JP2003217349A - 導電性被膜形成用組成物及びその製造方法 - Google Patents

導電性被膜形成用組成物及びその製造方法

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JP2003217349A
JP2003217349A JP2002016057A JP2002016057A JP2003217349A JP 2003217349 A JP2003217349 A JP 2003217349A JP 2002016057 A JP2002016057 A JP 2002016057A JP 2002016057 A JP2002016057 A JP 2002016057A JP 2003217349 A JP2003217349 A JP 2003217349A
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composition
forming
conductive film
solution
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JP2002016057A
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English (en)
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Yoshifumi Ichinose
佳史 一瀬
Tsutomu Seta
努 瀬田
Toshikatsu Kobayashi
敏勝 小林
Taizo Minamiya
泰三 南家
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 これまでに比べて穏やかな加熱条件で、導電
性を有する金属薄膜を得ることができる金属コロイド溶
液を提供する。 【解決手段】 金属コロイド粒子、ポリアルキレンオキ
サイド鎖を有する高分子顔料分散剤、及び、光ラジカル
開始剤を含むことを特徴とする導電性被膜形成用組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性被膜形成用
組成物、その製造方法及び導電性被膜の形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】数10nmの金属粒子が溶液中に均一に
分散した状態で存在するいわゆる金属コロイド溶液は、
その特徴を活かして種々の分野で利用されてきている。
特開平11−080647号公報には、貴金属のコロイ
ド粒子及び高分子分散剤を含む貴金属コロイド粒子及び
その製造方法とともに、これを着色剤として塗料等に利
用できることが開示されている。
【0003】特開2000−239853号公報には、
貴金属コロイド粒子を塗布して塗膜を形成し、この塗膜
を加熱して塗膜中のコロイド粒子を融着させてなる金属
薄膜の形成方法が開示されている。金属薄膜は、各種物
品に対してめっき調の金属光沢を付与するために使用さ
れるほか、導電性を有することを利用して、半導体基
板、プリント基板、電子部品等における電極や配線等の
導体回路を形成するために使用されうるものであり、こ
のような導体回路の形成に使用される金属薄膜は、一般
に真空蒸着、スパッタリング、CVD法等の薄膜形成法
により形成されるものである。
【0004】このような薄膜形成法は、一般に減圧雰囲
気下で行われるため、真空チャンバー等の反応容器内に
基板等を設置して行う必要があり、金属薄膜形成の対象
物が大きくなると薄膜の形成が困難であるが、上記公報
において提案されている金属薄膜の形成方法は、金属コ
ロイド溶液の塗布により金属薄膜を形成することが可能
であることから、大面積の金属薄膜を形成したり、複雑
な表面形状の基材上に金属薄膜を形成したりするのに適
している。
【0005】しかしながら、金属コロイド溶液の塗布に
より導電性を有する金属薄膜を得るためには、これま
で、250〜500℃程度で数時間かけて焼成を行い、
分散剤等の有機成分を分解又は揮散させることによって
金属コロイド粒子同士を融着させる方法が一般的に用い
られてきた。環境への影響を考慮すると、加熱温度の低
下及び/又は加熱時間の短縮が期待されており、これら
の達成はコスト低減にもつながるものである。また、塗
布する基材がプラスチックや紙等の場合には、耐熱温度
が先の焼成温度よりも低いため、基材の種類及び加熱条
件によっては導電性薄膜を形成することが困難であっ
た。このため、これまでに比べて穏やかな加熱条件で、
導電性を有する金属薄膜を得ることができる金属コロイ
ド溶液の開発が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、これまでに比べて穏やかな加熱条件で、導電性を
有する金属薄膜を得ることができる金属コロイド溶液を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属コロイド
粒子、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散
剤、及び、光ラジカル開始剤を含むことを特徴とする導
電性被膜形成用組成物である。
【0008】上記金属コロイド粒子は、ポリアルキレン
オキサイド鎖を有する高分子分散剤の存在下に、溶液中
で金属化合物を還元することにより形成されたものであ
ることが好ましい。
【0009】本発明は、ポリアルキレンオキサイド鎖を
有する高分子分散剤の存在下に、金属化合物を還元して
金属コロイド溶液を得る工程(1)、及び、上記工程
(1)により得られた金属コロイド溶液に光ラジカル開
始剤を添加する工程(2)を含むことを特徴とする導電
性被膜形成用組成物の製造方法である。
【0010】本発明は、上記導電性被膜形成用組成物の
製造方法により得られるものであることを特徴とする導
電性被膜形成用組成物である。本発明はまた、上記導電
性被膜形成用組成物を基材に塗布して得られた乾燥膜に
光照射を行う工程(3)、及び、上記工程(3)により
得られた被膜を加熱する工程(4)を含むことを特徴と
する導電性被膜の形成方法である。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0011】本発明の導電性被膜形成用組成物は、金属
