JP2000309690A - ポリエステル樹脂組成物、それからなる中空成形体、シート状物及び延伸フイルム - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物、それからなる中空成形体、シート状物及び延伸フイルム

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JP2000309690A
JP2000309690A JP11117683A JP11768399A JP2000309690A JP 2000309690 A JP2000309690 A JP 2000309690A JP 11117683 A JP11117683 A JP 11117683A JP 11768399 A JP11768399 A JP 11768399A JP 2000309690 A JP2000309690 A JP 2000309690A
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Japan
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polyester
resin composition
polyester resin
ppm
acid
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JP11117683A
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English (en)
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Yoshinao Matsui
義直 松井
Hirotoshi Sonoda
博俊 園田
Atsushi Hara
厚 原
Yoshitaka Eto
嘉孝 衛藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性及び耐熱寸法安定性の優れた成形体、
特に小型中空成形品を高速成形により効率よく生産する
ことができ、また金型を汚すことの少ない長時間連続成
形性に優れたポリエステル樹脂組成物及びそれからなる
成形体を提供すること。 【解決手段】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートであるポリエステルのチップ(A)と、該ポリエ
ステルのチップ(A)と同一組成のポリエステルのファ
イン(B)0.1〜500ppm及びポリアセタール
(C)0.1ppb〜1000ppmとからなることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料用ボトルをは
じめとする中空成形体、シート状物、延伸フィルムなど
の成形体の素材として好適に用いられるポリエステル樹
脂組成物及びそれから成る成形体、特に、透明性及び耐
熱寸法安定性に優れた小型中空成形体や透明性、滑り性
及び成形後の寸法安定性に優れたシート状物及び延伸フ
ィルムに関するものである。また、本発明は,小型中空
成形体を成形する際に熱処理金型からの離型性が良好
で、長時間連続成形性に優れたポリエステル樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
レートであるポリエステル(以下PETと略称すること
がある)は、その優れた透明性、機械的強度、耐熱性、
ガスバリアー性などの特性により、炭酸飲料、ジュー
ス、ミネラルウォータなどの容器の素材として採用され
ており、その普及はめざましいものがある。これらの用
途において、ポリエステル製ボトルに高温で殺菌した飲
料を熱充填したり、また飲料を充填後高温で殺菌したり
するが、通常のポリエステル製ボトルでは、このような
熱充填処理時などに収縮、変形が起こり問題となる。ポ
リエステル製ボトルの耐熱性を向上させる方法として、
ボトル口栓部を熱処理して結晶化度を高めたり、また延
伸したボトルを熱固定させたりする方法が提案されてい
る。特に口栓部の結晶化が不十分であったり、また結晶
化度のばらつきが大きい場合にはキャップとの密封性が
悪くなり、内容物の漏れが生ずることがある。
【0003】また、果汁飲料、ウーロン茶及びミネラル
ウオータなどのように熱充填を必要とする飲料の場合に
は、プリフォーム又は成形されたボトルの口栓部を熱処
理して結晶化する方法(特開昭55−79237号公
報、特開昭58−110221号公報などに記載の方
法)が一般的である。このような方法、すなわち口栓
部、肩部を熱処理して耐熱性を向上させる方法は、結晶
化処理をする時間・温度が生産性に大きく影響し、低温
でかつ短時間で処理できる、結晶化速度が速いPETで
あることが好ましい。一方、胴部についてはボトル内容
物の色調を悪化させないように、成形時の熱処理を施し
ても透明であることが要求されており、口栓部と胴部で
は相反する特性が必要である。
【0004】また、ボトル胴部の耐熱性を向上させるた
め、例えば、特公昭59−6216号公報に見られる通
り、延伸ブロー金型の温度を高温にして熱処理する方法
が採られる。しかし、このような方法によって同一金型
を用いて多数のボトル成形を続けると、長時間の運転に
伴って得られるボトルが白化して透明性が低下し、商品
価値のないボトルしか得られなくなる。これは金型表面
にPETに起因する付着物が付き、その結果金型汚れと
なり、この金型汚れがボトルの表面に転写するためであ
ることが分かった。特に、近年では、ボトルの小型化と
ともに成形速度が高速化されてきており、生産性の面か
ら口栓部の結晶化のための加熱時間短縮や金型汚れはよ
り大きな問題となってきている。
【0005】また、PETをシート状物に押出し、これ
を真空成形して得た容器に食品を充填後同一素材からな
る蓋をし放置しておくと収縮が起こり蓋の開封性が悪く
なったり、また該容器を長期間放置しておくと収縮が起
こり蓋が出来なくなったりする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために種々の提案がなされている。例えば、ポリエ
