JP2003206336A - ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム

Info

Publication number
JP2003206336A
JP2003206336A JP2002325301A JP2002325301A JP2003206336A JP 2003206336 A JP2003206336 A JP 2003206336A JP 2002325301 A JP2002325301 A JP 2002325301A JP 2002325301 A JP2002325301 A JP 2002325301A JP 2003206336 A JP2003206336 A JP 2003206336A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyester resin
polyester
ppm
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002325301A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichiro Togawa
惠一朗 戸川
Atsushi Hara
厚 原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2002325301A priority Critical patent/JP2003206336A/ja
Publication of JP2003206336A publication Critical patent/JP2003206336A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性及び耐熱寸法安定性の優れた成形体、特
に小型中空成形品を高速成形により効率よく生産するこ
とができ、なおかつ、非常のアセトアルデヒド含有量が
少なく、また金型を汚すことの少ない長時間連続成形性
に優れたポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形
体を提供することを目的とする。 【解決手段】 主として芳香族ジカルボン酸成分とグリ
コール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族系ポ
リエステルとトリエチレングリコールが0.01ppm
から10000ppmでなおかつアセトアルデヒドの含
有量が30ppm以下であることを特徴とするポリエス
テル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料用ボトルをは
じめとする中空成形体、シート状物、延伸フィルムなど
の成形体の素材として好適に用いられるポリエステル樹
脂組成物及びそれから成る成形体、特に、透明性及び耐
熱寸法安定性に優れた小型中空成形体や透明性、滑り性
及び成形後の寸法安定性に優れたシート状物及び延伸フ
ィルムに関するものである。また、本発明は,小型中空
成形体を成形する際に熱処理金型からの離型性が良好
で、長時間連続成形性に優れたポリエステル樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートであるポリエステル(以下PETと略称すること
がある)は、その優れた透明性、機械的強度、耐熱性、
ガスバリアー性などの特性により、炭酸飲料、ジュー
ス、ミネラルウォータなどの容器の素材として採用され
ており、その普及はめざましいものがある。これらの用
途において、ポリエステル製ボトルに高温で殺菌した飲
料を熱充填したり、また飲料を充填後高温で殺菌したり
するが、通常のポリエステル製ボトルでは、このような
熱充填処理時などに収縮、変形が起こり問題となる。ポ
リエステル製ボトルの耐熱性を向上させる方法として、
ボトル口栓部を熱処理して結晶化度を高めたり、また延
伸したボトルを熱固定させたりする方法が提案されてい
る。特に口栓部の結晶化が不十分であったり、また結晶
化度のばらつきが大きい場合にはキャップとの密封性が
悪くなり、内容物の漏れが生ずることがある。
【0003】また、果汁飲料、ウーロン茶及びミネラル
ウオータなどのように熱充填を必要とする飲料の場合に
は、プリフォーム又は成形されたボトルの口栓部を熱処
理して結晶化する方法(例えば、特許文献1、特許文献
2参照)が一般的である。このような方法、すなわち口
栓部、肩部を熱処理して耐熱性を向上させる方法は、結
晶化処理をする時間・温度が生産性に大きく影響し、低
温でかつ短時間で処理できる、結晶化速度が速いPET
であることが好ましい。一方、胴部についてはボトル内
容物の色調を悪化させないように、成形時の熱処理を施
しても透明であることが要求されており、口栓部と胴部
では相反する特性が必要である。
【0004】また、ボトル胴部の耐熱性を向上させるた
め、例えば、先行特許に見られる通り、延伸ブロー金型
の温度を高温にして熱処理する方法が採られる(例え
ば、特許文献3参照)。しかし、このような方法によっ
て同一金型を用いて多数のボトル成形を続けると、長時
間の運転に伴って得られるボトルが白化して透明性が低
下し、商品価値のないボトルしか得られなくなる。これ
は金型表面にPETに起因する付着物が付き、その結果
金型汚れとなり、この金型汚れがボトルの表面に転写す
