JP2003204092A - 磁気抵抗効果センサ、磁気抵抗効果センサを有する薄膜磁気ヘッド、磁気抵抗効果センサの製造方法及び薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果センサ、磁気抵抗効果センサを有する薄膜磁気ヘッド、磁気抵抗効果センサの製造方法及び薄膜磁気ヘッドの製造方法

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JP2003204092A
JP2003204092A JP2002000382A JP2002000382A JP2003204092A JP 2003204092 A JP2003204092 A JP 2003204092A JP 2002000382 A JP2002000382 A JP 2002000382A JP 2002000382 A JP2002000382 A JP 2002000382A JP 2003204092 A JP2003204092 A JP 2003204092A
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magnetization
protective metal
oxygen
metal layer
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JP2002000382A
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English (en)
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Tetsuo Sasaki
徹郎 佐々木
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来技術よりもさらに大きなMR比及び抵抗
変化ΔRsを得ることができ、しかも熱的に安定してい
ると共にリードオーバレイド構造とすることも可能なM
Rセンサ、このMRセンサを備えた薄膜磁気ヘッド、M
Rセンサの製造方法、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を
提供する。 【解決手段】 磁化方向が固定されている磁化固定層1
3と、磁化固定層上に積層された非磁性中間層14と、
非磁性中間層上に積層されており印加される磁界に応じ
て磁化方向が可変の磁化自由層15と、磁化自由層上に
積層された非磁性導電層16と、非磁性導電層上に積層
されており非磁性導電層とは反対側の界面が酸化されて
いる第1の保護金属層17’と、第1の保護金属層上に
積層されており酸素供給を遮断するための第2の保護金
属層18とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巨大磁気抵抗効果
(GMR)又はトンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用
した磁気抵抗効果(MR)センサ、このMRセンサを備
えており例えばハードディスク装置(HDD)、フロッ
ピー(登録商標)ディスク装置(FDD)等の磁気記録
再生装置に用いられる薄膜磁気ヘッド、MRセンサの製
造方法、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、HDDの高密度化に伴って高感度
及び高出力の磁気ヘッドが要求されており、このような
要求に答えるものとして、GMRを呈するセンサの1つ
であるスピンバルブ効果を利用したMRセンサを備えた
薄膜磁気ヘッドが提案されている。スピンバルブMR
(SVMR)センサは、2つの強磁性層を非磁性金属層
で磁気的に分離してサンドイッチ構造とし、その一方の
強磁性層に反強磁性層を積層することによってその界面
で生じる交換バイアス磁界をこの一方の強磁性層(磁化
固定層、ピンド(pinned)層)に印加するように
したものである。交換バイアス磁界を受ける磁化固定層
と受けない他方の強磁性層(磁化自由層、フリー(fr
ee)層)とでは磁化反転する磁界が異なるので、非磁
性金属層を挟むこれら2つの強磁性層の磁化の向きが平
行、反平行と変化し、これにより電気抵抗率が大きく変
化するのでGMRが得られる。
【0003】SVMRセンサの出力特性等は、非磁性金
属層を挟むこれら2つの強磁性層(磁化固定層及び磁化
自由層)の磁化のなす角度によって定まる。磁化自由層
の磁化方向は磁気記録媒体からの漏洩磁界の方向に容易
に向く。一方、磁化固定層の磁化方向は反強磁性層との
交換結合により一方向(ピンニングされる方向、ピンド
方向)に制御される。
【0004】このような一般的な構造のSVMRセンサ
によると、得られるMR比は、たかだか2〜6%程度で
ある。なお、MRセンサのMR比(MR変化率)MR
は、そのシート抵抗をRs、その抵抗変化をΔRsとす
ると、MR(%)=100×ΔRs(Ω/□)/Rs
(Ω/□)で与えられる。
【0005】磁化固定層を2つの強磁性層間に非磁性層
を挟んでなる積層構造としたシンセティック型SVMR
センサにおいても、MR比の向上には限界があり、10
%を越えるMR比は望むことができなかった。
【0006】特開2001−184613号公報には、
SVMRセンサの磁性層表面に酸化膜を設けることによ
り、抵抗変化ΔRsを増大させること、及びこの表面に
形成された酸化膜から酸素が磁性層に拡散するのを防止
するため、磁性層と酸化膜との間にスピンフィルタ層と
しても動作する非磁性酸化遮蔽導電層を設けることが開
示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこの公報
記載の技術によると、最表面に絶縁性の酸化膜が存在
しているため、MR膜の幅より内側にリード電極を突出
して配置したリードオーバレイド構造を有するMRセン
サを形成することができない、非磁性酸化遮蔽導電層
を内部に設けたのみでは酸素を充分に遮蔽することがで
きず、熱処理等が行われた際に、酸化膜を介して供給さ
れた過剰な酸素がこの非磁性酸化遮蔽導電層を通って磁
性層内に拡散されてしまい、磁気特性の劣化が生じる恐
れがある。
【0008】従って本発明の目的は、従来技術よりもさ
らに大きなMR比及び抵抗変化ΔRsを得ることがで
き、しかも熱的に安定しているMRセンサ、このMRセ
ンサを備えた薄膜磁気ヘッド、MRセンサの製造方法、
及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、より大きなMR比及
び抵抗変化ΔRsを得ることができ、しかもリードオー
バレイド構造とすることも可能なMRセンサ、このMR
センサを備えた薄膜磁気ヘッド、MRセンサの製造方
法、及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、磁化方
向が固定されている磁化固定層と、磁化固定層上に積層
された非磁性中間層と、非磁性中間層上に積層されてお
り印加される磁界に応じて磁化方向が可変の磁化自由層
と、磁化自由層上に積層された非磁性導電層と、非磁性
導電層上に積層されており非磁性導電層とは反対側の界
面が酸化されている第1の保護金属層と、第1の保護金
属層上に積層されており酸素供給を遮断するための第2
の保護金属層とを備えたMRセンサ、磁化方向が固定さ
れている磁化固定層と、磁化固定層上に積層された非磁
性中間層と、非磁性中間層上に積層されており印加され
る磁界に応じて磁化方向が可変の磁化自由層と、磁化自
由層上に積層されており磁化自由層とは反対側の界面が
酸化されている第1の保護金属層と、第1の保護金属層
上に積層されており酸素供給を遮断するための第2の保
護金属層とを備えたMRセンサ、及び磁化方向が固定さ
れている磁化固定層と、磁化固定層上に積層された非磁
性中間層と、非磁性中間層上に積層されていると共に非
磁性中間層とは反対側の界面が酸化されており、印加さ
れる磁界に応じて磁化方向が可変の磁化自由層と、磁化
自由層上に積層されており酸素供給を遮断するための保
護金属層とを備えたMRセンサが提供される。
【0011】本発明によれば、さらに、このようなMR
センサを磁気情報再生用ヘッドとして備えた薄膜磁気ヘ
ッドが提供される。
【0012】第1の保護金属層又は磁化自由層の上側の
界面を酸化しておくことによって大きなMR比及び抵抗
変化ΔRsを得ることができ、しかも、この界面が酸化
された第1の保護金属層又は磁化自由層の上に、酸素供
給を遮断するための、酸化処理していない保護金属層を
形成しているので、熱処理を行っても過剰に酸素が供給
されることがないから特性劣化が発生せず、熱的に安定
