JP3436268B2 - ポリエステル、それからなる中空成形体、シート状物及び延伸フィルム - Google Patents

ポリエステル、それからなる中空成形体、シート状物及び延伸フィルム

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JP3436268B2
JP3436268B2 JP2002369291A JP2002369291A JP3436268B2 JP 3436268 B2 JP3436268 B2 JP 3436268B2 JP 2002369291 A JP2002369291 A JP 2002369291A JP 2002369291 A JP2002369291 A JP 2002369291A JP 3436268 B2 JP3436268 B2 JP 3436268B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料用ボトルをは
じめとする中空成形体、シート状物、延伸フィルムなど
の成形体の素材として好適に用いられるポリエステル及
びそれからなる成形体に関するものであり、特に、透明
性及び耐熱寸法安定性に優れた小型中空成形体や透明
性、滑り性及び成形後の寸法安定性に優れたシート状物
及び延伸フィルムに関するものである。また、本発明
は、小型中空成形体を成形する際に熱処理金型からの離
型性が良好で、長時間連続成形性に優れたポリエステル
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートであるポリエステル(以下PETと略称すること
がある)は、その優れた透明性、機械的強度、耐熱性、
ガスバリアー性などの特性により、炭酸飲料、ジュー
ス、ミネラルウォータなどの容器の素材として採用され
ており、その普及はめざましいものがある。これらの用
途において、ポリエステル製ボトルに高温で殺菌した飲
料を熱充填したり、また飲料を充填後高温で殺菌したり
するが、通常のポリエステル製ボトルでは、このような
熱充填処理時などに収縮、変形が起こり問題となる。ポ
リエステル製ボトルの耐熱性を向上させる方法として、
ボトル口栓部を熱処理して結晶化度を高めたり、また延
伸したボトルを熱固定させたりする方法が提案されてい
る。特に口栓部の結晶化が不十分であったり、また結晶
化度のばらつきが大きい場合にはキャップとの密封性が
悪くなり、内容物の漏れが生ずることがある。
【0003】また、果汁飲料、ウーロン茶及びミネラル
ウオータなどのように熱充填を必要とする飲料の場合に
は、プリフォーム又は成形されたボトルの口栓部を熱処
理して結晶化する方法(特開昭55−79237号公
報、特開昭58−110221号公報などに記載の方
法)が一般的である。このような方法、すなわち口栓
部、肩部を熱処理して耐熱性を向上させる方法は、結晶
化処理をする時間・温度が生産性に大きく影響し、低温
でかつ短時間で処理できる、結晶化速度が速いPETで
あることが好ましい。一方、胴部についてはボトル内容
物の色調を悪化させないように、成形時の熱処理を施し
ても透明であることが要求されており、口栓部と胴部で
は相反する特性が必要である。
【0004】また、ボトル胴部の耐熱性を向上させるた
め、例えば、特公昭59−6216号公報に見られる通
り、延伸ブロー金型の温度を高温にして熱処理する方法
が採られる。しかし、このような方法によって同一金型
を用いて多数のボトル成形を続けると、長時間の運転に
伴って得られるボトルが白化して透明性が低下し、商品
価値のないボトルしか得られなくなる。これは金型表面
にPETに起因する付着物が付き、その結果金型汚れと
なり、この金型汚れがボトルの表面に転写するためであ
ることが分かった。特に、近年では、ボトルの小型化と
ともに成形速度が高速化されてきており、生産性の面か
ら口栓部の結晶化のための加熱時間短縮や金型汚れはよ
り大きな問題となってきている。
【0005】また、PETをシート状物に押出し、これ
を真空成形して得た容器に食品を充填後同一素材からな
る蓋をし放置しておくと収縮が起こり蓋の開封性が悪く
なったり、また該容器を長期間放置しておくと収縮が起
こり蓋が出来なくなったりする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために種々の提案がなされている。例えば、ポリエ
チレンテレフタレートにカオリン、タルクなどの無機核
剤を添加する方法(特開昭56−2342号公報、特開
昭56−21832号公報)、モンタン酸ワックス塩な
どの有機核剤を添加する方法(特開昭57−12524
6号公報、特開昭57−207639号公報)がある
が、これらの方法は異物やくもりの発生を伴い実用化に
は問題がある。また、原料ポリエステルに、該ポリエス
テルから溶融成形して得たポリエステル成形体を粉砕し
た処理ポリエステルを添加する方法(特開平5−105
807号公報)があるが、この方法は溶融成形粉砕とい
う余分な工程が必要であり、さらにこのような後工程で
ポリエステル以外の夾雑物が混入する危険性があり、経
済的及び品質的に好ましい方法ではない。また、耐熱性
樹脂製ピースを口栓部に挿入する方法(特開昭61−2
59946号公報、特開平2−269638号公報)が
提案されているが、ボトルの生産性が悪く、また、リサ
イクル性にも問題がある。
【0007】本発明は、上記従来の問題点を解決し、透
明性及び耐熱寸法安定性の優れた成形体、特に小型中空
成形体を高速成形により効率よく生産することができ、
また金型を汚すことの少ない長時間連続成形性に優れた
ポリエステル及びそれからなる成形体を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステルは、主たる繰返し単位がエチ
レンテレフタレートであるポリエステルであって、ファ
インを0.1〜500ppm含有し、該ポリエステルを
溶融成形して得た成形体を熱機械分析(TMA)により
測定した寸法変化率が4.0%以下であることを特徴と
する。
【0009】ここで、熱機械分析(TMA)により測定
した寸法変化率とは、後記した方法により成形体を熱機
械分析(TMA)により測定した寸法変化率を意味す
る。
【0010】上記の構成からなる本発明のポリエステル
は、これを溶融成形することにより容易に透明性及び耐
熱寸法安定性の優れた成形体、特に小型中空成形体を得
ることができ、該中空成形体の口栓部結晶化速度が早
く、従って生産性が高くまた金型を汚すことの少ない長
時間連続成形性に優れたポリエステルを得ることができ
る。また、滑り性及び成形後の寸法安定性に優れたシー
ト状物を得ることも出来る。
