JP2003222722A - 偏光変換素子及び投射型液晶表示装置 - Google Patents

偏光変換素子及び投射型液晶表示装置

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JP2003222722A
JP2003222722A JP2002021308A JP2002021308A JP2003222722A JP 2003222722 A JP2003222722 A JP 2003222722A JP 2002021308 A JP2002021308 A JP 2002021308A JP 2002021308 A JP2002021308 A JP 2002021308A JP 2003222722 A JP2003222722 A JP 2003222722A
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JP2002021308A
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Shigetoshi Hayashi
成年 林
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示品位の低下が少ない投射型液晶表示装置
を与える偏光変換素子を提供し、さらにそれを用いて、
表示品位の安定した投射型液晶表示装置とする。 【解決手段】 140℃以上のガラス転移温度及び50
×10-13cm2/dyne以下の光弾性係数を有する樹脂フィ
ルムからなる位相差板52と、偏光フィルム53とが、
感圧接着剤54を介して積層されている偏光変換素子5
0が提供される。この偏光変換素子50は通常、その位
相差板52側を透明基板51に積層した状態で用いら
れ、この場合、偏光フィルム53の位相差板52に面す
る側と反対側には、保護フィルム55が積層される。こ
の偏光変換素子50を光路中に配置した投射型液晶表示
装置も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、投射型液晶表示装
置に好適に用いられる偏光変換素子に関するものであ
る。また本発明は、この偏光変換素子を用いた投射型液
晶表示装置にも関係している。
【0002】
【従来の技術】投射型液晶表示装置は、液晶プロジェク
タとも呼ばれ、パーソナルコンピュータやテレビなどの
画面を拡大してスクリーンに写し出すことができる装置
として広く使用されている。そして、かかる投射型液晶
表示装置には、透明基板に位相差板や直線偏光板が積層
されている偏光変換素子などの光学素子が多く用いられ
ている。
【0003】投射型液晶表示装置には、単板式でカラー
フィルターからの分光光を直接拡大する形式のもの、三
原色に分光した後それぞれの光に対応する透過型液晶セ
ルを通過させる形式のもの、三原色に分光した後それぞ
れの光に対応する反射型液晶セルで反射させる形式のも
のなどがある。ここでは、現在主流を占めている三原色
対応の透過型液晶セルを用いる投射型液晶表示装置につ
いて、図1を参照しながらその構成の概略を説明する。
【0004】このような投射型液晶表示装置は通常、光
源系10、反射・分光系20及び拡大投射系40を有し
ている。光源系10は、白色光源11、UV・IRカッ
トフィルター12及び集光レンズ13を有しており、こ
の例では、白色光源11からの白色光Lを集光レンズ1
3で集光し、さらにUV・IRカットフィルター12で
紫外線及び赤外線をカットして、反射・分光系20へ送
るようになっている。白色光源11には通常、メタルハ
ライドランプや高圧水銀ランプなどの高輝度ランプが用
いられる。
【0005】反射・分光系20は、4種のダイクロイッ
クミラー21,22,23,24、二つの全反射ミラー
25,26、それぞれ赤色光R、緑色光G及び青色光B
に対応する液晶セル27R、27G及び27B、入射側
偏光変換素子28R、28G及び28B、出射側偏光変
換素子29R、29G及び29B、並びに集光レンズ3
0R、30G及び30Bを有している。
【0006】そして、第一のダイクロイックミラー21
は、光源系10からの白色光Lを受けて、緑色光G及び
青色光Bのみを透過するものであり、ここを透過した緑
色光G及び青色光Bは、第二のダイクロイックミラー2
2へと送られる。第一のダイクロイックミラー21で反
射した赤色光Rは、第一の全反射ミラー25へと送ら
