JP2003207008A - トロイダル型無段変速機のローディングカム装置の保持器 - Google Patents
トロイダル型無段変速機のローディングカム装置の保持器Info
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- Friction Gearing (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ローディングカムの耐性を向上させつつ、保
持器本体の姿勢保持を図ることができるトロイダル型無
段変速機のローディングカム装置の保持器を提供する。 【解決手段】 トロイダル型無段変速機のローディング
カム側のカム面と入力ディスク側のカム面との間に介在
され、前記カム面に転動自在に保持された転動体を有す
るローディングカム装置の保持器７Ａにおいて、前記ロ
ーディングカムと嵌合する円形の嵌合孔３０を有する本
体７ａと、本体７ａの姿勢を保持するために本体７ａに
設けられた突出部３４とを備え、嵌合孔３０は、突出部
３４が形成される本体部分と対応する部位３０ａの内径
Ｒ’が、その他の部位３０ｂの内径Ｒよりも大きい。
持器本体の姿勢保持を図ることができるトロイダル型無
段変速機のローディングカム装置の保持器を提供する。 【解決手段】 トロイダル型無段変速機のローディング
カム側のカム面と入力ディスク側のカム面との間に介在
され、前記カム面に転動自在に保持された転動体を有す
るローディングカム装置の保持器７Ａにおいて、前記ロ
ーディングカムと嵌合する円形の嵌合孔３０を有する本
体７ａと、本体７ａの姿勢を保持するために本体７ａに
設けられた突出部３４とを備え、嵌合孔３０は、突出部
３４が形成される本体部分と対応する部位３０ａの内径
Ｒ’が、その他の部位３０ｂの内径Ｒよりも大きい。
Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用の変速機
などに利用可能なトロイダル型無段変速機に係り、特
に、トロイダル型無段変速機に組み込まれるローディン
グカム装置の保持器の改良に関する。 【０００２】 【従来の技術】図４には、自動車用変速機として利用可
能な従来のトロイダル型無段変速機が示されている。こ
のトロイダル型無段変速機は、いわゆるダブルキャビテ
ィ型の高トルク用トロイダル型無段変速機であり、２つ
の入力側ディスク２，２と２つの出力側ディスク３，３
とが、入力軸１の外周に取り付けられて成る。また、入
力軸１の中間部の外周には出力歯車４が回転自在に支持
されている。この出力歯車４の中心部に設けられた円筒
状のフランジ部４ａ，４ａには、出力側ディスク３，３
がスプライン係合によって連結されている。 【０００３】また、入力軸１は、ローディングカム装置
１２を介して、駆動軸２２により回転駆動されるように
なっている。具体的には、図中左側に位置する入力側デ
ィスク２と入力軸１との間にローディングカム装置１２
が設けられており、このローディングカム装置１２によ
って、入力側ディスク２を出力側ディスク４に向け弾性
的に押圧しつつ、この入力側ディスク２を回転駆動自在
としている。このローディングカム装置１２は、入力軸
１と共に回転するローディングカム（カム板）１２ａ
と、保持器７により転動自在に保持された複数個（例え
ば４個）のローラ（転動体）１２ｂとから構成されてい
る。ローディングカム１２ａの片側面（図４の右側面）
には、円周方向に亙る凹凸であるカム面１１３が形成さ
れ、入力側ディスク２の外側面（図４の左側面）にも、
同様の形状を有するカム面１１４が形成されている。な
お、出力歯車４は、２つの部材の結合によって構成され
た仕切壁１３を介してハウジング１４内に支持されてお
り、これにより、軸線Ｏを中心に回転できる一方で、軸
線Ｏ方向の変位が阻止されている。 【０００４】出力側ディスク３，３は、入力軸１との間
に介在されたニードル軸受５，５によって、入力軸１の