している。その結果、安定した高記録密度対応の薄膜磁
気ヘッドを提供することが可能となる。また、最表面が
酸化膜ではなく酸化処理していない保護金属層であるた
め、リードオーバレイド構造とすることも可能である。
【0013】第1の保護金属層の厚みが、0.5nm以
下であることが好ましい。
【0014】第1の保護金属層、第2の保護金属層又は
保護金属層が、Ta、Nb、Ti、Zr、Al、V、C
r、Ru、Rh、Hf、W、Ni、Fe及びCoから選
択された1つの金属又は少なくとも1つのこの金属を含
む合金からなることも好ましい。
【0015】磁化固定層が、単層構造であるか、又は第
1の強磁性層、非磁性層及び第2の強磁性層を積層した
シンセティック構造であることも好ましい。
【0016】磁化固定層の下に積層されており、交換結
合により磁化固定層の磁化方向を固定する反強磁性層を
さらに備えたことも好ましい。
【0017】本発明によれば、またさらに、磁化方向が
固定されている磁化固定層と、非磁性中間層と、印加さ
れる磁界に応じて磁化方向が可変の磁化自由層とを少な
くとも積層するMRセンサの製造方法であって、磁化自
由層上に非磁性導電層を成膜し、成膜した非磁性導電層
上に第1の保護金属層を成膜し、成膜した第1の保護金
属層の表面を酸素を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又
は酸素イオン中に曝露し、曝露した第1の保護金属層上
に酸素供給を遮断するための第2の保護金属層を成膜す
るMRセンサの製造方法、磁化自由層上に第1の保護金
属層を成膜し、成膜した第1の保護金属層の表面を酸素
を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イオン中に
曝露し、曝露した第1の保護金属層上に酸素供給を遮断
するための第2の保護金属層を成膜するMRセンサの製
造方法、磁化自由層上に非磁性導電層を成膜し、成膜し
た非磁性導電層の表面を酸素を含むガスプラズマ、酸素
ラジカル又は酸素イオン中に曝露し、曝露した非磁性導
電層上に酸素供給を遮断するための保護金属層を成膜す
るMRセンサの製造方法、及び磁化自由層の表面を酸素
を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イオン中に
曝露し、曝露した磁化自由層上に酸素供給を遮断するた
めの保護金属層を成膜するMRセンサの製造方法が提供
される。
【0018】本発明によれば、また、磁気情報の再生に
用いるMRセンサを、上述したような製造方法によって
形成する薄膜磁気ヘッドの製造方法が提供される。
【0019】第1の保護金属層、磁化自由層又は非磁性
導電層の表面を酸素を含むガスプラズマ、酸素ラジカル
又は酸素イオン中に曝露し酸化しておくことによって大
きなMR比及び抵抗変化ΔRsを得ることができ、しか
も、その曝露した層の上に酸素供給を遮断するための、
酸化処理していない第2の保護金属層又は保護金属層を
形成しているので、その後に熱処理を行っても過剰に酸
素が供給されることがないから特性劣化が発生せず、熱
的に安定したMRセンサ及び薄膜磁気ヘッドを得ること
ができる。その結果、安定した高記録密度対応の薄膜磁
気ヘッドを提供することが可能となる。また、最表面が
酸化膜ではなく酸化処理していない保護金属層であるた
め、リードオーバレイド構造とすることも可能である。
【0020】さらに本発明では、酸素を含むガスプラズ
マ、酸素ラジカル又は酸素イオン中に曝露しているた
め、単に酸素ガスに曝露した場合より、MR比及び抵抗
変化ΔRsが共にさらに大きくなる。
【0021】第1の保護金属層をその厚みが、0.5n
m以下となるように成膜することが好ましい。
【0022】第1の保護金属層、第2の保護金属層、又
は保護金属層を、Ta、Nb、Ti、Zr、Al、V、
Cr、Ru、Rh、Hf、W、Ni、Fe及びCoから
選択された1つの金属又は少なくとも1つのこの金属を
含む合金で形成することが好ましい。
【0023】酸素を含むガスプラズマが、酸素プラズ
マ、又は酸素と希ガス若しくは窒素との混合ガスプラズ
マであることも好ましい。
【0024】酸素を含むガスプラズマにおける酸素曝露
量が10〜3000Pa・secであることもより好ま
しい。
【0025】酸素ラジカルを発生する際のラジカルガン
への投入電力が100〜1000Wであり、酸素ラジカ
ルの酸素ガス圧力が1〜20mPaであることも好まし
い。
【0026】磁化固定層を、強磁性層の単層で形成する
か、又は第1の強磁性層、非磁性層及び第2の強磁性層
を積層してシンセティック構造とすることも好ましい。
【0027】磁化固定層の下に、交換結合により磁化固
定層の磁化方向を固定する反強磁性層を積層しておくこ
とも好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態に
おけるSVMR多層膜の層構成を概略的示す、浮上面
(ABS)方向から見た断面図である。
【0029】同図において、10は基板、11は基板1
0上に図示しない絶縁層を介して積層された例えばNi
Cr等によるバッファ層、12はバッファ層11上に積
層された例えばPtMn等の導電性の反強磁性層、13
は反強磁性層12上に積層された磁化固定層、14は磁
化固定層13上に積層された例えばCu等による非磁性
中間層、15は非磁性中間層14上に積層された磁化自
由層、16は磁化自由層15上に積層された例えばR
u、Cu等による非磁性導電層、17は非磁性導電層1
6上に積層された例えばTa、Nb、Ti、Zr、A
l、V、Cr、Ru、Rh、Hf、W、Ni、Fe及び
Coから選択された1つの金属又は少なくとも1つのこ
の金属を含む合金等による第1の保護金属層、18は第
1の保護金属層17上に積層された例えばTa、Nb、
Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、W、
Ni、Fe及びCoから選択された1つの金属又は少な
くとも1つのこの金属を含む合金等による第2の保護金
属層をそれぞれ示している。
【0030】第1の保護金属層17の非磁性導電層16
とは反対側、即ち第2の保護金属層18側、の界面は酸
化処理によって酸化されている。また、第2の保護金属
層18は酸化処理されていない。
【0031】なお、この第1の実施形態においては、磁
化固定層13は、例えばCoFeによる第1の強磁性
層、例えばRuによる非磁性層及び例えばCoFeによ
る第2の強磁性層を積層したシンセティック構造となっ
ている。また、磁化自由層15は、例えばCoFeによ
る強磁性層の単層構造となっている。
【0032】図2は、この第1の実施形態におけるSV
MR多層膜の製造工程を説明する図であり、ABS方向
から見た断面を示している。
【0033】同図に示すように、基板10上にバッファ
層11、反強磁性層12、磁化固定層13、非磁性中間
層14、磁化自由層15、非磁性導電層16及び第1の
保護金属層17´を積層した後、この第1の保護金属層
17´の上側表面を酸素プラズマ中に曝露する。より具
体的には、真空チャンバ内で酸素ガスを流しながら基板
にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズマを発生さ
せて曝露する。これにより、上側表面の界面のみが酸化
された第1の保護金属層17が得られる。
【0034】この曝露は、1回のみ行っても良いし、複
数回にわたって行っても良い。酸素プラズマの曝露量
は、10〜3000Pa・secであることが望まし
い。また、曝露時の基板への印加電力は1000W/m
以下が望ましい。
【0035】曝露雰囲気は、上述したように酸素プラズ
マであっても良いし、酸素と例えばNe、Ar、Kr若
しくはXe等の希ガス又は窒素との混合ガスプラズマで
あっても良い。
【0036】曝露が終了した後、その上に第2の保護金
属層18を積層する。
【0037】このように、第1の保護金属層17´の表
面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露し酸化してお
くことによって大きなMR比及び抵抗変化ΔRsを得る
ことができる。しかも、その曝露した第1の保護金属層
17の上に酸素供給を遮断するための、酸化処理してい
ない第2の保護金属層18を形成しているので、その後
に例えばフォトレジストの熱硬化等の熱処理を行っても
過剰に酸素が供給されることがないから特性劣化が発生
しない。従って、熱的に安定したMRセンサ及び薄膜磁
気ヘッドを得ることができる。また、第1の保護金属層
17が弱く酸化されているのみでありその酸化条件もプ
ロセス制御されていること、最表面が酸化膜ではなく酸