れ、ここで反射した後、赤用の集光レンズ30R、入射
側偏光変換素子28R、液晶セル27R及び出射側偏光
変換素子29Rを通って、第三のダイクロイックミラー
23へと送られる。
【0007】第二のダイクロイックミラー22は、緑色
光Gのみを透過するものであり、第一のダイクロイック
ミラー21を透過した緑色光Gと青色光Bのうち、第二
のダイクロイックミラー22を透過した緑色光Gは、緑
用の集光レンズ30G、入射側偏光変換素子28G、液
晶セル27G及び出射側偏光変換素子29Gを通過し
て、第二の全反射ミラー26へと送られる。また、第二
のダイクロイックミラー22で反射した青色光Bは、青
用の集光レンズ30B、入射側偏光変換素子28B、液
晶セル27B及び出射側偏光変換素子29Bを通って、
第三のダイクロイックミラー23へと送られる。
【0008】第三のダイクロイックミラー23は、赤色
光Rのみを透過するものであり、第一の全反射ミラー2
5から反射してきた赤色光Rは、第三のダイクロイック
ミラー23をそのまま透過し、また第二のダイクロイッ
クミラー22から反射してきた青色光Bは、第三のダイ
クロイックミラー23で反射し、それぞれ第四のダイク
ロイックミラー24へと送られる。第四のダイクロイッ
クミラー24は、赤色光R及び青色光Bのみを透過する
ものであり、第三のダイクロイックミラー23からの赤
色光R及び青色光Bはここをそのまま透過し、第二の全
反射ミラー26からの緑色光Gはここで反射して、それ
ぞれ拡大投射系40へと送られる。
【0009】拡大投射系40は、投射レンズ41を有し
ており、ここでそれぞれの光に対応する画像が拡大され
て、スクリーン42へ拡大像を投影することになる。な
お、各色に対応する液晶セル27R,27G,27Bの
入射側偏光変換素子28R,28G,28B、及び出射
側偏光変換素子29R,29G,29Bは、液晶セル2
7R,27G,27Bに貼合して用いられることもある
が、通常は、液晶セル27R,27G,27Bと間隔を
置いて配置されており、この間隔は、冷却用の通風路と
なる。また、入射側偏光変換素子28R,28G,28
Bは、集光レンズ30R,30G,30Bとも間隔が保
たれている。このように、偏光変換素子28R,28
G,28B,29R,29G,29Bを液晶セル27
R,27G,27B及び集光レンズ30R,30G,3
0Bから離間して配置する場合は、直線偏光板をガラス
などの補強材に貼合した形で用いられる。
【0010】このような投射型液晶表示装置において
は、各液晶セル27R,27G,27Bは、それぞれ2
枚の偏光変換素子、すなわち入射側偏光変換素子28
R,28G,28B及び出射側偏光変換素子29R,2
9G,29Bの間に配置されている。これらの偏光変換
素子28,29には、上述のとおり、直線偏光板をガラ
スなどの補強材に貼合したものが用いられている。
【0011】ここで直線偏光板は、特定振動方向の偏光
光のみを透過し、それと直交する方向の偏光光を遮断す
るものであり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに
二色性色素を吸着配向した偏光フィルムがこれに該当す
るが、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムだけでは耐
久性に劣るため、その両面にトリアセチルセルロースの
ようなセルロース系樹脂からなるフィルムを保護のため
に貼合したものが用いられている。また、直線偏光板に
位相差板を積層し、これを偏光変換素子28,29とし
て用いることもあるが、この場合も、上記偏光フィルム
の両面にセルロース系樹脂からなる保護フィルムを貼合
して直線偏光板とし、そこに位相差板を積層したものが
用いられる。そして偏光変換素子28,29は、画像を
スクリーンに拡大して投射するのに必要な光量の光が透
過するため、発熱が大きい。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】投射型液晶表示装置に
おいては、小さい面積の液晶セルにより形成された画像
を拡大して投射するために、前述したメタルハライドラ
ンプや高圧水銀ランプの如き高輝度の光源が用いられて
いる。そのため、偏光変換素子の偏光板に入射する光量
も非常に強く、また、直線偏光板に吸収されて熱に変換
される光もかなり多いため、使用中の偏光変換素子は高
温となる。高温状態では、偏光板の熱収縮や位相差板の