軸線Ｏを中心に回転自在に支持されている。また、入力
側ディスク２，２は、入力軸１と共に回転するように、
その入力軸１の両端部にボールスプライン６，６を介し
て支持されている。また、入力側ディスク２，２の内面
（凹面）２ａ，２ａと出力ディスク３，３の内面（凹
面）３ａ，３ａとの間には、パワーローラ１１が回転自
在に挟持されている。 【０００５】図４中右側に位置する入力側ディスク２
は、その背面（図４の右面）が、大きな弾力を有する皿
板ばね１０を介して、ローディングナット９に突き当て
られており、入力軸１に対する軸方向（図４の左右方
向）の変位が実質的に阻止されている。入力軸１の端部
にはフランジ状の鍔部１ａが形成されており、この鍔部
１ａの片側面には、アンギュラ型の内輪軌道６２が形成
されている。そして、この内輪軌道６２と、ベアリング
支持部材（外輪）６３の内周面に形成されたアンギュラ
型の外輪軌道６４との間には、複数個の玉６５が介挿さ
れている。すなわち、鍔部１ａとベアリング支持部材６
３と玉６５は、スラスト荷重を支承自在なアンギュラ型
の玉軸受６６を構成している。 【０００６】ベアリング支持部材６３の外周面には、円
筒面６７と鍔部５３とが設けられている。そして、ロー
ディングカム１２ａの径方向中間部に設けられた円筒部
５６を円筒面６７にガタつき無く且つ軸方向に変位可能
に外嵌するために、鍔部５３とローディングカム１２ａ
の中間部外側面との間には、ガタ付き防止用皿板ばね５
７が介挿されている。 【０００７】また、ベアリング支持部材６３の径方向内
側部位と入力側ディスク２との間には、スラストニード
ル軸受５５と、予圧ばねである皿板ばね４２とが、軸方
向に沿って互いに直列に配置されている。皿板ばね４２
は、皿板ばね１０に比べて小さな弾力を有し、各ディス
ク２，２，３，３の凹面２ａ，２ａ，３ａ，３ａとパワ
ーローラ１１，１１の周面との各当接部に予圧を付与す
る。すなわち、ローディングカム装置１２が推力を発生
していない場合、あるいは、発生してもそれが小さい場
合であっても、前記各当接部の当接圧を確保して、トロ
イダル型無段変速機により小さなトルクも伝達自在とし
ている。 【０００８】したがって、上記構成の無段変速機では、
駆動軸２２から入力軸１に回転力が入力されると、入力
軸１の回転に伴ってローディングカム１２ａが回転し、
カム面１１３が複数個のローラ１２ｂを入力側ディスク
２の外側面に形成したカム面１１４に押圧する。これに
より、入力側ディスク２が複数のパワーローラ１１に押
圧されると同時に、両カム面１１３、１１４と複数のロ
ーラ１２ｂとの押し付け合いに基づいて、入力側ディス
ク２が回転する。そして、この入力側ディスク２の回転
が、複数のパワーローラ８、８を介して、一定の変速比
で、出力側ディスク４に伝達される。また、出力側ディ
スク３，３の回転は、出力歯車４から伝達歯車１５およ
び伝達軸１６などを介して、出力軸１７に伝達される。 【０００９】 【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した構
成のトロイダル型無段変速機におけるローディングカム
装置１２の保持器７は、図５に示されるように金属板で
円環状に形成された保持器本体７ａから成る。また、保
持器本体７ａは、ローディングカム１２ａのボス部２８
と嵌合する円形の嵌合孔３０を中央に有している。ま
た、保持器本体７ａの外周部には、周方向に等間隔に、
例えば４つの凸部３１が一体に設けられ、各凸部３１に
はローラ１２ｂを保持するポケット３２が設けられてい
る。 【００１０】また、前述したように、ローディングカム
装置１２では、ローディングカム１２ａのカム面１１３
の凹凸形状によって複数個のローラ１２ｂが入力側ディ
スク２上のカム面１１４へと押し付けられ、その結果、
入力側ディスク２および出力側ディスク３の内周面２
ａ，３ａとパワーローラ１１の周面とが強く押し付けら
れる。そのため、ローディングカム１２ａは、複数のロ
