JPH09110816A - 芳香族セレニルシアノプロピオネートの酸化によるシアノアクリレートエステルの合成方法 - Google Patents

芳香族セレニルシアノプロピオネートの酸化によるシアノアクリレートエステルの合成方法

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JPH09110816A
JPH09110816A JP8137665A JP13766596A JPH09110816A JP H09110816 A JPH09110816 A JP H09110816A JP 8137665 A JP8137665 A JP 8137665A JP 13766596 A JP13766596 A JP 13766596A JP H09110816 A JPH09110816 A JP H09110816A
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ester
cyanopropionate
cyanoacrylate
selenoaryl
acid
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JP8137665A
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Philip Klemarczyk
フィリップ.クレマークジィク
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Henkel Loctite Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C253/00Preparation of carboxylic acid nitriles
    • C07C253/30Preparation of carboxylic acid nitriles by reactions not involving the formation of cyano groups

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成が困難な高分子量シアノアクリレート単
量体類および多官能性シアノアクリレート単量体類を好
収率かつ高収純度で得る製造する方法を提供する。 【解決手段】 所望アルコールのα−セレノアリール−
α−シアノプロピオネートエステル化合物を調製する工
程、該エステルを相当するセレノキシドに酸化する工程
と、該セレノキシドからアリーリセレン酸を脱離させて
α−シアノアクリレートを生成させる工程、および該シ
アノアクリレートエステルをセレン酸から分離する工程
を包含するα−シアノアクリル酸の所望アルコールエス
テルの製造方法。約0℃またはより高い温度では、脱離
工程は、パーオキシドまたはオゾン酸化剤を用いる酸化
工程と同時に起こる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアノアクリレー
トエステルの新規合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シアノアクリレート単量体類を製造する
最も普通の方法は、シアノアセテートとホルムアルデヒ
ドの塩触媒クネベナーゲル縮合、続く中間重合体の酸触
媒熱分解を包含する。この方法は多くの文献、例えば米
国特許第2,721,858号;第3,254,111
号;第3,355,482号;第3,654,340
号;第5,140,084号および第5,359,10
1号に例証されている。この方法は、低分子量単量体を
製造するのに、有効かつ安価であるが、シアノアクリレ
ートエステルのサイズが増大すると、その方法は一層困
難となり、収量は実質的に減少する。単官能性Cまた
はそれ以上の脂肪族アルコールのシアノアクリレートエ
ステル類は、この方法により商業的に実用し得る収率で
製造することができない。
【0003】シアノアクリレートを製造する他のいくつ
かの次のような合成法がある。
【0004】米国特許第3,463,804号と、第
4,012,402号により例示されるようなディール
ス−アルダー防護/非防護(protection/d
eprotection);WPI 80−82239
C/46に報告され(SU726086(1980))
に要約されるようなシアノアクリレート単量体のアルコ
ールとのエステル交換反応;DE34 15 181
(1984)に報告されているようなシアノアクリル酸
とアルコールとの直接エステル化;米国特許第2,46
7,926号に報告されているようなアルキル2−シア
ノ−3−アルコキシプロピオネートおよび3−アシロキ
シ同族体類の熱分解;および米国特許第2,391,2
51号に報告されたピルビン酸エステル類のシアノヒド
リンアセテートの熱分解:分子当たり複数のシアノアク
リレート基を有する単量体類は、単独でのまたは通常の
単官能性シアノアクリレート単量体と組合わせての重合
で架橋した完成物を与えるので特に望ましい。架橋重合
体は、溶剤抵抗性の如き改善された性質を与える。米国
特許第4,012,402号に記載されているディール
ス−アルダー防護/非防護は各種のビス−シアノアクリ
レート単量体類を調製するのに用いられている。しか
