JP2003212810A - アダマンタノンの製造方法 - Google Patents
アダマンタノンの製造方法Info
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Abstract
アダマンタノールを硫酸によって酸化し、高収率でアダ
マンタノンを製造する方法を提供する。 【解決手段】 アダマンタンおよび/または1−
アダマンタノールを硫酸により酸化してアダマンタノン
を製造する方法において、反応開始時の硫酸濃度を80
〜90重量%とし、反応中に発煙硫酸を添加することに
より反応液中の硫酸濃度の低下を1重量%以内に抑えな
がら反応させることを特徴とするアダマンタノンの製造
方法。
Description
び/または1−アダマンタノールを硫酸によって酸化
し、アダマンタノンを製造する方法に関する。アダマン
タノンは高機能性ポリマー、耐熱性樹脂、医薬品等の原
料として有用な化合物である。 【0002】 【従来の技術】アダマンタノンの製造方法としては、硫
酸法(Organic Synthesis 第53巻第8ページ,H.W.Ge
luk and V.G.Keizer(1973))がある。具体的には、ア
ダマンタンまたは1−アダマンタノールを濃硫酸中で加
熱撹拌しアダマンタノンを得るもので、アダマンタンを
原料に用いた場合収率47〜48%、1−アダマンタノ
ールを原料に用いた場合収率70%程度となると報告さ
れている。 【0003】前記のアダマンタノン製造方法は、原料を
濃硫酸中で加熱撹拌するという容易な操作、安価な試
薬、設備で製造が可能であることから大変有益な方法で
あるが、収率が低く、副生成物が多量に生成する事から
精製が困難であると共に、原料コストが大きくなってし
まうという問題があった。 【0004】特開平11−189564号公報にはアダ
マンタンを濃硫酸で酸化する際、低温で一定時間保持し
た後、所定の昇温速度で高温にし、高温で反応させると
いう温度制御を行ってアダマンタノンを得ている。しか
しながら、この方法においては反応時間が長くなること
と煩雑な温度制御操作が必要であるという問題があっ
た。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術における上記したような課題を解決し、アダマンタ
ンおよび/または1−アダマンタノールを原料とし、高
収率でアダマンタノンを製造する方法を提供することに
ある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、反応温度を低くして硫酸濃度を低くした
場合には、選択率は高いが反応速度が遅く、逆に反応温
度を高くして硫酸濃度を高くした場合には、樹脂状物が
大量に生成し、アダマンタノンの選択率が低下すること
が判った。そこで選択率の高い反応温度、硫酸濃度の低
い条件に対して、反応の進行と共に低下する硫酸濃度を
発煙硫酸の添加により維持することによって副生成物で
ある樹脂状物質の生成を抑えつつ、しかも反応時間の短
縮が可能であることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。 【0007】即ち、本発明は、アダマンタンおよび/ま
たは1−アダマンタノールを硫酸により酸化してアダマ
ンタノンを製造する方法において、反応開始時の硫酸濃
度を80〜90重量%とし、反応中に発煙硫酸を添加す
ることにより反応液中の硫酸濃度の低下を1重量%以内
に抑えながら反応させることを特徴とするアダマンタノ
ンの製造方法に関するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】原料として用いられるアダマンタ
ンおよび/または1−アダマンタノールは、工業グレー
ドおよび試薬グレードとして市販されているものを使用
できる。また、濃硫酸としては、一般的に反応で用いら
れる95〜98重量%の濃度の硫酸の使用が好ましい。
硫酸濃度が95重量%未満でも使用が可能であるがそれ
を補うための発煙硫酸が大量に必要になる。また、99
重量%以上の濃度の硫酸を使用した場合には、樹脂状物
質が生成しやすくなる傾向がある。 【0009】反応を行う際の原料と硫酸の量比は、原料
100gに対して5〜15倍重量の硫酸を用いるのが好
ましい。硫酸の量がこれより少ないと、原料が溶けきら
ず反応中に昇華する量が増えてしまう。またこれより多
いと副生成物である樹脂状物質の生成が多くなり選択率
が低下する。 【0010】また、反応中にアダマンタンが昇華するの
を防ぐ等の目的で、必要に応じて溶媒を使用する事も可
能である。しかし、その場合には硫酸に対して安定な溶
媒を選択することが必要である。このような溶媒として
は、例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンゼン
等の不活性溶媒が挙げられる。 【0011】硫酸法における反応では二酸化硫黄を生じ
るため、反応は一般に常圧で行うのが好ましい。しかし
ながら、水分や溶媒の留去のために減圧下で反応する事
も可能である。また、反応装置としては、十分な撹拌が
出来て加熱が可能な装置であり、硫酸に耐える材質を使
用しているものであればよい。 【0012】反応温度は20〜80℃、好ましくは40
〜70℃の範囲である。反応温度がこの範囲よりも低い
場合は反応速度が著しく低下し、大量の発煙硫酸の添加
が必要となる。また、この範囲よりも高い場合は反応の
最初から樹脂状物が生成してしまい本発明の効果が得ら
れない。 【0013】アダマンタンなどの原料を含む反応液中の
硫酸濃度は原料と硫酸の仕込み比により最適値が異なる
が、反応開始時に80〜90重量%にすることが好まし
く、より好ましくは82〜88重量%である。反応液中
の硫酸濃度がこの範囲より小さい場合は反応時間の短縮
効果が得られず、この範囲より大きいと副生成物である
樹脂状物の生成量が増え、アダマンタノンの収率が低下
する。 【0014】本発明では、硫酸濃度の低下を1重量%以
内に抑えるため発煙硫酸を添加する。硫酸濃度の低下が
