JP2003218024A - 計測方法、結像特性調整方法、露光方法及び露光装置の製造方法 - Google Patents

計測方法、結像特性調整方法、露光方法及び露光装置の製造方法

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JP2003218024A
JP2003218024A JP2002058118A JP2002058118A JP2003218024A JP 2003218024 A JP2003218024 A JP 2003218024A JP 2002058118 A JP2002058118 A JP 2002058118A JP 2002058118 A JP2002058118 A JP 2002058118A JP 2003218024 A JP2003218024 A JP 2003218024A
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  • Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 投影光学系の結像特性変化を補正するために
用いられる結像特性調整情報を短時間で取得する。 【解決手段】 レチクルR上の計測マークPMyを照明
光ILにより照明して計測マークの空間像を投影光学系
PLを介して像面上に形成し、前記空間像に対してスリ
ット29を走査し、該走査中にスリットを介した照明光
を光電検出し、その検出結果として空間像に対応する光
強度信号を得る、空間像計測を投影光学系PLの複数の
状態について、繰り返し行う。そして、得られた投影光
学系の状態毎の空間像の光強度信号に基づいて、投影光
学系の状態の変化量と特定の結像特性の変化量との関係
(結像特性補正情報)を算出する。従って、結像特性調
整情報を、露光、現像、レジスト像の計測等の工程を経
ることなく、短時間で取得できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計測方法、結像特
性調整方法、露光方法及び露光装置の製造方法に係り、
更に詳しくは、投影光学系の結像特性変化を補正するた
めに用いられる結像特性調整情報を計測する計測方法、
該計測方法によって計測された結像特性調整情報を用い
て投影光学系の結像特性を調整する結像特性調整方法、
前記計測方法を含む露光方法、及び前記計測方法を含む
露光装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子又は液晶表示素子
等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、フォトマ
スク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)の
パターンを、投影光学系を介して表面にフォトレジスト
等の感光剤が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の
基板上に転写する投影露光装置、例えばステップ・アン
ド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッ
パ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影
露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等が用い
られている。
【0003】ところで、半導体素子等を製造する場合に
は、異なる回路パターンを基板上に幾層にも積み重ねて
形成する必要があるため、回路パターンが描画されたレ
チクルと、基板上の各ショット領域に既に形成されたパ
ターンとを正確に重ね合わせることが重要である。かか
る重ね合せを精度良く行うためには、露光の際に、投影
光学系の結像特性が所望の状態に調整されることが必要
不可欠である。
【0004】投影露光装置では、投影光学系の結像特
性、例えば最良フォーカス位置や投影倍率などを調整す
る結像特性調整機構として、例えば投影光学系を構成す
る特定のレンズエレメントを投影光学系の光軸方向及び
傾斜方向に駆動する機構や、特定のレンズエレメント相
互間に形成された密閉空間内の気体の圧力を変更する機
構などが設けられている。そして、従来の投影露光装置
では、露光に際しては、投影光学系に照射された照明光
の照射エネルギ量などに基づいて、投影光学系の結像特
性の基準状態からの変動量を算出し、この変動量と、予
め求めた前記結像特性調整機構のレンズエレメントの駆
動量あるいは密閉空間の圧力の調整量(調整要素の調整
量)と結像特性の変化量との関係とに基づいて、前記結
像特性調整機構を制御することにより、投影光学系の結
像特性を所望の状態、例えば上記の基準状態に調整して
いた。なお、上記の調整要素の調整量と結像特性の変化
量との関係は、結像特性の調整に用いられるので、以下
においては「結像特性調整情報」とも呼ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の投影
露光装置では、上述した投影光学系を構成する特定のレ
ンズエレメントを駆動したり、密閉空間内の気体の圧力
を変更したりして、投影光学系の状態を変更しながら、
各状態において、所定の計測マークが形成された計測用
マスクを用いて露光を行い、計測用パターンの投影像が
転写形成された基板を現像して得られるレジスト像など
を計測した計測結果に基づいて結像特性を算出する「焼
き付け法」と呼ばれる手法により、上記結像特性調整情
報を得ていた。すなわち、露光、現像、計測というプロ
セスを経るため結像特性調整情報の取得に時間が掛かっ
ていた。このため、露光装置の立ち上げ期間が長くなっ
ていた。
【0006】本発明は、かかる事情の下になされたもの
で、その第1の目的は、投影光学系の結像特性変化を補
正するために用いられる結像特性調整情報を短時間で取
得できる計測方法を提供することにある。
【0007】本発明の第2の目的は、投影光学系の特定
の結像特性を常に所望の状態に調整することができる結
像特性調整方法を提供することにある。
【0008】本発明の第3の目的は、照明条件によらず
マスクのパターンを基板上に精度良く転写することがで
きる露光方法を提供することにある。
【0009】本発明の第4の目的は、露光装置の製造時
間の短縮が可能な露光装置の製造方法を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、投影光学系の結像特性変化を補正するために用いら
れる結像特性調整情報を計測する計測方法であって、第
1面上に配置された少なくとも1つの計測マークを照明
光により照明して前記計測マークの空間像を前記投影光
学系を介して第2面上に形成し、前記空間像に対して所
定の計測用パターンを走査し、該走査中に前記計測用パ
ターンを介した前記照明光を光電検出し、その検出結果
として前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像計
測を、前記投影光学系の複数の状態について、繰り返し
行う空間像計測工程と;前記空間像計測工程での計測結
果に基づいて、前記投影光学系の状態の変化量と前記状
態の変化に応じた特定の結像特性の変化量との関係を算
出する算出工程と;を含む計測方法である。
【0011】本明細書において、「投影光学系の状態」
とは、投影光学系の結像特性に影響を与える投影光学系
の状態を意味し、その状態の変化は、投影光学系を構成
する要素の状態の変化によるものの他、その他の要因の
状態変化によるものも含む。
【0012】これによれば、第1面上に配置された少な
くとも1つの計測マークを照明光により照明して計測マ
ークの空間像を投影光学系を介して第2面上に形成し、
空間像に対して所定の計測用パターンを走査し、該走査
中に計測用パターンを介した照明光を光電検出し、その
検出結果として空間像に対応する光強度信号を得る空間
像計測を、投影光学系の複数の状態について、繰り返し
行う(空間像計測工程)。ここで、計測用パターンの空
間像に対する走査は、投影光学系の光軸方向に関して行
っても良いし、光軸に直交する面内の所定方向に関して
行っても良い。いずれにしても、走査中に計測用パター
ンを介した照明光を光電検出することにより、その検出
結果として空間像に対応する光強度信号を得ることがで
きる。また、空間像計測の度に、投影光学系のそのとき
の状態で形成される空間像に対応する光強度信号を得る
ことができる。すなわち、投影光学系の状態毎に、計測
用パターンの走査及びその走査中の計測用パターンを介
した照明光の光電検出を行うのみで、投影光学系の状態
毎の空間像の光強度信号が得られる。
【0013】そして、上記の空間像計測工程での計測結
果、すなわち投影光学系の状態毎の空間像の光強度信号
に基づいて、投影光学系の状態の変化量と前記状態の変
化に応じた特定の結像特性の変化量との関係を算出する
(算出工程)。
【0014】従って、本発明によれば、空間像計測を投
影光学系の複数の状態のそれぞれに対して行い、その結
果に基づいて所定の演算を行うだけで、投影光学系の状
態の変化量と前記状態の変化に応じた特定の結像特性の
変化量との関係、すなわち結像特性調整情報を、計測マ
ークの転写のための露光、計測マークが転写された基板
の現像、及び現像後に得られたレジスト像の計測等の工
程を経ることなく、短時間で得ることが可能になる。
【0015】この場合において、請求項2に記載の計測
方法の如く、前記空間像計測工程では、前記投影光学系
の視野内の少なくとも1つの計測点に配置された計測マ
ークの空間像の計測を、前記投影光学系の複数の状態に
ついて、かつ計測用パターンの前記光軸方向の位置を変
化させつつ繰り返し行い、前記算出工程では、前記投影
光学系の状態の変化量と前記状態の変化に応じた最良フ
ォーカス位置の変化量との関係を算出することとするこ
とができる。
【0016】あるいは、請求項1に記載の計測方法にお
いて、請求項3に記載の計測方法の如く、前記空間像計
測工程では、前記投影光学系の視野内の少なくとも1つ
の計測点に配置されたデューティ比の異なるラインアン
ドスペースパターンから成る複数の計測マークの空間像
の計測を、前記投影光学系の複数の状態について、かつ
前記計測用パターンの前記光軸方向の位置を変化させつ
つ繰り返し行い、前記算出工程では、前記投影光学系の
状態の変化量と前記状態の変化に応じた球面収差の変化
量との関係を算出することとすることができる。
【0017】あるいは、請求項1に記載の計測方法にお
いて、請求項4に記載の計測方法の如く、前記空間像計
測工程では、前記投影光学系の視野内の複数の計測点に
配置された複数の計測マークの空間像の計測を、前記投
影光学系の複数の状態について、繰り返し行い、前記算
出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態
の変化に応じた倍率、ディストーション及びコマ収差の
少なくとも1つの変化量との関係を算出することとする
ことができる。
【0018】この場合において、請求項5に記載の計測
方法の如く、前記計測マークは、少なくとも1本のライ
ンパターンを含むマークであり、前記算出工程では、前
記投影光学系の状態の変化量と前記状態の変化に応じた
コマ収差の変化量との関係を算出する際に、前記投影光
学系の状態毎に得られた前記少なくとも1本のラインパ
ターンの光強度信号の強度分布の非対称性の度合いを示
す指標値を評価量としてコマ収差を算出することとする
ことができる。
【0019】この場合において、請求項6に記載の計測
方法の如く、前記非対称性を示す指標値は、前記光強度
信号を所定のスライスレベルと前記ラインパターンに対
応する光強度信号とで囲まれる領域の前記ラインパター
ンの中心の左側の面積と右側の面積との差を規格化した
規格化面積比であることとすることができる。
【0020】上記請求項4に記載の計測方法において、
請求項7に記載の計測方法の如く、前記計測マークは、
所定ピッチのラインアンドスペースパターンを含むマー
クであり、前記算出工程では、前記投影光学系の状態の
変化量と前記状態の変化に応じたコマ収差の変化量との
関係を算出する際に、前記投影光学系の状態毎に得られ
た前記ラインアンドスペースパターンに対応する光強度
信号の基本周波数成分と第2高調波成分の位相との位相
差を評価量としてコマ収差を算出することとすることが
できる。
【0021】上記請求項1に記載の計測方法において、
請求項8に記載の計測方法の如く、前記空間像計測工程
では、前記投影光学系の視野内の少なくとも1つの計測
点に配置された計測マークの空間像の計測を、前記投影
光学系の複数の状態について、かつ計測用パターンの前
記光軸方向の複数位置でそれぞれ行い、前記算出工程で
は、前記計測用パターンの複数の位置でそれぞれ得られ
る前記計測マークの空間像に対応する各光強度信号と、
焼き付け法の際に設定されるレジスト感光閾値に相当す
る閾値とを用いて前記空間像のエッジ位置をそれぞれ求
め、該エッジ位置の算出結果に基づいて計測マークの結
像位置を、各計測用パターンの位置毎に、かつ前記投影
光学系の状態毎に求め、該算出結果に基づいて、前記投
影光学系の状態の変化量と前記状態の変化に応じた前記
照明光のテレセントリシティの変化量との関係を算出す
ることとすることができる。
【0022】この場合において、請求項9に記載の計測
方法の如く、前記エッジ位置を求めるのに先立って、前
記空間像の像回復を行うこととすることができる。
【0023】請求項1に記載の計測方法において、請求
項10に記載の計測方法の如く、前記空間像計測工程で
は、前記投影光学系の視野内の複数の計測点に配置され
た複数の計測マークの空間像の計測を、前記投影光学系
の複数の状態について、かつ前記計測用パターンの前記
光軸方向の位置を変化させつつ繰り返し行い、前記算出
工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態の
変化に応じた像面湾曲の変化量との関係を算出すること
とすることができる。
【0024】上記請求項1〜10に記載の各計測方法に
おいて、請求項11に記載の計測方法の如く、前記投影
光学系の状態の変化は、前記投影光学系を構成する要素
の状態及び環境条件の少なくとも1つの変化に起因して
生じるものであることとすることができる。
【0025】請求項12に記載の発明は、投影光学系の
結像特性を調整する結像特性調整方法であって、請求項
1〜11のいずれか一項に記載の計測方法によって、前
記投影光学系の状態の変化量と前記状態の変化に応じた
特定の結像特性の変化量との関係を、結像特性調整情報
として求める工程と;該求めた結像特性調整情報と目標
補正量とに基づいて、前記投影光学系の前記特定の結像
特性を調整する工程と;を含む結像特性調整方法であ
る。
【0026】これによれば、請求項1〜11のいずれか
一項に記載の計測方法によって、投影光学系の状態の変
化量と前記状態の変化に応じた特定の結像特性の変化量
との関係を、結像特性調整情報として求める。このた
め、短時間で、特定の結像特性の補正(調整)に用いら
れる結像特性調整情報を得ることができる。そして、求
めた結像特性調整情報と目標補正量とに基づいて、投影
光学系の特定の結像特性を調整する。このため、例えば
照明光の吸収や大気圧の変化などにより投影光学系の特
定の結像特性が変化した場合に、その変化量を目標補正
量として、投影光学系の特定の結像特性を調整すること
により、投影光学系の特定の結像特性を常に所望の状態
