JP2003212702A - 炭酸カルシウムの水性懸濁状組成物 - Google Patents

炭酸カルシウムの水性懸濁状組成物

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JP2003212702A JP2002008207A JP2002008207A JP2003212702A JP 2003212702 A JP2003212702 A JP 2003212702A JP 2002008207 A JP2002008207 A JP 2002008207A JP 2002008207 A JP2002008207 A JP 2002008207A JP 2003212702 A JP2003212702 A JP 2003212702A
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Yasushi Otsubo
靖 大坪
Kazuyoshi Masuda
和義 増田
Kotomi Hayashi
琴美 林
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HOKKAI SANKYO
HOKKAI SANKYO KK
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HOKKAI SANKYO
HOKKAI SANKYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】果樹、蔬菜その他の農業場面における銅剤使用
時の薬害軽減や、りんご果実の表皮の品質向上、みかん
の浮皮防止等の果実の品質向上を目的として、炭酸カル
シウム剤を使用する際、従来の水和剤に比べて希釈液の
安定性、銅剤との混用性、混用時の作業性、水和性に優
れ、且つその薬害軽減効果を安定させ、果実や葉面の汚
れを少なくした炭酸カルシウム剤を提供すること。 【解決手段】微粉砕した炭酸カルシウムを有効成分とし
て含有する水性懸濁状組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粉砕した炭酸カ
ルシウムを有効成分として含有する水性懸濁状組成物、
並びに、それを含有する蔬菜類や果樹に使用する銅剤の
薬害軽減剤及び果実の品質向上のための農業用資材に関
する。
【0002】
【従来の技術】蔬菜(そさい)類や果樹の各種病害に対
して、銅剤が汎用されている。
【0003】ここでいう銅剤とは、銅イオンの殺菌作用
を利用したもので、有効成分としては、無機銅と呼ばれ
る、水酸化第二銅、塩基性塩化銅、硫酸銅、塩基性硫酸
銅、塩基性炭酸銅のような各種の銅塩類、又は、有機銅
と呼ばれる、8−ヒドロキシキノリン銅、ノニルフェノ
ールスルホン酸銅のような銅キレート化合物であり、こ
れらの有効成分を単独又は複数含有する農薬製剤であ
る。また、銅剤の剤形としては、例えば、水和剤、水性
懸濁状製剤(フロアブル剤)、顆粒状水和剤(DF剤)
等の散布剤が挙げられる。更に、本発明の銅剤は、その
他の植物病害防除の有効成分との混合剤を含む。
【0004】しかし、銅剤のみを散布処理すると、薬害
が発生することが多い。そのため、銅剤使用時には、炭
酸カルシウム水和剤を混用し、薬害軽減を図ることが習
慣的に行われている。
【0005】また、これとは別に、みかんの浮皮防止、
りんご・なし・柿の非ボルドー液防除体系有機殺菌剤に
よる果実の表皮障害防止、晩柑の着色促進、パイナップ
ルの果実の日焼け防止、及び、りんごの貯蔵中に歯ごた
えのよい食感が損なわれることの防止といった、柑橘、
りんご、なし、柿等の果実の品質向上の目的にも、炭酸
カルシウム水和剤が使用されている。
【0006】しかし、従来の炭酸カルシウム水和剤は、
比較的炭酸カルシウムの粒子が粗く、沈殿しやすいた
め、散布液は使用直前に調製し、かつ、十分攪拌して散
布することが必要とされている。また乾燥すると、散布
器具を詰まらせるおそれがあるため、散布後は散布器具
をただちによく洗浄しなければならない。現在市販さ
れ、広く使用されている炭酸カルシウム水和剤の製品包
装には、この旨が使用上の注意として明記されている。
【0007】更に、これまでの炭酸カルシウム水和剤
は、その粒子の粗さから、安定した薬害軽減効果を得る
