JP2012087089A - かんきつ類用散布薬剤組成物及びかんきつ類の浮皮及び水腐れの防止方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】栽培中のかんきつ類の果実表面に散布する薬剤組成物であって、平均粒子径0.5〜3μmの無機粉体80〜99重量%と、付着性有機ポリマー0.5〜10重量%と、界面活性剤0.5〜10重量%とを含有することを特徴としている。
【選択図】図1
Description
本発明における無機粉体は、特に限定されるものではないが、付着性有機ポリマーと界面活性剤とを同時に用いることで、かんきつ類の浮皮及び水腐れの防止効果を発揮できるものであればよい。環境に悪影響を与える可能性が少なく、かつ価格と入手のし易さから、炭酸カルシウム、第一りん酸カルシウム、第二りん酸カルシウム、第三りん酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、クレー、カオリン、セリサイト、タルク、ベントナイト等が好ましい。これらの無機粉体は2種類以上の混合物でもよい。また、これらの中でも特に好ましいのは、炭酸カルシウム、第一りん酸カルシウム、第二りん酸カルシウム、第三りん酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウムである。
本発明において用いる付着性有機ポリマーは、無機粉体を果皮に付着させることができる有機ポリマーであれば特に限定されるものではない。具体的には、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールのホルマリン縮合物、デンプンのリン酸エステル、合成樹脂エマルション及びパラフィン等が好ましく用いられる。これらの付着性有機ポリマーは、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いる界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は混合して用いることができるが、少なくとも1種以上の非イオン界面活性剤が含まれることが好ましい。
本発明の薬剤組成物においては、無機粉体80〜99重量%と、付着性有機ポリマー0.5〜10重量%と、界面活性剤0.5〜10重量%とを含有している。無機粉体、付着性有機ポリマー及び界面活性剤の合計の量が100重量%となるように、これらの成分が配合される。これらのさらに好ましい配合割合は、無機粉体84〜98重量%、付着性有機ポリマー1〜8重量%、界面活性剤1〜8重量%であり、さらに好ましい配合割合は、無機粉体90〜98重量%、付着性有機ポリマー1〜5重量%、界面活性剤1〜5重量%である。
本発明の薬剤組成物は、上述のように、無機粉体、付着性有機ポリマー及び界面活性剤を含むが、これら以外に他の添加剤を含まれていてもよい。例えば、窒素、りん酸、カリウムの肥料の三要素や、その他の微量要素を添加することができる。また、通常の園芸用薬剤に使用される補助剤を添加することもできる。このような補助剤としては、安定化剤、結合剤、消泡剤などを挙げることができる。これらは必要に応じて単独でまたは組み合わせて添加することができる。
本発明の薬剤組成物は、粉末状であってもよい。粉末状の薬剤組成物とすることにより、取り扱いが容易になるとともに、水などの媒体を搬送する必要がないので、経済的である。
本発明に従い、所定量の無機粉体、付着性有機ポリマー、及び界面活性剤を水に分散させ、液状の薬剤組成物を調製することができる。
本発明の薬剤組成物は、上述のように、液状の薬剤組成物としてかんきつ類の果実表面に散布する。散布する時期としては、果実の生育中期〜後期にかけて散布することで高い効果が得ることができるが、果実の着色初期から収穫直前までに散布することでより高い効果が得ることができる。無機粉体がほとんど目立たず、且つ薄く果皮表面に付着することで、収穫直前でも散布することができる。また、収穫後の果皮にも無機粉体が付着することで、果皮表面の水分活性をコントロールし、貯蔵中及び流通中の腐敗を防止することができる。本発明の薬剤組成物は、所定の期間に1回以上、好ましくは2〜3回散布することでより高い効果を得ることができる。
(薬剤組成物の調製)
無機粉体としては、炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)を用いた。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを用い、これとホワイトカーボンを重量比で1:1の割合で混合し粉末化させたものを用いた。付着性有機ポリマーとしては、酢酸ビニル樹脂エマルション(固形分50重量%)を用い、酢酸ビニル樹脂エマルションとホワイトカーボンを重量比で1:1の割合で混合し粉末化させたものを用いた。
