JP2012003003A - 立体映像観察用光学素子、立体映像観察用眼鏡、立体映像表示システム - Google Patents

立体映像観察用光学素子、立体映像観察用眼鏡、立体映像表示システム Download PDF

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Abstract

【課題】デザインの自由度の高い立体映像観察用光学素子および立体映像観察用眼鏡と、上記の立体映像観察用眼鏡を用いた立体映像表示システムとを提供する。
【解決手段】偏光眼鏡1は、右目用光学素子11、左目用光学素子12、およびフレーム13を有している。右目用光学素子11は、右目用位相差板11A、偏光板11B、および支持体11Cを表示装置2側から順に有しており、左目用光学素子12は、左目用位相差板12A、偏光板12B、および支持体12Cを表示装置2側から順に有している(図3)。右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aは、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されており、右目用光学素子11および左目用光学素子12は、表示装置2側に突出した湾曲形状となっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、立体映像を観察する際に用いられる立体映像観察用光学素子および立体映像観察用眼鏡に関する。また、本発明は、上記立体映像観察用眼鏡を用いた立体映像表示システムに関する。
近年、3次元(3D)映像を表示する表示装置が各社から次々と上市され始めている。このような表示装置で3D映像を見る際には、通常、専用の眼鏡(偏光眼鏡)が必要となる。3D用の偏光眼鏡については、多くの文献で開示されている(特許文献1〜5参照)。
特許第4154653号公報 特開2003−167216号公報 特開2002−196281号公報 特開平10−206796号公報 特開平9−138371号公報
ところで、上記の偏光眼鏡は、レンズがフラットになっているものに限られている。これは、レンズにカーブを付けると、3D映像を生成することが難しくなってしまうからである。そのため、3D用の偏光眼鏡では、デザイン上の自由度が限られていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、デザインの自由度の高い立体映像観察用光学素子および立体映像観察用眼鏡を提供することにある。また、第2の目的は、上記の立体映像観察用眼鏡を用いた立体映像表示システムを提供することにある。
本発明の立体映像観察用光学素子は、光入射面側に設けられたλ/4位相差板と、前記λ/4位相差板よりも光射出側に設けられた偏光板とを含んで構成された積層板を備えたものである。積層板は光入射面側に突出した湾曲形状となっている。λ/4位相差板は第1の方向に遅相軸を有しており、偏光板は第1の方向と45°で交差する方向に透過軸を有している。λ/4位相差板は、さらに、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている。
光弾性係数(応力光学係数:stress-optical coefficient)は、光弾性効果の大きさを示す量である。光弾性効果とは、物質に外力を加えて歪みを起こさせたときに、光学的な異方性が生じ、複屈折が生じるようになる現象を指している。光弾性係数は、下式により定義される。
|CR|=|Δn|/σR
|Δn|=|n1−n2|
上記の式中で、|CR|は光弾性係数の絶対値を指し、σRは伸張応力を指し、|Δn|は複屈折の絶対値を指し、n1は伸張方向の屈折率を指し、n2は伸張方向と垂直な方向の屈折率を指す。光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示している。λ/4位相差板の光弾性係数は一般的なPC(ポリカーボネート)の光弾性係数(80×10-12/Pa)よりも小さくなっており、50×10-12/Pa以下となっていることが好ましく、30×10-12/Pa以下となっていることがより好ましい。光弾性係数が上記の範囲内となるような材料としては、例えば、変性PC(ポリカーボネート)が挙げられる。変性PCとは、一般的なPCの分子構造(骨格)の一部を変更し、分子構造の対象性を向上させたものを指している。
本発明の立体映像観察用眼鏡は、右目用の第1の光学素子と、左目用の第2の光学素子と、第1の光学素子および第2の光学素子を支持するフレームとを備えたものである。第1の光学素子は、光入射面側に設けられた第1のλ/4位相差板と、第1のλ/4位相差板よりも光射出側に設けられた第1の偏光板とを含んで構成されている。第1のλ/4位相差板は第1の方向に遅相軸を有しており、第1の偏光板は第1の方向と45°で交差する方向に透過軸を有している。第2の光学素子は、光入射面側に設けられた第2のλ/4位相差板と、第2のλ/4位相差板よりも光射出側に設けられた第2の偏光板とを含んで構成されている。第2のλ/4位相差板は第2の方向に遅相軸を有しており、第2の偏光板は第2の方向と45°で交差する方向に透過軸を有している。第1の積層板および第2の積層板は、ともに、光入射面側に突出した湾曲形状となっている。第1のλ/4位相差板および第2のλ/4位相差板は、ともに、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている。
本発明の立体映像表示システムは、立体映像表示装置と、立体映像表示装置とは別体で設けられた立体映像観察用眼鏡とを備えたものである。立体映像表示システムに含まれる立体映像観察用眼鏡は、上記の立体映像観察用眼鏡と同一の構成要素を備えている。
本発明の立体映像観察用光学素子、立体映像観察用眼鏡および立体映像表示システムでは、λ/4位相差板(第1のλ/4位相差板および第2のλ/4位相差板)が、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている。これにより、製造過程において応力を加えてλ/4位相差板を製造した場合であっても、応力による複屈折の変化が少ない。そのため、積層板を、表示装置側に突出した湾曲形状にした場合であっても、応力に起因する光学特性の変化を従来よりも小さくすることができる。
