JP2007040498A - スラストころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラスト荷重支承面である対向面に切欠き等の凹部が存在しても、スラスト荷重を円滑に支承可能にすることである。
【解決手段】本スラストころ軸受4は、切欠き等の凹部2bが有る第2部材2の対向面2aに配置される厚肉レースを、その厚肉レースよりも薄肉とされてレース面12cに複数のころ5が放射状に配置されるL形レース12と、このL形レース12よりも厚肉とされてL形レース12のレース背面12dと凹部有り部材2の対向面2aとの間に配置される平板レース11との少なくとも二枚レース構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、針状スラストころ軸受等のスラストころ軸受に係り、例えば自動車の自動変速機やカークーラー用コンプレッサ等の回転部分に装着されてスラスト荷重を支承するのに適したスラストころ軸受に関する。
自動車の自動変速機等の回転部分に使用されるスラストころ軸受には、例えば特許文献1に示すものがある。図8に、かかる回転部分に使用されるスラストころ軸受を示す。このスラストころ軸受4は、遊星歯車機構の太陽歯車等の第1部材1とハウジングやキャリア等の第2部材2との対向面(スラスト荷重支承面)1a,2a間に介装され、両部材1,2に加わるスラスト荷重を支承することができるようになっている。3は回転軸である。
第1部材1はその内径面が回転軸3にスプライン嵌合されて該回転軸3と一体回転するようになっている。第1部材1の対向面1aにはスラストころ軸受4を収納する凹部1bが設けられている。第2部材2の対向面2aの内径縁にはその円周方向の全体に、あるいは円周方向1箇所ないしは複数の箇所に切欠きや溝等の凹部2bが設けられている。スラストころ軸受4は、放射状に配列された複数のころ5と、これら複数のころ5を転動自在に保持する2つの部材を組み合わせて構成された保持器6,7と、これら複数のころ25を軸方向両側から挟持する一対の第1、第2レース8,9とを備える。第1保持器6は断面L字形状の円環状であり、第2保持器7は断面コ字形状の円環状であり、共にころ5と同数のポケット孔を円周方向に有する。
第1レース8は、金属製の板材をプレス加工し、その後、硬化のための熱処理を施してなるものであり、環状レース部8aと、この環状レース部8aの外周縁全体に形成された筒状フランジ部8bとから構成されている。この筒状フランジ部8bの先端縁には全周もしくは円周方向複数箇所を部分的に径方向内方に折り曲げることにより外側係止部8cを形成し、この外側係止部8cと第1保持器6の外周縁との係合により両保持器6,7と第1レース8との分離防止を図っている。
第1レース8は、両保持器6,7と複数のころ5と共に非分離一体とされて、第1部材1の対向面に設けた円筒状凹部1b内に装着されて、径方向の位置決めがなされている。
第2レース9は、金属製の板材をプレス加工し、その後、硬化のための熱処理を施してなるものであり、環状レース部9aと、この環状レース部9aの内周縁全体に形成された筒状フランジ部9bとから構成されている。第2レース9はその筒状フランジ部9bが第2部材2の内径面2cに係合することにより径方向の位置決めがなされている。第2レース9は、ころ転走面(レース面)が第2部材2の凹部2bの影響を受けて変形することがないように第1レース8の肉厚の数倍程度の厚肉レースの形状に形成されている。
このような構成のスラストころ軸受4においては、第2レース9をプレス加工した後、摩耗防止のために普通焼入れ処理で表面を硬化することが行われるが、この熱処理に際しての熱応力で形状に反りが発生する。このような反り形状はレース面のミスアライメントを来たし、ころにエッジ応力が発生して軸受寿命の低下をもたらす。そのため、レースに荷重をかけて反り形状の矯正を行う必要があるが、第2レース9が一枚物の厚肉形状で高剛性であるので、プレス等での反り形状の矯正が困難である。また、ミスアライメント解消のため第2レース9に研磨加工を施すとしても、第2レース9が円筒状フランジ9bの有るL形レースであるから、該研磨加工も困難である。また、反り形状発生を低減する手段としては、焼入れ温度を低めに設定したり、軟窒化処理を施すことが考えられるが、そのような熱処理に設定すると、レース表面に所要とする耐摩耗性や耐久性を確保することができなくなる。