熱収縮のため、投射画像に色ムラが発生しやすい。
【0013】かかる偏光変換素子の高温化を防ぐため、
通常、空冷ファンなどによって冷却される場合が多い。
しかし、空冷ファンの振動音の制約で充分な空冷ができ
ていないことがある。また最近の投射型液晶表示装置に
は、より小さく、より明るくすることが求められ、偏光
変換素子に入射する単位面積あたりの光量がますます高
くなっており、それに伴って、偏光変換素子の温度上昇
も増長され、投射される画像の色ムラ発生等、表示品位
の低下が顕著になってきた。
【0014】そこで本発明者は、表示品位の低下が少な
い投射型液晶表示装置を与え得る偏光変換素子を開発す
べく鋭意研究を行った結果、偏光フィルムと特定の位相
差板とを、感圧接着剤を介して積層することで、表示品
位の低下が少ない投射型液晶表示装置を与えることを見
出し、本発明に至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、1
40℃以上のガラス転移温度及び50×10-13cm2/dy
ne以下の光弾性係数を有する樹脂フィルムからなる位相
差板と、偏光フィルムとが、感圧接着剤を介して積層さ
れている偏光変換素子を提供するものである。また本発
明によれば、この偏光変換素子が光路中に配置されてい
る投射型液晶表示装置も提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明では、位相差板と偏光フィ
ルムとを、感圧接着剤を介して積層し、投射型液晶表示
装置に好適な偏光変換素子とする。ここで用いる位相差
板は、ガラス転移温度が140℃以上で、光弾性係数が
50×10-13cm2/dyne以下の樹脂フィルムからなるも
のである。また偏光フィルムとは、特定振動方向の偏光
光のみを透過し、それと直交する方向の偏光光は遮断す
る樹脂製のフィルムであって、少なくとも位相差板に積
層される面には、いわゆる保護フィルムのない状態のも
のである。偏光フィルムとして具体的には、ポリビニル
アルコール系樹脂フィルムに二色性色素、すなわち二色
性染料又はヨウ素が吸着配向されたものが挙げられる。
かかる位相差板と偏光フィルムとが、感圧接着剤を介し
て積層される。なお本明細書では、ポリビニルアルコー
ル系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向された状態の
ものを“偏光フィルム”と呼び、その片面又は両面に保
護フィルムが貼合された状態のものを“偏光板”ないし
は“直線偏光板”と呼んで、両者を区別することとす
る。
【0017】位相差板と偏光フィルムとが感圧接着剤を
介して積層された偏光変換素子は、通常、透明基板に積
層して用いられる。本発明に係る偏光変換素子の具体例
を図2に断面模式図で示す。この例では、透明基板51
の一方の面に、位相差板52が配置され、さらにその透
明基板51と反対側の面に、偏光フィルム53が感圧接
着剤54を介して積層され、偏光変換素子50が構成さ
れている。
【0018】透明基板51は、例えば、光学的に等方性
のガラス平板であってもよいし、ガラス平板の一方の面
又は両面にダイクロイックコート層を有し、特定波長範
囲の光のみを透過し、他の波長範囲の光は透過しないト
リミングフィルターなどであってもよい。透明基板51
の材質は、例えば、珪酸ガラスやホウ珪酸ガラスのほ
か、熱伝導率の高いサファイアガラスや水晶ガラスのよ
うな無機ガラスであってもよいし、アクリル系樹脂やポ
リカーボネート系樹脂のような有機の透明樹脂であって
もよい。透明基板51の厚みは、通常0.3〜2mm 程度
である。また、透明基板51の面積は、目的とする投射
型液晶表示装置のサイズによって適宜選択される。
【0019】本発明では、位相差板52として、ガラス
転移温度が140℃以上で、光弾性係数が50×10
-13cm2/dyne以下の樹脂フィルムからなるものが用いら
れる。位相差板52を構成する樹脂のガラス転移温度
は、好ましくは150℃以上であり、また光弾性係数
は、好ましくは10×10-13cm2/dyne以下である。こ
のようにガラス転移温度が高く、しかも光弾性係数の小
さい樹脂フィルムからなる位相差板を用いることによ
り、位相差板の熱変形を防止し、また歪による位相差変
動の発生を防止することができる。位相差板52を構成
する樹脂のガラス転移温度が低くなると、熱変形が顕著
になる。また、その光弾性係数が大きくなると、熱によ