本発明の立体映像観察用光学素子、立体映像観察用眼鏡および立体映像表示システムによれば、積層板を、表示装置側に突出した湾曲形状にした場合であっても、応力に起因する光学特性の変化を従来よりも小さくすることができるようにしたので、積層板のデザイン性を向上させたり、フレーム形状を比較的自由に設計したりすることができる。その結果、デザインの自由度の高い立体映像観察用光学素子および立体映像観察用眼鏡を提供することができる。また、デザインの自由度の高い立体映像観察用眼鏡を用いた立体映像表示システムを提供することもできる。また、例えば、積層板に付けるカーブの曲率を光入射側で相対的に大きくし、光射出側で相対的に小さくした場合には、積層板に視力矯正機能を付与することもできる。そのようにした場合には、デザインだけでなく機能面についても自由度を高くすることができる。
本発明の一実施の形態に係る偏光眼鏡の構成の一例を表示装置と共に表す斜視図である。 図1の偏光眼鏡の構成の他の例を表す斜視図である。 図1の偏光眼鏡の右目用光学素子および左目用光学素子の構成の一例を表す斜視図である。 図3の右目用光学素子および左目用光学素子の遅相軸の一例を他の光学部材の遅相軸または透過軸と共に表す概念図である。 図1の表示装置の映像を右目で観察する際の遅相軸および透過軸の一例について説明するための概念図である。 図1の表示装置の映像を右目で観察する際の遅相軸および透過軸の他の例について説明するための概念図である。 図1の表示装置の映像を左目で観察する際の遅相軸および透過軸の一例について説明するための概念図である。 図1の表示装置の映像を左目で観察する際の遅相軸および透過軸の他の例について説明するための概念図である。 図1の偏光眼鏡の右目用光学素子および左目用光学素子の構成の他の例を表す斜視図である。 図1の表示装置の構成の一例を表す断面図である。 図10の位相差素子の構成の一例を表す斜視図である。 図11の配向膜の構成の一例を表す斜視図である。 実施例および比較例に係る偏光眼鏡におけるクロストークの測定結果を表す図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、実施の形態とする。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
1.1 偏光眼鏡1の構成(図1〜図9)
1.2 表示装置2の構成(図10〜図12)
1.3 基本動作
1.4 効果
2.実施例(図13)
3.変形例
<1.実施の形態>
[1.1 偏光眼鏡1の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る偏光眼鏡1の構成の一例を、後述する偏光眼鏡方式の表示装置2とともに斜視的に表したものである。なお、偏光眼鏡1が本発明の「立体映像観察用眼鏡」の一具体例に相当し、偏光眼鏡1および表示装置2が本発明の「立体映像表示システム」の一具体例に相当する。
本実施の形態の偏光眼鏡1は、観察者(図示せず)の眼球の前に装着されるものであり、表示装置2の映像表示面2Aに映し出される映像を観察する際に観察者によって用いられるものである。この偏光眼鏡1は、例えば、円偏光眼鏡であり、例えば、図1に示したように、右目用光学素子11、左目用光学素子12、およびフレーム13を有している。なお、右目用光学素子11が本発明の「立体映像観察用光学素子」、「第1の光学素子」の一具体例に相当し、左目用光学素子12が本発明の「立体映像観察用光学素子」、「第2の光学素子」の一具体例に相当する。
フレーム13は、右目用光学素子11および左目用光学素子12を支持するものである。フレーム13の形状は、特に限られるものではないが、例えば、図1に示したように、観察者(図示せず)の鼻および耳にひっかける形状となっていてもよいし、図2(A)に示したように、観察者の鼻にだけひっかける形状となっていてもよい。また、フレーム13の形状は、例えば、図2(B)に示したように、観察者が手で握れる形状となっていてもよい。
右目用光学素子11および左目用光学素子12は、表示装置2の映像表示面2Aと対向した状態で用いられる。右目用光学素子11および左目用光学素子12は、図1に示したように、できるだけ一の水平面内に配置した状態で用いられることが好ましいが、多少傾いた平坦面内に配置した状態で用いられてもよい。
右目用光学素子11は、例えば、右目用位相差板11A、偏光板11B、および支持体11Cを有している。右目用位相差板11A、偏光板11B、および支持体11Cは、表示装置2の映像表示面2Aから射出された光Lが入射する側(表示装置2側)から順に配置されている。一方、左目用光学素子12は、例えば、左目用位相差板12A、偏光板12B、および支持体12Cを有している。左目用位相差板12A、偏光板12B、および支持体12Cは、表示装置2の映像表示面2Aから射出された光Lが入射する側(表示装置2側)から順に配置されている。なお、右目用位相差板11A、偏光板11B、および支持体11Cを含んで構成された積層板が本発明の「積層板」、「第1の積層板」の一具体例に相当する。また、左目用位相差板12A、偏光板12B、および支持体12Cを含んで構成された積層板が本発明の「積層板」、「第2の積層板」の一具体例に相当する。また、右目用位相差板11Aが本発明の「λ/4位相差板」、「第1のλ/4位相差板」の一具体例に相当し、左目用位相差板12Aが本発明の「λ/4位相差板」、「第2のλ/4位相差板」の一具体例に相当する。
支持体11C,12Cは、必要に応じて省略することも可能である。また、右目用光学素子11および左目用光学素子12は、上で例示したもの以外の部材を有していてもよい。例えば、支持体11C,12Cの光射出側(観察者側)の面に、支持体11C,12Cが破損したときに破損片が観察者の眼球に飛散するのを防止する保護フィルム(図示せず)や保護のためのコーティング層(図示せず)が設けられていてもよい。
