JP2003211588A - 樹脂積層体及びその製造方法 - Google Patents

樹脂積層体及びその製造方法

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JP2003211588A
JP2003211588A JP2002012118A JP2002012118A JP2003211588A JP 2003211588 A JP2003211588 A JP 2003211588A JP 2002012118 A JP2002012118 A JP 2002012118A JP 2002012118 A JP2002012118 A JP 2002012118A JP 2003211588 A JP2003211588 A JP 2003211588A
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norbornene
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polarizing film
ene
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Toshiyuki Sekine
利幸 関根
Kazuyuki Onishi
和幸 大西
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な使用環境下での耐久性、及び光学性能
の安定性に優れた偏光機能を有する積層体を提供するこ
とにある。 【解決手段】 (1)ノルボルネン系モノマーに由来し
ノルボルナン環構造を有さない繰り返し単位を、重合体
全繰り返し単位中に30重量%以上含有するノルボルネ
ン系重合体樹脂、又は、(2)ビニル脂環式炭化水素重
合体樹脂からなるフィルム(A)を、ビニルアルコール
重合体の無延伸層を介して、偏光膜(B)の少なくとも
一面に積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光膜にノルボル
ネン系重合体樹脂又はビニル脂環式炭化水素重合体樹脂
からなる層を接着した積層体、及びその製造方法に関
し、さらに詳しくは偏光フィルムとして好適な積層体、
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】偏光フィルムは、反射光除去、光ロック
性等の諸機能を活かして、例えば、サングラス、カメラ
用フィルター、スポーツゴーグル、照明用グローブ、自
動車用防眩ヘッドライト、遮光ウィンドウガラス、光量
調整フィルター、蛍光表示コントラスター、透光度連続
変化板、顕微鏡用偏光フィルム等の広範な分野に利用さ
れている。最近では、液晶ディスプレイ(LCD)に使
用され、その機能性がクローズアップされている。とこ
ろで、LCDは、ノートパソコン、携帯電話、カーナビ
ゲーションシステム、フラットテレビ等に急速に普及し
つつある。そして、軽量、薄型であることから戸外での
携帯使用に供され、その使用環境は苛酷なものである。
そのため偏光フィルムにも、耐久性の向上、光学性能の
安定化等が強く要求されるようになっている。
【0003】偏光フィルムは、少なくとも、偏光機能を
有する薄膜型の偏光膜と、該偏光膜の耐久性や機械的強
度を確保するための保護層とから構成されている。保護
層としては、低複屈折性と外観性との良好なセルロース
トリアセテート(以下、TACと略記)の溶液流延フィ
ルムが主として使用されている。最近、TACの代りに
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートを保護層として
偏光膜に積層することにより、耐湿性、物理的強度、耐
熱性、透明性、低複屈折性などに優れた偏光フィルムが
得られることが報告されている。一般に保護層は、偏光
膜に接着剤を用いて積層されている。例えば、偏光膜と
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートとをアクリル系
粘着剤で貼り合わせた後、加熱、加圧して接着する方法
が報告されている(特開平5−212828号公報、特
開平6−51117号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、過酷
な使用環境下での耐久性及び光学性能の安定性に優れた
偏光機能を有する積層体、及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、特定の繰り返し単位構造
を、重合体中に特定割合含む熱可塑性飽和ノルボルネン
系樹脂からなるフィルムと偏光膜とを、ビニルアルコー
ル重合体の水溶液によって貼り合わせ、次いで水を除去
乾燥して得られる積層フィルムが、長期高温高湿環境等
の過酷な環境下においても、熱による変色、変形等が無
く、各層の界面剥離や微細なクラック等の発生も生じな
いことを見出し、その知見に基づいて本発明を完成する
に到った。
【0006】かくして本発明によれば、 1.(1)ノルボルネン系モノマーに由来しノルボルナ
ン環構造を有さない繰り返し単位を、重合体全繰り返し
単位中に30重量%以上含有するノルボルネン系重合体
樹脂又は(2)ビニル脂環式炭化水素重合体樹脂からな
るフィルム(A)が、ビニルアルコール重合体からなる
無延伸層(C)を介して、偏光膜(B)の少なくとも一
面に形成されてなる積層体、 2.ノルボルネン系モノマーに由来しノルボルナン環構
造を有さない繰り返し単位が、ジシクロペンタジエン若
しくはその誘導体を開環重合して得られる繰り返し単位
及び/又はメタノテトラヒドロフルオレン若しくはその
誘導体を開環重合して得られる繰り返し単位である請求
項1記載の積層体、 3.偏光膜(B)が、ビニルアルコール重合体系延伸フ
ィルムからなる上記1又は2のいずれかに記載の積層
体、 4.(1)ノルボルネン系モノマーに由来しノルボルナ
ン環構造を有さない繰り返し単位を、重合体全繰り返し
単位中に30重量%以上含有するノルボルネン系重合体
樹脂若しくは(2)ビニル脂環式炭化水素重合体樹脂か
らなるフィルム(A)及び偏光膜(B)の少なくともい
ずれかの一面に、ビニルアルコール重合体の溶液を塗布
し、次いで、前記フィルム(A)と偏光膜(B)とを貼
り合わせることを含む、ビニルアルコール重合体からな
る無延伸層(C)を介してフィルム(A)が偏光膜
(B)の少なくとも一面に形成されてなる積層体を製造
する方法、がそれぞれ提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の積層体は、(1)ノルボ
ルネン系モノマーに由来しノルボルナン環構造を有さな
い繰り返し単位を、重合体全繰り返し単位中に30重量
%以上含有するノルボルネン系重合体樹脂又は(2)ビ
ニル脂環式炭化水素重合体樹脂からなるフィルム(A)
が、ビニルアルコール重合体の無延伸層(C)を介し
て、偏光膜(B)の少なくとも一面に形成されてなるも
のである。
【0008】フィルム(A) 本発明に用いるフィルム(A)は、(1)ノルボルネン
系モノマーに由来しノルボルナン環構造を有さない繰り
返し単位を、重合体全繰り返し単位中に30重量%以上
含有するノルボルネン系重合体樹脂若しくは(2)ビニ
ル脂環式炭化水素重合体樹脂からなるものである。
【0009】ノルボルネン系重合体樹脂とは、ノルボル
ネン系モノマーを重合して得られる繰り返し単位、すな
わちノルボルネン系モノマーに由来する繰り返し単位を
含む重合体であって樹脂であるものをいう。
【0010】本発明に用いるノルボルネン系重合体樹脂
は、重合体中のノルボルネン系モノマーに由来する繰り
返し単位の割合が、好ましくは60重量%以上、より好
