JP2003206254A - 7−テトラデセン−2−オンの製造方法 - Google Patents
7−テトラデセン−2−オンの製造方法Info
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Abstract
セン−2−オンを、少ない工程数で、かつ、高収率で、
安定して製造しうる方法を提供すること。 【解決手段】 7−テトラデセン−2−オンの製造方法
は、5−ヘキシン−1−オールと1−ブロモヘキサンと
を出発物質とする。例えば、5−ヘキシン−1−オール
及び1−ブロモヘキサンから5−ドデシン−1−オール
を製造する第一工程と、この5−ドデシン−1−オール
から(Z)−5−ドデシン1−オールを製造する第二工
程と、(Z)−5−ドデシン−1−オールから(Z)−
1−ブロモ−5−ドデシンを製造する第三工程と、
(Z)−1−ブロモ−5−ドデシンから(Z)−7−テ
トラデセン−2−オンを製造する第四工程とを具備す
る。
Description
−2−オンの製造方法に関する。
ガネ(oriental beetle, Blitoperthaorientalis water
house)の成虫は、芝草、広葉樹や各植物等の葉や実等
を食害し、幼虫は、地下に潜み芝草等の食物の根を食害
する害虫である。セマダラコガネの防除方法としては薬
剤散布があるが、地下で食害が進行しているために被害
が目に見え始めた頃には既に手遅れとなっていることが
多い。また、セマダラコガネの成虫は、体長が8.0m
m〜13.5mmであるので、小さくて目立たず、発生
が認識されていないケースが多い。このようにセマダラ
コガネによる被害を予防または防除することは非常に困
難な状況にある。そこで、この害虫を効果的に防除する
ために、性フェロモンを用いて発生予察を行い、的確な
時期に薬剤散布が行われている。また、性フェロモン誘
引剤を用いて、大量の雄成虫を捕獲したり、雌雄の配偶
行為を撹乱することも行われている。1993年、蚕糸
・昆虫農業技術研究所でセマダラコガネ性フェロモンの
構造決定がなされている。その構造は、(Z)−7−テ
トラデセン−2−オン、(E)−7−テトラデセン−2
−オンの2種の異性体で、天然物で7:1の混合物であ
ることが報告されている。翌1994年には、コーネル
大学のW.L.Roelofsらにより近縁種のAnomal
a Orientalis waterhouseの性フェロモンは(Z)−7
−テトラデセン−2−オンと(E)−7−テトラデセン
−2−オンの9:1の混合物であると同定されている。
(E)−および(Z)−7−テトラデセン−2−オンの
製造方法としては、製法1:(E)−または(Z)−6
−トリデセン−1−オールを出発原料として、(E)−
および(Z)−7−テトラデセン−2−オンをそれぞれ
合成する方法(Journal of Chemical Ecology, 20(9, 1
994)、製法2:5−カルボキシペンチルトリフェニルホ
スホニウムブロミドにメチルリチウムを用いたwitt
ig反応により、(E)−および(Z)−7−テトラデ
セン−2−オンの混合物を得る方法(特開平6−239
705号公報、Naturwissenschaften 80, 86-87, 199
3)、製法3:1−オクチンのリチウム塩を出発原料と
して、(Z)−7−テトラデセン−2−オンを優先的に
合成する方法(Naturwissenschaften 80, 86-87, 199
3)等が知られている。しかしながら、製法1は原料が
高価であるという問題点を、製法2はシス−トランス比
の制御が困難であるので工業生産に適さないという問題
点を、製法3は副反応が多いという問題点をそれぞれ有
する。
(製法4)が特開2000−229962号公報に開示
されている。図5に製法4の合成方法を示す。ここで
は、例えば、1,5−ヘキサンジオールを出発物質と
し、ピリジン溶液中、p−トルエンスルホニルクロライ
ドを反応させ、6−トルエンスルホニルヘキサン−2−
オールを得て(第1工程)、これをTHF溶液中、臭化
リチウムにより、6−ブロモヘキサン−2−オールを得
る(第2工程)。次にTHF溶液中、3,4−ジヒドロ
−2H−ピラン(DHP)を加え、p−トルエンスルホ