ために、比較的高濃度の散布処理をしなければならず、
果実や葉面に炭酸カルシウムが残ることによる商品価値
の低下が問題になってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、希釈液
の安定性、銅剤との混用性、水和性の向上、薬害軽減効
果の安定及び果実や葉面の汚れの減少のような上記課題
を解決すべく、鋭意検討を行った結果、炭酸カルシウム
を微粉砕し水性懸濁状組成物とすることで、これらの欠
点が大幅に改良されることを見出し、本発明を完成し
た。即ち、本発明によれば、調製した散布液の沈降が少
なく、銅剤の薬害軽減効果を高め且つ安定化させ、炭酸
カルシウム剤の施用量を減じることが可能な上、散布液
調製時に作業者が吸引する心配がなく、水による希釈が
容易となる等の利点がある。さらに、葉面・果実への附
着・残留が目立たなくなリ、農産物の商品価値を高める
という利点もある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、微粉砕した炭
酸カルシウムを有効成分として含有する水性懸濁状組成
物、並びに、それを含有する蔬菜類や果樹に使用する銅
剤の薬害軽減剤及び果実の品質向上のための農業用資材
である。
【0010】本発明で使用する有効成分は、化学式Ca
CO3で表される炭酸カルシウムである。炭酸カルシウ
ムには、種々なグレードがあり、形状的には、粉末状、
粒状、塊状、板状、岩石状等様々であるが、その製法に
より、大きくは石灰岩を機械的に砕いた重質品と化学的
に精製された軽質品の2つに分けられる。本発明の原料
として使用する炭酸カルシウムは、これらのグレードや
種類に左右されるものではないが、一般的には、粉末状
のものを原料とすれば、粗粉砕の工程が省略でき有利で
ある。
【0011】製剤中の炭酸カルシウムの含量は、高いほ
ど経済的に有利であるが、懸濁製剤とするには限界があ
り、本発明の水性懸濁状組成物中、通常1〜75%であ
り、好ましくは20〜70%であり、さらに好ましくは
30〜65%である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の水性懸濁状組成物には、
分散剤又は湿潤・分散剤、増粘剤、凍結防止剤、消泡
剤、防腐剤等を配合することができる。
【0013】本発明において、湿潤・分散剤として使用
する界面活性剤としては、例えば、リグニンスルホン酸
塩、フェノールスルホン酸塩およびそのホルマリン縮合
物、ジアルキルスルホサクシネート塩、α−オレフィン
スルホン酸の塩、種々の石鹸類、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、アルキルで置換されていてもよいナフタレン
スルホン酸塩及びその縮合物、アクリル酸やマレイン酸
等カルボン酸のポリマーの塩、スチレンスルホン酸とビ
ニル基やアクリル酸、マレイン酸等のカルボン酸とのコ
ポリマーの塩、スチレンスルホン酸のポリマーの塩等の
スルホン酸系或はカルボン酸系のポリソープ類、さらに
は、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアリールアリールエーテル等のノニオン界面活性剤の
サルフェート或はホスフェート及びそれらの塩等のアニ
オン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルアリー
ルエーテル、ポリオキシエチレンアリールアリールエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタ
ンアルキレート、ポリオキシエチレンソルビタンアルキ
レート、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンと
のコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエステル、
ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、フッ素系、シリ
コン系等のノニオン性界面活性剤を例示することができ
る。また、トリポリリン酸ソーダやヘキサメタリン酸ソ
ーダ、ピロリン酸ソーダ等のリン酸塩も炭酸カルシウム
の分散剤として有用である。これらの分散剤又は湿潤・
分散剤は、単独で若しくは2種以上混合して使用するこ