るためであることが分かった。特に、近年では、ボトル
の小型化とともに成形速度が高速化されてきており、生
産性の面から口栓部の結晶化のための加熱時間短縮や金
型汚れはより大きな問題となってきている。
【0005】また、PETをシート状物に押出し、これ
を真空成形して得た容器に食品を充填後同一素材からな
る蓋をし放置しておくと収縮が起こり蓋の開封性が悪く
なったり、また該容器を長期間放置しておくと収縮が起
こり蓋が出来なくなったりする。
【0006】このような問題を解決するために種々の提
案がなされている。例えば、ポリエチレンテレフタレー
トにカオリン、タルクなどの無機核剤を添加する方法
(例えば、特許文献4、特許文献5参照)、モンタン酸
ワックス塩などの有機核剤を添加する方法(例えば、特
許文献6、特許文献7参照)があるが、これらの方法は
異物やくもりの発生を伴い実用化には問題がある。ま
た、原料ポリエステルに、該ポリエステルから溶融成形
して得たポリエステル成形体を粉砕した処理ポリエステ
ルを添加する方法(例えば、特許文献8参照)がある
が、この方法は溶融成形粉砕という余分な工程が必要で
あり、さらにこのような後工程でポリエステル以外の夾
雑物が混入する危険性があり、経済的及び品質的に好ま
しい方法ではない。また、耐熱性樹脂製ピースを口栓部
に挿入する方法(例えば、特許文献9、特許文献10参
照)が提案されているが、ボトルの生産性が悪く、ま
た、リサイクル性にも問題がある。また、透明性及び耐
熱寸法安定性の優れた成形体、特に小型中空成形品を高
速成形により効率よく生産することができ、また金型を
汚すことの少ない長時間連続成形性に優れたポリエステ
ル樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献11
参照)がボトル口栓部の熱処理時間が長く問題である。
【0007】
【特許文献1】特開昭55−79237号公報
【特許文献2】特開昭58−110221号公報
【特許文献3】特公昭59−6216号公報
【特許文献4】特開昭56−2342号公報
【特許文献5】特開昭56−21832号公報
【特許文献6】特開昭57−125246号公報
【特許文献7】特開昭57−207639号公報
【特許文献8】特開平5−105807号公報
【特許文献9】特開昭61−259946号公報
【特許文献10】特開平2−269638号公報
【特許文献11】特開2000−309690
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
方法の有する問題点を解決し、透明性及び耐熱寸法安定
性の優れた成形体、特に小型中空成形品を高速成形によ
り効率よく生産することができ、なおかつ、非常のアセ
トアルデヒド含有量が少なく、また金型を汚すことの少
ない長時間連続成形性に優れたポリエステル樹脂組成物
及びそれからなる成形体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、主として芳香族ジ
カルボン酸成分とグリコール成分とからなる繰り返し単
位を有する芳香族系ポリエステルにトリエチレングリコ
ールが0.01ppmから10000ppmを共重合す
ることにより、非常にアセトアルデヒド含有量が少な
く、なおかつ透明性及び耐熱寸法安定性の優れた成形
体、特に小型中空成形品を高速成形により効率よく生産
することができ、該中空成形品の口栓部結晶化速度が早
く、従って生産性が高くまた金型を汚すことの少ない長
時間連続成形性に優れたポリエステルを与えることがで
きる。また、滑り性及び成形後の寸法安定性に優れたシ
ート状物を与えることも出来る。
【0010】この場合において、芳香族系ポリエステル
が主としてテレフタル酸成分とエチレングリコール成分
とからなる繰り返し単位を有するものであることができ
る。
【0011】この場合において、主としてテレフタル酸
成分とエチレングリコール成分とからなる繰り返し単位
を有する芳香族系ポリエステルの密度が、1.37g/
cm3以上、環状3量体が0.40重量%以下であるこ
とができる
【0012】この場合において、主としてテレフタル酸
成分とエチレングリコール成分とからなる繰り返し単位
を有する芳香族系ポリエステルの極限粘度が、0.55
〜1.30デシリットル/グラムであることができる。
【0013】この場合において、ポリエステル樹脂組成
物が、重合後チップ状に形成したものを、処理槽中にお
いて下記(a)及び(b)の条件を満たす処理水で処理
されたものであることができる。((a)温度40〜1
20℃(b)処理槽からの排水を含む処理水)
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリエステル樹脂
組成物の実施の形態を具体的に説明する。すなわち、本
発明は、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール
成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族系ポリエス
テルとトリエチレングリコールが0.01ppmから1
0000ppmでなおかつアセトアルデヒドの含有量が
50ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹
脂組成物で、好ましくはトリエチレングリコールが0.