ーラ１２ｂから入力軸１の軸方向で強い力を受けること
となり、特に応力が集中するカム面１１３とボス部２８
との繋ぎ部（段差部・・・図６の（ａ）参照）２８ａで
耐力が問題となる。したがって、繋ぎ部２８ａでの耐力
を向上させるため、図６の（ｂ）に示されるように繋ぎ
部２８ａを円弧状に形成したり、図６の（ｃ）に示され
るように繋ぎ部２８ａに円弧状の逃げ部３９を設けたり
している。 【００１１】また、このようなローディングカム装置１
２の構成において、ローディングカム１２ａにトルクが
入力されると、ローラ１２ｂがカム面１１３，１１４を
上り、ローディングカム１２ａと入力側ディスク２との
間の距離が離れる。したがって、保持器７は、このよう
に距離が離れた場合でも傾かないように、保持器本体７
ａの各凸部３１の外周部に、入力側ディスク２の側に突
出する外径側突出部３３を有するとともに、凸部３１と
対応する嵌合孔３０の内周部位に、ローディングカム１
２ａ側に突出する内径側突出部３４を有している。すな
わち、保持器７は、その径方向内側と径方向外側の両面
に、その倒れを防止する突出部３３，３４を有してい
る。 【００１２】このような突出部３３，３４は、カム面１
１３，１１４との距離を保つことにより保持器７の傾き
を保っているため、ローディングカム１２ａに形成され
た逃げ部３９に落ち込んだり、円弧状の繋ぎ部２８ａと
干渉することは好ましくない。しかしながら、ローディ
ングカム１２ａの耐力を向上させるために、繋ぎ部２８
ａを円弧状に形成したり、繋ぎ部２８ａに逃げ部３９を
設けると、結果として、内径側突出部３４が逃げ部３９
に落ち込んだり（図６の（ｃ）参照）、内径側突出部３
４が繋ぎ部２８ａと干渉し、保持器７の姿勢保持が困難
になるという問題がある。 【００１３】この場合、内径側突出部３４が逃げ部３９
や繋ぎ部２８ａと干渉しないように内径側突出部３４を
保持器本体７ａの更に径方向外側（外径側）に設けるこ
とも考えられるが、保持器７をプレス加工で成形する場
合、すなわち、図７に示されるように、保持器本体７ａ
をブランク打ち抜き加工（図７の（ａ））した後、これ
によって形成された内側突出部４９をしごき上げて（折
り曲げて）内径側突出部３４を形成（塑性加工）する
（図７の（ｂ））場合には、内側突出部４９の径方向位
置が規定されてしまうため、ここから塑性変形される内
径側突出部３４の位置を径方向内側（内径側）から大き
く径方向外側（外径側）にずらすことができず、また、
内径側突出部３４の厚さもその板厚より大きくすること
が難しいため、結果として、突出部３４が逃げ部３９に
落ち込んだり（図６の（ｃ）参照）、突出部３４が繋ぎ
部２８ａと干渉し、保持器７の姿勢保持が困難になる。 【００１４】保持器７は、従来から様々な形状のものが
知られているが（特開平８−２００４６３号公報、特開
平１１−１９３８５６号公報、特開平１１−６３１６５
号公報等参照）、内径側突出部３４と逃げ部３９や繋ぎ
部２８ａとの干渉に配慮した形状のものは未だ提案され
ていない。 【００１５】本発明は、前記事情に着目してなされたも
のであり、ローディングカムの耐性を向上させつつ、保
持器本体の姿勢保持を図ることができるトロイダル型無
段変速機のローディングカム装置の保持器を提供するこ
とを目的とする。 【００１６】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、トロイダル型無段変速機のローディング
カム側のカム面と入力ディスク側のカム面との間に介在
され、前記カム面に転動自在に保持された転動体を有す
るローディングカム装置の保持器において、前記ローデ
ィングカムと嵌合する円形の嵌合孔を有する本体と、前
記本体の姿勢を保持するために前記本体に設けられた突
出部とを備え、前記嵌合孔は、前記突出部が形成される
本体部分と対応する部位の内径が、その他の部位の内径
よりも大きいことを特徴とする。したがって、上記構成
によれば、前記内径の差分だけ前記突出部を従来よりも