り生じた歪に基づいて新たな位相差が発生し、偏光が乱
れるため、画像に色ムラが発生しやすくなる。位相差板
52のガラス転移温度の上限に特別な制限はなく、例え
ば、ガラス転移温度が300℃程度の樹脂であってもよ
い。また、光弾性係数の下限にも特別な制限はなく、例
えば、光弾性係数が0.1×10-13cm2/dyne 程度の樹
脂であってもよい。
【0020】なお、光弾性とは、等方性、すなわち複屈
折が0である物質に外力を加えて内部に応力を起こさせ
ると、光学的異方性を呈し、複屈折を示すようになる現
象をいう。物質に作用する応力(単位面積あたりに作用
する力)をσとし、複屈折をΔnとした場合に、応力σ
と複屈折Δnは理論的には比例関係にあって、Δn=C
σと表すことができ、このCが光弾性係数である。換言
すれば、物質に作用する応力σを横軸にとり、その応力
が作用したときの複屈折Δnを縦軸にとると、理論的に
は両者の関係は直線となり、この直線の勾配が光弾性係
数である。
【0021】本発明で規定する高いガラス転移温度及び
小さい光弾性係数を有する樹脂として、具体的には、変
性ポリカーボネート樹脂フィルム、ノルボルネンのよう
な環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン
系樹脂フィルムなどが挙げられる。変性ポリカーボネー
ト樹脂フィルムとしては、例えば、帝人(株)製の“ピュ
アエースWR”(商品名;ガラス転移温度約223℃、
光弾性係数約45×10-13cm2/dyne)などがあり、ま
た環状ポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、例え
ば、ジェイエスアール(株)製の“アートン”(商品名;
ガラス転移温度約170℃、光弾性係数約4×10-13c
m2/dyne)、積水化学工業(株)製の“エスシーナ”(商
品名;ガラス転移温度約140℃、光弾性係数約6×1
-13cm2/dyne)などがある。これらのフィルムを例え
ば、一軸方向に延伸することによって、位相差板とする
ことができる。位相差板52には、富士写真フィルム
(株)製の“ワイドビュー”フィルム(商品名)や、日本
石油化学(株)製の“日石LCフィルム”(商品名)のよ
うな、基材樹脂フィルムに液晶性物質が塗布配向されて
いる位相差フィルムを、さらに積層してもよい。位相差
板52の厚みは、通常20μm〜1mm 程度であり、好ま
しくは20〜150μm 程度である。
【0022】位相差板52は通常、それを積層した偏光
変換素子50が配置される光路の光に対して1/2波長
のレターデーションを示すものであるのが有利である。
具体的には、赤色の光路に用いる偏光変換素子の位相差
板については、レターデーションが290〜320nm、
とりわけ300〜310nmであり、赤色の光に対して1
/2波長板として機能するものが好ましい。緑色の光路
に用いる偏光変換素子の位相差板については、レターデ
ーションが260〜290nm、とりわけ270〜280
nmであり、緑色の光に対して1/2波長板として機能す
るものが好ましい。また、青色の光路に用いる偏光変換
素子の位相差板については、レターデーションが210
〜240nm、とりわけ220〜230nmであり、青色の
光に対して1/2波長板として機能するものが好まし
い。
【0023】かかる位相差板52には、偏光フィルム5
3が、感圧接着剤54を介して積層される。偏光フィル
ム53それ自体は、従来からの投射型液晶表示装置に用
いられているものでよく、先に述べたとおり、ポリビニ
ルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素、すなわち二
色性染料又はヨウ素が吸着配向されたものであるが、投
射型液晶表示装置にはとりわけ、二色性染料を吸着配向
させたいわゆる染料系偏光フィルムが好ましく用いられ
る。染料系偏光フィルムに用いられる染料は、二色性を
示すものであれば特に限定されず、例えば、特開 2000-
329941号公報に記載のものが挙げられる。偏光フィルム
53は、感圧接着剤54を介して位相差板52と貼り合
わされる面に、いわゆる保護フィルムのない状態のもの
であり、ポリビニルアルコール系樹脂の面が、そのまま
感圧接着剤54を介して位相差板52に貼り合わされ
る。一方、偏光フィルム53の他方の面、すなわち感圧
接着剤54と接する面と反対側の表面には、透明な保護
フィルム55を積層するのが好ましい。偏光フィルム5
