JP2003212525A - Cof2の精製方法 - Google Patents

Cof2の精製方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クリーニングガス及びエッチングガスとして
有用なCOF2の精製方法を提供する。 【解決手段】 沸点が近接した不純物、もしくはCOF
2よりも高沸点の不純物を含有するCOF2に対して、−
160〜−100℃の温度範囲でCOF2蒸気の減圧吸
引を行う。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、クリーニングガス
及びエッチングガスとして有用なCOF2の精製方法に
関する。さらに詳しくは、粗COF2中に含まれるC
4、CF3OF、CO2、CF3OOCF3などの不純物
の分離、除去方法に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】CO
2は、フルオロ製品合成のためのフッ素化剤として、
あるいはCVD法、スパッタリング法、ゾルゲル法、蒸
着法を用いて薄膜、厚膜、粉体、ウイスカを製造する装
置において装置内壁、冶具等に堆積した不要な堆積物を
除去するためのクリーニングガス、エッチングガスとし
て用いられる。とりわけ電子材料分野のクリーニングガ
ス、エッチングガスに用いるために、より純度の高いC
OF 2が近年求められるようになってきている。 【0003】COF2は、さまざまな方法で合成できる
が、多くの場合不純物としてCF4、CO2を含んでい
る。また、合成法によっては、CF3OF、CF3OOC
3が含まれる場合もある。 【0004】低沸点化合物を製造する場合、ガスとして
生成した化合物をコールドトラップで捕集し、その後に
精製を行う方法が一般的である。また、一般的な精製法
として、ゼオライトなどの吸着材で不純物を吸着分離す
る方法と、低温で液化あるいは固化した状態から深冷蒸
留する方法が良く知られている。 【0005】しかし、COF2は、加水分解しやすいこ
と、およびCF4やCO2などの不純物との分子径の差が
小さいことから、吸着分離法による精製は困難である。 【0006】一方、深冷蒸留法は、コールドトラップに
よる捕集の後に連続して行えるため便利ではあるが、本
発明者らが試みたところ、一般的な冷媒である液体窒素
の温度(−196℃)で粗COF2を精製しようとする
と留出速度が極めて遅いため実用的でなかった。また、
エタノールなどの溶媒にドライアイスを加えて温度を一
定にする方法(−100℃以上)では、分離効率が低
く、COF2の回収率が低くなることがわかった。とり
わけCO2(昇華点−78℃)の場合は、COF2(沸点
−85℃)との沸点差が小さく、むしろCOF2より気
化温度が高い物質であるため、−196℃および−10
0℃以上では効果的な分離精製が不可能であり、ラウー
ルの法則による一般的な予測でも初留分の分離による精
製は不可能と判断される。 【0007】本発明の目的は、CF4、CF3OF、CO
2、CF3OOCF3などの不純物を簡単に効率よく分
離、除去し、高純度のCOF2を得る方法を提供するこ
とにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、粗COF
2中に含まれるCF4、CF3OF、CO2、CF3OOC
3などの不純物の除去方法について鋭意検討を重ねた
結果、特定の条件下で粗COF2の蒸気部分を減圧吸引
すれば、極めて効率よく、しかも経済的に除去できるこ
とを見出し、本発明に到達した。 【0009】すなわち本発明は、沸点が近接した不純
物、もしくはCOF2よりも高沸点の不純物を含有する
COF2に対して、−160〜−100℃の温度範囲で
COF2蒸気の減圧吸引を行うことを特徴とするCOF2
の精製方法を提供するものである。 【0010】以下、本発明を詳細に説明する。 【0011】本発明では、粗COF2をまず液化あるい
は固化させる必要がある。冷媒としては、液体窒素、液
体空気、液体アルゴン、LNGなどのCOF2より沸点
の低い物質、あるいはメチルシクロヘキサンなどの低融
点液体中に液体窒素などを投入して固液共存状態にした
もの等が用いられる。 【0012】本発明では、COF2の減圧吸引の際にC
OF2蒸気に含まれる不純物濃度が温度に強く依存する
という特性を利用している。従って、精製温度の制御は
本発明において極めて重要である。このためには、低融
点物質の固液共存状態を冷媒に用いれば精製温度を冷媒
物質の融点付近に設定できて便利である。しかし、粗C
OF2の物質量がある程度あって温度分布が小さい場合
には熱容量が大きいため温度変化は緩やかなので、予め
粗COF2を入れた容器を液体窒素などの冷媒で精製温
度以下に冷却しておいた後で冷媒を除去し、徐々に容器