実施例1〜3においては、炭酸カルシウムを無機粉体として用いた薬剤組成物を使用した。実施例4及び5においては、塩基性炭酸マグネシウムを無機粉体として用いた薬剤組成物を使用した。実施例6及び7においては、第三りん酸カルシウムを無機粉体として用いた薬剤組成物を使用した。
各実施例及び各比較例について、「カンキツの調査方法 −1987− 農林水産省果樹試験場興津支場編」に基づき浮皮発生率を評価した。程度別浮皮発生率は、手ざわりで浮皮の程度の少ないものから甚大なものまでの順で、「無」、「軽」、「中」、及び「甚」として以下の基準で評価した。
果実表面における薬斑を評価するため、果面汚染果実発生割合を求めた。
軽:直径3mm以下の薬斑が2点以上又は3mm〜5mmの薬斑が1点以下
中:直径3mm〜5mmの薬斑が2点以上又は5mm以上の薬斑が1点以下
甚:5mm以上の薬斑が2点以上
上記の評価試験1で用いた薬剤組成物を用いて散布し、水腐れ発生率を評価した。
上記と同様にして、各実施例および各比較例の程度別果面汚染果実発生割合及び果面汚染発生率を評価した。評価結果を表5に示す。
水100重量部に対し、無機粉体としての炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)を1.0重量部、付着性有機ポリマーとしてのアクリル樹脂エマルションを0.05重量部、界面活性剤としてのソルビタン脂肪酸エステルを0.03重量部添加し混合して、液状の薬剤組成物を調整した。従って、得られた薬剤組成物においては、炭酸カルシウム92.6重量部、付着性有機ポリマー4.6重量部、界面活性剤2.8重量部が含有されている。
上記の液体薬剤組成物を用い、2009年に静岡県の試験場において、供試樹みかん(品種:青島/ヒリュウ台 9年生)を対象として、みかんの浮皮防止効果を評価した。
散布後、2009年12月11日に収穫した。収穫した果実の内、無作為にM玉果を200個選別し、浮皮発生率及び果面汚染果実発生割合等を評価した。評価結果を表7及び表8に示す。
2009年に熊本県の試験場において、供試樹不知火(露地栽培の5年生)を対象とし、評価試験3で用いたのと同じ液状の薬剤組成物を用いて、水腐れ防止効果を評価した。
Claims (6)
- 栽培中のかんきつ類の果実表面に散布する薬剤組成物であって、平均粒子径0.5〜3μmの無機粉体80〜99重量%と、付着性有機ポリマー0.5〜10重量%と、界面活性剤0.5〜10重量%とを含有することを特徴とするかんきつ類用散布薬剤組成物。
- 無機粉体が、炭酸カルシウム、第一りん酸カルシウム、第二りん酸カルシウム、第三りん酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム、正炭酸マグネシウム、ドロマイト、クレー、及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のかんきつ類用散布薬剤組成物。
- 付着性有機ポリマーが、ポリアクリル酸塩、ポリビニールアルコール、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールのホルマリン縮合物、デンプンのリン酸エステル、合成樹脂エマルション及びパラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のかんきつ類用散布薬剤組成物。
- 界面活性剤が、非イオン界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のかんきつ類用散布薬剤組成物。
- 平均粒子径0.5〜3μmの無機粉体80〜99重量%と、付着性有機ポリマー0.5〜10重量%と、界面活性剤0.5〜10重量%とを含有する粉末状の薬剤組成物を調製する工程と、
前記粉末状の薬剤組成物を水に分散し、液状の薬剤組成物を調製する工程と、
前記液状の薬剤組成物をかんきつ類の果実表面に散布する工程とを備えることを特徴とするかんきつ類の浮皮及び水腐れの防止方法。 - 平均粒子径0.5〜3μmの無機粉体80〜99重量%と、付着性有機ポリマー0.5〜10重量%と、界面活性剤0.5〜10重量%とを水に分散して、液状の薬剤組成物を調製する工程と、
前記液状の薬剤組成物をかんきつ類の果実表面に散布する工程とを備えることを特徴とするかんきつ類の浮皮及び水腐れの防止方法。
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