ン酸(TsOH触媒)を添加することによって1−ブロ
モヘキサン−5−オールテトラヒドロピラニルエーテル
を製造する(第3工程)。次いで、n−ブチルリチウム
の存在下で処理した1−オクチンと1−ブロモヘキサン
−5−オールテトラヒドロピラニルエーテルとをヘキサ
メチルホスホルアミド(HMPA)中で反応させること
によって、7−テトラデシン−2−オールテトラヒドロ
ピラニルエーテルを製造する(第4工程)。得られた7
−テトラデシン−2−オールテトラヒドロピラニルエー
テルをメタノールに溶解させ、p−トルエンスルホン酸
を添加して加水分解を行うことにより、7−テトラデシ
ン−2−オールを製造する(第5工程)。7−テトラデ
シン−2−オールを、溶媒中、リチウム等のアルカリ金
属またはアルカリ土類金属の存在下で、溶解金属還元を
行い、アセチレン結合を二重結合に還元することにより
7−テトラデセン−2−オールが得られる(第6工
程)。続いて、7−テトラデセン−2−オールを、酸化
剤として酸化クロム(VI)を用い、溶媒である塩化メ
チレン中で酸化を行うことにより、7−テトラデセン−
2−オンを製造する(第7工程)。反応終了後は、例え
ば、抽出、洗浄、濃縮、カラムクロマトグラフィー等の
操作により、得られた7−テトラデセン−2−オンを単
離、精製することができる。製法4は、第7工程におけ
る酸化反応においてクロム酸を用いるが、クロム酸は発
癌性がある物質であり、使用を避けることが好ましい。
また、反応工程が7工程に及び、総収率は20〜25%
と低い。しかも、原料が高価であり、単価が高く、採算
性がよくない。
を解決すべく為されたものであり、本発明の目的は、ク
ロム酸を使用することなく、(E)−7−テトラデセン
−2−オン及び/又は(Z)−7−テトラデセン−2−
オンを簡便に、かつ工業的に高収率で製造し得る製造方
法を提供することにある。
ン−2−オンの製造方法は、5−ヘキシン−1−オール
と1−ブロモヘキサンとを出発物質とすることを特徴と
する。ここで、最終工程において増炭反応を行うことが
できる。また、5−ヘキシン−1−オール及び1−ブロ
モヘキサンから下記式(1)で表される5−ドデシン−
1−オールを製造する第一工程と、式(1)で表される
5−ドデシン−1−オールから下記式(2)で表される
(Z)−5−ドデシン1−オールを製造する第二工程
と、式(2)で表される(Z)−5−ドデシン−1−オ
ールから(Z)−1−ブロモ−5−ドデシンを製造する
第三工程と、(Z)−1−ブロモ−5−ドデシンから
(Z)−7−テトラデセン−2−オンを製造する第四工
程とを具備することができる。
用いて増炭反応を行うことができる。また、第二工程
は、水素ガス吹き込み方法を用いて接触還元反応を行う
ことができる。また、第三工程は、水酸基のハロゲン化
反応を行うことができる。また、第四工程は、2−メチ
ル−1,3−ジチアンを用いて(Z)−(1,3−ジチ
アン−2−イル)−7−テトラデセンを合成し、(Z)
−(1,3−ジチアン−2−イル)−7−テトラデセン
を添加することができる。また、総収率は30%以上で
あることが好ましい。
オンの製造方法は、5−ヘキシン−1−オールと1−ブ
ロモヘキサンとを出発物質とする。具体的には、図1に
示すように、第一工程〜第四工程からなる。以下、各工
程について詳細に説明する。なお、原料の比は特記しな
い限り原料に対するモル比を示す。
を使用して増炭反応を行う。ここでは、5−ヘキシン−
1−オールを出発原料として、これに、−55℃〜−7
0℃の温度で、例えば約−60℃で、n−ブチルリチウ
ム(n−BuLi)を溶媒に溶解した溶液を5分〜10
分で、例えば約5分で滴下する。ここで、n−BuLi
の替わりに、メチルリチウム、水素化ジイソブチルアル
ミニウム(DIBAL−H)、LiAl4H、LiN
a、リチウム錯体、ナトリウム錯体等を用いることがで
き、溶媒としては、ヘキサホスホルアミド(HMP
A)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホ
キシド(DMSO)、ジメチルイミダゾール(DM
I)、ジメチルホルムアミド(DMF)等を用いること
ができる。また、n−BuLiの使用量は、5−ヘキシ