チレンテレフタレートにカオリン、タルクなどの無機核
剤を添加する方法(特開昭56−2342号公報、特開
昭56−21832号公報)、モンタン酸ワックス塩な
どの有機核剤を添加する方法(特開昭57−12524
6号公報、特開昭57−207639号公報)がある
が、これらの方法は異物やくもりの発生を伴い実用化に
は問題がある。また、原料ポリエステルに、該ポリエス
テルから溶融成形して得たポリエステル成形体を粉砕し
た処理ポリエステルを添加する方法(特開平5−105
807号公報)があるが、この方法は溶融成形粉砕とい
う余分な工程が必要であり、さらにこのような後工程で
ポリエステル以外の夾雑物が混入する危険性があり、経
済的及び品質的に好ましい方法ではない。また、耐熱性
樹脂製ピースを口栓部に挿入する方法(特開昭61−2
59946号公報、特開平2−269638号公報)が
提案されているが、ボトルの生産性が悪く、また、リサ
イクル性にも問題がある。
【0007】本発明は、上記従来の方法の有する問題点
を解決し、透明性及び耐熱寸法安定性の優れた成形体、
特に小型中空成形品を高速成形により効率よく生産する
ことができ、また金型を汚すことの少ない長時間連続成
形性に優れたポリエステル樹脂組成物及びそれからなる
成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステル樹脂組成物は、主たる繰返し
単位がエチレンテレフタレートであるポリエステステル
のチップ(A)と、該ポリエステルのチップ(A)と同
一組成のポリエステルのファイン(B)0.1〜500
ppm及びポリアセタール(C)0.1ppb〜100
0ppmとからなることを特徴とする。
【0009】上記の構成からなる本発明のポリエステル
樹脂組成物は、これを溶融成形することにより容易に透
明性及び耐熱寸法安定性の優れた成形体、特に小型中空
成形品を与えることができ、該中空成形品の口栓部結晶
化速度が早く、従って生産性が高くまた金型を汚すこと
の少ない長時間連続成形性に優れたポリエステルを与え
ることができる。また、滑り性及び成形後の寸法安定性
に優れたシート状物を与えることも出来る。
【0010】この場合において、ポリエステルの極限粘
度が0.55〜0.90デシリットル/g、ポリエステ
ルに共重合されたジエチレングリコール含有量が該ポリ
エステルを構成するグリコール成分の1.5〜5.0モ
ル%であることができる。
【0011】またこの場合において、ポリエステルの密
度が1.37g/cm3以上であることができる。
【0012】またこの場合において、アセトアルデヒド
の含有量が10ppm以下であることができる。またこ
の場合において、環状3量体含量が0.50重量%以下
であることができる。
【0013】またこの場合において、290℃の温度で
60分間溶融したときの環状3量体増加量が0.30重
量%以下であることができる。
【0014】さらにまた、この場合において、前記ポリ
エステル樹脂組成物を成形してなる中空成形体、シート
状物又は少なくとも1方向に延伸された延伸フイルムで
あることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリエステル樹脂
組成物の実施の形態を具体的に説明する。本発明の主た
る繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエ
ステルは、エチレンテレフタレート単位を85モル%以
上含む線状ポリエステルであり、好ましくは90モル%
以上、さらに好ましくは95モル%以上含む線状ポリエ
ステルである。
【0016】前記ポリエステルの共重合に使用されるジ
カルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、
オキシカプロン酸などのオキシ酸及びその機能的誘導
体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸な
どの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロ
ヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸及びそ
の機能的誘導体などが挙げられる。
【0017】前記ポリエステルの共重合に使用されるグ
リコールとしては、ジエチレングリコール、トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール
A、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物な
どの芳香族グリコールなどが挙げられる。
【0018】さらに、前記ポリエステル中の多官能化合
物からなるその他の共重合成分としては、酸性分とし
て、トリメリット酸、ピロメリット酸などを挙げること
ができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリ
スリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の
使量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度で
なければならない。
【0019】本発明で用いるポリエステルは、テレフタ
ール酸とエチレングリコール及び必要により上記共重合
成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重
縮合触媒としてSb化合物、Ge化合物又はTi化合物
から選ばれた1種又はそれ以上の化合物を用いて減圧下
に重縮合を行う直接エステル化法又はテレフタル酸ジメ
チルとエチレングリコール及び必要により上記共重合成
分をエステル交換触媒の存在下で反応させてメチルアル
コールを留去しエステル交換させた後、重縮合触媒とし
てSb化合物、Ge化合物又はTi化合物から選ばれた
1種又はそれ以上の化合物を用いて主として減圧下に重
縮合を行うエステル交換法により製造される。
【0020】本発明で用いるポリエステルの製造に使用
