JPH06173061A - ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法 - Google Patents

ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法

Info

Publication number
JPH06173061A
JPH06173061A JP4352632A JP35263292A JPH06173061A JP H06173061 A JPH06173061 A JP H06173061A JP 4352632 A JP4352632 A JP 4352632A JP 35263292 A JP35263292 A JP 35263292A JP H06173061 A JPH06173061 A JP H06173061A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exchange membrane
gas
ion exchange
thin layer
electrode structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP4352632A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3264535B2 (ja
Inventor
Takayuki Shimamune
孝之 島宗
Yasuo Nakajima
保夫 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
De Nora SpA
De Nora Permelec Ltd
Original Assignee
De Nora Permelec SpA
Permelec Electrode Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by De Nora Permelec SpA, Permelec Electrode Ltd filed Critical De Nora Permelec SpA
Priority to JP35263292A priority Critical patent/JP3264535B2/ja
Publication of JPH06173061A publication Critical patent/JPH06173061A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3264535B2 publication Critical patent/JP3264535B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のガス電極では電解液が電極触媒に浸透
し、電極触媒の劣化を起こしやすかった。本発明はガス
電極の特性である電解電圧の低減効果を維持したまま電
極触媒の劣化を抑制し長期間機能を維持できるガス電極
構造体及び該構造体を使用する電解方法を提供すること
を目的とする。 【構成】 ガス電極5の基体として、導電性炭素薄層10
の電解液室6側に導電性で実質的に液不透過性のイオン
交換膜基体9を設置する。このイオン交換膜基体9は電
解液の浸透を抑制し電極触媒に到達する必要がある電解
質のみを透過させるため電解反応に悪影響を及ぼすこと
なく電解液やその中に含有される不純物による電極触媒
の劣化を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学プロセスに使
用する省電力型ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を
使用する電解方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】電気化学プロセス用電極とし
て旧来は、電極として使用されたときに十分に耐久性を
有する導電性物質が使用されてきた。即ち陰極としては
陰分極時に安定で入手しやすい鉄やニッケル等が使用さ
れ、陽極としては溶解してしまう通常の金属ではなくグ
ラファイト質の炭素が使用されてきた。又チタン等の弁
金属がそのままでは不働態化してしまうが陽分極に対し
極めて安定である性質を利用して電極基体としての前記
弁金属上に該弁金属の不働態化防止用及び電極物質とし
て機能する白金族金属やその酸化物を被覆して調製され
る電極が使用されてきている。この他に導電性酸化物で
ある酸化鉛や酸化マンガンもそれ自身では物理的強度や
導電性が不十分であるが、チタン等の基体上に前記物質
を被覆することにより電極として実用化されている。
