JP2003211589A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法

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JP2003211589A
JP2003211589A JP2002013938A JP2002013938A JP2003211589A JP 2003211589 A JP2003211589 A JP 2003211589A JP 2002013938 A JP2002013938 A JP 2002013938A JP 2002013938 A JP2002013938 A JP 2002013938A JP 2003211589 A JP2003211589 A JP 2003211589A
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polymer
polarizing film
vinyl
polymerization
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JP2002013938A
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Toshiyuki Sekine
利幸 関根
Kazuyuki Onishi
和幸 大西
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な使用環境下での耐久性、及び光学性能
の安定性に優れた偏光機能を有する積層体を提供するこ
とにある。 【解決手段】 脂環式構造含有重合体樹脂からなるフィ
ルム(A)が、けん化度が70〜95モル%、平均重合
度が200〜2,200であるポリビニルアルコールか
らなる無延伸層(C)を介して、偏光膜(B)の少なく
とも一面に積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光膜に脂環式構
造含有重合体樹脂からなる層を接着した積層体、及びそ
の製造方法に関し、さらに詳しくは偏光フィルムとして
好適な積層体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】偏光フィルムは、反射光除去、光ロック
性等の諸機能を活かして、例えば、サングラス、カメラ
用フィルター、スポーツゴーグル、照明用グローブ、自
動車用防眩ヘッドライト、遮光ウィンドウガラス、光量
調整フィルター、蛍光表示コントラスター、透光度連続
変化板、顕微鏡用偏光フィルム等の広範な分野に利用さ
れている。最近では、液晶ディスプレイ(LCD)に使
用され、その機能性がクローズアップされている。とこ
ろで、LCDは、ノートパソコン、携帯電話、カーナビ
ゲーションシステム、フラットテレビ等に急速に普及し
つつある。そして、軽量、薄型であることから戸外での
携帯使用に供され、その使用環境は苛酷なものである。
そのため偏光フィルムにも、耐久性の向上、光学性能の
安定化等が強く要求されるようになっている。
【0003】偏光フィルムは、少なくとも、偏光機能を
有する薄膜型の偏光膜と、該偏光膜の耐久性や機械的強
度を確保するための保護層とから構成されている。保護
層としては、低複屈折性と外観性との良好なセルロース
トリアセテート(以下、TACと略記)の溶液流延フィ
ルムが主として使用されている。最近、TACの代りに
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートを保護層として
偏光膜に積層することにより、耐湿性、物理的強度、耐
熱性、透明性、低複屈折性などに優れた偏光フィルムが
得られることが報告されている。一般に保護層は、偏光
膜に接着剤を用いて積層されている。例えば、偏光膜と
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートとをアクリル系
粘着剤で貼り合わせた後、加熱、加圧して接着する方法
が報告されている(特開平5−212828号公報、特
開平6−51117号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、過酷
な使用環境下での耐久性及び光学性能の安定性に優れた
偏光機能を有する積層体、及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性飽和ノルボルネ
ン系樹脂フィルムと偏光膜とを、特定範囲のけん化度及
び特定範囲の平均重合度を有するビニルアルコール重合
体の水溶液によって貼り合わせ、次いで水を除去乾燥し
て得られる積層フィルムが、高温高湿環境等の過酷な環
境下において長期間放置しても、熱による変色、変形等
が無く、各層の界面剥離や微細なクラック等を生じない
ことを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに
到った。
【0006】かくして本発明によれば、(1)脂環式構
造含有重合体樹脂からなるフィルム(A)が、けん化度
が70〜95モル%、平均重合度が200〜2,200
であるポリビニルアルコールからなる無延伸層(C)を
介して、偏光膜(B)の少なくとも一面に形成されてな
る積層体、(2)脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボ
ルネン系重合体又はビニル脂環式炭化水素重合体である
(1)記載の積層体、(3)偏光膜(B)が、ビニルア
ルコール重合体系延伸フィルムからなる(1)又は
(2)のいずれかに記載の積層体、(4)脂環式構造含
有重合体樹脂からなるフィルム(A)及び偏光膜(B)
の少なくともいずれかの一面に、けん化度が70〜95
モル%、平均重合度が200〜2,200であるビニル
アルコール重合体の溶液を塗布し、次いで、前記フィル
ム(A)と偏光膜(B)とを貼り合わせることを含む、
ビニルアルコール重合体からなる無延伸層(C)を介し
てフィルム(A)が偏光膜(B)の少なくとも一面に形
成されてなる積層体を製造する方法、が、それぞれ提供
される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の積層体は、(1)脂環式
構造含有重合体樹脂からなるフィルム(A)が、けん化
度が70〜95モル%、重合度が200〜2,200で
あるポリビニルアルコールからなる無延伸層(C)を介
して、偏光膜(B)の少なくとも一面に形成されてなる
ものである。
【0008】フィルム(A) 本発明に用いるフィルム(A)は、脂環式構造含有重合
体樹脂からなるものである。
【0009】脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体の繰
り返し単位中に脂環式構造を含有するものであり、主鎖
及び側鎖のいずれに脂環式構造を有していてもよい。脂
環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケ
ン構造などが挙げられるが、熱安定性等の観点からシク
ロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素
原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、よ
り好ましくは5〜15個である。この範囲にあると、耐
熱性及び柔軟性に優れた保護層が得られる。脂環式構造
含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の
割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通
常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好
ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体
樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度
に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式
構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単
位以外の残部は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0010】脂環式構造含有重合体樹脂の具体例として
は、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オ
レフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素
化物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械
的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体水素化物、
ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物などが好
ましい。
【0011】(1)ノルボルネン系重合体 本発明に用いるノルボルネン系重合体としては、ノルボ
ルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマ
ーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環
共重合体、これらの水素化物、ノルボルネン系モノマー
の付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合
可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げら
れる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点か
ら、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最
も好ましい。
【0012】ノルボルネン系モノマーとしては、ビシク
ロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボ
ルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、
トリシクロ〔4.3.12,5.01,6〕−デカ−
3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びそ
の誘導体、テトラシクロ〔7.4.110,13.0
,9.02,7〕−トリデカ−2,4,6−11−テト
ラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラ
ヒドロフルオレンともいう:慣用名メタノテトラヒドロ
フルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.
2,5.17, 10.0〕−ドデカ−3−エン(慣用
名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙
げられる。置換基としては、アルキル基、アルキレン
基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示で
き、上記ノルボルネン系モノマーは、これらを2種以上
有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニ
ル基−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10
0〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカ
ルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.0〕−ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であ
るいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0013】これらノルボルネン系モノマーの開環重合
体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合
可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー
成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得るこ
とができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウ
ム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩ま
たはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触
媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、
モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルア
セトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触
媒を用いることができる。ノルボルネン系モノマーと開
環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シ
クロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの
単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができ
る。
【0014】ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素
化物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケ
ル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒
を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することによ
り得ることができる。
【0015】ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ま
たはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその
他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマ
ーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニ
ウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物と
からなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができ
る。
【0016】ノルボルネン系モノマーと共重合可能なそ
の他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
センなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれ
らの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘ
キセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラ
ヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロ
オレフィン、及びこれらの誘導体;1、4−ヘキサジエ
ン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−
1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非
共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−
オレフィン、特にエチレンが好ましい。
【0017】これらの、ノルボルネン系モノマーと共重
合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて使用することができる。ノル
ボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノ
マーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノル
ボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその
他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常
30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:
3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となる
ように適宜選択される。
【0018】(2)単環の環状オレフィン系重合体 単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シク
ロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単
環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いること
ができる。
【0019】(3)環状共役ジエン系重合体 環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペン
タジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系
単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及
びその水素化物などを用いることができる。
【0020】本発明で使用されるノルボルネン系重合
体、単環の環状オレフィン系重合体又は環状共役ジエン
系重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択される
が、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合
はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマト
グラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレ
ン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,
000、好ましくは8,000〜200,000、より
好ましくは10,000〜100,000の範囲である
ときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高度
にバランスされて好適である。
【0021】(4)ビニル脂環式炭化水素重合体 ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニル
シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂
環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチ
レン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体
の重合体の芳香環部分の水素化物;などを用いることが
できる。この場合、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニ
ル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他
の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体など
の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック
共重合体としては、ジブロック、トリブロック、または
それ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体など
が挙げられ、特に制限はない。
【0022】本発明で使用されるビニル脂環式炭化水素
重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択される
が、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合
はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマト
グラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン
換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,
000、好ましくは15,000〜250,000、よ
り好ましくは20,000〜200,000の範囲であ
るときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度
にバランスされて好適である。
【0023】本発明で使用される脂環式構造含有重合体
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適
宜選択されればよいが、通常、80℃以上、好ましくは
100℃〜250℃、より好ましくは120℃〜200
℃の範囲である。この範囲において、耐熱性と成形加工
性とが高度にバランスされ好適である。
【0024】本発明においては、上記の脂環式構造含有
重合体樹脂を成形してフィルム(A)を得ることができ
る。フィルム(A)の成形方法としては、例えば、加熱
溶融成形法、溶液流延法のいずれをも用いることができ
る。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押し出し成形
法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形
法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、こ
れらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れた
フィルムを得るためには、押し出し成形法、インフレー
ション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押し出し
成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方
法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合
は、シリンダー温度が、通常、150〜400℃、好ま