コロイド粒子、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高
分子分散剤、及び、光ラジカル開始剤を含むものであ
る。上記導電性被膜形成用組成物を使用することにより
導電性被膜を得ることができる。
【0012】上記導電性被膜形成用組成物は、光ラジカ
ル開始剤を含有するものである。これにより、上記導電
性被膜形成用組成物を基材に塗布して得られた乾燥膜に
光照射を行った後、比較的低温で加熱することより導電
性被膜を得ることができる。例えば、金属コロイド粒子
及びポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤
からなり、かつ、光ラジカル開始剤を実質的に含有しな
い(実質的に含有しないとは、組成物中で作用するほど
含まれていないことを意味し、含有量が金属の全質量に
対して、下限0.1質量%未満であることを意味す
る。)組成物を基材に塗布し、乾燥して得られた乾燥膜
に水銀灯を使用して光照射した後に、150℃で40分
間加熱して得られた被膜は、導電性を有しないものであ
るが、金属コロイド粒子、ポリアルキレンオキサイド鎖
を有する高分子分散剤及び光ラジカル開始剤を含む本発
明の導電性被膜形成用組成物を用い、同様にして得られ
た被膜は、導電性を有するものである。即ち、本発明の
導電性被膜形成用組成物は、光ラジカル開始剤を含有す
るものであることから、加熱処理前に光照射を行うこと
により、例えば、150℃のような比較的低温の加熱
で、導電性を有する導電性被膜を得ることができるもの
である。
【0013】上述したように、本発明の導電性被膜形成
用組成物は、光照射後、比較的低温の加熱で導電性被膜
を得ることができるものであり、このような効果が得ら
れる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推
察される。
【0014】上記導電性被膜形成用組成物は、光ラジカ
ル開始剤を含有するものであることから、これを塗布、
乾燥して得られる乾燥膜も光ラジカル開始剤を含有して
なるものである。従って、この乾燥膜に光照射すること
によってラジカルが生成し、まず、このラジカルによっ
て、上記高分子分散剤が有するポリアルキレンオキサイ
ド鎖の分解が進行する。次にこの状態で加熱を行うこと
により、膜中のモルフォロジーが変化し、導電性を有す
る状態になるものと考えられる。導電性を有する状態が
どのようなものであるかは不明であるが、導電性を有す
る状態になるために必要なエネルギーは、ラジカルが存
在しない状況下で高分子分散剤を分解するために必要な
エネルギーに比べ、はるかに小さい。このため、比較的
穏やかな条件(比較的低温の加熱温度、比較的短時間の
加熱時間)で、導電性が発現するものと推察される。
【0015】上記光ラジカル開始剤としては、光照射に
よりフリーラジカルを生成するものであれば特に限定さ
れず、例えば、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)
−4,4′,5,5,′−テトラフェニル−1,1′−
ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニ
ル)−4,4′,5,5,′−テトラキス(2,3−ジ
メトキシフェニル)−1,1ビイミダゾール等のビスイ
ミダゾール化合物;2,4,6−トリス(トリクロロメ
チル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジ
ン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)
−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロ
メチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,
3,5−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナ
フチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,
3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5
−トリアジン化合物;ジフェニルヨードニウム、4,
4′−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4′−ジ
メトキシジフェニルヨードニウム、4,4′−ジ−t−
ブチルジフェニルヨードニウム、4−メチル−4′−イ
ソプロピルジフェニルヨードニウム、3,3′−ジニト
ロジフェニルヨードニウム等と、クロリド、ブロミド、
テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェー
ト、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアン
チモネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ
レート、トリフルオロメチルスルホネートとを組み合わ
せたジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニ
ウム塩、ジアリールジアゾニウム塩、トリアリールセレ
ノニウム塩、トリアリールホスホニウム塩等のオニウム
塩化合物;チタノセン、フェロセン等の金属アレーン錯
体;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテ
ル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン等のベンゾインエーテル化合物;ベンジルアルキ
ルケタール等のケタール化合物;2,2′−ジアルコキ
シアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノ
ン、p−t−ブチルシクロアセトフェノン等のアセトフ
ェノン化合物;ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェ
ノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾ
イル安息香酸メチル、3,3′−ジメチル−4−メトキ
シベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフ
ェニルスルフィド、ジベンゾスベロン等のベンゾフェノ
ン化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサント
ン、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオ
キサントン等のチオキサントン化合物;アントラキノン
化合物;3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパー
オキシカルボニル)ベンゾフェノン等の過酸化物;N−
フェニルグリシン、N−(p−クロロフェニル)グリシ
ン、N−ヒドロキシエチル−N−フェニルグリシン、N
−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピル)−
N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン化合
物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルア
シルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメ
チルベンゾイル)フェニルアシルホスフィンオキサイド
等のアシルホスフィンオキサイド化合物等を挙げること
ができる。なかでも、水素を引き抜く能力が高いベンゾ
フェノン化合物、チオキサントン化合物、アントラキノ
ン化合物が好ましい。
【0016】上記光ラジカル開始剤の含有量は、上記導
電性被膜形成用組成物中の固形分質量に対して、0.1
〜10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満
であると、導電性被膜が得られないおそれがあり、10
質量%を超えると、光ラジカル開始剤の膜表面近傍の濃
度が高まり、光照射時における表面近傍での吸収が多く
なるため、膜の深部まで光が到達せず、結果として、膜
全体の導電性が充分でなくなるおそれがある。
【0017】上記導電性被膜形成用組成物は、ポリアル
キレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤を含有するも
のである。上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高
分子分散剤は、親水性の部分であるポリアルキレンオキ
サイド鎖と主に炭化水素からなる疎水性の部分とを有
し、分散剤としての機能を有するものである。
【0018】上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する
高分子分散剤は、上記金属コロイド粒子と共存してお
り、上記金属コロイド粒子が溶媒中で分散するのを安定
化する働きをしていると考えられる。
【0019】ポリアルキレンオキサイド鎖はラジカルに
よって分解しやすいことが知られている。このため、光
照射及び穏やかな加熱条件により、導電性被膜を得るこ
とができる。また、ポリアルキレンオキサイド鎖は親水
性であるため、親水性溶剤を用いたときの金属コロイド
粒子の分散安定化にも寄与しているものと考えられる。
【0020】上記ポリアルキレンオキサイド鎖として
は、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイ
ド等を挙げることができる。
【0021】上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する
高分子分散剤中のポリアルキレンオキサイド鎖部分の質
量は、上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子
分散剤の質量において、50〜85質量%であることが
好ましい。50質量%未満であると、金属コロイド粒子
の分散安定性が低下するおそれがあり、85質量%を超
えると、後述する金属コロイド粒子の製造が困難になる
おそれがある。
【0022】上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する
高分子分散剤の数平均分子量は、1000〜100万で
あることが好ましい。1000未満であると、分散安定
性が充分ではないことがあり、100万を超えると、粘
度が高すぎて取り扱いが困難となる場合がある。より好
ましい下限値は2000、上限値は50万であり、更に
好ましい下限値は4000である。
【0023】上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する
高分子分散剤としては上述の性質を有するものであれば
特に限定されず、種々のものが利用できるが、例えば、
炭素数8以上のアルキル基を有する、ポリエチレングリ
コールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコー
ルモノアルキルエーテル等のポリアルキレングリコール
モノアルキルエーテル;ポリアルキレンオキサイド基を
有するアクリルモノマーの重合体等を挙げることができ
る。
【0024】また、上記ポリアルキレンオキサイド鎖を
有する高分子分散剤は、高分子の重合体に、ポリアルキ
レンオキサイド鎖とともに顔料表面に対する親和性の高
い官能基とが導入された高分子顔料分散剤であってもよ
い。この高分子顔料分散剤は、通常、顔料ペーストの製
造時に顔料分散剤として用いられているものである。上
記親和性の高い官能基が金属コロイド粒子の分散安定化
に寄与するので、上記高分子分散剤は、上記ポリアルキ
レンオキサイド鎖を有する高分子顔料分散剤であること
が好ましい。
【0025】上記高分子顔料分散剤として市販されてい
るものとして、例えば、ディスパービック190、ディ
スパービック191(以上、ビックケミー社製)、EF
KA−4540、EFKA−4550(以上、EFKA
ケミカル社製)等を挙げることができる。
【0026】上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する