し、その方法は厄介で工業的製造には好適でない。
【0005】Kadykovらの“シロキサンシアノア
クリレート接着剤の合成と性質”(Plast.Mas
sy,1984,No.10,pp.8〜9)は、1モ
ルのジエポキシジメチルシロキサンと2モルのα−シア
ノアクリル酸を0.03モルのターシャリーアミン触媒
と0.05モルのハイドロキノンモノメチルエーテルの
存在下に反応させることにより“ジアクリル−α−シア
ノ−β−ヒドロキシプロピルジメチルシロキサン”のい
わゆる合成を報告している。その反応は発熱反応で、次
の化学式1のビス−エステルが生成することを報じてい
る。
【0006】
【化1】 しかし、採用される反応条件は、そのような生成物を実
際に分離できないし、分離された生成物に関してのこの
文献に報告された分析データはその生成物がビス−シア
ノアクリレートでないと確認されるとは思われない。
【0007】それ故、シアノアクリレートエステル生成
物の他の方法、特に、複数のシアノアクリレート官能基
を有する単量体類を適度の収率で製造するのに用いられ
る方法は、米国特許第4,012,402号のそれより
困難でない方法が要求される。
【0008】ReichらのJACS,97,5434
−47(1975)およびBucheisterらのO
rganometallics,1,1679−84
(1982)には、ある種のα、β−不飽和メチルまた
はエチルエステル類は相当するメチルまたはエチルα−
セレノアリールプロピオネートエステル類を酸化/脱離
反応によって調製されることを記載している。しかし、
そのことは、そのようなα−シアノアクリレートエステ
ルを製造する手順を用いる試みが以前に提案され、ある
いは示唆されていなかったし、またCまたはそれ以上
のアルコールあるいはα−セレノアリール−α−シアノ
プロピオネートエステルの調製および酸化/脱離により
複数のエステル化合物を製造しようとする提案も示唆も
なされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、合成が困難
な高分子量シアノアクリレート単量体類および複数官能
性シアノアクリレート単量体類を、より通常の単官能性
シアノアクリレート単量体類と同様に、高い収量でかつ
比較的単純な手順で製造し得る新規な方法に向けられて
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、所望アルコー
ルのα−シアノアクリレートエステルを製造する方法で
あって、その方法は下記工程、すなわち、前記アルコー
ルのα−セレノアリール−α−シアノプロピオネートエ
ステル化合物を調製する工程、前記α−セレノアリール
−α−シアノプロピオネートエステルを相当するセレノ
キシドに酸化する工程、前記セレノキシドからアリール
セレン酸を脱離させて前記α−シアノアクリレートエス
テルを生成させる工程、および前記α−シアノアクリレ
ートを前記アリールセレン酸から分離する工程からな
る。
【0011】約0℃またはより高い温度では、脱離工程
は、パーオキシドまたはオゾン酸化剤を用いる酸化工程
と同時に起こる。所望のシアノアクリレートエステルが
良好な効率と極めて高い純度で得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】上記のような本発明の方法におい
ては、α−セレノアリール−α−シアノプロピオネート
エステルは、相当するα−シアノプロピオネートエステ
ルを、そのシアノプロピオネートエステルからα−H原
子を抜き取る充分な強さの塩基で処理し、次式:Ar−
Se−X(式中、Arはアリール基であり、XはCl、
BrまたはIである)で表されるアリールセレニルハラ
イドを加えることにより適切に製造される。
【0013】所望アルコールのα−シアノプロピオネー
トエステルは、知られた手段で製造することができる。
一般に、α−シアノアセテートエステルを製造するのに
好適な方法は、相当するα−シアノプロピオネートエス
テルを調製する周知手段によって容易にモディファイす
ることができる。そのよう方法は、シアノプロピオン酸
を、任意には2−ハロピリジニウム塩の存在下に、アル
コールと酸触媒での直接エステル化;シアノプロピオン
酸とアルキルハライドの塩基触媒アルキル化反応;酸ま
たは塩基触媒でのエステル交換反応;クロロプロピオネ
ートをアルカリシアナイドと直接シアン化反応処理する
核置換反応;およびアルコールとシアノプロピオニルク
ロライドの直接シアン化反応を包含する。
【0014】本発明は、例えばC〜C22の炭化水素
アルコール類およびエトキシ化されたノニルフェール類
や類似の界面活性剤化合物のようなアルコキシル化炭化
水素アルコール類の如き脂肪族および芳香族アルコール
類を含むCあるいはそれ以上のアルコールのシアノア
クリレートエステルを製造するのに特に有利である。本
発明の方法はまた複数の官能性シアノアクリレート化合
物、すなわち複数のヒドロキシ官能性化合物から化合物
を調製するのにも使用される。そのような複数のヒドロ
キシ官能性化合物は、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1、3−プロパンジオール、1、4−ブタ
ンジオール、トリメチレンプロパン、1、6−ヘキサン
