JP2003204767A - 豆乳製品の製造方法 - Google Patents
豆乳製品の製造方法Info
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Abstract
ができる方法を提供すること。 【解決手段】 NSIを50以下に減じた大豆粉を水と
混合してpHを4以下にする工程を含むことを特徴とす
る豆乳製品の製造方法。
Description
豆乳製品の製造方法と、当該製造方法により製造した豆
乳製品に関するものである。
した後に磨砕することにより呉を調製し、得られた呉を
100℃以上の高温で3〜5分程度加熱することにより
一般に製造している。最近では、様々な改良された製造
方法が提供されており、それに伴って豆乳を利用した多
種多様な豆乳製品も提供されるようになっている。
から、比重が高く、運搬に労力や時間がかかるという問
題があった。このため、ある工場で製造した豆乳を運搬
して別の工場で最終製品に加工するにはコストがかか
り、そのコストを削減することが求められていた。ま
た、豆乳を利用して最終製品を製造する工程中に高温で
十分な殺菌を行う必要があり、その殺菌工程に要する設
備や操作を簡略化することも求められていた。さらに、
最終製品の品質や嗜好性を改善することも求められてい
た。
な従来技術の問題点に鑑みて、豆乳の原料となる粉末を
用意しておき、その粉末を用いて豆乳製品を製造すれば
問題を解決するためのステップになると考えるに至っ
た。すなわち、豆乳の原料となる粉末を予め製造してお
き、それを加工工場に運搬して最終製品を製造すれば、
運搬のコストを大幅に削減することができるうえ、加工
工場のスペース削減にも繋がることが期待できる。
ら幾つかの製造方法が提案されている。しかしながら、
単に豆乳の原料となる粉末を用いて豆乳製品を製造して
も、製品の品質や嗜好性は良くならない。また、豆乳製
品を製造するために、依然として高温殺菌工程が必要で
あり、製造設備や操作の簡略化を実現することはできな
かった。
は、粉末豆乳の製造方法が開示されている。この公報に
開示される方法は、呉に対して45〜65℃で瞬時〜2
0分の加熱を行った後、おからを分離して豆乳を得て、
その豆乳を噴霧乾燥して粉末化することを特徴とするも
のである。当該方法によれば、弾力と風味に優れた豆腐
を製造し得ることが記載されている。しかしながら、当
該方法は、いったん豆乳を調製した後に乾燥して粉末化
するものであり、豆乳製品の簡便な製造方法を提供する
ことをねらいとしたものではない。また、豆乳製品製造
段階において、高温殺菌工程が不可欠であり、必ずしも
嗜好性が高い豆乳製品を提供するには至っていない。
は、簡便な方法で安価に豆乳製品を製造することができ
る方法を提供することを目的とした。また、本発明は、
品質や嗜好性が高い豆乳製品を製造する方法を提供する
ことも目的とした。さらに、本発明は、従来必要とされ
ていたような高温殺菌工程を必要としない豆乳製品の製
造方法を提供することも目的とした。
ねた結果、豆乳製品を製造する際にNSIが小さな大豆
粉を用いれば優れた豆乳製品を製造し得ることを見出
し、本発明を提供するに至った。すなわち本発明は、N
SIを50以下、好ましくは40以下に減じた大豆粉を
水と混合してpHを4以下にする工程を含むことを特徴
とする豆乳製品の製造方法を提供する。
るためにクエン酸を添加することが好ましい。また、本
発明の製造方法では、大豆を100℃以上、好ましくは
100〜115℃に加熱した後に乾燥することにより調
製した大豆粉を用いることが好ましい。このときの大豆
の加熱は蒸気を用いて行うことができる。また、大豆の
加熱は加圧下で行うことが好ましい。また、本発明は、
上記の製造方法により製造した豆乳製品も提供する。上
記の製造方法によれば、例えば、豆乳飲料または豆乳ゼ
リーを提供することができる。
の製造方法、およびその製造方法により製造した豆乳製
品について詳細に説明する。なお、本明細書において
「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限
値として含む意味で使用される。
Iを50以下に減じた大豆粉を水と混合してpHを4以
下にする工程を含むことを特徴とする。脱皮大豆や生大
豆粉は、NSIが通常80〜90である。本発明では、
このような通常用いられている脱皮大豆や生大豆粉では
なく、NSIが50以下になるような処理を施した大豆
粉を用いる点に1つの特徴がある。本発明の製造方法で
用いる大豆粉のNSIは、好ましくは45以下であり、
より好ましくは40以下である。
に含まれる全窒素に占める水溶性窒素の割合(%)を示
すもので、水溶性窒素指数とも呼ばれるものである。N
SIは、試料の水抽出液に含まれる窒素をケルダール法
で定量し、これを試料に含まれる全窒素を100とした
ときの相対量として表したものである。具体的な手順に
ついては、後述する試験例2に記載される方法を参考に
することができる。
として水銀・酸化水銀(II)・硫酸銅を添加し、濃硫酸
・硫酸カリウムまたは硫酸・発煙硫酸中で加熱分解を行