【0011】また、この場合、ポリエステルの極限粘度
が、0.55〜0.90デシリットル/g、ポリエステ
ルに共重合されたジエチレングリコール含有量が、該ポ
リエステルを構成するグリコール成分の1.0〜5.0
モル%であることができる。
【0012】また、この場合、ポリエステルの密度が、
1.37g/cm以上であることができる。
【0013】また、この場合、ファイン含有量が、0.
1〜100ppmであることができる。
【0014】また、この場合、ファイン含有量が、0.
1〜10ppmであることができる。
【0015】また、この場合、アセトアルデヒド含有量
が、10ppm以下であることができる。
【0016】また、この場合、環状3量体含有量が、
0.5重量%以下であることができる。
【0017】また、この場合、290℃の温度で60分
間溶融したときの環状3量体の増加量が、0.30重量
%以下であることができる。
【0018】また、この場合、重縮合触媒としてGe化
合物及び/又はTi化合物を用いて得られたものである
ことができる。
【0019】また、この場合、ポリエステルを溶融成形
して得た成形体のヘイズが3%以下であることができ
る。
【0020】また、この場合、中空成形体が、前記記載
のポリエステルを成形してなるものであることができ
る。
【0021】また、この場合、シート状物が、前記記載
のポリエステルを成形してなるものであることができ
る。
【0022】さらにまた、この場合、延伸にフィルム
が、シート状物を少なくとも1方向に延伸してなるもの
であることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリエステルの実
施の形態を具体的に説明する。
【0024】本発明の主たる繰り返し単位がエチレンテ
レフタレートであるポリエステルは、エチレンテレフタ
レート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであ
り、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95
%以上含む線状ポリエステルである。
【0025】前記ポリエステルの共重合に使用されるジ
カルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、
オキシカプロン酸などのオキシ酸及びその機能的誘導
体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸な
どの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸及びそ
の機能的誘導体などが挙げられる。
【0026】前記ポリエステルの共重合に使用されるグ
リコールとしては、ジエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物な
どの芳香族グリコールなどが挙げられる。
【0027】さらに、前記ポリエステル中の多官能化合
物からなるその他の共重合成分としては、酸性分とし
て、トリメリット酸、ピロメリット酸などを挙げること
ができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリ
スリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の
使量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度で
なければならない。
【0028】本発明のポリエステルは、通常、テレフタ
ール酸とエチレングリコール及び必要により上記共重合
成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重
縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物又はTi化合物
から選ばれた1種又はそれ以上の化合物を用いて減圧下
に重縮合を行う直接エステル化法、又はテレフタル酸ジ
メチルとエチレングリコール及び必要により上記共重合
成分をエステル交換触媒の存在下で反応させてメチルア
ルコールを留去しエステル交換させた後、重縮合触媒と
してSb化合物、Ge化合物又はTi化合物から選ばれ
た1種又はそれ以上の化合物を用いて主として減圧下に
重縮合を行うエステル交換法により製造される。これら
の重合触媒はエステル交換反応あるいはエステル化反応
の開始前又は反応途中に添加してもよい。
【0029】本発明で使用されるGe化合物としては、
無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウ
ム、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシ
ド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲ
ルマニウムなどが挙げられる。Ge化合物を使用する場
合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量とし
て5〜150ppm、好ましくは10〜100ppm、
更に好ましくは15〜70ppmである。
【0030】本発明で使用されるTi化合物としては、
テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネー
ト、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブ
チルチタネートなどのテトラアルキルチタネート及びそ
れらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルア
ンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカ
リウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロ
ンチウムなどの蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チ
タン、硫酸チタン、塩化チタンなどが挙げられる。Ti
化合物は、生成ポリマー中のTi残存量として0.1〜
10ppmの範囲になるように添加する。
【0031】本発明で使用されるSb化合物としては、
三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモ
ン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、ア
ンチモングリコレート、五酸化アンチモン、トリフェニ