しくは200〜350℃、より好ましくは230〜33
0℃の範囲で適宜設定される。樹脂温度が過度に低いと
流動性が悪化し、フィルムにヒケやひずみを生じ、樹脂
温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるボイドやシルバ
ーストリークが発生したり、フィルムが黄変するなどの
成形不良が発生するおそれがある。フィルム(A)の厚
みは、通常10〜300μm、好ましくは20〜200
μm、より好ましくは30〜100μmの範囲である。
【0025】フィルム(A)は、上記のノルボルネン系
重合体樹脂又はビニル脂環式炭化水素重合体樹脂以外
に、必要に応じて、プラスチックフィルムに一般的に配
合することができる添加剤を含有していてもよい。その
ような添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安
定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、及び
充填剤などが挙げられ、その含有量は本発明の目的を損
ねない範囲で選択することができる。
【0026】フィルム(A)は、その表面の濡れ張力
が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50
mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上であ
る。表面の濡れ張力が上記範囲にあると、フィルム
(A)と偏光膜(B)との接着強度が向上する。表面の
濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、
オゾンの吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処
理、その他公知の表面処理を施すことができる。
【0027】無延伸層(C) 本発明に用いられる無延伸層(C)は、けん化度が70
〜95モル%、平均重合度が200〜2,200である
ビニルアルコール重合体(PVAということがある)か
らなる層である。上記の、けん化度が70〜95モル
%、平均重合度が200〜2,200であるビニルアル
コール重合体は、例えば、ビニルエステル単量体を主体
とするビニル単量体を従来公知の方法で重合して、ビニ
ルエステル重合体(すなわち、ビニルエステル単量体の
単独重合体、2種以上のビニルエステル単量体の共重合
体、及びビニルエステル単量体と他のエチレン性不飽和
単量体との共重合体)を得、次いでこのビニルエステル
重合体を常法によりけん化することにより得られる。
【0028】ビニルエステル単量体はラジカル重合可能
なものであればいずれも使用でき、その具体例として
は、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢
酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸
ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルな
どを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安
価な酢酸ビニルが好ましい。また、ビニルエステル単量
体と共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アク
リル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタ
コン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメッ
ト酸又は無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸;アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロ
ピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキ
シル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルな
どのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリ
ル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ
ル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メ
タクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどの
メタクリル酸エステル類;フマール酸ジメチル、マレイ
ン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどの不飽和
カルボン酸エステル;メチルビニルエーテル、n−プロ
ピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n
−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、
t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、
ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;ア
クリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル
類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、
塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、
アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン
酸基含有化合物;ビニルトリメトキシシランなどのビニ
ルシラン化合物;及び3−アクリルアミドプロピルトリ
メチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミド
プロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4
級アンモニウム基を有する単量体などを挙げることがで
きる。
【0029】本発明においては、上記方法により得られ
たビニルエステル重合体を、70〜95モル%の割合で
けん化して、本発明に用いるビニルアルコール重合体と
することができる。ビニルアルコール重合体のけん化度
は、従来公知の方法によりコントロールすることができ
る。本発明に用いるビニルアルコール重合体のけん化度
は、さらに好ましくは75〜93%、最も好ましくは8
0〜90モル%である。また、得られるビニルアルコー
ル重合体の平均重合度は、けん化前のビニルエステル重
合体の平均重合度と同じ、すなわち、けん化により重合
体の平均重合度は変わらない。よって本発明に用いるビ
ニルアルコール重合体を得るためには、平均重合度が2
00〜2,200のビニルエステル重合体を用いればよ
い。ビニルエステル重合体の平均重合度は、従来公知の
方法によりコントロールすることができる。本発明に用
いるビニルアルコール重合体の平均重合度は、さらに好
ましくは240〜1,500、最も好ましくは280〜
1,000である。
【0030】本発明に用いるビニルアルコール重合体
は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、アクリ
ル酸、クロトン酸、イタコン酸等が数モル%程度共重合
したものであってもよく、また、例えば、アルキル基、
エポキシ基、カルボニル基、シラノール基、又はチオー