3の厚みは、通常6〜50μm 程度である。
【0024】偏光フィルム53の片面に積層される保護
フィルム55としては、例えば、ジアセチルセルロース
やトリアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂か
らなるフィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ア
クリル系樹脂フィルム、ノルボルネンのような環状オレ
フィンをモノマーとする環状ポリオレフィン系樹脂フィ
ルム、ポリエステル系樹脂フィルムなどが用いられる。
保護フィルム55の厚みは、通常20〜200μm 程度
である。偏光フィルム53と保護フィルム55は、例え
ば、ポリビニルアルコール系接着剤層を介して貼合され
る。
【0025】位相差板52と偏光フィルム53とは、感
圧接着剤54を介して積層される。感圧接着剤とは、押
さえるだけで他物質の表面に接着し、またこれを被着面
から引き剥がす場合には、被着物に強度さえあればほと
んど痕跡を残すことなく除去できる粘弾性体であって、
粘着剤とも呼ばれるものである。感圧接着剤には、アク
リレート系感圧接着剤、ウレタン系感圧接着剤、ゴム系
感圧接着剤などがあるが、これらのなかから、透明で光
学的に等方性のものを選択して用いればよい。なかで
も、アクリレート系の感圧接着剤が好ましく用いられ
る。
【0026】位相差板52と偏光フィルム53は、入射
する偏光光と出射すべき偏光光との関係で、両者の光軸
のなす角度を適宜選択すればよく、例えば、位相差板5
2の遅相軸と偏光板53の吸収軸がほぼ45度の角度で
交わる形態や、位相差板52の遅相軸と偏光板53の吸
収軸がほぼ67.5度の角度で交わる形態などが挙げら
れる。また、位相差板52と偏光フィルム53は、通
常、面積がほぼ同じであり、それぞれの面積は、透明基
板51の面積とほぼ同じか、又はそれよりもやや小さく
するのが好ましい。
【0027】本発明の偏光変換素子50においては、そ
の最外面に反射防止層を有していてもよい。例えば、図
2に示すように、偏光フィルム53の上に保護フィルム
55が積層されている場合は、その保護フィルム55の
最外面57に反射防止層を設けることができる。なお、
位相差板52が最外層となる場合には、その位相差板の
最外面に反射防止層を設けることができる。ここで反射
防止層は、空気層との界面における反射光を低減する層
であり、その反射光に起因する迷光の発生を防止する。
反射防止層を有する面の反射率は、2%以下であるのが
好ましく、さらには1%以下であるのがより好ましい。
【0028】反射防止層としては、通常使用されている
もの、例えば、金属、金属酸化物及び金属フッ化物から
選ばれる単層又は多層のものが挙げられる。金属として
は、例えば、銀などが挙げられ、金属酸化物としては、
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、
酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムな
どが挙げられ、金属フッ化物としては、例えば、弗化マ
グネシウムなどが挙げられる。この反射防止層は、単層
であってもよいし、2層、3層、4層又はそれ以上の層
からなる多層であってもよい。反射防止層の厚みや、そ
れが多層である場合の各層の厚みは、その層数、各層に
用いる物質の屈折率などにより、適宜選択される。偏光
フィルムの片面に保護フィルムが積層され、その保護フ
ィルムの表面に反射防止層を有する直線偏光板を用い
て、保護フィルムと反対側の偏光フィルム表面に、感圧
接着剤を介して位相差板を積層することもできる。
【0029】本発明の偏光変換素子は、透明基板51と
は反対側の最外面57、ここに反射防止層を有する場合
はその反射防止面、における接触角度が80度以上であ
るのが好ましく、さらには100度以上の接触角度を有
するのがより好ましい。ここでいう接触角度は、液体と
して水を用いた場合の値である。偏光変換素子の空気に
触れる面での接触角度が80度未満であると、ゴミ等の
微粒子が付着しやすいので、そのような表面を有する偏
光変換素子を用いた投射型液晶表示装置は、長期間にわ
たって使用した場合に、コントラストが低下しやすい傾
向にある。接触角度の上限は180度である。
【0030】偏光フィルムの片面に保護フィルムが積層
され、その保護フィルムの表面に反射防止層が形成さ