【0003】これらの電極では陰極で水素が発生し陽極
では酸素やハロゲンを発生しながら電解液中に電流を流
しかつ目的とする電解反応を進行させたり、電解塩分離
を行ったりしている。これらの陽極や陰極では発生ガス
が目的の製品でないことが多く、このガス発生に必要と
するエネルギーが極めて大きくエネルギーロスになって
しまうという問題点がある。この欠点を解消するために
例えば陰極室に酸素含有ガスを供給して該陰極室で発生
する水素と反応させて水素ガス発生に要するエネルギー
の浪費を回避してエネルギー消費量を減少させあるいは
エネルギー回収を行いながら電解したり、あるいは陰極
室で発生する水素を陽極室に循環させて陽極室で発生す
る酸素と反応させて同様にエネルギー消費を減少させな
がら電解するいわゆるガス電極が知られている。
【0004】このガス電極は通常炭素を主とする導電性
物質から成る多孔質構造であり、一方面を疎水性(撥水
性)として電解液の浸透を防止するとともにガス供給が
全面に渡って有効に行えるようにし、他面を電極触媒を
担持した親水性層とし、前記疎水性を浸透してきたガス
と電解液中の電解質が前記親水層面上で反応して減極を
行い、少ない電力で電解を行うようにしている。この電
極では電解実験のような不純物の少ない理想的な電解条
件の場合には問題がないが、工業的に使用される場合に
は、通常電解液中に不純物が含まれこの不純物が電極触
媒を被毒し、又使用される電解液自身に腐食性があると
電極触媒を消耗させるという問題点がある。従来から工
業的な食塩電解つまりクロルアルカリ電解で水素発生な
しに食塩と苛性ソーダを得て電解電圧の低下を図る方法
が提案されているが実用までには至っていない。これは
電極触媒が現在のイオン交換膜法の陰極室での条件つま
り90℃以上の30〜35%の苛性ソーダ中で十分な耐久性が
ないためと考えられており、このような腐食性に対する
耐性と触媒としての活性を合わせ持ち、しかも数年以上
の性能の保持が可能な電極を製造することは現在の技術
をもってしても極めて困難と言わざるを得ない。
【0005】
【発明の目的】本発明は、叙上の問題点を解決し電解液
が腐食性であっても長期間の工業的使用に十分耐え得る
ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明に係わるガス電
極構造体は、イオン交換膜基体、該イオン交換膜基体の
片面に形成された白金族金属又はその酸化物を電極触媒
として担持させた導電性炭素薄層、及び該薄層の前記イ
オン交換膜金属との反対面に密着して配置された多孔性
集電体を含んで成ることを特徴とするガス電極構造体本
発明方法は該ガス電極構造体を陽極又は陰極あるいは陽
極及び陰極の両極として使用する電解方法である。以下
本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明におけるガス電極の特徴は、前述の
従来のガス電極と異なり基体としてイオン交換膜基体を
使用し該イオン交換膜基体を電解液と接触する側に設置
し、電極触媒を有する導電性炭素薄層と電解液の間を実
質的に液不透過性で導電性を有するイオン交換膜で遮断
した点にある。基体としてこのイオン交換膜基体でなく
従来の多孔性基体を使用すると従来の通り電解液が電極
触媒を有する導電性炭素薄層まで到達して該電解液の腐
食性や該電解液に含まれる不純物による電極触媒の消耗
や劣化を招来する。しかしガス電極を使用する電解反応
では電解液が電極触媒と接触する必要はなく、電解液中
の電解質及び該電解質とは別個に供給されるガスとが電
極触媒に接触し所定のイオンが形成されさえすれば十分
である。つまり陽極室ではH2 →2H+ +2e- の式に
従って水素イオンが発生し陰極室ではO2 +2H2 0+
4e- →4OH- の式に従って水酸イオンがそれぞれ発
生すれば十分である。
【0008】そして本発明のガス電極構造体では基体と
して実質的に液不透過性で導電性を有するイオン交換膜
基体を使用しているため、該ガス電極構造体により陽極
室及び/又は陰極室が電解液室とガス室に区画され、電
解液室側の電解液中のイオン交換膜基体を透過できる所
望の電解質のみが該基体を透過して導電性炭素薄層に達
し電極触媒によりガスと反応して所望の電解反応が行わ
れ、かつ生成物は電場により再度前記イオン交換膜基体
を通して電解液室に戻る。従って本発明に係わるガス電
極構造体では導電性炭素薄層中の電極物質は原則として
ガス状の水(水蒸気)、水素及び酸素ガス(又は空気)
のみと接触し、電解液中の腐食性物質や不純物がイオン
交換膜基体を透過して導電性炭素薄層に到達して電極触
媒を劣化させることが殆どなくなり、十分な減極を行っ
て電解電圧の低下を達成できかつ長寿命のガス電極を提