ル基等を有する化合物をグラフト付加等させて変性した
ものであってもよい。
【0031】層(C)には、上記ビニルアルコール重合
体以外に硬化剤を含有させることができる。硬化剤とし
ては例えばイソシアネート構造を有する化合物や、ホウ
酸などが挙げられる。これら硬化剤の添加量は、該ビニ
ルアルコール重合体の水溶液の保存安定性を低下させな
い範囲で適宜に選択することができる。
【0032】層(C)は、本発明の目的を損なわない範
囲で、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤などのカップリング剤;テルペン樹脂、フェノー
ル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシ
レン樹脂などの粘着付与剤;炭酸カルシウム、クレー、
酸化チタン、カーボンブラックなどの無機充填剤;エア
ロジル、ディスバロンなどの揺変剤;紫外線吸収剤、酸
化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤
等を含有していてもよい。
【0033】層(C)の厚みは、0.01〜20μmが
好ましく、0.05〜10μmがより好ましい。厚みが
0.01μm未満であると厚みの制御が困難になり、2
0μmを超過すると偏光膜の耐久性などが低下する。
【0034】偏光膜(B) 本発明に使用する偏光膜(B)は、偏光子としての機能
を有するものであれば特に限定されない。例えば、
(1)ビニルアルコール重合体(PVA)・ヨウ素系偏
光膜、(2)PVA系フィルムに二色性染料を吸着配向
させた、PVA・染料系偏光膜、(3)PVA系フィル
ムより脱水反応を誘起させたり、ポリ塩化ビニルフィル
ムの脱塩酸反応により、ポリエンを形成させたポリエン
系偏光膜、(4)分子内にカチオン基を含有する変性P
VAからなるPVA系フィルムの表面および/または内
部に二色性染料を有する偏光膜などが挙げられるが、偏
光膜の初期偏光性能の観点からは、(1)PVA・ヨウ
素系偏光膜が好ましく、耐熱性の観点からは(2)PV
A・染料系偏光膜が好ましい。偏光膜の製造方法も特に
限定されない。例えば、PVA系フィルムを延伸後ヨ
ウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムを二
色性染料による染色後延伸する方法、PVA系フィル
ムを延伸後二色性染料で染色する方法、二色性染料を
PVA系フィルムに印刷後延伸する方法、PVA系フ
ィルムを延伸後二色性染料を印刷する方法などの公知の
方法が挙げられる。例えば、の方法は、より詳細に
は、ヨウ素をヨウ化カリウム溶液に溶解してヨウ素イオ
ンを作り、このイオンをPVAフィルムに吸着させて延
伸し、次いで1〜4%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40
℃で浸漬して偏光膜を製造する。の方法は、より詳細
には、PVAフィルムをと同様にホウ酸水溶液に浸漬
し、次いで一軸方向に3〜7倍程度延伸し、0.05〜
5%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬し
て染料を吸着させ、80〜100℃で乾燥して熱固定し
て偏光膜を製造する。
【0035】本発明の積層体の構成としては、フィルム
(A)と偏光膜(B)とが、層(C)を介して積層され
てなる3種3層積層体、偏光膜(B)の両面に、フィル
ム(A)がそれぞれ層(C)を介して積層されてなる3
種5層積層体などが挙げられるが、偏光膜の耐久性等の
観点から、上記3種5層積層体が好ましい。本発明の積
層体の製造方法は、フィルム(A)及び偏光膜(B)の
少なくともいずれかの一面に、けん化度が70〜95モ
ル%、平均重合度が200〜2,200である上記ビニ
ルアルコール重合体の溶液を塗布し、次いで、前記フィ
ルム(A)と偏光膜(B)とを貼り合わせることを含む
ことを特徴とする。該ビニルアルコール重合体の溶液
は、フィルム(A)及び偏光膜(B)の両方に塗布して
もよい。また、偏光膜(B)の両面にフィルム(A)を
接着してもよく、その場合には、偏光膜の両面に前記ビ
ニルアルコール重合体の溶液を塗布してもよい。
【0036】上記方法は、更に詳細に、(1)少なくと
もフィルム(A)又は偏光膜(B)のいずれか一方に該
ビニルアルコール重合体の溶液を塗布し、塗膜が乾燥し
ないうちにフィルム(A)と偏光膜(B)とを貼り合わ
せ、次いで溶媒を除去して接着する方法(所謂、ウェッ
トラミネーション)、及び、(2)少なくともフィルム
(A)又は偏光膜(B)のいずれか一方に該ビニルアル
コール重合体の溶液を塗布し、次いで溶媒をほぼ除去し
て塗膜をほぼ乾燥させてからフィルム(A)と偏光膜
(B)とを貼り合わせ、加圧及び/又は加熱等により接
着する方法(所謂、ドライラミネーション)が挙げられ
る。
【0037】(1)ウェットラミネーションの場合は、
例えば、積層後の層(C)の厚み及び塗工性等を考慮
し、固形分濃度が例えば0.1〜50重量%となるよう
に、けん化度が70〜95モル%、平均重合度が200
〜2,200であるポリビニルアルコール重合体を溶媒
に溶解させた後、メイヤバー、グラビアコーター、マイ
クログラビアコーター等で該溶液を偏光膜(B)又は/
及びフィルム(A)に塗工又は滴下し、積層体を例えば
2本のロールなどでラミネートしながら溶媒を加熱等に
より除去する。用いる該ビニルアルコール重合体溶液の
粘度は、好ましくは10〜20000cp(センチポア
ズ)、より好ましくは100〜12000cpの範囲で
ある。10cp未満であると、ラミネート時の加圧によ
って溶液が積層体の外に余分に流れ出し層(C)の厚み
が薄くなり、一方、20000cpを超えると、塗工性
が低下する。ウェットラミネーションにおいては溶媒に
水を用いると積層体の各層間の接着強度に優れるために
好ましく、さらに、トリアセチルセルロースの層を用い
ていた従来の偏光板の製造設備をそのままフィルム
(A)の接着設備として有効利用できる。
【0038】(2)ドライラミネーションの場合は、例
えば、積層後の層(C)の厚み、塗工性等を考慮し、適
当な固形分濃度となるようにけん化度が70〜95モル
%、平均重合度が200〜2,200であるビニルアル
コール重合体を溶媒に溶解し、バーコーター、ロールコ
ーター、グラビアコーター等で偏光膜(B)又は/及び
フィルム(A)に塗工し、乾燥炉を通すなどの手段を用
いて塗膜中の溶媒を除去する。加熱温度は、好ましく
は、常温〜130℃の範囲に設定する。偏光膜(B)と
層(C)とのラミネートは、例えば2本のロール等を用
いて、好ましくは98〜980kPaの圧力をかけて圧
着することにより行う。その際、偏光膜の光学性能を低
下させない範囲で積層体を加熱してもよく、その温度は
好ましくは120℃以下、より好ましくは30〜100
℃である。用いる該ビニルアルコール重合体溶液の粘度
の好ましい範囲はウェットラミネーションの場合と同様
である。粘度が10cp未満であると溶媒の除去に時間
がかかり生産性が低下し、20000cpを超えると塗
工性が低下する。ドライラミネーションにおいては溶媒
に有機溶剤を用いると積層体の各層間の接着強度に優れ
るために好ましい。
【0039】(1)ウェットラミネーション及び(2)
ドライラミネーションのいずれにおいても、フィルム
(A)と偏光膜(B)とのラミネートは、公知のいかな
る手段を用いてもよいが、ニップロールによるのが簡便
で、且つ、生産性にも優れるので好ましい。ニップロー
ルとしてはゴムロールと金属ロール、又はゴムロールと
ゴムロールとを組み合わせることができる。ラミネート
時の圧力は、ニップ線圧で通常1〜100kgf/c
m、好ましくは3〜30kgf/cmである。
【0040】上記(1)及び(2)それぞれの方法で得
られた積層体は、養生、すなわち一定時間放置すること
