JP2004083486A - 水性懸濁硫黄組成物並びに該組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法 - Google Patents

水性懸濁硫黄組成物並びに該組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法 Download PDF

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Shigeki Fujita
藤田 茂樹
Susumu Kato
加藤 進
Makiichi Takagaki
高垣 真喜一
Kozo Nagayama
永山 孝三
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Abstract

【課題】高い植物病害防除及び害虫効果を有し、しかも、散布液中での硫黄粒子の沈降を防ぐことにより、硫黄粒子の再分散が困難な堆積層(ケーキング層)の生成を防止することが可能な水性懸濁硫黄組成物並びに該組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法を提供すること。
【解決手段】硫黄、澱粉、界面活性剤及び水を含有する水性懸濁硫黄組成物であって、硫黄と澱粉の配合比が1:0.1〜1:5であり、かつ、該組成物を100重量倍の水に分散した分散液のpHが4.0〜10.0であることを特徴とする水性懸濁硫黄組成物並びに該組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性懸濁硫黄組成物並びに当該組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法に関する。さらに詳しくは、高い植物病害及び害虫防除効果を有し、しかも、散布液中での硫黄粒子の沈降を防ぐことにより、硫黄粒子の再分散が困難な堆積層(ケーキング層)の生成を防止することが可能な水性懸濁硫黄組成物並びに該組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硫黄は、古くからある無機の殺菌成分であり、農作物のさび病やうどんこ病の防除に効果があることが知られている。また、ハダニ、ミカンサビダニに殺虫活性を示し、殺虫成分としても知られている。この硫黄の適用方法としては、通常は水和剤や水性懸濁製剤(いわゆるフロアブル)等の剤型とし、その希釈液を作物に散布したり、また、粉剤等の剤型として土壌表面に散布する方法などが知られている。
【0003】
しかし、硫黄の比重が約2と大きいことから、硫黄の水和剤や水性懸濁製剤を水に希釈して散布液を調製する際に、散布液中で硫黄の粒子が沈降してしまい、分散が困難な堆積層(いわゆるケーキング層)を形成してしまう場合があった。一方、硫黄を粉状製剤として使用する場合は、製剤を直接散布するため、散布に必要な水を用意する必要はないが、散布時に製剤が飛散しやすいという問題があった。
【0004】
散布液中での堆積層の形成を抑制しつつ、硫黄含有製剤を散布する手段としては、市販の硫黄を含有したフロアブルと澱粉を予め少量の水中で反応させ、硫黄粒子を澱粉のコロイド粒子中に包蔵させた後、水に希釈し、土壌に散布する手段が開示されている(PCT/JP01/03971)。しかし、かかる手段における散布液の調製は非常に煩雑な操作が必要であり、しかも、調製された散布液は、必ずしも堆積層(ケーキング層)の形成が抑制されたものではなかった。
【0005】
また、高濃度に希釈した液中の沈降物が、弱い攪拌力で容易に再分散する種子消毒用水和剤が知られており、この製剤は、変性澱粉等の水溶性増量剤を配合し、一定の条件における希釈液の表面張力が特定の範囲となるように界面活性剤を配合するものである(特開平7−252103号公報)。しかし、この手段も、比重が大きな硫黄を含有する製剤にあっては、十分な効果が得られるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、比重の大きな硫黄を含有する硫黄組成物において、散布液中での再分散が困難なケーキング層の生成を抑制した水性懸濁硫黄組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、硫黄組成物に水性懸濁能を付与すべくその組成に関し鋭意研究した結果、硫黄と澱粉に加え、界面活性剤と水を配合し、更に、硫黄に対して澱粉を特定の割合で含有させ、かつ、該組成物の希釈液のpHが特定の範囲となる水性懸濁硫黄組成物が、前記の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、硫黄、澱粉、界面活性剤及び水を含有する水性懸濁硫黄組成物であって、硫黄と澱粉の配合比が1:0.1〜1:5であり、かつ、該組成物を100重量倍の水に分散した分散液のpHが4.0〜10.0であることを特徴とする水性懸濁硫黄組成物を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記水性懸濁硫黄組成物を用いた植物病害及び害虫の防除方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の水性懸濁硫黄組成物は、硫黄と澱粉に加え界面活性剤と水を配合し、更に硫黄に対して澱粉を特定の割合で含有させ、かつ、該組成物の希釈液のpHが特定の範囲となるようにした液状の硫黄組成物である。