に調整することが可能となる。
【0027】請求項13に記載の発明は、マスクのパタ
ーンを投影光学系を介して基板上に転写する露光方法で
あって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の計測方
法によって、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態
の変化に応じた特定の結像特性の変化量との関係を、結
像特性調整情報として、前記マスクを照明する複数の照
明条件の各々について予め求める工程と;設定された照
明条件に応じて、その照明条件に対応する前記結像特性
調整情報と目標補正量とに基づいて、前記投影光学系の
前記特定の結像特性を調整する工程と;該調整後の前記
投影光学系を介して前記パターンを基板上に転写する工
程と;を含む露光方法である。
【0028】これによれば、請求項1〜11のいずれか
一項に記載の計測方法によって、投影光学系の状態の変
化量と前記状態の変化に応じた特定の結像特性の変化量
との関係を、結像特性調整情報として、マスクを照明す
る複数の照明条件の各々について予め求める。このた
め、短時間で、かつ複数の照明条件の各々について、特
定の結像特性の補正(調整)に用いられる結像特性調整
情報を予め得ることができる。
【0029】そして、実際に露光を行う際には、設定さ
れた照明条件に応じて、その照明条件に対応する結像特
性調整情報と目標補正量とに基づいて、投影光学系の特
定の結像特性を調整した後、その調整後の投影光学系を
介してマスクのパターンを基板上に転写する。このた
め、露光の際には、投影光学系の特定の結像特性を、照
明条件に応じて適切な状態に調整することが可能とな
り、この結像特性が適切な状態に調整された投影光学系
を介してマスクのパターンを基板上に精度良く転写する
ことが可能となる。
【0030】請求項14に記載の発明は、マスクのパタ
ーンを投影光学系を介して基板上に転写する露光装置の
製造方法であって、請求項1〜11のいずれか一項に記
載の計測方法によって、前記投影光学系の状態の変化量
と前記状態の変化に応じた特定の結像特性の変化量との
関係を、結像特性調整情報として、前記マスクを照明す
る複数の照明条件の各々について予め求める工程を含む
ことを特徴とする露光装置の製造方法である。
【0031】これによれば、例えば露光装置の製造段階
における初期調整工程で、請求項1〜11のいずれか一
項に記載の計測方法によって、投影光学系の状態の変化
量と前記状態の変化に応じた特定の結像特性の変化量と
の関係を、結像特性調整情報として、マスクを照明する
複数の照明条件の各々について予め求める。このため、
短時間で、かつ複数の照明条件の各々について、特定の
結像特性の補正(調整)に用いられる結像特性調整情報
を予め得ることができ、露光装置の製造時間の短縮が可
能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1
〜図13に基づいて説明する。
【0033】図1には、一実施形態に係る露光装置10
の概略的な構成が示されている。この露光装置10は、
ステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装
置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
【0034】この露光装置10は、光源14及び照明光
学系12を含む照明系、マスクとしてのレチクルRを保
持するレチクルステージRST、投影光学系PL、基板
としてのウエハWを保持してXY平面内を自在に移動可
能な基板ステージとしてのウエハステージWST、及び
これらを制御する制御系等を備えている。また、図示は
省略されているが、上記各構成部分のうち、光源及び制
御系以外の部分は、実際には、内部の温度、圧力等の環
境条件が高精度に維持された不図示の環境制御チャンバ
(エンバイロンメンタル・チャンバ)内に収容されてい
る。
【0035】前記光源14としては、ここでは、一例と
して、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)又は
ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を出力する
エキシマレーザ光源が用いられるものとする。この光源
14は、実際には、上記環境制御チャンバが設置される
クリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルー
ム等に設置され、不図示の送光光学系を介して環境制御
チャンバ内部の照明光学系12に接続されている。光源
14は、主制御装置50によってそのレーザ発光のオン
・オフや、中心波長、スペクトル半値幅、繰り返し周波
数などが制御される。
【0036】前記照明光学系12は、ビーム整形光学系
18、オプティカルインテグレータ(ホモジナイザー)
としてのフライアイレンズ22、照明系開口絞り板2
4、リレー光学系28A,28B、固定レチクルブライ
ンド30A、可動レチクルブラインド30B、ミラー
M、及びコンデンサレンズ32等を備えている。なお、
オプティカルインテグレータとして、ロッド型(内面反
射型)インテグレータ、あるいは回折光学素子等を用い
ても良い。
【0037】前記ビーム整形光学系18内には、光源1
4でパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、
該レーザビームLBの光路後方に設けられたフライアイ
レンズ22に効率良く入射するように整形するための、
例えばシリンダレンズやビームエキスパンダ(いずれも
図示省略)等が含まれている。
【0038】前記フライアイレンズ22は、ビーム整形
光学系18から出たレーザビームLBの光路上に配置さ
れ、レチクルRを均一な照度分布で照明するために多数
の点光源(光源像)からなる面光源、即ち2次光源を形
成する。この2次光源から射出されるレーザビームを本
明細書においては、「照明光IL」とも呼ぶものとす
る。
【0039】フライアイレンズ22の射出側焦点面の近
傍には、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配
置されている。この照明系開口絞り板24には、ほぼ等
角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り
(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスフ
ァクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞
り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及
び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る
変形開口絞り(例えばSHRINCとも呼ばれる四重極
照明絞り)等が配置されている。この照明系開口絞り板
24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆
動装置40により回転されるようになっており、これに
よりいずれかの開口絞りが照明光ILの光路上に選択的
に設定される。
【0040】照明系開口絞り板24から出た照明光IL
の光路上に、反射率が小さく透過率の大きなビームスプ
リッタ26が配置され、更にこの後方の光路上に、レチ
クルブラインド30A,30Bを介在させてリレー光学
系(28A,28B)が配置されている。
【0041】固定レチクルブラインド30Aは、レチク
ルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカ
スした面に配置され、レチクルR上の照明領域IARを
規定する矩形開口が形成されている。また、この固定レ
チクルブラインド30Aの近傍に走査方向(ここではY
軸方向とする)及びこれに直交する非走査方向(X軸方
向)にそれぞれ対応する方向の位置及び幅が可変の開口
部を有する可動レチクルブラインド30Bが配置され、
走査露光の開始時及び終了時にその可動レチクルブライ
ンド30Bを介して照明領域IARを更に制限すること
によって、不要な部分の露光が防止されるようになって
いる。また、本実施形態では、可動レチクルブラインド
30Bは、後述する空間像計測の際の照明領域の設定に
も用いられる。
【0042】一方、照明光学系12内のビームスプリッ
タ26で反射された照明光ILの光路上には、集光レン
ズ44、及び遠紫外域で感度が良く、且つ光源14のパ
ルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPI
N型フォトダイオード等の受光素子から成るインテグレ
ータセンサ46が配置されている。
【0043】このようにして構成された照明系の作用を
簡単に説明すると、光源14からパルス発光されたレー
ザビームLBは、ビーム整形光学系18に入射して、こ
こで後方のフライアイレンズ22に効率よく入射するよ
うにその断面形状が整形された後、フライアイレンズ2
2に入射する。これにより、フライアイレンズ22の射
出側焦点面(照明光学系12の瞳面)に2次光源が形成
される。この2次光源から射出された照明光ILは、照
明系開口絞り板24上のいずれかの開口絞りを通過した
後、透過率が大きく反射率が小さなビームスプリッタ2
6に至る。このビームスプリッタ26を透過した照明光
ILは、第1リレーレンズ28Aを経て固定レチクルブ
ラインド30Aの矩形の開口部及び可動レチクルブライ
ンド30Bを通過した後、第2リレーレンズ28Bを通
過してミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられ
た後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージ
RST上に保持されたレチクルR上の照明領域IARを
均一な照度分布で照明する。
【0044】一方、ビームスプリッタ26で反射された
照明光ILは、集光レンズ44を介してインテグレータ
センサ46で受光され、インテグレータセンサ46の光
電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D
変換器を有する信号処理装置80を介して主制御装置5
0に供給される。本実施形態では、インテグレータセン
サ46の計測値は、露光量制御に用いられる他、投影光
学系PLに対する照射量の計算に用いられ、この照射量
はウエハ反射率(これは、インテグレータセンサの出力
と不図示の反射率モニタの出力とに基づいて求めること
もできる)とともに、投影光学系PLの照明光吸収によ
る結像特性の変化量の算出に用いられる。
【0045】本実施形態では、所定の間隔で、主制御装
置50により、インテグレータセンサ46の出力に基づ
いて照射量が計算され、その計算結果が照射履歴とし
て、メモリ51内に記憶されるようになっている。
【0046】前記レチクルステージRST上には、レチ
クルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)により固定
されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リ
ニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系56Rによ
り、後述する投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平
面内で2次元的に(X軸方向及びこれに直交するY軸方
向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方
向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベース
RBS上をY軸方向に指定された走査速度で移動可能と
なっている。このレチクルステージRSTは、レチクル
Rの全面が少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切
ることができるだけのY軸方向の移動ストロークを有し
ている。
【0047】レチクルステージRST上には、レチクル
レーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)54
Rからのレーザビームを反射する移動鏡52Rが固定さ
れており、レチクルステージRSTのXY面内の位置は
レチクル干渉計54Rによって、例えば0.5〜1nm
程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レ
チクルステージRST上には走査露光時の走査方向(Y
軸方向)に直交する反射面を有する移動鏡と非走査方向
(X軸方向)に直交する反射面を有する移動鏡とが設け
られ、レチクル干渉計54RはY軸方向に少なくとも2
軸、X軸方向に少なくとも1軸設けられているが、図1
ではこれらが代表的に移動鏡52R、レチクル干渉計5
4Rとして示されている。
【0048】レチクル干渉計54Rからのレチクルステ
ージRSTの位置情報は、ステージ制御装置70、及び
これを介して主制御装置50に送られるようになってい
る。ステージ制御装置70は、主制御装置50の指示に
応じてレチクルステージ駆動系56Rを介してレチクル
ステージRSTの移動を制御する。なお、レチクルステ
ージRSTの端面を鏡面加工して前述の反射面を形成し
ても良い。
【0049】前記投影光学系PLは、レチクルステージ
RSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの
方向がZ軸方向とされ、ここでは両側テレセントリック
な縮小系であり、光軸AX方向に沿って所定間隔で配置
された複数枚、例えば8枚のレンズエレメント131
132、……、138(図2参照)から成る屈折光学系が
使用されている。この投影光学系PLの投影倍率は、例
えば1/4(又は1/5)等となっている。このため、
照明光学系12からの照明光ILによってレチクルR上
のスリット状照明領域IARが照明されると、このレチ
クルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを
介してそのスリット状照明領域IAR内のレチクルRの
回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にフォトレ
ジストが塗布されたウエハW上の前記照明領域IARと
共役な露光領域IAに形成される。
【0050】図2に示されるように、投影光学系PLを
構成するレンズエレメント131、132、……、138
のうち、その一部、例えばレンズエレメント131、1
2は、それぞれ複数の駆動素子(例えばピエゾ素子な
ど)20によって光軸AX方向及びXY面に対する傾斜
方向に微小駆動可能に構成されている。また、レンズエ
レメント134、135の間、レンズエレメント136
137の間には、それぞれ密閉状態とされた第1、第2
密閉室34、36が形成されている。これら第1、第2
密閉室34、36内には、不図示のガス供給機構から圧
力調整機構40を介してクリーンな気体、例えばドライ
エアが供給されるようになっている。
【0051】本実施形態では、各駆動素子20に与えら
れる駆動電圧(駆動素子の駆動量)及び第1、第2密閉
室34、36内部の気体の圧力(以下、適宜、「内部の
圧力」又は「内部圧力」という)を調整する圧力調整機