ルアンチモンなどが挙げられる。Sb化合物は、生成ポ
リマー中のSb残存量として50〜250ppmの範囲
になるように添加する。
【0032】また、安定剤として種々のP化合物を使用
することができる。本発明で使用されるP化合物として
は、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの誘導体
などが挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリ
メチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸ト
リブチルエステル、リン酸トリフェニールエステル、リ
ン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リ
ン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜
リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエ
チルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホ
スホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチル
ホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジ
メチルエステル、フェニールホスホン酸ジエチルエステ
ル、フェニールホスホン酸ジフェニールエステルなどで
あり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を
併用してもよい。P化合物は、生成ポリマー中のP残存
量として5〜100ppmの範囲になるように添加す
る。
【0033】さらに、ポリエステルの極限粘度を増大さ
せ、アセトアルデヒド含有量を低下させるために固相重
合を行ってもよい。
【0034】前記のエステル化反応、エステル交換反
応、溶融重縮合反応及び固相重合反応は、回分式反応装
置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良
い。
【0035】本発明のポリエステルは、主たる繰返し単
位がエチレンテレフタレートであるポリエステルであっ
て、ファインを0.1〜100ppm含有し、該ポリエ
ステルを溶融成形して得た成形体を熱機械分析(TM
A)により測定した寸法変化率が4.0%以下、好まし
くは3.9%以下、さらに好ましくは3.8%以下であ
る。この寸法変化率が4.0%より大きい場合は、中空
成形体口栓部を熱処理する場合、加熱結晶化速度が遅
く、一定の結晶化度を達成するのに処理時間が長くな
る。その結果、中空成形体の生産性が悪くなり、特に小
型容器成形時に問題となる。またシートの真空成形の場
合は成形後の収縮率が大となり、蓋の開封性や蓋との嵌
合性が悪くなり問題となる。
【0036】なお、ここで、本発明のポリエステルを特
定する寸法変化率は、(株)マック・サイエンス社製の
熱機械分析(TMA)装置(タイプTMA4000S)
を用いて、後記する方法によって測定した。
【0037】さらに、本発明のポリエステルは、該ポリ
エステルを溶融成形して得た成形体のヘイズが3%以下
で有り、好ましくは2%以下である。ヘイズが3%より
大きい場合は、得られた成形体の透明性が悪くなり、特
に延伸成形体の場合には問題となる。
【0038】本発明のポリエステルのチップの極限粘度
は0.55〜0.90デシリットル/gであるのが好ま
しく、0.58〜0.87デシリットル/gであるのが
より好ましい。ポリエステルのチップの極限粘度が0.
55デシリットル/gより小さい場合は、本発明のポリ
エステルを溶融成形して得られた成形体の透明性、耐熱
性、機械特性などが充分満足されないことがある。ま
た、極限粘度が0.90デシリットル/gより大きい場
合は、成形時の発熱が激しくなり、このため成形体の着
色が激しくなったり、またアセトアルデヒド含有量が多
くなる傾向にあり、飲料用ボトルなど食品用途には適さ
なくなる。
【0039】本発明のポリエステルの共重合されたジエ
チレングリコール(DEG)含有量が該ポリエステルを
構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%の範囲
であり、好ましくは1.5〜4.8モル%、更に好まし
くは2.0〜4.5モル%である。1.0モル%より少
ない場合は得られた中空成形体の透明性が非常に悪くな
り、また5.0モル%より多い場合は熱製安定性が劣
り、得られた中空成形体のアセトアルデヒド(AA)含
有量が非常に高くなり内容物のフレーバー性が悪くな
る。
【0040】また、本発明のポリエステルのアセトアル
デヒド含有量は10ppm以下、好ましくは8ppm以
下、更に好ましくは5ppm以下である。アセトアルデ
ヒド含有量が10ppmより多い場合は、このポリエス
テル樹脂から成形された容器などの内容物の風味や臭い
などが悪くなる。
【0041】また、本発明のポリエステルは、環状3量
体を若干含んでもよいが、その含有量は0.5重量%以
下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは
0.40重量%以下である。本発明のポリエステルから
耐熱性の中空成形体を成形する場合は加熱金型内で熱処
理を行うが、環状3量体の含有量が0.5重量%より多
い場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に
増加し、得られた中空成形体の透明性が非常に悪化す
る。
【0042】また、本発明のポリエステルは、290℃
の温度で60分間溶融したときの環状3量体の増加量が
0.30重量%以下、好ましくは0.20重量%以下、
さらに好ましくは0.10重量%以下である。環状3量
体増加量が0.30重量%を超えるポリエステルを用い
て中空成形を行うと、環状3量体などのオリゴマー類が
金型内面や金型のガス排気口及び排気管に付着し、透明
な中空成形体を得ようとすると頻繁に金型掃除をしなけ
ればならない。
【0043】290℃の温度で60分間溶融したときの
環状3量体の増加量が0.30重量%以下であるポリエ
ステルは、溶融重縮合後や固相重合後に得られたポリエ
ステルの重縮合触媒を失活処理することにより製造する
ことができる。ポリエステルの重縮合触媒を失活処理す
る方法としては、溶融重縮合後や固相重合後にポリエス
テルチップを水、水蒸気、水蒸気含有気体などと接触処
理する方法が挙げられる。
【0044】熱水処理方法としては、水中に浸ける方法