中の粗COF2が温度上昇していく過程で所定の精製温
度に到達しても良い。また、所定の精製温度より高い温
度の粗COF2に対してCOF2蒸気の減圧吸引を行い、
放出ガスの気化熱で粗COF2を冷却して所定の精製温
度に到達しても良い。 【0013】本発明において、精製温度は、−160〜
−100℃の温度範囲が好ましく、より好ましくは、−
141〜−100℃の温度範囲である。分離精製が特に
困難なCO2に対しては、−126〜−112℃の温度
範囲でその効果が大きい。CF3OOCF3(沸点−37
℃)に対しても同様に、−126〜−112℃の温度範
囲で効果が大きい。CF4、CF3OFなどの低沸分に対
しては、−141℃未満でも除去可能であるが、粗CO
2の蒸気圧が低いために分離に時間がかかる。また、
−100℃以上では放出ガスに多量のCOF2が同伴し
てしまい、分離効率が悪くなる。 【0014】また、本発明では、COF2の減圧吸引の
際にCOF2蒸気に含まれる不純物濃度が圧力に強く依
存するという特性も利用している。本発明における減圧
とは、精製容器中の粗COF2の当該温度における平衡
蒸気圧よりも低い圧力を意味する。特にCO2、CF3
OCF3では、−126℃〜−112℃の温度範囲での
圧力低減による効果が大きく、とりわけ13.3kPa
以下で放出蒸気に高濃度に濃縮される。粗COF2を入
れた容器を減圧にする手段としては、真空ポンプなどを
用いても良いし、液体窒素などで冷却したトラップを接
続してその中に放出ガスを捕集し、後でこの放出ガスを
再精製して同伴したCOF2を更に回収しても良い。 【0015】本発明は、COF2の蒸気を減圧吸引して
含有不純物を除去することを目的としている。この不純
物としては、CF4、CF3OFのような低沸分だけでな
く、CO2、CF3OOCF3のような高沸分も含む。さ
らに、HCl(沸点−85℃)、Cl2(沸点−34
℃)、COCl2(沸点8℃)、COClF(沸点−4
5℃)のような不純物にも応用できることが容易に推測
できる。蒸留による一般的な精製法では沸点が近接した
不純物の分離精製には複数段の精留が必要であるが、本
発明を用いると沸点が近接した不純物のみならずより高
沸点の不純物までが粗COF2から容易に除去できる。
但し、HF(沸点19℃)は、COF2と共に残る場合
が多く、分離・除去は困難である。従って、高純度のC
OF2を得るためにはHFなどの除去を別途行う必要が
ある。これらの二段階の精製はどちらを先に行っても差
し支えない。特にHFは、合成工程からの生成ガスを捕
集する前に予備トラップを設けて予め分離しておいても
良い。なお、本発明は、回分法・連続法いずれでも実施
可能である。 【0016】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。なお、実施例および比較例において示した%は、容
量基準である。 【0017】実施例1 図1は、本発明で用いた精製装置の概略図を示す。図1
に示した装置を用いて粗COF2を真空放出し、温度、
圧力の経時変化を測定した。すなわち、精製容器1を真
空吸引したのち、低温浴2に液体窒素を満たす。粗ガス
容器3から精製容器1に粗COF2を導入し、低温浴2
を取り外す。容器内の圧力および温度を圧力トランスデ
ューサー4および熱電対5で測定する。 【0018】精製容器1には周囲の大気から熱が流入す
るため徐々に温度が上がり、ガスが放出していく。ガス
の放出速度に応じて容器内の圧力が上がる。そのときの
温度と圧力の経時変化を図2に示す。8分までは温度、
圧力共に上昇したが、8分から25分までは温度、圧力
とも少しずつ減少した。このような傾向は、以下の実施
例2、実施例3でも共通していた。特に、圧力値は装置
や粗ガス組成に依存するが、粗COF2の真空放出にお
ける圧力と温度の経時変化として図2の曲線は一般的な
ものであると考えられる。図2の8分前後までを領域
1、8分から25分までを領域2とすると、領域1と領
域2の境界では放出ガス量の急増が起きている。このた
め領域2では放出ガスの気化熱のために容器の温度、圧
力がわずかずつ低下していく。こうしてCOF2も容器
から急速に放出されるため、図2の38分以降は容器内
にはCOF2はほとんど残っていなかった。 【0019】領域2の途中で真空放出を停止し、液体窒
素浴8で冷却した捕集容器(サンプル管6)にその後の
放出分を全量捕集した。捕集したCOF2(精製CO
2)を室温に戻してから組成分析したところ、CF4
CF3OF、CO2、CF3OOCF3、HFの含有量は減
少していた。分析結果および精製COF2として回収で
きた割合を表1に示す。 【0020】 【表1】 【0021】実施例2 実施例1と同様の方法で液体窒素温度から室温への復温
過程におけるCOF2の精製を行った。また、放出分も