支持体11Cは、例えば、右目用位相差板11Aおよび偏光板11Bを支持するものである。支持体11Cは、例えば、表示装置2の映像表示面2Aから射出された光Lに対して透明な樹脂、例えば、PC(ポリカーボネート)などからなる。また、支持体12Cは、例えば、左目用位相差板12Aおよび偏光板12Bを支持するものである。支持体12Cは、例えば、表示装置2の映像表示面2Aから射出された光Lに対して透明な樹脂、例えば、PC(ポリカーボネート)などからなる。
偏光板11B,12Bは、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させるようになっている。例えば、図4(A),(B)に示したように、偏光板11B,12Bの偏光軸AX1,AX2はそれぞれ、表示装置2の偏光板31B(後述)の偏光軸AX3と直交する方向を向いている。偏光軸AX1,AX2はそれぞれ、例えば、図4(A)に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3が垂直方向を向いている場合には水平方向を向いており、例えば、図4(B)に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3が水平方向を向いている場合には垂直方向を向いている。また、図示しないが、偏光板31Bの偏光軸AX3が斜め45°方向を向いている場合には、偏光軸AX1,AX2は、それと直交する方向(−45°)を向いている。
右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aは、光学異方性を有する薄い層である。これらの位相差板は、光弾性係数がPC(ポリカーボネート)の光弾性係数(80×10-12/Pa)未満の材料によって構成されている。これらの位相差板は、光弾性係数が50×10-12/Pa以下の材料によって構成されていることが好ましく、光弾性係数が30×10-12/Pa以下の材料によって構成されていることがより好ましい。そのような特性を持つ樹脂材料としては、例えば、変性PC(ポリカーボネート)が挙げられる。なお、変性PCとは、一般的なPCの分子構造(骨格)の一部を変更し、分子構造の対象性を向上させたものを指している。右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aは、例えば、変性PC(ポリカーボネート)を含んで構成されている。なお、右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aの基材として、上で例示した樹脂材料が用いられている場合に、その基材に、不織布などの繊維や、フィラーなどが複合されていてもよい。変性PCの他にも、光弾性係数の小さな材料として、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)、TAC(トリアセチルセルロース)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、またはこれらのブレンド品などでもよい。PCとPSのブレンドとしては、特開2001−55455の手法を用いてもよい。ただし、耐衝撃性が高いことや熱に強い(ガラス転移温度Tgが高い)ことから、変性PCの方がより好ましいと言える。
右目用位相差板11Aの遅相軸AX4は、図4(A),(B)に示したように、偏光軸AX1と45°で交差する方向を向いている。また、左目用位相差板12Aの遅相軸AX5は、図4(A),(B)に示したように、偏光軸AX2と45°で交差する方向を向いており、かつ遅相軸AX4と直交する方向を向いている。遅相軸AX4,AX5はそれぞれ、例えば、図4(A),(B)に示したように、偏光軸AX1,AX2が水平方向または垂直方向を向いている場合には、水平方向および垂直方向のいずれの方向とも交差する方向を向いている。また、図示しないが、偏光軸AX1,AX2が斜め45°方向を向いている場合には、遅相軸AX4が例えば水平方向を向いており、遅相軸AX5が例えば垂直方向を向いている。
また、遅相軸AX4は、後述の右目用位相差領域43Aの遅相軸AX6の向きと同一の方向を向いており、後述の左目用位相差領域43Bの遅相軸AX7の向きと異なる方向を向いている。一方、遅相軸AX5は、遅相軸AX7と同一の方向を向いており、遅相軸AX6の向きと異なる方向を向いている。
(リタデーション)
次に、図5(A),(B)〜図8(A),(B)を参照して、偏光眼鏡1のリタデーションについて説明する。偏光眼鏡1のリタデーションについて説明するにあたって、表示装置2に搭載されている位相差素子40(後述)についての理解が必要である。なお、位相差素子40についての説明は後に詳述してあるので、以下では、その説明で使用されている符号を引用しつつ、偏光眼鏡1のリタデーションについて説明するものとする。なお、リタデーションは、例えば、回転検光子法や、セナルモン法など、いくつかの楕円偏光解析にて測定することが可能なものである。本明細書では、リタデーションの値として、回転検光子法を用いることによって得られた値が示されている。
図5(A),(B)および図6(A),(B)は、位相差層43の右目用位相差領域43Aに入射した右目用画像光L1のみに着目し、偏光眼鏡1を介して、光L1が左右の目でどのように認識されるかを例示した概念図である。また、図7(A),(B)および図8(A),(B)は、位相差層43の右目用領域33Bに入射した左目用画像光L2のみに着目し、偏光眼鏡1を介して、光L2が左右の目でどのように認識されるかを例示した概念図である。なお、実際には、右目用画像光L1および左目用画像光L2は、混在した状態で出力されるが、図5(A),(B)〜図8(A),(B)では、説明の便宜上、右目用画像光L1と左目用画像光L2を別個に分けて記述した。
ところで、偏光眼鏡1を用いて表示装置2の映像表示面を観察した場合に、例えば、図5(A),(B)、図6(A),(B)に示したように、右目には右目用画素の画像が認識でき、左目には右目用画素の画像が認識できないようにすることが必要である。また、同時に、例えば、図7(A),(B)、図8(A),(B)に示したように、左目には左目用画素の画像が認識でき、右目には左目用画素の画像が認識できないようにすることが必要である。そのためには、以下に示したように、右目用位相差領域43Aおよび右目用位相差板11Aのリタデーションならびに左目用位相差領域43Bおよび左目用位相差板12Aのリタデーションを設定することが好ましい。