されるSb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸ア
ンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、
オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレート、五酸
化アンチモン、トリフェニルアンチモンなどが挙げられ
る。
【0021】本発明で用いるポリエステルの製造に使用
されるGe化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウ
ム、結晶性二酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウム、ゲ
ルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n
−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウムなどが挙げられ
る。
【0022】本発明で用いるポリエステルの製造に使用
されるTi化合物としては、テトラエチルチタネート、
テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピル
チタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどのテト
ラアルキルチタネート及びそれらの部分加水分解物、蓚
酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニル
ナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカル
シウム、蓚酸チタニルストロンチウムなどの蓚酸チタニ
ル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チ
タンなどが挙げられる。
【0023】また、安定剤として種々のP化合物を使用
することができる。本発明で使用されるP化合物として
は、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの誘導体
などが挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリ
メチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸ト
リブチルエステル、リン酸トリフェニールエステル、リ
ン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リ
ン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜
リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエ
チルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホ
スホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチル
ホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジ
メチルエステル、フェニールホスホン酸ジエチルエステ
ル、フェニールホスホン酸ジフェニールエステルなどで
あり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を
併用してもよい。
【0024】さらにポリエステルの極限粘度を増大さ
せ、アセトアルデヒド含量を低下させるために固相重合
を行ってもよい。
【0025】前記のエステル化反応、エステル交換反
応、溶融重縮合反応及び固相重合反応は、回分式反応装
置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良
い。
【0026】このような製造工程の中で、溶融重合ポリ
マーをチップ化する工程、固相重合工程、溶融重合ポリ
マーチップや固相重合ポリマーチップを輸送する工程な
どにおいて、本来造粒時に設定した大きさのチップより
かなり小さな粒状体や粉などが発生する。ここでは、こ
のような微細な粒状体や粉などをファインと称する。
【0027】このようなファインは結晶化を促進させる
性質を持っており、多量に存在する場合には、このよう
なポリエステルから成形した成形品、特にボトルの透明
性が非常に悪くなったり、ボトル口栓部結晶化時の収縮
量が規定値範囲内におさまらないためキャップで密栓で
きなくなる。また、ファイン量を一定値以上にすること
で金型汚れを安定して低減させることができる、との知
見を得た。このような点を種々検討した結果、本発明に
到達したのである。
【0028】本発明のポリエステルのチップの極限粘度
は0.55〜0.90デシリットル/グラムであるのが
好ましく、0.58〜0.87デシリットル/グラムで
あるのがより好ましい。ポリエステルのチップの極限粘
度が0.55デシリットル/グラムより小さい場合は、
本発明のポリエステル樹脂組成物を溶融成形して得られ
た成形品の透明性、耐熱性、機械特性などが充分満足さ
れないことがある。また、極限粘度が0.90デシリッ
トル/グラムより大きくなるに従って、成形時の発熱が
激しくなる傾向にあり、このため成形品の着色が激しく
なったり、また、アセトアルデヒド含量が多くなる傾向
にあり、飲料用ボトルなど食品用途には適さなくなる。
【0029】ポリエステルのチップの形状は、シリンダ
ー型、角型又は扁平な板状などの何れでもよく、その大
きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.6〜3.5m
m、好ましくは1.8〜3.5mmの範囲である。例え
ばシリンダー型の場合は、長さは1.8〜3.5mm、
径は1.8〜3.5mm程度であるのが実用的である。
また、チップの重量は15〜30mg/個の範囲が実用
的である。
【0030】また、本発明において、ポリエステルのフ
ァイン(B)の極限粘度は通常、0.55〜0.90、
好ましくは0.57〜0.88、さらに好ましくは0.