れ、その反射防止層を有する面57が、ここで規定する
接触角度を満足する場合、かかる反射防止層を有する直
線偏光板は、そのまま本発明の偏光変換素子に用いるこ
とができる。ただし、通常の反射防止層の多くは、ここ
で規定する接触角度を有していないので、この場合に
は、反射防止層の上面にフッ素化合物からなる層を設け
るとよい。
【0031】このために用いるフッ素化合物は、接触角
度を80度以上にし得るものであれば特に限定されず、
表面の汚染を防止するために通常用いられるもの、例え
ば、含フッ素シラン化合物などを挙げることができる。
このようなフッ素化合物は、表面に指紋などの汚れが付
着するのを防止するために、通常用いられるものであ
る。かかる含フッ素シラン化合物として、具体的には例
えば、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
【0032】
【0033】式中、R0 は炭素数1〜16の直鎖状又は
分岐状パーフルオロアルキル基を、Xはヨウ素原子又は
水素原子を、Yは水素原子又は低級アルキル基を、Zは
フッ素原子又はトリフルオロメチル基を、R1 は加水分
解可能な基を、R2 は水素原子又は不活性な一価の有機
基を、a、b、c及びdはそれぞれ独立に0〜200の
整数を、eは0又は1を、mは0〜2の整数を、nは0
〜2の整数を、pは1以上の整数をそれぞれ表す。
【0034】より具体的には、例えば、下式(II)で示
され、分子量が約4,500 の含フッ素シラン化合物が
挙げられる(これらの含フッ素シラン化合物について
は、例えば、特開平 1-294709 号公報参照)。
【0035】
【0036】本発明の偏光変換素子50においては、透
明基板51のフィルムが積層されていない最外面58に
も、反射防止層を設けることが好ましい。また、この面
に、例えば上記のような含フッ素シラン化合物の層を設
けて、接触角度を80度以上とすることもできる。
【0037】本発明の偏光変換素子は、投射型液晶表示
装置(液晶プロジェクタ)に好適に用いることができ
る。例えば、投射型液晶表示装置において、白色光源か
らの白色光の光路中や、白色光を分光した後の赤色光、
緑色光、青色光である各原色光の光路中に挿入して用い
ることができる。
【0038】具体的には、図1に示したような投射型液
晶表示装置であれば、各三原色に対応する液晶セル27
R,27G,27Bの入射側偏光変換素子28R,28
G,28B、及び出射側偏光変換素子29R,29G,
29Bの少なくとも一つとして用いることができる。偏
光変換素子が、図2に示すように、位相差板52側で透
明基板51に貼合され、偏光フィルム53又はその保護
フィルム55が最外面を形成している場合、通常は、偏
光フィルム53側が液晶セル27R,27G,27Bの
面に向くように配置される。この場合の投射型液晶表示
装置は、白色光源11と、その光源11からの白色光L
を赤色光R、緑色光G及び青色光Bの三原色の光に分光
するためのダイクロイックコート層を有する光学部品
(通常、ダイクロイックミラーと呼ばれる)21,2
2,23,24と、液晶セル27R,27G,27B
と、光路中に配置された本発明の偏光変換素子とを有す
るものとなる。
【0039】
【実施例】以下、具体的な例を示して本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこの例によって限定されるも
のではない。
【0040】ジェイエスアール(株)製の環状ポリオレ
フィン系樹脂フィルム“アートン”(商品名;ガラス転
移温度約170℃、光弾性係数約4×10-13cm2/dyn
e)を一軸延伸して、レターデーション値が225nmの
位相差板を作製した。
【0041】一方、一軸延伸ポリビニルアルコールフィ
ルムに二色性染料であるシー・アイ・ダイレクト・オレ
ンジ39とシー・アイ・ダイレクト・レッド81が吸着
された染料系偏光フィルムを用意し、その片面に、ポリ
ビニルアルコール系接着剤を介して厚み80μm のトリ
アセチルセルロースフィルムを貼合した。このトリアセ
チルセルロースフィルムは、片面に、アクリル系硬化性
樹脂の塗布、乾燥及び紫外線照射によって約5μm 厚で
アクリル系樹脂の硬化層が形成されており、この硬化層
と反対側の面で、上記の偏光フィルムに貼合した。そし
て、このアクリル系樹脂硬化層の表面に、蒸着により反
射防止層を形成し、さらにその上に、下式に相当する分