具体的には、右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aのリタデーションのうち一方が+λ/4(λは波長)となっており、他方が−λ/4となっていることが好ましい。ここで、リタデーションの符号が逆になっているのは、それぞれの遅相軸の向きが90°異なることを示している。このとき、右目用位相差領域43Aのリタデーションは右目用位相差板11Aのリタデーションと同一となっていることが好ましく、左目用位相差領域43Bのリタデーションは左目用位相差板12Aのリタデーションと同一となっていることが好ましい。
なお、実際に、右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aに対して、全ての波長(可視領域全体)でリタデーションをλ/4にすることができる材料を選択することは容易ではない。ただし、全ての波長でリタデーションをλ/4にすることよりも、全ての波長で右目用位相差領域43Aのリタデーションが右目用位相差板11Aのリタデーションと同一(近い値)となっていること、左目用位相差領域43Bのリタデーションが左目用位相差板12Aのリタデーションと同一(近い値)になっていることの方が重要である。一方、全ての波長でリタデーションをλ/4にする必要はないが、3D映像を明るい輝度や適切な色で視聴するためには、500nm〜560nm程度の緑の領域の範囲内で、リタデーションがλ/4になるようにすることが好ましい。これは、人間の網膜は、緑の波長帯の光に対して高い感度を有していること、緑の領域で合わせることで、青や赤の領域でも比較的合うことがその理由である。
ところで、本実施の形態では、右目用光学素子11および左目用光学素子12は、平板形状となっておらず、表示装置2の映像表示面から射出された光Lが入射する側(表示装置2側)に突出した湾曲形状となっている。右目用光学素子11および左目用光学素子12は、例えば、平板を湾曲させた形状となっており、例えば、図3に示したように、表示装置2側の表面(光入射面S1)に凸状の曲面を有すると共に、観察者側の表面(光射出面S2)に凹状の曲面を有している。
光入射面S1に形成された凸状の曲面の曲率(以下、「曲率A」とする)と、光射出面S2に形成された凸状の曲面の曲率(以下、「曲率B」とする)は、8C品の曲率と同一か、またはそれよりも大きな曲率を有している。なお、上記の8Cとは、眼鏡レンズの曲率を規定したものであり、曲率が65.4mmとなっていることを意味している。曲率A,Bは、互いに等しくなっていてもよいし、互いに異なっていてもよい。なお、曲率A,Bが互いに異なっている場合には、例えば、図9に示したように、曲率Aが曲率Bよりも小さくなっていることが好ましい。このようにした場合には、右目用光学素子11および左目用光学素子12が、例えば、視力矯正レンズとしても機能する。
[1.2 表示装置2の構成]
次に、偏光眼鏡1と共に用いる表示装置2の構成の一例について説明する。図10は、表示装置2の断面構成の一例を表すものである。表示装置2は、バックライトユニット20、液晶表示パネル30(表示パネル)および位相差素子40をこの順に積層して構成されたものである。この表示装置2において、位相差素子40の表面が映像表示面2Aとなっており、観察者側に向けられている。なお、本実施の形態では、映像表示面2Aが垂直面(鉛直面)と平行となるように表示装置2が配置されているものとする。また、観察者は偏光眼鏡1を眼球の前に装着した上で、映像表示面2Aを観察するものとする。
(バックライトユニット20)
バックライトユニット20は、例えば、反射板、光源および光学シート(いずれも図示せず)を有している。反射板は、光源からの射出光を光学シート側に戻すものであり、反射、散乱、拡散などの機能を有している。この反射板は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)などによって構成されている。これにより、光源からの射出光を効率的に利用することができる。光源は、液晶表示パネル30を背後から照明するものであり、例えば、複数の線状光源が等間隔で並列配置されたり、複数の点状光源が2次元配列されたりしたものである。なお、線状光源としては、例えば、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)などが挙げられる。また、点状光源としては、例えば、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などが挙げられる。光学シートは、光源からの光の面内輝度分布を均一化したり、光源からの光の発散角や偏光状態を所望の範囲内に調整したりするものであり、例えば、拡散板、拡散シート、プリズムシート、反射型偏光素子、位相差板などを含んで構成されている。また、光源は、エッジライト方式のものでもよく、その場合には、必要に応じて導光板や導光フィルムが用いられる。
(液晶表示パネル30)
液晶表示パネル30は、複数の画素が行方向および列方向に2次元配列された透過型の表示パネルであり、映像信号に応じて各画素を駆動することによって映像を表示するものである。この液晶表示パネル30は、例えば、図10に示したように、バックライトユニット20側から順に、偏光板31A、透明基板32、画素電極33、配向膜34、液晶層35、配向膜36、共通電極37、カラーフィルタ38、透明電極39および偏光板31Bを有している。
ここで、偏光板31Aは、液晶表示パネル30の光入射側に配置された偏光板であり、偏光板31Bは液晶表示パネル30の光射出側に配置された偏光板である。偏光板31A,31Bは、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。偏光板31A,31Bはそれぞれ、例えば、偏光軸が互いに所定の角度だけ(例えば90度)異なるように配置されており、これによりバックライトユニット20からの射出光が液晶層を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。なお、偏光板は、板状に限定されない。