58〜0.87である。極限粘度が0.55より小さい
場合は得られた成形品の透明性が悪くなり、口栓部の収
縮が大きくなりすぎる。また、好ましくはPETのチッ
プの極限粘度と同一か又はPETのチップの極限粘度よ
り0.03高い極限粘度の範囲であることが好ましい。
なお、ポリエステルのチップ(A)と同一組成とはファ
イン(B)の共重合成分、及び該共重合成分含量が、ポ
リエステルのチップ(A)と同一であることを意味す
る。
【0031】また、前記ポリエステルのファイン(B)
のポリエステル樹脂組成物中での含有量は0.1〜50
0ppm、好ましくは0.2〜300ppmである。配
合量が0.1ppm未満の場合は、結晶化速度が非常に
おそくなり、中空成形容器の口栓部の結晶化が不十分と
なり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさま
らないためキャッピング不良となったり、また耐熱性中
空成形容器を成形する延伸熱固定金型の汚れが激しく、
透明な中空成形容器を得ようとすると頻繁に金型掃除を
しなければならない。また500ppmを超える場合
は、結晶化速度が早くなり、中空成形容器の口栓部の結
晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範
囲内におさまらないためキャッピング不良となり内容物
の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化
し、このため正常な延伸が不可能となる。
【0032】本発明において、ポリエステルのファイン
の含有量を前記の範囲に調節する方法としては、篩分工
程を通していないファイン含有量の高いPETのチップ
と篩分工程及び空気流によるファイン除去工程を通した
ファイン含有量の非常に少ないPETチップを適当な割
合で混合する方法による他、ファイン除去工程の飾の篩
の目開きを変更することにより調節することもでき、ま
た篩分速度を変更することによるなど任意の方法を用い
ることができる。
【0033】本発明においては、ポリエステル樹脂組成
物中にポリアセタール(C)を0.1ppb〜1000
ppm含むことが必要である。このポリアセタールとし
ては、ポリアセタールホモポリマー又はポリアセタール
コポリマーが挙げられる。これらのポリアセタール
(C)はポリエステルの結晶化促進効果があり、特に耐
熱PETボトルの口栓部の結晶化を促進させるために単
独で用いることが出来るが、特定量のこれらのポリアセ
タール(C)と特定量のポリエステルのファイン(B)
とが存在することによって透明性及び耐熱寸法安定性に
優れた成形体を得ることができ、また金型汚れに非常に
効果があることが分かった。
【0034】本発明で使用されるポリアセタールホモポ
リマーとしては、ASTM−D792の測定法により測
定した密度が1.40〜1.42g/cm3、ASTM
D−1238の測定法により、190℃、荷重2160
gで測定したメルトインデックス(MI)が0.5〜5
0g/10分の範囲のポリアセタールが好ましい。
【0035】また、ポリアセタールコポリマーとして
は、ASTM−D792の測定法により測定した密度が
1.38〜1.43g/cm3、ASTMD−1238
の測定法により、190℃、荷重2160gで測定した
メルトインデックス(MI)が0.4〜50g/10分
の範囲のポリアセタールコポリマーが好ましい。これら
の共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エー
テルが挙げられる。
【0036】ポリアセタール(C)のポリエステル樹脂
組成物中での配合割合は0.1ppb〜1000pp
m、好ましくは0.5ppb〜500ppm、さらに好
ましくは1.0ppb〜100ppmである。配合量が
0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常に遅くな
り、中空容器の口栓部の結晶化が不十分となり、サイク
ルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定値範囲内に
おさまらなくなる傾向にあるためキャッピング不良とな
ったり、また、耐熱性中空成形容器を成形する延伸熱固
定金型の汚れが激しく、透明な中空成形容器を得ようと
すると頻繁に金型掃除をしなければならない。また、1
000ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、
中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため
口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャ
ッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空
成形容器用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が
不可能となる。
【0037】これらのポリアセタールをポリエステル中
に添加する時期、添加方法は特に限定されず、溶融成形
前の任意の段階で行うことができる。例えば、溶融重縮
合終了までの任意の時点で添加する方法、高濃度のマス
ターバッチを作りブレンドする方法、ポリエステルにタ
ンブラーブレンダーなどの混合機で混合し押出機などを
用いて溶融混錬りする方法、などを例示することができ
る。
【0038】またポリアセタールを平均分散粒径が10
μm以下になるようにポリエステル成形体中に分散させ
ることによって成形体の透明性が向上し、また、耐熱寸
法安定性の変動を少なくすることが出来る。ポリアセタ
ールをポリエステル中に平均分散粒径が10μm以下に
分散する方法としては、例えば、次のような方法が挙げ
られる。すなわち、ポリアセタールを溶融重縮合前に添
加し、次いで所定の極限粘度まで重縮合後溶融状態で1
0μmの焼結金属フィルターで濾過する方法、乾燥した
ポリエステルとポリアセタールを2軸押出機により混練
押出しすることにより該混練組成物中のポリアセタール
の分散粒径を10μm以下とした高濃度のマスターバッ
チを作り、これを溶融重縮合時に添加して重縮合する方
法、あるいは前記マスターバッチを成形前にポリエステ
ルにブレンドして成形する方法などがある。
【0039】本発明のポリエステルの共重合されたジエ
チレングリコール(DEG)含量は該ポリエステルを構
成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%の範囲で
あり、好ましくは1.5〜4.8モル%、更に好ましく
は2.0〜4.5モル%である。1.0モル%以下の場
合は得られた中空成形体の透明性が非常に悪くなり、ま
た5.0モル%以上の場合は熱的安定性が劣り、得られ
た中空成形体のAA含量が非常に高くなり内容物のフレ
ーバー性が悪くなる。