とができる。
【0014】これらの中で好ましいものは、アニオン性
界面活性剤又はリン酸塩であり、中でもリグニンスルホ
ン酸塩、及び、フェノールスルホン酸塩のホルマリン縮
合物は特に好ましい。
【0015】これら湿潤・分散剤の配合量は、本発明の
水性懸濁状組成物中、通常0.05〜20.0%であ
り、好ましくは0.1〜10.0%であり、さらに好ま
しくは0.2〜7.0%である。
【0016】増粘剤は、製剤の保存安定性を向上させる
目的で配合する。例えば、アラビアガム、アルギン酸ソ
ーダ、キサンタンガム、ランザンガム、トラガントガム
等の天然高分子物質、アクリル酸ソーダ、ポリビニルア
ルコール等の合成高分子物質、カルボキシメチルセルロ
ースの塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチ
ルプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、ベ
ントナイト及び有機ベントナイト、アタパルジャイト、
ラポナイト、セピオライト、スメクタイト等の粘土鉱
物、合成珪酸等の鉱物質微粉を用いることができ、これ
らは単独でも併用でも使用できる。中でも、キサンタン
ガムと種々の鉱物質微粉との組み合わせ使用が好適であ
る。
【0017】増粘剤の使用量は、本発明の水性懸濁状組
成物中、通常0.005〜10.0%であり、好ましく
は0.01〜5.0%であり、さらに好ましくは0.0
3〜3.0%である。
【0018】凍結防止剤としては、例えば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、これらグリコールの水溶性エーテルやエステル、及
び、グリセリン等が挙げられるが、これらの内エチレン
グリコール又はプロピレングリコールが好適である。
【0019】これら凍結防止剤の配合量は、本発明の水
性懸濁状組成物中、通常2〜30%であり、好ましくは
3〜25%であり、さらに好ましくは5〜20%であ
る。
【0020】消泡剤としては、例えば、シリコン系、脂
肪酸系、アセチレン系、リン酸エステル系等の消泡剤が
挙げられ、これらの中で、シリコン系消泡剤が好まし
い。消泡剤の配合量は、本発明の水性懸濁状組成物中、
通常0.001〜5%であり、好ましくは0.005〜
1%である。
【0021】防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、グルタール
アルデヒド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3
−ジオール等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を
混合して使用することができる。防腐剤の配合量は、本
発明の水性懸濁状組成物中、通常0.01〜5%であ
り、好ましくは0.1〜2%である。
【0022】本発明の水性懸濁状組成物に用いられる、
湿潤・分散剤、増粘剤、凍結防止剤、消泡剤及び防腐剤
は、上記の例示に限定されるものではない。また、本発
明の水性懸濁状組成物には、さらに分解防止剤、着色剤
等の補助剤を使用することもできる。
【0023】本発明の水性懸濁状組成物は、例えば、エ
アーミル又はハンマーミル等の乾式粉砕機で炭酸カルシ
ウムを予め微粉砕しておき、湿潤・分散剤及び必要に応
じてその他の補助剤とともに水に分散する方法、又は、
湿潤剤や分散剤等を添加した水中に炭酸カルシウムを分
散させ、ダイノーミル、アペックスミル等のビーズミ
ル、アトライター等のアトリションミル、ボールミル、
コロイドミル等の湿式粉砕機で粉砕後、必要に応じて補
助剤などを混合する方法で製造することができる。さら
に、原料としてあらかじめ微粉砕されたコロイダルカル
シウム等の炭酸カルシウムを使用すれば、粉砕工程を省
略して、湿潤・分散剤等を用いて水中に懸濁させ、さら
にその他の補助剤を加え、混合するだけでも製造するこ
とができる。
【0024】本発明の水性懸濁状組成物中の炭酸カルシ
ウムの粒度は、湿式粉砕及び乾式粉砕のいずれにより粉
砕した場合でも、好適には、炭酸カルシウム粒子の90
%以上が10.0μm以下で、50%粒子径が0.1〜
5.0μmであり、より好適には、10.0μm以上の
粒子が0で、50%粒子径が0.2〜3.0μmであ
る。