化処理していない第2の保護金属層18であることか
ら、この第2の保護金属層18の表面酸化部分を薄く削
ることのみでその上にリード導体層を形成し、リードオ
ーバレイド構造を得ることが可能であり、その結果、再
生ヘッドの劣化や不安定化を防止することができる。
【0038】さらに、本実施形態では、酸素を含むガス
プラズマ中に曝露しているため、単に酸素ガスに曝露し
た場合より、MR比及び抵抗変化ΔRsを共にさらに大
きくすることができる。
【0039】この第1の実施形態においては、第1の保
護金属層17´の上側表面を、酸素プラズマ又は酸素を
含む混合ガスプラズマ中に曝露しているが、ラジカルガ
ンの内部放電によって酸素ラジカルを発生させこれを基
板表面に照射することによって曝露しても良いし、イオ
ン源として熱フィラメント又はECR放電等を用いたイ
オンガンで発生した酸素イオンを、印加電圧で加速して
基板表面に照射することによって曝露しても良い。酸素
ラジカル曝露の場合、酸素ラジカルの条件として、酸素
ガス圧力が1〜20mPaでありラジカルガンへの投入
電力が100〜1000Wであることが望ましい。
【0040】図3は本発明の第2の実施形態におけるS
VMR多層膜の層構成を概略的示す、ABS方向から見
た断面図である。
【0041】同図において、30は基板、31は基板3
0上に図示しない絶縁層を介して積層された例えばNi
Cr等によるバッファ層、32はバッファ層31上に積
層された例えばPtMn等の導電性の反強磁性層、33
は反強磁性層32上に積層された磁化固定層、34は磁
化固定層33上に積層された例えばCu等による非磁性
中間層、35は非磁性中間層34上に積層された磁化自
由層、37は磁化自由層35上に積層された例えばT
a、Nb、Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、
Hf、W、Ni、Fe及びCoから選択された1つの金
属又は少なくとも1つのこの金属を含む合金等による第
1の保護金属層、38は第1の保護金属層37上に積層
された例えばTa、Nb、Ti、Zr、Al、V、C
r、Ru、Rh、Hf、W、Ni、Fe及びCoから選
択された1つの金属又は少なくとも1つのこの金属を含
む合金等による第2の保護金属層をそれぞれ示してい
る。
【0042】第1の保護金属層37の磁化自由層35と
は反対側、即ち第2の保護金属層38側、の界面は酸化
処理によって酸化されている。また、第2の保護金属層
38は酸化処理されていない。
【0043】なお、この第2の実施形態においては、磁
化固定層33は、例えばCoFeによる第1の強磁性
層、例えばRuによる非磁性層及び例えばCoFeによ
る第2の強磁性層を積層したシンセティック構造となっ
ている。また、磁化自由層35は、例えばCoFeによ
る強磁性層の単層構造となっている。
【0044】図4は、この第2の実施形態におけるSV
MR多層膜の製造工程を説明する図であり、ABS方向
から見た断面を示している。
【0045】同図に示すように、基板30上にバッファ
層31、反強磁性層32、磁化固定層33、非磁性中間
層34、磁化自由層35及び第1の保護金属層37´を
積層した後、この第1の保護金属層37´の上側表面を
酸素プラズマ中に曝露する。より具体的には、真空チャ
ンバ内で酸素ガスを流しながら基板にRF又はDCの電
位を印加して酸素プラズマを発生させて曝露する。これ
により、上側表面の界面のみが酸化された第1の保護金
属層37が得られる。
【0046】この曝露は、1回のみ行っても良いし、複
数回にわたって行っても良い。酸素プラズマの曝露量
は、10〜3000Pa・secであることが望まし
い。また、曝露時の基板への印加電力は1000W/m
以下が望ましい。
【0047】曝露雰囲気は、上述したように酸素プラズ
マであっても良いし、酸素と例えばNe、Ar、Kr若
しくはXe等の希ガス又は窒素との混合ガスプラズマで
あっても良い。
【0048】曝露が終了した後、その上に第2の保護金
属層38を積層する。
【0049】このように、第1の保護金属層37´の表
面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露し酸化してお
くことによって大きなMR比及び抵抗変化ΔRsを得る
ことができる。しかも、その曝露した第1の保護金属層
37の上に酸素供給を遮断するための、酸化処理してい
ない第2の保護金属層38を形成しているので、その後
に例えばフォトレジストの熱硬化等の熱処理を行っても
過剰に酸素が供給されることがないから特性劣化が発生
しない。従って、熱的に安定したMRセンサ及び薄膜磁
気ヘッドを得ることができる。また、第1の保護金属層
37が弱く酸化されているのみでありその酸化条件もプ
ロセス制御されていること、最表面が酸化膜ではなく酸
化処理していない第2の保護金属層38であることか
ら、この第2の保護金属層38の表面酸化部分を薄く削
ることのみでその上にリード導体層を形成し、リードオ
ーバレイド構造を得ることが可能であり、その結果、再
生ヘッドの劣化や不安定化を防止することができる。
【0050】さらに、本実施形態では、酸素を含むガス
プラズマ中に曝露しているため、単に酸素ガスに曝露し
た場合より、MR比及び抵抗変化ΔRsを共にさらに大
きくすることができる。
【0051】この第2の実施形態においては、第1の保
護金属層37´の上側表面を、酸素プラズマ又は酸素を
含む混合ガスプラズマ中に曝露しているが、ラジカルガ
ンの内部放電によって酸素ラジカルを発生させこれを基
板表面に照射することによって曝露しても良いし、イオ
ン源として熱フィラメント又はECR放電等を用いたイ
オンガンで発生した酸素イオンを、印加電圧で加速して
基板表面に照射することによって曝露しても良い。酸素
ラジカル曝露の場合、酸素ラジカルの条件として、酸素
ガス圧力が1〜20mPaでありラジカルガンへの投入
電力が100〜1000Wであることが望ましい。
【0052】図5は本発明の第3の実施形態におけるS
VMR多層膜の層構成を概略的示す、ABS方向から見
た断面図である。
【0053】同図において、50は基板、51は基板5
0上に図示しない絶縁層を介して積層された例えばNi
Cr等によるバッファ層、52はバッファ層51上に積
層された例えばPtMn等の導電性の反強磁性層、53
は反強磁性層52上に積層された磁化固定層、54は磁
化固定層53上に積層された例えばCu等による非磁性
中間層、55は非磁性中間層54上に積層された磁化自
由層、56は磁化自由層55上に積層された例えばR
u、Cu等による非磁性導電層(スピンフィルタ層)、
58は非磁性導電層56上に積層された例えばTa、N
b、Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、
W、Ni、Fe及びCoから選択された1つの金属又は
少なくとも1つのこの金属を含む合金等による保護金属
層をそれぞれ示している。
【0054】非磁性導電層56は、磁化自由層55とは
反対側、即ち保護金属層58側、の界面側から酸化処理
されている。また、保護金属層58は酸化処理されてい
ない。
【0055】なお、この第3の実施形態においては、磁
化固定層53は、例えばCoFeによる第1の強磁性
層、例えばRuによる非磁性層及び例えばCoFeによ
る第2の強磁性層を積層したシンセティック構造となっ
ている。また、磁化自由層55は、例えばCoFeによ
る強磁性層の単層構造となっている。
【0056】図6は、この第3の実施形態におけるSV
MR多層膜の製造工程を説明する図であり、ABS方向
から見た断面を示している。
【0057】同図に示すように、基板50上にバッファ
層51、反強磁性層52、磁化固定層53、非磁性中間
層54、磁化自由層55及び非磁性導電層56´を積層
した後、この非磁性導電層56´の上側表面を酸素プラ
ズマ中に曝露する。より具体的には、真空チャンバ内で
酸素ガスを流しながら基板にRF又はDCの電位を印加
して酸素プラズマを発生させて曝露する。これにより、
上側表面の界面側から酸化処理された非磁性導電層56
が得られる。
【0058】この曝露は、1回のみ行っても良いし、複
数回にわたって行っても良い。酸素プラズマの曝露量
は、10〜3000Pa・secであることが望まし
い。また、曝露時の基板への印加電力は1000W/m
以下が望ましい。
【0059】曝露雰囲気は、上述したように酸素プラズ
マであっても良いし、酸素と例えばNe、Ar、Kr若
しくはXe等の希ガス又は窒素との混合ガスプラズマで
あっても良い。
【0060】曝露が終了した後、その上に保護金属層5
8を積層する。
【0061】このように、スピンフィルタ層として動作