【0040】また、本発明のポリエステル樹脂組成物の
アセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8
ppm以下、更に好ましくは5ppm以下である。アセ
トアルデヒド含量が10ppm以上の場合は、このポリ
エステル樹脂組成物から成形された容器などの内容物の
風味や臭いなどが悪くなる。
【0041】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、環状3量体を若干含んでもよいが、その含有量は
0.5重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さ
らに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポ
リエステル樹脂組成物から耐熱性の中空成形品を成形す
る場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含
有量が0.5重量%以上含有する場合には、加熱金型表
面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成
形品の透明性が非常に悪化する。
【0042】また、本発明のポリエステル樹脂組成物
は、290℃の温度で60分間溶融したときの環状3量
体の増加量が0.30重量%以下、好ましくは0.20
重量%以下、さらに好ましくは0.10重量%以下であ
る。環状3量体増加量が0.30重量%を超えるポリエ
ステル樹脂組成物を用いて中空成形を行うと、環状3量
体などのオリゴマー類が金型内面や金型のガス排気口及
び排気管に付着し、透明な中空成形容器を得ようとする
と頻繁に金型掃除をしなけらばならない。
【0043】290℃の温度で60分間溶融したときの
環状3量体の増加量が0.30重量%以下である本発明
のポリエステル樹脂組成物は、溶融重縮合後や固相重合
後に得られたポリエステルの重縮合触媒を失活処理する
ことにより製造することができる。ポリエステルの重縮
合触媒を失活処理する方法としては、溶融重縮合後や固
相重合後にポリエステルチップを水や水蒸気又は水蒸気
含有気体と接触処理する方法が挙げられる。
【0044】熱水処理方法としては、水中に浸ける方法
やシャワーでチップ上に水をかける方法などが挙げられ
る。処理時間としては5分〜2日間、好ましくは10分
〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の
温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150
℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0045】以下に水処理を工業的に行う方法を例示す
るが、これに限定するものではない。また処理方法は連
続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない
が、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0046】ポリエステルのチップをバッチ方式で水処
理する場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。す
なわちバッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受
け入れ水処理を行う。あるいは回転筒型の処理槽にポリ
エステルのチップを受け入れ、回転させながら水処理を
行い水との接触をさらに効率的にすることもできる。
【0047】ポリエステルのチップを連続方式で水処理
する場合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的にポリエ
ステルのチップを上部より受け入れ、水処理させること
ができる。
【0048】ポリエステルのチップと水蒸気又は水蒸気
含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜150
℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気又は水蒸
気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましくは粒状ポ
リエステル1kg当り、水蒸気として0.5g以上の量
で供給させるか又は存在させて粒状ポリエステルと水蒸
気とを接触させる。
【0049】この、ポリエステルのチップと水蒸気との
接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜
10時間行われる。
【0050】以下に粒状ポリエステルと水蒸気又は水蒸
気含有ガスとの接触処理を工業的に行なう方法を例示す
るが、これに限定されるものではない。また処理方法は
連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えな
い。ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸気と接触
処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が挙げられ
る。すなわちポリエステルのチップをサイロへ受け入
れ、バッチ方式で、水蒸気又は水蒸気含有ガスを供給し
接触処理を行なう。あるいは回転筒型の接触処理装置に
粒状ポリエステルを受け入れ、回転させながら接触処理
を行ない接触をさらに効率的にすることもできる。
【0051】ポリエステルのチップを連続で水蒸気と接
触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエス
テルを上部より受け入れ、並流あるいは向流で水蒸気を
連続供給し水蒸気と接触処理させることができる。ポリ
エステルチップの熱水処理方法の例として下記の様な方
法が挙げられる。
【0052】すなわち、重縮合後チップ状に形成したポ
リエステルを、熱水処理槽中において処理槽から戻って
きた排水を含む処理水で温度40〜120℃において処
理する方法が挙げられる。また、処理槽からチップと共
に排出した排水を処理槽に戻さずに同一の温度範囲にお
いて処理する方法も挙げられる。さらに、重縮合後チッ
プ状に形成したポリエステルを、該処理槽中においてポ
リエステルの微粉の含有量が1000ppm以下の処理
水で処理する方法もある。なお、ここで言う微粉とは、
水処理槽中にチップと共に共存する細かいポリエステル
の粉であり、通常その粒径は30〜1300μm程度の
ものである。
【0053】上記の如く、水又は水蒸気で処理した場合
は粒状ポリエステルを必要に応じて振動篩機、シモンカ
ーターなどの水切り装置で水切りし、次の乾燥工程へ移
送する。
【0054】水又は水蒸気と接触処理したポリエステル