実開平6−67923号公報
したがって、本発明により解決する課題は、切欠き等の凹部がある部材側のレースを厚肉としてレース面に対する該凹部の影響を抑制可能とする構造を維持すると同時に、全体が厚肉のレース形状でありながらも形状矯正を可能としてミスアライメントの無いスラストころ軸受を提供することである。
本発明によるスラストころ軸受は、少なくとも一方の対向面に凹部が有る二つの相対回転する部材の対向面間に介装されてスラスト荷重を支承し、かつ、凹部が有る部材(第2部材)の対向面側のレースが、板厚が厚肉の環状レース部と、上記第2部材の内径面もしくは外径面に延びる筒状フランジ部とを備えて断面L形とされたレースであるスラストころ軸受において、当該レースを、上記板厚よりも薄肉の環状レース部と第2部材の内径面もしくは外径面に延びる筒状フランジ部とにより断面L形とされたL形レースと、このL形レースよりも厚肉とされてL形レースの背面と第2部材の対向面との間に配置された環状の平板レースとの少なくとも二枚レース構成としたことを特徴とするものである。
第2部材は便宜上の名称にすぎず、本発明を限定するものではない。上記凹部は、第2部材の対向面のどこに形成するかに限定されないが、例えば、内径側もしくは外径側の周縁に円周方向1箇所または複数箇所あるいは全周に設けることができる。凹部は切欠きあるいは溝等であり、その形状には限定されない。
上記両部材のうちの第1部材を回転可能な部材とし、第2部材を非回転部材であるハウジングとすることができる。また、その逆とすることができる。あるいは、両部材を共に回転可能な部材とし、一方の部材を回転軸に直接固定し、他方の部材を軸受を介して回転軸に取り付け、両部材の軸方向の対向面間にスラストころ軸受を取り付ける回転構造にも適用することができる。これら両部材の対向面はスラストころ軸受によりスラスト荷重が支承されるスラスト荷重支承面となる。
具体的には、例えば自動変速機の遊星歯車機構において両部材のうちの第1部材を例えば太陽歯車、第2部材を例えばハウジングやキャリアとすることができる。その逆とすることもできる。この場合、スラストころ軸受は、太陽歯車とハウジングとの対向面間、太陽歯車とキャリアとの対向面間に配置することができる。
第2部材は回転軸が挿通される中心孔を備え、L形レースの筒状フランジ部の外径は、第2部材の中心孔の孔径よりも小径とされて当該L形レースの筒状フランジ部を第2部材の中心孔の内面に係合可能としてL形レースが径方向に位置ずれすることを抑制することができる。
第2部材の対向面に設ける凹部の個数は限定されない。また、上記スラストころ軸受はそのタイプに限定されない。このスラストころ軸受に用いるころは、針状ころ、円筒ころ、その他でよい。
上記構成においては、L形レースを薄肉になし、このL形レースと第2部材の対向面との間に厚肉の平板レースを介在させるレース二枚構成としたから、レース全体の肉厚を一枚物で厚肉のL形レースと同等程度に構成することができる。そのため、L形レースのレース面(ころ転走面)は第2部材の対向面に存在する切欠き等の凹部の影響を受けないか低減されてスラスト荷重を支承することができるものとなる。
L形レースは一枚物の厚肉のL形レースよりも薄肉に形成して低剛性のレースにできるので、製作時に反りが発生しても軸受運転中に作用する軽荷重により矯正することができる。
平板レースにはフランジ部が無いので、研磨加工等の加工を簡単容易に実施することができる。
L形レースは、環状レース部と、この環状レース部の端部から第2部材側に延びる筒状フランジ部とを備え、この筒状フランジ部の一部を平板レースを抱き込む形態で折曲げることで平板レースとL形レースとを一体化して組品構成とした場合、一対の部材間に平板レースとL形レースとを組み付けるときにその組み付け性が向上して好ましい。
上記L形レースの筒状フランジ部の折曲げ端を係入爪部として上記凹部に係合させてL形レースを平板レースと共に上記第2部材に対して回り止め可能とする構成とした場合、軸受運転中に第2部材に対して二枚重ねして一体化したレース組品を回り止めすることができて好ましい。この場合の凹部は、第2部材の対向面の内径側もしくは外径側の周縁に円周方向1箇所または複数箇所である。
L形レースと平板レースはプレス加工や削り出しで製作することができる。この場合、平板レースは0.8から1.5mmの板厚のものを重ね合わせて厚くしてもよいが、板厚2〜3mmの一枚のレースでの厚肉となし、L形レースの板厚を0.8〜1.5mmの薄肉にすることが好ましい。