やシャワーでチップ上に水をかける方法などが挙げられ
る。処理時間としては5分〜2日間、好ましくは10分
〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の
温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150
℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0045】以下に水処理を工業的に行う方法を例示す
るが、これに限定するものではない。また処理方法は連
続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない
が、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0046】ポリエステルのチップをバッチ方式で水処
理する場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。す
なわちバッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受
け入れ水処理を行う。あるいは回転筒型の処理槽にポリ
エステルのチップを受け入れ、回転させながら水処理を
行い水との接触をさらに効率的にすることもできる。
【0047】ポリエステルのチップを連続方式で水処理
する場合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的にポリエ
ステルのチップを上部より受け入れ、水処理させること
ができる。
【0048】ポリエステルのチップと水蒸気又は水蒸気
含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜150
℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気又は水蒸
気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましくは粒状ポ
リエステル1kg当り、水蒸気として0.5g以上の量
で供給させるか、又は存在させて粒状ポリエステルと水
蒸気とを接触させる。
【0049】このポリエステルのチップと水蒸気との接
触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜1
0時間行われる。
【0050】以下に粒状ポリエステルと水蒸気又は水蒸
気含有ガスとの接触処理を工業的に行なう方法を例示す
るが、これに限定されるものではない。また処理方法は
連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えな
い。ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸気と接触
処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が挙げられ
る。すなわちポリエステルのチップをサイロへ受け入
れ、バッチ方式で、水蒸気、水蒸気含有ガス気体などを
供給し接触処理を行なう。あるいは回転筒型の接触処理
装置に粒状ポリエステルを受け入れ、回転させながら接
触処理を行ない接触をさらに効率的にすることもでき
る。
【0051】ポリエステルのチップを連続で水蒸気と接
触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエス
テルを上部より受け入れ、並流あるいは向流で水蒸気を
連続供給し水蒸気と接触処理させることができる。ポリ
エステルチップの熱水処理方法の例として下記の様な方
法が挙げられる。
【0052】すなわち、重縮合後チップ状に形成したポ
リエステルを、熱水処理槽中において処理槽から戻って
きた排水を含む処理水で温度40〜120℃において処
理する方法が挙げられる。また、処理槽からチップと共
に排出した排水を処理槽に戻さずに同一の温度範囲にお
いて処理する方法も挙げられる。さらに、重縮合後チッ
プ状に形成したポリエステルを、該処理槽中においてポ
リエステルの微粉の含有量が1000ppm以下の処理
水で処理する方法もある。なお、ここで言う微粉とは、
水処理槽中にチップと共に共存する細かいポリエステル
の粉であり、通常その粒径は30〜1300μm程度の
ものである。
【0053】上記の如く、水又は水蒸気で処理した場合
は粒状ポリエステルを必要に応じて振動篩機、シモンカ
ーターなどの水切り装置で水切りし、次の乾燥工程へ移
送する。
【0054】水又は水蒸気と接触処理したポリエステル
のチップの乾燥は通常用いられるポリエステルの乾燥処
理を用いることができる。連続的に乾燥する方法として
は、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部より
乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用
される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法と
しては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が用いら
れ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外
部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給しポリエ
ステルのチップを間接的に加熱乾燥することができる。
【0055】バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブ
ルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真
空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができ
る。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥し
てもよい。乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えない
が、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量
低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好まし
い。
【0056】上記のようにポリエステルに水又は水蒸気
処理を施すことによって、ポリエステルの固相重縮合速