のチップの乾燥は通常用いられるポリエステルの乾燥処
理を用いることができる。連続的に乾燥する方法として
は、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部より
乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用
される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法と
しては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が用いら
れ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外
部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給しポリエ
ステルのチップを間接的に加熱乾燥することができる。
【0055】バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブ
ルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真
空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができ
る。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥し
てもよい。乾燥ガスとしては大気中の空気でも差し支え
ないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分
子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ま
しい。
【0056】上記のようにポリエステルに水又は水蒸気
処理を施すことによって、ポリエステルの固相重縮合速
度が減少するとともに、該ポリエステルを290℃の温
度に加熱溶融した後のオリゴマー増加量を抑制すること
ができる。
【0057】さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物
に飽和脂肪酸モノアミド、不飽和脂肪酸モノアミド、飽
和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどを同
時に併用することも可能である。
【0058】飽和脂肪酸モノアミドの例としては、ラウ
リン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベヘン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸モ
ノアミドの例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸ア
ミド、リシノール酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪
酸ビスアミドの例としては、メチレンビスステアリン酸
アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビス
ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、
エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステ
アリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミドな
どが挙げられる。また、不飽和脂肪酸ビスアミドの例と
しては、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレ
ンビスオレイン酸アミドなどが挙げられる。好ましいア
ミド系化合物は、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸
ビスアミドなどである。このようなアミド化合物の配合
量は、10ppb〜1×105ppmの範囲である。
【0059】また炭素数8〜33の脂肪族モノカルボン
酸の金属塩化合物、例えばナフテン酸、カプリル酸、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、メリシン酸、
オレイン酸、リノール酸などの飽和及び不飽和脂肪酸の
リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩、及びコバルト塩などを同時に併用す
ることも可能である。これらの化合物の配合量は、10
ppb〜300ppmの範囲である。
【0060】本発明のポリエステル樹脂組成物は、中空
成形容器、トレー、2軸延伸フイルムなどの包装材、金
属缶被覆用フイルムなどとして好ましく用いることが出
来る。また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、多層
成形体や多層フイルムなどの1構成層としても用いるこ
とが出来る。
【0061】本発明のポリエステル樹脂組成物には、必
要に応じて公知の紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、核剤、
安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合し
てもよい。なお、本発明における、主な特性値の測定法
を以下に説明する。
【0062】(1)ポリエステルの極限粘度(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
【0063】(2)ジエチレングリコール含量(以下
[DEG含量」という) メタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによ
りDEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合
(モル%)で表した。
【0064】(3)アセトアルデヒド含量(AA含量) 試料/蒸留水=1g/2ccを窒素置換したガラスアン
プルに入れて上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理
を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガ
スクロマトグラフィーで測定し濃度をppmで表示し
た。
【0065】(4)ポリエステルの環状3量体の含量 試料をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロフォル
ム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈
する。これにメタノールを加えてポリマーを沈殿させた
後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムア
ミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテ
レフタレート単位から構成される環状3量体を定量し
た。
【0066】(5)ポリエステルの溶融時の環状3量体
増加量(ΔCT) 乾燥したポリエステルチップ3gをガラス製試験管に入
れ、窒素雰囲気下で290℃のオイルバスに60分浸漬
させ溶融させる。溶融時の環状3量体増加量は、次式に
より求める。 溶融時の環状3量体増加量(重量%)=溶融後の環状3
量体含有量(重量%)−溶融前の環状3量体含有量(重
量%)
【0067】(6)ファインの含量測定 JIS−Z8801による10.5メッシュの標準篩い
を用い、1000kgのサンプルを篩い分け、篩を通過
したファインの量を秤量し含量を求める。
【0068】(7)ポリエステルチップ及びボトル口栓
部の密度 四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管で25
℃で測定する。
【0069】(8)ヘイズ(霞度%) 中空成形容器の胴部(肉厚約4mm)より試料を切り取
り、東洋製作所製ヘイズメーターで測定した。
【0070】(9)ボトル口栓部の加熱による密度上昇 ボトル口栓部を自家製の赤外線ヒーターによって60秒
間熱処理し、天面から試料を採取し密度を測定した。
【0071】(10)金型汚れの評価 ポリエステル樹脂組成物を脱湿空気を用いた乾燥機で乾
燥し、名機製作所製M−100射出成型機により樹脂温
度290℃でプリフォームを成形した。このプリフォー
ムの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化さ
せた後、コーポプラスト社製LB−01延伸ブロー成型
機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き約155℃
に設定した金型内で7秒間熱固定し、350ccの中空
成形容器を得た。成形が定常状態になった中空成形容器
の胴部のヘイズを測定する。同様の条件で連続的に延伸
ブロー成形し、目視で判断して容器の透明性が損なわれ
るまでの成形回数で金型汚れを評価した。また、ヘイズ
測定用試料としては、5000回連続成形後の容器の胴
部を供した。
【0072】(11)中空成形容器からの内容物の漏れ
評価 前記(10)で成形した中空成型容器に90℃の温湯を
充填し、キャッピング機によりキャッピングをしたあと
容器を倒し放置後、内容物の漏洩を調べた。また、キャ
ッピング後の口栓部の変形状態も調べた。
【0073】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0074】(実施例1〜2)予め反応物を含有してい
る第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチ
レングリコールとのスラリーを連続的に供給し、撹拌
下、約250℃、0.5kg/cm2Gで平均滞留時間
3時間反応を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウム
を水に加熱溶解し、これにエチレングリコールを添加加
熱処理した触媒溶液、燐酸のエチレングリコール溶液、
及び表1に示す量のポリアセタール(MI=1.0g/
10分、密度=1.41g/cm3)を別々にこの第1
エステル化反応器に連続的に供給した。この反応物を第
2エステル化反応器に送付し、撹拌下、約260℃、
0.05kg/cm2Gで所定の反応度まで反応を行っ
た。このエステル化反応生成物を連続的に第1重合反応
器に送り、撹拌下、約265℃、25torrで1時
間、次いで第2重合反応器で撹拌下、約265℃、3t
orrで1時間、さらに第3重合反応器で撹拌下、約2
75℃、0.5〜1torrで1時間重合させた。得ら
れたポリエステルのIVは0.54、DEG含量は2.
7モル%であった。反応終了後、重合槽よりストランド
状で取り出し、水冷後チップ状にカットした。この溶融
重縮合して得られたポリエステルを結晶化後、205℃
で窒素気流下に固相重合した。固相重合後篩分工程及び
ファイン除去工程で処理速度を変更して処理しファイン
含有量の異なる本発明のポリエステル樹脂組成物を得
た。成形板及び二軸延伸成型ボトルによる前記の評価を
実施した。結果を表1に示す。
【0075】赤外線ヒーターによる加熱処理後のボトル
口栓部の密度は1.375(g/cm3)(実施例1)
及び1.378(g/cm3)(実施例2)と問題がな
い値であった。
【0076】また、得られたポリエステルを用い、50
00本以上の連続延伸ブロー成形を実施したが、金型汚
れは認められず、またボトルの透明性も良好であった。
さらに、これらのボトル各10本容器に90℃の温湯を
充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボ
トルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容物の漏洩を
調べたが、問題はなかった。
【0077】(実施例3)ポリアセタールの添加量を変
更する以外は実施例1と同様にして重縮合し、ファイン
除去能力を強化してファイン含有量を0.1ppm以下
のポリエステルを得た。次いで、このポリエステルチッ
プを熱水処理した。
【0078】ポリエステルチップの水処理には、図1に
示す装置を用い、処理槽上部の原料チップ供給口
(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバー
フロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップ
と処理水の混合物の排出口(3)、このオーバーフロー
排出口から排出された処理水と、処理槽から排出された
処理水と、処理槽下部の排出項から排出された水切り装
置(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmの
連続式フィルターであるファイン除去装置(5)を経由
して再び水処理槽へ送られる配管(6)、これらのファ
イン除去済み処理水の導入口(7)、ファイン除去済み
処理水中のアセトアルデヒドを吸着処理させる吸着塔
(8)、及び新しいイオン交換水の導入口(9)を備え
た内容量約320リットルの塔型の処理槽を使用した。
【0079】処理水温度95℃にコントロールされた水
処理槽へ50kg/時間の速度でポリエステルチップを
処理槽上部の供給口(1)から連続投入し、ファイン含
有量が約500ppmの処理水を用いて水処理時間4時
間で処理槽下部の排出口(3)からポリエステルチップ
として50kg/時間の速度で処理水と共に連続的に抜
き出した。得られたポリエステルのファイン含有量は3
00ppmであった。なお、処理水中のファイン量は、