径方向外側にずらすことができるため、ローディングカ
ムの耐性を向上させるために前記嵌合孔と嵌合するロー
ディングカムの嵌合部の所定部位を円弧状に形成し或は
前記所定部位に逃げ部を形成しても、前記突出部が前記
逃げ部に落ち込んだり、前記円弧状の部分と干渉するこ
とを未然に防止することができる。すなわち、ローディ
ングカムの耐性を向上させつつ、保持器の姿勢保持を図
ることができる。 【００１７】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴
は、ローディングカム装置の保持器の形状を改良した点
にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成
および作用と同様であるため、以下においては、本発明
の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分につい
ては、図４〜図７と同一の符号を付してその詳細な説明
を省略することにする。 【００１８】図１には、本発明の一実施形態に係るロー
ディングカム装置１２の保持器７Ａが示されている。図
示のように、本実施形態の保持器７Ａにおいて、ローデ
ィングカム１２ａのボス部２８と嵌合する円形の嵌合孔
３０は、内径側突出部３４が形成される凸部３１と対応
する部位（内径側突出部３４が形成される保持器本体７
ａの部分と対応する部位）３０ａの内径Ｒ’だけが、そ
の他の部位３０ｂの内径Ｒよりも大きく設定されてお
り、その内径の差分だけ内径側突出部３４を従来よりも
径方向外側にずらすことができるようになっている。 【００１９】このような構成によれば、内径側突出部３
４が任意の径方向外側位置に設けられるように保持器７
Ａを容易に成形することができ、図２に示されるように
保持器７Ａをローディングカム装置１２として組み込ん
だ際、内径側突出部３４が逃げ部３９に落ち込むことは
なく（図３の（ｂ）参照）、また、内径側突出部３４が
繋ぎ部２８ａと干渉することもなく（図３の（ａ）参
照）、保持器７Ａの姿勢を確実に保持することができ
る。言い換えると、内径側突出部３４が逃げ部３９に落
ち込んだり繋ぎ部２８ａと干渉することがないため、繋
ぎ部２８ａを円弧状に形成したり、繋ぎ部２８ａに円弧
状の逃げ部３９を設けたりして、繋ぎ部２８ａでの耐力
を向上させることができる。つまり、本実施形態によれ
ば、ローディングカム１２ａの耐性を向上させつつ、保
持器７Ａの姿勢保持を図ることができる。なお、図７に
は保持器７Ａの成形工程が示されている。保持器本体７
ａをブランク打ち抜き加工（図７の（ａ））した後、こ
れによって形成された内側突出部４９，５０をしごき上
げて（折り曲げて）内径側突出部３４および外径突出部
３３を形成（塑性加工）する（図７の（ｂ））。 【００２０】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
嵌合孔の内径の差分だけ突出部を従来よりも径方向外側
にずらすことができるため、ローディングカムの耐性を
向上させるために前記嵌合孔と嵌合するローディングカ
ムの嵌合部の所定部位を円弧状に形成し或は前記所定部
位に逃げ部を形成しても、前記突出部が前記逃げ部に落
ち込んだり、前記円弧状の部分と干渉することを未然に
防止することができる。すなわち、ローディングカムの
耐性を向上させつつ、保持器の姿勢保持を図ることがで
きる。
などに利用可能なトロイダル型無段変速機に係り、特
に、トロイダル型無段変速機に組み込まれるローディン
グカム装置の保持器の改良に関する。 【０００２】 【従来の技術】図４には、自動車用変速機として利用可
能な従来のトロイダル型無段変速機が示されている。こ
のトロイダル型無段変速機は、いわゆるダブルキャビテ
ィ型の高トルク用トロイダル型無段変速機であり、２つ
の入力側ディスク２，２と２つの出力側ディスク３，３
とが、入力軸１の外周に取り付けられて成る。また、入
力軸１の中間部の外周には出力歯車４が回転自在に支持