供することができる。一方イオン交換膜基体の使用によ
り抵抗損が生じてその分電圧や電力消費量が大きくなる
ことが考えられるが、該イオン交換膜基体は主として電
解液の拡散を防止する目的であり、陽極室側ではプロト
ン(H+ )の流れのみで殆ど抵抗がなく、又陰極室側で
は水酸イオンの流れのためイオン交換膜基体のイオン交
換膜の種類にもよるが3〜400 mVの電圧上昇はある
が、全体の消費電力の数分の1であり、この程度であれ
ば従来法における発生ガスの過電圧の存在を考慮すると
さほど大きいとはいえず効果として十分である。
【0009】本発明に係わるガス電極構造体は陽極及び
陰極のいずれの極としても使用することができ、本発明
に係わるガス電極構造体のイオン交換膜基体の種類はい
ずれの極で使用するかにより適宜選択すればよく、陽極
として使用する場合には陽イオン交換膜を、陰極として
使用する場合には陰イオン交換膜をそれぞれ使用するこ
とが好ましい。しかし陽極としての使用の場合にはプロ
トンの透過の点からはプロトンのサイズが小さくイオン
交換膜の種類によらず自由に透過しやすいため陽イオン
交換膜でも陰イオン交換膜でもよく、比較的サイズの大
きい陽イオンの浸透を排除したい場合には陰イオン交換
膜を使用することが望ましいが、他の場合には一般に抵
抗の小さい陽イオン交換膜を使用する。この陽イオン交
換膜により陰イオンの浸透が抑制されることは勿論、電
解中に生ずるプロトンとこれに伴う移行水を前記膜から
電解液中へ移行させる力により他のイオンの導電性炭素
薄層方向への移行が阻害されて、実質的に陽イオンが電
極触媒を担持した導電性炭素薄層へ移行することが阻止
され、これにより前述の通り電極触媒を劣化させること
が殆どなくなる。
【0010】一方前記ガス電極構造体を陰極として使用
する場合にはイオン交換膜基体を通って水酸イオンが電
解液中に供給されなければならないためイオン交換膜基
体として陰イオン交換膜を使用することが必要である。
該陰イオン交換膜の材質は電解液等の電解条件に応じて
適宜選択すればよいが、クロルアルカリ電解に使用する
場合には30〜35%の苛性ソーダ水溶液に耐性のあるイオ
ン交換膜を選択する必要があり、通常の電気透析に使用
されるハイドロカーボン系ではなくフッ素樹脂系のイオ
ン交換膜を選択することが望ましい。これらのイオン交
換膜基体のイオン交換膜のイオン交換容量は特に限定さ
れないが、陰イオン交換膜は電気抵抗が大きいため、電
気抵抗の小さいイオン交換膜を選択することが望まし
い。通常陰イオン交換膜を使用すると電流効率が低下す
ることが指摘されているが、電場が掛かること及び該陰
イオン交換膜の一方面にガス層が形成されることから、
殆ど問題にならない。このイオン交換膜基体の片面に形
成される導電性炭素薄層は、該薄層上に担持される電極
触媒上でガスがイオンに変換されるため適当な湿分と十
分なガスとの接触表面積を有することが必要である。該
薄層は別個に調製して前記イオン交換膜基体に接着等を
行っても良いが、該イオン交換膜基体表面積に直接形成
することが望ましい。該薄層の材質は導電性を有する任
意の炭素系材料とし、該材料としては高表面積と高電気
伝導度の点からグラファイト質の炭素が望ましく、その
厚さは30〜100 μmとすることが好ましい。これは100
μmを越えると導電性の低下が生ずる恐れがあり、30μ
m未満では十分な表面積を確保できなくなる恐れがある
からである。この導電性炭素薄層の材質や形成方法は陽
極用及び陰極用の場合に同一でも変えてもよい。この導
電性炭素薄層の形成方法は特に限定されず、例えばグラ
ファイトの微粉好ましくはサブミクロンサイズを含む微
粉末やピッチ系炭素繊維をフッ素樹脂とともに混練して
前記イオン交換膜基体に焼付けあるいは化学蒸着(CV
D)法や吹付塗装法等でグラファイト微粉末を付着させ
ることができるが、比較的低温で形成できるCVD法が
望ましい。該CVD法の操作条件も特に限定されない
が、従来法を本発明のガス電極構造体製造用に修正して
実施することができる。例えば、イオン交換膜基体表面
を予め紙やすりやPVD法で粗面化し清浄化した後、10
0 〜200 ℃に保持し若干のアルゴンを流しながらメタン
やメチルアルコールを700 ℃程度に加熱し分解しながら
分解した炭素を付着させ前記イオン交換膜基体上に前記
導電性炭素薄層を形成することができる。なお該導電性
炭素薄層中にはバインダーとしてフッ素樹脂を含ませて
も良い。
【0012】次いでこの導電性炭素薄層に電極触媒を担
持させる。電極触媒としては陽極用としても陰極用とし
ても白金族金属やその酸化物を使用し、特に白金黒やル
テニウム黒が有効であり、更に酸化ルテニウムや酸化イ
リジウムは陽極物質としては特に有効である。これらの