【0011】
本発明の水性懸濁硫黄組成物の有効成分である硫黄は、自然界において、α硫黄、β硫黄、γ硫黄、δ硫黄、無定形硫黄の同素体が存在する無機物質であり、農薬業界においては、主として最も安定なα硫黄が殺菌剤成分として用いられている。本発明の水性懸濁硫黄組成物においても、このα硫黄が好ましく用いられる。
【0012】
本発明の水性懸濁硫黄組成物に含有せしめる硫黄の平均粒径は、10μm以下、好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下である。
【0013】
また、本発明の水性懸濁硫黄組成物における硫黄の配合割合は、組成物100重量部に対して5重量部以上とすることが好ましく、5〜50重量部の範囲とすることが更に好ましく、10重量部〜40重量部の範囲とすることがより好ましい。
【0014】
一方、本発明の水性懸濁硫黄組成物の他の必須成分である澱粉としては、例えば、未加工澱粉、加工澱粉または澱粉誘導体が挙げられる。また、デキストリン等も使用することができる。
【0015】
このうち、未加工澱粉は、従来から公知の澱粉であり、例えば、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉及び小麦澱粉、コーンスターチ、サゴ澱粉、米澱粉等の地上澱粉、ワキシースターチ、ハイアミローススターチ等の特種澱粉を挙げることができ、これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
また、加工澱粉としては、酸化澱粉、低粘性変性澱粉等の分解産物とアルファー澱粉を挙げることができる。さらに、澱粉誘導体としては酢酸エステル、リン酸エステル等の澱粉エステル、カルボキシエチルエーテル、ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテル、陽性澱粉等の澱粉エーテルを挙げることができる。これらの加工澱粉や澱粉誘導体も、その1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
更にまた、デキストリンとしては、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリテイシュガムなどの焙焼デキストリンや、前記未加工澱粉、加工澱粉、澱粉誘導体を酸または酵素などで処理したデキストリンが挙げることができ、これらのデキストリンは、DE(ぶどう糖当量)が30以下であることが好ましい。
【0018】
これらのデキストリンは、常法により調製されるものであるが、α−アミラーゼを用いて酵素処理されたデキストリンの他に、枝付け酵素を用いて製造される高分岐環状デキストリンも含まれる。これらデキストリンは必要に応じて、クロマト分画、膜処理、有機溶媒沈澱などの方法を用いて、特定の分子量分布を有するデキストリンとすることができ、本発明の水性懸濁硫黄組成物においては、この特定の分子量分布を有するデキストリンを用いることも可能である。
【0019】
上記した澱粉のうち、アルファー澱粉及びデキストリンは20℃の水に易溶であり、それ以外は難溶性のものであるが、20℃の水に易溶の澱粉を本発明の水性懸濁硫黄組成物に含有させた場合には、組成物の粘性が高くなり、包装容器からの排出性が悪くなったり、散布液を調製する際に水に分散しにくくなる等の問題が生じる場合がある。また、組成物中に含有させる20℃の水に可溶の澱粉の配合量を低減すれば、組成物中の粘度は下がるが、本発明においては、それに伴ない硫黄の配合量を低減するため、使用時の希釈率が低くなり、ハンドリング性が悪くなる問題がある。従って、本発明の水性懸濁硫黄組成物では、組成物の粘性が高くなりにくい20℃の水に難溶性の澱粉を用いることが好ましい。なお、本明細書中、澱粉が易溶性とは、例えば、澱粉1gを20℃の水99gに加えて混合した際に透明状態となるものをいい、また、澱粉が難溶性とは、澱粉1gを20℃の水99gに加えて混合した際に、溶液が溶け残った澱粉で濁り、懸濁状態になるものをいうものである。
【0020】
本発明の水性懸濁硫黄組成物において使用される澱粉は、粉末状あるいは粒径が75μm〜500μm程度の顆粒状のものであることが好ましい。
【0021】
また、本発明の水性懸濁硫黄組成物における上記澱粉の配合割合は、硫黄1に対して0.1〜5、好ましくは0.5〜2とする必要がある。
【0022】