する非磁性導電層56´の表面のみを酸素を含むガスプ
ラズマ中に曝露することによって大きなMR比及び抵抗
変化ΔRsを得ることができる。しかも、その曝露した
非磁性導電層56の上に酸素供給を遮断するための、酸
化処理していない保護金属層58を形成しているので、
その後に例えばフォトレジストの熱硬化等の熱処理を行
っても過剰に酸素が供給されることがないから特性劣化
が発生しない。従って、熱的に安定したMRセンサ及び
薄膜磁気ヘッドを得ることができる。また、非磁性導電
層56が弱く酸化されるのみでありその酸化条件もプロ
セス制御されていること、最表面が酸化膜ではなく酸化
処理していない保護金属層58であることから、この保
護金属層58の表面酸化部分を薄く削ることのみでその
上にリード導体層を形成し、リードオーバレイド構造を
得ることが可能であり、その結果、再生ヘッドの劣化や
不安定化を防止することができる。
【0062】さらに、本実施形態では、酸素を含むガス
プラズマ中に曝露しているため、単に酸素ガスに曝露し
た場合より、MR比及び抵抗変化ΔRsを共にさらに大
きくすることができる。
【0063】この第3の実施形態においては、非磁性導
電層56´の上側表面を、酸素プラズマ又は酸素を含む
混合ガスプラズマ中に曝露しているが、ラジカルガンの
内部放電によって酸素ラジカルを発生させこれを基板表
面に照射することによって曝露しても良いし、イオン源
として熱フィラメント又はECR放電等を用いたイオン
ガンで発生した酸素イオンを、印加電圧で加速して基板
表面に照射することによって曝露しても良い。酸素ラジ
カル曝露の場合、酸素ラジカルの条件として、酸素ガス
圧力が1〜20mPaでありラジカルガンへの投入電力
が100〜1000Wであることが望ましい。
【0064】図7は本発明の第4の実施形態におけるS
VMR多層膜の層構成を概略的示す、ABS方向から見
た断面図である。
【0065】同図において、70は基板、71は基板7
0上に図示しない絶縁層を介して積層された例えばNi
Cr等によるバッファ層、72はバッファ層71上に積
層された例えばPtMn等の導電性の反強磁性層、73
は反強磁性層72上に積層された磁化固定層、74は磁
化固定層73上に積層された例えばCu等による非磁性
中間層、75は非磁性中間層74上に積層された磁化自
由層、78は磁化自由層75上に積層された例えばT
a、Nb、Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、
Hf、W、Ni、Fe及びCoから選択された1つの金
属又は少なくとも1つのこの金属を含む合金等による保
護金属層をそれぞれ示している。
【0066】磁化自由層75の非磁性中間層74とは反
対側、即ち保護金属層78側、の界面は酸化処理によっ
て酸化されている。また、保護金属層78は酸化処理さ
れていない。
【0067】なお、この第4の実施形態においては、磁
化固定層73は、例えばCoFeによる第1の強磁性
層、例えばRuによる非磁性層及び例えばCoFeによ
る第2の強磁性層を積層したシンセティック構造となっ
ている。また、磁化自由層75は、例えばCoFeによ
る強磁性層の単層構造となっている。
【0068】図8は、この第4の実施形態におけるSV
MR多層膜の製造工程を説明する図であり、ABS方向
から見た断面を示している。
【0069】同図に示すように、基板70上にバッファ
層71、反強磁性層72、磁化固定層73、非磁性中間
層74及び磁化自由層75´を積層した後、この磁化自
由層75´の上側表面を酸素プラズマ中に曝露する。よ
り具体的には、真空チャンバ内で酸素ガスを流しながら
基板にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズマを発
生させて曝露する。これにより、上側表面の界面のみが
酸化された磁化自由層75が得られる。
【0070】この曝露は、1回のみ行っても良いし、複
数回にわたって行っても良い。酸素プラズマの曝露量
は、10〜3000Pa・secであることが望まし
い。また、曝露時の基板への印加電力は1000W/m
以下が望ましい。
【0071】曝露雰囲気は、上述したように酸素プラズ
マであっても良いし、酸素と例えばNe、Ar、Kr若
しくはXe等の希ガス又は窒素との混合ガスプラズマで
あっても良い。
【0072】曝露が終了した後、その上に保護金属層7
8を積層する。
【0073】このように、磁化自由層75´の表面のみ
を酸素を含むガスプラズマ中に曝露し酸化しておくこと
によって大きなMR比及び抵抗変化ΔRsを得ることが
できる。しかも、その曝露した磁化自由層75の上に酸
素供給を遮断するための、酸化処理していない保護金属
層78を形成しているので、その後に例えばフォトレジ
ストの熱硬化等の熱処理を行っても過剰に酸素が供給さ
れることがないから特性劣化が発生しない。従って、熱
的に安定したMRセンサ及び薄膜磁気ヘッドを得ること
ができる。また、磁化自由層75が弱く酸化されている
のみでありその酸化条件もプロセス制御されているこ
と、最表面が酸化膜ではなく酸化処理していない保護金
属層78であることから、この保護金属層78の表面酸
化部分を薄く削ることのみでその上にリード導体層を形
成し、リードオーバレイド構造を得ることが可能であ
り、その結果、再生ヘッドの劣化や不安定化を防止する
ことができる。
【0074】さらに、本実施形態では、酸素を含むガス
プラズマ中に曝露しているため、単に酸素ガスに曝露し
た場合より、MR比及び抵抗変化ΔRsを共にさらに大
きくすることができる。
【0075】この第4の実施形態においては、磁化自由
層75´の上側表面を、酸素プラズマ又は酸素を含む混
合ガスプラズマ中に曝露しているが、ラジカルガンの内
部放電によって酸素ラジカルを発生させこれを基板表面
に照射することによって曝露しても良いし、イオン源と
して熱フィラメント又はECR放電等を用いたイオンガ
ンで発生した酸素イオンを、印加電圧で加速して基板表
面に照射することによって曝露しても良い。酸素ラジカ
ル曝露の場合、酸素ラジカルの条件として、酸素ガス圧
力が1〜20mPaでありラジカルガンへの投入電力が
100〜1000Wであることが望ましい。
【0076】
【実施例】第1の比較例 第1の比較例として、磁性層の最表面に酸化膜を設けて
抵抗変化ΔRsを増大を図った、特開2001−184
613号公報記載の公知技術によるボトム型SVMR多
層膜の試料を作成した。
【0077】この試料の層構成は、NiCr(5nm)
/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)/R
u(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2n
m)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/酸化
Ta(1nm)である。ここで、NiCr層はバッファ
層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoF
e層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe層
は磁化自由層、Cu層は非磁性酸化遮蔽導電層(スピン
フィルタ層)、酸化Ta層は酸化膜である。
【0078】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】第1の実施例 本発明の第1の実施例として、第1の実施形態に対応す
る層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、互
いに異なる材料によって形成された第1の保護金属層の
表面を酸素プラズマ中に曝露した種々の試料を作成し
た。即ち、真空チャンバ内で酸素ガスを流しながら基板
にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズマを発生さ
せ、その酸素プラズマ中に種々の材料の第1の保護金属
層の表面を曝露した試料を作成した。
【0081】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/第
1の保護金属層//Ta(2nm)である。ここで、N
iCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁性層、Co
Fe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu層は非磁性
中間層、CoFe層は磁化自由層、Cu層は非磁性導電
層(スピンフィルタ層)、Ta層は第2の保護金属層で