処理層の処理水排出口からJIS規格20メッシュのフ
ィルターを通過した処理水を1000cc採取し、岩城
硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過後、100℃で
2時間乾燥し室温下で冷却後、重量を測定して算出す
る。種々の評価を実施したが、表1に示す通り実施例1
と同様に問題のない結果が得られた。
【0080】(実施例4)実施例2で得られたポリエス
テル樹脂組成物を用いて、自家製シート成形機にてバレ
ル温度290℃で0.5mm厚みのシートを成形した。
次いで該押出シートを三和興業製真空圧空成形機TVP
−33型にて約110℃で予熱後満注容量約400cc
の蓋溝付き容器を成形した。同時に前記の容器用の蓋も
成形した。容器に内容物を充填後前記の蓋の突出部を容
器の溝にかみ合わせ、1ヶ月間室温で放置し、蓋の開封
性を調べたところ、簡単に開封出来た。
【0081】(比較例1)ポリアセタールを添加せず、
またファイン含量を変更する以外は実施例1と同一の方
法で、ファイン含量が0.02ppmのPETを得た。
【0082】表1に示す通り赤外線ヒーターによる加熱
処理後のボトル口栓部の密度は1.362(g/c
3)と低く、またボトルに90℃の温湯を充填し、キ
ャッピング機によりキャッピングをした後ボトルを倒し
放置後、ボトルの口栓部変形及び内容物の漏洩を調べた
が、口栓部の変形及び内容物の漏れが認められた。ボト
ル胴部ヘーズは6.3%と悪く、また金型汚れまでの成
形回数は4000回と低かった。
【0083】(比較例2)ポリアセタールの添加量を変
更し、ファイン除去能力を変更する以外は実施例1と同
様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。表1に示す通
り得られたポリエステル樹脂組成物からボトルは不透明
であった。
【0084】(比較例3)比較例1のポリエステルを用
いて実施例4と同様にして容器を作り、同様の方法で蓋
をした後1ヶ月放置し、蓋の開封性を調べたが、容器の
溝に蓋の突出部が強く嵌合し開封出来なかった。
【0085】
【表1】
【0086】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物によれ
ば、ポリエステルのファイン(B)が0.1〜500p
pm、ポリアセタール(C)が0.1ppb〜1000
ppmの範囲で含まれていることによりシート成形、ボ
トル成形などにおいて金型汚れが少なくなり、長時間、
多数の成形品を透明性が優れた状態で容易に成形するこ
とができる。そして、ポリエステル樹脂組成物から、透
明性のよい、耐熱寸法安定性が優れ、口栓部の結晶化が
適正である中空成形品を得ることができる。これは、延
伸時や熱固定時にポリエステルのファイン及びポリアセ
タールが存在することにより成形品表面の結晶化の程度
が成形品内部の結晶化の程度より高くなり、このため環
状3量体などオリゴマーが表面に至らず表面近くの内部
にとじこめられるため金型汚れが少なくなるのではない
かと推測される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルの製造方法に用いる装置
の概略図。
【符号の説明】
1 原料チップ供給口 2 オーバーフロー排出口 3 ポリエステルチップと処理水の排出口 4 水切り装置 5 ファイン除去装置 6 配管 7 処理水再導入口 8 吸着塔 9 イオン交換水導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 59:00) B29K 67:00 (72)発明者 原 厚 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 衛藤 嘉孝 滋賀県滋賀郡志賀町高城248番地の20 Fターム(参考) 4F071 AA40 AA46 AA82 AA88 AF30 AH04 AH05 BB06 BB07 BC01 4F208 AA24 AG01 AG07 AH55 AR15 LA08 LB01 LG05 4J002 CB003 CF061 CF062 CF081 CF082 CF181 CF182 EE016 FD030 GG01 GG02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタ
    レートであるポリエステルのチップ(A)と、該ポリエ
    ステルのチップ(A)と同一組成のポリエステルのファ
    イン(B)0.1〜500ppm及びポリアセタール
    (C)0.1ppb〜1000ppmとからなることを
    特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステルの極限粘度が、0.55〜
    0.90デシリットル/グラム、ポリエステルに共重合
    されたジエチレングリコール含有量が、該ポリエステル
    を構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%であ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステルの密度が、1.37g/c
    3以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 アセトアルデヒドの含有量が10ppm
    以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 環状3量体の含有量が0.50重量%以
    下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載
    のポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 290℃の温度で60分間溶融したとき
    の環状3量体の増加量が0.30重量%以下であること
    を特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とす
    る中空成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    ポリエステル樹脂組成物を成形してなることを特徴とす
    るシート状物。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のシート状物を少なくとも
    1方向に延伸してなることを特徴とする延伸フイルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108864673A (zh) * 2017-05-11 2018-11-23 江南大学 一种高透明紫外阻隔聚合物组合物及其制备方法和应用

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