電極触媒成分は反応の種類、経済性及び調製の容易性を
考慮して選択すればよい。例えば白金を担持させるため
には、前記導電性炭素薄層の表面を活性化した後、塩化
白金酸等の白金族金属化合物の水溶液、アルコール溶液
又は希塩酸水溶液を前記導電性炭素薄層表面に塗布し、
200 〜300 ℃で加熱分解するか、前記白金族金属化合物
の水溶液を導電性炭素薄層上に塗布し乾燥後、ヒドラジ
ン等の還元剤水溶液を塗布し100 ℃程度に加熱しその後
適宜水洗及び乾燥等を行えば良い。
【0013】このように調製された電極触媒が担持され
たガス電極構造体はこのまま使用しても良いが、湿潤ガ
スに曝されることにより結果的に全体が水層で覆われて
供給ガスとの接触が完全でなくなるとともに耐久性も不
十分になる可能性がある。そのためには前記ガス電極構
造体の表面にある程度の疎水性を与えておくことが好ま
しく、ガス電極構造体の表面に水 状のフッ素樹脂液や
フッ素樹脂系イオン交換樹脂液てあるナフィオン(商品
名)液を塗布し乾燥して余分を液を除去することにより
電極表面の疎水化を達成することができる。特にナフィ
オン液は親水的面も有し保護作用が大であるため特に望
ましい。この後に必要に応じて100 〜250 ℃程度の温度
で熱処理を行ってもよい。このナフィオン液の被覆によ
り表面積が小さくなるが、被反応物は気体であり触媒と
接触してイオンとなりイオン交換膜基体を透過し電解液
とともに速やかに除去されるため実際上は殆ど問題がな
い。
【0014】このように調製されたガス電極構造体の前
記導電性炭素薄層側に集電体を接続する。該集電体とし
ては金属製の微細孔を有するメッシュや多孔板等の多孔
体とする。その材質は、陰極側で使用する場合にはある
程度陰分極されるので負側で耐食性のある鉄、ニッケル
及びステンレススチールが望ましく、又陽極側で使用す
る場合にはプロトンが存在する酸性条件でありかつ殆ど
電位が掛からないため安定な金属導電体が少なく、通常
はチタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ等の弁金属
が使用されるが必ずしも満足できるものでなく、ニオブ
やタンタル又はこれらの基合金はそのまま使用できる
が、チタンやジルコニウムの場合にはその表面に白金等
のメッキを行っておくことが望ましい。特にチタンの場
合には酸中での耐久性が十分でないため表面に白金や金
のメッキを行う必要がある。陰分極されるので負側で耐
食性のある鉄、ニッケル及びステンレススチールが望
【0015】次に添付図面に基づいて本発明のガス電極
構造体を説明する。図1は本発明に係わるガス電極構造
体を陽極として電解槽に組み込んだ状態を示す概略縦断
面図である。箱型電解槽1はイオン交換膜2により陽極
室3と陰極室4とに区画され、該陽極室3はガス電極構
造体5により更に電解液室6とガス室7に区画されてい
る。前記ガス電極構造体5は前記イオン交換膜2側か
ら、下端が電解槽底板8に接触するパーフロロスルホン
酸系イオン交換膜基体9−白金族金属やその酸化物から
成る電極触媒が担持されたグラファイト等から成る導電
性炭素薄層10−集電体11の順に積層されて成り、前記イ
オン交換膜基体9により電解液室6内の電解液がガス室
7内に移行することが防止されている。又陰極室4内に
は電解液に浸漬したニッケル板等から成る陰極12が配設
されている。
【0016】このガス電極構造体5を有する電解槽1を
芒硝電解陽として使用する場合には、陽極室3の電解液
室6と陰極室4に芒硝水溶液を、又陽極室3のガス室7
に水素ガスをそれそれ供給しながら集電体11を通して通
電する。電解液室6内の水はイオン交換樹脂薄層9を浸
透して電極触媒が担持された導電性炭素薄層10に達し、
電解されて酸素イオンを発生する。この酸素イオンは供
給される水素ガスと反応して水に変換されるため、ガス
発生に要するエネルギー分だけ低いエネルギーでつまり
低電解電圧で電解を進行させることができる。そしてこ
の電解では電解液室6内の電解液に含まれる硫酸イオン
や他の不純物の透過がイオン交換膜基体9により抑制さ
れ電極触媒を劣化させる恐れのあるこれらの物質が前記
電極触媒を有する導電性炭素薄層10に達しないため電極
触媒の劣化が抑制され電極触媒の長寿命化を図ることが
できる。
【0017】
【実施例】次に本発明のガス電極構造体を芒硝電解に適
用した実施例を記載するが、本発明のガス電極構造体及
び本発明の電解方法はこれらに限定されるものではな
い。
【実施例1】パーフロロスルホン酸型陽イオン交換膜で
あるナフィオン117 の表面をガラスビーズでブラスト処
理した後、40℃の5%苛性ソーダ水溶液に24時間浸漬し
た。更にこの表面に、メタン10重量%及びメチルアルコ