構40が、主制御装置50からの指令に応じて結像特性
補正コントローラ78により制御され、これによって、
投影光学系PLの結像特性、例えば、像面湾曲、ディス
トーション、倍率、コマ収差等が補正されるようになっ
ている。なお、かかる結像特性を調整する結像特性調整
機構は、レンズエレメント131のような可動レンズエ
レメントのみによって構成しても良く、その可動レンズ
エレメントの数も任意で良い。但し、この場合、可動レ
ンズエレメントの数が、フォーカスを除く、投影光学系
PLの結像特性の補正可能な種類に対応するので、補正
が必要な結像特性の種類に応じて可動レンズエレメント
の数を定めれば良い。
【0052】図1に戻り、前記ウエハステージWST
は、XYステージ42と、該XYステージ42上に搭載
されたZチルトステージ38とを含んで構成されてい
る。
【0053】前記XYステージ42は、ウエハベース1
6の上面の上方に不図示のエアベアリングによって例え
ば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持され、ウ
エハステージ駆動系56Wを構成する不図示のリニアモ
ータ等によって走査方向であるY軸方向(図1における
紙面内左右方向)及びこれに直交するX軸方向(図1に
おける紙面直交方向)に2次元駆動可能に構成されてい
る。このXYステージ42上にZチルトステージ38が
搭載され、該Zチルトステージ38上にウエハホルダ2
5が載置されている。このウエハホルダ25によって、
ウエハWが真空吸着等により保持されている。
【0054】Zチルトステージ38は、図2に示されよ
うに、3つのZ位置駆動部27A,27B,27C(但
し、紙面奥側のZ位置駆動部27Cは不図示)によって
XYステージ42上に3点で支持されている。これらの
Z位置駆動部27A〜27Cは、Zチルトステージ38
下面のそれぞれの支持点を投影光学系PLの光軸方向
(Z方向)に独立して駆動する3つのアクチュエータ
(例えばボイスコイルモータなど)21A、21B、2
1C(但し、図2における紙面奥側のアクチュエータ2
1Cは不図示)と、Zチルトステージ38のZ位置駆動
部27A,27B,27Cによる各支持点のアクチュエ
ータ21A、21B、21CによるZ軸方向の駆動量
(基準位置からの変位)を検出するエンコーダ23A〜
23C(但し、図2における紙面奥側のエンコーダ23
Cは不図示)とを含んで構成されている。ここでエンコ
ーダ23A〜23Cとしては、例えば光学式又は静電容
量式等のリニアエンコーダが使用されている。本実施形
態では、上記アクチュエータ21A、21B、21Cに
よってZチルトステージ38を、光軸AX方向(Z軸方
向)及び光軸に直交する面(XY面)に対する傾斜方
向、すなわちX軸回りの回転方向であるθx方向、Y軸
回りの回転方向であるθy方向に駆動する駆動装置が構
成されている。また、エンコーダ23A〜23Cで計測
されるZチルトステージ38のZ位置駆動部27A,2
7B,27Cによる各支持点のZ軸方向の駆動量(基準
点からの変位量)は、ステージ制御装置70及びこれを
介して主制御装置50に供給され、主制御装置50で
は、Zチルトステージ38のZ軸方向の位置及びレベリ
ング量(θx回転量、θy回転量)を算出するようにな
っている。なお、図1では、XYステージ42を駆動す
るリニアモータ等、及びZ位置駆動部27A〜27C
(アクチュエータ21A〜21C及びエンコーダ23A
〜23C)を含めてウエハステージ駆動系56Wとして
示されている。
【0055】前記Zチルトステージ38上には、ウエハ
レーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)54W
からのレーザビームを反射する移動鏡52Wが固定さ
れ、外部に配置されたウエハ干渉計54Wにより、Zチ
ルトステージ38(ウエハステージWST)のXY面内
の位置が例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出
されている。
【0056】ここで、実際には、Zチルトステージ38
上には、走査露光時の走査方向であるY軸方向に直交す
る反射面を有する移動鏡と非走査方向であるX軸方向に
直交する反射面を有する移動鏡とが設けられ、これに対
応してウエハ干渉計もX軸方向、Y軸方向にそれぞれ複
数軸設けられ、Zチルトステージ38の5自由度方向
(X軸方向、Y軸方向、θx方向、θy方向、θz方
向)の位置が計測可能となっているが、図1ではこれら
が代表的に移動鏡52W、ウエハ干渉計54Wとして示
されている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速
度情報)は、ステージ制御装置70、及びこれを介して
主制御装置50に供給されるようになっている。ステー
ジ制御装置70は、主制御装置50の指示に応じてウエ
ハステージ駆動系56Wを介してウエハステージWST
のXY面内の位置を制御する。なお、Zチルトステージ
38の端面を鏡面加工して前述の反射面を形成しても良
い。
【0057】また、Zチルトステージ38の内部には、
投影光学系PLの光学特性の計測に用いられる空間像計
測装置59を構成する光学系の一部が配置されている。
ここで、この空間像計測装置59の構成について詳述す
る。この空間像計測装置59は、図3に示されるよう
に、Zチルトステージ38に設けられたステージ側構成
部分、すなわちパターン形成部材としてのスリット板9
0、レンズ84、86から成るリレー光学系、光路折り
曲げ用のミラー88、送光レンズ87と、ウエハステー
ジWST外部に設けられたステージ外構成部分、すなわ
ちミラー96、受光レンズ89、光電変換素子から成る
光センサ94等とを備えている。
【0058】これを更に詳述すると、スリット板90
は、図3に示されるように、ウエハステージWSTの一
端部上面に設けられた上部が開口した突設部58に対
し、その開口を塞ぐ状態で上方から嵌め込まれている。
このスリット板90は、平面視長方形の受光ガラス82
の上面に遮光膜を兼ねる反射膜83が形成され、その反
射膜83の一部に計測用パターンとしての所定幅2Dの
スリット状の開口パターン(以下、「スリット」と呼ぶ)
29がパターンニングされて形成されている。
【0059】前記受光ガラス82の素材としては、ここ
では、KrFエキシマレーザ光、あるいはArFエキシ
マレーザ光の透過性の良い、合成石英、あるいはホタル
石などが用いられる。
【0060】スリット29下方のZチルトステージ38
内部には、スリット29を介して鉛直下向きに入射した
照明光束(像光束)の光路を水平に折り曲げるミラー8
8を介在させてレンズ84,86から成るリレー光学系
(84、86)が配置され、このリレー光学系(84、
86)の光路後方のウエハステージWSTの+Y側の側
壁に、リレー光学系(84、86)によって所定光路長
分だけリレーされた照明光束をウエハステージWSTの
外部に送光する送光レンズ87が固定されている。
【0061】送光レンズ87によってウエハステージW
STの外部に送り出される照明光束の光路上には、X軸
方向に所定長さを有するミラー96が傾斜角45°で斜
設されている。このミラー96によって、ウエハステー
ジWSTの外部に送り出された照明光束の光路が鉛直上
方に向けて90°折り曲げられるようになっている。こ
の折り曲げられた光路上に送光レンズ87に比べて大径
の受光レンズ89が配置されている。この受光レンズ8
9の上方には、光センサ94が配置されている。これら
受光レンズ89及び光センサ94は、所定の位置関係を
保ってケース92内に収納され、該ケース92は取付け
部材93を介してウエハベース16の上面に植設された
支柱97の上端部近傍に固定されている。
【0062】前記光センサ94としては、微弱な光を精
度良く検出することが可能な光電変換素子(受光素
子)、例えばフォト・マルチプライヤ・チューブ(PM
T、光電子増倍管)などが用いられる。光センサ94か
らの光電変換信号Pは、図1の信号処理装置80を介し
て主制御装置50に送られるようになっている。なお、
信号処理装置80は、例えば増幅器、サンプルホルダ、
A/Dコンバータ(通常16ビットの分解能のものが用
いられる)などを含んで構成することができる。
【0063】なお、前述の如く、スリット29は反射膜
83に形成されているが、以下においては、便宜上スリ
ット板90にスリット29が形成されているものとして
説明を行う。
【0064】上述のようにして構成された空間像計測装
置59によると、後述する、レチクルRに形成された計
測マークの投影光学系PLを介しての投影像(空間像)
の計測の際に、投影光学系PLを透過してきた照明光I
Lによって空間像計測装置59を構成するスリット板9
0が照明されると、そのスリット板90上のスリット2
9を透過した照明光ILがレンズ84、ミラー88及び
レンズ86、送光レンズ87を介してウエハステージW
STの外部に導き出される。そして、そのウエハステー
ジWSTの外部に導き出された光は、ミラー96によっ
て光路が鉛直上方に折り曲げられ、受光レンズ89を介
して光センサ94によって受光され、該光センサ94か
らその受光量に応じた光電変換信号(光量信号)Pが信
号処理装置80を介して主制御装置50に出力される。
【0065】本実施形態の場合、計測マークの投影像
(空間像)の計測はスリットスキャン方式により行われ
るので、その際には、送光レンズ87が、受光レンズ8
9及び光センサ94に対して移動することになる。そこ
で、空間像計測装置59では、所定の範囲内で移動する
送光レンズ87を介した光がすべて受光レンズ89に入
射するように、各レンズ、及びミラー96の大きさが設
定されている。
【0066】このように、空間像計測装置59では、ス
リット板90、レンズ84、86、ミラー88、及び送
光レンズ87により、スリット29を介した光をウエハ
ステージWST外に導出する光導出部が構成され、受光
レンズ89及び光センサ94によって、ウエハステージ
WST外へ導出された光を受光する受光部が構成されて
いる。この場合、これら光導出部と受光部とは、機械的
に分離されている。そして、空間像計測に際してのみ、
光導出部と受光部とは、ミラー96を介して光学的に接
続される。
【0067】すなわち、空間像計測装置59では、光セ
ンサ94がウエハステージWSTの外部の所定位置に設
けられているため、光センサ94の発熱に起因するウエ
ハレーザ干渉計54Wの計測精度等に及ぼす悪影響を可
能な範囲で抑制するようにしている。また、ウエハステ
ージWSTの外部と内部とをライトガイド等により接続
していないので、ウエハステージWSTの外部と内部と
がライトガイドにより接続された場合のようにウエハス
テージWSTの駆動精度が悪影響を受けることがない。
【0068】勿論、熱の影響等を無視、あるいは排除で
きるような場合には、光センサ94をウエハステージW
STの内部に設けても良い。なお、空間像計測装置59
を用いて行われる空間像計測方法及び結像特性計測方法
などについては、後に詳述する。
【0069】図1に戻り、投影光学系PLの側面には、
ウエハW上のアライメントマーク(位置合わせマーク)
を検出するマーク検出系としてのオフアクシス・アライ
メント系ALGが設けられている。本実施形態では、こ
のアライメント系ALGとして、画像処理方式のアライ
メントセンサ、いわゆるFIA(Field Image Alignmen
t)系が用いられている。このアライメント系ALGの
検出信号は、主制御装置50に供給されるようになって
いる。
【0070】更に、本実施形態の露光装置10では、図
1に示されるように、主制御装置50によってオン・オ
フが制御される光源を有し、投影光学系PLの結像面に
向けて多数のピンホール又はスリットの像を形成するた
めの結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射す
る照射系60aと、それらの結像光束のウエハW表面で
の反射光束を受光する受光系60bとから成る斜入射方
式の多点焦点位置検出系が設けられている。なお、本実
施形態の多点焦点位置検出系(60a、60b)と同様
の多点焦点位置検出系の詳細な構成は、例えば特開平6
−283403号公報等に開示されている。
【0071】主制御装置50では、後述する走査露光時
等に、受光系60bからの焦点ずれ信号(デフォーカス
信号)、例えばSカーブ信号に基づいて焦点ずれが零と
なるように、ウエハステージ駆動系56Wを介してZチ
ルトステージ38のZ軸方向への移動、及び2次元的に
傾斜(すなわち、θx,θy方向の回転)を制御する、
すなわち多点焦点位置検出系(60a、60b)を用い
てZチルトステージ38の移動を制御することにより、
照明光ILの照射領域(照明領域IARと結像関係)内
で投影光学系PLの結像面とウエハWの表面とを実質的
に合致させるオートフォーカス(自動焦点合わせ)及び
オートレベリングを実行する。
【0072】また、前述した不図示の環境制御チャンバ
内の投影光学系PL近傍には、大気圧変動や、温度変動
を検知する環境センサ81が設けられている。この環境
センサ81による計測結果は主制御装置50に供給され
ている。
【0073】前記制御系は、ワークステーション(又は
マイクロコンピュータ)から成る主制御装置50を中心
として、該主制御装置50の制御下にあるステージ制御
装置70などを含んで構成されている。主制御装置50
には、メモリ51が併設されている。このメモリ51内
には、例えば予め実験、あるいは光学シミュレーション
などで求めた、例えば特開平11−258498号公報
などに開示される投影光学系PLの照射変動量(照明光
の照射に伴なう投影光学系PLの各種結像特性の変動
量)を算出するモデル式や、大気圧変動量(大気圧の変
動に伴なう投影光学系PLの各種結像特性の変動量)を
算出する計算式などが記憶されている。また、前述した
レンズエレメントの駆動量や第1、第2密閉室の内部圧
力の調整量と、投影光学系PLの各種結像特性の変化量
(変動量)との関係(すなわち前述した結像特性調整情
報)、及びこれに基づく、投影光学系のPLの結像特性
を補正するための、第1、第2可動レンズの駆動量や第
1、第2密閉室の内部圧力の調整量の算出式なども予め
求められ、メモリ51に記憶されている。ここで、本実
施形態では、大気圧変動量を算出する計算式や、結像特
性調整レートは、前述した空間像計測装置59を用いた
空間像計測の結果に基づいて定められている。なお、こ
の空間像計測の方法などについては、後述する。
【0074】次に、露光装置の製造時あるいは工場での
組み立て時における、初期調整時に行われる、結像特性
調整情報及びこれに基づくレンズエレメント131、1
2の駆動量や第1、第2密閉室34、36の内部圧力
の調整量の算出式を求める方法、並びに大気圧変動量を
算出する計算式の求め方について、説明するが、それに
先立って、空間像計測装置59を用いた空間像計測につ
いて説明する。
【0075】図3には、空間像計測装置59を用いて、
レチクルRに形成された計測マークPMyの空間像が計
測されている最中の状態が示されている。レチクルRと
しては、空間像計測専用のもの、あるいはデバイスの製
造に用いられるデバイスレチクルに専用の計測用マーク
を形成したものなどが用いられる。これらのレチクルの
代わりに、レチクルステージRSTにレチクルと同材質
のガラス素材から成る固定のマーク板(レチクルフィデ
ューシャルマーク板とも呼ばれる)を設け、このマーク
板に計測マークを形成したものを用いても良い。