本発明の水性懸濁硫黄組成物においては、更に必須成分として界面活性剤が配合される。この界面活性剤としては、通常、農薬水和剤に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ソルビタンモノアルキレート、アセチレンアルコールおよびアセチレンジオール並びにそれらのアルキレンオキシド付加物等のノニオン性界面活性剤、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩並びにアルキルナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物、アルキル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、アルキルアリール硫酸エステル塩、アルキルアリール燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル燐酸エステル塩、ポリカルボン酸型高分子活性剤等のアニオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を挙げることができ、これらはその1種を単独で、または必要により2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの界面活性剤中のうち、特に、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩並びにアルキルナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物を使用した場合、硫黄粒子の水への分散が優れ、かつ、時間の経過とともに硫黄粒子と澱粉が水底に沈降した時の凝集分子の再分散が優れることから、散布液で沈降しにくく、仮に沈降したとしても再分散しやすいという本発明の硫黄水和剤が有する作用を特段に発揮することができるという点で好ましい。
【0023】
本発明の水性懸濁硫黄組成物における界面活性剤の配合割合は、特に限定されないが、水性懸濁硫黄組成物100重量部に対して、1重量部〜20重量部とすることが好ましい。
【0024】
本発明の水性懸濁硫黄組成物は、以上の成分と水とを混合してなるものであるが、該組成物を100重量倍の水に分散したときの分散液のpHが4.0〜10.0、好ましくは4.5〜9.0の範囲となるように、成分の組成を調整することにより得られる。
【0025】
本発明の水性懸濁硫黄組成物の100重量倍での分散液のpHを上記範囲とするためには、必須成分である硫黄、澱粉及び界面活性剤の種類や配合比を調整したり、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の有機または無機酸塩類や、クエン酸、コハク酸等の有機酸類、硫酸、塩酸等の無機酸類等のpH調整剤を適宜添加して調節すればよい。
【0026】
本発明の水性懸濁硫黄組成物は、上記の各成分を水と混合して混合液とした後、当該混合液を湿式粉砕して調製してもよく、澱粉以外の成分を水と混合し、その液を湿式粉砕した後、澱粉を混合する方法等を用いることにより得ることができる。また、澱粉を水に分散させた系に、微粉末化した硫黄と界面活性剤を含有させて水分散系の粒状物を混合して、均一に懸濁させて調製してもよい。
【0027】
さらには、硫黄と界面活性剤及び必要に応じて鉱物質微粉、無機塩類、ホワイトカーボン等の増量剤と水を混合して混合液を調製した後、当該混合液を湿式粉砕して得られた水性懸濁液を噴霧乾燥して粒状組成物の形態とし、これを澱粉や水等のその他の成分に分散する方法により得ることもできる。この場合に使用される界面活性剤の例としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩並びにアルキルナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物等が挙げられる。また、粒状組成物の粒径は、75μm〜500μm程度とすることが好ましい。
【0028】
本発明の水性懸濁硫黄組成物を調製するにあたっては、上記した成分のほか、必要により下記の任意成分を配合することができる。
【0029】
本発明の水性懸濁硫黄組成物における任意成分の例としては、増粘剤が挙げられ、例えば、キサンタンガム、アルカガム等の微生物産出多糖類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ベントナイト、ホワイトカーボン等、通常の水性懸濁農薬製剤に用いられる増粘剤を使用することができる。これらの増粘剤の配合量は、必要とされる水性懸濁硫黄組成物の粘度に対応するものであり、当該組成物の粘度が、20℃において10〜1000mPa・s、好ましくは100〜700mPa・sの範囲となるように、配合量を適宜決定すればよい。
【0030】
本発明の水性懸濁硫黄組成物には、また、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤や、尿素、硫酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の水溶性塩類を凍結防止剤として適宜配合するこができる。更に、パラフィン系炭化水素、脂肪酸エステル、キシレン、ケロシン等、比重が1以下の疎水性有機溶剤を、水性懸濁硫黄組成物の比重調節剤として配合させてもよい。
【0031】
その他、本発明の水性懸濁硫黄組成物には、農薬製剤に一般的に用いられる防腐剤や着色剤、消泡剤等を適宜配合させてもよい。
【0032】