って試料中の窒素を硫酸アンモニウムに変換し、これに
強アルカリを加えて水蒸気蒸留し、遊離したアンモニア
を規定量の酸に捕集し、過剰の酸を逆滴定することで捕
集したアンモニア量を求め、この量から総窒素量を算出
するものである。その詳細については、「工業分析化学
概説[I]」(舟阪渡著、廣川書店発行)7.5.4を
参考にすることができる。
下の大豆粉は、例えば、大豆を100℃以上に加熱した
後に乾燥することにより得ることができる。大豆は脱皮
したものを用いることが好ましい。また、大豆は例えば
半割にしておくことが好ましい。加熱温度は、100〜
120℃に設定することが好ましく、100〜115℃
に設定することがより好ましい。加熱手段は特に制限さ
れないが、通常はスチームから提供される蒸気を大豆に
あてることにより加熱することが好ましい。加熱時間
は、通常1分〜5分程度であり、2分〜3分半にするこ
とが好ましい。
とにより大豆粉にすることができる。粉砕は、大豆の粉
砕に通常用いられている粉砕機を用いて行うことができ
る。粉砕は、後に行う乾燥を効率よく完全に行うことが
できる程度に行っておくことが好ましい。また、粉砕後
または粉砕前におからを除去しておくことが好ましい。
乾燥は、粉砕した大豆に乾燥風をあてることにより行う
ことができる。乾燥風の温度は特に制限されない。
ま直ちに豆乳製品の製造工程に供してもよいし、一旦保
存した後に必要に応じて豆乳製品の製造工程に供しても
よい。保存する場合は、袋詰めする等して作業性を良く
しておくことが好ましい。大豆粉を充填した袋は、豆乳
製品の製造工場に運搬し、保管しておくことができる。
このとき、豆乳として運搬して保管する場合に比べる
と、容積も重さも大幅に小さくすることができるため、
必要とされるコストも大幅に削減することができる。
大豆粉を水や他の成分と混合する。混合する際には、大
豆粉をまず水に溶解した後に他の成分と混合してもよい
し、大豆粉を他の成分を溶解させた水に溶解させてもよ
い。大豆粉と水との混合割合は、目的とする豆乳製品の
商品コンセプトに応じて適宜調節することができる。典
型的な混合比率は、大豆粉1に対して水9程度である。
物のpHを4以下にする。大豆粉を水に溶解して得られ
る水溶液のpHは、通常4を超えている。このため、本
発明では、酸を用いてpHを4以下に下げる工程を施
す。酸の種類は、例えば、クエン酸、乳酸など、食品用
に用いることができる酸であれば特に制限されない。好
ましいのは、クエン酸である。pHは好ましくは3.9
以下に調整する。
より、豆乳製品に菌が存在していてもその活動ができな
い状態にし、実質的に殺菌状態にすることができる。し
たがって、従来必要とされていた高温での大掛かりな殺
菌工程が不要になる。もともと、本発明で用いる大豆粉
は高温ですでに殺菌処理が施されているため、最終製品
に菌が存在している可能性は低い。ただし、本発明にお
いても、完全に殺菌するために短時間の加熱処理を行っ
ても構わない。
ているにもかかわらず凝固成分が析出してくることはな
い。これは、本発明では、原料としてNSIが50以下
の大豆粉を用いているためである。例えば、大豆を水に
浸漬して粉砕した通常の大豆粉(NSIは80以上)を
用いて豆乳製品を製造した場合は、pHを4以下に調整
すると凝固成分が析出してしまい、著しく商品価値を損
ねてしまう。このため、pHを中性域に維持せざるを得
ず、結果として120℃程度に高温加熱して殺菌する工
程が不可欠であった。
4以下にすることにより、凝固成分を析出させることな
く簡単に殺菌することができるため、品質を維持しなが
ら安価に豆乳製品を製造することができる。また、本発
明の製造方法により製造される豆乳製品は、従来の豆乳
製品に比べて臭みが少なくて、嗜好性が高いことが確認
されている。いかなる理論にも拘泥するものではない
が、このような味の良さは、本発明の独特な製造方法に
より大豆の旨み成分が保存されているためと考えられ
る。
ることが可能である。例えば、一般に豆乳として親しま
れている豆乳飲料にすることができる。また、豆乳を入
れたゼリー、アイスクリーム、シャーベット、ムース、
プリン、ババロア、スープ、ソースなどに加工すること
もできる。その他にも、豆乳を利用した多用な製品に応
用することができる。
プトにしたがって様々な成分を添加することができる。
例えば、ピーチ、オンレジ、グレープなどの果汁やフレ
ーバー、砂糖、乳化剤、ペクチン等の増粘多糖類などを
目的に応じて適宜添加することができる。
本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例
に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、
本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができ
る。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例によ
り限定的に解釈されるべきものではない。