【0076】ここで、レチクルRには、所定の箇所にY
軸方向に周期性を有するライン部の幅とスペース部の幅
の比(デューティ比)が1:1のラインアンドスペース
(L/S)マークから成る計測マークPMyとX軸方向
に周期性を有するデューティ比が1:1のL/Sマーク
から成る計測マークPMxが相互に近接して形成されて
いるものとする。これら計測マークPMy,PMxは同
一線幅のラインパターンから成る。また、空間像計測装
置59を構成するスリット板90には、図4(A)に示
されるように、Y軸方向に伸びる所定幅2Dのスリット
29yと、X軸方向に伸びる所定幅2Dのスリット29
xとが、図に示されるような位置関係で形成されている
ものとする。このように、スリット板90には、実際に
は複数のスリット29x、29y等が形成されている
が、図3及びその説明部分等では、これらのスリットを
代表してスリット29として表したものである。
【0077】例えば、計測マークPMyの空間像の計測
にあたり、主制御装置50により、図1に示される可動
レチクルブラインド30Bが不図示のブラインド駆動装
置を介して駆動され、照明光ILの照明領域が計測マー
クPMy部分を含む所定領域に制限される(図3参
照)。この状態で、主制御装置50により光源14の発
光が開始され、照明光ILが計測マークPMyに照射さ
れると、計測マークPMyによって回折、散乱した光
(照明光IL)は投影光学系PLにより屈折され、該投
影光学系PLの像面に計測マークPMyの空間像(投影
像)が形成される。このとき、ウエハステージWST
は、図4(A)に示されるように、スリット板90上の
スリット29yの+Y側(又は−Y側)に計測マークP
Myの空間像PMy’が形成される位置に設定されてい
るものとする。
【0078】そして、主制御装置50の指示の下、ステ
ージ制御装置70により、ウエハステージWSTが図4
(A)中に矢印Fyで示されるように+Y方向に駆動さ
れると、スリット29yが空間像PMy’に対してY軸
方向に走査される。この走査中に、スリット29yを通
過する光(照明光IL)がウエハステージWST内の受
光光学系、ウエハステージWST外部の反射ミラー96
及び受光レンズ89を介して光センサ94で受光され、
その光電変換信号Pが図1に示される信号処理装置80
に供給される。信号処理装置80では、その光電変換信
号に所定の処理を施して、空間像PMy’に対応する光
強度信号を主制御装置50に供給する。なお、この際、
信号処理装置80では、光源14からの照明光ILの発
光強度のばらつきによる影響を抑えるために、図1に示
されるインテグレータセンサ46の信号により光センサ
94からの信号を規格化した信号を主制御装置50に供
給するようになっている。
【0079】図4(B)には、上記の空間像計測の際に
得られる光電変換信号(光強度信号)Pの一例が示され
ている。
【0080】計測マークPMxの空間像を計測する場合
には、ウエハステージWSTを、スリット板90上のス
リット29xの+X側(又は−X側)に計測マークPM
xの空間像が形成される位置に設定して、上記と同様の
スリットスキャン方式による計測を行うことにより、計
測マークPMxの空間像に対応する光電変換信号(光強
度信号)を得ることができる。
【0081】結像特性調整情報などを得るための計測に
際しては、まず、初期調整の際に、前述したレンズエレ
メント131、132を1個ずつ駆動しながら、また第
1、第2密閉室34、36の圧力を1つずつ変更しなが
ら、投影光学系PLのフォーカス、及びその他の所定の
結像特性(例えば像面湾曲、倍率、ディストーション、
コマ収差、球面収差などの諸収差のうちの4つ)を、後
述するようにして空間像計測器59を用いて測定し、レ
ンズエレメント131、132、及び第1、第2密閉室3
4、36における上記の5種類の結像特性変化係数を求
める。以下、これについて説明する。
【0082】まず、投影光学系PLのベストフォーカス
位置の検出方法について説明する。この場合、前提条件
として照明系開口絞り板24の通常絞りが選択され、照
明条件として通常照明条件が設定されているものとす
る。
【0083】ベストフォーカス位置の検出には、例え
ば、線幅1μm、デューティ比50%のL/Sマーク
が、計測マークPMy(又はPMx)として形成された
レチクルRが用いられる。
【0084】まず、不図示のレチクルローダにより、レ
チクルステージRST上にレチクルRがロードされる。
【0085】次に、ステージ制御装置70は、主制御装
置50からの指示に基づき、レチクルR上の計測マーク
PMyが、投影光学系PLの光軸上にほぼ一致するよう
に、レチクルステージRSTを移動する。
【0086】次に、主制御装置50は、照明光ILが計
測マークPMy部分のみに照射されるように可動レチク
ルブラインド30Bを駆動制御して照明領域を規定す
る。この状態で、主制御装置50は、照明光ILをレチ
クルRに照射して、前述と同様にして、ウエハステージ
WSTをY軸方向に走査しながら空間像計測器59を用
いて、計測マークPMyの空間像計測を前述と同様にス
リットスキャン方式により行う。この際、ステージ制御
装置70では、主制御装置50からの指示に応じて、ス
リット板90のZ軸方向の位置(すなわち、Zチルトス
テージ38のZ位置)を所定のステップピッチで変化さ
せつつ、計測マークPMyの空間像計測を複数回繰り返
し、各回の光強度信号(光電変換信号)を内部メモリに
記憶する。なお、上記のスリット板90のZ軸方向の位
置の変化は、ステージ制御装置70により、前述したエ
ンコーダ23A〜23Cの計測値に基づき、アクチュエ
ータ21A〜21Cを制御することにより行われる。
【0087】そして、主制御装置50では、前記繰り返
しにより得られた複数の光強度信号(光電変換信号)を
それぞれフーリエ変換し、それぞれの1次周波数成分と
0次周波数成分の振幅比であるコントラストを求める。
そして、主制御装置50では、そのコントラストが最大
となる光強度信号に対応するZチルトステージ38のZ
位置(すなわち、スリット板90のZ軸方向の位置)を
検出し、この位置を投影光学系PLのベストフォーカス
位置として決定する。コントラストは、フォーカス位置
(デフォーカス量)に応じて敏感に変化するので、投影
光学系PLのベストフォーカス位置を精度良く、かつ容
易に計測(決定)することができる。
【0088】なお、2次以上の高次の次数の周波数成分
の振幅は一般に小さく、電気的なノイズ、光学的なノイ
ズに対する振幅が十分に取れない場合もあるが、S/N
比(シグナル/ノイズ)の点で問題がない場合には高次
の周波数成分の振幅比の変化を観測してもベストフォー
カス位置を求めることができる。なお、上述したコント
ラストを用いる方法に限らず、光強度信号の微分値が最
大となるZ位置(フォーカス位置)を検出する手法によ
ってもベストフォーカス位置の検出が可能である。
【0089】主制御装置50は、作業者の指示に基づ
き、上記のようなベストフォーカス位置の検出を、レン
ズエレメント131、132を1個ずつ例えば光軸方向に
所定ステップピッチで駆動しながら、また第1、第2密
閉室34、36の圧力を1つずつ例えば所定圧力だけ順
次変更しながら、繰り返し行い、その結果に基づいて、
調整要素(すなわち、レンズエレメント131,132
第1、第2密閉室34、36)毎に、通常照明条件下に
おけるフォーカス変化係数(調整量とフォーカスとの比
例係数)を求め、メモリ51に記憶する。
【0090】また、投影光学系PLの像面形状(像面湾
曲)の検出は、次のようにして行うことができる。
【0091】すなわち、この像面湾曲の検出に際して
は、一例として図5に示されるように、パターン領域P
A内に、前述した計測マークPMyと同一寸法同一周期
の計測マークPM1〜PMnが形成されたレチクルR1が
用いられる。
【0092】まず、不図示のレチクルローダにより、レ
チクルステージRST上にレチクルR1がロードされ
る。次に、ステージ制御装置70は、主制御装置50の
指示に基づき、レチクルR1の中央に存在する計測マー
クPMkが、投影光学系PLの光軸上にほぼ一致するよ
うに、レチクルステージRSTを移動する。すなわち、
レチクルR1の基準点への位置決めを行う。この基準点
への位置決めが行われた場合には、計測マークPM1
PMnの全ては、投影光学系のPLの視野内に位置して
いるものとする。
【0093】次に、主制御装置50では、照明光ILが
計測マークPM1部分のみに照射されるように可動レチ
クルブラインド30Bを駆動制御して照明領域を規定す
る。この状態で、主制御装置50は、照明光ILをレチ
クルR1に照射して、前述と同様にして、スリットスキ
ャン方式により空間像計測器59を用いて計測マークP
1の空間像計測及び投影光学系PLのベストフォーカ
ス位置の検出を行い、その結果を内部メモリに記憶す
る。
【0094】計測マークPM1を用いたベストフォーカ
ス位置の検出が終了すると、主制御装置50では、照明
光ILが計測マークPM2部分のみに照射されるように
可動レチクルブラインド30Bを駆動制御して照明領域
を規定する。この状態で、上記と同様に、スリットスキ
ャン方式で計測マークPM2の空間像計測及び投影光学
系PLのベストフォーカス位置の検出を行い、その結果
を内部メモリに記憶する。
【0095】以後、主制御装置50では、上記と同様
に、照明領域を変更しつつ、計測マークPM3〜PMn
ついて空間像の計測及び投影光学系PLのベストフォー
カス位置の検出を繰り返し行う。
【0096】これにより得られた各ベストフォーカス位
置Z1、Z2、……、Znに基づいて、所定の統計的処理
を行うことにより、投影光学系PLの像面湾曲を算出す
る。
【0097】主制御装置50は、作業者の指示に基づ
き、上記のような像面湾曲の検出を、レンズエレメント
131、132を1個ずつ前述と同様に駆動しながら、ま
た第1、第2密閉室34、36の圧力を1つずつ前述と
同様に変更しながら、繰り返し行い、その結果に基づい
て、調整要素毎に、通常照明条件下における像面湾曲変
化係数(調整量と像面湾曲との比例係数)を求め、メモ
リ51に記憶する。
【0098】また、投影光学系PLの球面収差の検出
は、次のようにして行うことができる。
【0099】すなわち、この球面収差の検出に際して
は、例えば、図6に示されるようにパターン領域PA内
のX軸方向のほぼ中央に、Y軸方向に所定距離隔てて2
つの計測マークPM1、PM2が形成されたレチクルR
2が用いられる。計測マークPM1は、前述した計測マ
ークPMyと同一寸法同一周期のL/Sパターンであ
る。また、計測マークPM2は、計測マークPMyと同
一寸法のラインパターンが異なる周期(例えば、計測マ
ークPM1の周期(マークピッチ)の1.5〜2倍程
度)でX軸方向に並んだL/Sパターンである。
【0100】まず、不図示のレチクルローダにより、レ
チクルステージRST上にレチクルR2がロードされ
る。次に、ステージ制御装置70は、主制御装置50の
指示に応じてレチクルR2上の計測マークPM1が、投
影光学系PLの光軸上にほぼ一致するように、レチクル
ステージRSTを移動する。次に、主制御装置50で
は、照明光ILが計測マークPM1部分のみに照射され
るように可動レチクルブラインド30Bを駆動制御して
照明領域を規定する。この状態で、主制御装置50で
は、照明光ILをレチクルR2に照射して、前述と同様
にして、スリットスキャン方式により空間像計測器59
を用いて計測マークPM1の空間像計測及び投影光学系
PLのベストフォーカス位置の検出を行い、その結果を
内部メモリに記憶する。
【0101】計測マークPM1を用いたベストフォーカ
ス位置の検出が終了すると、ステージ制御装置70は、
主制御装置50の指示に応じて照明光ILが計測マーク
PM2部分に照射されるようにレチクルステージRST
を−Y方向に所定距離移動する。この状態で、上記と同
様に、スリットスキャン方式で計測マークPM2の空間
像計測及び投影光学系PLのベストフォーカス位置の検
出を行い、その結果を内部メモリに記憶する。
【0102】これにより得られた各ベストフォーカス位
置Z1とZ2との差に基づいて、投影光学系PLの球面収
差を演算により算出する。
【0103】主制御装置50は、作業者の指示に基づ
き、このような球面収差の検出を、レンズエレメント1
1、132を1個ずつ前述と同様に駆動しながら、また
第1、第2密閉室34、36の圧力を1つずつ前述と同
様に変更しながら、繰り返し行い、その結果に基づい
て、調整要素毎に、通常照明条件下における球面収差変
化係数(調整量と球面収差との比例係数)を求め、メモ
リ51に記憶する。
【0104】次に、投影光学系PLの倍率及びディスト
ーション測定について説明する。この投影光学系PLの
倍率及びディストーション測定に際しては、例えば、図
7に示されるように、パターン領域PAの中心部及び4
角の部分に、合計5個の例えば120μm角(投影倍率
1/4倍でスリット板90上で30μm角)の正方形マ
ークから成る計測マークBM1〜BM5が形成されたレチ
クルR3が用いられる。
【0105】まず、不図示のレチクルローダにより、レ
チクルステージRST上にレチクルR3がロードされ
る。次に、ステージ制御装置70は、主制御装置50か
らの指示に基づき、レチクルR3の中央に存在する計測
マークBM1の中心が、投影光学系PLの光軸上にほぼ
一致するように、レチクルステージRSTを移動する。
すなわち、レチクルR3の基準点への位置決めを行う。
この基準点への位置決めが行われた状態では、計測マー
クBM1〜BM5の全ては、投影光学系のPLの視野内に
位置しているものとする。
【0106】次に、主制御装置50では、照明光ILが
計測マークBM1を含む計測マークBM1より一回り大き
い矩形領域部分のみに照射されるように可動レチクルブ
ラインド30Bを駆動制御して照明領域を規定する。こ
の状態で、主制御装置50では、照明光ILをレチクル
R3に照射する。これにより、計測マークBM1の空間
像、すなわちほぼ30μ角の正方形状のマーク像が形成
される。
【0107】この状態で、主制御装置50は、ステージ
制御装置70を介してウエハステージWSTをY軸方向
に走査しながら空間像計測器59を用いて計測マークB
1の空間像計測を行い、その計測により得られた光強
度信号を内部メモリに記憶する。次に、主制御装置50
では、得られた光強度信号に基づき、例えば公知の位相
検出の手法あるいはエッジ検出の手法により、計測マー
クBM1の結像位置を求める。ここで、位相検出の手法
としては、例えば、光強度信号をフーリエ変換して得ら
れる1次周波数成分(これは、正弦波とみなせる)とこ
れと同一周波数の基準となる正弦波との積の例えば1周
期分の和を求めるとともに、前記1次周波数成分とこれ
と同一周期の基準となる余弦波との積の例えば1周期分
の和を求める。そして、得られた和同士を除算して得ら
れた商の逆正接(アークタンジェント)を求めることに
より、1次周波数成分の基準信号に対する位相差を求
め、この位相差に基づいて計測マークPM1のY位置y1
を求めるという一般的な方法を用いることができる。ま
た、エッジ検出の手法としては、光強度信号と所定のス
ライスレベルとの交点に基づいて各光電変換信号に対応
する空間像のエッジの位置をそれぞれ算出する、スライ
ス法を用いたエッジ検出の手法を用いることができる。
【0108】次に、主制御装置50では、ウエハステー
ジWSTをX軸方向に走査しながら空間像計測器59を
用いて計測マークBM1の空間像計測を行い、その計測
により得られた光強度信号を内部メモリに記憶する。そ
して、上記と同様の位相検出等の手法により、計測マー