以上のようにして得られる本発明の水性懸濁硫黄組成物は、主に藻菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、及び不完全菌類(Deuteromycetes)等に属する菌に起因する植物の病害や害虫を防除するために使用される。
【0033】
具体的には、これらに限定されるものではないが、例えばトマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp.lycopersici)等のフザリウム(Fusarium)属菌、例えばニンジン根腐病菌(Rhizoctonia solani)等のリゾクトニア(Rhizoctonia)属菌、例えばショウガ根茎腐敗病菌(Pythium zingiberis)等のピシュウム(Pythium)属菌、例えばナス半身萎凋病菌(Verticillium dahliae)等のバーティシリュウム(Verticillium)属菌による病害を防除するためや、ハダニ、ミカンサビダニ等の害虫を殺虫して防除するために使用することができる。
【0034】
本発明の水性懸濁硫黄組成物を使用するにあたっては、上記の病原性微生物等の存在が予想される場所に適当量を散布すればよく、植物病害防除効果を有効かつ簡便に得ることができる。
【0035】
例えば、播種または植え付け前の土壌に散布する場合は、10a(アール)当たりの水性懸濁硫黄組成物の量を、1kgから50kg程度として、播種または植え付けの当日から30日程度前に散布すればよい。また、作物が成育中の土壌に対しては、10a当たりの水性懸濁硫黄組成物の量を1kgから50kg程度として、7から30日間隔で散布すればよい。本発明の水性懸濁硫黄組成物は、散布後散水することで容易に分散するため、土壌に直接散布することによっても、植物病害防除効果を得ることができる。
【0036】
また、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、通常市販されている硫黄水和物やフロアブル製剤等と同様に、水等により希釈して散布することもできる。より具体的には、播種あるいは苗の移植前、または移植後の土壌への散布は、例えば、硫黄の濃度を、2000〜3000ppmとなるように散布液を調整して、その散布液を、10aあたり1000リットル散布することが好ましい。
【0037】
更に、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、当該組成物を水等を用いて希釈して、植物体地上部(茎葉部)に散布することも可能である。
【0038】
【作用】
本発明の水性懸濁硫黄組成物の有効成分である硫黄、特にα硫黄は水に不溶であり、比重も約2と大きく、水中で沈降し易い物質である。しかし、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、硫黄に対して特定比率の澱粉を配合し、かつ、希釈液のpHが特定の範囲となるように構成し、更に、界面活性剤と水を必須成分として水性懸濁能を有するものであるため、散布液中での沈降が生じにくく、仮に散布液中で硫黄の粒子が沈降したとしても、沈降により生じる堆積物は弱い凝集状態にあるために、再分散しやすく、いわゆるケーキング層の形成を抑制することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例および試験例を挙げ更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例等において、「部」は重量部を表す。
【0040】
実 施 例 1
水性懸濁硫黄組成物の調製(1):
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.1部を水45.4部に溶解し、硫黄5部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩(サンエキスP252:日本製紙(株)製)10部、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩(デモールN:花王(株)製)2部、炭酸カルシウム(足立カルフィン:足立石灰工業(株)製)15部を均一に混合した混合溶液を、ガラスビーズを充填した湿式粉砕機(ダイノミルKDL型:(株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて粉砕した。この粉砕物にとうもろこし澱粉(関東化学(株)製)22.5部を加えて均一に混合して、水性懸濁硫黄組成物(本発明品1)を得た。
【0041】
実 施 例 2
水性懸濁硫黄組成物の調製(2):
(A)硫黄粒状組成物の調製:
硫黄40部とリグニンスルホン酸ナトリウム塩(パールレックスDP:日本製紙(株)製)3.75部、リグニンスルホン酸カルシウム塩(パールレックスCP:日本製紙(株)製)3.75部、ホワイトカーボン(カープレックス#80:塩野義製薬(株)製)5部、水50部を混合した混合溶液を湿式粉砕機(ダイノミルKDL型:(株)シンマルエンタープライゼス製)に入れ、ガラスビーズとともに高速攪拌して湿式粉砕した。
【0042】
