JP2003221691A - 電解用陰極とこれを用いる電解槽 - Google Patents

電解用陰極とこれを用いる電解槽

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JP2003221691A JP2002023645A JP2002023645A JP2003221691A JP 2003221691 A JP2003221691 A JP 2003221691A JP 2002023645 A JP2002023645 A JP 2002023645A JP 2002023645 A JP2002023645 A JP 2002023645A JP 2003221691 A JP2003221691 A JP 2003221691A
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electrolysis
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Chiaki Iwakura
千秋 岩倉
Hiroshi Inoue
博史 井上
Megumi Koizumi
恵 小泉
Yoshinori Nishiki
善則 錦
Tsuneto Furuta
常人 古田
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De Nora Permelec Ltd
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Permelec Electrode Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 隔壁を介して電解室と反応室を有し、隔壁を
陰極として電解することにより反応室で還元又は水素化
するときに、隔壁の反応室側の触媒層が緻密性を欠いて
両室の液が混合して反応効率が低下することがないよう
にする。 【解決手段】 イオン交換膜又は多孔性膜である隔膜を
基体とし、これに実質的に液不透過性を有する水素吸蔵
性の金属又は合金からなる触媒層を形成させたことを特
徴とする電解用陰極。前記液不透過性触媒層が電気めっ
き、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティングのいず
れかの1つ以上の方法により形成され、その厚さが0.
5μmから30μmであること、前記隔膜の表面或いは
また内部に、無電解めっきによる白金族金属を担持して
いることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解により発生し
吸蔵透過する原子状水素によって、水素化又は還元反応
を連続的に、効率よく、かつ安価に行うための電解用陰
極及びこれを具備した電解槽に関する。
【0002】
【従来の技術】有機化合物の水素化(水素添加)反応
は、種々の化学分野で利用され、例えば石油のクラッキ
ング反応では重油質を水素化することによりガソリンや
灯油を得ている。またタール分の水素化により液状にし
て、より合目的な使用条件に適合させることなどの水素
化反応が実際に利用されている。更に不飽和炭化水素を
対応する飽和炭化水素に転化する反応にも水素化が利用
されている。
【0003】この水素化反応は通常均一系で進行させ
る。例えば有機化合物を反応槽中で接触触媒の存在下
に、水素を添加しながら反応を行う。パラジウムなどの
貴金属は、不飽和炭化水素の水素化反応の優れた触媒で
あることが知られている(S.Siegel,in C
omprehensive Organic synt
hesis,ed.,B.M.Trost and
I.Fleming,Pergamon Press,
Oxford,1991,vol.8)。このような反
応では高圧水素を使用するため高圧容器が必要であり、
また反応温度も比較的高いことが多く、更に使用する水
素の純度によっては爆発の危険性があるなどの問題点が
あった。また使用する触媒は、反応選択性が十分でない
ために副反応生成物が生ずるという問題点もあった。
【0004】反応選択性を高めしかもエネルギー消費を
減少させるために不均一系反応である電解還元法が採用
されている{A.M.Couper,D.Pletc
her and F.C.Walsh,Chem.Re
v.,1990,
〔90〕,837,T.Nonak
a,M.Takahashi and T.Fuchi
gami,Bull.Chem.Soc.Jpn.18
3 〔56〕,2584,M.A.Casadei
and D.Pletcher,Electrochi
m.Acta,〔33〕,117(1988),T.