05ppm以上、、さらに好ましくは0.1ppm以
上、最も好ましくは0.5ppm以上であり、また、上
限は好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは
500ppm以下、最も好ましくは100ppm以下で
ある。トリエチレングリコールが0.01ppm未満で
は中空成形品の口栓部結晶化速度が遅くなる傾向にあ
り、AAの含有量が増大する傾向にり、また、1000
0ppmを越えると耐熱性が低下する傾向にある。トリ
エチレングリコールを適正量にすることにより、分子の
流動性が改善されるためか、結晶化速度が適正な範囲と
なり、また、溶融粘度の低下等のためか、溶融時のアセ
トアルデヒドの発生が抑えられる。
【0015】本発明で用いる芳香族系ポリエステルは、
主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とか
らなる結晶性ポリエステルであり、好ましくは芳香族ジ
カルボン酸成分が酸成分の85モル%以上含む結晶性ポ
リエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボ
ン酸成分が酸成分の95モル%以上含む結晶性ポリエス
テルである。典型的な芳香族系ポリエステルとしては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びそれら
の一部に他のジカルボン酸成分又はグリコール成分を共
重合した共重合体を例示することができる。
【0016】前記芳香族系ポリエステル中に共重合して
使用されるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及び
その機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロ
ン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、
セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸などの
脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒド
ロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘ
キサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機
能的誘導体などが挙げられる。
【0017】また、前記芳香族系ポリエステル中に共重
合するグリコ−ル成分としては、具体的にはエチレング
リコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジ
オール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジ
オール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール,2−
メチル−1、5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル
−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル
−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオー
ル、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ルなどが挙げられる。脂環族グリコールとしては1,4
−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノー
ル、3,8−ビスビドロキシメチルトリシクロジシカ
ン、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノー
ルF、TCDグリコールなどが挙げられ、これらを単独
又は2種類以上併用して使用できる。
【0018】発明の内容を損なわない範囲で、カルボン
酸を付与しても良い、カルボキシル基の導入する方法と
しては、上記ポリエステル樹脂を重合した後に無水トリ
メリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水
コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シク
ロヘキサンジカルボン酸などを後付加して酸価を付与、
変性ポリエステルとしては、ジメチロールプロピオン
酸、ジメチロールブタン酸等で鎖延長する方法が挙げら
れる。さらに、本発明で用いる、芳香族系ポリエステル
中に共重合して使用されるその他の共重合成分として、
多官能化合物として、酸成分として、トリメリット酸、
ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分
として、グリセリン、ペンタエリスリトールを挙げるこ
とができる。以上の共重合成分の使用量は、芳香族系ポ
リエステルが実質的に線状を維持する程度でなければな
らない。
【0019】発明の内容を損なわない範囲でシリカ等の
無機物を添加できる、シリカを単独成分とするものはも
ちろん、シリカをベースにその他の混合物等をも含有す
る複合組成物も含めて、シリカゾル又はシリカゲルと称
する。この、シリカゾル又はシリカゲルは液状体及び/
または、水溶性物質の水溶液であってもよい。ここでい
う水溶性物質としては、シリカと共に複合酸化物を形成
する各種金属塩、具体的には、硝酸、塩酸、硫酸、又は
燐酸等の無機酸、あるいは酢酸、蓚酸等の有機酸といっ
た酸と、金、パラジウム、ロジウム等の貴金属、ニッケ
ル、亜鉛、鉄、銅等の遷移金属といった金属との化合
物、より具体的には、例えば、塩化カルシウム、塩化マ
グネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタン、硫酸ジル
コニウム、塩化鉄、アルミン酸ソーダ、硝酸銀、硝酸鉄
等を挙げることができる。これらは、シリカと直接結合
して複合酸化物(例えば、シリカアルミナ、シリカチタ
ニア等)を生成する。また、金属塩の他に、アンモニウ
ム塩などでもよい。あるいは、シリカゲルを着色するた
めの各種色素の水溶液でもよい。
【0020】前記の芳香族系ポリエステルは、従来から
公知の製造方法によって製造することができる。
【0021】例えば、テレフタール酸とエチレングリコ
ールを上記共重合成分を直接反応させて水を留去しエス
テル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化
法、又はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及
び必要により上記共重合成分を反応させてメチルアルコ
ールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を
行うエステル交換法により製造される。
【0022】前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で
行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。こ
れらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階
で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。
固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や
連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合
は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0023】直接エステル化法による場合は、重縮合触
媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられるが、特
にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都
合である。
【0024】Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマ
ニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレン
グリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを
添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で
用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコール
を添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの
重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができ
る。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエス
テル樹脂中のGe残存量として好ましくは10〜150
ppm、より好ましくは13〜100ppm、更に好ま
しくは15〜70ppmである。
【0025】Ti化合物としては、テトラエチルチタネ
−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プ
ロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等の
テトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解
物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チ
タニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニ
ルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チ
タニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩
化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−
中のTi残存量として好ましくは0.1〜10ppmの
範囲になるように添加する。
【0026】Sb化合物としては、三酸化アンチモン、
酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモン
カリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−
ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙
げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量
として好ましくは50〜250ppmの範囲になるよう
に添加する。
【0027】重縮合触媒として用いられるAl化合物と
しては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニ
ウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニ
ウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラ
ウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安
息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳
酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸ア
ルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水
酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化
アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、
炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸ア
ルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイ
ド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポ
キサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニ
ウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドな
どアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチル
アセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アル
ミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチル
アセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニ
ウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエ
チルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物および
これらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げ
られる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキ
レート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性
酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニ
ウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセ
チルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生
成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範
囲になるように添加する。
【0028】また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やト
リメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用す
るのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチ
レングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工
程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ
−中のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範
囲になるように添加する。
【0029】また、ジエチレングリコール(以下「DE
G」という)とトリエチレングリコール(以下「TE
G」という)については、重合反応中にエチレングリコ
ールより一部副生してくるため、DEG及び/又はTE
Gとそのエステル形成性誘導体の所定量を重合原料とし
て用いる場合のほか、反応条件、添加剤などを適宜選択
することのみでDEG成分及び/又はTEG成分の含有
量を制御することができる。特に、本発明の共重合ポリ
エステルの場合、TEGを添加した効果によって、溶融
重合温度を下げることができ、DEG成分副生量やAA
成分副生物を低く抑えることが容易である。また、添加
剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブ
チルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミ
ン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブ
チルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニ
ウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムな
どの塩基性化合物を少量添加し、DEG及び/又はTE
Gの生成を抑制することができる。一方、硫酸などの無
機酸を重合原料中に少量添加すれば、DEG及び/又は
TEGの生成を促進し、含有量を増加させることもでき
る。これらのDEG及び/又はTEGの生成量をコント
ロールする添加剤は、必要ならば、通常、全重合原料の
0.001〜10重量%、好ましくは、0.005〜1
重量%の範囲で使用してもよい。
【0030】さらに芳香族系ポリエステルの極限粘度を
増大させ、アセトアルデヒド含量を低下させるために固
相重合を行ってもよい。
【0031】本発明において、主としてテレフタル酸成
分とエチレングリコール成分とからなる繰り返し単位を
有する芳香族系ポリエステルのチップ(a)を形成する
芳香族系ポリエステルの極限粘度は0.55〜1.30
デシリットル/グラムであるのが好ましく、0.58〜
1.00デシリットル/グラム、さらには0.6〜0.