ジオール、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコー
ル、テトラエチレングリコール等のような単純なジオー
ル、トリオールまたはテトラオール類、あるいはポリエ
チレングリコール、ヒドロキシ末端ポリブタジェン、ヒ
ドロキシ末端ポリエステル等のようなオリゴマー状プレ
ポリマー化合物類である。
【0015】アリールセレニルハライドはジフェニルジ
セレナイドのようなジアリールジセレナイドから分子状
ハロゲンXの付加によって好都合に製造される。好適
なAr基は置換されたまたは無置換のフェニル基であ
る。好適なフェニル基置換は、ハロ、アルキル、アルコ
キシおよびハロアルキルを包含する。置換基の具体例
は、特に、メチル、エチル、フェニル、クロロ、フルオ
ロ、トリフルオロメチル、メトキシおよびエトキシを包
含する。Xは好ましくはBrである。
【0016】シアノプロピオネートエステルからα−H
原子を抜き取る充分に強い塩基の例は、アルカリ水素化
物塩基NaH、KH、LiHおよびn−ブチルリチウム
ようなアルキルアルカライドを包含する。アルカリ水素
化物塩基は、副生成物Hを反応を完結させるガスとし
て連続的にはずすので好ましい。リチウムジイソプロピ
ルアミドのようなアルカリ−アミド塩基およびナトリウ
ムメトキサイドのようなアルコキシド塩基は、α−セレ
ノアリール−α−シアノプロピオネートエステル形成の
間に完全に除去することが更に困難な付加アミンあるい
はアルコール副産物をつくるので一般に望ましくない。
【0017】α−セレノアリール−α−シアノプロピオ
ネートエステルの単離および精製は、通常エーテル(ジ
エチルエーテル)のような適切な溶剤に溶解し、その溶
液の水抽出により、次いで溶剤を蒸発させることにより
容易に遂行できる。一般に、さらに精製することは必要
でないが、ある場合には有益である。さらなる精製は、
例えば、冷エーテル溶液から結晶させることが好適であ
る。
【0018】シアノアクリレートエステルは、酸化/脱
離反応によって形成される。メカニズムは周囲温度では
同時に起こるが、酸化が約0℃以下の温度で行われるな
らば、2段階に分けられる2工程を包含すると思われ
る。約0℃の温度での反応は、酸化反応のセレノキシド
中間生成物を単離する利益がないので好ましくない。約
40℃を超える温度は、シアノアクリレート生成物が高
められた温度では重合し、また反応は強い発熱反応で、
高温ではコントロールが困難となるので避けることが好
ましい。
【0019】好適酸化剤は、パーオキシド化合物および
オゾンである。過酸化水素は安価かつ効果的であり、取
扱いが比較的容易であるから通常好ましい。状況によっ
て特に有用な他の酸化剤は、m−クロロ過安息香酸と沃
化ナトリウムを含む。
【0020】酸化反応は、好適にはα−セレノアリール
−α−シアノプロピオネートエステルをメチレンクロラ
イドのような疎水性溶剤に溶解し、過酸化水素を水溶液
として加え、その二相を強力にかき混ぜて、それぞれの
相中の反応剤間の反応を行わせる二相反応で遂行され
る。
【0021】約0℃以上の温度では、アリールセレン酸
の脱離が添加反応剤や触媒なしで自然に起こって、所望
のシアノアクリレートエステルを生成する。芳香族セレ
ン酸は、普通の有機溶剤に不溶であり、それゆえシアノ
アクリレートから容易に分離される。上記二相反応の場
合には、シアノアクリレートエステルの分離は、有機層
の分離によって簡単になされる。
【0022】反応のアリールセレン酸副産物は、上記R
eichらの文献に記載された周知方法に従って、相当
するジアリールジセレニドに還元され、次いでそのジア
リールジセレニドを塩素、臭素または沃素と反応させて
セレノアリールハライドに変換することにより循環され
る。
【0023】エチルシアノプロピオネートをTCl A
mericaから入手し、さらに精製することなく用い
た。ジフェニルジセレニドをAldrichまたはJa
nssenから購入し、使用の前にエタノールから再結
晶した。THFを使用直前にナトリウム/ベンゾフェノ
ンから蒸留した。水素化ナトリウムはAldrichか
ら95%粉末として購入し、デシケーターに貯蔵した。
【0024】反応用ガラス器具類は使用前にオーブン乾
燥した。すべての器具類は、0.5M硫酸中に一夜浸
し、脱イオン水で洗浄し、オーブン乾燥した。乾燥溶剤
はすべて注射器で移した。
【0025】プロトンNMRスペクトルをVarian
Gemini 300MHZ NMR分光計で得た。
IR分析はATI Mattson Genesis
Series FTRで行った。
【0026】
【実施例】
実施例1 2−オクチルシアノアクリレートの調製 この実施例の方法は、次の化学式2で表される。
【0027】
【化2】
【0028】フェニルセレニウムブロマイド 窒素導入口、磁気攪拌器、ゴム隔壁を備えた3−頸25
0mlフラスコにジフェニルジセレニド(20.9g、
67mmol)およびTHF(100ml)を窒素雰囲
気下に加えた。臭素(9.8g、61mmol)を注射
器で添加した。その溶液を5分間攪拌した。
【0029】2−オクチルシアノプロピオネートフェニ
ルセレニド(1) コンデンサ、機械的攪拌器、温度計、窒素導入口を備え
た4−頸500mlフラスコに水素化ナトリウム(3.