度が減少するとともに、該ポリエステルを290℃の温
度に加熱溶融した後のオリゴマー増加量を抑制すること
ができる。
【0057】本発明のポリエステルに飽和脂肪酸モノア
ミド、不飽和脂肪酸モノアミド、飽和脂肪酸ビスアミ
ド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどを同時に併用すること
も可能である。
【0058】飽和脂肪酸モノアミドの例としては、ラウ
リン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベヘン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸モ
ノアミドの例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸ア
ミドリシノール酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸
ビスアミドの例としては、メチレンビスステアリン酸ア
ミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エ
チレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステア
リン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミドなど
が挙げられる。また、不飽和脂肪酸ビスアミドの例とし
ては、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレン
ビスオレイン酸アミドなどが挙げられる。好ましいアミ
ド系化合物は、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビ
スアミドなどである。このようなアミド化合物の配合量
は、10ppb〜1×105ppmの範囲である。
【0059】また炭素数8〜33の脂肪族モノカルボン
酸の金属塩化合物、例えばナフテン酸、カプリル酸、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、メリシン酸、
オレイン酸、リノール酸などの飽和及び不飽和脂肪酸の
リチュウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウ
ム塩、カルシウム塩、及びコバルト塩などを同時に併用
することも可能である。これらの化合物の配合量は、1
0ppb〜300ppmの範囲である。
【0060】ポリエステルのチップの形状は、シリンダ
ー型、角型又は扁平な板状などの何れでもよく、その大
きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.6〜3.5m
m、好ましくは1.8〜3.5mmの範囲である。例え
ばシリンダー型の場合は、長さは1.8〜3.5mm、
径は1.8〜3.5mm程度であるのが実用的である。
また、チップの重量は15〜30mg/個の範囲が実用
的である。
【0061】前記の製造工程の中で、溶融重縮合ポリマ
ーをチップ化する工程、固相重合工程、水処理工程、溶
融重縮合ポリマーチップや固相重合ポリマーチップを輸
送する工程などにおいて、本来造粒時に設定した大きさ
のチップよりかなり小さな粒状体や粉などが発生する。
ここでは、このような微細な粒状体や粉などをファイン
と称する。本発明のポリエステルを製造する工程では純
度の高い原料や副材料を使用すると共に、溶融重縮合ポ
リマーの濾過、ポリエステルチップの冷却水の濾過、チ
ップの水処理に系外より導入する水の濾過、該チップの
搬送などに使用する気体の濾過などにより使用ポリエス
テル以外の異物や夾雑物が混入しないような対策を実施
するので、該ファインはポリエステル以外の異物や夾雑
物を含まないようにすることが出来る。
【0062】本発明のポリエステルは、例えば次のよう
な方法で製造することが出来る。すなわち、ポリエステ
ルにポリアセタールを0.1〜1000ppm含有させ
るか、ファインを0.1〜500ppm及びポリアセタ
ールを0.1ppb〜1000ppm含有させることに
よって製造することが出来る。ポリアセタール含有量が
0.1ppm未満の場合やポリアセタール含有量が0.
1ppm未満で、かつファインの含有量が0.1ppb
未満の場合は、寸法変化率は4.0%を越える値とな
る。またポリアセタール含有量が1000ppmを越え
る場合やポリアセタール含有量が1000ppmを越
え、かつファインの含有量が500ppmを越える場合
は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0063】前記のポリエステルのファインの極限粘度
は通常、0.55〜0.90、好ましくは0.57〜
0.88、さらに好ましくは0.58〜0.87であ
る。極限粘度が0.55より小さい場合は、得られた成
形体の透明性が悪くなる。好ましくはポリエステルのチ
ップの極限粘度と同一か、又はポリエステルのチップの
極限粘度より0.03高い極限粘度の範囲であることが
好ましい。
【0064】本発明において使用されるポリアセタール
としては、ポリアセタールホモポリマー又はポリアセタ
ールコポリマーが挙げられる。ポリアセタールホモポリ
マーとしては、ASTM−D792の測定法により測定
した密度が1.40〜1.42g/cm、ASTMD
−1238の測定法により、190℃、荷重2160g
で測定したメルトインデックス(MI)が0.5〜50
g/10分の範囲のポリアセタールが好ましい。ポリア
セタールコポリマーとしては、ASTM−D792の測
定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm
、ASTMD−1238の測定法により、190℃、
荷重2160gで測定したメルトインデックス(MI)
が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタールコポ
リマーが好ましい。これらの共重合成分としては、エチ
レンオキサイドや環状エーテルが挙げられる。
【0065】これらのポリアセタールをポリエステル中
に添加する時期、添加方法は特に限定されず、溶融成形
前の任意の段階で行うことができる。例えば、溶融重縮
合終了までの任意の時点で添加する方法、高濃度のマス
ターバッチを作りブレンドする方法、ポリエステルにタ
ンブラーブレンダーなどの混合機で混合し押出機などを
用いて溶融混錬りする方法などを例示することができ
る。
【0066】また、前記の対象となるポリエステルのフ
ァインは、その粒径がJIS−Z8801による10.