ある。ただし、//は酸素プラズマ中への曝露を表して
いる。
【0082】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0083】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】表1及び表2を比較して分かるように、反
強磁性層の規則化アニール後において、第1の保護金属
層の表面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露して酸
化し、その上に酸素供給を遮断するための、酸化処理し
ていない第2の保護金属層を成膜した試料2〜17は、
従来技術による試料1に比して、MR比及び抵抗変化Δ
Rsが共に大きくなっている。しかも、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル後にお
いて、試料1ではMR特性が劣化しているが、本実施例
の試料2〜17では、ほとんど特性が劣化しておらず、
熱的に安定していることが分かる。
【0086】第2の実施例 本発明の第2の実施例として、第1の実施形態に対応す
る層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、第
2の保護金属層を互いに異なる材料によって形成した種
々の試料を作成した。
【0087】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/T
a(0.2nm)//第2の保護金属層(2nm)であ
る。ここで、NiCr層はバッファ層、PtMn層は反
強磁性層、CoFe/Ru/CoFe層は磁化固定層、
Cu層は非磁性中間層、CoFe層は磁化自由層、Cu
層は非磁性導電層(スピンフィルタ層)、Ta層は第1
の保護金属層である。ただし、//は酸素プラズマ中へ
の曝露を表している。
【0088】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0089】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】表1〜表3を比較して分かるように、第2
の保護金属層の材料を変えた試料18〜33において
も、反強磁性層の規則化アニール後において、従来技術
による試料1に比して、MR比及び抵抗変化ΔRsが共
に大きくなっている。しかも、例えばフォトレジストの
熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル後において、試
料1ではMR特性が劣化しているが、本実施例の試料1
8〜33では、ほとんど特性が劣化しておらず、熱的に
安定していることが分かる。従って、第2の保護金属層
として、Ta、Nb、Ti、Zr、Al、V、Cr、R
u、Rh、Hf、W、Ni、Fe及びCoから選択され
た1つの金属、又はFeTa若しくはNiTa等の合金
を用いて、第1の実施例と同等の良好な効果を得ること
ができる。
【0092】第2の比較例 第2の比較例として、第1又は第2の実施例における第
2の保護金属層を省略した構成のボトム型SVMR多層
膜の種々の試料を作成した。即ち、互いに異なる材料に
よって形成された第1の保護金属層の表面を酸素プラズ
マ中に曝露したものを最表面とした種々の試料を作成し
た。
【0093】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/第
1の保護金属層//である。ここで、NiCr層はバッ
ファ層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/C
oFe層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoF
e層は磁化自由層、Cu層は非磁性導電層(スピンフィ
ルタ層)である。ただし、//は酸素プラズマ中への曝
露を表している。
【0094】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表4に示す。
【0095】
【表4】
【0096】表2及び表4を比較して分かるように、反
強磁性層の規則化アニール後において、第1の保護金属
層上に酸素供給を遮断するための、酸化処理していない
第2の保護金属層を成膜した試料2〜17は、第2の保
護金属層が存在しない試料34〜49に比して、MR比
及び抵抗変化ΔRsが共に大きくなっており、しかも、
その後のアニ−ル後において、試料34〜49ではいず
れもMR特性が劣化している。これに対して、第1の実
施例の試料2〜17では、第2の保護金属層の存在によ
って過剰な酸素が供給されないのでほとんど特性が劣化
しておらず、熱的に安定している。従って、第2の保護
金属層を設けることが非常に重要であることが分かる。
【0097】第3の比較例 第3の比較例として、第1の保護金属層の表面の酸素曝
露を酸素プラズマ中ではなく酸素ガス中に曝露し、かつ
その曝露条件を変えた種々の試料を作成した。即ち、真
空チャンバ内で酸素ガス中に第1の保護金属層の表面を
異なる曝露条件で曝露した試料を作成した。
【0098】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/T
a(0.2nm)//Ta(2nm)である。ここで、
NiCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁性層、C
oFe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu層は非磁
性中間層、CoFe層は磁化自由層、Cu層は非磁性導
電層(スピンフィルタ層)、Ta層(0.2nm)は第
1の保護金属層、Ta層(2nm)は第2の保護金属層
である。ただし、//は酸素ガス中への曝露を表してい
る。
【0099】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表5に示す。
【0100】
【表5】
【0101】表1、表2及び表5を比較して分かるよう
に、この比較例の試料50〜57は、曝露量を1×10
−3〜2×10Pa・secの範囲で変えても、いず
れも大きなMR比及び抵抗変化ΔRsが得られていな
い。従って、第1の保護金属層を酸素プラズマではなく
酸素ガス中に曝露したのみでは、良好なMR特性が得ら
れないことが分かる。
【0102】第4の比較例 第4の比較例として、第1の比較例における磁化自由層
を2層構造とした公知技術によるボトム型SVMR多層
膜の試料を作成した。
【0103】この試料の層構成は、NiCr(5nm)
/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)/R
u(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2n
m)/CoFe(1nm)/NiFe(2nm)/Cu
(0.5nm)/酸化Ta(1nm)である。ここで、
NiCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁性層、C
oFe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu層は非磁
性中間層、CoFe層は磁化自由層、Cu層は非磁性導
電層(スピンフィルタ層)、酸化Ta層は酸化膜であ
る。
【0104】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表6に示す。
【0105】
【表6】
【0106】第3の実施例 本発明の第3の実施例として、第1の実施例における磁
化自由層を2層構造としたボトム型SVMR多層膜の種
々の試料を作成した。即ち、真空チャンバ内で酸素ガス
を流しながら基板にRF又はDCの電位を印加して酸素
プラズマを発生させ、その酸素プラズマ中に種々の材料
の第1の保護金属層の表面を曝露した試料を作成した。
【0107】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(1nm)/NiFe(2nm)/C
u(0.5nm)/第1の保護金属層//Ta(2n
m)である。ここで、NiCr層はバッファ層、PtM
n層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoFe層は磁化
固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe/NiFe層
は磁化自由層、Cu層は非磁性導電層(スピンフィルタ
層)、Ta層は第2の保護金属層である。ただし、//