されている。この出力歯車４の中心部に設けられた円筒
状のフランジ部４ａ，４ａには、出力側ディスク３，３
がスプライン係合によって連結されている。 【０００３】また、入力軸１は、ローディングカム装置
１２を介して、駆動軸２２により回転駆動されるように
なっている。具体的には、図中左側に位置する入力側デ
ィスク２と入力軸１との間にローディングカム装置１２
が設けられており、このローディングカム装置１２によ
って、入力側ディスク２を出力側ディスク４に向け弾性
的に押圧しつつ、この入力側ディスク２を回転駆動自在
としている。このローディングカム装置１２は、入力軸
１と共に回転するローディングカム（カム板）１２ａ
と、保持器７により転動自在に保持された複数個（例え
ば４個）のローラ（転動体）１２ｂとから構成されてい
る。ローディングカム１２ａの片側面（図４の右側面）
には、円周方向に亙る凹凸であるカム面１１３が形成さ
れ、入力側ディスク２の外側面（図４の左側面）にも、
同様の形状を有するカム面１１４が形成されている。な
お、出力歯車４は、２つの部材の結合によって構成され
た仕切壁１３を介してハウジング１４内に支持されてお
り、これにより、軸線Ｏを中心に回転できる一方で、軸
線Ｏ方向の変位が阻止されている。 【０００４】出力側ディスク３，３は、入力軸１との間
に介在されたニードル軸受５，５によって、入力軸１の
軸線Ｏを中心に回転自在に支持されている。また、入力
側ディスク２，２は、入力軸１と共に回転するように、
その入力軸１の両端部にボールスプライン６，６を介し
て支持されている。また、入力側ディスク２，２の内面
（凹面）２ａ，２ａと出力ディスク３，３の内面（凹
面）３ａ，３ａとの間には、パワーローラ１１が回転自
在に挟持されている。 【０００５】図４中右側に位置する入力側ディスク２
は、その背面（図４の右面）が、大きな弾力を有する皿
板ばね１０を介して、ローディングナット９に突き当て
られており、入力軸１に対する軸方向（図４の左右方
向）の変位が実質的に阻止されている。入力軸１の端部
にはフランジ状の鍔部１ａが形成されており、この鍔部
１ａの片側面には、アンギュラ型の内輪軌道６２が形成
されている。そして、この内輪軌道６２と、ベアリング
支持部材（外輪）６３の内周面に形成されたアンギュラ
型の外輪軌道６４との間には、複数個の玉６５が介挿さ
れている。すなわち、鍔部１ａとベアリング支持部材６
３と玉６５は、スラスト荷重を支承自在なアンギュラ型
の玉軸受６６を構成している。 【０００６】ベアリング支持部材６３の外周面には、円
筒面６７と鍔部５３とが設けられている。そして、ロー
ディングカム１２ａの径方向中間部に設けられた円筒部
５６を円筒面６７にガタつき無く且つ軸方向に変位可能
に外嵌するために、鍔部５３とローディングカム１２ａ
の中間部外側面との間には、ガタ付き防止用皿板ばね５
７が介挿されている。 【０００７】また、ベアリング支持部材６３の径方向内
側部位と入力側ディスク２との間には、スラストニード
ル軸受５５と、予圧ばねである皿板ばね４２とが、軸方
向に沿って互いに直列に配置されている。皿板ばね４２
は、皿板ばね１０に比べて小さな弾力を有し、各ディス
ク２，２，３，３の凹面２ａ，２ａ，３ａ，３ａとパワ
ーローラ１１，１１の周面との各当接部に予圧を付与す
る。すなわち、ローディングカム装置１２が推力を発生
していない場合、あるいは、発生してもそれが小さい場
合であっても、前記各当接部の当接圧を確保して、トロ
イダル型無段変速機により小さなトルクも伝達自在とし
ている。 【０００８】したがって、上記構成の無段変速機では、
駆動軸２２から入力軸１に回転力が入力されると、入力
軸１の回転に伴ってローディングカム１２ａが回転し、
カム面１１３が複数個のローラ１２ｂを入力側ディスク
２の外側面に形成したカム面１１４に押圧する。これに
より、入力側ディスク２が複数のパワーローラ１１に押
圧されると同時に、両カム面１１３、１１４と複数のロ