ール90重量%の混合ガスを使用し、700 ℃程度で分解し
て生成する炭素粉末を付着させる化学蒸着法により導電
性炭素薄層を形成した。成膜速度は5μm/分とし、前
記薄層の厚さが40μmになるまで処理を行った。
【0018】この導電性炭素薄層を形成したイオン交換
膜基体を電極として塩化白金酸水溶液中で交流を交えた
直流で処理し約10g/m2 の割合で白金黒を被覆した。
このイオン交換膜基体を洗浄乾燥後、水で希釈した市販
のナフィオン液を前記導電性炭素薄層に塗布し150 ℃で
15分間保持して焼付けた。再び水洗して4×2mmで厚
さ0.2 mmのエキスパンドメッシュを集電体として取付
け、本実施例のガス電極とした。理論量の20%増の水素
ガスを水層を通した後に陽イオン交換膜によって仕切ら
れかつ前記ガス電極を設置した2室法電解槽の陽極室に
供給しながら陽極室に陽極液として20%の硫酸ナトリウ
ム(芒硝)水溶液を供給して温度70℃、電流密度20A/
dm2 で電解し、陽極室で硫酸と芒硝の混合水溶液を、陰
極室で15%の苛性ソーダ水溶液を得た。槽電圧は1.9 V
であり、電流効率は88%であり、又陽極部分の電位は0.
3 Vであった。
【0019】
【比較例1】実施例1のガス電極の代わりに、従来の酸
素発生用陽極であるチタン基体表面に酸化イリジウムと
酸化タンタルの複合酸化物を形成したものを使用したこ
と以外は、実施例1と同一条件で芒硝電解を行ったとこ
ろ陽極電位は1.55Vで、槽電圧は3.2 Vであった。
【0020】
【実施例2】イオン交換膜基体として東ソー株式会社製
トフレックスIE−SA−48を使用したこと以外は実施
例1と同一条件で導電性炭素薄層及び電極触媒の担持を
行い、更に厚さ0.2 mmで直径2mmの孔を2.5 mmピ
ッチで千鳥状に穿設したニッケル多孔板を取り付けた。
この集電体付きイオン交換膜基体を苛性アルカリ電解用
イオン交換膜電解槽の陰極室に陰極として設置した。電
流密度3kA/m2 、温度90℃、陽極液を200g/リッ
トルの塩化ナトリウムとして電解を行ったところ、陰極
室で33%の苛性ソーダが得られ、槽電圧は2.4 Vであっ
た。
【0021】
【比較例2】実施例2のイオン交換膜基体の代わりに通
常の活性化陰極としてラネーニッケルを表面に被覆した
厚さ1mmのニッケルエキスパンドメッシュを使用して
陰極室で水素を発生させながら電解を行ったこと以外は
実施例2と同一条件で芒硝電解を行ったところ、槽電圧
は3.0 Vであり、実施例2のガス電極を使用した方が60
0 mVの電圧低下が見られた。陽極側にガス電極を使用
した場合(実施例1及び比較例1)と比較して電圧低下
が小さいのは、陰イオン交換膜の抵抗が大きいこと並び
にガス電極の過電圧が大きいためと考えられる。
【0022】
【発明の効果】本発明に係わるガス電極構造体は、イオ
ン交換膜基体、該イオン交換膜基体の片面に形成された
白金族金属又はその酸化物を電極触媒として担持させた
導電性炭素薄層、及び該薄層の前記イオン交換膜金属と
の反対面に密着して配置された多孔性集電体を含んで成
ることを特徴とするガス電極構造体である。このような
構成から成る本発明のガス電極構造体では電極触媒が担
持された導電性炭素薄層より電解液側にイオン交換膜基
体が設置されているため、該イオン交換膜基体により陽
極室及び/又は陰極室が電解液室とガス室に区画され、
電解液室側の電解液中の前記イオン交換膜基体を透過で
きる所望の電解質のみが該基体を透過して導電性炭素薄
層に達し電極触媒によりガスと反応して所望の電解反応
が行われ、かつ生成物は電場により再度前記基体を通し
て電解液室に戻る。従って電解液中の腐食性物質や不純
物がイオン交換膜基体を透過して導電性炭素薄層に到達
して電極触媒を劣化させることが殆どなくなり、十分な
減極を行って電解電圧の低下を達成できかつ長寿命をの
ガス電極を提供することができる。
【0023】本発明のガス電極は陽極としても陰極とし
ても使用することができ、その調製に際しては電極触媒
そして必要に応じてイオン交換膜基体のイオン交換樹脂
の種類を適宜選択する以外は同一プロセスで調製するこ
とができる。イオン交換膜基体表面の導電性炭素薄層は
化学蒸着により形成されたグラファイト質多孔体である
ことが好ましく、化学蒸着によると複雑な形状のイオン
交換膜基体でもその所定面全面に高表面積と高電気伝導
度を有するグラファイトを形成することができる。
【0024】又導電性炭素薄層は十分な表面積を確保し
かつ導電性の低下を防止するためにその厚さは30〜100
μmとすることが望ましくい。又本発明方法は、前述の
ガス電極を陽極及び/又は陰極として使用して各種電解
を行う方法であり、前述のガス電極の場合と同様に、電