9デシリットル/グラムであるのがより好ましい。上記
ポリエステルのチップ(a)の極限粘度が0.55デシ
リットル/グラムより小さい場合は、本発明のポリエス
テル樹脂組成物を溶融成形して得られた成形体の透明
性、耐熱性、機械特性等が充分満足されないことがあ
る。また、極限粘度が1.30デシリットル/グラムよ
り大きくなるに従って成形体のアセトアルデヒド含量が
多くなる傾向にあり、飲料用ボトルには使用するのは向
かなくなる。
【0032】また、本発明において、主としてテレフタ
ル酸成分とエチレングリコール成分とからなる繰り返し
単位を有する芳香族系ポリエステルのファイン(b)の
極限粘度は通常、0.55〜1.30、好ましくは0.
57〜1.00、さらに好ましくは0.58〜0.90
である。極限粘度が0.55より小さい場合は得られた
成形体の透明性が悪くなり、口栓部の結晶化度が大きく
なりすぎる。また、好ましくはPET樹脂のチップの極
限粘度と同一か、又はPET樹脂のチップの極限粘度か
らPET樹脂のチップの極限粘度より0.03高い極限
粘度の範囲であることが好ましい。
【0033】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、環状3量体を含むが、その含量は0.6重量%以
下、好ましくは0.50重量%以下、さらに好ましくは
0.4重量%以下、特に好ましくは0.35重量%以下
であることが望ましい。本発明のポリエステル樹脂組成
物から耐熱性の中空成形体を成形する場合は加熱金型内
で熱処理を行うが、環状3量体の含量が0.6重量%よ
り多く含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー
付着が急激に増加し、得られた中空成形体の透明性が非
常に悪化する。
【0034】本発明のポリエステル樹脂組成物は、29
0℃の温度で60分間溶融したときの環状3量体の増加
量が0.50重量%以下、好ましくは0.4重量%以
下、さらに好ましくは0.3重量%以下、特に好ましく
は0.25重量%以下であることが望ましい。環状3量
体増加量が0.50重量%を超えるポリエステル樹脂組
成物を用いて中空成形を行うと、環状3量体などのオリ
ゴマー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付
着し、透明な中空成形容器を得ようとすると頻繁に金型
掃除をしなけらばならない。
【0035】290℃の温度で60分間溶融したときの
環状3量体の増加量が0.50重量%以下である本発明
のポリエステル樹脂組成物は、溶融重縮合後や固相重合
後に得られたポリエステルの重縮合触媒を失活処理する
ことにより製造することができる。
【0036】芳香族系ポリエステルの重縮合触媒を失活
処理する方法としては、溶融重縮合後や固相重合後に芳
香族系ポリエステルチップを水や水蒸気又は水蒸気含有
気体と接触処理する方法が挙げられる。
【0037】前記の目的を達成するために芳香族系ポリ
エステルチップを水や水蒸気又は水蒸気含有気体と接触
処理する方法を次に述べる。
【0038】なお、芳香族系ポリエステルのチップ
(A)の形状は、シリンダー型、角型、又は扁平な板状
等のいずれでもよく、その大きさは、縦、横、高さがそ
れぞれ通常1.8〜4mm、好ましくは2〜4mmの範
囲である。例えばシリンダー型の場合は、長さは2〜4
mm、径は2〜4mm程度であるのが実用的である。
【0039】熱水処理方法としては、水中に浸ける方法
やシャワーでチップ上に水をかける方法等が挙げられ
る。処理時間としては5分〜2日間、好ましくは10分
〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の
温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150
℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0040】以下に水処理を工業的に行う方法を例示す
るが、これに限定するものではない。また処理方法は連
続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない
が、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0041】芳香族系ポリエステルのチップをバッチ方
式で水処理する場合は、サイロタイプの処理槽が挙げら
れる。即ちバッチ方式で芳香族系ポリエステルのチップ
をサイロへ受け入れ水処理を行う。あるいは回転筒型の
処理槽に芳香族系ポリエステルのチップを受け入れ、回
転させながら水処理を行い水との接触をさらに効率的に
することもできる。
【0042】芳香族系ポリエステルのチップを連続方式
で水処理する場合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的
に芳香族系ポリエステルのチップを上部より受け入れ、
水処理させることができる。この概念図を図1に示す。
【0043】芳香族系ポリエステルのチップと水蒸気又
は水蒸気含有ガスとを接触させて処理する場合は、50
〜150℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気
又は水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましく
は粒状ポリエチレンテレフタレート1kg当り、水蒸気
として0.5g以上の量で供給させるか、又は存在させ
て粒状ポリエチレンテレフタレートと水蒸気とを接触さ
せる。
【0044】この、芳香族系ポリエステルのチップと水
蒸気との接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは2
0分間〜10時間行われる。
【0045】以下に粒状ポリエチレンテレフタレートと
水蒸気又は水蒸気含有ガスとの接触処理を工業的に行う
方法を例示するが、これに限定されるものではない。ま