ーラ１２ｂとの押し付け合いに基づいて、入力側ディス
ク２が回転する。そして、この入力側ディスク２の回転
が、複数のパワーローラ８、８を介して、一定の変速比
で、出力側ディスク４に伝達される。また、出力側ディ
スク３，３の回転は、出力歯車４から伝達歯車１５およ
び伝達軸１６などを介して、出力軸１７に伝達される。 【０００９】 【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した構
成のトロイダル型無段変速機におけるローディングカム
装置１２の保持器７は、図５に示されるように金属板で
円環状に形成された保持器本体７ａから成る。また、保
持器本体７ａは、ローディングカム１２ａのボス部２８
と嵌合する円形の嵌合孔３０を中央に有している。ま
た、保持器本体７ａの外周部には、周方向に等間隔に、
例えば４つの凸部３１が一体に設けられ、各凸部３１に
はローラ１２ｂを保持するポケット３２が設けられてい
る。 【００１０】また、前述したように、ローディングカム
装置１２では、ローディングカム１２ａのカム面１１３
の凹凸形状によって複数個のローラ１２ｂが入力側ディ
スク２上のカム面１１４へと押し付けられ、その結果、
入力側ディスク２および出力側ディスク３の内周面２
ａ，３ａとパワーローラ１１の周面とが強く押し付けら
れる。そのため、ローディングカム１２ａは、複数のロ
ーラ１２ｂから入力軸１の軸方向で強い力を受けること
となり、特に応力が集中するカム面１１３とボス部２８
との繋ぎ部（段差部・・・図６の（ａ）参照）２８ａで
耐力が問題となる。したがって、繋ぎ部２８ａでの耐力
を向上させるため、図６の（ｂ）に示されるように繋ぎ
部２８ａを円弧状に形成したり、図６の（ｃ）に示され
るように繋ぎ部２８ａに円弧状の逃げ部３９を設けたり
している。 【００１１】また、このようなローディングカム装置１
２の構成において、ローディングカム１２ａにトルクが
入力されると、ローラ１２ｂがカム面１１３，１１４を
上り、ローディングカム１２ａと入力側ディスク２との
間の距離が離れる。したがって、保持器７は、このよう
に距離が離れた場合でも傾かないように、保持器本体７
ａの各凸部３１の外周部に、入力側ディスク２の側に突
出する外径側突出部３３を有するとともに、凸部３１と
対応する嵌合孔３０の内周部位に、ローディングカム１
２ａ側に突出する内径側突出部３４を有している。すな
わち、保持器７は、その径方向内側と径方向外側の両面
に、その倒れを防止する突出部３３，３４を有してい
る。 【００１２】このような突出部３３，３４は、カム面１
１３，１１４との距離を保つことにより保持器７の傾き
を保っているため、ローディングカム１２ａに形成され
た逃げ部３９に落ち込んだり、円弧状の繋ぎ部２８ａと
干渉することは好ましくない。しかしながら、ローディ
ングカム１２ａの耐力を向上させるために、繋ぎ部２８
ａを円弧状に形成したり、繋ぎ部２８ａに逃げ部３９を
設けると、結果として、内径側突出部３４が逃げ部３９
に落ち込んだり（図６の（ｃ）参照）、内径側突出部３
４が繋ぎ部２８ａと干渉し、保持器７の姿勢保持が困難
になるという問題がある。 【００１３】この場合、内径側突出部３４が逃げ部３９
や繋ぎ部２８ａと干渉しないように内径側突出部３４を
保持器本体７ａの更に径方向外側（外径側）に設けるこ
とも考えられるが、保持器７をプレス加工で成形する場
合、すなわち、図７に示されるように、保持器本体７ａ
をブランク打ち抜き加工（図７の（ａ））した後、これ
によって形成された内側突出部４９をしごき上げて（折
り曲げて）内径側突出部３４を形成（塑性加工）する
（図７の（ｂ））場合には、内側突出部４９の径方向位
置が規定されてしまうため、ここから塑性変形される内
径側突出部３４の位置を径方向内側（内径側）から大き
く径方向外側（外径側）にずらすことができず、また、
内径側突出部３４の厚さもその板厚より大きくすること
が難しいため、結果として、突出部３４が逃げ部３９に