解液中の腐食性物質や不純物がイオン交換膜基体を透過
して導電性炭素薄層に到達して電極触媒を劣化させるこ
とが殆どなくなり、十分な減極を行って電解電圧の低下
を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるガス電極構造体を陽極として電
解槽に組み込んだ状態を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・電解槽 2・・・イオン交換膜 3・・・陽極
室 4・・・陰極室 5・・・ガス電極 6・・・電解液室 7・・・ガス室
8・・・底板 9・・・イオン交換膜基体 10・・・
導電性炭素薄層 11・・・集電体 12・・・陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 保夫 東京都杉並区南荻窪4−26−1 オーク荻 窪401号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換膜基体、該イオン交換膜基体
    の片面に形成された白金族金属又はその酸化物を電極触
    媒として担持させた導電性炭素薄層、及び該薄層の前記
    イオン交換膜金属との反対面に密着して配置された多孔
    性集電体を含んで成ることを特徴とするガス電極構造
    体。
  2. 【請求項2】 導電性炭素薄層が化学蒸着により形成さ
    れたグラファイト質多孔体である請求項1に記載のガス
    電極構造体。
  3. 【請求項3】 導電性炭素薄層の厚さが30〜100 μmで
    ある請求項1に記載のガス電極構造体。
  4. 【請求項4】 イオン交換膜により陽極室及び陰極室に
    区画された電解槽の前記陽極室に、イオン交換膜基体の
    片面に白金族金属又はその酸化物を電極触媒として担持
    させた導電性炭素薄層を形成し該薄層の前記イオン交換
    膜基体との反対面に多孔性集電体を密着して配置して成
    るガス電極構造体を陽極として設置し、前記集電体側か
    ら水素ガスを供給しながら該集電体に陽電位を印加し電
    解を行うことを特徴とする電解方法。
  5. 【請求項5】 イオン交換膜により陽極室及び陰極室に
    区画された電解槽の前記陰極室に、陰イオン交換膜基体
    の片面に白金族金属又はその酸化物を電極触媒として担
    持させた導電性炭素薄層を形成し該薄層の前記イオン交
    換膜基体との反対面に多孔性集電体を密着して配置して
    成るガス電極構造体を陰極として設置し、前記集電体側
    から湿潤酸素含有ガスを供給しながら該集電体に陰電位
    を印加し電解を行うことを特徴とする電解方法。
JP35263292A 1992-12-10 1992-12-10 ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法 Expired - Fee Related JP3264535B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35263292A JP3264535B2 (ja) 1992-12-10 1992-12-10 ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35263292A JP3264535B2 (ja) 1992-12-10 1992-12-10 ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06173061A true JPH06173061A (ja) 1994-06-21
JP3264535B2 JP3264535B2 (ja) 2002-03-11

Family

ID=18425375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35263292A Expired - Fee Related JP3264535B2 (ja) 1992-12-10 1992-12-10 ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3264535B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5144239A (en) * 1989-08-16 1992-09-01 Siemens Aktiengesellschaft Circularly polarizing rf antenna for an mri apparatus
JP2003221691A (ja) * 2002-01-31 2003-08-08 Permelec Electrode Ltd 電解用陰極とこれを用いる電解槽