ン−1−オール(生成物1)の1当量に対して、2.1
〜2.5当量の範囲であり、約2.3当量であることが
好ましい。また、HMPAの使用量は、n−BuLiの
1当量に対して1.5〜3.3当量であり、収率に影響
を与えない範囲内で減量することが好ましい。次に、蒸
留したHMPAを約5分で滴下した後、1−ブロモヘキ
サンを無水THF(dry THF)に溶解した溶液を約5
分間で滴下した後、温度を上げて室温にて反応させる。
反応時間は一概には言えないが、例えば、室温に戻して
から1時間程度である。なお、本発明において室温とい
う場合には、約15℃〜30℃を意味するものとする。
反応終了後、未反応のアニオンを分解するために、温度
約−30℃に冷却して飽和アンモニウム水溶液を滴下す
る。その後室温に戻し、抽出を行うことにより、式
(1)で表される5−ドデシン−1−オール(生成物
2)が得られる。ここで、飽和アンモニウム水溶液の替
わりに、飽和食塩水、蒸留水等を用いることができる。
また、有機層を分離した後、水層からエーテルを用いて
再抽出を行うことが好ましい。
ス吹き込み方法を用いて接触還元反応を行うことによ
り、シス型オレフィンを形成する。ここでは、まず前処
理を行う。5−ドデシン−1−オールを無水THFに溶
解し、活性炭を添加して懸濁液を作成し、この懸濁液を
セライトろ過し、これを原料溶液とする。反応容器内を
アルゴンで置換した後、リンドラー触媒、シリカゲル、
キノリン、無水THFと、原料溶液とを添加し、水素ガ
スを吹き込んで反応を起こさせる。リンドラー触媒の使
用量は、(Z)−5−ドデシン−1−オール(生成物
3)の約3%に該当する量であり、水素ガスの吹き込み
量は、0.5〜1.5cm3/分で、2〜3時間であ
る。また、反応時間は一概には言えないが、約2.5時
間で反応が完全に完了すると考えられる。次に、後処理
を行うことにより、(Z)−5−ドデシン−1−オール
(生成物3)を得る。
を行うが、ここではメタンスルホニル化物を経由して臭
素化反応を行う。(Z)−5−ドデシン−1−オール
(生成物3)を溶媒に溶解し、これにトリエチルアミン
を加えた後、約−10℃以下にてメタンスルホニルクロ
ライド(MsCl)を滴下し、その後室温にて反応を終
了させる。反応時間は一概には言えないが、例えば2時
間〜一晩程度である。反応終了後、後処理を行って抽出
により、粗生成物3’を得る。ここで、溶媒としては、
例えば無水THF、無水ジエチルエーテル、無水ペンタ
ン、無水ヘキサン、無水ジクロロエタン、無水酢酸エチ
ル等を使用することができ、トリエチルアミンの替わり
にピリジン、ピペリジン等を使用することができ、メタ
ンスルホニルクロライドの替わりにトシルクロライド等
を使用することができる。メタンスルホニルクロライド
の使用量は、(Z)−5−ドデシン−1−オール(生成
物3)の1当量に対して、1.1〜1.5当量であり、
約1.22当量であることが好ましい。また、溶媒とし
てのトリエチルアミンの使用量は、MsClの約2倍量
であることが好ましく、無水塩化メチレンの使用量は、
(Z)−5−ドデシン−1−オール(生成物3)を溶解
したときの濃度が約13%であるように使用することが
好ましい。
水素ナトリウムとを入れ減圧乾燥した後、反応容器内を
アルゴンで置換する。ここに、粗生成物3’を無水TH
Fに溶解させた溶液を滴下し、反応させる。反応時間は
室温に戻した後、一晩程度である。反応終了後、抽出を
行い、後処理を経て(Z)−1−ブロモ−5−ドデセン
(生成物4)を得る。臭化リチウムの使用量は、(Z)
−1−ブロモ−5−ドデセン(生成物4)の約2倍量で
あることが好ましく、炭酸水素ナトリウムの使用量は、
臭化リチウムの約1.36倍であることが好ましい。ま
た、無水THFの使用量は、粗生成物3’を溶解したと
きの濃度が約18%となるように使用することが好まし
い。なお、本発明においては、第二工程で精製を行わな
くても、問題なく第三工程の反応が進行する。
て2−メチル−1,3−ジチアンを合成しておき、カッ
プリング反応、脱保護を続けて行う。図2を用いて2−
メチル−1,3−ジチアンを合成する方法を説明する。
ここでは、アセトアルデヒドをクロロホルムに溶解した