Yamada,T.Osa and T.Matsu
e,Chem.Lette.,1989(1987),
L.Coche,B.Ehui,and J.C.M
outet,J.Org.Chem.,〔55〕,59
05(1990),J.C.Moutet,Y.Ou
ennoughi,A.Ourari and S.H
amar−Thibault,Electrochi
m.Acta,〔40〕,1827(1995)}。
【0005】ラネーニッケル等の大表面積を有する電極
触媒を使用すると、電気化学的に水素化反応を行うこと
が可能であり、良好な電力効率が期待できるとともに、
操作が安全かつ容易になるという特徴がある。しかし電
解で有機反応を行うためには、被処理物である有機化合
物自身が導電性であるか、そうでない場合には添加物を
加えて有機化合物を含む電解液を導電性とする必要があ
った。有機化合物の多くは非導電性であり、添加物を加
えることによる反応系の複雑化等の問題があった。更に
添加物を加えることによって操作が複雑化するととも
に、不純物レベルが高くなるという問題点もあった。水
素化反応では、均一系及び不均一系のいずれの触媒を使
用する場合でも、触媒上に生成した原子状水素が水素化
反応を促進する機能を有することが知られててる。
【0006】安全でしかも高効率で水素反応を行う他の
方法の一つとして、パラジウムやその他の水素吸蔵金属
合金等に水素を保持させ、これと水素化しようとする反
応を接触させる方法が知られている{K.Ohkaw
a,K.Hashimoto,A.Fujishim
a,Y.Noguchi and S.Nakayam
a,J.Electroanal.Chem.,〔34
5〕,445(1993)}。前述のパラジウム及び水
素吸蔵金属合金の多くは、こうした反応で触媒作用を有
するため、またパラジウムや他の水素吸蔵金属中の水素
は活性な水素として強い反応性を有するため、前記パラ
ジウム等が水素供給源及び水素化触媒として機能し、有
機化合物の水素化方法として高い機能を示すといわれて
いる。しかしながら、このパラジウムまたは水素吸蔵金
属合金を使用する水素化反応では、それらの水素吸蔵金
属合金の中に吸蔵できる水素量に限界があるため、反応
の進行に従って吸蔵水素が枯渇し、残りが未反応のまま
残っていてもそれ以上の反応が進行しなくなる。いわゆ
るバッチ式にしか作業ができないという問題点があっ
た。こうした方法は、実験室規模では問題がないが、工
業的規模では連続的な操業が不可能であり、極めて非能
率であるという問題点があった。
【0007】このような問題点を解決するために、本発
明者等は、陽極及び水素吸蔵材料から成る陰極を有する
電解槽の前記陰極の前記陽極との反対面に被反応物を接
触させながら電解を行い、前記陰極で発生する水素原子
を吸蔵し、かつ前記陰極の陽極との反対面側に透過させ
たこの水素原子により前記被反応物の水素化を行う方法
及び電解槽を提案している(特開平9−184080
号)。しかしながら、隔壁にパラジウムなどの金属板を
用いた場合にはそれ自身が高価であり、また、金属箔の
場合には大面積にした場合に破れやすいという欠点を持
っていた。
【0008】陰極となる隔壁材料にイオン交換膜や多孔
性膜を使用し、この隔壁に水素吸蔵金属(代表として金
属パラジウムまたはパラジウム合金)よりなる第1層
と、さらにその上に白金族金属黒または金よりなる多孔
質触媒の第2層を有した電解用陰極は既に知られている
(特開2000−234193)。しかしながら、この
方法によって形成された第1層及び第2層はしばしば緻
密性に欠ける場合があり、反応中に反応液や電解液が隔
壁を通過し、互いに混じり合ったり、望む反応が進まな
くなる問題がしばしばあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
イオン交換膜や多孔性膜を使用した隔壁に水素吸蔵金属
よりなる第1層と、その上に白金族金属黒または金より
なる多孔質触媒の第2層などの構造を有する電解用陰極
を用いて電解する際に、反応効率の高い電解を行うこと
ができるようにすることを課題とするものである。さら
に、本発明は、そのために、反応効率を低下させる原因
となる、触媒層などを反応液や電解液が通過したり、互
いに混じり合ったりすることが起こらないような電解用
陰極を得ることを課題とするものである。また、それを
用いた反応効率の高い電解槽を得ることを課題とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
下記の手段により解決した。 (1)イオン交換膜又は多孔性膜である隔膜を基体と
し、これに実質的に液不透過性を有する水素吸蔵性の金
属又は合金からなる触媒層を形成させたことを特徴とす
る電解用陰極。 (2)前記液不透過性触媒層が電気めっき、蒸着法、ス
パッタ法、イオンプレーティングのいずれかの1つ以上