高分子分散剤の含有量は、上記導電性被膜形成用組成物
中の固形分質量に対して、5〜40質量%であることが
好ましい。5質量%未満であると、上記導電性被膜形成
用組成物中の金属コロイドの分散安定性が低下するおそ
れがあり、40質量%を超えると、導電性被膜が得られ
ないおそれがある。
【0027】上記導電性被膜形成用組成物は、金属コロ
イド粒子を含有するものである。上記金属コロイド粒子
は、上記導電性被膜形成用組成物中に分散している。
【0028】上記金属コロイド粒子を形成する金属とし
ては、通常、導電性パターン形成に用いられているもの
が用いられ、例えば、金、銀、白金、銅等を挙げること
ができる。これらの中で導電性の点から銀が好ましい。
【0029】上記金属コロイド粒子は、ポリアルキレン
オキサイド鎖を有する高分子分散剤の存在下に、溶液中
で金属化合物を還元することにより形成されたものであ
ることが好ましい。即ち、上記金属コロイド粒子は、ポ
リアルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤の存在
下に、金属化合物を還元して金属コロイド溶液を得るこ
とにより、溶液中に形成されるものとして得ることがで
き、例えば、後述する導電性被膜形成用組成物の製造方
法における工程(1)により得られる金属コロイド溶液
中に形成されるものであることが好ましい。
【0030】上記金属コロイド粒子の含有量は、上記導
電性被膜形成用組成物中の固形分質量に対して、金属量
で、60〜95質量%であることが好ましい。60質量
%未満であると、上記導電性被膜形成用組成物から導電
性被膜が得られないおそれがあり、95質量%を超える
と、金属コロイドの分散安定性が低下するおそれがあ
る。
【0031】上記導電性被膜形成用組成物は、金属コロ
イド粒子、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子
分散剤及び光ラジカル開始剤の必須成分以外に、本発明
の効果を阻害しない範囲で他の成分を含有してもよい。
【0032】本発明の導電性被膜形成用組成物の製造方
法は、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散
剤の存在下に、金属化合物を還元して金属コロイド溶液
を得る工程(1)、及び、上記工程(1)により得られ
た金属コロイド溶液に光ラジカル開始剤を添加する工程
(2)を含むものである。
【0033】上記工程(1)で用いられる上記金属化合
物は、溶媒に溶解することにより金属イオンを生じ、上
記金属イオンが還元されて上記金属コロイド粒子を供給
するものである。上記金属コロイド粒子となる金属とし
ては、例えば、上述したものを挙げることができる。
【0034】上記金属化合物としては上述の金属を含む
ものであれば特に限定されず、例えば、テトラクロロ金
(III)酸四水和物(塩化金酸)、硝酸銀、酢酸銀、
過塩素酸銀(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水
和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、塩化銅(I
I)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(I
I)等を挙げることができる。これらは、単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】上記金属化合物は、溶媒中の金属モル濃度
が0.01mol/l以上となるように用いられること
が好ましい。0.01mol/l未満であると、得られ
る金属コロイド溶液の金属モル濃度が低すぎて、効率的
でない。好ましくは0.05mol/l以上、より好ま
しくは0.1mol/l以上である。
【0036】上記溶媒としては上記金属化合物を溶解す
ることができるものであれば特に限定されず、例えば、
水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒と
しては、例えば、メタノール、エタノール、エチレング
リコール、アセトン等の水可溶性のものが好ましい。こ
れらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。後で限外濾過処理を行う場合には、水、アルコール
並びに水及びアルコールの混合溶液が好ましい。
【0037】上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する
高分子分散剤は、上述したものを用いることができる。
上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤
の使用量は、上記金属化合物中の金属とポリアルキレン
オキサイド鎖を有する高分子分散剤との合計量に対して
50質量%以下であることが好ましい。50質量%を超
えると、導電性被膜が得られないおそれがある。より好
ましくは、15質量%以下である。
【0038】上記金属化合物は、上述のポリアルキレン
オキサイド鎖を有する高分子分散剤の存在下で、還元性
化合物を用いて金属へ還元することができる。上記還元
性化合物としては、アミンが好ましく、例えば、上記金
属化合物及びポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分
子分散剤の溶液にアミンを添加して攪拌、混合すること
によって、金属イオンが常温付近で金属に還元される。
上記アミンを使用することにより、危険性や有害性の高
い還元剤を使用する必要がなく、加熱や特別な光照射装
置を使用することなしに、5〜100℃、好ましくは2
0〜80℃の反応温度で、金属化合物を還元することが
できる。
【0039】上記アミンとしては特に限定されず、例え
ば、特開平11−80647号公報に例示されているも
のを使用することができ、プロピルアミン、ブチルアミ
ン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミ
ン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、ト
リエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N′,