クBM1のX位置x1を求める。そして、主制御装置50
では、得られた計測マークBM1の座標値(x1、y1
に基づいて、レチクルR3の光軸中心に対する位置ずれ
を補正する。
【0109】上記のレチクルR3の位置ずれの補正が終
了すると、主制御装置50では、照明光ILが計測マー
クBM2を含む計測マークBM2より一回り大きい矩形領
域部分のみに照射されるように可動レチクルブラインド
30Bを駆動制御して照明領域を規定する。この状態
で、上記と同様に、スリットスキャン方式で計測マーク
BM2の空間像計測及びそのXY位置の計測を行い、そ
の結果を内部メモリに記憶する。
【0110】以後、主制御装置50では、上記と同様
に、照明領域を変更しつつ、計測マークBM3〜BM5
ついて空間像の計測及びXY位置の計測を繰り返し行
う。
【0111】これにより得られた計測マークBM2〜B
5の座標値(x2、y2)、(x3、y3)、(x4
4)、(x5、y5)に基づいて、所定の演算を行うこ
とにより、投影光学系PLの倍率及びディストーション
の少なくとも一方を算出する。
【0112】ここで、例えば、X軸方向の倍率の変化分
Magx、Y軸方向の倍率の変化分Magyは、例えば次
式(1)、(2)にそれぞれ基づいて算出することがで
きる。
【0113】
【数1】
【0114】ここで、Y3、Y2、X4、X2は、設計値で
ある。
【0115】なお、コマ収差の影響を受けない程度に大
きなラインアンドスペースマークを用いても、上記と同
様の手法により投影光学系PLの倍率及びディストーシ
ョンを求めることはできる。
【0116】主制御装置50は、作業者の指示に基づ
き、上記のような倍率及びディストーションの少なくと
も一方の検出を、レンズエレメント131、132を1個
ずつ前述と同様に駆動しながら、また第1、第2密閉室
34、36の圧力を1つずつ前述と同様に変更しなが
ら、繰り返し行い、その結果に基づいて、調整要素毎
に、通常照明条件下における倍率変化係数(調整量と倍
率との比例係数)及びディストーション(調整量とディ
ストーションとの比例係数)の少なくとも一方を求め、
メモリ51に記憶する。なお、倍率は、投影光学系PL
の視野内の各像高位置に計測マークを任意に配置するこ
とにより、所望の像高における倍率を求めることが可能
である。
【0117】次に、投影光学系のコマ収差の計測方法に
ついて説明する。
【0118】<コマ収差の第1の計測方法>焼き付け法
により、コマ収差を測定する場合に、解像限界付近の小
L/Sマーク像の線幅異常値を用いる方法が知られてい
る。ここで、線幅異常値とは、焼き付けによって形成さ
れるレジスト像の非対称の度合いを表す指標となる値で
ある。例えば、図8に示される0.2μmL/Sマーク
(設計値)のレジスト像を例にとって説明すると、線幅
異常値Aは、例えば両端のラインパターンの線幅L1、
L5を用いて、次の(3)式のように定義される。
【0119】
【数2】
【0120】Aは通常3%未満が投影光学系(投影レン
ズ)に望まれる性能である。
【0121】空間像計測においてもこのようなL/Sパ
ターン像の線幅異常値を直接計測することが出来る。こ
の場合は、先に説明したスライス法によるエッジ検出の
手法を用いれば良いが、スライスレベルの決定に当たっ
て、空間像に対応する光強度信号を適当な閾値(スレッ
ショルドレベル)で2値化し、レジスト像の線幅に近づ
けるという簡単なレジスト像シミュレーションを行うこ
とにより、その閾値をスライスレベルとして決定するこ
とが望ましい。
【0122】以下、この線幅異常値の計測によるコマ収
差の計測方法について説明する。このコマ収差の計測に
は、例えば図9に示されるように、パターン領域PAの
中心と4角の部分の合計5箇所に計測マークDM1〜D
5が形成されたレチクルR4が用いられる。計測マー
クDM1〜DM5としては、例えばライン幅0.8μmで
デューティ比50%のY軸方向に周期性を有するL/S
パターンが用いられる。
【0123】この場合、主制御装置50では、前述した
倍率・ディストーション計測の際と同様の手順で、レチ
クルR4の光軸中心に対する位置ずれ補正、及び空間像
計測を行って、計測マークDM2〜DM5の空間像に対応
する光強度信号を得る。
【0124】そして、この得られた各光強度信号と所定
のスライスレベルとの交点をそれぞれ求め、その求めら
れた交点のY座標から計測マークDM2〜DM5の空間像
のそれぞれについて各ラインのライン幅を求め、このラ
イン幅に基づいてそれぞれの線幅異常値を(3)式に基
づいて算出し、この算出結果に基づいて投影光学系PL
のコマ収差を求める。
【0125】<コマ収差の第2の計測方法>この他、上
記と同様に得られた各光強度信号と所定のスライスレベ
ルとの交点を求めるが、その交点の位置、すなわちエッ
ジ位置ではなく、ラインパターンの空間像に対応する光
強度信号の強度分布の非対称性を示す指標値を評価量と
してコマ収差を算出する以下のような方法を採用しても
良い。
【0126】この場合、ラインパターンの空間像に対応
する光強度信号のエッジ部にリンギング(振動的変化)
が生じるような条件を設定する必要がある。そこで、一
例として、光源がArFエキシマレーザであり、投影光
学系の開口数(N.A.)が0.85で、照明σが0.3
であるとして、上記の計測マークDM1〜DM5として例
えばライン幅2μmでデューティ比50%のY軸方向に
周期性を有するL/Sパターンが用いられる。
【0127】前述と同様の手順で、計測マークDM1
DM5の空間像計測を行う。この結果、例えば計測マー
クDM1の空間像に対応する光強度信号として図10中
に実線の太線で示されるような光強度信号ISが得られ
たものとする。なお、この図10の波形データは、上記
の条件下における光学シミュレーションのデータであ
る。
【0128】この場合、主制御装置50では、所定のプ
ログラムに従い、以下の(1)〜(7)の手順でコマ収差を算
出する。 (1) まず、得られた光強度信号ISに基づき、例えば
前述した公知の位相検出の手法により、計測マークDM
1の結像位置、すなわち5本のラインパターンから成る
計測マークDM1の空間像の中心の座標(Y座標)を求
める。 (2) 次に、算出した中心の座標に基づいて、設計値に
従って各ラインパターンの空間像の中心位置(Y座標)
を求める。 (3) 次に、各ラインパターンの空間像に対応する光強
度信号について、その求めた中心位置を中心とするマー
クピッチの1/3の範囲PRを処理範囲として最小値を
検出する。図11には、1本のラインパターンの空間像
に対応する光強度信号ISnの最小値を検出する様子の
一例が示されている。 (4) 次に、上で求めた各ラインパターンに対応する光
強度信号の最小値の平均値を算出し、その平均値のレベ
ルをスライスレベル(閾値)SLとする。 (5) 次に、各ラインパターンに対応する光強度信号I
nについて、図11に示されるように、スライスレベ
ルSLと光強度信号ISnとで囲まれる、中心ラインC
Lの左側部分の面積SAと、右側部分の面積SBとをそ
れぞれ求める。 (6) 次に、各ラインパターンに対応する光強度信号I
nについて、求めた面積SA、SBの差を求め、それ
らの面積の平均値で除して、規格化面積差を求める。 (7) そして、求めた5本のラインパターンそれぞれに
対応する光強度信号ISnについての規格化面積差の平
均値が、計測マークDM1の空間像に対応する光強度信
号の強度分布の非対称性の度合いを示す指標値となり、
ここでは、計測マークDM1に対応する投影光学系PL
の視野内の評価点におけるコマ収差の評価量となる。従
って、この評価量に基づいて、その評価点におけるコマ
収差を求めることができる。
【0129】その他の計測マークDM2〜DM5について
も、上記と同様して、規格化面積差の平均値を求めるこ
とにより、計測マークDM2〜DM5に対応する投影光学
系PLの視野内の評価点におけるコマ収差の評価量を得
ることができ、これらの評価量に基づいて、各評価点に
おけるコマ収差を求めることができる。
【0130】以上の説明から明らかなように、上記の規
格化面積差を指標値とする場合には、孤立ラインを計測
マークとして使用することができる。なお、図10、図
11では、空間像AIが点線にて示されている。また、
図10では、レチクル透過光強度TRが実線の細線にて
示されている。
【0131】<コマ収差の第3の計測方法>この他、例
えば上述した第2の計測方法と同様の条件下で得られた
光強度信号の基本ピッチ(この場合1μm)の正弦波、
すなわち基本周波数成分の位相と、その半分のピッチ
(この場合0.5μm)の正弦波、すなわち第二高調波
成分の位相差を、コマ収差の評価量としても良い。図1
2には、この場合の周波数解析の一例(シミュレーショ
ン結果)が示されている。この図12から明らかなよう
に、基本周波数成分FFと第二高調波成分HFとの間
で、非対称による位相差が生じている。なお、この図1
2の場合、収差条件として、フリンジツェルニケ多項式
で球面収差成分を示す第9項の係数Z9=−20mλ、
コマ収差成分を示す第7項,第14項の係数Z7=−2
0mλ,Z14=20mλとした。
【0132】なお、コマ収差の評価量としての位相差
を、シミュレーション及び実測で求め、それぞれの位相
差とフリンジツェルニケ多項式の第7項との関係をグラ
フで表してみたところ、各位相差の偏差は僅かであり、
良好な結果が得られた。
【0133】<コマ収差の第4の計測方法>この他に、
例えば図13に示されるようなLine in Box Markと呼ば
れるマークを、計測マークDM1〜DM5に代えて用いて
も、コマ収差を計測することができる。このLine in Bo
x Markとしては、図13に示されるように、1辺がD1
(例えばD1=120μm)の正方形パターンの内部
に、同心でかつ1辺がD2(例えばD2=80μm)の
正方形のスペースパターン(幅D3)が形成されたマー
クパターンである。このLine in Box Markをウエハ上に
焼き付け、現像すると、30μm角のレジスト残しマー
クの中心に20μm角の細溝が同時に形成される。細溝
は(波長/N.A.)/2以下程度の太さとすることが
望ましく、従ってD3は、その5倍以下程度とすること
が望ましい。
【0134】このLine in Box Markを、コマ収差のある
投影光学系で結像すると細線の方が太線よりも横ずれが
大きく発生するため、細溝が偏心して対称性が崩れる。
従って、その細溝の偏心量、すなわち対称性の崩れ方の
程度を計測することにより、コマ収差の影響を知ること
ができる。
【0135】この場合もスライス法を用いたエッジ検出
の手法により、各計測マークの空間像の対称性のずれを
算出し、その算出結果に基づいて投影光学系PLのコマ
収差を求める。
【0136】上述したコマ収差の第1〜第4の計測方法
のいずれを採用する場合でも、主制御装置50では、次
のような処理を行う。すなわち、主制御装置50は、作
業者の指示に基づき、上述した第1〜第4の計測方法の
いずれかを用いたコマ収差の検出を、レンズエレメント
131、132を1個ずつ前述と同様に駆動しながら、ま
た第1、第2密閉室34、36の圧力を1つずつ前述と
同様に変更しながら、繰り返し行い、その結果に基づい
て、調整要素毎に、通常照明条件下におけるコマ収差変
化係数(調整量とコマ収差との比例係数)を求め、メモ
リ51に記憶する。なお、コマ収差は、投影光学系PL
の視野内の各像高位置に計測マークを任意に配置するこ
とにより、所望の像高におけるコマ収差を求めることが
可能である。
【0137】以上のような結像特性の計測により、通常
照明条件下における投影光学系PLの各種の結像特性変
化係数を得ることができる。そして、これらの結像特性
変化係数を用いることにより、次式(4)を立てること
ができる。
【0138】
【数3】
【0139】上式(4)において、Fはフォーカスの変
化量であり、A1〜A4は、像面湾曲、球面収差、倍率、
ディストーション、コマ収差のうちの補正対象となる4
つの結像特性の変化量である。但し、倍率及びコマ収差
の変化量は、像高毎に求めることができるので、A1
4は、これらを含む複数の結像特性の中から選択され
た4つの結像特性の変化量である。ここで、フォーカス
変化量F以外に4つの結像特性変化量を採りあげている
のは、本実施形態では調整要素がレンズエレメント13
1、132、第1、第2密閉室34、36の4つ設けられ
ているためである。従って、調整要素の数を増加させれ
ば、それに応じて補正対象となる結像特性を増加させる
ことが可能である。また、C11〜C14は、通常照明条件
下における各調整要素に対応するフォーカス変化係数で
あり、C21〜C54は、通常照明条件下における各調整要
素に対応する結像特性変化量A1〜A4に対応する4種類
の結像特性変化係数である。また、G1〜G4は、投影光
学系PLの結像特性を調整するための調整要素の調整
量、本実施形態に即して説明すれば、G1、G2はレンズ
エレメント131、132の駆動量、G3、G4は第1、第
2密閉室34、36の内部圧力の調整量である。
【0140】次に、主制御装置50は、上記の結像特性
変化量の内、フォーカスの変化量を除く、4種類の結像
特性変化係数と4つの調整要素の調整量G1〜G4とを用
いて次式(5)で示される4元1次連立方程式を立て
る。
【0141】
【数4】
【0142】そして、主制御装置50では、上記式
(5)を、通常照明条件下における投影光学系PLの結
像特性を補正するための、各調整要素の調整量(レンズ
エレメント131、132の駆動量や第1、第2密閉室3
4、36の内部圧力の調整量)の算出式として、メモリ
51に記憶する。
【0143】上記式(5)の算出式によると、例えば、
結像特性変化量A1に対応する結像特性のみを変化させ
たいときには、上記A1に所定量を入れ、他の結像特性
変化量A2〜A4に「0」を入れた新たな連立方程式を立
て、この連立方程式を解いて各調整要素の調整量G1
4を求め、その調整量に応じて各調整要素を調整する
ことにより、結像特性変化量A2〜A4に対応する結像特
性に影響を与えることなく、結像特性変化量A1に対応
する結像特性のみを所定の値に制御することが可能とな
る。他の結像特性変化量A2〜A4に対応する各結像特性
のみを変化させたい場合も同様である。
【0144】上記式(5)で、フォーカス変化量を除く
のは、倍率等の他の結像特性を補正するために例えばレ
ンズエレメント131などの調整要素を調整すると、そ
れに付随してフォーカスが変動するので、フォーカスの
補正にはこの影響も考慮する必要があるからである。
【0145】上記の4種類の結像特性を補正するため
に、調整要素を調整したことにより副作用的に発生する
フォーカス変化をFGとすると、FGは、次式(6)の
ように表せる。
【0146】
【数5】
【0147】主制御装置50では、上記式(6)を、通
常照明条件下における投影光学系PLの結像特性の調整
によるフォーカス変化分の算出式として、メモリ51に
記憶する。
【0148】また、オペレータ(通常は、露光装置メー
カーの技術者)は、投影光学系PLの結像特性の大気圧
変動量を算出する計算式を求めるため、初期調整の際
に、大気圧変化係数の算出を露光装置10に対して指示
する。この指示に応答して、主制御装置50はチャンバ
内の圧力を所定間隔で変化させて、前述と同様の手順
で、空間像計測の手法により、各結像特性を各設定圧力
毎に計測する。そして、その計測結果に基づいて、主制
御装置50は、次式(7)のような投影光学系PLの各
種結像特性の大気圧変化による変化量の算出式を求め、
メモリ51に記憶する。