偏光板31Aの透過軸の向きは、バックライトユニット20から射出された光を透過可能な範囲内に設定される。例えば、バックライトユニット20から射出される光の偏光軸が垂直方向となっている場合には、偏光板31Aの透過軸も垂直方向を向いており、バックライトユニット20から射出される光の偏光軸が水平方向となっている場合には、偏光板31Aの透過軸も水平方向を向いている。なお、バックライトユニット20から射出される光は直線偏光光である場合に限られるものではなく、円偏光や、楕円偏光、無偏光であってもよい。
偏光板31Bの偏光軸の向きは、液晶表示パネル30を透過した光を透過可能な範囲内に設定される。例えば、偏光板31Aの偏光軸の向きが水平方向となっている場合には、偏光板31Bの偏光軸は偏光板31Aの偏光軸と直交する方向(垂直方向)を向いている。また、例えば、偏光板31Aの偏光軸の向きが垂直方向となっている場合には、偏光板31Bの偏光軸は偏光板31Aの偏光軸と直交する方向(水平方向)を向いている。なお、上記の偏光軸と、上記の透過軸とは互いに同義である。
透明基板32,39は、一般に、可視光に対して透明な基板である。なお、バックライトユニット20側の透明基板には、例えば、画素電極33に電気的に接続された駆動素子としてのTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)および配線などを含むアクティブ型の駆動回路が形成されている。画素電極33は、例えば酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)からなり、画素ごとの電極として機能する。配向膜34,26は、例えばポリイミドなどの高分子材料からなり、液晶に対して配向処理を行う。液晶層35は、例えばVA(Vertical Alignment)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶からなる。液晶層35は、図示しない駆動回路からの印加電圧により、バックライトユニット20からの射出光を画素ごとに透過または遮断する機能を有している。共通電極37は、例えばITOからなり、各画素電極33に対する共通の対向電極として機能する。カラーフィルタ38は、バックライトユニット20からの射出光を、例えば、赤(R)、緑(G)および青(B)の三原色にそれぞれ色分離するためのフィルタ部38Aを配列して形成されている。このカラーフィルタ38では、画素間の境界に対応する部分に、遮光機能を有するブラックマトリクス部38Bが設けられている。
(位相差素子40)
次に、位相差素子40について説明する。図11は、位相差素子40の構成の一例を斜視的に表したものである。位相差素子40は、液晶表示パネル30の偏光板31Bを透過した光の偏光状態を変化させるものである。位相差素子40は、液晶表示パネル30の光射出側の表面(偏光板31B)に粘着剤(図示せず)などによって貼り付けられている。位相差素子40は、例えば、図11に示したように、液晶表示パネル30側から順に、基材41、配向膜42および位相差層43を有している。なお、図示しないが、基材41、配向膜42および位相差層43は、液晶表示パネル30とは反対側(観察者側)から順に配置されていてもよい。
基材41は、配向膜42および位相差層43を支持するものであり、例えば、透明樹脂フィルムによって構成されている。透明樹脂フィルムとしては、光学異方性の小さい、つまり複屈折の小さいものが好ましい。そのような特性を持つ透明樹脂フィルムとしては、例えば、TAC(トリアセチルセルロース)、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)などが挙げられる。ここで、COPとしては、例えば、ゼオノアやゼオネックス(日本ゼオン社の登録商標)、アートン(JSR社の登録商標)などがある。基材フィルムの31の厚さは、例えば、30μm以上500μm以下となっていることが好ましい。基材41のリタデーションは、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。なお、基材41は、ガラス基板によって構成されていてもよい。
配向膜42は、液晶などの配向性材料を特定の配向させる機能を有するものである。配向膜42は、透明な樹脂、例えば、UV硬化型、電子線硬化型、または熱可塑性の透明樹脂によって構成されている。配向膜42は、基材41の光射出側の表面に設けられており、例えば、図12(A)に示したように、配向方向が互いに異なる2種類の配向領域(右目用配向領域42A,左目用配向領域42B)を有している。右目用配向領域42Aおよび左目用配向領域42Bは、例えば、共通する一の方向(水平方向)に延在する帯状の形状となっており、右目用配向領域42Aおよび左目用配向領域42Bの短手方向(垂直方向)に交互に配置されている。右目用配向領域42Aおよび左目用配向領域42Bは、液晶表示パネル30の画素に対応して配置されており、例えば、液晶表示パネル30の短手方向(垂直方向)の画素ピッチに対応するピッチで配置されている。
右目用配向領域42Aは、例えば、図12(A),(B)に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向に延在する複数の溝V1を有している。一方、左目用配向領域42Bは、図12(A),(B)に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向であって、かつ溝V1の延在方向と直交する方向に延在する複数の溝V2を有している。溝V1,V2はそれぞれ、例えば、図12(A),(B)に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3が垂直方向または水平方向を向いている場合には斜め45°方向に延在している。また、図示しないが、偏光板31Bの偏光軸AX3が斜め45°方向を向いている場合には、溝V1が例えば水平方向に延在しており、溝V2が例えば垂直方向に延在している。