平板レースとL形レースは、例えば低炭素鋼材等の鋼材をプレス加工等により成形した後、焼入れ焼き戻し(ずぶ焼入れ)等の熱処理を施して製作することができる。平板レースは上記熱処理を施して硬化させても施さなくてもよい。
本発明によれば、切欠き等の凹部がある部材側のレースを厚肉としてレース面に対する該凹部の影響を抑制すると同時に、厚肉のレース形状でありつつミスアライメントが無いよう形状を矯正することが可能なスラストころ軸受を提供することができる。
以下、添付した図面を参照して本発明の実施の形態に係るスラストころ軸受を説明する。
(実施の形態1)
図1は、自動車の自動変速機等の回転部分に組み込んだ状態で示す実施の形態1のスラストころ軸受の断面図、図2は、図1のスラストころ軸受を拡大して示す断面図、図3は、第2部材をその対向面(スラスト荷重支承面)側から見た正面図である。これらの図を参照して、1は第1部材、2は第2部材、3は回転軸、4はスラストころ軸受である。
第1部材1は内径面が回転軸3に軸方向にスプライン嵌合され、該回転軸3と一体回転するようになっている。第2部材2は第1部材1と軸方向に対向し、互いに相対回転する部材を構成している。スラストころ軸受4は両部材1,2の対向面1a,2a間に介装され、当該両部材1,3から作用するスラスト荷重を支承しかつ両部材1,2を相対回転自在に支持するようになっている。第2部材2の対向面2aにはその内径側の円周方向の1箇所ないしは複数の箇所に切欠きまたは溝等からなる凹部2bが形成されている。
スラストころ軸受4は、配列状態の図示は略するが放射状に配列された複数のころ5と、これら複数のころ5を転動自在に保持する2つの第1、第2保持器6,7と、これら複数のころ5をそれぞれのレース面において軸方向両側から挟持する2つの第1、第2レース8,9とを備える。
第1保持器6は上半分断面がL字状の円環状をなし、ころ5と同数のポケット孔6aを円周方向に有する。第2保持器7は断面コ字形状の円環状をなし、ころ5と同数のポケット孔7aを円周方向放射状に有する。両保持器6,7は径方向両端で掌合されている。ころ5は両保持器6,7のポケット孔6a,7aに軸方向に抜け止めされて転動自在に保持されている。
第1レース8は、径方向に延びる環状レース部8aと、この環状レース部8aの外周縁全体を保持器6,7方向に折り曲げて形成された筒状フランジ部8bとから構成された一枚物のL形レース構成とされている。この筒状フランジ部8bの先端縁には全周もしくは円周方向複数箇所を部分的に径方向内方に折り曲げることにより外側係止部8cを形成している。この外側係止部8cと第2保持器7の外周縁との係合により両保持器6,7と第1レース8と複数のころは非分離一体の第1レース組品10とされている。
なお、保持器は、両保持器6,7による構成の2枚合わせ形式でも、一枚の構成からなる形式のいずれでもよい。
第2レース9は、平板レース11と、L形レース12とを軸方向に重ねた互いに分離可能な2枚レース構成になっている。
平板レース11のレース背面11aは第2部材2の対向面2aと接触している。平板レース11は、径方向に円環状に延びる平板状に構成された厚肉のレース構成である。平板レース11は低炭素鋼もしくは軸受鋼等の板材をプレス加工し、その後熱処理を施すことにより2〜3mmの厚肉に形成されている。この場合、平板レース11はプレス加工ではなく削り出し等の他の加工で成形してもよいし、また、ころ5が転動するレース面を持たないので熱処理を施さなくてもよい。
L形レース12は、径方向に円環状に延びる環状レース部12aと、この環状レース部12aの径方向内側の端部を第2部材2の内径面方向に延設した筒状フランジ部12bとから構成されている。環状レース部12aのレース面12cは放射状に配置されたころ5が転動するレース軌道面になっている。環状レース部12aはそのレース背面12dが平板レース11のレース面11bと密着している。L形レース12は低炭素鋼もしくは軸受鋼等の板材をプレス加工等で成形し、その後、熱処理を施すことにより0.8〜1.5mmの薄肉に形成されている。L形レース12の環状レース部12aのレース面12cはころ5の転走面であるので、その表面層に硬化熱処理を施すことが好ましい。例えば、耐焼付き性、耐摩耗性向上のため、レース面12cの表面層に浸炭窒化または浸炭による硬化熱処理を施すことができる。