の方法により形成され、その厚さが0.5μmから30
μmであることを特徴とする前記(1)記載の電解用陰
極。 (3)前記隔膜の表面或いはまた内部に、無電解めっき
による白金族金属を担持していることを特徴とする前記
(1)記載の電解用陰極。 (4)前記触媒層上に水素化又は還元触媒として、白金
族金属又は銅、ニッケル、亜鉛、スズ、金、銀などの金
属やそれらの合金及び酸化物を担持することを特徴とす
る前記(1)記載の電解用陰極。 (5)前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の電解用
陰極を隔壁として、電解槽を電解室と反応室に区画し、
前記反応室内で被処理物を還元または水素化反応させる
ことを特徴とする電解槽。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の大きな特徴は、隔壁に形
成したパラジウム黒、金属パラジウム又はパラジウム合
金などよりなる液不透過性の触媒層が構成され、隔壁を
介した液の移動が全く起こらない点にある。まず、イオ
ン交換膜又は多孔性膜へのパラジウム黒、金属パラジウ
ム又はパラジウム合金の形成を以下の方法にて行う。こ
こで用いるイオン交換膜あるいは多孔性膜は特に限定さ
れないが、例えばイオン交換膜としては、旭硝子株式会
社製のアニオン交換膜のセレミオンAMTやカチオン交
換膜ではセレミオンCMV、株式会社トクヤマ製のアニ
オン交換膜のネオセプタAMHやカチオン交換膜のネオ
セプタCMHなどを挙げることができる。また、多孔性
膜は、湯浅株式会社製のユミクロン膜、住友電工株式会
社製のポアフロン膜が挙げられる。
【0012】触媒層の形成方法として、蒸着法、スパッ
タ法又はイオンプレーティングのような物理的成膜法や
電気めっき、及びその組み合わせが有効である。これら
の方法によれば緻密な触媒層を形成することができる。
多孔性膜の空孔部をパラジウム黒、金属パラジウム又は
パラジウム合金で埋めることにより電解室から反応室へ
原子状水素が透過できるようになる。電気めっき法は簡
便であり、大型化も容易であり好ましく、以下のように
すれば活性な触媒層が形成される。
【0013】めっき液には塩化パラジウムを含む塩酸水
溶液を用いる。これをセルに入れ、第1層が形成された
イオン交換膜又は多孔性膜を作用極に、白金を対極とし
て配置し、定電流電解することによりパラジウム黒を析
出させる。パラジウム黒、金属パラジウム又はパラジウ
ム合金の膜厚は、0.5μmから30μmが望ましい。
厚くすると価格的に、圧延加工により成型可能な金属箔
にかえって劣る事となり、一方薄いとバリアとしての機
能が損なわれるので、0.5μmから30μmが好まし
いといえる。
【0014】電気めっきに先だって前記隔壁に導電性を
付与するために、前記隔壁を構成膜の反応室側表面或い
はまた内部に、無電解めっきにより白金族金属を担持す
ることは、触媒の付着強度を向上させるために有効であ
る。イオン解離性を持つイオン交換膜上への方法として
は特に適している。無電解めっき溶液は例えば以下のよ
うにすればよい。まず、塩化パラジウムを含む塩酸水溶
液にアニオン交換膜を浸漬し、膜にPdCl4 -を吸着す
る。次に還元剤として次亜リン酸水溶液中に浸漬するこ
とでアニオン交換膜上にパラジウム黒を析出させること
ができる。また、電気めっき法以外では無電解めっき法
や水素吸蔵金属から脱着する活性な原子状水素による還
元(特開平11−61423)でも白金族金属黒又は金
を析出することができるが、これらの無電解めっき法な
どによるときには、微細な金属微粒子の集合体である被
膜が形成されるだけであるので、それにより触媒層を形
成してもそれは液透過性であるため、本発明の目的を達
成することはできない。
【0015】被水素化物の水素化にあたっては、触媒層
を構成する触媒としては、被反応物との接触面積が大き
いものであることが望ましく、その例としてパラジウム
黒、白金黒を挙げることができる。光沢の出ないパラジ
ウム黒は大面積を有し、有機化合物の還元触媒として優
れている。目的の反応効率及び選択性を向上させるため
に、パラジウム黒の上にさらに白金族金属および銅、ニ
ッケル銅、亜鉛、スズ、金、銀などの金属やそれらの合
金および酸化物を担持することも有効である。
【0016】前記陰極を隔壁として電解室と反応室を区
画した電解槽を用いて、電解により陰極で発生し、その
陰極の中を通って陰極で構成される隔壁から反応室へ透
過した原子状水素により反応室中の被反応物への水素添
加反応や還元反応を行うことが可能になる。反応例とし
て、イオン交換膜上へ下地として無電解めっき法にて金
属パラジウムを形成させ、さらに液不透過性触媒層とし
て電気めっき法によりパラジウム黒を形成したものを陰
極とした、スチレンの水素化によるエチルベンゼンの生
成や、4−メチルスチレンの水素化による4−エチルト