N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミ
ノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,
3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テト
ラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、
N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N′−ジメチ
ルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モ
ルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニ
リン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシ
ジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミ
ン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベン
ジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、
N,N,N′,N′−テトラメチルキシリレンジアミン
等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、
上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、
ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エ
タノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノ
ールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプ
ロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサ
ノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカ
ノールアミンも挙げることができる。これらは、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのう
ち、アルカノールアミンが好ましく、ジメチルアミノエ
タノールがより好ましい。
【0040】上記アミンの他に、従来より還元剤として
使用されている水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金
属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;クエン酸;酒石
酸;アスコルビン酸;ギ酸;ホルムアルデヒド;亜ニチ
オン酸塩、スルホキシル酸塩誘導体等を使用することが
できる。入手容易なことから、クエン酸;酒石酸;アス
コルビン酸が好ましい。これらは、単独又は上記アミン
と組み合わせて使用することが可能であるが、アミンと
クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸を組み合わせる場
合、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸はそれぞれ塩の
形のものを用いることが好ましい。また、クエン酸やス
ルホキシル酸塩誘導体は、鉄(II)イオンと併用する
ことによって、還元性の向上を図ることができる。
【0041】上記還元性化合物の添加量は、上記金属化
合物中の金属を還元するのに必要な量以上であることが
好ましい。この量未満であると、還元が不充分となるお
それがある。また、上限は特に規定されないが、上記金
属化合物中の金属を還元するのに必要な量の30倍以下
であることが好ましく、10倍以下であることがより好
ましい。また、これらの還元性化合物の添加により化学
的に還元する方法以外に、高圧水銀灯を用いて光照射す
る方法も使用することも可能である。
【0042】上記還元性化合物を添加する方法としては
特に限定されず、例えば、上記ポリアルキレンオキサイ
ド鎖を有する高分子分散剤の添加後に行うことができ、
この場合は、例えば、まず溶媒に上記ポリアルキレンオ
キサイド鎖を有する高分子分散剤を溶解させ、更に、上
記還元性化合物又は金属化合物の何れかを溶解させて得
られる溶液に、還元性化合物又は金属化合物の残った方
を加えることで、還元を進行させることができる。上記
還元性化合物を添加する方法としては、また、先にポリ
アルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤と上記還
元性化合物とを混合しておき、この混合物を金属化合物
の溶液に加える形態をとってもよい。
【0043】上記還元により、平均粒子径が約5〜10
0nmである金属コロイド粒子を含む溶液が得られる。
上記還元後の溶液は、上記金属コロイド粒子及び上述の
ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤を含
むコロイド溶液となる。上記コロイド溶液とは、金属の
微粒子が溶媒中に分散しており、溶液として視認できる
ような状態にあるものを意味している。
【0044】上記還元後のコロイド溶液は、その金属コ
ロイド粒子及びポリアルキレンオキサイド鎖を有する高
分子分散剤を含む固形分が質量基準で、0.05〜50
%であることが好ましい。0.05%未満であると、金
属モル濃度が低すぎて非効率的であり、50%を超える
とコロイド溶液の分散安定性が低下するおそれがある。
【0045】上記コロイド溶液における上記固形分中の
金属濃度は、60〜95質量%あることが好ましい。6
0質量%未満であると、導電性被膜が得られないおそれ
があり、95質量%を超えると、製造が困難である。
【0046】本明細書において、金属コロイド溶液又は
コロイド溶液の金属濃度とは、金属コロイド溶液又はコ
ロイド溶液の固形分中に占める金属の質量%を意味す