L形レース12は、その環状レース部12aの板厚が、図8に示す第2レース9の環状レース部9aの板厚よりも薄肉であり、また、平板レース11の板厚はこのL形レース12の環状レース部12aの板厚よりも厚肉である。L形レース12の環状レース部12aと平板レース11との合計板厚は、図8の第2レース9の環状レース部9aのそれと同等ないしはその近傍程度にすることができる。もちろん、L形レース12の環状レース部12aと平板レース11それぞれの板厚の大きさおよびその大きさの関係は、第2部材2の凹部2bの形状等により適宜に設定することができる。
以上の構成において、第1部材1や第2部材2の適用例は何でもよいが、例えば第1部材1を自動変速機における遊星歯車機構において、回転軸3にスプライン嵌合された太陽歯車とし、第2部材2を、例えば自動変速機における遊星歯車機構の図示省略の遊星歯車の公転に従って回転するキャリアに適用することができる。遊星歯車は、太陽歯車の外径面と噛合して該太陽歯車回りを公転する。あるいは第1部材1を、回転軸3に直接固定された回転部材とし、第2部材2を回転軸3に軸受を介して設けられた回転部材や非回転のハウジングに適用することができる。いずれにしても、両第1、第2部材1,2は相対回転可能であり、それらの軸方向対向面はスラスト荷重が作用するスラスト荷重支承面を構成しており、スラストころ軸受4は、これら両対向面間に介装されてスラスト荷重を支承し両部材1,2を相対回転自在にしている。
第1部材1の対向面1aにはスラストころ軸受4の第1レース組品10を収納する凹部1bが形成されている。第1レース組品10はこの凹部1bに収納されている。すなわち、第1レース8は、その環状レース部8aが凹部1bの底面に当接し、筒状フランジ部8bが凹部1bの内側面に当接して、径方向に位置決めされている。
第2部材2の対向面2aには、スラストころ軸受4の第2レース9の平板レース11のレース背面11aが当接している。第2レース9のL形レース12は平板レース11に軸方向に重ねられている。
L形レース12の筒状フランジ部12bの先端側は、第2部材2の円筒状内径面2cに径方向隙間を存して沿わせられている。これによって、第2レース9を構成する平板レース11とL形レース12とが一体化されて第2部材2に組み付けられるとともに、第2レース9は第2部材2に対して径方向に位置決めされる。第2部材2の円筒状内径面2cと回転軸3の外径面との間には円筒状空間14が形成されている。
以上の結果、スラストころ軸受4は、両第1、第2部材1,2の対向面1a,2a間に配置され、その第1レース8は第1、第2保持器6,7および複数のころ5と共に第1レース組品10として第1部材1の凹部1bに径方向に位置決めされて配置され、第2レース9は平板レース11とL形レース12とを軸方向に重ねて第2部材2の対向面2aと複数のころ5との間に径方向に位置決めされて配置されている。これにより、スラストころ軸受4は両部材1,2から作用するスラスト荷重を支承するとともに両部材1,2を相対回転自在に支持している。
以上のスラストころ軸受4においては、第2レース9が従来のように一枚物の厚肉レースだけで構成されているのではなく、平板レース11とL形レース12との二枚物レース構成になっている。そのため、実施の形態1のスラストころ軸受4においては、第2部材2の対向面2aに設けた凹部2bの影響を受けないように、第2レース9全体の肉厚を一枚物の厚肉レースと同等程度に構成して高剛性にして変形しにくくできる。そして、第2レース9は第1レース8と共に両部材1,2のスラスト荷重をミスアライメントなく支承することができるものとなる。
同時に、第2レース9においては、平板レース11をL形レース12よりも厚肉に形成して第2部材2の凹部2bの影響を受けにくくするよう高剛性レースとしても、平板レース11にはその端部にフランジが無いので、研磨加工等の加工を簡単に実施してミスアライメントを無くすことができる一方、L形レース12を薄肉にして形状を容易に矯正することができる。
以上の構成を備えた実施の形態1のスラストころ軸受4においては、第2レース9全体が平板レース11とL形レース12との二枚重ねの構成により十分な肉厚が有るレース構成になっているので、凹部2bの影響を大幅に低減させることができる。同時に、平板レース11とL形レース12は、その製作にあたってプレス加工や、熱処理を施すことにより生じるおそれがある反りに対しても、平板レース11を研磨することにより、反り形状を解消することができる。L形レース12は、薄肉であるから、軸受使用時の負荷で容易に反りが矯正される。このように、平板レース11は製造時に、L形レース12は使用時に、それぞれ反りをなくすことができ、スラストころ軸受4は、ミスアライメントが皆無、もしくはほとんどない状態で使用が可能になる。