各溝V1は、一の方向に直線状に延在していてもよいし、例えば、揺らぎながら(蛇行しながら)一の方向に延在していてもよい。各溝V1の断面形状は、例えばV字状となっている。同様に、各溝V2の断面形状も、例えばV字状となっている。言い換えると、右目用配向領域42Aおよび左目用配向領域42B全体の断面形状は、鋸歯状となっている。その溝構造において、ピッチは小さい方が好ましく、数μm以下であり、さらに好ましくは数百nm以下である。このような形状は、例えば、型を用いた転写によって一括形成される。また、配向膜42は、上記で示した溝構造によるものではなく、偏光UV照射によって形成された光配向膜であってもよい。光配向膜は、偏光UVを照射したときにUVの偏光方向に配向する材料をあらかじめ塗布しておき、右目用配向領域42Aおよび左目用配向領域42Bにそれぞれ異なる方向に偏光したUV光を照射することにより製造可能である。
位相差層43は、光学異方性を有する薄い層である。この位相差層43は、例えば、右目用配向領域42Aおよび左目用配向領域42Bの表面に設けられたものである。位相差層43は、例えば、図11に示したように、遅相軸の向きが互いに異なる2種類の位相差領域(右目用位相差領域43A,左目用位相差領域43B)を有している。
右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bは、例えば、図11に示したように、共通する一の方向(水平方向)に延在する帯状の形状となっており、右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bの短手方向(垂直方向)に交互に配置されている。
右目用位相差領域43Aは、例えば、図4(A),(B)、図11に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向に遅相軸AX6を有している。一方、左目用位相差領域43Bは、例えば、図4(A),(B)、図11に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3と45°で交差する方向であって、かつ遅相軸AX6と直交する方向に遅相軸AX7を有している。遅相軸AX6,AX7はそれぞれ、例えば、図4(A),(B)、図11に示したように、偏光板31Bの偏光軸AX3が垂直方向または水平方向を向いている場合には斜め45°方向を向いている。また、図示しないが、偏光板31Bの偏光軸AX3が斜め45°方向を向いている場合には、遅相軸AX6が例えば水平方向に延在しており、遅相軸AX7が例えば垂直方向を向いている。遅相軸AX6は、溝V1の延在方向を向いており、遅相軸AX7は、溝V2の延在方向を向いている。
さらに、遅相軸AX6は、例えば、偏光眼鏡2の右目用位相差板11Aの遅相軸AX4の向きと同一の方向を向いており、偏光眼鏡2の左目用位相差板12Aの遅相軸AX5の向きと異なる方向を向いている。一方、遅相軸AX7は、例えば、遅相軸AX5の向きと同一の方向を向いており、遅相軸AX4の向きと異なる方向を向いている。
位相差層43は、例えば、重合した高分子液晶材料を含んで構成されている。すなわち、位相差層43では、液晶分子の配向状態が固定されている。高分子液晶材料としては、相転移温度(液晶相−等方相)、液晶材料の屈折率波長分散特性、粘性特性、プロセス温度などに応じて選定された材料が用いられる。ただし、高分子液晶材料は、重合基としてアクリロイル基あるいはメタアクリロイル基を有していることが、透明性の観点から好ましい。また、高分子液晶材料として、重合性官能基と液晶骨格との間にメチレンスペーサのない材料を用いることが好ましい。プロセス時の配向処理温度を低くすることができるためである。位相差層43の厚みは、例えば1μm〜2μmである。なお、位相差層43が、重合した高分子液晶材料を含んで構成されている場合に、位相差層43が、重合した高分子液晶材料だけで構成されている必要はなく、その一部に未重合の液晶性モノマを含んでいてもよい。位相差層43に含まれる未重合の液晶性モノマは、後述の配向処理(加熱処理)によって、その周囲に存在する液晶分子の配向方向と同様の方向に配向しており、高分子液晶材料の配向特性と同様の配向特性を有しているからである。
位相差層43において、溝V1と右目用位相差領域43Aとの界面付近では、液晶分子の長軸が、溝V1の延在方向に沿うように配列しており、溝V2と左目用位相差領域43Bとの界面付近では、液晶分子の長軸が、溝V2の延在方向に沿うように配列している。すなわち、溝V1および溝V2の形状および延在方向により、液晶分子の配向が制御され、右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bの光学軸が設定される。
また、位相差層43において、右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bの構成材料や厚みを調整することにより、右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bのリタデーション値が設定される。このリタデーション値は、基材41が位相差を有する場合には、基材41の位相差をも考慮して設定されることが好ましい。なお、本実施の形態では、右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bは互いに同一の材料および厚みにより構成され、これにより、リタデーションの絶対値が互いに等しくなっている。
[1.3 基本動作]
次に、本実施の形態の表示装置2において画像を表示する際の基本動作の一例について、図5(A),(B)〜図8(A),(B)を参照しつつ説明する。
まず、バックライト10から照射された光が液晶表示パネル30に入射している状態で、映像信号として右目用画像および左目用画像を含む視差信号が液晶表示パネル30に入力される。すると、奇数行の画素から右目用画像光L1が出力され(図5(A),(B)または図6(A),(B))、偶数行の画素から左目用画像光L2が出力される(図7(A),(B)または図8(A),(B))。