ルエンの生成を挙げることができる。また廃水処理とし
ての用途にも適しており、硝酸廃液の残留窒素の低減が
挙げられる。本電解槽は非常に反応性の高い原子状水素
で反応を行うことができ、かつ、電気化学的制御により
反応速度を任意に変えることができる特徴を持ち、被水
素化物としては、無機化合物でも有機化合物でもよく、
化合物の状態は溶液でも気体でもよい。
【0017】
【化1】
【0018】
【実施例】以下、実施例によって説明するが、本発明は
これらに限定されないことは言うまでもない。
【0019】(実施例1)旭硝子株式会社製アニオン交
換膜セレミオン(登録商標)AMTに以下の工程によっ
て片面のみに、下地層として無電解めっきによりパラジ
ウム黒を担持した。 吸着浴:0.013M塩化パラジウム+0.8M塩酸水
溶液 温 度:25℃ 時 間:24時間 還元浴:0.92M次亜リン酸水溶液 温 度:室温 時 間:24時間 この方法により、前記セレミオン(登録商標)AMT上
に下地層として膜厚に換算して5μmのパラジウム黒を
形成した。
【0020】さらに、前記下地層を担持したセレミオン
(登録商標)AMTを陰極として、液不透過性触媒層の
パラジウム黒を電気めっきにより担持した。 陽 極:白金 陰 極:膜厚5μmのパラジウム黒を担持したセレミオ
ン(登録商標)AMT 電解液:0.028M塩化パラジウム+1M塩酸水溶液 電流密度:1A/dm2 電解時間:1時間 この方法により第2層として膜厚に換算して5μmのパ
ラジウム黒を形成した。これによりセレミオン膜表面に
は緻密なパラジウム黒層が形成され、液の透過も防止さ
れる。
【0021】この電極を、隔壁を介して電解室と反応室
とが設けられている電解槽の陰極兼隔壁として配置し、
電解室の陽極としてニッケル板を配置した。電解室には
1M水酸化カリウム水溶液を入れた。反応室には反応基
質としてスチレンを入れ、電流密度1A/dm2でスチ
レンの水素化を行った。 陽 極:ニッケル 陰 極:膜厚10μmのパラジウム黒を担持したセレミ
オン(登録商標)AMT(有効面積:0.28cm2) 電解液:1M水酸化カリウム 電流密度:0.4A/dm2 反応温度:室温 反応基質:スチレン(純度100%)5ml その結果、スチレンの水素化に対する電流効率は65%
だった。
【0022】(比較例1)触媒層として下地層と同様な
無電解パラジウムめっきにより5μmのパラジウム金属
層を担持した以外は、実施例1と同様にしてスチレンの
水素化を試みた。その結果、スチレンの水素化に対する
電流効率は30%であった。これはパラジウム黒が担持
されていないため、背面への原子状水素の供給量が少な
いことが原因であると推定される。
【0023】(実施例2)実施例1と同様にして、セレ
ミオン(登録商標)AMTの片面に無電解めっきにより
膜厚5μmのパラジウム黒を担持した。さらに電気めっ
きでパラジウム黒を10μm担持して、膜厚で15μm
のパラジウム黒を担持したセレミオン(登録商標)AM
Tを電極に用いて、電流密度4A/dm2でスチレンの
水素化を試みた。その結果、スチレンの水素化に対する
電流効率は90%であった。
【0024】(実施例3)実施例1と同様にして、セレ
ミオン(登録商標)AMTの片面に膜厚1μmのパラジ
ウム黒を蒸着法で担持した。その後、さらに電気めっき
でパラジウム黒を10μm担持した電極を用いて、実施
例1と同様の条件にてスチレンの水素化を試みた。その
結果、スチレンの水素化に対する電流効率は80%であ
った。
【0025】(比較例2)陰極体として膜厚50μmの
市販のパラジウム箔を用いたこと以外は、実施例2と同
様にしてスチレンの水素化を試みた。その結果、スチレ
ンの水素化に対する電流効率は30%であった。
【0026】(実施例4)旭硝子株式会社製カチオン交
換膜セレミオン(登録商標)CMVに以下の工程によっ
て片面のみに、下地層として無電解めっきによりパラジ
ウム黒を担持した。 吸着浴:0.013Mテトラアンミンパラジウム(II)塩
化物水溶液 温 度:25℃ 時 間:24時間 還元浴:0.92M次亜リン酸水溶液 温 度:室温 時 間:24時間 この方法により、膜厚に換算して4μmのパラジウム黒
を下地層として形成した。
【0027】さらに、下地層を担持したセレミオン(登
録商標)CMVを陰極として、液不透過性触媒層のパラ
ジウム黒を電気めっきにより担持した。 陽 極:白金 陰 極:膜厚4μmのパラジウム黒を担持したセレミオ
ン(登録商標)CMV 電解液:0.028M塩化パラジウム+1M塩酸水溶液 電流密度:1A/dm2 電解時間:1時間 この方法により第2層として膜厚に換算して5μmのパ
ラジウム黒を形成した。これによりセレミオン膜表面に
は緻密なパラジウム黒層が形成され、液の透過も防止さ
れる。
【0028】この電極を、隔壁を介して電解室と反応室
とが設けられている電解槽の陰極兼隔壁として配置し、
陽極として白金を配置した。電解室には1M硫酸水溶液