捕集して組成分析を行った。領域1の途中(図2の5分
付近に相当)までの放出分(放出分−1とする)を全量
捕集し、次いで領域1の途中から領域2の途中(図2の
15分付近に相当)までの放出分(放出分−2とする)
を全量捕集した。最後に精製容器1に残った分を精製C
OF2−1として分析した。その結果を表2に示す。C
4、CF3OF、CO2は、精製COF2−1にはほとん
ど残っていなかったが、放出分−2には、粗COF2
同じ程度含まれていた。 【0022】 【表2】 【0023】実施例3 実施例2の放出分−2を再び精製容器1に導入し、実施
例1、2と同様の方法で再精製した。その結果を表3に
示す。精製したCOF2(精製COF2−2とする)のC
4、CF3OF、CO2、CF3OOCF3、HF含有量
は、精製COF2−1と同等の水準であった。 【0024】 【表3】 【0025】実施例4 実施例2の精製COF2(精製COF2−1)に対して−
50℃で蒸留による再精製を行い、留出分を精製COF
2−1'とした。その分析結果を表4に示す。HFの分離
・除去を別途行うことでより効果的に高純度のCOF2
が得られた。 【0026】 【表4】 【0027】比較例1〜3、実施例5〜9 低融点物質の固液共存状態を冷媒に用いて粗COF2
らの放出分を粗COF2の平衡蒸気圧よりわずかに低い
圧力(表4中では平衡圧と表記)およびより低い圧力
(表4中では減圧と表記)でサンプリングし、分析し
た。すなわち、図1の装置を用い、精製容器1を真空吸
引したのちに低温浴2に各種低融点物質の固液共存状態
を満たす。温度が一定になってから粗ガス容器3から精
製容器1に粗COF2を導入する。低温浴2を付けたま
ま精製容器1内のガスをサンプル管6およびサンプル管
7にサンプリングする。このときサンプル管は、液体窒
素浴8で冷却しておく。 【0028】サンプリングは、まず粗COF2の当該温
度における平衡蒸気圧よりわずかに低い圧力で行う(平
衡圧サンプリング)。次いで精製容器1を真空ポンプ9
で吸引し、圧力が下がったところで低圧力のサンプリン
グを行う(減圧サンプリング)。その後、低温浴2を取
り外し、精製容器1を室温に復温した後、容器内のCO
2(精製COF2)をサンプリングして組成分析した。 【0029】なお、比較例1〜3、実施例5〜9では、
同じ組成の粗COF2を用いた。比較例1は−72℃、
比較例2は−94℃、比較例3は−100℃、実施例5
は−112℃、実施例6は−119℃、実施例7は−1
26℃、実施例8は−141℃、実施例9は−160℃
の冷媒をそれぞれ用いた。それらの結果を表5に示す。 【0030】CF4、CF3OFはより低温で放出分中に
高濃度濃縮されていた。しかし、低温では蒸気圧が低く
なるため放出に時間がかかる。CO2、CF3OOCF3
は実施例5〜8(温度−112〜−141℃)で良く濃
縮されていた。 【0031】比較例1〜3、実施例5〜9の方法では、
平衡圧サンプリングの後で引き続き減圧サンプリングを
行っている。従って平衡圧サンプリングでの放出で先に
不純物が減少するため、通常では減圧サンプル中の不純
物量は平衡圧サンプル中の不純物量より少なくなる。し
かし、実施例8、9のCF3OF、実施例5〜9のC
2、およびCF3OOCF3では、減圧サンプルの方が
平衡圧サンプルより高濃度に濃縮される現象が起きた。
すなわち、より低い圧力による不純物の分離精製効率向
上が実証できた。 【0032】また、精製COF2中のCF4、CF3
F、CO2、及びCF3OOCF3の含有量は、粗COF2
より低減できた。また、実施例5〜9では高純度と高回
収率(粗COF2と精製COF2の容量比が高い)を両立
させることができた。 【0033】 【表5】【0034】 【発明の効果】本発明の精製方法を用いることにより、
高純度のCOF2を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明で用いたCOF2の精製装置の概略図で
ある。 【図2】実施例1の粗COF2の真空放出における温
度、圧力の経時変化を示したグラフである。 【符号の説明】 1... 精製容器 2... 低温浴 3... 粗ガス容器 4... 圧力トランスデューサー 5... 熱電対 6、7... サンプル管 8... 液体窒素浴 9... 真空ポンプ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 沸点が近接した不純物、もしくはCOF
    2よりも高沸点の不純物を含有するCOF2に対して、−
    160〜−100℃の温度範囲でCOF2蒸気の減圧吸
    引を行うことを特徴とするCOF2の精製方法。
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