落ち込んだり（図６の（ｃ）参照）、突出部３４が繋ぎ
部２８ａと干渉し、保持器７の姿勢保持が困難になる。 【００１４】保持器７は、従来から様々な形状のものが
知られているが（特開平８−２００４６３号公報、特開
平１１−１９３８５６号公報、特開平１１−６３１６５
号公報等参照）、内径側突出部３４と逃げ部３９や繋ぎ
部２８ａとの干渉に配慮した形状のものは未だ提案され
ていない。 【００１５】本発明は、前記事情に着目してなされたも
のであり、ローディングカムの耐性を向上させつつ、保
持器本体の姿勢保持を図ることができるトロイダル型無
段変速機のローディングカム装置の保持器を提供するこ
とを目的とする。 【００１６】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、トロイダル型無段変速機のローディング
カム側のカム面と入力ディスク側のカム面との間に介在
され、前記カム面に転動自在に保持された転動体を有す
るローディングカム装置の保持器において、前記ローデ
ィングカムと嵌合する円形の嵌合孔を有する本体と、前
記本体の姿勢を保持するために前記本体に設けられた突
出部とを備え、前記嵌合孔は、前記突出部が形成される
本体部分と対応する部位の内径が、その他の部位の内径
よりも大きいことを特徴とする。したがって、上記構成
によれば、前記内径の差分だけ前記突出部を従来よりも
径方向外側にずらすことができるため、ローディングカ
ムの耐性を向上させるために前記嵌合孔と嵌合するロー
ディングカムの嵌合部の所定部位を円弧状に形成し或は
前記所定部位に逃げ部を形成しても、前記突出部が前記
逃げ部に落ち込んだり、前記円弧状の部分と干渉するこ
とを未然に防止することができる。すなわち、ローディ
ングカムの耐性を向上させつつ、保持器の姿勢保持を図
ることができる。 【００１７】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴
は、ローディングカム装置の保持器の形状を改良した点
にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成
および作用と同様であるため、以下においては、本発明
の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分につい
ては、図４〜図７と同一の符号を付してその詳細な説明
を省略することにする。 【００１８】図１には、本発明の一実施形態に係るロー
ディングカム装置１２の保持器７Ａが示されている。図
示のように、本実施形態の保持器７Ａにおいて、ローデ
ィングカム１２ａのボス部２８と嵌合する円形の嵌合孔
３０は、内径側突出部３４が形成される凸部３１と対応
する部位（内径側突出部３４が形成される保持器本体７
ａの部分と対応する部位）３０ａの内径Ｒ’だけが、そ
の他の部位３０ｂの内径Ｒよりも大きく設定されてお
り、その内径の差分だけ内径側突出部３４を従来よりも
径方向外側にずらすことができるようになっている。 【００１９】このような構成によれば、内径側突出部３
４が任意の径方向外側位置に設けられるように保持器７
Ａを容易に成形することができ、図２に示されるように
保持器７Ａをローディングカム装置１２として組み込ん
だ際、内径側突出部３４が逃げ部３９に落ち込むことは
なく（図３の（ｂ）参照）、また、内径側突出部３４が
繋ぎ部２８ａと干渉することもなく（図３の（ａ）参
照）、保持器７Ａの姿勢を確実に保持することができ
る。言い換えると、内径側突出部３４が逃げ部３９に落
ち込んだり繋ぎ部２８ａと干渉することがないため、繋
ぎ部２８ａを円弧状に形成したり、繋ぎ部２８ａに円弧
状の逃げ部３９を設けたりして、繋ぎ部２８ａでの耐力
を向上させることができる。つまり、本実施形態によれ
ば、ローディングカム１２ａの耐性を向上させつつ、保
持器７Ａの姿勢保持を図ることができる。なお、図７に
は保持器７Ａの成形工程が示されている。保持器本体７