【0149】
【数6】
【0150】上式(7)において、FPRESSは、フォー
カスの大気圧変動量であり、Ai PRE SS(i=1、2,
3,4)は、前述した結像特性変化量Aiに対応する結
像特性の大気圧変動量である。また、KFPは、フォーカ
スの大気圧変化係数であり、K Ai Pは、結像特性変化量
iに対応する結像特性の大気圧変化係数である。ま
た、ΔPは、気圧変化量である。
【0151】また、結像特性の照射変動量の算出のため
のモデル式を実験データに基づいて定めることが可能で
あるが、その実験データの取得に際して、前述した焼き
付け法に代えて、空間像計測によりそのデータを取得す
ることは可能である。
【0152】本実施形態では、上述したような投影光学
系PLの照射変動量を算出するモデル式や、大気圧変動
量を算出する計算式や、投影光学系のPLの結像特性を
補正するための、レンズエレメント131、132の駆動
量や第1、第2密閉室34、36の内部圧力の調整量の
算出式などの決定のための各種計測が、他の照明条件
(小σ照明、輪帯照明、変形照明)についても、同様に
して行われ、それぞれの計測結果に基づいて、照明条件
毎に、各式が求められ、メモリ51内に記憶されてい
る。ここで、照明条件の変更は、照明系開口絞り板24
上の開口絞りの設定(選択)により行われる。
【0153】次に、本実施形態の露光装置10における
露光工程の動作について簡単に説明する。
【0154】まず、不図示のレチクル搬送系によりレチ
クルRが搬送され、ローディングポジションにあるレチ
クルステージRSTに吸着保持される。次に、主制御装
置50は、レチクルRを用いた露光に最適な照明条件を
オペレータの指示に基づき、設定する。
【0155】次いで、主制御装置50の指示の下、ステ
ージ制御装置70によりウエハステージWST及びレチ
クルステージRSTの位置が制御され、主制御装置50
により、レチクルR上に形成された不図示のレチクルア
ライメントマークの投影像(空間像)が空間像計測装置
59を用いて前述のようにして計測され、レチクルパタ
ーン像の投影位置が求められる。すなわち、レチクルア
ライメントが行われる。
【0156】次に、ステージ制御装置70により、主制
御装置50からの指示に応じて空間像計測装置59を構
成するスリット板90がアライメント系ALGの直下へ
位置するように、ウエハステージWSTが移動され、ア
ライメント系ALGによって空間像計測装置59の位置
基準となるスリット29が検出される。主制御装置50
では、このアライメント系ALGの検出信号及びそのと
きのウエハ干渉計54Wの計測値、並びに先に求めたレ
チクルパターン像の投影位置に基づいて、レチクルRの
パターン像の投影位置とアライメント系ALGとの相対
位置、すなわちアライメント系ALGのベースライン量
を求める。
【0157】かかるベースライン計測が終了すると、主
制御装置50により、例えば特開昭61−44429号
公報などに詳細に開示されるEGA(エンハンスト・グ
ローバル・アライメント)等のウエハアライメントが行
われ、ウエハW上の全てのショット領域の位置が求めら
れる。なお、このウエハアライメントに際して、ウエハ
W上の複数のショット領域のうちの予め定められた所定
のサンプルショットのウエハアライメントマークがアラ
イメント系ALGを用いて計測される。
【0158】例えば、上記のウエハアライメント後に、
主制御装置50は、メモリ51内の照射履歴と前述した
投影光学系PLの照射変動量を算出するモデル式とに基
づいて、投影光学系PLのフォーカスを含む所定の結像
特性の照射変動量を算出する。また、主制御装置50
は、環境センサ81で計測される例えば大気圧と前述し
た大気圧変動量を算出する計算式に従って投影光学系P
Lの所定の結像特性の大気圧変動量を算出する。
【0159】そして、これらの算出結果を次式(8)に
代入して、投影光学系PLの所定の結像特性変化量(補
正量の目標値)を算出し、その算出結果を内部メモリに
記憶する。
【0160】
【数7】
【0161】ここで、FPRESSは、フォーカスの大気圧
変動成分(大気圧変動量に一致)、FHEATは、フォーカ
スの照射変動成分(照射変動量に一致)である。また、
i PRESS(i=1、2、3、4)は、結像特性変化量A
iに対応する結像特性の大気圧変動成分、Ai HEATは、
結像特性変化量Aiに対応する結像特性の照射変動成分
である。
【0162】そして、主制御装置50は、これらの結像
特性変化量A1〜A4(フォーカス変化量Fを除く)を前
述した式(5)に代入して、その算出結果に基づいて結
像特性補正コントローラ78に指令値を与える。これに
より、結像特性補正コントローラ78によりレンズエレ
メント131、132の駆動、第1、第2密閉室34、3
6の内圧の調整が行われ、投影光学系PLの状態が所望
の状態に調整される。
【0163】次に、主制御装置50は、多点焦点位置検
出系(60a、60b)のキャリブレーションを行う。
このキャリブレーションに際しては、主制御装置50
は、前述したFGを、式(6)に基づいて算出し、その
算出結果とフォーカスの照射変動量FHEATとフォーカス
の大気圧変動量FPRESSとに基づいて、最終的なフォー
カスの変化量(フォーカスの補正目標値)を算出し、そ
の算出結果に基づいて、受光系60b内の図示しない平
行平板の反射光束の光軸に対する傾きを制御して多点焦
点位置検出系(60a、60b)の原点(検出基準点)
の再設定を行う。なお、これに限らず、多点焦点位置検
出系(60a、60b)の検出オフセットを設定する、
あるいは検出信号に電気的オフセットを与えることによ
り、キャリブレーションを行っても良い。
【0164】次いで、主制御装置50では、上で求めた
ウエハW上の各ショット領域の位置情報及びベースライ
ン量に基づいて、ステージ制御装置70を介して干渉計
54W、54Rから送られる位置情報をモニタしつつ、
ステージ制御装置70に指示を出す。そして、ステージ
制御装置70は、ウエハステージWSTを第1ショット
領域の走査開始位置に位置決めするとともに、レチクル
ステージRSTを走査開始位置に位置決めして、その第
1ショット領域の露光のための両ステージRST,WS
Tの移動(走査)を開始する。
【0165】そして、両ステージRST、WSTがそれ
ぞれの目標走査速度に達すると、照明光ILによってレ
チクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開
始される。
【0166】ステージ制御装置70では、特に上記の走
査露光時にレチクルステージRSTのY軸方向の移動速
度VrとウエハステージWSTのX軸方向の移動速度V
wとが投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比に維持
されるように、レチクルステージRST及びウエハステ
ージWSTを同期制御する。
【0167】そして、レチクルRのパターン領域の異な
る領域が紫外パルス光で逐次照明され、パターン領域全
面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第
1ショット領域の走査露光が終了する。これにより、レ
チクルRの回路パターンが投影光学系PLを介して第1
ショット領域に縮小転写される。
【0168】こうして第1ショット領域の走査露光が終
了すると、主制御装置50の指示の下、ステージ制御装
置70によって、ウエハステージWSTを第2ショット
領域の走査開始位置(加速開始位置)へ移動させるショ
ット間のステッピング動作が行われる。そして、その第
2ショット領域の走査露光が上述と同様にして行われ
る。以後、第3ショット領域以降も同様の動作が行われ
る。
【0169】このようにして、ショット間のステッピン
グ動作とショットの走査露光動作とが繰り返され、ステ
ップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全てのショ
ット領域にレチクルRのパターンが転写される。
【0170】本実施形態では、上記の走査露光中に、前
述の如くして、高精度にキャリブレーションされた多点
焦点位置検出系(60a、60b)の出力に基づいてウ
エハW表面の照明光の照射領域が常に投影光学系PLの
結像面に合致するようにZチルトステージ38のZ位
置、XY面に対する傾斜を制御するオートフォーカス・
オートレベリング制御が主制御装置50により実行され
る。
【0171】以上説明したように、本実施形態では、露
光装置の製造時あるいは工場での組み立て時における、
初期調整時に、投影光学系PLの調整要素、具体的には
可動のレンズエレメント131、132、及び第1、第2
密閉室34,36の内部圧力を個別に変化させて投影光
学系PLの状態を段階的に変化させ、各状態毎に、スリ
ットスキャン方式の空間像計測により所定の計測マーク
の空間像を計測し、投影光学系PLの状態毎の空間像の
光強度信号に基づいて、投影光学系PLの状態の変化量
(調整要素の調整量)とその状態の変化に応じたフォー
カスを含む特定の結像特性(像面湾曲、球面収差、倍率
・ディストーション、コマ収差など)の変化量との関係
である結像特性の調整情報、具体的には、前述した結像
特性変化係数C11〜C54を演算により求める。
【0172】従って、本実施形態によると、空間像計測
を投影光学系PLの複数の状態のそれぞれに対して行
い、その結果に基づいて所定の演算を行うだけで、上記
の結像特性調整情報を得ることができる。この結果、従
来のように計測マークの転写のための露光、計測マーク
が転写された基板の現像、及び現像後に得られたレジス
ト像の計測等の工程を経ることなく、結像特性調整情報
を短時間で得ることが可能になる。
【0173】また、本実施形態によると、上記の如くし
て、初期調整時に予め求めた結像特性調整情報と目標補
正量(一例として、照射履歴に基づいて算出した投影光
学系PLのフォーカスを含む特定の結像特性の照射変動
量及び環境センサ81の計測値に基づいて算出した投影
光学系PLのフォーカスを含む特定の結像特性の大気圧
変動量との和)に基づいて、投影光学系PLの特定の結
像特性を調整する。このため、露光装置10の使用時
に、例えば照明光の吸収や大気圧の変化などにより投影
光学系PLの特定の結像特性が変化した場合に、その変
化量を目標補正量として、投影光学系PLの特定の結像
特性を調整できるので、投影光学系PLの特定の結像特
性を常に所望の状態に調整することが可能となる。
【0174】また、本実施形態の露光装置10による
と、前述の如くして、初期調整時に、投影光学系PLの
状態の変化量と前記状態の変化に応じた特定の結像特性
の変化量との関係が、結像特性調整情報として、複数の
照明条件(通常照明、小σ照明、輪帯照明、変形照明な
ど)の各々について、予め求められ、メモリ51に記憶
されている。
【0175】そして、実際に露光を行う際には、設定さ
れた照明条件に応じて、主制御装置50が、メモリ51
内に記憶されているその設定された照明条件に対応する
結像特性調整情報を用いた調整要素の調整量の算出式
と、前述した目標補正量とに基づいて、投影光学系PL
のフォーカスを除く特定の結像特性を調整した後、その
調整後の投影光学系PLを介してレチクルRのパターン
をステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上に転写
する。このため、露光の際には、投影光学系PLの特定
の結像特性を、照明条件に応じて適切な状態に調整する
ことが可能となり、この結像特性が適切な状態に調整さ
れた投影光学系PLを介してレチクルRのパターンをウ
エハW上に精度良く転写することが可能となる。
【0176】また、本実施形態の露光装置10では、露
光に先立って、主制御装置50が、フォーカスの大気圧
変動量及び照射変動量のみならず、上記の投影光学系の
結像特性の調整のための調整要素の調整に付随して発生
するフォーカス変動分をも考慮して、多点焦点位置検出
系(60a、60b)のキャリブレーションを行う。そ
して、この精度良くキャリブレーションがなされた多点
焦点位置検出系(60a、60b)を用いて、走査露光
中のウエハWのオートフォーカス制御、オートレベリン
グ制御が行われるので、それらの制御性能が向上し、デ
フォーカスのない高精度な露光が可能となる。この点に
おいても、露光精度の向上が可能である。
【0177】また、本実施形態の露光装置10は、複数
のレンズから構成される照明光学系12、投影光学系P
Lを露光装置本体に組み込み光学調整をするとともに、
多数の機械部品からなるレチクルステージRSTやウエ
ハステージWSTを露光装置本体に取り付けて配線や配
管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)を
することにより製造される。ここで、上記の光学調整の
工程で、前述した空間像計測方法を利用した投影光学系
PLの状態の変化量と前記状態の変化に応じた特定の結
像特性の変化量との関係(結像特性調整情報)が、複数
の照明条件の各々について予め求められる。このため、
短時間で、かつ複数の照明条件の各々について、特定の
結像特性の補正(調整)に用いられる結像特性調整情報
を予め得ることができ、露光装置の製造時間の短縮が可
能となる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン
度等が管理されたクリーンルームで行うことが望まし
い。
【0178】なお、上記実施形態では、投影光学系PL
のベストフォーカス位置の計測をする際に、空間像計測
装置59を構成するスリット板90(スリット29y
(又は29x))を投影光学系PLの光軸に直交するX
Y面内の所定方向に走査する場合について説明したが、
本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、上
記実施形態と同様の手順で、計測マークの空間像を投影
光学系PLの像面上に形成し、この空間像に対してスリ
ット29y(又は29x)が光軸AX方向に関して相対
走査されるように、スリット板90(Zチルトステージ
38)をベストフォーカス位置を中心とする所定ストロ
ーク範囲でZ軸方向に沿って走査(スキャン)しても良
い。この場合、像面上において計測マークの空間像が、
スリット29y(又は29x)の形状とほぼ一致するよ
うな寸法、形状となる計測マークを用いることが望まし
い。このような空間像計測を行えば、図14に示される
ような光強度信号Pを得ることができる。この場合、こ
の光強度信号Pの信号波形のピークの位置(図14中の
×印)を直接見つけることにより、その点のZ位置をベ
ストフォーカス位置Z0としても良く、あるいは光強度
信号Pを所定のスライスレベルラインSLでスライス
し、光強度信号PとスライスレベルラインSLとの2つ
の交点の中点のZ位置をベストフォーカス位置Z0とし
ても良い。いずれにしても、この方法では、スリット板
90をZ軸方向に1回走査するだけで、ベストフォーカ
ス位置の検出が可能となるので、前述した実施形態のよ
うにスリット板90をZ位置を所定ピッチで変化させつ
つ、前述したスリットスキャン方式の空間像計測を複数
回繰り返す場合に比べてスループットの向上が期待され
る。
【0179】特に、投影光学系PLの視野(有効視野)
内の複数の計測点に計測マークを配置して、それぞれの
計測点(計測マーク)について、ベストフォーカス位置
の検出が必要となる像面湾曲(像面形状)の計測の際に
は、スループットの格段の向上が期待できる。
【0180】なお、上記実施形態では、像面形状の計測