【0025】尚、炭酸カルシウムの粒度は以下の方法に
より測定する。
【0026】試料約0.5gに0.2%ネオゲンパウダ
ー液{ネオゲンパウダー(アルキルベンゼンスルホン酸
ソーダ、第一工業製薬株式会社製)を蒸留水に溶かし
て、0.2%に調製したもの。}100mlを加え、3
分間超音波分散を行ない試料液とする。
【0027】レーザー回折/光散乱式粒度測定機(LA
−700型、株式会社堀場製作所製)の超音波バスに、
分散媒(蒸留水)約250mlを入れ、試料液を透過率
が70〜90%となるように超音波バスに滴下し、あら
かじめ下記条件を設定した粒度測定機により粒度分布を
求める。得られた粒度分布より、50%粒子径(μm)
を求める。
【0028】尚、上記粒度測定機(LA−700型)の
測定条件は、攪拌モーターの速度:「4」、超音波分散
動作時間:「5min」、超音波分散終了後の待ち時
間:「0sec」、循環ポンプの速度:「3」、データ
取り込み回数:「10」、分布形態:「1」、及び、屈
折率設定:「しない」である。
【0029】以下に、本発明の代表的な実施例及び試験
例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。尚、実施例中、部とあるのは質量基準である。
【0030】
【実施例】
【0031】
【実施例1】50%粒子径が1.787μmである炭酸
カルシウム水性懸濁状組成物 水38.0部に、リグニンスルホン酸ナトリウム(パー
ルレックスNP、日本製紙株式会社製)2.73部、精
製スメクタイト(ビーガムR、三洋化成工業株式会社
製)0.18部、炭酸カルシウム(NS#−200、日
東粉化工業株式会社製)50.0部を加え、攪拌機(ウ
ルトラタラックス、ヤマト科学株式会社製)により混
合、湿潤化し、この混合物300gを、4.76mmφ
のスチールボール1.8kgを充填した湿式粉砕機(ア
トライターMA−01S、三井三池製作所株式会社製)
を用いて、アジテーター回転数200rpmにて30分
間粉砕し、スラリーを得た。このスラリーの粒度は1
0.0μm以下が100%で、50%粒子径は1.78
7μmであった。このスラリー90.91部に、予め調
製した高純度精製ベントナイト(クニピアF、クニミネ
工業株式会社製)0.3部、エチレングリコール3.0
部、防腐剤(プロクセルGXL、ゼネカ社製)0.1
部、及び水5.69部の混合分散液9.09部を加え
て、その全量をスリーワンモーター(BL1200型,
HEIDON株式会社製)を用いて均一に混合し、炭酸
カルシウム50%を含有する水性懸濁状組成物を得た。
この水性懸濁状組成物の粘度を、B(L)型粘度計で測
定したところ660mPa/sであった.また、100
倍希釈液の表面張力はデュヌイ法で65dyne/cm
であった。
【0032】
【実施例2】50%粒子径が1.816μmである炭酸
カルシウム水性懸濁状組成物 水38.0部にフェノールスルホン酸のホルマリン縮合
物のナトリウム塩(タモールPP、BASF社製)2.
73部、精製スメクタイト(ビーガムR)0.18部、
炭酸カルシウム(NS#−200)50.0部を加え、
攪拌機(ウルトラタラックス)により混合、湿潤化し、
この混合物300gを4.76mmφのスチールボール
1.8kgを充填した湿式粉砕機(アトライターMA−
01S)を用いて、アジテーター回転数200rpmに
て30分間粉砕し、スラリーを得た。このスラリーの粒
度は、10.0μm以下が100%で、50%粒子径は
1.816μmであった。このスラリー90.91部
に、予め調製した高純度精製ベントナイト(クニピア
F)0.3部、エチレングリコール3.0部、防腐剤
(プロクセルGXL)0.1部、及び水5.69部の混
合分散液9.09部を加えて、その全量をスリーワンモ
ーター(BL1200型)を用いて均一に混合し、炭酸
カルシウム50%を含有する水性懸濁状組成物を得た。
この水性懸濁状組成物の粘度をB(L)型粘度計で測定
したところ520mPa/sであった.また、100倍
希釈液の表面張力は、デュヌイ法で67dyne/cm
であった。
【0033】
【試験例1】炭酸カルシウムの水性懸濁状組成物の銅水
和剤との混用物理性試験 図1に示す懸垂フラスコ(容量500ml)に、予め、
約400mlの水(20℃の3°硬水)を入れておき、
銅水和剤(三共コサイドボルドー、水酸化第二銅76.