5メッシュの標準篩を通過する大きさのファインであ
り、好ましくはJIS−Z8801による20メッシュ
の標準篩を通過する大きさの粒径のファインである。
【0067】本発明において、ポリエステルのファイン
の含有量を前記の範囲に調節する方法としては、篩分工
程を通していないファイン含有量の高いポリエステルの
チップと篩分工程及び空気流によるファイン除去工程を
通したファイン含有量の非常に少ないポリエステルチッ
プを適当な割合で混合する方法による他、ファイン除去
工程の篩の目開きを変更することにより調節することも
でき、また篩分速度を変更することによるなど任意の方
法を用いることができる。
【0068】本発明のポリエステルは、中空成形体、ト
レー、2軸延伸フィルムなどの包装材、金属缶被覆用フ
ィルムなどとして好ましく用いることが出来る。また、
本発明のポリエステルは、多層成形体や多層フィルムな
どの1構成層としても用いることが出来る。
【0069】本発明のポリエステルには、必要に応じて
公知の紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯
電防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。
なお、本発明における、主な特性値の測定法を以下に説
明する。
【0070】(1)ポリエステルの極限粘度(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
【0071】(2)ジエチレングリコール含有量(DE
G含有量) メタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによ
りDEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合
(モル%)で表した。
【0072】(3)アセトアルデヒド含有量(AA含有
量) 試料/蒸留水=1g/2ccを窒素置換したガラスアン
プルに入れて上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理
を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガ
スクロマトグラフィーで測定し濃度をppmで表示し
た。
【0073】(4)ポリエステルの環状3量体の含有量
(CT含有量) 試料をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロフォル
ム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈
する。これにメタノールを加えてポリマーを沈殿させた
後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムア
ミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテ
レフタレート単位から構成される環状3量体を定量し
た。
【0074】(5)ポリエステルの溶融時の環状3量体
増加量(ΔCT) 乾燥したポリエステルチップ3gをガラス製試験管に入
れ、窒素雰囲気下で290℃のオイルバスに60分浸漬
させ溶融させる。溶融時の環状3量体増加量は、次式に
より求めた。 溶融時の環状3量体増加量(重量%)=溶融後の環状3量
体含有量(重量%)−溶融前の環状3量体含有量(重量%)
【0075】(6)ファインの含有量測定 JIS−Z8801による10.5メッシュの標準篩い
を用い、1000kgのサンプルを篩い分け、篩を通過
したファインの量を秤量し含有量を求めた。
【0076】(7)ポリエステルチップ及び成形板の密
度 四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管で25
℃で測定した。
【0077】(8)ヘイズ(霞度%) 下記(11)の成形体及び中空成形体の胴部(肉厚約4
mm)より試料を切り取り、東洋製作所製ヘイズメータ
ーで測定した。
【0078】(9)成形体の熱機械分析(TMA)によ
る寸法変化率 下記(11)の段付き成形板から3mm厚みのプレート
部より8mm×10mmの大きさの試験片を切り出し、
測定試料とした。成形板には、成形加工時の流動に由来
する分子配向が存在するが、配向状態は成形板の部位に
よりまちまちである。そこで、偏光面を直交させた2枚
の偏光板の間に成形板を挟み込み、偏光板表面に垂直な
方向から可視光を照射した際の、成形板を透過する光の
強度分布を観察することによって配向状態を確認した。
上記寸法内に分子配向の不均一(配向度や配向方向のゆ
らぎなど)を含むことのない部位より試験片を切り出し
た。その際にあらかじめ光学異方性の方位を確認し、切
り出す試験片の方位との関係を以下のようにした。光学
異方性の方位は、偏光顕微鏡と鋭敏色検板を用い、「新
高分子実験学」第6巻「高分子の構造(2)」(共立出
版株式会社)に記載の方法で決定した。屈折率の小さい
軸(光の速度が速い軸)の方向と、試験片の長軸が平行
になるように切り出した。試験片を切り出す際に導入さ
れる配向乱れや切断面の凹凸は測定結果に著しく影響を
与える。そこで、切断面の凹凸や配向の乱れた部位をカ
ッターを用いて削除し、平坦な面を得た。また、試験片
の密度や分子配向の度合いも結果に影響を及ぼす。密度
及び複屈折の値は、それぞれ1.3345〜1.335
5g/cm及び1.30×10−4〜1.50×10
−4でなければならない。密度は、試験片採取部位の近
傍よりサンプリングした樹脂を試料として、水系密度勾
配管を用いて測定した。複屈折は、偏光顕微鏡(ニコン
社製ECLIPSE E600 POL)を用いて、ベレックコ
ンペンセーター法で測定した。測定値は試験片の中央部
で得られた値を採用した。上記のように作製した試験片
の昇降温過程の寸法変化を、(株)マック・サイエンス
社製の熱機械分析(TMA)、タイプTMA4000Sで
測定した。測定は、圧縮荷重モードで行い、試験片の長
軸に平行な方向の試料長の変化を観測した。0.2gの
一定圧縮荷重、Ar雰囲気下で、室温から210℃まで
27℃/min.の速度で昇温し、210℃で180秒
間保持後、室温まで47℃/min.の速度で降温さ
せ、寸法変化を測定した。寸法変化率の算出は、下記の
式を用いた。
【0079】
【式1】
【0080】(10)ボトル口栓部の加熱による密度上
昇 ボトル口栓部を自家製の赤外線ヒーターによって60秒
間熱処理し、天面から試料を採取し密度を測定した。
【0081】(11)段付成形板の成形 乾燥したポリエステルを名機製作所製M−100射出成
型機により、シリンダー温度290℃において、10℃