に当たって、投影光学系PLの視野内の複数の計測点に
複数の計測マークを同時に配置したが、複数の計測マー
クを必ずしも用いる必要はなく、例えば単一の計測マー
クを投影光学系PLの視野内の複数の計測点に順次移動
させつつ、上記のベストフォーカス位置の計測を繰り返
し行っても良い。この場合、計測マークPMとして、X
軸方向(又はサジタル方向)とY軸方向(メリジオナル
方向)とにそれぞれ同一ピッチで配列される2つのL/
Sパターンを用い、投影光学系PLの視野内の所定点で
その2つのL/Sパターンに照明光ILを順次照射して
上述したベストフォーカス位置の検出を行なうことで投
影光学系PLの非点収差を計測することもできる。
【0181】また、倍率、ディストーション、及びコマ
収差の計測に際しても、上記と同様に、複数の計測マー
クを必ずしも用いる必要はない。また、上記実施形態に
おいて、ベストフォーカス位置の計測に際して、同一の
計測点において空間像計測を複数回繰り返して、それぞ
れの計測結果として得られた複数のベストフォーカス位
置の平均値をベストフォーカス位置としても良い。ある
いは、投影光学系の視野内の同一の像高の複数の計測点
におけるベストフォーカス位置の平均値を最終的なベス
トフォーカス位置としても良い。同様に、ディストーシ
ョン計測やコマ収差計測の際に、空間像の結像位置(X
Y面内の位置)を求める際にも、同一の計測点において
空間像計測を複数回繰り返して、それぞれの計測結果と
して得られた結像位置の平均値を結像位置としても良
い。また、結像特性の計測を複数回繰り返し、それぞれ
の計測で得られた結像特性の算出結果を統計処理(平均
値演算を含む)して結像特性を算出することも可能であ
る。
【0182】また、上記実施形態では、結像特性調整情
報(例えば結像特性変化係数C11〜C54など)の取得を
初期調整時に行うものとしたが、例えば、前述したレチ
クルフィデューシャルマーク板を用いる場合などには、
適宜な間隔で前述した結像特性調整情報取得のための計
測及び演算を行い、その都度、結像特性変化係数を更新
することとしても良い。
【0183】レチクルフィデューシャルマーク板を用い
る場合には、多点焦点位置検出系(60a、60b)の
キャリブレーションを行う際に、その直前に、レチクル
フィデューシャルマーク板を用いて前述した計測マーク
の空間像計測によるベストフォーカス位置の検出を行
い、その結果に基づいてフォーカス変化量を求め、この
フォーカス変化量を補正目標値として多点焦点位置検出
系(60a、60b)のキャリブレーションを行うよう
にしても良い。この場合には、投影光学系の結像特性の
調整のための調整要素の調整に付随して発生するフォー
カス変動分のみならず、フォーカスの照射変動成分や、
大気圧変動成分をも含めたトータルのフォーカス変化量
を前述した演算によらず、空間像計測結果のみに基づい
て得ることができ、それを補正目標値としてキャリブレ
ーションを行うことにより、非常に精度良く、多点焦点
位置検出系(60a、60b)のキャリブレーションを
行うことが可能となる。
【0184】また、上記実施形態では、投影光学系PL
の結像特性をレンズエレメント13 1、132の駆動や、
第1、第2密閉室34、36の内部の圧力の調整(内部
気体の屈折率の調整)により行う場合について説明した
が、投影光学系の結像特性は、これ以外の方法によって
も調整が可能である。例えば、光源14から発振される
照明光ILの波長の調整(発振波長の調整)によっても
投影光学系の結像特性を調整することは可能である。従
って、発振波長を変更しながら、前述した各結像特性の
計測を行って、発振波長の変化量と各結像特性の変化量
との関係(両者の比率を発振波長変化係数と呼ぶ)を結
像特性調整情報として予め取得しておき、この結像特性
調整情報を用いて投影光学系の結像特性の調整を行うよ
うにしても良い。ここで、照明光ILの波長の変化は、
大気圧の変化との間には、所定の関係があるので、主制
御装置50が大気圧変化に連動して発振波長を調整する
ようにしておいても良い。かかる場合には、前述した各
結像特性の大気圧変動分の計算や大気圧変化率の取得等
は、必ずしも行わなくても良くなる。
【0185】また、上記実施形態では、環境の変化とし
て大気圧を採りあげ、投影光学系PLの各種結像特性の
大気圧変動量を補正するものとしたが、これは、通常露
光装置のチャンバ内は温度などの環境条件が高精度に維
持されているので、温度などの変化が投影光学系の結像
特性に与える影響が、大気圧変化に比べて実際問題とし
て小さいことを考慮したものである。しかし、投影光学
系PLの各種結像特性の大気圧変動量に加え、温度変動
量を補正することとしても勿論良い。この場合には、環
境センサ81を、圧力センサと温度センサとによって構
成するとともに、前述した大気圧変化係数の取得と同様
の手法により、投影光学系PLの温度変化係数を予め取
得しておくこととすれば良い。
【0186】ところで、半導体露光装置では、近年、投
影光学系に入射する照明光のテレセントリシティ、すな
わちいわゆる照明テレセンの計測が非常に重要な項目に
なっている。近年の半導体露光装置では、装置ごとの投
影光学系の性能のばらつきの調整を照明光学系のσ値
(コヒーレンスファクタ)の微調整によって行う、ある
いはユーザが用いる投影パターンに対する光学系の微調
整を照明光学系のσ値の調整で可能にする目的で、上記
実施形態でも説明した照明系開口絞り板24などを用い
て照明σを任意に変更できるようになっているのが一般
的である。照明σを可変にする場合、照明光学系のN.
A.内の輝度分布が完全に一様であれば、問題はない
が、実際には完全には一様ではない。このため、照明光
学系のN.A.内の光量重心を照明光学系の光軸に一致
させるためのテレセン調整機構が備えられている装置も
少ない。そこで、上記実施形態においても、このような
テレセン調整機構を設け、前述した投影光学系PLの種
々の結像特性に加え、前記投影光学系PLの状態の変化
量に応じた照明テレセン(投影光学系の光学特性の一
種)の変化量と関係を求め、該関係に基づいて照明テレ
センを調整することとしても良い。かかる照明テレセン
の調整をフォトレジストに依存せずに露光装置上で自動
的に行うには空間像によるテレセン計測が必要になる。
以下、この場合の照明テレセンの計測方法について説明
する。
【0187】照明テレセンは像位置がデフォーカスによ
って変化する量を測定して決定する。計測マークとして
は、倍率、ディストーション測定と同様にコマ収差の影
響を受けない大きなマークパターンが用いられる。焼き
付け法による場合は、例えば6μmL/Sのオーバーレ
イ・アライメント用マークが通常用いられる。ベストフ
ォーカス位置、+1μm程度のデフォーカス位置、−1
μm程度のデフォーカス位置の3点で、それぞれ露光を
行い、像位置とフォーカス位置の関係を計測し、照明テ
レセン(=(像の横ずれ量/デフォーカス量))を計算
することが行われる。
【0188】空間像計測の場合は、焼き付けと同様にコ
マ収差の影響を受けない大きなマークを用い、空間像の
絶対位置を上述の各フォーカス位置で計測し、照明テレ
センを計算する。本実施形態のようなスリットスキャン
方式の空間像計測器59を用いる場合には、6μmL/
Sマークのような大きなマークの空間像も特に支障なく
計測することができる。
【0189】しかるに、空間像計測の結果と、焼き付け
法によるレジスト像の計測の結果が一致することが、大
変重要であることは言うまでもない。半導体製造用に用
いられるフォトレジストのγ値(露光量の変化に対する
レジスト膜厚の変化割合)は一般に大きく、ある露光量
(エネルギ量:閾値)を境としてレジストの感光、非感
光が決定し、閾値レベル以上の露光量を受けたレジスト
は現像後完全に溶解する。一方、閾値レベル以下の露光
量を受けたレジストは完全に残存する。このようなレジ
スト像の生成メカニズムはいわゆるひとつの2値化プロ
セスであるから、空間像の処理としてもなるべくレジス
ト像に忠実な空間像を用い、適切な閾値で2値化してか
ら、2値化後の空間像のエッジを検出すればよい。上記
のなるべく忠実な空間像を得るには装置関数が無視でき
るような極狭のスリットを用いて空間像を走査すること
が望ましい。
【0190】図15には、デフォーカス量(δZとす
る)を−1μm〜+1μmの間で、0.2μmのステッ
プピッチで変化させた際のデフォーカス位置毎の線幅6
μmのラインパターンの各空間像が示されている。この
図15から明らかなように、各空間像のエッジのプロフ
ァイルは左右でわずかに非対称で、スライスレベル(閾
値)SLを変化させると2値化後の像のエッジ位置が変
化する。このエッジ位置を、レジスト像のそれと一致さ
せるためには、空間像強度プロファイルに対するスライ
スレベルSLの設定が大変重要である。レジスト像の感
光レベルは露光量によって決定するが、露光量は、通
常、解像限界近傍の線幅に基づいて決定する。例えば、
図16に示される空間像は250nmL/Sマークにつ
いてのものであるが、この線幅が設計値付近になる露光
量のレベルは35%程度であることが図16から判明す
る。従って、このように250nmL/Sマークに基づ
いて露光量を設定した場合には、6μmL/Sマークの
空間像は強度の35%程度の閾値でレジストを感光させ
るため、空間像計測においても閾値SLを35%程度に
設定して、2値化後の像のエッジ位置を検出する必要が
ある。
【0191】発明者等の実験の結果、対象線幅が6μm
L/Sマークの空間像をスリット幅2D=150nmの
スリットでスキャンした、照明テレセンの計測では、像
回復などを特に行わない場合にも上記の閾値の設定によ
り、非常に良い結果が得られている。
【0192】この他、0.25μmのSMPマーク(楔
形マーク)について、閾値を変えながら空間像の2値化
を行ったテレセン計測結果と、レジスト像に感光させて
から計測したテレセンの計測結果とを投影光学系の像面
内の(0,0)、(3000μm、12000μm)、
(3000μm、−12000μm)、(−3000μ
m、12000μm)、(−3000μm、−1200
0μm)の5つの評価点について比較した結果、閾値を
強度の20%程度の閾値に設定した場合に、いずれの評
価点においても、両者の結果が一致することが確認され
た。
【0193】なお、上述した空間像強度信号のスライス
レベル(閾値)を、焼き付け法の際に設定されるレジス
ト感光閾値に相当する値に設定して2値化し、その2値
化後の像のエッジ位置を計測する方法は、照明テレセン
の計測に限らず、像位置計測一般に用いることができ
る。例えば、投影光学系のディストーション計測、倍率
計測などにも好適に適用することができ、空間像計測と
レジスト像の計測との一致度を格段に向上させることが
可能になる。
【0194】勿論、この照明テレセンの計測の場合も、
前述と同様に、主制御装置50は、作業者の指示に基づ
き、上述した空間像による計測方法を用いた照明テレセ
ンの計測を、前述したテレセン調整機構を前述と同様に
単位駆動量毎に駆動しながら繰り返し行い、その結果に
基づいて、例えば通常照明条件下における照明テレセン
の変化係数(調整量と照明テレセンの比例係数)を求
め、メモリ51に記憶する。勿論、初期調整時に、投影
光学系PLの状態の変化量と前記状態の変化に応じた照
明テレセンの変化量との関係を、結像特性調整情報とし
て、複数の照明条件(通常照明、小σ照明、輪帯照明、
変形照明など)の各々について、予め求め、メモリ51
に記憶することとしても良い。
【0195】この投影光学系PLの状態の変化量と前記
状態の変化に応じた照明テレセンの変化量との関係、す
なわち照明テレセンの変化係数を得た場合には、その照
明テレセンの変化係数を用いて例えば前述の式(4)を
拡張し、次式(9)のようにすれば良い。
【0196】
【数8】
【0197】上記(9)式において、A5は、照明テレ
センの変化係数であり、G5は、テレセン調整機構の調
整量である。
【0198】なお、上述の照明テレセン計測において、
空間像の2値化を行ったテレセン計測結果と、レジスト
像に感光させてから計測したテレセンの計測結果とがあ
まり一致しない条件下では、必要に応じて空間像の像回
復を併用することが望ましい。
【0199】ここで、像回復について説明する。
【0200】前述した図4(A)、図4(B)を前提に
説明すると、空間像PM’はスリット29yの走査方向
の幅(2D)の影響で像が平均化する。
【0201】従って、スリットをp(y)、空間像の強
度分布をi(y)、観測される光強度信号をm(y)と
すると、空間像の強度分布i(y)と観測される強度信
号m(y)の関係は次の(10)式で表すことができ
る。この(10)式において、強度分布i(y)、強度
信号m(y)の単位は単位長さ当たりの強度とする。
【0202】
【数9】
【0203】
【数10】
【0204】すなわち、観測される強度信号m(y)は
スリッ卜p(y)と空間像の強度分布i(y)のコンボ
リューションになる。
【0205】従って、計測精度の面からは、スリットの
走査方向の幅(スリット幅)2Dは小さい程良い。
【0206】前述した(10)式、(11)式より、ス
リットスキャンによる平均化は、空間周波数的にはp
(x)のフーリエ変換によりどのようなスペクトルかが
判明する。これは一般に装置関数P(u)と呼ばれてい
る。装置関数は次の(12)式で示される。
【0207】
【数11】
【0208】(12)式の周波数特性の逆特性のフィル
タP_inv(u)は次の(13)式で示され、これを
観測される空間像の強度信号m(y)のフーリエスペク
トルに乗じてから逆フーリエ変換を行えば像回復が行わ
れる。 P_inv(u)=1/P(u) …(13) インコヒーレント結像の光学的伝達関数(OTF)の上
限が2N.A./λであるから完全な像回復のためには
次の(14)式を満たす必要がある。
【0209】
【数12】
【0210】図17には、装置関数P(u)とその逆数
の像復元フィルタP_inv(u)とが示されている。
像復元フィルタP_inv(u)は装置関数P(u)の
最初のゼロ点以上は0とする。図17において、符号A
1は、前述の光強度信号のスペクトル(実数部)を示
し、符号AP2は、光強度信号のスペクトル(虚数部)
を示す。
【0211】図18には、像回復のシミュレーション結
果の一例が示されている。この場合のシミュレーション
の条件は、投影光学系のN.A.=0.73、照明光の
波長λ=193nm、スリット幅2D=130nmであ
る。また、投影対象のパターンとしては、線幅80nm
のL/S5本マークである。この図18において、符号
TRはレチクル透過光の強度を、符号ISは空間像に対
応する光強度信号を、符号AI’は回復後の像を示す。
このシミュレーションによれば、上記条件は(14)式
を満足しているので、スリットスキャン後の空間像強度
は相当鈍っているが、像回復は問題なく行われているこ
とがわかる。
【0212】また、上記実施形態では、露光用照明光と
してKrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエ
キシマレーザ光(193nm)などを用いる場合につい
て説明したが、これに限らず、g線(436nm)、i
線(365nm)、F2レーザ光(157nm)、銅蒸
気レーザ、YAGレーザの高調波等を露光用照明光とし
て用いることができる。
【0213】また、上記実施形態では、投影光学系とし
て縮小系を用いる場合について説明したが、これに限ら
ず、投影光学系として等倍あるいは拡大系を用いても良