8%、三共株式会社製)0.5g及び実施例1の炭酸カ
ルシウム水性懸濁状組成物(炭酸カルシウムとして50
%)10.0g(炭酸カルシウムとして5.0g)を加
え、水で500mlに定容とし、懸垂フラスコの上下方
向に20秒間に30回はげしく転倒させた後、静置して
15分後及び60分後の懸垂フラスコ底部のスピッツ管
に溜まった沈降物の量を測定した。
【0034】上記の実施例1の炭酸カルシウム水性懸濁
状組成物を、実施例2の製剤にかえて、銅水和剤(三共
コサイドボルドー)との混合希釈液を調製し、以下同様
にしてスピッツ管に溜まった沈降物の量を測定した。
【0035】また比較例として、それぞれ別の懸垂フラ
スコに銅水和剤0.5gと炭酸カルシウム水和剤(炭酸
カルシウムを95%含有する。白石カルシウム株式会社
製)5.0g(炭酸カルシウムとして4.75g)を水
で500mlに希釈した銅水和剤と炭酸カルシウム水和
剤との混合希釈液を調製し、以下同様にして、スピッツ
管に溜まった沈降物の量を測定した。結果を表1に示
す。
【0036】
【表1】 炭酸カルシウム水性懸濁状組成物の銅水和剤との混用物理性試験 ─────────────────────────────────── 供試薬剤 沈降量(ml) (希釈倍率) ────────── 静置15分後 60分後 ─────────────────────────────────── コサイドボルドー(1000倍)+実施例1(50倍) 0.1 0.4 コサイドボルドー(1000倍)+実施例2(50倍) 0.1 0.3 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ コサイドボルドー(1000倍)+炭酸カルシウム水和剤(100倍) 1.2 2.8 ─────────────────────────────────── 表1の結果から、本発明の炭酸カルシウムの水性懸濁状
組成物は、従来の炭酸カルシウム水和剤と比較して、銅
水和剤との混用散布液調製時に次のような作用効果がも
たらされる。
【0037】第1に、調製した散布液は、従来の炭酸カ
ルシウム水和剤に比べ、希釈液中の炭酸カルシウム濃度
が高いにもかかわらず、短時間のうちに沈降することが
なく、散布時に容器を攪拌する等の手間を省くことがで
きる。
【0038】第2に、あらかじめ懸濁された製剤である
ため、容易に分散、懸濁し、従来の炭酸カルシウム水和
剤に比較して、簡単に混用散布液を調製することができ
る。
【0039】第3に、粉立ちがないため、作業者が吸引
する心配がない。
【0040】
【試験例2】炭酸カルシウムによる銅剤の薬害軽減効果
の試験 圃場にハクサイ(品種:無双)を播種(直播、畝間50
cm×株間50cm)し、慣行で生育管理を行い栽培し
た。
【0041】播種42日後及び47日後(結球期)に、
バクテサイド水和剤(活性成分:水酸化第二銅38.4
%、北海三共株式会社製)及び、実施例2の炭酸カルシ
ウム水性懸濁状組成物を、各々バクテサイド水和剤が1
000倍、炭酸カルシウム水性懸濁状組成物が50倍、
100倍、200倍になるように水で希釈し、背負式動
力噴霧器により散布した(散布水量は10アール当り1
50リットル相当)。
【0042】また、実施例2の炭酸カルシウム水性懸濁
状組成物にかえて、バクテサイド水和剤が1000倍、
炭酸カルシウム水和剤(白石カルシウム株式会社製)が
各100倍、200倍希釈になるようにした希釈液を比
較試験例区とした。
【0043】さらに、バクテサイド水和剤の1000倍
希釈液のみを散布した区を無添加区とした。
【0044】播種57日後に、銅水和剤による薬害(展
開葉の褐変)を観察調査した。薬害評価は1区あたり、
10m2で3反復とし、下記表2に記載の基準で薬害指
数を調査して、式
【0045】
【数1】薬害程度={Σ(薬害を示した株の薬害指数×
当該薬害指数を示した株数)/(4(最大薬害指数)×
(調査した全株数)}×100 により薬害程度を求めた。得られた各区の薬害程度を薬
剤毎に集計して、平均値を求め、平均薬害程度を求め