た処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても
差し支えない。
【0046】芳香族系ポリエステルのチップをバッチ方
式で水蒸気と接触処理をする場合は、サイロタイプの処
理装置が挙げられる。即ち芳香族系ポリエステルのチッ
プをサイロへ受け入れ、バッチ方式で、水蒸気又は水蒸
気含有ガスを供給し接触処理を行う。あるいは回転筒型
の接触処理装置に粒状ポリエチレンテレフタレートを受
け入れ、回転させながら接触処理を行い接触をさらに効
率的にすることもできる。
【0047】芳香族系ポリエステルのチップを連続で水
蒸気と接触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状
ポリエチレンテレフタレートを上部より受け入れ、並流
あるいは向流で水蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理さ
せることができる。
【0048】上記の如く、水又は水蒸気で処理した場合
は粒状ポリエチレンテレフタレートを必要に応じて振動
篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、次
の乾燥工程へ移送する。
【0049】水又は水蒸気と接触処理した芳香族系ポリ
エステルのチップの乾燥は通常用いられる芳香族系ポリ
エステルの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾
燥する方法としては、上部より芳香族系ポリエステルの
チップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー
型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減ら
し、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱
方式の連続乾燥機が用いられ、少量の乾燥ガスを通気し
ながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加
熱媒体などを供給し芳香族系ポリエステルのチップを間
接的に加熱乾燥することができる。
【0050】バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブ
ルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真
空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができ
る。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥し
てもよい。
【0051】乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えな
いが、芳香族系ポリエステルの加水分解や熱酸化分解に
よる分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気
が好ましい。
【0052】上記のように芳香族系ポリエステルに水又
は水蒸気処理を施すことによって、該ポリエチレンテレ
フタレートを290℃の温度に加熱溶融した後のオリゴ
マー増加量を抑制することができる。
【0053】本発明のポリエステル樹脂組成物は、芳香
族系ポリエステルが主としてテレフタル酸成分とエチレ
ングリコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香
族系ポリエステルである場合、290℃の温度に加熱溶
融して成形した成形体のTc1を測定したときに、その
Tc1が155〜180℃、ヘイズが15%以下である
ことが好ましい。Tc1が155℃より低い場合は、成
形体とした場合の透明性が非常に悪くなる。また、Tc
1が180℃より高い場合は、成形体の透明性は非常に
よいが、ボトルの場合口栓部の結晶化度が低く、内容物
を充填、キャッピング後内容物の漏れが起こることがあ
る。また、成形体のヘイズが15%以上となようなポリ
エステル樹脂組成物を使用した場合は、ボトルの場合透
明性は非常に悪くなる。
【0054】本発明のポリエステル樹脂組成物は、公知
のホットパリソン法、又はコールドパリソン法等の方法
によって透明性な、耐熱性に優れた中空成形体を製造す
ることができる。また、フィルム、シート等の成形体や
多層中空成形体を製造することも好ましい。
【0055】本発明のポリエステル樹脂組成物には、必
要に応じて公知の紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、核剤、
安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合し
てもよい。
【0056】
【実施例】以下本発明を実施例を用いて説明する。実施
例中、単に部とあるのは重量部を示す。また、各測定項
目は以下の方法に従った。
【0057】(1)ジエチレングリコール含量(以下
[DEG含量」という) メタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによ
りDEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合
(モル%)で表した。
【0058】(2)トリエチレングリコール含量(以下
[TEG含量」という) メタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによ
りTEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合
(モル%)で表した。
【0059】(3)アセトアルデヒド含量(AA含量) 試料/蒸留水=1g/2ccを窒素置換したガラスアン
プルに入れて上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理