は酸素プラズマ中への曝露を表している。
【0108】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0109】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表7に示す。
【0110】
【表7】
【0111】表6及び表7を比較して分かるように、反
強磁性層の規則化アニール後において、第1の保護金属
層の表面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露して酸
化し、その上に酸素供給を遮断するための、酸化処理し
ていない第2の保護金属層を成膜した試料59〜74
は、従来技術による試料58に比して、MR比及び抵抗
変化ΔRsが共に大きくなっている。しかも、例えばフ
ォトレジストの熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル
後において、試料58ではMR特性が劣化しているが、
本実施例の試料59〜74では、ほとんど特性が劣化し
ておらず、熱的に安定していることが分かる。
【0112】第4の実施例 本発明の第4の実施例として、第2の実施形態に対応す
る層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、互
いに異なる材料によって形成された第1の保護金属層の
表面を酸素プラズマ中に曝露した種々の試料を作成し
た。即ち、真空チャンバ内で酸素ガスを流しながら基板
にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズマを発生さ
せ、その酸素プラズマ中に種々の材料の第1の保護金属
層の表面を曝露した試料を作成した。
【0113】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/第1の保護金属層//T
a(2nm)である。ここで、NiCr層はバッファ
層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoF
e層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe層
は磁化自由層、Ta層は第2の保護金属層である。ただ
し、//は酸素プラズマ中への曝露を表している。
【0114】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0115】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表8に示す。
【0116】
【表8】
【0117】表1及び表8を比較して分かるように、反
強磁性層の規則化アニール後において、第1の保護金属
層の表面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露して酸
化し、その上に酸素供給を遮断するための、酸化処理し
ていない第2の保護金属層を成膜した試料75〜90
は、スピンフィルタ層が存在しないにもかかわらず、従
来技術による試料1に比して、MR比及び抵抗変化ΔR
sが共に大きくなっている。しかも、例えばフォトレジ
ストの熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル後におい
て、試料1ではMR特性が劣化しているが、本実施例の
試料75〜90では、ほとんど特性が劣化しておらず、
熱的に安定していることが分かる。
【0118】第5の実施例 本発明の第5の実施例として、第3の実施形態に対応す
る層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、非
磁性導電層の表面を酸素プラズマ中に曝露した種々の試
料を作成した。即ち、真空チャンバ内で酸素ガスを流し
ながら基板にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズ
マを発生させ、その酸素プラズマ中に非磁性導電層の表
面を曝露した試料を作成した。
【0119】この試料の層構成は、NiCr(5nm)
/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)/R
u(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2n
m)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)//T
a(2nm)である。ここで、NiCr層はバッファ
層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoF
e層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe層
は磁化自由層、Cu層は非磁性導電層(スピンフィルタ
層)、Ta層は保護金属層である。ただし、//は酸素
プラズマ中への曝露を表している。
【0120】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0121】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表9に示す。
【0122】
【表9】
【0123】表1及び表9を比較して分かるように、反
強磁性層の規則化アニール後において、非磁性導電層
(スピンフィルタ層)の表面のみを酸素を含むガスプラ
ズマ中に曝露して酸化し、その上に酸素供給を遮断する
ための、酸化処理していない保護金属層を成膜した試料
91は、従来技術による試料1に比して、MR比及び抵
抗変化ΔRsが共に大きくなっている。しかも、例えば
フォトレジストの熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−
ル後において、試料1ではMR特性が劣化しているが、
本実施例の試料91では、ほとんど特性が劣化しておら
ず、熱的に安定していることが分かる。
【0124】第6の実施例 本発明の第6の実施例として、第5の実施例における磁
化自由層を2層構造としたボトム型SVMR多層膜の試
料を作成した。即ち、真空チャンバ内で酸素ガスを流し
ながら基板にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズ
マを発生させ、その酸素プラズマ中に非磁性導電層の表
面を曝露した試料を作成した。
【0125】この試料の層構成は、NiCr(5nm)
/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)/R
u(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2n
m)/CoFe(1nm)/NiFe(2nm)/Cu
(0.5nm)//Ta(2nm)である。ここで、N
iCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁性層、Co
Fe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu層は非磁性
中間層、CoFe/NiFe層は磁化自由層、Cu層は
非磁性導電層(スピンフィルタ層)、Ta層は保護金属
層である。ただし、//は酸素プラズマ中への曝露を表
している。
【0126】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0127】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表10に示す。
【0128】
【表10】
【0129】第4の比較例における表6と本実施例の表
10を比較して分かるように、反強磁性層の規則化アニ
ール後において、非磁性導電層(スピンフィルタ層)の
表面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露して酸化
し、その上に酸素供給を遮断するための、酸化処理して
いない保護金属層を成膜した試料92は、従来技術によ
る試料58に比して、MR比及び抵抗変化ΔRsが共に
大きくなっている。しかも、例えばフォトレジストの熱
硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル後において、試料
58ではMR特性が劣化しているが、本実施例の試料9
2では、ほとんど特性が劣化しておらず、熱的に安定し
ていることが分かる。
【0130】第7の実施例 本発明の第7の実施例として、第4の実施形態に対応す