1重量%を超えると、反応時間の短縮効果が得られず、
転化率の低下や副生成物の増加が見られる。さらに加え
る発煙硫酸の量および速度は、反応開始時の硫酸濃度を
維持するように調節することが好ましい。 【0015】具体的には添加する発煙硫酸の量は、原料
であるアダマンタンおよび/または1−アダマンタノー
ル1モルに対して0.5〜10モル好ましくは1.0〜
5.0モルの範囲とする。添加する発煙硫酸の量がこの
範囲より少ない場合は反応時間の短縮効果が得られず、
この範囲より多いと副生成物である樹脂状物の生成量が
増え、アダマンタノンの収率が低下する。 【0016】添加する発煙硫酸の速度は、仕込んだアダ
マンタンおよび/または1−アダマンタノール1モルに
対して0.01〜1モル/時、好ましくは0.05〜
0.5モル/時の範囲とする。添加する発煙硫酸の量お
よび速度がこの範囲より少ない場合は反応時間の短縮効
果が得られず、この範囲より多いと反応初期における硫
酸濃度が高くなり、副生成物である樹脂状物の生成量が
増え、アダマンタノンの収率が低下する。なお、反応開
始直後は硫酸濃度が高くなりやすいので、0.5〜6時
間程度は発煙硫酸を添加せず、その後発煙硫酸を添加し
始めるとより好ましい。発煙硫酸について特に制限はな
いが、扱いが容易であり入手が容易な10〜60重量%
濃度の発煙硫酸を用いることが好ましい。 【0017】反応時間は、発煙硫酸添加量および添加速
度に依存するため一概に決定することはできないが4〜
100時間程度が好ましい。反応終了後、反応系からア
ダマンタノンは常法に従って分離することができる。即
ち、反応終了後、生成したアダマンタノンを含む混合物
を冷水または氷にあけた後、分離してくる粗アダマンタ
ノンを濾別または抽出操作によって単離することができ
る。さらに精製が必要な場合には再結晶、減圧蒸留、水
蒸気蒸留や昇華精製などの方法で精製することができ
る。 【0018】 【実施例】本発明を具体的に説明するため、以下に実施
例および比較例を挙げて説明するが、これらの実施例に
限定されるものではない。 【0019】実施例1 撹拌器、温度計、リーク管を付けた200ml容量の4
つ口フラスコにアダマンタン17.0g(126mmo
l)、96重量%硫酸100mlを入れ、65℃で12
時間加熱攪拌した。その間、反応開始から2時間後に発
煙硫酸の添加を開始した。添加速度は30mmol/時
で合計240mmolを添加した。反応開始時の溶液中
の硫酸濃度は87.0%であり、反応中に硫酸濃度の範
囲は86.4〜87.0%であった。放冷後、200m
lの氷に反応混合物をあけ、エーテル200mlで2回
抽出した。エーテル層を飽和食塩水200mlで2回洗
浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エーテルを
減圧下留去し、アダマンタノン12.8g(収率76
%)を得た。 【0020】実施例2 実施例1と同様の反応装置に、1−アダマンタノール1
8.9g(124mmol)、96重量%硫酸100m
lを入れ、55℃で8時間加熱攪拌した。その間、反応
開始から添加速度10mmol/時で合計70mmol
の発煙硫酸を添加した。反応開始時の溶液中の硫酸濃度
は86.9%であり、反応中に硫酸濃度の範囲は86.
5〜86.9%であった。放冷後、実施例1と同様の方
法でアダマンタノン15.5g(収率92%)を得た。 【0021】比較例1 実施例1と同様の反応装置に、アダマンタン16.9g
(124mmol)、96重量%硫酸100mlを入
れ、65℃で12時間加熱攪拌した。発煙硫酸の添加は
行わなかった。反応開始時の溶液中の硫酸濃度は86.
9%であり、反応中に硫酸濃度は85.6%まで低下し
た。放冷後、実施例1と同様の方法でアダマンタノン
7.8g(収率42%)を得た。 【0022】 【発明の効果】本発明により、収率良く簡便な方法で、
アダマンタノンを得ることが出来る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 アダマンタンおよび/または1−アダマ
ンタノールを硫酸により酸化してアダマンタノンを製造
する方法において、反応開始時の硫酸濃度を80〜90
重量%とし、反応中に発煙硫酸を添加することにより反
応液中の硫酸濃度の低下を1重量%以内に抑えながら反
応させることを特徴とするアダマンタノンの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002006931A JP4038657B2 (ja) | 2002-01-16 | 2002-01-16 | アダマンタノンの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006006413A1 (ja) * | 2004-07-09 | 2006-01-19 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | 2-アダマンタノールおよび2-アダマンタノンの製造方法 |
WO2006006414A1 (ja) * | 2004-07-07 | 2006-01-19 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | 2-アダマンタノンの製造方法 |
JP2008280315A (ja) * | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 2−アダマンタノンの製造方法 |
CN102850199A (zh) * | 2011-07-01 | 2013-01-02 | 出光兴产株式会社 | 2-金刚烷酮的制备方法 |
-
2002
- 2002-01-16 JP JP2002006931A patent/JP4038657B2/ja not_active Expired - Fee Related
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