
極に負電圧を印加すると着色が観察された。この印加電
圧は、着色時には−3V、消色時には+3Vとした。 【0042】透過率変化時間の測定 着色時の透過率の変化は、電圧を印加したときに素子に
溜まるチャージ量と相関がある。素子に溜まりうるチャ
ージ量の大きさは、酸化タングステン及び酸化バナジウ
ムの膜の性質による影響が大きいため、サンプル間にば
らつきが生じることがある。そこで、このばらつきの影
響を除くため、本発明においてはその素子の最大チャー
ジ量に対して、95%のチャージが溜まるまでの時間を透
過率変化時間と定義し、各サンプルの比較に用いた。 【0043】透過率の測定法 自動分光光度計(HITACHI U-400 Spectrophotometer)に
より可視光波長領域で透過率を測定した。測定後、「板
ガラスの透過率・反射率・日射熱取得率試験」(JIS R
3106)に従い、可視光透過率を算出し、その値を各サン
プルの評価値として採用した。各サンプルとも、着色時
と消色時の2通り測定を行った。 【0044】メモリー性試験 最初に、着色状態にして透過率を測定した後、着色状態
のまま室温で1日放置し、その後透過率を再び測定し、
透過率が低いまま維持されているか観察した。 【0045】 【表1】 上記表1の結果から明らかなように、いずれのエレクト
ロクロミック素子も、メモリー性能や透過率の変化量な
どは遜色なく、また着色変化は実施例2及び3において
特に優れていた。さらに、90℃のオーブンで3時間以上
保持する耐久試験後も、いずれのエレクトロクロミック
素子も耐久試験前と同様に着消色を繰り返すことができ
たことが分かった。 【0046】 【発明の効果】本発明によれば、内部応力を緩和し、ヒ
ケによる欠陥を生ずることのない積層物品を簡易に製造
することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の方法の工程を示す工程図である。 【図2】本発明の方法により製造されるエレクトロクロ
ミック素子の断面模式図である。 【符号の説明】 1、4、6、12…基板 2、9…封止材 3…硬化性樹脂 5…気泡 7、13…透明電極層 8、11…発色層 10…固体電解質層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K001 CA45 CA50 DA21 4G061 AA00 AA31 BA01 BA02 BA03 CB06 CB07 CB12 CB16 CD02 CD16 CD18 CD24 DA30 DA36 DA44

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 2枚の基板の間に硬化樹脂層が配置され
    た積層物品の製造方法であって、1枚の基板を水平に設
    置した後、この基板上に未硬化の硬化性樹脂とこの硬化
    性樹脂の周囲を囲むように、この硬化性樹脂とは不相溶
    性の、他の硬化性樹脂からなる封止材とを配置し、他の
    一方の基板を前記封止材と接触するよう樹脂上に載せ、
    2枚の基板と封止材とで囲まれた空間から空気を排除
    し、封止材に囲まれた硬化性樹脂を硬化させ、最後に封
    止材を硬化させることを含む方法。
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