を入れ、反応室には反応基質としてスチレンを入れ、電
流密度0.4A/dm2で電解してスチレンの水素化を
行った。 陽 極:白金 陰 極:膜厚9μmのパラジウム黒を担持したセレミオ
ン(登録商標)CMV(有効面積:0.28cm2) 電解液:1M硫酸 電流密度:0.4A/dm2 反応温度:室温 反応基質:スチレン(純度100%)5ml その結果、スチレンの水素化に対する電流効率は78%
だった。
【0029】(実施例5)スチレンの水素化での電流密
度を4A/dm2にしたこと以外は、実施例4と同様に
してスチレンの水素化を行った。その結果、スチレンの
水素化に対する電流効率は94%だった。
【0030】(比較例3)触媒層として下地層と同様な
無電解パラジウムめっきにより5μmのパラジウム黒層
を担持した以外は、実施例4と同様にしてスチレンの水
素化を試みた。その結果、スチレンの水素化に対する電
流効率は42%であった。
【0031】(実施例6)住友電工株式会社製の中性ポ
アフロン膜の片面上に蒸着法によって膜厚0.1μmの
パラジウム薄膜を形成し、電気めっきによってさらに2
0μmのパラジウムを担持した。実施例1と同様の条件
にてスチレンの水素化を試みた。その結果、スチレンの
水素化に対する電流効率は90%であった。
【0032】(実施例7)実施例1と同様にして電極を
作製し、その後、その上にSnを電気めっきにより0.
1μm担持した電極を用いて以下のような条件にて硝酸
イオンの還元を試みた。 陽 極:Ni 陰 極:0.1μmのSnを担持した実施例1の電極
(有効面積:2cm2) 電解液:1M水酸化カリウム水溶液 電流密度:10A/dm2 反応基質:0.03M硝酸水溶液30ml 温 度:室温 その結果、電流効率約30%で、硝酸イオンが還元され
た。
【0033】(比較例4)比較例1と同様の電極に0.
1μmのSnを担持した電極を用いた事以外は実施例7
と同様の条件にて硝酸イオンの還元を試みた。その結
果、硝酸イオンは電流効率約10%で、硝酸イオンが還
元された。一部の硝酸が電解室で検出された。
【0034】
【発明の効果】本発明の電解用陰極を用いることによ
り、陽極及び水素吸蔵材料からなる陰極を有する電解槽
で、隔壁により該陰極の電解面との反対側を反応室とし
て区画し、前記反応室内で被処理物を還元又は水素化反
応させる電解プロセスにおいて、電解による被処理物の
還元又は水素化反応を高い電流効率で行うことができ
る。この高い電流効率は、本発明で使用する、隔壁を構
成するイオン交換膜又は多孔性膜からなる膜の前記反応
室側表面に有する水素吸蔵性を有する金属又は合金より
なる触媒層が実質的に液不透過性のものであることによ
り得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 錦 善則 神奈川県藤沢市遠藤2023番15 ペルメレッ ク電極株式会社内 (72)発明者 古田 常人 神奈川県藤沢市遠藤2023番15 ペルメレッ ク電極株式会社内 Fターム(参考) 4K011 AA11 AA28 AA29 AA30 AA48 AA68 BA02 BA04 BA07 DA10 4K021 AB25 AC02 BA11 BA17 DB05 DB18 DB20 DB31 DB36 DB53 4K024 AA12 AB01 AB06 BA11 BB09 BC07 CA01 DA10 GA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換膜又は多孔性膜である隔膜を
    基体とし、これに実質的に液不透過性を有する水素吸蔵
    性の金属又は合金からなる触媒層を形成させたことを特
    徴とする電解用陰極。
  2. 【請求項2】 前記液不透過性触媒層が電気めっき、蒸
    着法、スパッタ法、イオンプレーティングのいずれかの
    1つ以上の方法により形成され、その厚さが0.5μm
    から30μmであることを特徴とする請求項1記載の電
    解用陰極。
  3. 【請求項3】 前記隔膜の表面或いはまた内部に、無電
    解めっきによる白金族金属を担持していることを特徴と
    する請求項1記載の電解用陰極。
  4. 【請求項4】 前記触媒層上に水素化又は還元触媒とし
    て、白金族金属又は銅、ニッケル、亜鉛、スズ、金、銀
    などの金属やそれらの合金及び酸化物を担持することを
    特徴とする請求項1記載の電解用陰極。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の電解
    用陰極を隔壁として、電解槽を電解室と反応室に区画
    し、前記反応室内で被処理物を還元または水素化反応さ
    せることを特徴とする電解槽。
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