ましくは70重量%以上、最も好ましくは90重量%以
上である。さらに、前記のノルボルネン系モノマーに由
来する繰り返し単位であって、ノルボルナン環構造を有
さない繰り返し単位を、重合体全繰り返し単位中に、3
0重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好まし
くは50重量%以上含有する。
【0011】このような繰り返し単位は、ノルボルナン
環を有さないノルボルネン系モノマーを開環重合して得
られる。よって、本発明に用いるノルボルネン系重合体
樹脂は、ノルボルナン環を有さないノルボルネン系モノ
マーを含むノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノル
ボルナン環を有さないノルボルネン系モノマーを含むノ
ルボルネン系モノマーと、それらと開環共重合可能なそ
の他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添
加物のいずれかであるが、透明性、耐熱性等の観点よ
り、ノルボルナン環を有さないノルボルネン系モノマー
を含むノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物
が最も好ましい。
【0012】ノルボルナン環を有さないノルボルネン系
モノマーの具体例としては、ビシクロ〔2.2.1〕−
ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチ
ル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,
5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−
エン、5−エチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−
2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプ
ト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕
−ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシ
クロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチリデ
ン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−
メチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エ
ン、5−ビニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2
−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘ
プト−2−エン、
【0013】5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ
〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシ
クロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチル−
5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘ
プト−2−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ
〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エトキシカル
ボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.
2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕
−ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビ
シクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチ
ルオクタネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2
−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシ
メチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、
5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ〔2.2.
1〕−ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピ
ル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシ
クロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジカ
ルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エ
ン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,
6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシク
ロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキ
シル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5
−シクロヘキセニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト
−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2.2.1〕−
ヘプト−2−エン、
【0014】トリシクロ〔4.3.12,5
1,6〕−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペ
ンタジエン)、トリシクロ〔4.3.12,5.0
1,6〕−デカ−3−エン、トリシクロ〔4.4.1
2,5.01,6〕−ウンデカ−3,7−ジエン、トリ
シクロ〔4.4.12,5.01,6〕−ウンデカ−
3.8−ジエン、トリシクロ〔4.4.12,5.0
1,6〕−ウンデカ−3−エン、テトラシクロ〔7.
4.110,13.01,9.02,7〕−トリデカ−
2,4,6−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,
4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう:慣
用名メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ
〔8.4.111,14.01,10.03,8〕−テ
トラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(1.
4−メタノ−1.4.4a.5.10.10a−ヘキサ
ヒドロアントラセンともいう)、
【0015】上記のノルボルナン環を有さないノルボル
ネン系モノマーは、置換基を有するもの、すなわち上記
モノマーの誘導体であってもよく、単独でも、2種以上
を組み合わせても使用できるが、本発明においては、耐
熱性、機械強度等の観点より、上記トリシクロ〔4.