により層(C)と各層との接着強度、各層の耐久性等を
向上させることができる。養生の条件は、常温又は加温
(例えば、約40℃位)にて、24〜72時間程度放置
しておくのが好ましい。また、層(C)が硬化剤を含有
する場合は、層(C)を加熱して硬化させることによ
り、層(C)と各層との接着強度、層(C)の耐久性、
機械的強度等を向上させることができる。塗膜の加熱温
度、硬化温度、それぞれの時間等は硬化剤の種類等によ
り最適な範囲にする。また、フィルム(A)と偏光膜
(B)とを、層(C)を介して貼り合わせた後、これに
圧力をかけることにより層(C)の厚みをコントロール
するのが好ましい。
【0041】上記の方法により得られた本発明の積層体
は、偏光機能を有するので、例えば、サングラス、カメ
ラ用フィルター、スポーツゴーグル、照明用グローブ、
自動車用防眩ヘッドライト、遮光ウィンドウガラス、光
量調整フィルター、蛍光表示コントラスター、透光度連
続変化板、顕微鏡用偏光フィルム等の広範な分野に利用
することができる。さらに、本発明の積層体は、光学性
能、耐久性に優れるために、特に液晶ディスプレイ(L
CD)の偏光フィルム、偏光板に好適に使用することが
できる。特に偏光フィルム、偏光板として使用する場合
には、フィルム(A)は保護フィルムとして機能する。
偏光フィルムや偏光板における保護フィルムは、偏光膜
の耐久性能、特に偏光度を維持させる機能を有し、少な
くとも偏光膜の片面(LCD用の場合は好ましくはLC
D側の面)に設けられている必要がある。
【0042】
【実施例】以下、本発明について、製造例、実施例及び
比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の範
囲はこれらの例に限定されるものではない。これらの例
において、[部]は、特に断りのない限り、重量基準で
ある。また、各種物性の測定法は、次の通りである。
【0043】(1)ガラス転移温度(Tg)は、示差走
査熱量計(DSC法)により測定した。 (2)分子量は、特に記載しない限り、シクロヘキサン
を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)で測定されるポリイソプレン換算値として測
定した。 (3)ポリビニルアルコール重合体のけん化度及び平均
重合度葉は、JIS K6726記載の方法に準じて測
定した。 (4)耐久試験 積層フィルムを下記の環境下に順次さらした。その後、
積層フィルムの透明性、ヘイズの発生及び着色等の有無
などを外観目視観察して光学性能の安定性を評価した。 高温環境:80℃、湿度50%、500時間 高温高湿度環境その1:温度60℃、湿度90%、
500時間 高温高湿度環境その2:温度80℃、湿度90%、
100時間 低温環境:−30℃、湿度10%、500時間 耐水環境:温度80℃、湿度90%にて、積層フィ
ルム上にウエットティッシュを載せて30分放置する。 光学性能安定性試験の後、該積層フィルムを光学顕微鏡
により観察し、接着層と両フィルムとの界面に、剥離、
膨れ等の界面不良がないかを観察して接着界面の状態を
評価した。
【0044】〔製造例1〕窒素雰囲気下、脱水したシク
ロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブ
チルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム
0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に
保ちながら、トリシクロ[4.3.0.1 2,5]デカ
−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DC
Pと略記)80部、1,4−メタノ−1,4,4a,9
a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)5
0部、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,1 ]−ドデカ−3−エン(以下、TCDと略記)
70部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩
化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、
2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチ
ルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコ
ール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応
を停止させた。
【0045】次いで、得られた開環重合体を含有する反
応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加
え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒
(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加
圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時
間反応させ、DCP/MTF/TCD開環重合体水素化
ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により
水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セ
プトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャリテ
ィ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得
られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重
合体100部あたり0.1部)。次いで、溶液から、溶
媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒
型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去しつつ水素
化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出
し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノル
ボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の
残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法に
よる)から計算したところ、DCP/MTF/TCD=
40/25/35でほぼ仕込組成に等しく、ノルボルナ
ン環構造を有さない繰り返し単位の含有量は65%であ
った。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量
(Mw)は35,000、水素添加率は99.9%、T
gは134℃であった。
【0046】〔製造例2〕窒素雰囲気下、脱水したシク
ロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブ
チルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム
0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に
保ちながら、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、M