溶液に、1,3−プロパンジチオールを添加して室温で
約1時間反応させる。その後、温度を5℃以下にし、三
フッカホウ素ジエチルエーテル錯体を滴下して反応させ
る。反応時間は5℃で約一晩である。反応終了後、後処
理を行い、洗浄、乾燥、減圧濃縮等を行い、2−メチル
−1,3−ジチアンを得る。ここで、乾燥には、炭酸カ
リウムを使用することが好ましいが、無水硫酸ナトリウ
ム、無水炭酸カリウム、無水硫酸マグネシウム等を使用
することもできる。
解させて、−20℃以下でn−ブチルリチウムをn−ヘ
キサンに溶解した溶液を滴下し、反応させる。反応時間
は約2時間である。次に図3に示すように、1−ブロモ
−5−ドデシンを溶媒に溶解した溶液を滴下した後、温
度を室温まで上げて室温で反応を行う。反応時間は一晩
程度である。反応終了後、抽出を行い粗生成物として
(Z)−(1,3−ジチアン−2−イル)−7−テトラ
デセン(生成物4’)を得る。
銅、無水アセトンを混合し、これに、粗成生物である
(Z)−(1,3−ジチアン−2−イル)−7−テトラ
デセンを無水アセトンと無水ジメチルホルムアミド(D
MF)に溶解した溶液を滴下して還流を行う。反応は、
溶液が十分に還流する温度であることが好ましく、例え
ば、約55〜57℃である。反応時間は約90分であ
る。反応終了後、後処理を行い、(Z)−7−テトラデ
セン−2−オン(生成物5)を得る。なお、第四工程に
おいて増炭と共にケトン形成を行ったので、工程数を少
なくすることができ、有害なクロム酸を使用することな
く、安定して、高収率で、かつ、高額で立体選択的な反
応が必要な試薬であるジオールを使用せずに、目的物を
得ることが可能となった。
するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、以下の実施例において、部は重量部を意味する。第
一工程は、n−ブチルリチウムを用いたカップリング反
応を変形したものであり、n−ブチルリチウムを用いて
増炭反応を行った。温度計、三方コック、滴下ロートを
備えた500mLの3つ口フラスコに、5−ヘキシン−
1−オールを5.0g、無水THF(dry THF)
を120mL仕込み、フラスコ内をアルゴンで置換し
た。アセトン−ドライアイスバス等の冷却手段を用いて
−60℃以下に冷却したところに、1.6モルのn−ブ
チルリチウム(n−BuLi)を含むn−ヘキサン溶液
(73.3mL)を約5分間で滴下した。なお、n−B
uLiの使用量は5−ヘキシン−1−オールの1当量に
対して2.3当量に該当する。滴下終了後、反応溶液を
−60℃以下に維持しながらスターラを用いて10分間
攪拌した。次いで、強く攪拌しつつ、蒸留したヘキサメ
チルホスホルアミド(HMPA)の71.4mLを約5
分間で滴下した。なお、HMPAの使用量は、n−Bu
Liの1当量に対して3.3当量に該当する。滴下終了
後、−60℃以下に維持しながら、10分間スターラを
用いて攪拌を行った。その後、フラスコ内に1−ブロモ
ヘキサンを8.4g含む無水THF溶液(30mL)を
滴下した。滴下終了後、アセトン−ドライアイスバスを
そのまま放置し、ゆっくりと室温まで戻した後、一晩、
室温下でスターラによる攪拌を行った。薄層クロマトグ
ラフィー(TLC)(ヘキサン:酢酸エチル=4:3)
およびガスクロマトグラフィー(GC)により反応が終
了したことを確認した。次に、−30℃以下になるまで
冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(80mL)
を徐々に滴下して未反応のアニオンを分解した。アセト
ン−ドライアイスバスを取り除き、室温まで戻して攪拌
することにより、有機層と水層に分離した。有機層を減
圧濃縮し、また水層からはエーテル(150mL)を用
いて3回再抽出を行った。減圧濃縮した有機層の残渣
と、再抽出を行ったエーテル層とを混合し、その後、ブ
ラインで3回洗浄を行った。これを、無水硫酸ナトリウ
ムを用いて乾燥し、減圧濃縮して黄色油状の粗生成物
(13.26g)を得た。150gのシリカゲルを用い
てクロマトグラフィーによる精製を行い、式(1)で示
される5−ドデシン−1−オール(生成物2、8.45
g、収率=91.0%、化学純度(c.p.)=99.