を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガ
スクロマトグラフィーで測定し濃度をppmで表示し
た。
【0060】(4)芳香族系ポリエステルの極限粘度
(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
【0061】(5)芳香族系ポリエステルの環状3量体
の含量試料をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロ
フォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加え
て希釈する。これにメタノールを加えてポリマーを沈殿
させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォ
ルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチ
レンテレフタレート単位から構成される環状3量体を定
量した。
【0062】(6)ボトルのヘイズ(霞度%) 5000回成形後のボトルの胴中央部から4ヶ所試料を
切り取り(肉厚約0.4mmの箇所)、東洋製作所製ヘ
イズメータでヘイズを測定し4ヶ所の平均を求めた。
【0063】(7)ボトルのヘイズむら 10回成形後のボトルの胴中央部から4ヶ所試料を切り
取り(肉厚約0.4mmの箇所)、東洋製作所製ヘイズ
メータでヘイズを測定した。 ヘイズむら=ヘイズの最大値/ヘイズの最小値
【0064】(8)ボトルの厚みむら ボトルの胴中央部からランダムに4ヶ所試料(3cm×
3cm)を切り取りデジタル厚み計でその厚さを測定し
た(同一試料内を5点づつ測定しその平均を試料厚みと
した)。 厚みむら=厚みの最大値/厚みの最小値
【0065】(9)ボトル口栓部の加熱による密度上昇 ボトル口栓部を自家製の赤外線ヒーターによって30秒
間熱処理し、天面から試料を採取し密度を測定した。
【0066】(10)キャッピング性とキャッピング後
の口栓部の変形状態 金型汚れの評価ポリエステル樹脂組成物を脱湿空気を用
いた乾燥機で乾燥し、名機製作所製M−100射出成型
機により樹脂温度290℃でプリフォームを成形した。
このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置
で30秒加熱結晶化させた後、コーポプラスト社製LB
−01延伸ブロー成型機を用いて二軸延伸ブロー成形
し、引き続き約155℃に設定した金型内で7秒間熱固
定し、350ccの中空成形容器を得た。成形したボト
ルに90℃の水350ccを入れ、ポリプロピレン樹脂
製のインナーシールを備えたポリプロピレン樹脂製のス
クリューキャップを用いて行った。この、水を充填した
ボトルを横に倒し、5℃で10時間、引き続いて80℃
で10時間の放置テストを行い、内容物の漏れをチェッ
クした。5本のボトルでテストを行い、内容物の漏れが
認められたボトルの本数をカウントした。また、キャッ
ピング後の口栓部の変形状態も調べた。
【0067】(11)Tc1(DSC測定) セイコー電子工業株式会社製の示差熱分析計(DS
C)、RDC−220により、下記(13)で成形した
成形板の2mm厚みのプレートの中央部からの試料10
mgを使用し、昇温速度は20℃/分で測定した。
【0068】(12)成形板のヘイズ(霞度%) 下記の成形板の5mm厚みのプレートを使用し、東洋精
機製作所製ヘイズメータを用いて測定した。
【0069】(13)成形板の成形 乾燥したポリエステル樹脂組成物を名機製作所製M−1
00射出成型機により、シリンダー温度290℃におい
て、10℃に冷却した段付平板金型を用い成形する。段
付平板金型は2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11mmの厚みの3cm×5cm角のプレートを階段状
に備えたものである。測定は、3個の成形板の平均値で
ある。2mm厚みのプレートはDSCによるTc1測定
に、また5mm厚みのプレートはヘイズ(霞度%)測定
に使用した。
【0070】(14)耐熱性 乾燥したポリエステル樹脂組成物のペレットと前記のペ
レットを180℃で10時間加熱テストした後、(有)
東京電色のTC−1500MC−88を用いて色差(Δ
b)を測定した。 評価基準:Δb値の値が高いほど黄色の着色をしてお
り、耐熱性が低下している。以下、本発明を実施例によ
り具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定され
るものではない。
【0071】(実施例1)予め反応物を含有している第
1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグ
リコールとTEGを50ppm連続的に供給し、撹拌
下、約250℃、0.5kg/cm2Gで平均滞留時間
3時間反応を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウム
を水に加熱溶解し、これにエチレングリコールを添加加
熱処理した触媒溶液及び燐酸のエチレングリコール溶液
とエチレングリコールを別々にこの第1エステル化反応
器に連続的に供給した。この反応物を第2エステル化反
応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.05kg/c
m2Gで所定の反応度まで反応を行った。このエステル
化反応生成物を連続的に第1重合反応器に送り、撹拌
下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重
合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、
さらに第3重合反応器で撹拌下、約275℃、0.5〜
1torrで1時間重合させた。得られたPET樹脂の
極限粘度(IV)は0.53、DEG含量は2.7モル
%、TEG含量は0.01モル%(78ppm)であっ
た。
【0072】この樹脂を引き続き窒素雰囲気下、約15
5℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予
熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約20
5℃で固相重合した。固相重合後篩分工程およりファイ
ン除去工程で連続的に処理しファインを除去した。
【0073】得られたPET樹脂の極限粘度は0.74
デシリットル/グラム、環状3量体の含量は0.30重
量%、密度は1.400g/cm3であった。
【0074】PET樹脂チップの水処理には、図1に示
す装置を用い、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、
処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排
出口(2)、処理槽下部の芳香族系ポリエステルチップ
と処理水の混合物の排出口(3)、このオーバーフロー
排出口から排出された処理水と、処理槽から排出された
処理水と、処理槽下部の排出項から排出された水切り装
置(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmの
連続式フィルターである微粉除去装置(5)を経由して
再び水処理槽へ送られる配管(6)、これらの微粉除去
済み処理水の導入口(7)、微粉除去済み処理水中のア
セトアルデヒドを吸着処理させる吸着塔(8)、及び新
しいイオン交換水の導入口(9)を備えた内容量約32
0リットルの塔型の処理槽を使用した。
【0075】処理水温度95℃にコントロールされた水
処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口
(1)から連続投入し、微粉含量が約130ppmの処
理水を用いて水処理時間4時間で処理槽下部の排出口
(3)からPETチップとして50kg/時間の速度で
処理水と共に連続的に抜き出した。得られたPET樹脂
組成物のアセトアルデヒド(AA)含有量は10ppm
で環状3量体(CT)含量は0.30重量%であった。
【0076】この組成物について未延伸シートによる評
価と二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。結果を
表1に示す。表1から明らかなように、ボトル口栓部の
赤外線ヒーターによる加熱時間が30秒(従来は加熱時
間60秒)にも関わらず。このボトルに90℃の温湯を
充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボ
トルを倒し放置し、口栓部の変形及び内容物の漏洩を調
べたが、問題はなかった。また、ボトルの透明性(ヘイ
ズ)も良好で、ヘイズむら、厚みむらも問題がなかっ
た。
【0077】
【表1】
【0078】*)TPA:テレフタル酸 IPA:イソフタル酸 EG:エチレングリコール CHDM:1.4−シクロヘキサンジメタノール DEG:ジエチレングリコール TEG:トリエチレングリコール
【0079】(比較例1)予め反応物を含有している第
1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグ
リコールのスラリーを連続的に供給し、撹拌下、約25
0℃、0.5kgG/cm2で平均滞留時間3時間反応
を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱
溶解し、これにエチレングリコールを添加加熱処理した
触媒溶液、及び酢酸ナトリウムを75ppm、燐酸のエ
チレングリコール溶液を別々にこの第1エステル化反応
器に連続的に供給した。この反応物を第2エステル化反
応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.05kgG/
cm2で所定の反応度まで反応を行った。このエステル
化反応生成物を連続的に第1重合反応器に送り、撹拌
下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重
合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、
さらに第3重合反応器で撹拌下、約275℃、0.5〜
1torrで1時間重合させた。得られたPET樹脂の
極限粘度(IV)は0.53、TEG含量は0.005
ppm、DEG含量は1.0モル%であった。実施例1
と同じ固相重合したPET樹脂をガラス容器内で蒸留水
に浸漬させ、外部より加熱し内温約95℃で4時間処理
した。これを乾燥し本発明のポリエステル樹脂組成物を
得た。
【0080】この組成物について未延伸シートによる評
価と二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。結果を
表2に示す。表2から明らかなように、このボトルに9
0℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピン
グをした後ボトルを倒し放置し、口栓部の変形及び内容
物の漏洩を調べたが、口栓部の変形及び内容物の漏洩が
あった。また、ボトルの透明性(ヘイズ)も悪く、ヘイ
ズむら、厚みむらも問題があった。
【0081】(実施例2〜5、比較例1〜2)以下、第
1表に示す組成により同様にして、表2に実施例2〜
5、比較例1〜2の組成物について未延伸シートによる
評価と二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。結果
を表1、表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】*)TPA:テレフタル酸 IPA:イソフタル酸 EG:エチレングリコール CHDM:1.4−シクロヘキサンジメタノール DEG:ジエチレングリコール TEG:トリエチレングリコール
【0084】
【発明の効果】本発明は、主として芳香族ジカルボン酸
成分とグリコール成分とからなる繰り返し単位を有する
芳香族系ポリエステルとトリエチレングリコールが0.