いし、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれであっ
ても良い。
【0214】なお、上記実施形態では、本発明がステッ
プ・アンド・スキャン方式の投影露光装置に適用された
場合について説明したが、これに限らず、マスクと基板
とを静止した状態でマスクのパターンを基板に転写する
とともに、基板を順次ステップ移動させるステップ・ア
ンド・リピート型の露光装置にも本発明は適用すること
ができる。
【0215】また、本発明は、半導体製造用の露光装置
に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造
に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に
転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられる
デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光
装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、
DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも
適用することができる。また、半導体素子などのマイク
ロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、
X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレ
チクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシ
リコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置に
も本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光や
VUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的
に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石
英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フ
ッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、
プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装
置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレ
ンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウ
エハなどが用いられる。
【0216】半導体デバイスは、デバイスの機能・性能
設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチ
クルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製
作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレ
チクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイ
ス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工
程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製
造される。
【0217】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の計測方法
によれば、投影光学系の結像特性変化を補正するために
用いられる結像特性調整情報を短時間で取得することが
できるという効果がある。
【0218】また、本発明の結像特性調整方法によれ
ば、投影光学系の特定の結像特性を常に所望の状態に調
整することができる。
【0219】また、本発明の露光方法によれば、照明条
件によらずマスクのパターンを基板上に精度良く転写す
ることができるという効果がある。
【0220】また、本発明の露光装置の製造方法によれ
ば、露光装置の製造時間の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る露光装置の概略構成
を示す図である。
【図2】図1のウエハステージ近傍を拡大し、Zチルト
ステージの駆動装置とともに示す図である。
【図3】図1の空間像計測装置の内部構成を示す図であ
る。
【図4】図4(A)は、空間像の計測に際してスリット
板上に空間像PMy’が形成された状態を示す図であ
り、図4(B)は、その空間像計測の際に得られる光電
変換信号(光強度信号)の一例を示す線図である。
【図5】像面湾曲の計測に用いられるレチクルを示す平
面図である。
【図6】球面収差の計測に用いられるレチクルを示す平
面図である。
【図7】倍率・ディストーションの計測に用いられるレ
チクルを示す平面図である。
【図8】コマ収差の計測方法を説明するための図であ
る。
【図9】コマ収差の計測に用いられるレチクルを示す平
面図である。
【図10】コマ収差の第2の計測方法を説明するための
図であって、所定条件下における光学シミュレーション
により得られた波形を示す図である。
【図11】コマ収差の第2の計測方法を説明するための
図であって、空間像に対応する光強度信号の強度分布の
非対称性の度合いを示す指標値の求め方を説明するため
の図である。
【図12】コマ収差の第3の計測方法を説明するための
図であって、周波数解析の一例(シミュレーション結
果)を示す図である。
【図13】Line in Box Markの一例を示す図である。
【図14】ベストフォーカス位置の他の計測方法を説明
するための図である。
【図15】デフォーカス量δZを−1μm〜+1μmの
間で、0.2μmのステップピッチで変化させた際のデ
フォーカス位置毎の線幅6μmのラインパターンの各空
間像を示す図である。
【図16】露光量の決定方法を説明するための図であっ
て、250nmL/Sマークについて空間像を示す図で
ある。
【図17】像回復を説明するための図であって、装置関
数とその逆数の像復元フィルタとを示す図である。
【図18】像回復のシミュレーション結果の一例を示す
図である。
【符号の説明】
29、29y、29x…スリット(計測用パターン)、
PL…投影光学系、PMy,PMx,PM1〜PMn,P
M1,PM2,BM1〜BM5,DM1〜DM5…計測マー
ク、IL…照明光、PMy’…空間像、R…レチクル
(マスク)、W…ウエハ(基板)。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 投影光学系の結像特性変化を補正するた
    めに用いられる結像特性調整情報を計測する計測方法で
    あって、 第1面上に配置された少なくとも1つの計測マークを照
    明光により照明して前記計測マークの空間像を前記投影
    光学系を介して第2面上に形成し、前記空間像に対して
    所定の計測用パターンを走査し、該走査中に前記計測用
    パターンを介した前記照明光を光電検出し、その検出結
    果として前記空間像に対応する光強度信号を得る空間像
    計測を、前記投影光学系の複数の状態について、繰り返
    し行う空間像計測工程と;前記空間像計測工程での計測
    結果に基づいて、前記投影光学系の状態の変化量と前記
    状態の変化に応じた特定の結像特性の変化量との関係を
    算出する算出工程と;を含む計測方法。
  2. 【請求項2】 前記空間像計測工程では、前記投影光学
    系の視野内の少なくとも1つの計測点に配置された計測
    マークの空間像の計測を、前記投影光学系の複数の状態
    について、かつ計測用パターンの前記光軸方向の位置を
    変化させつつ繰り返し行い、 前記算出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前
    記状態の変化に応じた最良フォーカス位置の変化量との
    関係を算出することを特徴とする請求項1に記載の計測
    方法。
  3. 【請求項3】 前記空間像計測工程では、前記投影光学
    系の視野内の少なくとも1つの計測点に配置されたデュ
    ーティ比の異なるラインアンドスペースパターンから成
    る複数の計測マークの空間像の計測を、前記投影光学系
    の複数の状態について、かつ前記計測用パターンの前記
    光軸方向の位置を変化させつつ繰り返し行い、 前記算出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前
    記状態の変化に応じた球面収差の変化量との関係を算出
    することを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
  4. 【請求項4】 前記空間像計測工程では、前記投影光学
    系の視野内の複数の計測点に配置された複数の計測マー
    クの空間像の計測を、前記投影光学系の複数の状態につ
    いて、繰り返し行い、 前記算出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前
    記状態の変化に応じた倍率、ディストーション及びコマ
    収差の少なくとも1つの変化量との関係を算出すること
    を特徴とする請求項1に記載の計測方法。
  5. 【請求項5】 前記計測マークは、少なくとも1本のラ
    インパターンを含むマークであり、 前記算出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前
    記状態の変化に応じたコマ収差の変化量との関係を算出
    する際に、前記投影光学系の状態毎に得られた前記少な
    くとも1本のラインパターンの光強度信号の強度分布の
    非対称性の度合いを示す指標値を評価量としてコマ収差
    を算出することを特徴とする請求項4に記載の計測方
    法。
  6. 【請求項6】 前記非対称性の度合いを示す指標値は、
    前記光強度信号を所定のスライスレベルと前記ラインパ
    ターンに対応する光強度信号とで囲まれ領域の前記ライ
    ンパターンの中心の左側の面積と右側の面積との差を規
    格化した規格化面積比であることを特徴とする請求項5
    に記載の計測方法。
  7. 【請求項7】 前記計測マークは、所定ピッチのライン
    アンドスペースパターンを含むマークであり、 前記算出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前
    記状態の変化に応じたコマ収差の変化量との関係を算出
    する際に、前記投影光学系の状態毎に得られた前記ライ
    ンアンドスペースパターンに対応する光強度信号の基本
    周波数成分と第2高調波成分の位相との位相差を評価量
    としてコマ収差を算出することを特徴とする請求項4に
    記載の計測方法。
  8. 【請求項8】 前記空間像計測工程では、前記投影光学
    系の視野内の少なくとも1つの計測点に配置された計測
    マークの空間像の計測を、前記投影光学系の複数の状態
    について、かつ計測用パターンの前記光軸方向の複数位
    置でそれぞれ行い、 前記算出工程では、前記計測用パターンの複数の位置で
    それぞれ得られる前記計測マークの空間像に対応する各
    光強度信号と、焼き付け法の際に設定されるレジスト感
    光閾値に相当する閾値とを用いて前記空間像のエッジ位
    置をそれぞれ求め、該エッジ位置の算出結果に基づいて
    計測マークの結像位置を、各計測用パターンの位置毎
    に、かつ前記投影光学系の状態毎に求め、該算出結果に
    基づいて、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態の
    変化に応じた前記照明光のテレセントリシティの変化量
    との関係を算出することを特徴とする請求項1に記載の
    計測方法。
  9. 【請求項9】 前記エッジ位置を求めるのに先立って、
    前記空間像の像回復を行うことを特徴とする請求項8に
    記載の計測方法。
  10. 【請求項10】 前記空間像計測工程では、前記投影光
    学系の視野内の複数の計測点に配置された複数の計測マ
    ークの空間像の計測を、前記投影光学系の複数の状態に
    ついて、かつ前記計測用パターンの前記光軸方向の位置
    を変化させつつ繰り返し行い、 前記算出工程では、前記投影光学系の状態の変化量と前
    記状態の変化に応じた像面湾曲の変化量との関係を算出
    することを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
  11. 【請求項11】 前記投影光学系の状態の変化は、前記
    投影光学系を構成する要素の状態及び環境条件の少なく
    とも1つの変化に起因して生じるものであることを特徴
    とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の計測方
    法。
  12. 【請求項12】 投影光学系の結像特性を調整する結像
    特性調整方法であって、 請求項1〜11のいずれか一項に記載の計測方法によっ
    て、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態の変化に
    応じた特定の結像特性の変化量との関係を、結像特性調
    整情報として求める工程と;該求めた結像特性調整情報
    と目標補正量とに基づいて、前記投影光学系の前記特定
    の結像特性を調整する工程と;を含む結像特性調整方
    法。
  13. 【請求項13】 マスクのパターンを投影光学系を介し
    て基板上に転写する露光方法であって、 請求項1〜11のいずれか一項に記載の計測方法によっ
    て、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態の変化に
    応じた特定の結像特性の変化量との関係を、結像特性調
    整情報として、前記マスクを照明する複数の照明条件の
    各々について予め求める工程と;設定された照明条件に
    応じて、その照明条件に対応する前記結像特性調整情報
    と目標補正量とに基づいて、前記投影光学系の前記特定
    の結像特性を調整する工程と;該調整後の前記投影光学
    系を介して前記パターンを基板上に転写する工程と;を
    含む露光方法。
  14. 【請求項14】 マスクのパターンを投影光学系を介し
    て基板上に転写する露光装置の製造方法であって、 請求項1〜11のいずれか一項に記載の計測方法によっ
    て、前記投影光学系の状態の変化量と前記状態の変化に
    応じた特定の結像特性の変化量との関係を、結像特性調
    整情報として、前記マスクを照明する複数の照明条件の
    各々について予め求める工程を含むことを特徴とする露
    光装置の製造方法。
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