次に、湿式粉砕された溶液を、二流体ノズルを用いてスプレードライヤーによる熱風中に噴霧・乾燥させて、硫黄80部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩10部、リグニンスルホン酸カルシウム塩10部からなる、粒径が75μm〜500μmの硫黄粒状組成物を得た。
【0043】
(B)水性懸濁硫黄組成物の調製:
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.05部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部を水37.95部に溶解し、上記(A)で得た硫黄粒状組成物25部を均一に混合し、尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品加工(株)製)27部を均一に混合し、水性懸濁硫黄組成物(本発明品2)を得た。
【0044】
実 施 例 3
水性懸濁硫黄組成物の調製(3):
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.1部、酵素変性デキストリン(アミコール6L:日澱化学(株)製)7部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部を水68.9部に溶解させた。この溶液に硫黄10部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩(パールレックスDP:日本製紙(株)製)2部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩(パールレックスCP:日本製紙(株)製)2部を均一に混合した混合溶液を、ガラスビーズを充填した湿式粉砕機(ダイノミルKDL型:(株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて粉砕して、水性懸濁硫黄組成物(本発明品3)を得た。
【0045】
実 施 例 4
水性懸濁硫黄組成物の調製(4):
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.2部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部を水53.8部に溶解させた。この溶液に実施例2(A)でで得た硫黄粒状組成物20部及びヒドロキシプロピルエーテル化澱粉(G800:日澱化学(株)製)16部を均一に混合して、水性懸濁硫黄組成物(本発明品4)を得た。
【0046】
実 施 例 5
水性懸濁硫黄組成物の調製(5):
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.1部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部、クエン酸(関東化学(株)製)1部を水39.9部に溶解した。この溶液に硫黄15部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩(パールレックスDP:日本製紙(株)製)2部、リグニンスルホン酸ナトリウム塩(パールレックスCP:日本製紙(株)製)2部を均一に混合した混合溶液を、ガラスビーズを充填した湿式粉砕機(ダイノミルKDL型:(株)シンマルエンタープライゼス製)を用いて粉砕した。この粉砕物に尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品加工(株)製)30部を加えて均一に混合して、水性懸濁硫黄組成物(本発明品5)を得た。
【0047】
比 較 例 1
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.25部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部を水64.75部に溶解した。この溶液に実施例2(A)で得た硫黄粒状組成物25部を均一に混合して、水性懸濁硫黄組成物(比較品1)を得た。
【0048】
比 較 例 2
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.1部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部を水63.9部に溶解した。この溶液に実施例2(A)で得た硫黄粒状組成物25部及び尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品加工(株)製)1部を均一に混合して、水性懸濁硫黄組成物(比較品2)を得た。
【0049】
比 較 例 3
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.05部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部、クエン酸(関東化学(株)製)15部を水33.35部に溶解した。この溶液に実施例2(A)で得た硫黄粒状組成物20部及び尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品加工(株)製)21.6部を均一に混合し、水性懸濁硫黄組成物(比較品3)を得た。