3%)を得た。ただし、展開溶媒は、ヘキサン:エーテ
ル=10:1〜2:1である。
ス吹き込み方法で接触還元反応を行った。第一工程にお
いて得られた5−ドデシン−1−オールについて前処理
を行った。すなわち、5−ドデシン−1−オール(生成
物2、7.5g)を、遮光したナスフラスコ内で無水T
HF(15mL)に溶解させ、活性炭(1.0g)を加
えてアルゴン置換を行った。その後、遮光したナスフラ
スコ内の懸濁液を室温で約30分攪拌した。この懸濁液
をセライトろ過し、これを原料溶液とした。温度計、三
方コック、バブル吹き込み用のパスツールピペットを備
えた500mLの3つ口フラスコ内をアルゴンガスで置
換した後、リンドラー触媒(0.23g)、シリカゲル
(10.0g)、蒸留キノリン(0.46g)、無水T
HF(合計60mL)を仕込んだ。ここに、前処理によ
り得られた原料溶液を入れ、300〜400rpmの速
度で強く攪拌を行いながら、1cm3/分で2.5時
間、H2ガスを吹き込んだ。なお、フラスコ内における
攪拌は、スリーワンモータによる攪拌を行うものとす
る。反応が始まると、わずかに温度が上昇し(25
℃)、反応が完全に終了すると、室温より低い温度(1
3℃)になった。薄層クロマトグラフィー(TLC)
(展開溶液 ヘキサン:エチルアセテート=4:3)お
よびガスクロマトグラフィー(GC)により反応終了を
確認した。反応は2.5時間で完全に完了した。次に、
アルゴンガスをバブルとして吹き込んだ後、セライトろ
過を行い、濾液を1Nの冷HCl水溶液で2回洗浄し
た。続いて、飽和NaHCO3水溶液で2回洗浄した
後、ブラインで2回洗浄を行った。これを、Na2SO4
を用いて乾燥した後、減圧濃縮して淡黄色油状の粗生成
物(7.49g)を得た。50gのシリカゲルを用いて
クロマトグラフィーによる精製を行って、(Z)−5−
ドデシン−1−オール(生成物3、7.43g、収率=
98.0%、c.p.=99.6%)を得た。ただし、
クロマトグラフィーの展開溶媒は、ヘキサン:エーテル
=2:1である。
応を行った。温度計、3方コック及び滴下ロートを備え
た200mLの3つ口フラスコに、第2工程において得
られた(Z)−5−ドデシン−1−オール(生成物3)
の7.0gを50mLの無水ジクロロメタン(dry dich
loromethane)(50mL)に溶解した溶液を加え、続
けてトリエチルアミン(10.64g)を加えた。フラ
スコ内をアルゴンで置換した後、10℃以下まで氷冷し
た。これにメタンスルホニルクロライド(5.32g)
を滴下した後、室温で一晩スターラを用いて攪拌を行っ
た。TLC(展開溶媒はヘキサン:エチルアセテート=
2:1)で反応終了を確認した。次に、ジクロロメタン
(50mL)、H2O(100L)を加えて有機層と水
層とを分離した。水層をジクロロメタン(50mL)で
2回再抽出を行い、分離してあった有機層に混合した。
これを、1Nの塩酸水溶液、飽和NaHCO3水溶液、
ブラインのそれぞれで洗浄を行った。その後、Na2S
O4を用いて乾燥した後、減圧濃縮し、油状の粗生成物
3’(9.3g)を得た。続けて、200mLの3つ口
フラスコに、温度計、3方コック及び滴下ロートを取り
付け、スターラも準備した。フラスコに臭化リチウム
(6.7g)、炭酸水素ナトリウム(8.7g)を仕込
み、50℃で2時間減圧乾燥を行った。次にフラスコを
アルゴンで置換し、無水THF(15mL)を加えた。
続いて、3’を無水THF(35mL)に溶かした溶液
を滴下した。その後、50℃で3時間攪拌を行った後、
一晩室温で攪拌を行った。TLC(ヘキサン:エチルア
セテート=20:1)で反応終了を確認した。これに、
ヘキサン(50mL)、及びH 2O(100mL)を加
えて、有機層と水層とを分離した。この水層をヘキサン
(100mL)で2回再抽出し、分離されていた有機層
と混合し、ブラインで洗浄を行った。これを、Na2S
O4を用いて乾燥を行った後、減圧濃縮し、油状の粗生
成物(8.4g)を得た。これを、シリカゲル(40
g)を用いてクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサ
ン:エーテル=10:1)による精製を行い(Z)−1
−ブロモ−5−ドデシン(生成物4、8.02g、収率
=85.4%、c.p.=98.0%)を得た。
2−メチル−1,3−ジチアンを合成しておく。温度
計、三方コックおよび滴下ロートを備えた、200mL
の3つ口フラスコに、アセトアルデヒド(10g)をク
ロロホルム(300mL)に溶解させた溶液を入れ、
1,3−プロパンジチオール(31g)を加えた。これ
を室温で1時間、スターラを用いて攪拌を行った。その
後、5℃以下になるまで氷冷し、これにBF3・Et2O
(10mL)を滴下した。滴下終了後、止栓して密封
し、低温で一晩スターラによる攪拌を行った。ガスクロ
マトグラフィーにより反応が終了したことを確認した
後、反応溶液を7w/v%水酸化カリウム水溶液、水、
ブラインで洗浄を行った。K2CO3を用いて乾燥を行っ
た後、減圧濃縮し、油状の粗生成物(27.81g、
c.p.=89.5%)を得た。これを、減圧蒸留
(b.p.=60〜65℃)により精製を行った後、2
−メチル−1,3−ジチアン(17.54g、収率=6
4.2%、c.p.=100%)を得た。
の反応フラスコに、2−メチル−1,3−ジチアン
(0.5g)を無水THF(6mL)に溶解した溶液を
入れ、アルゴンで置換を行った。アルゴンで置換した
後、冷却し、温度が−20℃〜−30℃の範囲となった
ところで、1.6モルのn−ブチルリチウムをn−ヘキ
サン溶液(2.66mL)に溶解した溶液を滴下した。
滴下終了後、温度を−20℃に保持しながら、2時間、
スターラにより攪拌を行った。強く攪拌をおこないつ
つ、1−ブロモ−5−ドデシン(0.5g)を無水TH
F(3mL)に溶解した溶液を滴下した。滴下が終了し
た後、−20度以下に保持しつつ2時間、スターラによ
り攪拌を行った。その後、アイスバスをそのまま放置し
て室温にし、室温で一晩攪拌を行った。ガスクロマトグ
ラフィーにより反応終了を確認した後、−30℃以下に
なるまで冷却を行い、その後、水(20mL)を徐々に
滴下して未反応のアニオンを分解した。次に、アイスバ
スを取り除き、室温まで温度を上げて攪拌を行って、有
機層と水層とを分離した。次に有機層を減圧濃縮した。
また、水層からエーテル(25mL)を用いて3回再抽
出を行い、分離した有機層の残渣と混合し、ブラインで
洗浄を行い、水洗浄を行った。これを、Na2SO4を用
いて乾燥を行った後、減圧濃縮し、黄色油状の粗生成物
(Z)−(1,3−ジチアン−2−イル)−7−テトラ
デセン(生成物4’、0.76g、収率=91.4%、
c.p.=73%))を得た。これについては精製を行
わず、続けて次の反応を行った。
えたジムロート冷却管を取りつけた、50mLの反応フ
ラスコに、酸化銅(II)を0.2g、塩化銅(II)を
0.65g、無水アセトン(30mL)を入れた後、ア
ルゴンで置換を行った。スターラを用いて強く攪拌を行
いながら、ゆっくりと還流し始め、温度が約45℃にな
ってから、(Z)−(1,3−ジチアン−2−イル)−
7−テトラデセン(生成物4’)を0.3g、無水アセ
トン(3mL)、無水DMF(0.6mL)の混合溶液
を滴下した。滴下終了後、反応溶液を温度(約55〜5
7℃)の温度まで加熱しながら90分間攪拌を行いつつ
還流を行った。ガスクロマトグラフィで反応が終了した
ことを確認してから、反応溶液に水(20mL)を添加
し、エーテル(25mL)による抽出を3回行った。有
機層をブラインで洗浄し、Na 2SO4を用いて乾燥した
後、減圧濃縮し、黒色油状の粗生成物である、(Z)−
7−テトラデセン−2−オン(生成物5、0.43g、
収率=101.2%、c.p.=63.7%)を得た。
化学純度より、理論的に収率は約60〜70%であると
考えられる。オレフィンのE/Z比は、ガスクロマトグ
ラフィーでの分析を行ったところ、Z体:E体=98.