る層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、磁
化自由層の表面を酸素プラズマ中に曝露した種々の試料
を作成した。即ち、真空チャンバ内で酸素ガスを流しな
がら基板にRF又はDCの電位を印加して酸素プラズマ
を発生させ、その酸素プラズマ中に磁化自由層の表面を
曝露した試料を作成した。
【0131】この試料の層構成は、NiCr(5nm)
/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)/R
u(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2n
m)/CoFe(2nm)//Ta(2nm)である。
ここで、NiCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁
性層、CoFe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu
層は非磁性中間層、CoFe層は磁化自由層、Ta層は
保護金属層である。ただし、//は酸素プラズマ中への
曝露を表している。
【0132】曝露条件は、曝露量が30Pa・sec
(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60sec)、印
加電力が300W/mである。
【0133】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表11に示す。
【0134】
【表11】
【0135】表1及び表11を比較して分かるように、
反強磁性層の規則化アニール後において、磁化自由層の
表面のみを酸素を含むガスプラズマ中に曝露して酸化
し、その上に酸素供給を遮断するための、酸化処理して
いない保護金属層を成膜した試料93は、スピンフィル
タ層が存在しないにもかかわらず、従来技術による試料
1に比して、MR比及び抵抗変化ΔRsが共に大きくな
っている。しかも、例えばフォトレジストの熱硬化等の
熱処理等のその後のアニ−ル後において、試料1ではM
R特性が劣化しているが、本実施例の試料93では、ほ
とんど特性が劣化しておらず、熱的に安定していること
が分かる。
【0136】第8の実施例 本発明の第8の実施例として、第3の実施形態において
非磁性導電層(スピンフィルタ層)の表面を酸素プラズ
マ中で曝露する際の曝露条件を変えた種々の試料を作成
した。即ち、真空チャンバ内で酸素プラズマ中に非磁性
導電層の表面を異なる曝露量(酸素ガス圧、曝露時間)
で曝露した試料を作成した。
【0137】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)//
Ta(2nm)である。ここで、NiCr層はバッファ
層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoF
e層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe層
は磁化自由層、Cu層は非磁性導電層(スピンフィルタ
層)、Ta層(2nm)は保護金属層である。ただし、
//は酸素プラズマ中への曝露を表している。
【0138】他の曝露条件として、基板への印加電力は
300W/mである。
【0139】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表12に示す。
【0140】
【表12】
【0141】表12から、酸素プラズマの曝露量が10
〜3000Pa・secの試料97〜106では、従来
技術である表1の試料1よりも大きなMR比及び抵抗変
化ΔRsが得られている。従って、酸素プラズマの曝露
量は10〜3000Pa・secであることが望まし
い。
【0142】第9の実施例 本発明の第9の実施例として、第3の実施形態において
非磁性導電層(スピンフィルタ層)の表面を酸素プラズ
マ中で曝露する際の曝露条件を変えた種々の試料を作成
した。即ち、真空チャンバ内で異なる印加電圧で発生し
た酸素プラズマ中に非磁性導電層の表面を曝露した試料
を作成した。
【0143】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)//
Ta(2nm)である。ここで、NiCr層はバッファ
層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoF
e層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe層
は磁化自由層、Cu層は非磁性導電層(スピンフィルタ
層)、Ta層(2nm)は保護金属層である。ただし、
//は酸素プラズマ中への曝露を表している。
【0144】他の曝露条件として、曝露量は30Pa・
sec(酸素ガス圧力0.5Pa、曝露時間60se
c)である。
【0145】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表13に示す。
【0146】
【表13】
【0147】表13から、基板への印加電力が1000
W/m以下の試料109〜114では、従来技術であ
る表1の試料1よりも大きなMR比及び抵抗変化ΔRs
が得られている。従って、酸素プラズマを発生する際の
基板への印加電力は1000W/m以下であることが
望ましい。
【0148】第10の実施例 本発明の第10の実施例として、第1の実施形態に対応
する層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、
互いに異なる材料によって形成された第1の保護金属層
の表面を酸素ラジカル中に曝露した種々の試料を作成し
た。即ち、ラジカルガンの内部放電によって酸素ラジカ
ルを発生させこれを基板表面に照射することによって、
種々の材料の第1の保護金属層の表面を曝露した試料を
作成した。
【0149】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/第
1の保護金属層//Ta(2nm)である。ここで、N
iCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁性層、Co
Fe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu層は非磁性
中間層、CoFe層は磁化自由層、Cu層は非磁性導電
層(スピンフィルタ層)、Ta層は第2の保護金属層で
ある。ただし、//は酸素ラジカル中への曝露を表して
いる。
【0150】酸素ラジカルの発生条件は、酸素ガス圧力
1mPa、ラジカルガンへの投入電力300Wであり、
曝露時間は60secである。
【0151】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表14に示す。
【0152】
【表14】
【0153】表1及び表14を比較して分かるように、
反強磁性層の規則化アニール後において、第1の保護金
属層の表面のみを酸素ラジカル中に曝露して酸化し、そ
の上に酸素供給を遮断するための、酸化処理していない
第2の保護金属層を成膜した試料117〜132は、従
来技術による試料1に比して、MR比及び抵抗変化ΔR
sが共に大きくなっている。しかも、例えばフォトレジ
ストの熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル後におい
て、試料1ではMR特性が劣化しているが、本実施例の
試料117〜132では、ほとんど特性が劣化しておら
ず、熱的に安定していることが分かる。
【0154】第11の実施例 本発明の第11の実施例として、第3の実施形態に対応
する層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、
非磁性導電層(スピンフィルタ層)の表面を酸素ラジカ
ル中で曝露する際の曝露条件を変えた種々の試料を作成
した。即ち、異なる酸素ラジカル発生条件で形成した酸
素ラジカル中に非磁性導電層の表面を曝露した試料を作
成した。
【0155】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)//
Ta(2nm)である。ここで、NiCr層はバッファ
層、PtMn層は反強磁性層、CoFe/Ru/CoF
e層は磁化固定層、Cu層は非磁性中間層、CoFe層
は磁化自由層、Cu層は非磁性導電層(スピンフィルタ
層)、Ta層は保護金属層である。ただし、//は酸素
ラジカル中への曝露を表している。