その後、右目用画像光L1および左目用画像光L2は、位相差素子40の右目用位相差領域43Aおよび左目用位相差領域43Bによって楕円偏光に変換され、位相差素子40の基材41を透過したのち、表示装置2の映像表示面2Aから外部に出力される。その後、表示装置2の外部に出力された光は、偏光眼鏡1に入射し、右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aによって楕円偏光から直線偏光に戻されたのち、偏光板11B,12Bに入射する。
このとき、偏光板11B,12Bへの入射光のうち右目用画像光L1に対応する光の偏光軸は、偏光板11Bの偏光軸AX1と平行となっており、偏光板12Bの偏光軸AX2と直交している。従って、偏光板11B,12Bへの入射光のうち右目用画像光L1に対応する光は、偏光板11Bだけを透過して、観察者の右目に到達する(図5(A),(B)または図6(A),(B))。
一方、偏光板11B,12Bへの入射光のうち左目用画像光L2に対応する光の偏光軸は、偏光板11Bの偏光軸AX1と直交しており、偏光板12Bの偏光軸AX2と平行となっている。従って、偏光板11B,12Bへの入射光のうち左目用画像光L2に対応する光は、偏光板12Bだけを透過して、観察者の左目に到達する(図7(A),(B)または図8(A),(B))。
このようにして、右目用画像光L1に対応する光が観察者の右目に到達し、左目用画像光L2に対応する光が観察者の左目に到達した結果、観察者は表示装置2の映像表示面2Aに立体画像が表示されているかのように認識することができる。
[1.4 効果]
ところで、本実施の形態では、偏光眼鏡1の右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aが、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている。これにより、製造過程において応力を加えて右目用位相差板11Aおよび左目用位相差板12Aを製造した場合であっても、応力による複屈折の変化が少ない。そのため、例えば、図3、図9に示したように、偏光眼鏡1の右目用光学素子11および左目用光学素子12を、表示装置2側に突出した湾曲形状にした場合であっても、応力に起因する光学特性の変化を従来よりも小さくすることができる。その結果、右目用光学素子11および左目用光学素子12のデザイン性を向上させたり、偏光眼鏡1のフレーム13の形状を比較的自由に設計することができる。従って、デザイン上の自由度を高めることができる。
また、本実施の形態において、偏光眼鏡1の光入射面S1の曲率Aを、偏光眼鏡1の光射出面S2の曲率Bよりも大きな曲率にした場合には、偏光眼鏡1に視力矯正機能を付与することができる。生活の中で視力矯正用眼鏡をかけている人が3D映像を見る際には、通常その眼鏡の上から偏光眼鏡をかける必要があった。しかし、本実施の形態において偏光眼鏡1に視力矯正機能を付与した場合には、偏光眼鏡1をかけるだけで3D映像を見ることができる。このように、本実施の形態では、デザインだけでなく機能面についても自由度を高くすることが可能である。
<2.実施例>
次に、上記実施の形態の偏光眼鏡1の実施例について、比較例と対比して説明する。
図13は、実施例および比較例に係る偏光眼鏡におけるクロストークの計測結果を表したものである。図中の白色の棒は、左目用画像光L2を、偏光眼鏡1を介して計測したときに、右目用計測器で計測された輝度を左目用計測器で計測された輝度で除算することにより得られた値(左目用画像光のクロストーク)を表している(下記の式1参照)。また、図中の黒色の棒は、右目用画像光L1を、偏光眼鏡1を介して計測したときに、左目用計測器で計測された輝度を右目用計測器で計測された輝度で除算することにより得られた値(右用画像光のクロストーク)を表している(下記の式2参照)。これらの値が若干異なるのは、製造上のばらつきや測定上の誤差であり、本質的には同一となるものである。
左目用画像光のクロストーク=(左目用画像光L2を、右目用光学素子11を介して見たときの輝度)/(左目用画像光L2を、左目用光学素子12を介して見たときの輝度)
…(1)
右目用画像光のクロストーク=(右目用画像光L1を、左目用光学素子12を介して見たときの輝度)/(右目用画像光L1を、右目用光学素子11を介して見たときの輝度)
…(2)
上記のクロストークが低くなるほど、立体表示特性が良くなる。逆に、上記のクロストークが高くなるほど、右目に左目用の画像光が入り込んだり、左目に右目用の画像光が入り込んだりするゴーストという現象が顕著となる。ゴーストは、眼精疲労を引き起こし、ひどい場合には、観察者がそもそも立体映像を見ることを困難にしてしまう。
図13には、偏光眼鏡1の右目用光学素子11および左目用光学素子12のカーブの大きさが2C,6C,8Cとなっている場合の結果が示されている。ここで、2Cとは、曲率が261.5mmとなっていることを示しており、6Cとは、曲率が87.2mmとなっていることを示している。8Cとは、既に述べたが、曲率が65.4mmとなっていることを示している。本実施例および本比較例では、右目用光学素子11および左目用光学素子12に対してカーブを設ける方法として、熱プレス法を用いた。なお、これらにカーブを設ける方法としては、熱プレスの他に、インサート射出成型法などを用いることもできる。
図13から、実施例および比較例の双方において、曲率が小さくなるほど(つまり、カーブがきつくなるほど)、クロストークが悪化する様子がわかる。しかし、比較例では、6C,8Cにおいて、クロストークが、実用上問題とはならないレベルである3%を超えてしまっていることがわかる。一方、実施例では、2C〜8Cにおいて、クロストークが3%以下となっており、6C,8Cにおいても、実用に耐えることがわかる。
<3.変形例>
上記実施の形態では、位相差素子40の位相差領域(右目用位相差領域43A,左目用位相差領域43B)が水平方向に延在している場合が例示されていたが、それ以外の方向に延在していてもかまわない。例えば、図示しないが、位相差素子40の位相差領域(右目用位相差領域43A,左目用位相差領域43B)が垂直方向に延在していていてもよい。