CN114990603A (zh) * 2014-01-15 2022-09-02 蒂森克虏伯新纪元氯氢有限公司 离子交换膜电解槽

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000016948A (ja) 1998-04-30 2000-01-18 Noda Inst For Scient Res コンプレスタチンまたはその誘導体を有効成分とするfgf阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍剤
KR20150021799A (ko) * 2013-08-21 2015-03-03 한국지질자원연구원 난용성 희유 금속 침출을 위한 일체형 전해 침출 장치

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5144239A (en) * 1989-08-16 1992-09-01 Siemens Aktiengesellschaft Circularly polarizing rf antenna for an mri apparatus
JP2003221691A (ja) * 2002-01-31 2003-08-08 Permelec Electrode Ltd 電解用陰極とこれを用いる電解槽
CN114990603A (zh) * 2014-01-15 2022-09-02 蒂森克虏伯新纪元氯氢有限公司 离子交换膜电解槽
CN114990603B (zh) * 2014-01-15 2024-02-06 蒂森克虏伯新纪元氯氢有限公司 离子交换膜电解槽

Also Published As

Publication number Publication date
JP3264535B2 (ja) 2002-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101525755B (zh) 生成氢气用的阴极
US7232509B2 (en) Hydrogen evolving cathode
US8070924B2 (en) Electrode for generation of hydrogen
JP4673628B2 (ja) 水素発生用陰極
JPH0581677B2 (ja)
JPH11315390A (ja) ガス拡散電極用触媒
Kulandaisamy et al. Performance of catalytically activated anodes in the electrowinning of metals
US7211177B2 (en) Electrode for electrolysis in acidic media
JP3080971B2 (ja) オゾン製造用電極構造体及びその製造方法
KR20190062887A (ko) 고분자 전해질 막 물 전기분해장치의 확산층 및 산소 전극 복합층 및 그 제조 방법, 이를 이용한 고분자 전해질 막 물 전기 분해 장치
JP3264535B2 (ja) ガス電極構造体及び該ガス電極構造体を使用する電解方法
JP7388500B2 (ja) 水素発生用電極の製造方法及び水素発生用電極を用いた電気分解方法
NO861978L (no) Katalytisk komposittmateriale, spesielt for elektrolyseelektroder, og fremstillingsmetode.
JPH0417689A (ja) 水電解用電極及びその製造方法
JP3538271B2 (ja) 塩酸電解装置
JP3769492B2 (ja) ガス拡散電極の性能回復方法
JPH11172484A (ja) ガス拡散電極構造体とその製造方法
JP3921300B2 (ja) 水素発生装置
JP3264534B2 (ja) ガス電極構造体及び該構造体を使用する電解方法
JP3869350B2 (ja) ガス拡散電極の性能回復方法
JP5271429B2 (ja) 水素発生用陰極
JP3875808B2 (ja) 過酸化水素製造用電極及びその製造方法
JP3167054B2 (ja) 電解槽
US20150017554A1 (en) Process for producing transport and storage-stable oxygen-consuming electrode
JPH06248483A (ja) 塩化アルカリ電解用電解槽及び電解方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees