JP2003215298A - 放射線像変換パネル - Google Patents
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Abstract
る放射線像変換パネルを提供する。 【解決手段】 気相堆積法により形成された下記基本組
成式のアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体からな
る蛍光体層を持つ放射線像変換パネル: 基本組成式: MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:
yA,zO [ただし、MIはアルカリ金属;MIIはアルカリ土類金
属又は二価金属;MIIIは希土類元素又は三価金属;
X、X’及びX”はハロゲン;Aは希土類元素又は金
属;a、b、y及びzは0≦a<0.5、0≦b<0.
5、0<y<1.0、0<z≦0.2の範囲内の数
値]。
Description
用する放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変
換パネル、およびその製造方法に関するものである。
線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や
赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積
した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する
蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用
して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像
変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発
せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一
旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走
査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を
光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射
線画像記録再生方法が広く実用に共されている。読み取
りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去
が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使
用される。
線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基
本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層と
からなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性で
ある場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍
光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通
常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質
あるいは物理的な衝撃から保護している。
分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、蒸着法
や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性
蛍光体の凝集体のみから構成されるもの、および蓄積性
蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されているも
のなどが知られている。
として本出願人による特願2000−400426号明
細書には、従来の蓄積性蛍光体における放射線吸収機能
とエネルギー蓄積機能とを分離して、少なくとも蓄積性
蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有する放射線像
変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至可視領域に発
光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を含有する蛍光
スクリーンとの組合せを用いる放射線画像形成方法が提
案されている。この方法は、被検体を透過などした放射
線をまず、該スクリーンまたはパネルの放射線吸収用蛍
光体により紫外乃至可視領域の光に変換した後、その光
をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて放射線画像情報
として蓄積記録する。次いで、このパネルに励起光を走
査して発光光を放出させ、この発光光を光電的に読み取
って画像信号を得るものである。このような放射線像変
換パネルも本発明に包含される。
像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有す
る方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パ
ネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質
(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであ
ることが望まれている。
て、蛍光体層を気相堆積法により形成することからなる
放射線像変換パネルの製造方法が提案されている。気相
堆積法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例えば蒸着
法は、蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗加熱
器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛散さ
せ、金属シートなどの基板表面にその蒸発物を堆積させ
ることにより、蛍光体の柱状結晶からなる蛍光体層を形
成するものである。
結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状
結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。
このため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上
げることができるので高感度であり、また励起光の平面
方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像を
与えることができる。
体としてアルカリハライド系輝尽性蛍光体が知られてお
り、例えば、特許第2060688号公報およびPCT
特許出願第WO 01/03156号公報に開示されて
いる。しかしながら、アルカリハライド系蛍光体からな
る蛍光体層における酸素の存在については、全く記載さ
れていない。
って、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネル
を提供することにある。
換パネルの蛍光体層をアルカリハライド系輝尽性蛍光体
を用いて気相堆積法により形成することについて検討し
た結果、一定濃度の酸素を蛍光体層中に均一に含有分布
させることにより、感度が顕著に増加することを見い出
した。すなわち、蛍光体層から放出される輝尽発光量を
高めるためには、一定濃度の酸素を蛍光体の柱状結晶中
に存在させること、および気相堆積後に酸素はEu等の
付活剤と複合体を形成しているが、熱処理することによ
って酸素を拡散させて付活剤と分離すること、が重要で
あることを見い出した。酸素は、結晶中でEu等の付活
剤の電荷を補償する役割を担っており、付活剤と分離す
ることによって付活剤の付活効率および電荷移動効率を
向上させることができ、その結果、蛍光体層からの輝尽
発光量を顕著に増加させることができる。
光体層を有する放射線像変換パネルであって、該蛍光体
層が、基本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:yA,zO ‥‥(I) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表
し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、C
u、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはS
c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、A
l、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”
はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl
及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土
類元素又は金属を表し;そしてa、b、yおよびzはそ
れぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<y<
1.0、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す]を有す
るアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体からなるこ
とを特徴とする放射線像変換パネルにある。
いて、上記の基本組成式(I)におけるzは1×10-5
≦z≦0.05の範囲内の数値を表すことが好ましい。
また、MIXはCsBrであることが好ましく、AはE
uであることが好ましい。さらに、蛍光体層の任意の二
箇所における酸素濃度z1およびz2が、下記の関係式を
満足することが好ましい。 0.2 ≦ z1/z2 ≦ 5
光体層は、蒸着法により形成されたものであることが好
ましく、特には、輝尽性蛍光体もしくはその原料からな
る蒸発源を、酸素分圧が1×10-6乃至1×10-2Pa
の範囲の蒸着雰囲気中で基板上に蒸着させた後、蒸着膜
を熱処理することにより形成されたものであることが好
ましい。
いて、蛍光体層を気相堆積法の一種である電子線蒸着法
により形成する場合を例にとって詳細に述べる。電子線
蒸着法は、抵抗加熱法などと比較して、蒸発源を局所的
に加熱して瞬時に蒸発させるので、蒸発速度を制御しや
すく、また蒸発源として仕込んだ蛍光体もしくはその原
料の組成と形成された蛍光体層中の蛍光体の組成との不
一致を小さくできる利点がある。
輝尽性蛍光体は、前記の基本組成式(I)で示される。
基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウ
ム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を
添加物として、MIX1モルに対して0.5モル以下の
量で加えてもよい。
線像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放
射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に
選ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラス
シート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、
スズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどか
らなる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルに
おいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒
状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射
性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックな
どの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが
知られている。本発明で用いられる基板についても、こ
れらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所
望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意
に選択することができる。さらに、放射線画像の鮮鋭度
を向上させる目的で、基板の蛍光体層側の表面(支持体
の蛍光体層側の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射
層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合
には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小
な凹凸が形成されていてもよい。
する場合には、まず蒸発源として、上記輝尽性蛍光体の
母体(MIX)成分を含むものと付活剤(A)成分を含
むものとからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。
多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の蒸気圧が
大きく異なる場合に、その蒸着速度を各々制御すること
ができるので好ましい。本発明において必須成分である
酸素(O)は、蒸着過程で蒸着雰囲気中の酸素ガスとし
て供給される。各蒸発源は、所望とする輝尽性蛍光体の
組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それ
ぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分など
との混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定
されるものではなく、例えば別に添加物成分などからな
る蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化
合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。
また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物
であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物が用いられ
る。
のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比が70%以
上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu
2+とEu3+が混合して含まれているが、所望とする輝尽
発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤
とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合物は
EuBrxであることが好ましく、その場合に、xは
2.0≦x≦2.3の範囲内の数値であることが好まし
い。xは、2.0であることが望ましいが、2.0に近
づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実
際にはxは2.2付近でBrの比率が比較的高い状態が
安定している。
量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源の
脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300
℃の温度範囲で加熱処理したり、あるいは窒素雰囲気な
どの水分を含まない雰囲気中で、蛍光体成分の融点以上
の温度で数十分乃至数時間加熱することにより行うこと
ができる。
以下であることが好ましく、より好ましくは90%以
上、96%以下である。蒸発源が相対密度の低い粉体状
態であると、蒸着の際に粉体が飛散するなどの不都合が
生じたり、蒸発源の表面から均一に蒸発しないで蒸着膜
の膜厚が不均一となったりする。よって、安定した蒸着
を実現するためには蒸発源の密度がある程度高いことが
望ましい。上記相対密度とするには一般に、粉体を20
MPa以上の圧力で加圧成形したり、あるいは融点以上
の温度で加熱溶融して、タブレット(錠剤)の形状にす
る。ただし、蒸発源は必ずしもタブレットの形状である
必要はない。
蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外
のアルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、そ
してアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外の
アルカリ土類金属)の含有量が1ppm以下であること
が望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアル
カリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用す
ることにより調製することができる。これによって、不
純物の混入が少ない蒸着膜を形成することができるとと
もに、そのような蒸着膜は発光量が増加する。
置し、装置内を排気して1×10-5〜1×10-2Pa程
度の真空度とする。このとき、真空度をこの程度に保持
しながら、Arガス、Neガスなどの不活性ガスを導入
してもよい。ただし、装置内の雰囲気中の酸素分圧を、
1×10-6乃至1×10-2Paの範囲とする。また、装
置内の雰囲気中の水分圧を、ディフュージョンポンプと
コールドトラップの組合せなどを用いることにより、
7.0×10-3Pa以下にすることが好ましい。
発生させて、各蒸発源に照射する。このとき、電子線の
加速電圧を1.5kV以上で、5.0kV以下に設定す
ることが望ましい。電子線の照射により、蒸発源である
輝尽性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸
発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとと
もに基板表面に堆積する。この際に、各電子線の加速電
圧などを調整することにより、各蒸発源の蒸発速度を制
御することができる。蛍光体の堆積する速度、すなわち
蒸着速度は、一般には0.1〜1000μm/分の範囲
にあり、好ましくは1〜100μm/分の範囲にある。
なお、電子線の照射を複数回に分けて行って二つ以上の
蒸着膜を形成することもできる。さらに、蒸着の際に必
要に応じて被蒸着物(基板)を冷却または加熱してもよ
い。
(アニール処理)する。加熱処理は例えば、50℃〜6
00℃の範囲の温度、窒素雰囲気下(少量の酸素または
水素を含んでいてもよい)で数時間かけて行う。
発流に垂直な方向(基板に平行な方向)に上記蛍光体母
体成分と付活剤成分とを分離して含む一個の蒸発源を用
意することが好ましい。そして、蒸着に際しては、一つ
の電子線を用いて、蒸発源の母体成分領域および付活剤
成分領域各々に電子線を照射する時間(滞在時間)を制
御することにより、均一な組成の輝尽性蛍光体からなる
蒸着膜を形成することができる。
を用いる一元蒸着であってもよく、その場合にも、上述
のようにして含水量を0.5重量%以下と調整したもの
を用いる。また、蒸発源の蛍光体はアルカリ金属不純物
の含有量が10ppm以下であり、そしてアルカリ土類
金属不純物の含有量が1ppm以下であることが望まし
い。
蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体の母体のみからな
る蒸着膜を形成してもよい。これによって、より一層柱
状結晶性の良好な蒸着膜を得ることができる。なお、蛍
光体からなる蒸着膜中の付活剤など添加物は、特に蒸着
時の加熱および/または蒸着後の加熱処理によって、蛍
光体母体からなる蒸着膜中に拡散するために、両者の境
界は必ずしも明確ではない。
るアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の柱状結晶
がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。酸素成
分は、蒸着過程で蒸着雰囲気より結晶中に取り込まれ、
付活剤Aの電荷補償の役割を担って、A−O複合体を形
成する。蒸着膜を熱処理することによって、酸素は結晶
中に拡散し、付活剤と分離される。これにより、結晶中
の電荷移動効率および付活剤の付活効率が向上し、その
結果、蛍光体の輝尽発光量が増加する。
いて基本組成式(I)における酸素の量zは、一般には
0<z≦0.2の範囲にあり、好ましくは1×10-5≦
z≦0.05の範囲にある。なお、この酸素量zは、本
発明の放射線像変換パネルの蛍光体層においては、層全
体の平均値を意味する。
均一に存在することが望ましく、蛍光体層の任意の二箇
所における酸素濃度(O/MI)z1およびz2は、関係
式: 0.2 ≦ z1/z2 ≦ 5 を満足することが望ましい。酸素濃度の測定に際して
は、各測定箇所における測定面積を1cm2もしくはそ
の附近とすることが好ましい。なお、放射線像変換パネ
ルの蛍光体層全体のうち、微小領域(例えば、10%未
満、特に5%未満)が上記の関係式を満足していなくと
も、本発明の効果は達成できる。
において酸素濃度を測定し、その平均値を求めたとき
に、いずれの箇所においても酸素濃度zが関係式: (平均値)×1/√5 ≦ z ≦ (平均値)×√5 を満足することにほかならない。
カリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体のみからなり、輝
尽性蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラッ
ク)が存在する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線
像変換パネルの特性、気相堆積法の実施手段や条件など
によって異なるが、通常は50μm〜1mmの範囲にあ
り、好ましくは200μm〜700μmの範囲にある。
の電子線蒸着法に限られるものではなく、抵抗加熱法、
スパッタ法、化学蒸着(CVD)法など公知の他の方法
を利用することもできる。これら他の蒸着法および気相
堆積法の詳細は、公報を含む公知の各種の文献に記載さ
れており、それらを参照することができる。
体を兼ねる必要はなく、蛍光体層形成後、蛍光体層を基
板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用
いるなどして接合して、支持体上に蛍光体層を設ける方
法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体(基
板)が付設されていなくてもよい。
の搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のため
に、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光
の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透
明であることが望ましく、また外部から与えられる物理
的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保
護することができるように、化学的に安定で防湿性が高
く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
メチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂な
どのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解し
て調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成さ
れたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの
有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成
用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤
を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などに
よって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。ま
た、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化
チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオ
レフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、お
よびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が
分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高
分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲に
あり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜
1000μmの範囲にある。
性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フ
ッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(また
は分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面
に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹
脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。ま
た、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパー
フルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することも
できる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて
更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィ
ラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚
は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素
樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防
止剤などのような添加成分を用いることができる。特に
架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有
利である。
ネルが得られるが、本発明のパネルの構成は、公知の各
種のバリエーションを含むものであってもよい。例え
ば、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的とし
て、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収し
輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色して
もよい。
(内径:35mm)に入れ、粉末金型プレス成形機(テ
ーブルプレスTB−5型、エヌピーエーシステム(株)
製)にて50MPaの圧力で加圧し、タブレット(直
径:35mm、厚み:20mm)に成形した。このと
き、CsBr粉末に掛かった圧力は約40MPaであっ
た。次に、このタブレットに真空乾燥機にて温度200
℃で2時間の真空乾燥処理を施した。得られたタブレッ
トの密度は3.9g/cm3であり、含水量は0.3重
量%であった。
末成形用ダイス(内径:25mm)に入れ、粉末金型プ
レス成形機にて50MPaの圧力で加圧し、タブレット
(直径:25mm、厚み:10mm)に成形した。この
とき、EuBr x粉末に掛かった圧力は約80MPaで
あった。次に、このタブレットに真空乾燥機にて温度2
00℃で2時間の真空乾燥処理を施した。得られたタブ
レットの密度は5.1g/cm3であり、含水量は0.
5重量%であった。
PA洗浄を施した合成石英基板を用意し、蒸着装置内の
基板ホルダーに設置した。上記CsBr蒸発源およびE
uBrx蒸発源を装置内の所定位置に配置した後、装置
内を排気して1×10-3Paの真空度とした。このと
き、真空排気装置としてロータリーポンプ、メカニカル
ブースタおよびターボ分子ポンプの組合せを用いた。次
いで、基板の蒸着面とは反対側に位置したシーズヒータ
で、石英基板を200℃に加熱した。蒸発源それぞれに
電子銃で加速電圧4.0kVの電子線を照射して共蒸着
させ、CsBr:Eu,O輝尽性蛍光体を堆積させた。
このとき、各々の電子銃のエミッション電流を調整し
て、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃度比が0.
0001/1となるようにし、そして10μm/分の速
度で堆積させた。また、蒸着時に、装置内の雰囲気ガス
を質量分析器を用いて分析して算出したところ、蒸着雰
囲気中の水分圧は4×10-3Paであった。
装置から、蒸着膜を有する基板を取り出した。次に、こ
の基板をガス導入可能な真空加熱装置に入れ、ロータリ
ーポンプを用いて約1Paまで真空に引いて蒸着膜に吸
着している水分等を除去した後、窒素ガス雰囲気中、2
00℃の温度で2時間蒸着膜を熱処理した。真空下で基
板を冷却し、十分に温度が下がった状態で装置から基板
を取り出した。基板上には、CsBr:Eu,O輝尽性
蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の
蛍光体層(層厚:約400μm、面積10cm×10c
m)が形成されていた。このようにして、共蒸着により
支持体と蛍光体層とからなる本発明の放射線像変換パネ
ルを製造した。
形成において、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃
度比が0.001/1となるように制御したこと以外は
実施例1と同様にして、支持体と蛍光体層とからなる本
発明の放射線像変換パネルを製造した。
形成において、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃
度比が0.01/1となるように制御したこと以外は実
施例1と同様にして、支持体と蛍光体層とからなる本発
明の放射線像変換パネルを製造した。
形成において、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃
度比が0.001/1となるように制御したこと、およ
び蒸着膜に熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と
同様にして、支持体と蛍光体層とからなる比較のための
放射線像変換パネルを製造した。
形成において、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃
度比が0.001/1となるように制御したこと、およ
び石英基板を加熱した後、ガス導入ボートから酸素ガス
を導入して装置内の真空度を5×10-2Paに調節した
こと以外は実施例1と同様にして、支持体と蛍光体層と
からなる比較のための放射線像変換パネルを製造した。
た各放射線像変換パネルの感度について評価を行った。
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収
納し、これに管電圧80kVpのX線を照射した。次い
で、パネルをカセッテから取り出し、パネル表面にレー
ザ光(波長:633nm)を照射してパネルから放出さ
れた輝尽発光光をフォトマルチプライヤで検出し、輝尽
発光量を測定した。得られた輝尽発光量(相対値)を感
度とした。
酸素濃度(z、O/Cs比)の分析を以下のようにして
行った。二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass
Spectrometer:SIMS)を用いて、パネルの蛍光体
層に一次イオンビームを照射し、蛍光体層からスパッタ
された二次イオンの質量分析を行った。Csを検出する
ときは一次イオン種としてOイオンを使用し、Oを検出
するときは一次イオンとしてCsイオンを使用した。蛍
光体層の層内を平面方向に数点測定し、O/Cs比を求
めた。また、蛍光体層の厚み方向にエッチングしながら
長時間かけてSIMS測定を行い、O/Cs比を求め
た。得られた測定値の平均値を算出し、蛍光体層のO/
Cs比とした。さらに、各測定値がいずれも下記条件を
満足する場合に、酸素が蛍光体層中に均一に分布して良
好な均一性を示すとした。 (平均値)×1/√5 ≦ O/Cs ≦ (平均値)
×√5 得られた結果をまとめて表1および図1に示す。
厚みと酸素濃度(O/Cs比)との関係を表すグラフで
ある。図1において、実線は実施例2(熱処理後)を表
し、点線は比較例1(熱処理前)を表す。
に、酸素が蛍光体層中に0.2以下の濃度で含まれ、か
つ均一に分布している本発明の放射線像変換パネル(実
施例1〜3)はいずれも、著しく高い感度を示した。そ
れに対して、熱処理しなかった放射線像変換パネル(比
較例1)は、図1に示したように蛍光体層中の酸素分布
が均一ではなく、結果として極めて低い感度を示した。
また、酸素濃度が0.2を越えた放射線像変換パネル
(比較例2)も、極めて低い感度を示した。
蛍光体からなる蛍光体層中に酸素を一定の濃度で均一に
含有分布させることにより、蛍光体層からの輝尽発光量
を顕著に高めて、高感度の放射線像変換パネルとするこ
とができる。そして、本発明のパネルは、蛍光体層が該
蛍光体の柱状結晶からなり、この点でも高画質の放射線
画像を与えることができる。よって、医療診断のための
放射線画像記録再生方法に適した高性能の放射線像変換
パネルが得られる。
関係を表すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 気相堆積法により形成された蛍光体層を
有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が、基
本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:yA,zO ‥‥(I) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表
し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、C
u、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはS
c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、A
l、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”
はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、
Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl
及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土
類元素又は金属を表し;そしてa、b、y及びzはそれ
ぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<y<1.
0、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す]を有するア
ルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体からなることを
特徴とする放射線像変換パネル。 - 【請求項2】 基本組成式(I)において、zが1×1
0-5≦z≦0.05の範囲内の数値を表す請求項1に記
載の放射線像変換パネル。 - 【請求項3】 蛍光体層の任意の二箇所における酸素濃
度z1およびz2が、関係式: 0.2 ≦ z1/z2 ≦ 5 を満足する請求項1もしくは2に記載の放射線像変換パ
ネル。 - 【請求項4】 蛍光体層が、蒸着法により形成されたも
のである請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の
放射線像変換パネル。 - 【請求項5】 蛍光体層が、輝尽性蛍光体もしくはその
原料からなる蒸発源を、酸素分圧が1×10-6乃至1×
10-2Paの範囲の蒸着雰囲気中で基板上に蒸着させた
後、蒸着膜を熱処理することにより形成されたものであ
る請求項4に記載の放射線像変換パネル。
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