に冷却した段付平板金型を用い成形する。この段付成形
板は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11m
mの厚みの約3cm×約5cm角のプレートを階段状に
備えたもので、1個の重量は約146gである。2mm
厚みのプレートは密度上昇速度測定に、3mm厚みのプ
レートは寸法変化率測定に、また4mm厚みのプレート
はヘイズ(霞度%)測定に使用した。
【0082】(12)金型汚れの評価 ポリエステルを脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥し、名機
製作所製M−100射出成型機により樹脂温度290℃
でプリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部
を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コ
ーポプラスト社製LB−01延伸ブロー成型機を用いて
二軸延伸ブロー成形し、引き続き約155℃に設定した
金型内で7秒間熱固定し、350ccの中空成形体を得
た。成形が定常状態になった中空成形体の胴部のヘイズ
を測定した。同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、
目視で判断して容器の透明性が損なわれるまでの成形回
数で金型汚れを評価した。また、ヘイズ測定用試料とし
ては、5000回連続成形後の容器の胴部を供した。
【0083】(13)中空成形体からの内容物の漏れ評
価 前記(12)で成形した中空成形体に90℃の温湯を充
填し、キャッピング機によりキャッピングをしたあと容
器を倒し放置後、内容物の漏洩を調べた。また、キャッ
ピング後の口栓部の変形状態も調べた。
【0084】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0085】(実施例1〜2)予め反応物を含有してい
る第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチ
ルグリコールとのスラーを連続的に供給し、撹拌下、約
250℃、0.5kg/cmGで平均滞留時間3時間
反応を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に
加熱溶解し、これにエチレングリコールを添加加熱処理
した触媒溶液、燐酸のエチレングリコール溶液、及び表
1に示す量のポリアセタール(MI=1.0g/10
分、密度=1.41g/cm)を別々にこの第1エス
テル化反応器に連続的に供給した。この反応物を第2エ
ステル化反応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.0
5kg/cmGで所定の反応度まで反応を行った。こ
のエステル化反応生成物を連続的に第1重合反応器に送
り、撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次い
で第2重合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで
1時間、さらに第3重合反応器で撹拌下、約275℃、
0.5〜1torrで1時間重合させた。得られたPE
TのIVは0.54、DEG含有量は2.7モル%であ
った。反応終了後、重合槽よりストランド状で取り出
し、水冷後チップ状にカットした。この溶融重縮合PE
Tを結晶化後、205℃で窒素気流下に固相重合した。
固相重合後篩分工程及びファイン除去工程で処理速度を
変更して処理しファイン含有量の異なるPETを得た。
実施例1及び2のPETのAA含量は4.5ppm及び
4.8ppm、また密度は1.397g/cm及び
1.396g/cmであった。原子吸光分析により測
定した実施例1及び2のPETのGe残存量は50pp
mと48ppm、またP残存量は38ppmと39pp
mであった。
【0086】成形板及び二軸延伸成形ボトルにより前記
の評価を実施した。結果を表1に示す。PET成形板の
寸法変化率は、いずれも4.0%以下であった。500
0本以上の連続延伸ブロー成形を実施したが、金型汚れ
は認められず、またボトルの透明性も良好であった。ま
た、これらの容器に90℃の温湯を充填し、キャッピン
グ機によりキャッピングをした後ボトルを倒し放置後、
口栓部の変形及び内容物の漏洩を調べたが、問題はなか
った。
【0087】(実施例3)ポリアセタールの添加量を変
更する以外は実施例1と同様にして重縮合し、ファイン
除去能力を強化してファイン含有量を0.1ppm以下
のPETを得た。このPETチップを熱水処理した。
【0088】ポリエステルチップの水処理には、図1に
示す装置を用い、処理槽上部の原料チップ供給口
(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバー
フロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップ
と処理水の混合物の排出口(3)、このオーバーフロー
排出口から排出された処理水と、処理槽から排出された
処理水と、処理槽下部の排出項から排出された水切り装
置(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmの
連続式フィルターである微粉除去装置(5)を経由して
再び水処理槽へ送られる配管(6)、これらの微粉除去
済み処理水の導入口(7)、微粉除去済み処理水中のア
セトアルデヒドを吸着処理させる吸着塔(8)、及び新
しいイオン交換水の導入口(9)を備えた内容量約32
0リットルの塔型の処理槽を使用した。
【0089】処理水温度95℃にコントロールされた水
処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供給口
(1)から連続投入し、微粉含有量が約500ppmの
処理水を用いて水処理時間4時間で処理槽下部の排出口
(3)からポリエステルチップとして50kg/時間の
速度で処理水と共に連続的に抜き出した。得られたポリ
エステルのファイン含有量は200ppmであった。な
お、処理水中の微粉量は、処理槽の処理水排出口からJ
IS規格20メッシュのフィルターを通過した処理水を
1000cc採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィル
ターで濾過後、100℃で2時間乾燥し室温下で冷却
後、重量を測定して算出する。種々の評価を実施した
が、表1に示す通り実施例1と同様に問題のない結果が
得られた。なお、DEG含量は2.3モル%、AA含量
は2.8ppm、また密度は1.401g/cmであ