【0050】
比 較 例 4
キサンタンガム(ケルザン:三晶(株)製)0.05部、プロピレングリコール(関東化学(株)製)10部、炭酸ナトリウム(関東化学(株)製)15部を水33.35部に溶解した。この溶液に実施例2(A)で得た硫黄粒状組成物20部及び尿素リン酸エステル化澱粉(MS4600:日本食品加工(株)製)21.6部を均一に混合し、水性懸濁硫黄組成物(比較品5)を得た。
【0051】
試 験 例 1
本発明品1〜5及び比較例1〜4で調製した水性懸濁硫黄組成物について、以下に示す方法により、「希釈液のpH」、「粘度」、「硫黄の平均粒径」の測定及び「散布液中の堆積物の分散性」の試験を行い比較・評価した。結果を表1に示す。
【0052】
また、実施例2(A)で調製した硫黄粒状組成物、該組成物を用いて調製した実施例2(B)(本発明品2)の水性懸濁硫黄組成物及び本発明品2に配合されている尿素リン酸エステル化澱粉については、レーザー回折散乱粒度分布測定機(LMS−24型:(株)セイシン企業製)を用いて粒度分布を測定した。この粒度分布図を図1〜図3に示す。
【0053】
( 希釈液のpH )
水性懸濁硫黄組成物1gを秤量して、20℃の蒸留水99mlを加えて30分間静置後攪拌して希釈液を調整し、当該希釈液のpHを、ガラス電極式のpHメーター(堀場製作所製、F−21型)を用いて測定した。
【0054】
( 粘度 )
温度を20℃に調整した水性懸濁硫黄組成物200mlを、200ml容トールビーカーに入れ、回転粘度計(TV−10型:東機産業(株)製)にて測定した。
【0055】
( 硫黄の平均粒径 )
レーザー回折散乱粒度分布測定機(LMS−24型:(株)セイシン企業製)にて測定した。本測定において、本発明品3及び比較品1の水性懸濁硫黄組成物は、硫黄以外は水に溶解する成分であるので、水性懸濁硫黄組成物の平均粒径を硫黄の平均粒径とした。一方、それ以外の水性懸濁硫黄組成物については、澱粉の粒子が分布する9.95μm以上の粒度分布を除いてヒストグラムを書き、50%累積径を硫黄の平均粒径とした。なお、測定は、組成物調製直後及びサイクル試験として、組成物を500mlのポリ瓶に入れ、下記するサイクルを1サイクルとして、4サイクル経過後に行った。
【0056】
( 平均粒径測定におけるサイクル )
−20℃で1週間静置

−5℃で1週間静置

室温で1週間静置

40℃で1週間静置

室温で1週間静置

−5℃で1週間静置

−20℃で1週間静置
【0057】
( 散布液中の堆積物の分散性 )
500L容の農薬の薬剤タンク((株)丸山製作所製)に、硫黄の濃度が2500ppmとなるように水性懸濁硫黄組成物の散布液500Lを調製した。静置6時間後に竹の棒で緩く攪拌し、水中ポンプを用いて散布液を除いた後、薬剤タンクの底に堆積している沈降物の沈降・堆積状態を肉眼観察し、下記の評価基準を用いて分散性を評価した。
【0058】
( 評価基準 )
評 価     内 容
○ :  堆積物がほとんどない
△ :  堆積物は認められるが、水を掛ける程度で容易に分散する
× :  水をかけた程度では分散しないケーキング層が認められる
【0059】
( 結 果 )
【表1】
Figure 2004083486
【0060】
本発明品1ないし5の水性懸濁硫黄組成物は、希釈液のpHがいずれも4.0〜10.0の範囲内であり、また、散布液中の堆積物はほとんど認められず、分散性にも優れるものであった。
【0061】
一方、比較品1ないし4は、水を掛けた程度では分散しないケーキング層が認められ、分散性が良好ではなく、均一な農薬散布ができないことが確認できた。また、水性懸濁硫黄組成物の形態とはなるものの、散布液を調製する際の作業上の問題が生じることが考えられる。
【0062】
また、硫黄の平均粒径についても、本発明品1〜6は、4サイクル経過後においても組成物中の硫黄の平均粒径がほとんど変化しなかったのに対し、比較品1〜4は、若干の平均粒径の増大が認められた。
【0063】
なお、図1は実施例2(A)で調製した硫黄粒状組成物、図2は該実施例2(A)を用いて調製した本発明品2の水性懸濁硫黄組成物、図3は該本発明品2(B)に配合されている尿素リン酸エステル化澱粉の粒度分布を、それぞれレーザー解析散乱粒度分布測定機(LMS−24:セイシン企業(株))を用いて測定した結果であるが、この結果から、本発明の水性懸濁硫黄組成物中においては、硫黄粒子と澱粉は別々に存在していることが確認できる。
【0064】
すなわち、実施例2(A)で調製した硫黄粒状組成物は、硫黄及び界面活性剤からなるものであるが、該硫黄粒状組成物中の硫黄分子の粒度分布を測定するには、該組成物を水に入れて崩壊させ、硫黄の粒子が水中に分散した液の状態で測定を行うため、この場合にあっては界面活性剤は水に溶解した状態となることから、得られた粒度分布は硫黄粒子の分布を示すこととなる。
【0065】