また、上記実施の形態および変形例では、位相差素子40の位相差領域(右目用位相差領域43A,左目用位相差領域43B)が位相差素子40の水平方向もしくは垂直方向全体に渡って延在している場合が例示されていたが、例えば、図示しないが、水平方向および垂直方向の双方に2次元配置されていてもよい。
以上では、偏光眼鏡1が円偏光タイプであり、表示装置2としては円偏光眼鏡用の表示装置である場合について説明をしたが、偏光眼鏡1が直線偏光タイプであり、表示装置2として直線偏光眼鏡用の表示装置である場合についても適用できる。
なお、本明細書において、「均一」、「平行」、「直交」、「垂直」、「同一の方向」という場合には、本発明の効果を損なわない限度において、それぞれが、略均一、略平行、略直交、略垂直、略同一の方向の場合を含むものとする。例えば、製造誤差、バラツキ等の諸要因に起因する誤差を含んでもよいものとする。
1…偏光眼鏡、2…表示装置、2A…映像表示面、11…右目用光学素子、11A…右目用位相差領域、11B,12B,31A,31B…偏光板、11C,12C…支持体、12…左目用光学素子、12A…左目用位相差板、13…フレーム、20…バックライトユニット、30…液晶表示パネル、32,39…透明基板、33…画素電極、34,36…配向膜、35…液晶層、37…共通電極、38…カラーフィルタ、38A…フィルタ部、38B…ブラックマトリクス部、40…位相差素子、41…基材、42…配向膜、42A…右目用配向領域、42B…左目用配向領域、43…位相差層、AX1,AX2,AX3…偏光軸、AX4,AX5,AX6,AX7…遅相軸、L…光、L1…右目用画像光、L2…左目用画像光、S1…光入射面、S2…光射出面、V1,V2…溝。

Claims (8)

  1. 光入射面側に設けられ、第1の方向に遅相軸を有するλ/4位相差板と、前記λ/4位相差板よりも光射出側に設けられ、前記第1の方向と45°で交差する方向に透過軸を有する偏光板とを含んで構成された積層板を備え、
    前記積層板は、前記光入射面側に突出した湾曲形状となっており、
    前記λ/4位相差板は、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている
    立体映像観察用光学素子。
  2. 前記λ/4位相差板は、光弾性係数が50×10-12/Pa以下の材料によって構成されている
    請求項1に記載の立体映像観察用光学素子。
  3. 前記λ/4位相差板は、光弾性係数が30×10-12/Pa以下の材料によって構成されている
    請求項2に記載の立体映像観察用光学素子。
  4. 前記λ/4位相差板は、変性PC(ポリカーボネート)を含んで構成されている
    請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の立体映像観察用光学素子。
  5. 前記積層板は、65.4mm以上の曲率を有する
    請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の立体映像観察用光学素子。
  6. 右目用の第1の光学素子と、
    左目用の第2の光学素子と、
    前記第1の光学素子および前記第2の光学素子を支持するフレームと
    を備え、
    前記第1の光学素子は、
    光入射面側に設けられ、第1の方向に遅相軸を有する第1のλ/4位相差板と、前記第1のλ/4位相差板よりも光射出側に設けられ、前記第1の方向と45°で交差する方向に透過軸を有する第1の偏光板とを含んで構成された第1の積層板を有し、
    前記第2の光学素子は、
    光入射面側に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に遅相軸を有する第2のλ/4位相差板と、前記第2のλ/4位相差板よりも光射出側に設けられ、前記第2の方向と45°で交差する方向に透過軸を有する第2の偏光板とを含んで構成された第2の積層板を有し、
    前記第1の積層板および前記第2の積層板は、ともに、前記光入射面側に突出した湾曲形状となっており、
    前記第1のλ/4位相差板および前記第2のλ/4位相差板は、ともに、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている
    立体映像観察用眼鏡。
  7. 前記第1の積層板および前記第2の積層板は、65.4mm以上の曲率を有する
    請求項6に記載の立体映像観察用眼鏡。
  8. 立体映像表示装置と、前記立体映像表示装置とは別体で設けられた立体映像観察用眼鏡とを備え、
    前記立体映像観察用眼鏡は、
    右目用の第1の光学素子と、
    左目用の第2の光学素子と、
    前記第1の光学素子および前記第2の光学素子を支持するフレームと
    を有し、
    前記第1の光学素子は、
    光入射面側に設けられ、第1の方向に遅相軸を有する第1のλ/4位相差板と、前記第1のλ/4位相差板よりも光射出側に設けられ、前記第1の方向と45°で交差する方向に透過軸を有する第1の偏光板とを含んで構成された第1の積層板を有し、
    前記第2の光学素子は、
    光入射面側に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に遅相軸を有する第2のλ/4位相差板と、前記第2のλ/4位相差板よりも光射出側に設けられ、前記第2の方向と45°で交差する方向に透過軸を有する第2の偏光板とを含んで構成された第2の積層板を有し、
    前記第1の積層板および前記第2の積層板は、ともに、前記光入射面側に突出した湾曲形状となっており、
    前記第1のλ/4位相差板および前記第2のλ/4位相差板は、ともに、光弾性係数が80×10-12/Pa未満の材料によって構成されている
    立体映像表示システム。
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