った。原子吸光分析により測定したPETのGe残存量
は53ppm、またP残存量は37ppmであった。
【0090】(実施例4)触媒として二酸化ゲルマニウ
ム及びテトライソプロピルチタネートを使用する以外は
実施例1と同様にして重縮合及び固相重合して、表1記
載のPETを得た。DEG含量は2.3モル%、AA含
量は2.8ppm、また密度は1.401g/cm
あった。原子吸光分析により測定したPETのTi残存
量は1.1ppm、Ge残存量は15ppm、またP残
存量は17ppmであった。種々の評価を実施したが、
表1に示す通り実施例1と同様に問題のない結果が得ら
れた。
【0091】(実施例5)実施例2で得られたポリエス
テルを用いて、自家製シート成形機にてバレル温度29
0℃で0.5mm厚みのシートを成形した。次いで該押
出シートを三和興業製真空圧空成形機TVP−33型に
て約110℃で予熱後満注容量約400ccの蓋溝付き
容器を成形した。同時に前記の容器用の蓋も成形した。
容器に内容物を充填後前記の蓋の突出部を容器の溝にか
み合わせ、1ヶ月間室温で放置し、蓋の開封性を調べた
ところ、簡単に開封出来た。
【0092】(比較例1)ポリアセタールの添加量及び
ファイン含有量を変更する以外は実施例1と同一の方法
で、ファイン含有量が0.02ppm、ポリアセタール
含有量が0.05ppbのPETを得た。
【0093】表1に示す通り得られたPETからの成形
板の寸法変化率は8.5%で、またこのポリエステルか
ら成形したボトルに90℃の温湯を充填し、キャッピン
グ機によりキャッピングした後、ボトルを倒し放置後、
ボトルの口栓部変形及び内容物の漏洩を調べたが、口栓
部の変形及び内容物の漏れが認められた。ボトル胴部の
ヘイズは6.3%と悪く、また金型汚れまでの成形回数
は4000回と低かった。
【0094】(比較例2)比較例1のポリエステルを用
いて実施例4と同様にして容器を作り、同様の方法で蓋
をした後1ヶ月放置し、蓋の開封性を調べたが、容器の
溝に蓋の突出部が強く嵌合し開封出来なかった。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】本発明のポリエステルによれば、透明性
のよい、耐熱寸法安定性が優れた中空成形体及び成形後
の寸法安定性に優れたシート状物を得ることができ、ま
たシート成形、ボトル成形などにおいて金型汚れが少な
く、長時間連続成形性に優れ、多数の成形体を透明性が
優れた状態で容易に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルの製造方法に用いる装置
の概略図。
【符号の説明】
1 原料チップの供給口 2 オーバーフロー排出口 3 ポリエステルチップと処理水の排出口 4 水切り装置 5 微粉除去装置 6 配管 7 処理水再導入口 8 吸着塔 9 イオン交換水導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−188750(JP,A) 特開 平6−329889(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 - 67/02

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ
    ートであるポリエステルであって、ファインを0.1〜
    500ppm含有し、該ポリエステルを溶融成形して得
    た成形体を熱機械分析(TMA)により測定した寸法変
    化率が4.0%以下であることを特徴とするポリエステ
    ル。
  2. 【請求項2】 ポリエステルの極限粘度が、0.55〜
    0.90デシリットル/g、ポリエステルに共重合され
    たジエチレングリコール含有量が、該ポリエステルを構
    成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリエステル。
  3. 【請求項3】 ポリエステルの密度が、1.37g/c
    以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    ポリエステル。
  4. 【請求項4】 ファイン含有量が、0.1〜100pp
    mであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のポ
    リエステル。
  5. 【請求項5】 ファイン含有量が、0.1〜10ppm
    であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の
    ポリエステル。
  6. 【請求項6】 アセトアルデヒド含有量が、10ppm
    以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は
    5記載のポリエステル。
  7. 【請求項7】 環状3量体含有量が、0.5重量%以下
    であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は
    6記載のポリエステル。
  8. 【請求項8】 290℃の温度で60分間溶融したとき
    の環状3量体の増加量が、0.30重量%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載のポリエステル。
  9. 【請求項9】 重縮合触媒としてGe化合物及び/又は
    Ti化合物を用いて得られたものであることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のポリ
    エステル。
  10. 【請求項10】 ポリエステルを溶融成形して得た成形
    体のヘイズが3%以下であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のポリエス
    テル。
  11. 【請求項11】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9又は10記載のポリエステルを成形してなること
    を特徴とする中空成形体。
  12. 【請求項12】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、9又は10記載のポリエステルを成形してなること
    を特徴とするシート状物。
  13. 【請求項13】 請求項12記載のシート状物を少なく
    とも1方向に延伸してなることを特徴とする延伸フィル
    ム。
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