した。脱皮した大豆に100〜120℃の蒸気を3分間
あてた後、粉砕し、おからを除去した後に乾燥すること
により大豆粉100gを調製した。得られた大豆粉10
0gに水900gを加え、95℃で攪拌した後に50メ
ッシュの布でろ過することにより大豆粉水溶液を得た。
を十分に均一になるように混合した。混合後のpHは
4.4であった。混合物にクエン酸を添加してpHを
4.0に調整した。その後、92℃で1〜3秒間殺菌し
て、87℃で容器に充填することによって豆乳飲料を得
た。
料を製造した。具体的には、50℃以下で大豆粉水溶液
にペクチン溶液を添加し、さらに果汁、酸、フレーバ
ー、その他の成分を添加して混合することにより混合物
を得た。pHは3.98で、Brixは16.31であ
った。その後、実施例1と同様に殺菌と容器への充填を
行って豆乳飲料を得た。
豆乳飲料を製造した。具体的には、50℃以下で大豆粉
水溶液にペクチン溶液を添加し、さらに果汁、酸、フレ
ーバー、その他の成分を添加して混合することにより混
合物を得た。pHは4.18で、Brixは13.19
であった。その後、実施例1と同様に殺菌と容器への充
填を行って豆乳飲料を得た。
の製造 比較のために、従来の製造方法にしたがって豆乳飲料を
製造した。ここでは、実施例1〜3で用いた大豆粉水溶
液のかわりに、大豆150gに60℃の乾熱風を2時間
あてた後、脱皮し、得られた脱皮した大豆を水に浸漬し
て粉砕した大豆粉を用いた。この大豆粉を用いた点を除
いて、上記実施例1〜3と同じ方法を繰り返し、実施例
1〜3にそれぞれ対応する比較例1〜3の豆乳飲料を得
た。
いて、5人のパネルによる官能試験を行った。その結
果、5人のパネルとも、比較例1〜3で製造した豆乳飲
料よりも、実施例1〜3で製造した各豆乳飲料に旨みが
あり、臭みが少なく、おいしいという評価を下した。
これに20℃の水50mlを加えた。試料が固まりにな
らないようにガラス棒でかきまぜた後、ゴム栓をして振
とう機に固定し、150往復/min、全振幅約60m
mで60分間振とうした。次にチューブをとり出し、こ
れを遠心分離機にかけ、2000rpmで10分間遠心
分離した。チューブをとり出し、上澄み液を採取した。
チューブ内の残分に新たに水50mlを加え、前と同様
に60分間振とうし、10分間遠心分離を行って上澄み
液を採取した。この操作を4回行って上澄み液(抽出
液)を集め、少量の水で器具を洗い、洗液を採取した上
澄み液と一緒にした。さらに適量の水を加えたうえでろ
過して、ろ液を得た。
り、ケルダール法にしたがって分解、蒸留および滴定を
行った。また、試料を入れないものについて、同様にケ
ルダール法にしたがって分解、蒸留および滴定を行っ
た。滴定には、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水
溶液を用いた。試料に対する水酸化ナトリウム水溶液の
滴定量(B)、ブランクテストにおける水酸化ナトリウ
ム水溶液の滴定量(A)、水酸化ナトリウム水溶液のフ
ァクター(F)、試料採取量(C)として、以下の式に
したがって試料の水溶性窒素量(Ns)を求めた。
/C×100
求め、以下の式にしたがってNSIを算出した。
粉、上記の比較例で使用した大豆粉のそれぞれについて
NSIを測定した結果を以下の表にまとめて示す。ま
た、蛋白質の割合についても併せて示す。
大豆を処理することによって、NSIが50以下の大豆
粉が得られることを示している。
で安価に豆乳製品を提供することができる。また、本発
明の製造方法によれば、従来必要とされていたような高
温殺菌工程を必要とせずに、品質や嗜好性が高い豆乳製
品を提供することができる。したがって、本発明は、多
種多様な豆乳製品の製造方法に広く利用されうるもので
ある。
Claims (9)
- 【請求項1】 NSIを50以下に減じた大豆粉を水と
混合してpHを4以下にする工程を含むことを特徴とす
る豆乳製品の製造方法。 - 【請求項2】 NSIを40以下に減じた大豆粉を水と
混合してpHを4以下にする工程を含むことを特徴とす
る豆乳製品の製造方法。 - 【請求項3】 前記のpHを4以下にするためにクエン
酸を添加することを特徴とする請求項1または2に記載
の豆乳製品の製造方法。 - 【請求項4】 前記大豆粉が、大豆を100℃以上に加
熱した後に乾燥することにより得たものであることを特
徴とする請求項1または2に記載の豆乳製品の製造方
法。 - 【請求項5】 前記の大豆の加熱を100〜115℃で
行う請求項4に記載の豆乳製品の製造方法。 - 【請求項6】 前記の大豆の加熱を蒸気を用いて行う請
求項4または5に記載の豆乳製品の製造方法。 - 【請求項7】 前記の大豆の加熱を加圧下で行う請求項
4〜6のいずれか1項に記載の豆乳製品の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製
造方法により製造した豆乳製品。 - 【請求項9】 豆乳飲料または豆乳ゼリーである請求項
8に記載の豆乳製品。
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