一方、本発明品2は、上記したように、実施例2(A)で調製した硫黄粒状組成物と、増粘剤であるキサンタンガムと、水溶性溶剤であるプロピレングリコールを水に溶解した水溶液中に入れて崩壊させ、さらに、尿素リン酸エステル化澱粉を加えて混合し、水溶液中有に硫黄の粒子と尿素リン酸エステル化澱粉が分散した状態にある水性懸濁硫黄組成物である。この水性懸濁硫黄組成物中の硫黄粒子及び尿素リン酸エステル化澱粉粒子の粒度分布を測定するには、実施例2(A)の硫黄粒状組成物を測定する場合と同様、硫黄粒子及び尿素リン酸エステル化澱粉粒子が水中に分散した液の状態で測定を行う必要がある。この場合にあっては、界面活性剤及びキサンタンガム、プロプレングリコールは水に溶解した状態にあることから、得られた粒度分布は硫黄の粒子及び尿素リン酸エステル化澱粉粒子の分布を示すこととなる。
【0066】
以上の内容を考慮して図1〜3の結果をみると、実施例2(A)で調製した硫黄粒状組成物中の硫黄粒子は、図1に示すとおり、0.2〜0.3μmと3〜4μmにピークを有する粒度分布であり、また、本発明品2に配合されている尿素リン酸エステル化澱粉粒子は、図3に示すとおり、10〜11μmにピークを有する粒度分布であることがわかる。
【0067】
一方、本発明品2の水性懸濁硫黄組成物中の硫黄粒子及び尿素リン酸エステル化澱粉粒子の粒度分布は、図2に示すとおり、0.2〜0.3μmと3〜4μm、10〜11μmにピークを有する粒度分布であることから、本発明品2の0.2〜0.3μmと3〜4μmにピークを有する粒度分布は、実施例2(A)の硫黄粒状組成物中の硫黄粒子の分布に一致し、また、10〜11μmにピークを有する粒度分布は、図3の尿素リン酸エステル化澱粉粒子の粒度分布に一致するものであることからも、本発明品2の水性懸濁硫黄組成物中の硫黄粒子と尿素リン酸エステル化澱粉粒子は別々に存在していると考えられる。
【0068】
試 験 例 2
キュウリうどんこ病予防効果の確認(1):
( 水性懸濁硫黄組成物希釈液の散布 )
9cm×9cmの塩ビ製の鉢にキュウリ種子(品種:シャープ1)を9粒づつ播種して、温室内で7日間育成させた。この鉢の中に本発明品1、2及び比較品1の水性懸濁硫黄組成物を、表3に記載される所定の濃度になるように水で希釈した後、1鉢当たり10ml散布した。また、対照として、とうもろこしデンプン(対照品1)及び尿素リン酸エステル化デンプン(対照品2)の希釈液も、同様に散布した。
【0069】
( 防除価の測定 )
各水性懸濁硫黄組成物の希釈液を散布した鉢を風乾した後、鉢内にキュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)の胞子を接種し、20〜25℃の温室内に入れた。菌接種10日後に、表2の基準を用いて各々の子葉の発病面積割合を確認して、各発病面積割合の葉の指数(枚数)を求めた。この葉の枚数から、防除効果を示す指標である防除価Aを下記の(1)式を用いて算出し、比較・評価した。結果を表3に示す。
【0070】
【表2】
Figure 2004083486
【0071】
【数1】
Figure 2004083486
【0072】
( 結 果 )
【表3】
Figure 2004083486
【0073】
表3の結果からわかるように、本発明の水性懸濁硫黄組成物は良好な防除価を示すものであり、希釈液として散布した状態で高いキュウリうどんこ病防除効果を示すことが確認できた。
【0074】
試 験 例 3
キュウリうどんこ病予防効果の確認(2):
(耐雨性の確認)
試験例2の、「水性懸濁硫黄組成物希釈液の散布」と同様に、キュウリを育成させた鉢に対して本発明品2等の希釈液を散布した。この鉢を風乾した後、人工降雨装置を用い、雨量40mm/hrとして連続2時間降雨処理した。再び風乾した後、キュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)の胞子を接種し、20〜25℃の温室内に入れた。菌接種10日後に、試験例2と同様の手法を用いて防除価Aを算出した。結果を表4に示す。
【0075】
( 結 果 )
【表4】
Figure 2004083486
【0076】
表4の結果から、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、降雨処理した後でも、キュウリうどんこ病防除効果を維持可能であり、優れた耐雨性を有することが確認できた。
【0077】
試 験 例 4
キュウリうどんこ病予防効果の確認(2):
(残存性の確認)
試験例2の「水性懸濁硫黄組成物希釈液の散布」と同様に、キュウリを育成させた鉢に対して本発明品2等の希釈液を散布した。この鉢を風乾した後、20〜25℃の温室内で7日間管理した。管理後、キュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)の胞子を接種し、再度、同一条件の温室内に入れて管理した。菌接種10日後に、試験例2と同様の手法を用いて防除価Aを算出した。結果を表5に示す。
【0078】
( 結 果 )
【表5】
Figure 2004083486
【0079】
表5の結果からわかるように、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、薬剤処理7日後でも高いキュウリうどんこ病防除効果を維持可能であり、優れた残存性を有することが確認できた。
【0080】
試 験 例 5
キュウリ苗立枯病防除効果の確認:
本発明品2及び比較品1の水性懸濁硫黄組成物を、表6に記載される所定の濃度になるように水で希釈した希釈液を用い、キュウリ苗立枯病(Pythium属菌)に対する防除効果を下記の試験条件及び試験方法により確認した。なお、試験例2〜4と同様に、対照品として、尿素リン酸エステル化デンプン(対照品2)についても確認を行った。結果を表6に示す。
【0081】
( 試験条件 )
供試植物: キュウリ(品種:相模半白)
供試菌株: Pythium debaryanum
使用土壌: 土壌ふすま培地で約2週間培養した供試菌を、オートクレーブ(条件:121℃、30分間)で殺菌処理した畑土壌に、重量
比1:50で混和して得られた保菌土壌
【0082】
( 試験方法 )
直径7cm(2.5寸)の素焼鉢に、パールマット(片倉チッカリン社製)を120gずつ入れ、その上部に、上記のように処理した使用土壌を40gずつ入れた。この土壌に所定量(3L/m 相当量)の薬剤を潅注処理し、ガラス温室内で3日間保持後、キュウリ種子を播種した。播種後はパールマットで覆土を施した。
【0083】
判定は、播種10日後に、未出芽数及び発病個体数について調査し、薬剤無散布区の発病個体数から防除価を算出した。また、薬害性については、以下に示す薬害指数に基いて評価を行った。結果を表6に示す。
【0084】
( 薬害指数 )
指  数       内  容
0   :  薬害がない
1   :  一部に薬害らしき症状がみられるがはっきりしない
2   :  小程度の薬害がみられる
3   :  中程度の薬害がみられる
4   :  大程度の薬害がみられる
5   :  極大、または枯死する程度の薬害がみられる
【0085】
( 結 果 )
【表6】
Figure 2004083486
【0086】
表6の結果から明らかなように、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、良好な防除価及び薬害性を示し、キュウリ苗立枯病(Pythium属菌)に対して優れた防除効果を有することが確認できた。
【0087】
【発明の効果】
本発明の水性懸濁硫黄組成物は、高い植物病害防除効果を有するとともに、散布液中での堆積層の生成を防止することができるため、均一な薬剤散布が可能とし、また、散布作業終了後の薬液タンク洗浄も容易である等、作業性の面でも優れたものである。
【0088】
また、本発明の水性懸濁硫黄組成物は、各種病原性微生物や害虫の存在が予想される場所に散布することにより、その植物病害等の防除効果を有効に発揮できるものであり、特に、散布液量が多く散布時間を要する使用や、播種あるいは苗の移植前または移植後の土壌に対する使用において優れた効果を発揮する。更に、耐雨性や残存性にも優れたものであるので、種々の環境条件においても有利に使用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2(A)で調製した硫黄粒状組成物の粒度分布図である。
【図2】本発明品2の水性懸濁硫黄組成物の粒度分布図である。
【図3】尿素リン酸エステル化デンプンの粒度分布図である。
以   上

Claims (11)

  1. 硫黄、澱粉、界面活性剤及び水を含有する水性懸濁硫黄組成物であって、硫黄と澱粉の配合比が1:0.1〜1:5であり、かつ、該組成物を100重量倍の水に分散した分散液のpHが4.0〜10.0であることを特徴とする水性懸濁硫黄組成物。
  2. 硫黄の含有量が、組成物100重量部に対して5重量部以上である請求項第1項記載の水性懸濁硫黄組成物。
  3. 界面活性剤がリグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩及びその縮合物よりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項第1項または第2項記載の水性懸濁硫黄組成物。
  4. 澱粉が20℃の水に対し難溶性のものである請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の水性懸濁硫黄組成物。
  5. 硫黄を含有する粒状組成物と、澱粉を含有する部分を組合せてなる請求項第1項ないし第4項の何れかの項記載の水性懸濁硫黄組成物。
  6. 澱粉を水に分散させた系に、微粉末化した硫黄と界面活性剤を含有する水分散系の粒状物を混合して、均一に懸濁させることを特徴とする請求項第1項ないし第5項の何れかの項記載の水性懸濁硫黄組成物。
  7. 請求項第1項ないし第6項の何れかの項に記載される水性硫黄水和剤組成物を散布することを特徴とする植物病害及び害虫の防除方法。
  8. 植物体茎葉部に散布する請求項第7項記載の植物病害及び害虫の防除方法。
  9. 土壌に散布する請求項第7項記載の植物病害及び害虫の防除方法。
  10. 播種あるいは苗の移植前又は移植後の土壌に散布する請求項第9項記載の植物病害及び害虫の防除方法。
  11. 水に希釈して散布することを特徴とする請求項第7項ないし第10項の何れかの項記載の植物病害及び害虫の防除方法。
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