る。固形分量及び金属量は、100〜150℃及び数1
00℃でそれぞれ加熱して得られる残分を測定すること
により求めることができる。具体的には、TG−DTA
を用いて、140℃まで10℃/分で昇温した後、30
分間、140℃を維持して、まず固形分量を求めた。そ
の後、500℃まで再び10℃/分で昇温した後、30
分間、500℃を維持して金属量を求めた。本明細書に
おける金属濃度の測定は、特に断りのない限り、この方
法を用いて行ったものである。なお、上記還元後のコロ
イド溶液の金属濃度は、TG−DTA等で測定して決定
することができるが、測定を行わない場合には、仕込み
に用いた配合量から計算される値を用いても構わない。
【0047】上記還元後のコロイド溶液は、上記金属コ
ロイド粒子及び上記ポリアルキレンオキサイド鎖を有す
る高分子分散剤のほかに、原料に由来する塩化物イオン
等の雑イオン、還元で生じた塩や、場合によりアミンを
含んでいる。これらの雑イオン、塩やアミンは、金属コ
ロイドの分散安定性に悪影響を及ぼすおそれがあるの
で、除去しておくことが望ましい。これらの成分の除去
には、電気透析、遠心分離、限外濾過等の方法が用いら
れるが、本発明においては、これらの成分の除去と同時
に金属濃度を高められることから、限外濾過を用いるこ
とが好ましい。
【0048】上記コロイド溶液を限外濾過することによ
って、コロイド溶液中の雑イオン、塩やアミンを除去す
るだけでなく、更にポリアルキレンオキサイド鎖を有す
る高分子分散剤の一部が除去される。その結果として、
コロイド溶液の固形分中の金属濃度を高めることができ
る。
【0049】上記限外濾過は、通常、分離対象となる物
質の径が1nm〜5μmである。1nm未満であると、
不要な成分が濾過膜を通過せず排除できないことがあ
り、5μmを超えると、上記金属コロイド粒子の多くが
濾過膜を通過し、コロイド溶液の金属濃度を高めること
ができない場合がある。
【0050】上記限外濾過の濾過膜としては特に限定さ
れないが、通常、例えば、ポリアクリロニトリル、塩化
ビニル/アクリロニトリル共重合体、ポリサルフォン、
ポリイミド、ポリアミド等の樹脂製のものが用いられ
る。上記限外濾過の濾過膜は、洗浄の効率性から逆洗浄
が可能なものを用いることが好ましい。
【0051】上記限外濾過の濾過膜としては、分画分子
量が3000〜80000のものが好ましい。3000
未満であると、不要な成分が充分に除去されにくく、8
0000を超えると、上記金属コロイド粒子が濾過膜を
通過しやすくなるため、目的とする金属コロイド溶液が
得られない場合がある。より好ましくは、10000〜
60000である。
【0052】上記限外濾過の濾過モジュールの形態とし
ては特に限定されず、例えば、濾過膜の形態によって中
空紙型モジュール(キャピラリーモジュールとも呼ばれ
る)、スパイラルモジュール、チューブラーモジュー
ル、プレート型モジュール等が挙げられる。これらのう
ち、濾過面積の割にコンパクトな形態を有する中空紙型
モジュールが、効率の点から好ましい。また、処理を行
うコロイド溶液の量が多い場合には、使用する限界濾過
膜本数が多いものを使うことが好ましい。
【0053】上記限外濾過の方法としては特に限定され
ず、例えば、従来公知の方法等が用いられ、通常、上記
還元後のコロイド溶液を限外濾過膜に通すことにより行
われ、これにより、上述の雑イオン、塩、アミンやポリ
アルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤を含む濾
液が排除される。上記限外濾過は、通常、濾液の上記雑
イオンが所望の濃度以下に除去されるまで繰り返し行
う。その際、処理するコロイド溶液の濃度を一定にする
ために排除された濾液の量と同じ量の溶剤を加えること
が好ましい。このときに加える溶剤として、還元時に用
いていたものと異なる種類のものを用いることで、コロ
イド溶液の溶剤を置換することが可能である。例えば、
処理するコロイド溶液の溶剤が水の場合には、エタノー
ル等のアルコールに置換することにより、乾燥性、基材
への濡れ性等が優れるものとすることができ、一方、溶
剤がエタノール等のアルコールの場合には、水に置換す
ることにより、環境性に優れるものとすることができ
る。
【0054】上記限外濾過は、通常の操作、例えば、い
わゆるバッチ方式で行うことができる。このバッチ方式
は、限外濾過が進んだ分、処理対象であるコロイド溶液
を加えていく方法である。なお、上記限外濾過は、上記
雑イオンが所望の濃度以下に除去された後で、固形分濃
度を高めるために更に行うことが可能である。
【0055】上記限外濾過処理により得られたコロイド
溶液の金属濃度は、処理前の溶液の金属濃度に比べて増
加している。例えば、処理前後での金属濃度の差が、
0.5〜10質量%であることが好ましい。より好まし
い下限値は1質量%、上限値は5質量%である。
【0056】上記限外濾過処理により得られたコロイド
溶液の金属濃度は、60〜95質量%であることが好ま
しい。60質量%未満であると、導電性被膜を得ること
ができないおそれがある。95質量%を超えると、金属
コロイド粒子の分散安定性が低下するおそれがある。
【0057】上記工程(1)によって、ポリアルキレン
オキサイド鎖を有する高分子分散剤の存在下に、溶液中
で金属化合物を還元することにより形成された金属コロ
イド粒子を含む金属コロイド溶液を得ることができる。
上記金属コロイド溶液は、金属コロイド粒子及びポリア
ルキレンオキサイド鎖を有する高分子分散剤を含むもの
である。
【0058】上記工程(2)は、上記工程(1)により
得られた金属コロイド溶液に光ラジカル開始剤を添加す
る工程であり、添加後に金属コロイド粒子、ポリアルキ
レンオキサイド鎖を有する高分子分散剤及び光ラジカル
開始剤を含む導電性被膜形成用組成物が得られる工程で
あれば特に限定されるものではない。
【0059】上記光ラジカル開始剤は、上述したものを
用いることができる。上記光ラジカル開始剤の添加量
は、上記金属コロイド溶液の固形分の全質量に対して、
0.1〜10質量%であることが好ましい。0.1質量
%未満であると、導電性被膜が得られないおそれがあ
り、10質量%を超えると、光ラジカル開始剤の膜表面
近傍の濃度が高まり、光照射時における表面近傍での吸
収が多くなるため、膜の深部まで光が到達せず、結果と