この場合、平板レース11は、その肉厚が上記した2〜3mmの範囲が好ましい。2mm未満では、ころ6を介して作用するスラスト力に対する強度が不足し、第2部材2の凹部2bに対応する部分で平坦度が低下するおそれがあり、3mm超では、プレス加工による反り等の変形量が増し、反り等を解消する加工が難しくなる。また、L形レース12は、その肉厚が上記した0.8〜1.5mmの範囲が好ましい。この範囲にあれば、軸受使用時の負荷で反りが矯正されることになり、0.8mm未満では、変形しやすく、環状レース部材として好ましくなく、1.5mm超では、剛性が増し、軸受使用時の負荷による反り矯正の現象が生じない。
(実施の形態2)
図4ないし図7を参照して実施の形態2のスラストころ軸受を説明する。図4は自動車の自動変速機等の回転部分に組み込んだ状態で示す実施の形態2のスラストころ軸受の断面図、図5は図4のスラストころ軸受を拡大して示す断面図、図6は第2部材を構成する平板レースとL形レースとの部分破断斜視図である。図7は上記回転部分である第1、第2部材間に対するスラストころ軸受の組み付けの説明に供する図である。図4ないし図7において、図1ないし図3と対応する部分には同一の符号を付し、その同一の符号に係る部分についての詳しい説明は省略する。
実施の形態2のスラストころ軸受4においては、実施の形態1と同様に、第2レース9が平板レース11とL形レース12とから構成されているが、実施の形態1と異なって、L形レース12の筒状フランジ部12bがその円周方向の一部の1箇所ないしは複数箇所で平板レース11の内径側端部を抱き込む形状に径方向外方に折曲げられ、その折曲げ部が第2部材2の凹部2b内に係入可能な係入爪部12fとされていることにある。この係入爪部12fは第2部材2の凹部2bと同数あるいは同数以下であり、凹部2bと対応する位置に設けられている。L形レース12の筒状フランジ部12bに設けたこれら係入爪部12fは、第2部材2の凹部2bに係入される。第2部材2の凹部2bは係入爪部12fよりもスペースが広くなっており、第2部材2の凹部2bが係入爪部12fの係入によりその使用目的を阻害されないようになっている。ただし、第2部材2の凹部2bが隙間無く係入爪部12fで詰められてもよい場合では、その凹部2bを係入爪部12fで隙間無く係入させることができる。
そして、平板レース11とL形レース12は、L形レース12の筒状フランジ部12bの係入爪部12fにより一体化されて第2レース組品13となっている。
したがって、実施の形態2のスラストころ軸受4においては、図7に示すように、当該軸受を構成する部品が第1レース組品10と第2レース組品13とから構成されたものとなり、第1部材1と第2部材2との対向面1a,2a間に介装して組み付けるに際しては、第1部材1の凹部1bに第1レース組品10を組み付け、第2部材2側に第2レース組品13を組み付け、次いで、第1部材1を回転軸3に沿わせて第2部材2方向に移動させることにより、スラストころ軸受4の組み付けを行うことができる。そして、第2レース組品13を第2部材2に組み付ける際に、係入爪部12fが凹部2bに対して案内を行ったり、組み付けた状態での周方向での第2レース組品13の回り止め規制を行うものとなる。
以上の構成を備えた実施の形態2のスラストころ軸受4においては、当該スラストころ軸受4を両第1、第2部材1,2の対向面1a,2a間に配置した場合、両部材1,2の相対回転に伴い、ころ5は第1、第2レース8,9間で転動し、両第1、第2部材1,2に作用するスラスト荷重を支承しつつこれら両部材1,2を回転自在に支持する。
そして、この支持状態で、第2レース9における平板レース11のレース背面11a側に第2部材2の凹部2bが存在しても、平板レース11とL形レース12との二枚重ねの構成により十分な肉厚が有るレース構成になっているので、凹部2bの影響を大幅に低減させることができる。同時に、平板レース11とL形レース12は、その製作にあたってプレス加工や、熱処理を施すことにより生じるおそれがある反りに対しても平板レース11を研磨することにより、反り形状を解消することができる。L形レース12は、薄肉であるから、軸受使用時の負荷で容易に反りが矯正される。このように、平板レース11は製造時にL形レース12は使用時に、それぞれ反りをなくすことができ、スラストころ軸受4は、ミスアライメントが皆無、もしくはほとんどない状態で使用が可能になる。