子量が約4,500の含フッ素シラン化合物を塗布し
た。
【0042】
【0043】得られた含フッ素シラン化合物塗布面の接
触角度は、110度であった。
【0044】片面が反射防止処理されたガラスの反射防
止処理されていない面に、アクリレート系の感圧接着剤
を介して上記の位相差板を貼合し、さらにその表面にア
クリレート系の感圧接着剤を介して、上記の片面トリア
セチルセルロースフィルム貼合偏光フィルムをその偏光
フィルム側(トリアセチルセルロースフィルム貼合面と
反対側)で貼合し、偏光変換素子とした。このとき、位
相差板の遅相軸と偏光フィルムの吸収軸が、45度の角
度で交わるように配置した。この偏光変換素子は、図2
に示す層構成を有し、保護フィルム55側の最外面57
には、アクリル系樹脂硬化層、反射防止層及び含フッ素
シラン化合物の層がこの順で設けられており、一方、透
明基板(ガラス)51側の最外面58には、反射防止層
が設けられている。この偏光変換素子を投射型液晶表示
装置の青チャンネルにセットして使用すれば、青色の表
示品位の低下が小さいものとなる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、高いガラス転移温度及
び小さい光弾性係数を有する樹脂フィルムからなる位相
差板と、偏光フィルムとが、感圧接着剤を介して積層さ
れた偏光変換素子が提供され、この偏光変換素子を用い
た投射型液晶表示装置は、長期間にわたり使用した場合
であっても、投射画像の表示品位を良好に保つことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】投射型液晶表示装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る偏光変換素子の構成例を示す断面
模式図である。
【符号の説明】
10……光源系、 11……白色光源、 12……UV・IRカットフィルター、 13……集光レンズ、 20……反射・分光系、 21,22,23,24……ダイクロイックミラー、 25,26……全反射ミラー、 27R,27G,27B……透過型液晶セル、 28R,28G,28B……入射側偏光変換素子、 29R,29G,29B……出射側偏光変換素子、 30R,30G,30B……集光レンズ、 40……拡大投射系、 41……投射レンズ、 42……スクリーン、 L……白色光(光源光)、 R……赤色光、 G……緑色光、 B……青色光、 50……偏光変換素子、 51……透明基板、 52……位相差板、 53……偏光フィルム、 54……感圧接着剤、 55……保護フィルム、 57、58……偏光変換素子の最外面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03B 21/14 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA26 BB03 BB33 BB43 BB52 BB65 BC22 2H088 EA15 HA13 HA15 HA18 HA24 HA28 MA01 MA20 2H091 FA05Z FA08Z FA11Z FA12Z FA26X FA26Z FA41Z FB02 FD06 MA07 2K009 AA05 AA06 AA07 CC03 CC06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】140℃以上のガラス転移温度及び50×
    10-13cm2/dyne以下の光弾性係数を有する樹脂フィル
    ムからなる位相差板と、偏光フィルムとが、感圧接着剤
    を介して積層されていることを特徴とする偏光変換素
    子。
  2. 【請求項2】位相差板と偏光フィルムの積層体が透明基
    板に積層されている請求項1記載の偏光変換素子
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の偏光変換素子が光
    路中に配置されていることを特徴とする投射型液晶表示
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012003003A (ja) * 2010-06-16 2012-01-05 Sony Corp 立体映像観察用光学素子、立体映像観察用眼鏡、立体映像表示システム

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