た。得られた平均薬害程度から、式
【0046】
【数2】薬害軽減価={1−(当該平均薬害程度/無添
加区の平均薬害程度)}×100 により薬害軽減価を算出した。得られた試験結果を表3
に示す。
【0047】
【表2】 薬害指数の基準 ─────────────────────────────────── 薬害調査基準 薬害指数 ─────────────────────────────────── 薬害が認められない。 0 外葉に褐変がわずかに認められる。 1 外葉に褐変がひろく認められる。 2 結球葉に褐変が認められる。 3 結球葉に褐変がひろく認められ、商品価値を損なう。 4 ───────────────────────────────────
【0048】
【表3】 炭酸カルシウムによるバクテサイド水和剤(1000倍)の薬害軽減効果試験 ─────────────────────────────────── 供試炭酸カルシウム 薬害程度(反復別) 平均薬 薬害 (希釈倍率) ──────────── 害程度 軽減価 反復1 反復2 反復3 ─────────────────────────────────── 実施例2(50倍) 18.0 25.9 28.5 24.1 46 実施例2(100倍) 17.0 25.0 22.0 21.0 52 実施例2(200倍) 22.0 29.0 23.0 24.7 45 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 炭酸カルシウム水和剤(100倍) 22.7 25.0 31.2 26.3 41 炭酸カルシウム水和剤(200倍) 24.0 20.0 38.0 27.3 39 炭酸カルシウム無添加 35.0 53.3 47.0 45.1 ─────────────────────────────────── 表3の結果から判るように、本発明の炭酸カルシウムの
水性懸濁状組成物(炭酸カルシウムとして50%)は、
200倍希釈(炭酸カルシウム濃度は、炭酸カルシウム
水和剤の380倍希釈に相当)においてさえも、比較の
炭酸カルシウム水和剤の100倍希釈から200倍希釈
に勝るとも劣らない銅剤の薬害軽減効果を示した。
【0049】この結果は、本発明の炭酸カルシウムの水
性懸濁状組成物は、従来の炭酸カルシウム水和剤と比較
して、散布液中の炭酸カルシウム濃度が、1/2又はそ
れ以下の量で十分な薬害軽減効果を示すことができるこ
とを意味する。
【0050】
【試験例3】農産物の品質向上試験 被散布対象として温州ミカンの木(高さ約120cm)
は市販品を用い、ハクサイ(品種:無双)は6cm角の
プラスチック製ポットに1株育成し、5葉期のものに、
実施例2の炭酸カルシウムの水性懸濁状組成物及び比較
対照として炭酸カルシウム水和剤を散布して、風乾後に
汚れの程度を比較した。
【0051】散布濃度は、実施例2の炭酸カルシウムの
水性懸濁状組成物が100倍及び200倍であり、炭酸
カルシウム水和剤も100倍及び200倍である。
【0052】散布にはスプレーガン(イワタ製、RG−
2型)を用い、展着剤としてグラミンS(北海三共株式
会社製)を5000倍希釈で添加し、各検体に30ml
ずつを加圧散布した。
【0053】下記表4に記載の基準で炭酸カルシウム剤
の散布による汚れの程度を評価した。
【0054】その結果を表5に示す。
【0055】
【表4】 ─────────────────────────────────── 汚れの評価基準 判定 ─────────────────────────────────── 白斑が認められない乃至わずかに残る ◎ 小さい白斑が全体に目立つ ○ 白斑が大きく目立つ × ───────────────────────────────────
【0056】