9g、153mmol)およびTHF(250ml)を
窒素雰囲気下に加えた。2−オクチル−2−シアノプロ
ピオネート(20g、115mmol)を10分かけて
加え、その反応混合物を室温下で1時間かき混ぜた。上
記の方法によって調製されたフェニルセレニウムブロマ
イド溶液を注射器により注入した。その反応混合物を1
時間攪拌し、エーテルとNaHCO飽和水溶液それぞ
れの250mlに加えた。その有機層を250mlのH
Oで2度、そして250mlの飽和食塩水で一度洗っ
た。有機を分離し、乾燥し(MgSO)濾過した。溶
剤を減圧下に除去した。収量=43.2g(quan
t.);NMR D(CDCl)7.75(d、2
H)、7.40(m、3H)、4.85(m、2H)、
1.80(s、3H)、0.8〜1.70(m、16
H);IR(neat)2233、1734、1251
cm−1
【0030】2−オクチルシアノアクリレート(2) コンデンサ、機械的攪拌器、温度計、および添加用じょ
うごを備えた500mlフラスコに粗2−オクチルプロ
ピオネートフェニルセレニド(43.2g、115mm
ol)およびメチレンクロライド(300ml)入れ
た。30%過酸化水素(47g、418mmol)を水
(30ml)に溶解し、反応フラスコに15分かけて加
えた。氷浴で20〜30℃に反応温度を保った。添加が
完了したのち、反応混合物を室温下に1時間攪拌した。
有機層を分離し、水100mlで一度洗った。有機層を
分離し、乾燥し(無水珪酸)、濾過した。溶剤を減圧下
に除去した。粗生成物を真空蒸留した。収量=14.4
g(60%)、B.P.=95℃/1.0mmHg;N
MR D(CDCl)7.05(s、1H)、6.6
0(s、1H)、5.05(m、2H)、0.8〜1.