01ppmから10000ppmでなおかつアセトアル
デヒドの含有量が30ppm以下であることを特徴とす
るポリエステル樹脂組成物を提供するもので容器、シー
ト等の分野における高い要求品質にこたえることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた水処理装置の概略図
【符号の説明】
1 原料チップ供給口 2 オ−バ−フロ−排出口 3 ポリエステルチップと処理水との排出口 4 水切り装置 5 ファイン除去装置 6 配管 7 リサイクル水または/およびイオン交換水の導入
口 8 吸着塔 9 イオン交換水導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E033 AA01 BA17 BB01 CA07 CA18 CA20 FA03 GA02 4F071 AA44 AA45 AA46 AA82 AA88 AF30 AF45 AF53 AG34 AH04 AH05 BA01 BB05 BB06 BC01 BC04 4J029 AA03 AB01 AB04 AD01 AE01 AE03 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BD02 BD03 BD04 CA02 CA04 CA05 CA06 CB03 CB04 CB05 CB06 CD03 FB07 JF321 JF361 JF471 KE05 KE12 KH03 KH05 KH08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主として芳香族ジカルボン酸成分とグリ
    コール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族系ポ
    リエステルであって、共重合したTEG含有量が前記ポ
    リエステルの重量に対して0.01〜10000ppm
    であり、かつアセトアルデヒドの含有量が30ppm以
    下であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族系ポリエステルが主としてテレフ
    タル酸成分とエチレングリコール成分とからなる繰り返
    し単位を有するものであることを特徴とする請求項1記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 主としてテレフタル酸成分とエチレング
    リコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族系
    ポリエステルの密度が、1.37g/cm3以上、環状
    3量体が0.40重量%以下であることを特徴とする請
    求項2記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 主としてテレフタル酸成分とエチレング
    リコール成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族系
    ポリエステルの極限粘度が、0.55〜1.30デシリ
    ットル/グラムであることを特徴とする請求項2又は3
    記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエステル樹脂組成物が、重合後チッ
    プ状に形成したものを、処理槽中において下記(a)及
    び(b)の条件を満たす処理水で処理されたものである
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。 (a)温度40〜120℃ (b)処理槽からの排水を含む処理水
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載のポリエス
    テル樹脂組成物からなることを特徴とする中空成形体。
  7. 【請求項7】請求項1〜5いずれかに記載のポリエステ
    ル樹脂組成物からなることを特徴とするシート状物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5いずれかに記載のポリエス
    テル樹脂組成物からなることを特徴とするフィルム。
JP2002325301A 2001-11-09 2002-11-08 ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム Pending JP2003206336A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002325301A JP2003206336A (ja) 2001-11-09 2002-11-08 ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001345018 2001-11-09
JP2001-345018 2001-11-09
JP2002325301A JP2003206336A (ja) 2001-11-09 2002-11-08 ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003206336A true JP2003206336A (ja) 2003-07-22

Family

ID=27667069

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002325301A Pending JP2003206336A (ja) 2001-11-09 2002-11-08 ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003206336A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018521209A (ja) * 2015-12-29 2018-08-02 江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司 産業用ポリエステル及びその製造方法
WO2023063218A1 (ja) * 2021-10-12 2023-04-20 東洋紡株式会社 共重合ポリエステル樹脂、成形品、熱収縮性フィルム、及び繊維

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018521209A (ja) * 2015-12-29 2018-08-02 江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司 産業用ポリエステル及びその製造方法
WO2023063218A1 (ja) * 2021-10-12 2023-04-20 東洋紡株式会社 共重合ポリエステル樹脂、成形品、熱収縮性フィルム、及び繊維

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW564251B (en) Polyester resin and production method thereof
JP2009052041A (ja) ポリエステルの製造方法
JP4897130B2 (ja) ポリエステル、それから成るシ−ト状物、中空成形体及び延伸フイルム
JP2003206336A (ja) ポリエステル樹脂組成物と及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム
JPH0940853A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP3386432B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3436268B2 (ja) ポリエステル、それからなる中空成形体、シート状物及び延伸フィルム
JP2000319365A (ja) ポリエステル、それからなる中空成形体、シート状物及び延伸フイルム
JP4048406B2 (ja) 中空成形体用ポリエステル組成物
JP3458819B2 (ja) ポリエステル組成物並びにそれからなる中空成形体、シ−ト状物及び延伸フイルム
JP3042530B1 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2001226569A (ja) ポリエステル樹脂組成物、それから成るシ−ト状物、中空成形体および延伸フイルム
JP5320891B2 (ja) ポリエステル成形体
JP2006028300A (ja) ポリエステル及びそれかなる中空成形体、シート状物、フィルム
JP2003082208A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2003206339A (ja) ポリエステル樹脂組成物とそれからなる中空成形体
JP2001302778A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001302777A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001172373A (ja) ポリエステル樹脂、それからなる中空成形体、シ−ト状物及び延伸フイルム
JP3436167B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2003082207A (ja) ポリエステル樹脂組成物、それからなる中空成形体
JPH0977858A (ja) ポリエステル製中空容器
JP2003082204A (ja) ポリエステル樹脂組成物とそれからなる中空成形体
JP3685303B2 (ja) ポリエステル樹脂
JP3687781B2 (ja) ポリエステルの製造方法