TDと略記)200部と、六塩化タングステン(0.7
%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添
加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル
1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加え
て重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
【0047】次いで、得られた開環重合体を含有する反
応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加
え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒
(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加
圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時
間反応させ、MTD開環重合体水素化ポリマーを20%
含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去
した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン200
2)、及び酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカル
ズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液に
それぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100部
あたり0.1部)。次いで、溶液から、溶媒であるシク
ロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器
(日立製作所製)を用いて除去しつつ水素化ポリマーを
溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペ
レット化して回収した。この開環重合体水素化物の、重
量平均分子量(Mw)は35,000、水素化率は9
9.9%、Tgは134℃であった。
【0048】〔実施例1〕製造例1で得られたペレット
を、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時
間乾燥して水分を除去した後、65mmφのスクリュー
を備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融
押出し成形機を使用し、溶融樹脂温度220℃、Tダイ
の幅300mmの成形条件にて、厚さ40μmのフィル
ム(A)を押出し成形した。得られたフィルムを長さ方
向300mmにカットし、空気中にて、表面に放電量1
00W/m・分のコロナ放電処理を行った。フィルム
(A)表面の濡れ張力は70mN/m以上であった。上
記フィルムの表面に、ポリビニルアルコール重合体(ク
ラレ社製:PVA203、けん化度86.5〜89.5
%、平均重合度300)の10%水溶液を滴下し、次い
で、該フィルム(A)に、同サイズの未染色PVA2軸
延伸フィルム(B)(日本合成化学工業(株)製偏光
膜:ボブロン#140(膜厚:14μm))を貼り合わ
せてロールラミネータに設置し、PVA水溶液が乾燥し
ないうちにラミネートした。次いで、積層フィルムを4
0℃にて72時間放置して各層を完全に接着させた。無
延伸層(C)の厚さは1μmであった。得られた積層フ
ィルムに上記耐久試験を行い評価した。結果を表1に記
載する。
【0049】
【表1】
【0050】〔実施例2〜4〕ポリビニルアルコール重
合体のけん化度及び平均重合度を、それぞれ表1に記載
の通りに変え、実施例1同様に積層フィルムを製造して
評価した。その結果、実施例2〜4のいずれも、耐久試
験により、層(C)の透明性(光線透過率)が実施例1
のものよりも若干低下したが、いずれも実用上は問題な
いレベルで良好であり、ヘイズの変化や着色もなかっ
た。また、各層の界面の変化もみられなかった。結果を
表1に記載する。
【0051】〔比較例1〜3〕ポリビニルアルコール重
合体のけん化度及び平均重合度を、それぞれ表1に記載
の通りに変え、実施例1同様に積層フィルムを製造して
評価した。その結果、比較例1〜3の全てが、耐久試験
により層(C)が僅かに白濁し、各層の界面に膨れが発
生した。また、けん化度及び平均重合度の双方が本発明
に用いるポリビニルアルコール重合体規定の範囲にない
ものを用いた場合(比較例1)の白濁の度合いは若干大
きかった。結果を表1に記載する。
【0052】〔実施例5〕製造例2で得られたペレット
を用いた以外は、実施例1同様に積層フィルムを製造し
て評価した結果、耐久試験後の透明性は良好であり、ヘ
イズの変化や着色もなく、各層の界面の変化もなかっ
た。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、過酷な使用環境下での
耐久性、及び光学性能の安定性に優れた偏光フィルムを
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK02A AK21B AR00C BA03 BA07 BA10A BA10C BA15 EH46B EJ37C GB90 JA07B JL00 JN10 JN10C YY00B 4J002 BK00W BL00W CE00W GF00 GP00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂環式構造含有重合体樹脂からなるフィ
    ルム(A)が、けん化度が70〜95モル%、平均重合
    度が200〜2,200であるポリビニルアルコールか
    らなる無延伸層(C)を介して、偏光膜(B)の少なく
    とも一面に形成されてなる積層体。
  2. 【請求項2】 脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボル
    ネン系重合体又はビニル脂環式炭化水素重合体である請
    求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 偏光膜(B)が、ビニルアルコール重合
    体系延伸フィルムからなる請求項1又は2のいずれかに
    記載の積層体。
  4. 【請求項4】 脂環式構造含有重合体樹脂からなるフィ
    ルム(A)及び偏光膜(B)の少なくともいずれかの一
    面に、けん化度が70〜95モル%、平均重合度が20
    0〜2,200であるビニルアルコール重合体の溶液を
    塗布し、次いで、前記フィルム(A)と偏光膜(B)と
    を貼り合わせることを含む、ビニルアルコール重合体か
    らなる無延伸層(C)を介してフィルム(A)が偏光膜
    (B)の少なくとも一面に形成されてなる積層体を製造
    する方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011158677A1 (ja) 2010-06-15 2011-12-22 コニカミノルタオプト株式会社 太陽光反射用フィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置
KR20230063874A (ko) 2021-11-02 2023-05-09 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판 및 그 제조 방법

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