7(m、16H);IR(neat)2236、173
2、1649、1287cm−1;強酸≦1ppm。
【0031】実施例2 1、4−ブタンジオールジシアノアクリレート(BDD
CA)の調製 1、4−ブタンジオールジシアノプロピオネート Dean−Starkトラップ、コンデンサ、温度計お
よび窒素導入口を備えた1000ml 3−頸フラスコ
にエチル−2−シアノプロピオネート(50.8g、4
00mmol)、1、4−ブタンジオール(15.8
g、175mmol)、p−トルエンスルホン酸(3
g、16mmol)、およびトルエン(500ml)を
窒素雰囲気下に加えた。その溶液をかき混ぜながら還流
加熱した。溶剤をDean−Starkトラップで除去
し、同容量の新しいトルエンで置換した。8時間環流し
たのち、500mlの溶剤を除去し、溶液を室温まで冷
した。その溶液をNaHCO飽和水溶液300mlで
2回、HO 300mlで2回およびNaCl飽和水
溶液300mlで1回洗浄した。有機層を分離し、乾燥
し(MgSO)濾過した。溶剤を減圧下に除去した。
粗生成物を真空蒸留により精製した。収量=22.3g
(51%)、B.P.=172℃(0.6mm/H
g);NMRδ(CDCl)4.25(brt,4
H)、3.60(q、2H)、1.80(brt.4
H)、1.60(d.6H);IR(neat)225
2、1745cm−1
【0032】フェニルセレニウムブロマイド 窒素導入口、磁器攪拌器およびラバー隔壁を備えた3−
頸250mlフラスコに、窒素雰囲気下にジフェニルジ
セレニド(17.2g、55mmol)およびTHF
(100ml)を加え、臭素(7.2g、45mmo
l)を注射器で注入した。その溶液を5分間攪拌した。
【0033】1、4−ブタンジオールジシアノプロピオ
ネートビス−フェニルセレニド コンデンサ、機械攪拌器、温度計、ラバー隔壁および窒
素導入口を備えた500ml 4−頸フラスコに水素化
ナトリウム(2.7g、105mmol)および無水ジ
メチルホルムアミド(200ml)を窒素下に加えた。
ブタンジオールジシアノプロピオネート(10g、40
mmol)を室温下に10分にわたって添加し、その反
応混合物を2時間攪拌した。予め調製したフェニルセレ
ニウムブロマイド溶液を注射器で加え、反応混合物を
2.5時間かき混ぜた。その反応混合物をそれぞれ25
0mlのエーテルと飽和NaHCO水溶液に加えた。
有機層を250mlのHOで2回および250mlの
飽和NaCl水溶液で洗った。有機層を分離し、乾燥し
(MgSO)、濾過した。溶剤を減圧下に除去した。
粗収量=23.4g(quant)。その粗生成物にエ
ーテル10mlを加え、その混合物を氷浴で冷却した。
沈殿したビス−フェニルセレニドを濾別し、5mlの冷
エーテルで洗った。収量=6.5g(29%)、M.
P.=113℃;NMRδ(CDCl)7.75
(d、4H)、7.40(m、6H)、3.95(m、
4H)、1.85(s、6H)、1.40(brs,4
H);IR(KBr)2231、1730、1234c
−1
【0034】1、4−ブタンジオールジシアノアクリレ
ート(BDDCA) コンデンサ、機械攪拌器、温度計および添加じょうごを
備えた250mlフラスコにビス−フェニルセレニド
(6.5g、12mmol)およびメチレンクロライド
(50ml)を加えた。30%過酸化水素(11.6
g、102mmol)を水(8ml)に溶解し、反応フ
ラスコに10分かけてゆっくり加えた。温度をアイスバ
スで20〜30℃に保った。添加が完結したのち、反応
混合物を室温で2時間かき混ぜた。有機層を分離し、5
0mlの水で洗った。有機層を分離し乾燥し(無水珪
酸)、メタンスルホン酸0.015gを含有するフラス
コに濾過した。その溶液を減圧下に濃縮した。その反応
性のために、BDDCAを使用の直前まで溶液として保
持した。0.5MHSH中に一夜浸漬し、脱イオン
水で洗浄し乾燥したプラスチックビーカーからデシケー
ターで溶剤を真空蒸発させた。固固体のBDDCAは極
めて反応性で、固態では2〜3分以内に重合するので、
溶剤を蒸発させたあと直ちに使用した。M.P.=80
℃;NMRδ(CDCl)7.10δ(s、2H)、
6.65(s、2H)、4.35(brt、4H)、
1.90(brt、4H);IR(KBr)3.32、
2237、1729、1615cm−1。TGA分析
は、BDDCA単独重合体は、エチルシアノアクリレー
ト単独重合体よりも高い約65℃で分解する。エチルシ
アノアクリレートに100部当たり1、5、10および
20部の水準のBDDCAを混ぜた重合体は、エチルシ
アノアクリレート単独重合体を超える熱安定性を示さな
かったが、メチレンクロライドに一夜浸漬するとき顕著
な溶剤膨潤抵抗性を与えた。
【0035】実施例3〜7 実施例1で用いた始めの2−オクチル2−シアノプロピ
オネートに換えて等量の2−シアノプロピオネート、4
−エチルフェニルシアノプロピオネート、n−オクチル
シアノプロピオネート、4−ノニルフェニル2−シアノ
プロピオネートおよびステアリル2−シアノプロピオネ
ートを用い操作を通して適切な等価重量に調整する以外
はそれぞれ別個の実験で実施例1を繰返し、フェニルシ
アノアクリレート、4−エチルフェニルシアノアクリレ
ート、n−オクチルシアノアクリレート、4−ノニルフ
ェニルシアノアクリレートおよびステアリルシアノアク
リレートのそれぞれが、操作の終りに適度の純度で得ら
れた。