3.12,5.01,6〕−デカ−3,7−ジエン(慣
用名ジシクロペンタジエン)若しくはその誘導体、及び
/又はメタノテトラヒドロフルオレン系モノマー若しく
はその誘導体を用いるのが好ましい。誘導体が有する置
換基としては、炭化水素基、極性基、及び炭化水素基の
水素原子の1個以上が極性基で置換された基などが挙げ
られる。
【0016】尚、本発明に用いるノルボルネン系重合体
樹脂は、上記のノルボルナン環を有さないノルボルネン
系モノマー以外に、ノルボルナン環を有するノルボルネ
ン系モノマーを共重合成分として含有してもよい。この
ようなモノマーの具体例としては、テトラシクロ〔4.
4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン
(テトラシクロドデセンともいう)、8−メチル−テト
ラシクロ〔4.4.1 ,5.17,10.0〕−ドデ
カ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.1
2,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−エ
チル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10
0〕−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシク
ロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3
−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.1
2,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−ビ
ニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10
0〕−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシク
ロ〔4.4.12,5.17, 10.0〕−ドデカ−3
−エン、
【0017】8−メトキシカルボニル−テトラシクロ
〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−
エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシ
クロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−
3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ〔4.
4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、
8−カルボキシ−テトラシクロ〔4.4.12,5.1
7,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチ
ル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10
0〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラ
シクロ〔4.4.1 ,5.17,10.0〕−ドデカ
−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ
〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−
エン、8−フェニル−テトラシクロ〔4.4.
2,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、ペン
タシクロ〔6.5.11,8.13,6.02,7.0
9,13〕−ペンタデカ−3.10−ジエン、ペンタシ
クロ〔7.4.13,6.110,13.0 ,9.0
2,7〕−ペンタデカ−4.11−ジエンなどが挙げら
れる。これらのノルボルナン環を有するノルボルネン系
モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わ
せて用いられる。
【0018】ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能
なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセ
ン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状
オレフィン系モノマーなどを挙げることができる。
【0019】本発明に用いるノルボルネン系重合体樹脂
は、前記のモノマー成分を、開環重合触媒の存在下で重
合し、必要に応じて水素化することによって得ることが
できる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金
などの金属のハロゲン化物、硝酸塩若しくはアセチルア
セトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、又は、チタ
ン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブ
デンなどの金属のハロゲン化物若しくはアセチルアセト
ン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系
を用いられる。重合反応は溶媒中または無溶媒で、通
常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜5kPaの重
合圧力で行われる。
【0020】ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合
体水素添加物は、通常、上記開環(共)重合体の重合溶
液に、水素添加触媒を添加し、水素添加することにより
得ることができる。水素化方法としては、例えば、有機
溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、
パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ば
れる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法
が挙げられる。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触
媒のいずれも使用可能である。不均一系触媒は、金属ま
たは金属化合物のままで、又は適当な担体に担持して用
いることができる。担体としては、例えば、シリカ、ア
ルミナ、ケイソウ土が挙げられる。均一系触媒は、ニッ
ケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合
物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化
合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジ
ウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触
媒を用いることができる。水素化反応は、通常10℃〜
250℃、好ましくは50℃〜200℃であり、また水
素圧力は、通常0.1MPa〜30MPa、好ましくは
1MPa〜20MPaである。
【0021】本発明で使用されるノルボルネン系重合体
樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、
シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はト
ルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算
の重量平均分子量で、通常、5,000〜500,00
0、好ましくは8,000〜200,000、より好ま
しくは10,000〜100,000の範囲であるとき
に、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバ
ランスされて好適である。
【0022】ビニル脂環式炭化水素重合体樹脂とは、ビ
ニル脂環式炭化水素系モノマーを重合して得られる繰り
返し単位を含む重合体であって樹脂であるものをいう。
例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン
などのビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体及びそ
の水素添加物(特開昭51−59989号公報)、スチ
レン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系モノマ
ーの重合体の芳香環部分の水素添加物(特開昭63−4
3910号公報、特開昭64−1706号公報)などを
用いることができる。この場合、ビニル脂環式炭化水素
系モノマーやビニル芳香族系モノマーと、これらと共重
合可能な他のモノマーとのランダム共重合体、ブロック
共重合体などの共重合体及びその水素添加物であっても
よい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブ
ロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロッ
ク共重合体など、特に制限はない。具体的には、スチレ
ン・ブタジエン・ブロック共重合体、スチレン・イソプ
レン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチ
レン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチ
レン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチ
レン・ブタジエン・ブロック共重合体、スチレン・ブタ
ジエン・スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共
重合体などのビニル芳香族系モノマーのブロック重合体
の芳香環水素化物などが挙げられる。本発明に用いるビ
ニル脂環式炭化水素重合体樹脂は、光学性能、機械強度
等の観点より、ビニル芳香族系モノマー又はビニル脂環
式炭化水素系モノマーと、これらと共重合可能な他のモ
ノマーとのブロック共重合体の不飽和環水素添加物が好
ましい。
【0023】本発明で使用されるビニル脂環式炭化水素
重合体樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択され
るが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場
合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマ
トグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレ
ン換算の重量平均分子量で、通常10,000〜30
0,000、好ましくは15,000〜250,00
0、より好ましくは20,000〜200,000の範
囲であるときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性
とが高度にバランスされて好適である。
【0024】本発明で使用されるノルボルネン系重合体
樹脂及びビニル脂環式炭化水素重合体樹脂のガラス転移
温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよ
いが、通常、80℃以上、好ましくは100℃〜250
℃、より好ましくは120℃〜200℃の範囲である。
この範囲において、耐熱性と成形加工性とが高度にバラ
ンスされ好適である。
【0025】フィルム(A)は上記のノルボルネン系重
合体樹脂又はビニル脂環式炭化水素重合体樹脂を成形す
ることによって得ることができる。フィルム(A)の成
形方法は格別な限定はなく、加熱溶融成形法、溶液流延
法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、
さらに詳細に、押し出し成形法、プレス成形法、インフ
レーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成
形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械
強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押
し出し成形法、インフレーション成形法、及びプレス成
形法が好ましく、押し出し成形法が最も好ましい。成形
条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、
加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、通常
150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より
好ましくは230〜330℃の範囲で適宜設定される。
樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、フィルムにヒ
ケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分
解によるボイドやシルバーストリークが発生したり、フ
ィルムが黄変するなどの成形不良が発生するおそれがあ
る。フィルム(A)の厚みは、通常5〜300μm、好
ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜10
0μmの範囲である。厚みが薄すぎる場合は、積層時の
取り扱いが困難となり、厚すぎる場合は、積層後の乾燥
時間が長くなって生産性が低下する。
【0026】フィルム(A)は、上記のノルボルネン系
重合体樹脂又はビニル脂環式炭化水素重合体樹脂以外
に、必要に応じて、プラスチックフィルムに一般的に配
合することができる添加剤を含有していてもよい。その
ような添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安
定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、及び
充填剤などが挙げられ、その含有量は本発明の目的を損
ねない範囲で選択することができる。
【0027】フィルム(A)は、その表面の濡れ張力
が、好ましくは40mN/m以上、より好ましくは50
mN/m以上、さらに好ましくは55mN/m以上であ
る。表面の濡れ張力が上記範囲にあると、フィルム
(A)と偏光膜(B)との接着強度が向上する。表面の
濡れ張力を調整するために、例えば、コロナ放電処理、
オゾンの吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処
理、その他公知の表面処理を施すことができる。
【0028】無延伸層(C) 本発明に用いられる無延伸層(C)は、ビニルアルコー
ル重合体(PVAということがある)からなる層であ
る。本発明に用いられるPVAは、ポバールとして一般
的に知られている従来公知のポリマーである。このPV
Aは、例えば、ビニルエステル単量体を主体とするビニ
ル単量体を従来公知の方法で重合して、ビニルエステル
重合体(すなわち、ビニルエステル単量体の単独重合
体、2種以上のビニルエステル単量体の共重合体、及び
ビニルエステル単量体と他のエチレン性不飽和単量体と
の共重合体)を得、次いでこのビニルエステル重合体を
常法によりけん化することによって容易に得られる。本
発明において使用するPVAのけん化度は、好ましくは
70〜99%であり、重合度が200〜3000であ
る。本発明に使用するPVAは、本発明の目的を損なわ
せない範囲で、例えば、アクリル酸、クロトン酸、イタ
コン酸等が数モル%程度共重合したものであってもよ
く、また、例えば、アルキル基、エポキシ基、カルボニ
ル基、シラノール基、又はチオール基等を有する化合物
をグラフト付加等させて変性したものであってもよい。
【0029】層(C)には、PVA以外に硬化剤を含有
させることができる。硬化剤としては例えばイソシアネ
ート構造を有する化合物や、ホウ酸などが挙げられる。
これら硬化剤の添加量は、該PVAの水溶液の保存安定
性を低下させない範囲で適宜に選択することができる。
【0030】層(C)は、本発明の目的を損なわない範
囲で、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤などのカップリング剤;テルペン樹脂、フェノー
ル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシ
レン樹脂などの粘着付与剤;炭酸カルシウム、クレー、
酸化チタン、カーボンブラックなどの無機充填剤;エア
ロジル、ディスバロンなどの揺変剤;紫外線吸収剤、酸
化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤
等を含有していてもよい。
【0031】層(C)の厚みは、0.01〜20μmが
好ましく、0.05〜10μmがより好ましい。厚みが
0.01μm未満であると厚みの制御が困難になり、2
0μmを超過すると偏光膜の耐久性などが低下する。
【0032】偏光膜(B) 本発明に使用する偏光膜(B)は、偏光子としての機能
を有するものであれば特に限定されない。例えば、
(1)ビニルアルコール重合体(PVA)・ヨウ素系偏
光膜、(2)PVA系フィルムに二色性染料を吸着配向
させた、PVA・染料系偏光膜、(3)PVA系フィル
ムより脱水反応を誘起させたり、ポリ塩化ビニルフィル
ムの脱塩酸反応により、ポリエンを形成させたポリエン
系偏光膜、(4)分子内にカチオン基を含有する変性P
VAからなるPVA系フィルムの表面および/または内
部に二色性染料を有する偏光膜などが挙げられるが、偏
光膜の初期偏光性能の観点からは、(1)PVA・ヨウ
素系偏光膜が好ましく、耐熱性の観点からは(2)PV
A・染料系偏光膜が好ましい。偏光膜の製造方法も特に
限定されない。例えば、PVA系フィルムを延伸後ヨ
ウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムを二
色性染料による染色後延伸する方法、PVA系フィル
ムを延伸後二色性染料で染色する方法、二色性染料を
PVA系フィルムに印刷後延伸する方法、PVA系フ
ィルムを延伸後二色性染料を印刷する方法などの公知の
方法が挙げられる。例えば、の方法は、より詳細に
は、ヨウ素をヨウ化カリウム溶液に溶解してヨウ素イオ
ンを作り、このイオンをPVAフィルムに吸着させて延
伸し、次いで1〜4%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40
℃で浸漬して偏光膜を製造する。の方法は、より詳細
には、PVAフィルムをと同様にホウ酸水溶液に浸漬
し、次いで一軸方向に3〜7倍程度延伸し、0.05〜
5%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬し
て染料を吸着させ、80〜100℃で乾燥して熱固定し
て偏光膜を製造する。
【0033】本発明の積層体の構成としては、フィルム
(A)と偏光膜(B)とが、層(C)を介して積層され
てなる3種3層積層体、偏光膜(B)の両面に、フィル
ム(A)がそれぞれ層(C)を介して積層されてなる3
種5層積層体などが挙げられるが、偏光膜の耐久性等の
観点から、上記3種5層積層体が好ましい。本発明の積
層体の製造方法は、フィルム(A)及び偏光膜(B)の
少なくともいずれかの一面に、ビニルアルコール重合体
の溶液を塗布し、次いで、前記フィルム(A)と偏光膜
(B)とを貼り合わせることを含むことを特徴とする。
前記PVAの溶液は、フィルム(A)及び偏光膜(B)
の両方に塗布してもよい。また、偏光膜(B)の両面に
フィルム(A)を接着してもよく、その場合には、偏光
膜の両面に前記PVAの溶液を塗布してもよい。
【0034】上記方法は、更に詳細に、(1)少なくと
もフィルム(A)又は偏光膜(B)のいずれか一方にP
VAの溶液を塗布し、塗膜が乾燥しないうちにフィルム
(A)と偏光膜(B)とを貼り合わせ、次いで溶媒を除
去して接着する方法(所謂、ウェットラミネーショ
ン)、及び、(2)少なくともフィルム(A)又は偏光
膜(B)のいずれか一方にPVAの溶液を塗布し、次い
で溶媒をほぼ除去して塗膜をほぼ乾燥させてからフィル
ム(A)と偏光膜(B)とを貼り合わせ、加圧及び/又
は加熱等により接着する方法(所謂、ドライラミネーシ
ョン)が挙げられる。
【0035】(1)ウェットラミネーションの場合は、
例えば、積層後の層(C)の厚み及び塗工性等を考慮
し、固形分濃度が例えば0.1〜50重量%となるよう
に、PVAを溶媒に溶解させた後、メイヤバー、グラビ
アコーター、マイクログラビアコーター等で該溶液を偏
光膜(B)又は/及びフィルム(A)に塗工又は滴下
し、積層体を例えば2本のロールなどでラミネートしな
がら溶媒を加熱等により除去する。用いるPVA溶液の
粘度は、好ましくは10〜20000cp(センチポア
ズ)、より好ましくは100〜12000cpの範囲で
ある。10cp未満であると、ラミネート時の加圧によ
って溶液が積層体の外に余分に流れ出し層(C)の厚み
が薄くなり、一方、20000cpを超えると、塗工性
が低下する。ウェットラミネーションにおいては溶媒に
水を用いると積層体の各層間の接着強度に優れるために
好ましく、さらに、トリアセチルセルロースの層を用い
ていた従来の偏光板の製造設備をそのままフィルム
(A)の接着設備として有効利用できる。
【0036】(2)ドライラミネーションの場合は、例
えば、積層後の層(C)の厚み、塗工性等を考慮し、適
当な固形分濃度となるようにPVAを溶媒に溶解し、バ
ーコーター、ロールコーター、グラビアコーター等で偏
光膜(B)又は/及びフィルム(A)に塗工し、乾燥炉
を通すなどの手段を用いて塗膜中の溶媒を除去する。加
熱温度は、好ましくは、常温〜130℃の範囲に設定す
る。偏光膜(B)と層(C)とのラミネートは、例えば
2本のロール等を用いて、好ましくは98〜980kP
aの圧力をかけて圧着することにより行う。その際、偏
光膜の光学性能を低下させない範囲で積層体を加熱して
もよく、その温度は好ましくは120℃以下、より好ま
しくは30〜100℃である。用いるPVA溶液の粘度
の好ましい範囲はウェットラミネーションの場合と同様
である。粘度が10cp未満であると溶媒の除去に時間
がかかり生産性が低下し、20000cpを超えると塗
工性が低下する。ドライラミネーションにおいては溶媒
に有機溶剤を用いると積層体の各層間の接着強度に優れ
るために好ましい。
【0037】(1)ウェットラミネーション及び(2)
ドライラミネーションのいずれにおいても、フィルム
(A)と偏光膜(B)とのラミネートは、公知のいかな
る手段を用いてもよいが、ニップロールによるのが簡便
で、且つ、生産性にも優れるので好ましい。ニップロー
ルとしてはゴムロールと金属ロール、又はゴムロールと
ゴムロールとを組み合わせることができる。ラミネート
時の圧力は、ニップ線圧で通常1〜100kgf/c
m、好ましくは3〜30kgf/cmである。
【0038】上記(1)及び(2)それぞれの方法で得
られた積層体は、養生、すなわち一定時間放置すること
により層(C)と各層との接着強度、各層の耐久性等を
向上させることができる。養生の条件は、常温又は加温
(例えば、約40℃位)にて、24〜72時間程度放置
しておくのが好ましい。また、PVAが前述の硬化剤を
含有する場合は、層(C)を加熱して硬化させることに
より、層(C)と各層との接着強度、層(C)の耐久
性、機械的強度等を向上させることができる。塗膜の加
熱温度、硬化温度、それぞれの時間等は硬化剤の種類等
により最適な範囲にする。また、フィルム(A)と偏光
膜(B)は、貼り合わせた後、圧力をかけることにより
層(C)の厚みをコントロールするのが好ましい。
【0039】上記の方法により得られた本発明の積層体
は、偏光機能を有するので、例えば、サングラス、カメ
ラ用フィルター、スポーツゴーグル、照明用グローブ、
自動車用防眩ヘッドライト、遮光ウィンドウガラス、光
量調整フィルター、蛍光表示コントラスター、透光度連
続変化板、顕微鏡用偏光フィルム等の広範な分野に利用
することができる。さらに、本発明の積層体は、光学性
能、耐久性に優れるために、特に液晶ディスプレイ(L
CD)の偏光フィルム、偏光板に好適に使用することが
できる。特に偏光フィルム、偏光板として使用する場合
には、フィルム(A)は保護フィルムとして機能する。
偏光フィルムや偏光板における保護フィルムは、偏光膜
の耐久性能、特に偏光度を維持させる機能を有し、少な
くとも偏光膜の片面(LCD用の場合は好ましくはLC
D側の面)に設けられている必要がある。
【0040】
【実施例】以下、本発明について、製造例、実施例及び
比較例を挙げて、より具体的に説明するが、本発明の範
囲はこれらの例に限定されるものではない。これらの例
において、[部]は、特に断りのない限り、重量基準で
ある。また、各種物性の測定法は、次の通りである。
【0041】(1)ガラス転移温度(Tg)は、示差走
査熱量計(DSC法)により測定した。 (2)分子量は、特に記載しない限り、シクロヘキサン
を溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)で測定されるポリイソプレン換算値として測
定した。 (3)耐久試験 積層フィルムを下記の環境下に順次さらした。その後、
積層フィルムの透明性、ヘイズの発生及び着色等の有無
などを外観目視観察して光学性能の安定性を評価した。 高温環境:80℃、湿度50%、500時間 高温高湿度環境その1:温度60℃、湿度90%、
500時間 高温高湿度環境その2:温度80℃、湿度90%、
100時間 低温環境:−30℃、湿度10%、500時間 耐水環境:温度80℃、湿度90%にて、積層フィ
ルム上にウエットティッシュを載せて30分放置する。 光学性能安定性試験の後、該積層フィルムを光学顕微鏡
により観察し、接着層と両フィルムとの界面に、剥離、
膨れ等の界面不良がないかを観察して接着界面の状態を
評価した。
【0042】〔製造例1〕窒素雰囲気下、脱水したシク
ロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブ
チルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム
0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に
保ちながら、トリシクロ[4.3.0.1 2,5]デカ
−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DC
Pと略記)80部、1,4−メタノ−1,4,4a,9
a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)5
0部、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,1 ]−ドデカ−3−エン(以下、TCDと略記)
70部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩
化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、
2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチ
ルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコ
ール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応
を停止させた。
【0043】次いで、得られた開環重合体を含有する反
応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加
え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒
(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加
圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時
間反応させ、DCP/MTF/TCD開環重合体水素化
ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により
水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セ
プトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャリテ
ィ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得
られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重
合体100部あたり0.1部)。次いで、溶液から、溶
媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒
型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去しつつ水素
化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出
し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノル
ボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の
残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法に
よる)から計算したところ、DCP/MTF/TCD=
40/25/35でほぼ仕込組成に等しく、ノルボルナ
ン環構造を有さない繰り返し単位の含有量は65%であ
った。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量
(Mw)は35,000、水素添加率は99.9%、T
gは134℃であった。
【0044】〔製造例2〕ノルボルネン系モノマー混合
物を、MTF120部、TCD80部から成る混合物に
変え、水素化反応温度を180℃に変えた以外は、製造
例1同様に重合反応、水素化反応、回収を行い、MTF
/TCD開環共重合体水素添加物を得た。MTF/TC
D=60/40で、ノルボルナン環構造を有さない繰り
返し単位の含有量は60%であった。この開環重合体水
素添加物の、重量平均分子量(Mw)は33,000、
水素添加率は99.9%、Tgは163℃であった。
【0045】〔製造例3〕十分に乾燥し窒素置換した、
攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロ
ヘキサン320部、スチレンモノマー60部、及びジブ
チルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しなが
らn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)
0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合
反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー8部
とイソプレンモノマー12部とからなる混合モノマー2
0部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応
溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応
を停止させた。得られたブロック共重合体の重量平均分
子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したと
ころ、Mw=102,100、Mw/Mn=1.11で
あった。
【0046】次いで、上記重合反応溶液400部を、攪
拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒とし
て、シリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮化学工
業社製;E22U、ニッケル担持量60%)10部を添
加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さら
に溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度160℃、圧
力4.5MPaにて8時間水素化反応を行った。以降、
製造例1同様にポリマーを回収した。得られたブロック
共重合体は、スチレン由来の繰り返し単位を含有するブ
ロック(以降Stと略記する)、及びスチレンとイソプ
レン由来の繰り返し単位を含有するブロック(以降St
/Ipと略記する)とからなる2元ブロック共重合体で
あり、それぞれのブロックのモル比は、St:St/I
p=69:31(St:Ip=10:21)であった。
該ブロック共重合体のMwは85100、Mw/Mnは
1.17、主鎖及び芳香環の水素化率は99.9%、T
gは126.5℃であった。
【0047】〔比較製造例4〕8−メチル−8−メトキ
シカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.1
7,10〕−3−ドデセン250部と、分子量調節剤で
ある1−ヘキセン27部と、トルエン500部とを、窒
素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これ
に、重合触媒であるトリエチルアルミニウム(1.5モ
ル/L)のトルエン溶液0.58部と、t−ブタノール
およびメタノールでWClを変性し、t−ブタノール
とメタノールおよびタングステンのモル比が0.35:
0.3:1とされたWCl溶液(濃度0.05モル/
L)2.5部とを加え、80℃で3時間、加熱・攪拌し
て、重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化
率は、97%であった。得られた重合体溶液4,000
部をオートクレーブに入れ、これにRuHCl(CO)
〔P(Cを0.48部加え、水素ガス圧
を9MPa、反応温度165℃の条件で3時間、加熱・
攪拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液を冷
却したのち、水素ガスを放圧し、水素添加重合体溶液を
得た。ポリマー溶液を大量のメタノールで凝固、乾燥さ
せてポリマーを単離した。このポリマーのガラス転移温
度(Tg)は170℃、水素添加率は実質上100%で
あり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(M
w)=55,000であった。尚、ノルボルナン環構造
を有さない繰り返し単位の割合は0%であった。
【0048】〔実施例1〕製造例1で得られたペレット
を、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時
間乾燥して水分を除去した後、65mmφのスクリュー
を備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融
押出し成形機を使用し、溶融樹脂温度220℃、Tダイ
の幅300mmの成形条件にて、厚さ40μmのフィル
ム(A)を押出し成形した。得られたフィルムを長さ方
向300mmにカットし、空気中にて、表面に放電量1
00W/m・分のコロナ放電処理を行った。フィルム
(A)表面の濡れ張力は70mN/m以上であった。上
記フィルムの表面に、PVA(クラレ社製:PVA20
3 ケン化度86.5〜89.5%)の10%水溶液を
滴下し、次いで、該フィルム(A)に、同サイズの未染
色PVA2軸延伸フィルム(B)(日本合成化学工業
(株)製偏光膜:ボブロン#140(膜厚:14μ
m))を貼り合わせてロールラミネータに設置し、PV
A水溶液が乾燥しないうちにラミネートした。次いで、
積層フィルムを40℃にて72時間放置して各層を完全
に接着させた。無延伸層(C)の厚さは1μmであっ
た。得られた積層フィルムに上記耐久試験を行い評価し
た。結果を表1に記載する。
【0049】
【表1】
【0050】〔実施例2,3〕それぞれ、製造例2,3
で得られた重合体樹脂ペレットを使用してフィルム
(A)を成形した以外は、実施例1同様に積層フィルム
を製造して評価した。結果を表1に記載する。
【0051】〔比較例1〕実施例1同様の方法で得られ
たフィルム(A)に、アクリル系粘着剤(ノガワケミカ
ル社製、DD−624)をバーコーターを用いて厚さ2
0μmに塗布し、80℃で2分間乾燥した。次いで、実
施例1で用いたものと同様のPVAフィルム(B)の片
面に、アクリル系粘着剤層(C)を介して前記フィルム
(A)を貼り付け、90℃で2分間保ち、5kg/cm
に加圧して接着して積層フィルムを製造した。以降、
実施例1同様に評価した。結果を表1に記載した。
【0052】〔比較例2〕製造例4で得られた重合体樹
脂ペレットを使用してフィルム(A)を成形した以外
は、実施例1同様に積層フィルムを製造して評価した。
結果を表1に記載する。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、過酷な使用環境下での
耐久性、及び光学性能の安定性に優れた偏光フィルムを
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA22 BB22 BB43 BC10 BC22 4F100 AK02A AK21B AK21C AR00C BA03 BA07 BA10A BA10C BA15 EH46B EJ37C GB90 JL00 JN10 JN10C YY00A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)ノルボルネン系モノマーに由来し
    ノルボルナン環構造を有さない繰り返し単位を、重合体
    全繰り返し単位中に30重量%以上含有するノルボルネ
    ン系重合体樹脂又は(2)ビニル脂環式炭化水素重合体
    樹脂からなるフィルム(A)が、ビニルアルコール重合
    体からなる無延伸層(C)を介して、偏光膜(B)の少
    なくとも一面に形成されてなる積層体。
  2. 【請求項2】 ノルボルネン系モノマーに由来しノルボ
    ルナン環構造を有さない繰り返し単位が、ジシクロペン
    タジエン若しくはその誘導体を開環重合して得られる繰
    り返し単位及び/又はメタノテトラヒドロフルオレン若
    しくはその誘導体を開環重合して得られる繰り返し単位
    である請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 偏光膜(B)が、ビニルアルコール重合
    体系延伸フィルムからなる請求項1又は2のいずれかに
    記載の積層体。
  4. 【請求項4】 (1)ノルボルネン系モノマーに由来し
    ノルボルナン環構造を有さない繰り返し単位を、重合体
    全繰り返し単位中に30重量%以上含有するノルボルネ
    ン系重合体樹脂若しくは(2)ビニル脂環式炭化水素重
    合体樹脂からなるフィルム(A)及び偏光膜(B)の少
    なくともいずれかの一面に、ビニルアルコール重合体の
    溶液を塗布し、次いで、前記フィルム(A)と偏光膜
    (B)とを貼り合わせることを含む、ビニルアルコール
    重合体からなる無延伸層(C)を介してフィルム(A)
    が偏光膜(B)の少なくとも一面に形成されてなる積層
    体を製造する方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008110590A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Mitsubishi Rayon Co Ltd レンズシート製造方法
WO2011158677A1 (ja) 2010-06-15 2011-12-22 コニカミノルタオプト株式会社 太陽光反射用フィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置

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WO2011158677A1 (ja) 2010-06-15 2011-12-22 コニカミノルタオプト株式会社 太陽光反射用フィルムミラー及び太陽熱発電用反射装置

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