して、膜全体の導電性が充分でなくなるおそれがある。
【0060】上記光ラジカル開始剤は、通常、固体状態
のものが多い。この場合、上記工程(1)により得られ
た金属コロイド溶液への添加は、上記光ラジカル開始剤
を適当な溶剤に溶解させたものを用いることが好まし
い。
【0061】本発明の導電性被膜の形成方法は、上記導
電性被膜形成用組成物を基材に塗布して得られた乾燥膜
に光照射を行う工程(3)、及び、上記工程(3)によ
り得られた被膜を加熱する工程(4)を含むものであ
る。
【0062】上記工程(3)は、上記導電性被膜形成用
組成物を基材に塗布して得られた乾燥膜に光照射を行う
工程である。上記基材としては特に限定されず、例え
ば、アルミニウム、ステンレス等の金属、ガラス、セラ
ミックス、プラスチック、紙等を挙げることができ、こ
れらは、その片面及び/又は両面に表面加工を施したも
のであってもよい。
【0063】上記塗布の方法としては特に限定されず、
例えば、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、
シルクスクリーン等を用いる以外にも、浸漬によった
り、電気泳動や無電解メッキによっても行うことが可能
である。塗布量は、導電性被膜形成用組成物の濃度、塗
布方法等により変化させることができ、用途に合わせて
任意に設定することができる。
【0064】上記乾燥膜は、上記導電性被膜形成用組成
物を基材に塗布した後、乾燥して得られた膜である。乾
燥は室温において放置することにより行われるほか、適
当な時間、例えば、1〜60分間、200℃以下で加熱
することによっても行うことができる。
【0065】上記光照射の方法としては照射することに
より被膜中の光ラジカル開始剤からラジカルが生成する
ものであれば特に限定されず、例えば、高圧水銀灯、低
圧水銀灯を照射する方法等を挙げることができる。光照
射は例えば、5〜60分間行われ、与えられる光量が、
高圧水銀灯で1〜20J/cm、低圧水銀灯で1〜1
0J/cmになるように、通常、照射される。
【0066】上記工程(4)は、上記工程(3)により
得られた被膜を加熱する工程である。上記工程(4)で
の加熱条件としては、加熱温度が、100〜250℃で
あり、加熱時間が、15〜120分間であることが好ま
しい。加熱が充分でないと、導電性被膜が得られないお
それがあり、一方、加熱を過剰に行っても効率的ではな
い。加熱温度が150℃以下であり、加熱時間が30〜
60分間であることがより好ましい。上記加熱は、例え
ば、一般的に使用される乾燥炉等、当業者によく知られ
た機器を用いて行うことができる。
【0067】上記導電性被膜の形成方法により得られる
導電性被膜は、被膜が適用される用途において、有効な
導電性を有する被膜を意味し、例えば、電子材料に用い
る場合には、200nm±15%の膜厚において、1×
10Ω/□以下の表面抵抗値を有する被膜が好まし
い。より好ましくは、1×10Ω/□以下であり、更
に好ましくは、10Ω/□以下である。上記表面抵抗値
の測定には、通常よく用いられる測定器、例えば、ロレ
スターFP(商品名、三菱化学社製)等を用いて測定す
ることができる。
【0068】本発明の導電性被膜形成用組成物により得
られる導電性被膜の膜厚としては特に限定されないが、
特に、微小な粒径の金属コロイド粒子を含有するもので
あることから、0.1〜1.0μm程度の薄膜を形成す
ることに適している。
【0069】本発明の導電性被膜形成用組成物が適用さ
れる用途としては、例えば、半導体基板、プリント基
板、サーマルヘッド、電子部品等における電極や配線等
の導体回路の形成を挙げることができる。これ以外に
も、金属コロイド粒子の特性を活かした電磁波シールド
等の電子材料;化粧品、文具、インク、塗料等の色材;
物品の表面にめっき調の金属光沢を付与するための工芸
装飾材料;抗菌材料、触媒等を挙げることができる。
【0070】本発明の導電性被膜形成用組成物は、金属
コロイド粒子、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高
分子分散剤、及び、光ラジカル開始剤を含むものであ
り、特に光ラジカル開始剤を含有するものであることか
ら、基材に塗布して得られた乾燥膜に光照射を行った
後、比較的低温で加熱することに導電性を有する導電性
被膜を得ることができる。従って、例えば、セラミック
ス等の耐熱温度の高い基材だけでなく、250℃以下の
比較的低い耐熱温度を有する基材、特に紙やプラスチッ
ク等の耐熱温度の低い基材に対しても、導電性被膜を形
成することができる。
【0071】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り
「質量部」を意味する。
【0072】実施例1 (銀コロイド溶液の製造)2リットルのコルベンにディ
スパービック190(ビックケミー社製、固形分率40
質量%)23.3g、及び、イオン交換水420.5g
を入れた。このコルベンをウォーターバスに入れ、ディ
スパービック190が溶解するまで50℃で攪拌した。
ここに、イオン交換水420.5gに溶解させた硝酸銀
100gを攪拌しながら加えて、70℃で10分間攪拌
した。次に、ジメチルアミノエタノール262gを加え
たところ、液が一瞬で黒変し、液温が76℃まで上昇し
た。そのまま放置して液温が70℃まで下がったところ
で、この温度を保ちながら2時間攪拌を続け、黒っぽい
黄色を呈する銀コロイドの水溶液が得られた。
【0073】得られた反応液を1リットルのポリ瓶に移
し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。次に、限
外濾過モジュールAHP1010(旭化成社製;分画分
子量50000、使用膜本数400本)、マグネットポ
ンプ、下部にチューブ接続口のある3リットルのステン
レスカップをシリコンチューブでつないで、限外濾過装
置とした。先の60℃の恒温室で18時間静置した反応
液をステンレスカップに入れて、更に2リットルのイオ
ン交換水を加えてから、ポンプを稼動させて限外濾過を
行った。約40分後にモジュールからの濾液が2リット
ルになった時点で、ステンレスカップに2リットルのエ
タノールを加えた。その後、濾液の伝導度が300μS
/cm以下になったことを確認し、母液の量が500m
lになるまで濃縮を行った。
【0074】続いて母液を入れた500mlステンレス
カップ、限外濾過モジュールAHP0013(旭化成社
製;分画分子量50000、使用膜本数100本)、チ
ューブポンプ、及び、アスピレーターを含む限外濾過装
置を組んだ。このステンレスカップに先に得られた母液
を入れ、固形分濃度を高めるための濃縮を行った。母液
が約100mlになった時点でポンプを停止して、濃縮
を終了することにより、固形分30%の銀コロイドのエ
タノール溶液が得られた。この溶液中の銀コロイド粒子
の平均粒子径は、27nmであった。また、TG−DT
A(セイコーインストゥルメント社製)を用いて、固形
分中の銀の含有率を計測したところ、仕込みの87質量
%に対して、90質量%であった。
【0075】(被膜の製造及び評価)得られた銀コロイ
ドエタノール溶液10gにDETX−S(2,4−ジエ
チルチオキサントン、日本化薬社製)の10質量%トル
エン溶液を1.0g加えよく攪拌する。得られた溶液を
10cm角のガラス板の中央に落とし、スピンコーター
で第1ステップとして400rpmを5秒、第2ステッ
プとして600rpmを30秒の条件で回転塗布する
と、青みがかった銀色の膜が得られた。続いて、この板
をオーブンに入れ150℃で10分間乾燥させ、膜厚
0.2μmの金属光沢を有する乾燥膜を得た。得られた
乾燥膜の導電性を、測定機としてロレスターFP(三菱
化学社製)を用いてその表面抵抗値を測定した結果、測
定不能(10Ω/□以上)であった。この乾燥膜に対
し、低圧水銀灯を用いて5J/cmの光照射を行った
後に、150℃で40分加熱し金属性被膜を得た。得ら
れた金属性被膜の導電性を、測定機としてロレスターF
P(三菱化学社製)を用いてその表面抵抗値を測定した
結果、3.76×10Ω/□であった。
【0076】比較例1 DETX−Sの10質量%トルエン溶液を添加しなかっ
た以外は実施例1と同様にして膜厚0.2μmの金属性
被膜を得た。得られた金属性皮膜の導電性を実施例1と
同様にして評価したところ、5.39×10Ω/□で
あった。
【0077】比較例2 光照射を行わなかった以外は実施例1と同様にして膜厚
0.2μmの金属性被膜を得た。得られた金属性被膜の
導電性を実施例1と同様にして評価したところ、7.0
5×10Ω/□であった。
【0078】実施例1により得られた被膜は、導電性を
有するものであり、一方、比較例1、2により得られた
被膜は、導電性を有しないものであった。これらの結果
から、光ラジカル開始剤を含有する導電性被膜形成用組
成物を使用して形成される乾燥膜に光照射をすることに
より、150℃、40分間の加熱条件で導電性被膜を得
ることができることが明らかとなった。また、実施例1
により得られた銀コロイド溶液は、3カ月以上貯蔵して
も、色の変化や沈殿もなく、また、これを用いて形成し
た導電性被膜の電気的特性は製造直後のものと比べて変
わりなく、極めて安定であった。
【0079】
【発明の効果】本発明の導電性被膜形成用組成物は、上
述の構成を含むので、光照射後に、穏やかな加熱条件で
処理することにより、導電性被膜を得ることができる。
従って、セラミックス等の耐熱温度の高い基材だけでな
く、耐熱温度が低い紙やプラスチック等の基材に塗布し
て、微細印刷による配線形成に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 敏勝 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 南家 泰三 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB24Y BB26Z BB42Y BB44Y BB46Y CA22 CA25 CA47 CB04 CB13 DA04 DA06 DB04 DB07 DB13 DB14 DB18 DB31 DC18 DC21 DC38 EA06 EA12 EA21 EB22 EB37 EC07 EC10 EC37 5G301 DA02 DA03 DA42 DD01 DD02 DE03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属コロイド粒子、ポリアルキレンオキ
    サイド鎖を有する高分子分散剤、及び、光ラジカル開始
    剤を含むことを特徴とする導電性被膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】 金属コロイド粒子は、ポリアルキレンオ
    キサイド鎖を有する高分子分散剤の存在下に、溶液中で
    金属化合物を還元することにより形成されたものである
    請求項1記載の導電性被膜形成用組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレンオキサイド鎖を有する高
    分子分散剤の存在下に、金属化合物を還元して金属コロ
    イド溶液を得る工程(1)、及び、前記工程(1)によ
    り得られた金属コロイド溶液に光ラジカル開始剤を添加
    する工程(2)を含むことを特徴とする導電性被膜形成
    用組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の導電性被膜形成用組成物
    の製造方法により得られるものであることを特徴とする
    導電性被膜形成用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1、2又は4記載の導電性被膜形
    成用組成物を基材に塗布して得られた乾燥膜に光照射を
    行う工程(3)、及び、前記工程(3)により得られた
    被膜を加熱する工程(4)を含むことを特徴とする導電
    性被膜の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006026602A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Harima Chem Inc 金属微粒子焼結体型の薄膜導電体層の形成方法、該方法を応用した金属配線ならびに金属薄膜の形成方法
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