実施の形態1と同様に、記載が重複するが、平板レース11は、その肉厚が2mm未満では、ころ6を介して作用するスラスト力に対する強度が不足し、第2部材2の凹部2bに対応する部分で平坦度が低下するおそれがあり、3mm超では、プレス加工による反り等の変形量が増し、反り等を解消する加工が難しくなる。また、L形レース12は、肉厚が0.8〜1.5mmの範囲にあれば、軸受使用時の負荷で反りが矯正されることになり、0.8mm未満では、変形しやすく、環状レース部材として好ましくなく、1.5mm超では、剛性が増し、軸受使用時の負荷による反り矯正の現象が生じない。
なお、第2部材2の対向面2aの凹部2bの平面視形状はなんら限定されず、矩形、円形、楕円形、半円形、半楕円形、その他の任意の形状とすることができる。また、係止爪部12fの先端の平面視形状は、なんら限定されず、各種任意の形状に設定することができる。
なお、第2部材2の対向面2aの凹部2bが外径側に存在する場合は、L形レース12の外径部に第2部材2の外径面に延びて当該L形レース12を径方向に位置決めすることができる筒状フランジ部を形成することができる。
なお、第1部材1に凹部がある場合、第1レース8を、上述の実施の形態と同様に、平板レースとL形レースとからなる二枚構成とすることができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、種々な変更ないしは変形を含むものである。
自動車の自動変速機等の回転部分に組み込んだ状態で示す実施の形態1のスラストころ軸受の断面図である。 図1のスラストころ軸受を拡大して示す断面図である。 第2部材をその対向面側から見た正面図である。 自動車の自動変速機等の回転部分に組み込む前の状態で示す実施の形態2のスラストころ軸受の断面図である。 図4のスラストころ軸受を拡大して示す断面図である。 第2レースを構成する平板レースとL形レースとの部分破断斜視図である。 第1、第2部材間に対するスラストころ軸受の組み付けの説明に供する図である。 自動車の自動変速機等の回転部分に組み込んだ状態で示す従来のスラストころ軸受の断面図である。
符号の説明
1 第1部材
1a 対向面
1b 凹部
2 第2部材
2a 対向面
2b 凹部
2c 内径面
3 回転軸
4 スラストころ軸受
5 ころ
6 第1保持器
7 第2保持器
8 第1レース
8a 円環状レース部
8b 筒状フランジ部
9 第2レース
11 平板レース
12 L形レース
12a 円環状レース部
12b 筒状フランジ部
12f 係止爪部

Claims (3)

  1. 少なくとも一方の対向面に凹部が有る二つの相対回転する部材の対向面間に介装されてスラスト荷重を支承し、かつ、凹部が有る部材(第2部材)の対向面側のレースが、板厚が厚肉の環状レース部と、第2部材の内径面もしくは外径面に延びる筒状フランジ部とを備えて断面L形とされたレースであるスラストころ軸受において、
    当該レースを、上記板厚よりも薄肉の環状レース部と第2部材の内径面もしくは外径面に延びる筒状フランジ部とにより断面L形とされたL形レースと、このL形レースよりも厚肉とされてL形レースの背面と第2部材の対向面との間に配置された環状の平板レースとの少なくとも二枚レース構成とした、ことを特徴とするスラストころ軸受。
  2. 上記L形レースが、環状レース部とこの環状レース部の径方向端部から第2部材側に延びる筒状フランジ部とを備え、この筒状フランジ部の一部を平板レースを抱き込む形態で折曲げて平板レースとL形レースとを一体化して組品構成とした、ことを特徴とする請求項1に記載のスラストころ軸受。
  3. 第2部材は、内径側もしくは外径側の周縁に開口した1つないし複数の上記凹部を備え、上記L形レースの筒状フランジ部の上記折曲げの端部に、上記凹部に係入してL形レースと平板レースとを第2部材に対して回り止めする係入爪部を設けた、ことを特徴とする請求項2に記載のスラストころ軸受。
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