【表5】 ─────────────────────────────────── 供試薬剤 汚れの程度 ──────────────────── ミカン ハクサイ ─────────────────────────────────── 実施例2(100倍) ○〜◎ ◎ 実施例2(200倍) ◎ ◎ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 炭酸カルシウム水和剤(100倍) × × 炭酸カルシウム水和剤(200倍) ○ ○ ─────────────────────────────────── 本発明の実施例2の水性懸濁状組成物は炭酸カルシウム
50%を含有し、従来の炭酸カルシウム水和剤は炭酸カ
ルシウム95%を含有するが、試験例2より、本発明の
炭酸カルシウムの水性懸濁状組成物は、炭酸カルシウム
水和剤と比較して、散布液中の炭酸カルシウム濃度が、
1/2又はそれ以下の量で十分な薬害軽減効果を示すこ
とができるので、同一希釈倍率における汚れの程度を比
較すればよい。
【0057】散布後風乾時の所見で、本発明の炭酸カル
シウムの水性懸濁状組成物は、白斑が目立ちにくく、同
じ希釈倍率の比較対照剤に比べて、散布により生じる汚
れの程度が軽減された。
【0058】このことから本発明の炭酸カルシウムの水
性懸濁状組成物を使用すると、従来の炭酸カルシウム水
和剤を使用する場合と比較して、農産物の商品価値を高
めることができる。
【0059】
【発明の効果】従来の炭酸カルシウム水和剤を、本発明
の炭酸カルシウムの水性懸濁状組成物とすることで、次
のような作用効果がもたらされる。
【0060】第1に、調製した散布液は、従来の炭酸カ
ルシウム水和剤のように、短時間のうちに沈殿を生じる
ことがないため、散布中に混合する必要がない。
【0061】第2に、微粉砕された水性懸濁製剤にした
効果により、銅剤の薬害軽減効果を高めることができ、
従来の炭酸カルシウム水和剤に比べ、炭酸カルシウムの
使用量を半分あるいはそれ以下に減じることができる。
【0062】第3に、果皮や葉面に炭酸カルシウムの汚
れが目立ちにくいから、農産物の商品価値を高めること
ができる。
【0063】第4に、あらかじめ懸濁した製剤であるた
め、水で容易に希釈することができ、従来の炭酸カルシ
ウム水和剤に比較して、簡単に散布液を調製することが
できる。
【0064】第5に、粉立ちすることがなく、散布液を
調製する作業者が製剤を吸引する心配がない
【図面の簡単な説明】
【図1】 500ml懸垂フラスコ。
フロントページの続き (72)発明者 林 琴美 北海道北広島市北の里27番地の4 北海三 共株式会社内 Fターム(参考) 4H011 AA01 BA03 BB18 BC18 DA02 DD03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微粉砕した炭酸カルシウムを有効成分とし
    て含有する水性懸濁状組成物。
  2. 【請求項2】炭酸カルシウムの製剤中の含量が、1〜7
    5%である、請求項1に記載の水性懸濁状組成物。
  3. 【請求項3】炭酸カルシウムの粒度が、炭酸カルシウム
    粒子の90%以上が10.0μm以下で、50%粒子径
    が0.1〜5.0μmである、請求項1又は2に記載の
    水性懸濁状組成物。
  4. 【請求項4】分散剤又は湿潤・分散剤を含有する、請求
    項1〜3のいずれか1つに記載の水性懸濁状組成物。
  5. 【請求項5】分散剤又は湿潤・分散剤が、アニオン性界
    面活性剤又はリン酸塩である、請求項4に記載の水性懸
    濁状組成物。
  6. 【請求項6】分散剤又は湿潤・分散剤が、リグニンスル
    ホン酸塩、又は、フェノールスルホン酸塩のホルマリン
    縮合物である、請求項4に記載の水性懸濁状組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1つに記載の水性
    懸濁状組成物を含有する、蔬菜類や果樹に使用する銅剤
    の薬害軽減剤。
  8. 【請求項8】請求項1〜6のいずれか1つに記載の水性
    懸濁状組成物を含有する、果実の品質向上のための農業
    用資材。
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