2%:1.8%であったことが確認された。脱保護の他
の方法として、DMSO中で強く加熱を行ってみたが、
二重結合部分の異性化が起こり、酸化第二銅を用いた本
発明の方法に落ち着いた。第四工程の収率を約65%と
すると、第一工程から第四工程における総収率は50.
0%である。
メルカプト系化合物を使用する必要がない。また、従来
法において2級水酸基の酸化によりケトン生成を行う場
合には、使用する触媒や中間体の保護の必要性等の点か
ら工程するが多くなりがちであったが、第四工程で増炭
反応によりケトンを導入したので、工程数を4工程に抑
えることができた。
よれば、クロム酸を使用することなく、安定して、高収
率で、少ない工程数で、(E)−7−テトラデセン−2
−オン及び/又は(Z)−7−テトラデセン−2−オン
を製造する方法を提供することができる。
法を示す図である。
す図である。
−テトラデセンの製造方法を示す図である。
法を示す図である。
を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 5−ヘキシン−1−オールと1−ブロモ
ヘキサンとを出発物質とすることを特徴とする7−テト
ラデセン−2−オンの製造方法。 - 【請求項2】 最終工程で増炭反応を行うことを特徴と
する請求項1記載の7−テトラデセン−2−オンの製造
方法。 - 【請求項3】 5−ヘキシン−1−オール及び1−ブロ
モヘキサンから下記式(1)で表される5−ドデシン−
1−オールを製造する第一工程と、 式(1)で表される5−ドデシン−1−オールから下記
式(2)で表される5−ドデシン1−オールを製造する
第二工程と、 式(2)で表される(Z)−5−ドデシン−1−オール
から(Z)−1−ブロモ−5−ドデシンを製造する第三
工程と、 (Z)−1−ブロモ−5−ドデシンから(Z)−7−テ
トラデセン−2−オンを製造する第四工程とを具備する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の7−テトラデセ
ン−2−オンの製造方法。 【化1】 - 【請求項4】 前記第一工程が、n−ブチルリチウムを
用いて増炭反応を行うことを特徴とする請求項3記載の
7−テトラデセン−2−オンの製造方法。 - 【請求項5】 前記第二工程が、水素ガス吹き込み方法
を用いて接触還元反応を行うことを特徴とする請求項3
又は4記載の7−テトラデセン−2−オンの製造方法。 - 【請求項6】 前記第三工程が、水酸基のハロゲン化反
応を行うことを特徴とする請求項3から5のいずれか1
項記載の7−テトラデセン−2−オンの製造方法。 - 【請求項7】 前記第四工程が、2−メチル−1,3−
ジチアンを用いて(Z)−(1,3−ジチアン−2−イ
ル)−7−テトラデセンを合成し、該(Z)−(1,3
−ジチアン−2−イル)−7−テトラデセンを添加する
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項記載の
7−テトラデセン−2−オンの製造方法。 - 【請求項8】 総収率が30%以上であることを特徴と
する請求項1から7のいずれか1項記載の7−テトラデ
セン−2−オンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002003458A JP2003206254A (ja) | 2002-01-10 | 2002-01-10 | 7−テトラデセン−2−オンの製造方法 |
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JP2002003458A JP2003206254A (ja) | 2002-01-10 | 2002-01-10 | 7−テトラデセン−2−オンの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2003206254A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008143865A (ja) * | 2006-12-12 | 2008-06-26 | Fuji Flavor Kk | (z)−7−テトラデセン−2−オンの製造方法 |
-
2002
- 2002-01-10 JP JP2002003458A patent/JP2003206254A/ja active Pending
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