ａをブランク打ち抜き加工（図７の（ａ））した後、こ
れによって形成された内側突出部４９，５０をしごき上
げて（折り曲げて）内径側突出部３４および外径突出部
３３を形成（塑性加工）する（図７の（ｂ））。 【００２０】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
嵌合孔の内径の差分だけ突出部を従来よりも径方向外側
にずらすことができるため、ローディングカムの耐性を
向上させるために前記嵌合孔と嵌合するローディングカ
ムの嵌合部の所定部位を円弧状に形成し或は前記所定部
位に逃げ部を形成しても、前記突出部が前記逃げ部に落
ち込んだり、前記円弧状の部分と干渉することを未然に
防止することができる。すなわち、ローディングカムの
耐性を向上させつつ、保持器の姿勢保持を図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）は本発明の一実施形態に係る保持器の縦
断側面図、（ｂ）は（ａ）のＡ方向矢視図である。 【図２】図１の保持器をローディングカム装置に組立た
状態の要部拡大断面図である。 【図３】図２のローディングカム装置におけるローディ
ングカムの繋ぎ部周辺の断面図である。 【図４】従来のトロイダル無段変速機の断面図である。 【図５】（ａ）は従来の保持器の縦断側面図、（ｂ）は
（ａ）のＢ方向矢視図である。 【図６】図５の保持器をローディングカム装置に組立た
状態の要部拡大断面図、および、ローディングカム装置
におけるローディングカムの繋ぎ部周辺の断面図であ
る。 【図７】図１の保持器の成形工程を示す図である。 【符号の説明】 １ 入力軸 ２ 入力側ディスク ３ 出力側ディスク ４ 出力歯車 ７Ａ 保持器 ７ａ 保持器本体（本体） １２ ローディングカム装置 １２ａ ローディングカム １２ｂ ローラ（転動体） ３０ 嵌合孔 ３４ 内径側突出部（突出部） １１３，１１４ カム面
断側面図、（ｂ）は（ａ）のＡ方向矢視図である。 【図２】図１の保持器をローディングカム装置に組立た
状態の要部拡大断面図である。 【図３】図２のローディングカム装置におけるローディ
ングカムの繋ぎ部周辺の断面図である。 【図４】従来のトロイダル無段変速機の断面図である。 【図５】（ａ）は従来の保持器の縦断側面図、（ｂ）は
（ａ）のＢ方向矢視図である。 【図６】図５の保持器をローディングカム装置に組立た
状態の要部拡大断面図、および、ローディングカム装置
におけるローディングカムの繋ぎ部周辺の断面図であ
る。 【図７】図１の保持器の成形工程を示す図である。 【符号の説明】 １ 入力軸 ２ 入力側ディスク ３ 出力側ディスク ４ 出力歯車 ７Ａ 保持器 ７ａ 保持器本体（本体） １２ ローディングカム装置 １２ａ ローディングカム １２ｂ ローラ（転動体） ３０ 嵌合孔 ３４ 内径側突出部（突出部） １１３，１１４ カム面
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Ｆターム(参考） 3J051 AA03 BA03 BB02 BD02 BE09
CA09 CB04 EA06 EB01 EC02
FA01
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項１】 トロイダル型無段変速機のローディング
カム側のカム面と入力ディスク側のカム面との間に介在
され、前記カム面に転動自在に保持された転動体を有す
るローディングカム装置の保持器において、 前記ローディングカムと嵌合する円形の嵌合孔を有する
本体と、 前記本体の姿勢を保持するために前記本体に設けられた
突出部と、 を備え、 前記嵌合孔は、前記突出部が形成される本体部分と対応
する部位の内径が、その他の部位の内径よりも大きいこ
とを特徴とするローディングカム装置の保持器。
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