【0036】実施例8〜12 実施例2で用いられた出発物質;4−ブタンジオールジ
シアノプロピオネートに換えて次のポリオール類の2−
シアノプロピオネートエステル類の等量を用い、手順を
通して適切な等価重量調整を行った以外は、実施例2を
繰返した。
【0037】ビス−ヒドロキシ末端ポリエチレングリコ
ール400;ビス−ヒドロキシ末端ポリエチレングリコ
ール1000:ビス−ヒドロキシ末端ポリブタジェン;
ビス−ヒドロキシ末端オルトおよびパラ混合フタレート
/ジエチレングリコールポリエステル トリス−ヒドロキシ末端アジペート/1、4−ブタンジ
オール−グリセリンポリエステル(1eqグリセロール
/モル) 手順の終りに対応する複数のシアノアクリレートが得ら
れる。
【0038】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明によれば、シア
ノアクリレート単量体および複数官能性シアノアクリレ
ート単量体類を高収率かつ簡単な手順で製造することが
可能となる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め選択されるアルコールのα−シアノ
    アクリレートエステルを製造する方法であって、前記ア
    ルコールのα−セレノアリール−α−シアノプロピオネ
    ートエステル化合物を調製する工程、前記α−セレノア
    リール−α−シアノプロピオネートエステルを対応する
    セレノキシドに酸化する工程、前記セレノキシドからア
    リールセレン酸を脱離させてα−シアノアクリレートエ
    ステルを生成させる工程、およびα−シアノアクリレー
    トエステルを前記アリールセレン酸を分離する工程とか
    らなる前記方法。
  2. 【請求項2】 予め選択されるアルコールのα−シアノ
    アクリレートエステルを製造する方法であって、前記ア
    ルコールのα−セレノアリール−α−シアノプロピオネ
    ートエステル化合物を調製する工程、前記α−セレノア
    リール−α−シアノプロピオネートエステルを過酸化物
    化合物およびオゾンよりなる群から選択される酸化剤で
    処理し、その反応混合物を前記処理中にまたはその処理
    に続いて0℃以上の温度にさらして、前記α−シアノア
    クリレートエステルとアリールセレン酸を生成させる工
    程、次いで、α−シアノアクリレートエステルをアリー
    ルセレン酸から分離する工程とからなる上記方法。
  3. 【請求項3】 前記分離工程が、α−シアノアクリレー
    トエステルを有機溶剤への抽出を包含する請求項1また
    は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記予め選択されるアルコールが、C
    またはそれ以上の炭素数の1または複数のヒドロキシ官
    能基含有化合物である請求項1、2または3に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記予め選択されるアルコールが、1分
    子につき1以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、
    前記α−セレノアリール−α−シアノプロピオネートエ
    ステルが、前記各ヒドロキシ基とα−シアノプロピオン
    酸とのエステル化生成物に相当するエステルである請求
    項1、2または3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記予め選択されるアルコールがジオー
    ルである請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記α−セレノアリール−α−シアノプ
    ロピオネートエステルが、式、Ar−Se−X(式中、
    Arはアリール基であり、XはCl、BrまたはIであ
    る。)で表されるセレノアリールハライドと、前記アル
    コールのα−シアノプロピオネートエステルとの反応に
    よって製造される請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    方法。
  8. 【請求項8】 Arが、置換されていないまたは1若し
    くはそれ以上のハロ、アルキル、ハロアルキルあるいは
    アルコキシド基で置換されたフェニルである請求項7に
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記分離工程後、前記アリールセレン酸
    が、相当するジアリールジセレニドに還元することによ
    り、また前記ジアリールジセレニドを塩素、臭素または
    沃素と反応させてセレノアリールハライドに変換するこ
    とにより再変換される請求項1〜8のいずれか1項に記
    載の方法。
  10. 【請求項10】 前記酸化剤が、過酸化水素であり、ま
    た前記反応を前記過酸化水素含有水相である第1の相と
    前記α−セレノアリール−α−シアノプロピオネートエ
    ステル含有非水相である他の相との二相反応混合物をか
    き混ぜて行わせる請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    方法。
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