【0156】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、この試料のシート抵抗Rs及び
抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A/
m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×Δ
Rs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その結
果を表15に示す。
【0157】
【表15】
【0158】表15から、酸素ガス圧力が1〜20mP
a、ラジカルガンへの投入RF電力が100〜1000
Wの全ての試料133〜145において、従来技術であ
る表1の試料1よりも大きなMR比及び抵抗変化ΔRs
が得られている。従って、酸素ラジカルの発生条件は、
酸素ガス圧力が1〜20mPaでありラジカルガンへの
投入電力が100〜1000Wであることが望ましい。
【0159】第12の実施例 本発明の第12の実施例として、第1の実施形態に対応
する層構成を有するボトム型SVMR多層膜について、
互いに異なる材料によって形成された第1の保護金属層
の表面を酸素イオン中に曝露した種々の試料を作成し
た。即ち、イオン源として熱フィラメント又はECR放
電等を用いたイオンガンで発生した酸素イオンを、印加
電圧で加速して基板表面に照射することによって、種々
の材料の第1の保護金属層の表面を曝露した試料を作成
した。
【0160】これらの試料の層構成は、NiCr(5n
m)/PtMn(15nm)/CoFe(1.5nm)
/Ru(0.8nm)/CoFe(2nm)/Cu(2
nm)/CoFe(2nm)/Cu(0.5nm)/第
1の保護金属層//Ta(2nm)である。ここで、N
iCr層はバッファ層、PtMn層は反強磁性層、Co
Fe/Ru/CoFe層は磁化固定層、Cu層は非磁性
中間層、CoFe層は磁化自由層、Cu層は非磁性導電
層(スピンフィルタ層)、Ta層は第2の保護金属層で
ある。ただし、//は酸素イオン中への曝露を表してい
る。
【0161】酸素イオンの発生条件は、酸素ガス圧力
0.02Paに、700Wで発生させたイオンプラズマ
を70Vの加速電圧で引出して照射するものであり、曝
露時間は60secである。
【0162】反強磁性層の規則化アニール(260℃、
5時間、1.2Tの真空磁場中)後と、例えばフォトレ
ジストの熱硬化等の以降に行われるアニ−ルを想定した
その後のアニ−ル(250℃、5時間、1.2Tの真空
磁場中)後とにおいて、これら試料のシート抵抗Rs及
び抵抗変化ΔRsを測定し(測定磁場は±72000A
/m)、MR比(MR変化率)をMR(%)=100×
ΔRs(Ω/□)/Rs(Ω/□)から計算した。その
結果を表16に示す。
【0163】
【表16】
【0164】表1及び表16を比較して分かるように、
反強磁性層の規則化アニール後において、第1の保護金
属層の表面のみを酸素イオン中に曝露して酸化し、その
上に酸素供給を遮断するための、酸化処理していない第
2の保護金属層を成膜した試料146〜161は、従来
技術による試料1に比して、MR比及び抵抗変化ΔRs
が共に大きくなっている。しかも、例えばフォトレジス
トの熱硬化等の熱処理等のその後のアニ−ル後におい
て、試料1ではMR特性が劣化しているが、本実施例の
試料146〜161では、ほとんど特性が劣化しておら
ず、熱的に安定していることが分かる。
【0165】なお、上述した実施形態は、SVMRセン
サに関するものであるが、本発明がその他のGMRセン
サやTMRセンサにも適用できることは明らかである。
【0166】以上述べた実施形態及び実施例は全て本発
明を例示的に示すものであって限定的に示すものではな
く、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施す
ることができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲
及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0167】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、第1の保護金属層又は磁化自由層の上側の界面を酸
化しておくことによって大きなMR比及び抵抗変化ΔR
sを得ることができ、しかも、この界面が酸化された第
1の保護金属層又は磁化自由層の上に、酸素供給を遮断
するための、酸化処理していない保護金属層を形成して
いるので、熱処理を行っても過剰に酸素が供給されるこ
とがないから特性劣化が発生せず、熱的に安定してい
る。その結果、安定した高記録密度対応の薄膜磁気ヘッ
ドを提供することが可能となる。また、最表面が酸化膜
ではなく酸化処理していない保護金属層であるため、リ
ードオーバレイド構造とすることも可能である。
【0168】また、本発明によれば、第1の保護金属
層、磁化自由層又は非磁性導電層の表面を酸素を含むガ
スプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イオン中に曝露し酸
化しておくことによって大きなMR比及び抵抗変化ΔR
sを得ることができ、しかも、その曝露した層の上に酸
素供給を遮断するための、酸化処理していない第2の保
護金属層又は保護金属層を形成しているので、その後に
熱処理を行っても過剰に酸素が供給されることがないか
ら特性劣化が発生せず、熱的に安定したMRセンサ及び
薄膜磁気ヘッドを得ることができる。その結果、安定し
た高記録密度対応の薄膜磁気ヘッドを提供することが可
能となる。また、最表面が酸化膜ではなく酸化処理して
いない保護金属層であるため、リードオーバレイド構造
とすることも可能である。さらに、本発明では、酸素を
含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イオン中に曝
露しているため、単に酸素ガスに曝露した場合より、M
R比及び抵抗変化ΔRsが共にさらに大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるSVMR多層
膜の層構成を概略的示す、ABS方向から見た断面図で
ある。
【図2】図1の第1の実施形態におけるSVMR多層膜
の製造工程を説明する、ABS方向から見た断面図であ
る。
【図3】本発明の第2の実施形態におけるSVMR多層
膜の製造工程を説明する、ABS方向から見た断面図で
ある。
【図4】図3の第2の実施形態におけるSVMR多層膜
の製造工程を説明する、ABS方向から見た断面図であ
る。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるSVMR多層
膜の層構成を概略的示す、ABS方向から見た断面図で
ある。
【図6】図5の第3の実施形態におけるSVMR多層膜
の製造工程を説明する、ABS方向から見た断面図であ
る。
【図7】本発明の第4の実施形態におけるSVMR多層
膜の層構成を概略的示す、ABS方向から見た断面図で
ある。
【図8】図7の第4の実施形態におけるSVMR多層膜
の製造工程を説明する、ABS方向から見た断面図であ
る。
【符号の説明】
10、30、50、70 基板 11、31、51、71 バッファ層 12、32、52、72 反強磁性層 13、33、53、73 磁化固定層 14、34、54、74 非磁性中間層 15、35、55、75、75´ 磁化自由層 16、56、56´ 非磁性導電層 17、17´、37、37´ 第1の保護金属層 18、38 第2の保護金属層 58、78 保護金属層

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、該磁化固定層上に積層された非磁性中間層と、該非
    磁性中間層上に積層されており印加される磁界に応じて
    磁化方向が可変の磁化自由層と、該磁化自由層上に積層
    された非磁性導電層と、該非磁性導電層上に積層されて
    おり該非磁性導電層とは反対側の界面が酸化されている
    第1の保護金属層と、該第1の保護金属層上に積層され
    ており酸素供給を遮断するための第2の保護金属層とを
    備えたことを特徴とする磁気抵抗効果センサ。
  2. 【請求項2】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、該磁化固定層上に積層された非磁性中間層と、該非
    磁性中間層上に積層されており印加される磁界に応じて
    磁化方向が可変の磁化自由層と、該磁化自由層上に積層
    されており該磁化自由層とは反対側の界面が酸化されて
    いる第1の保護金属層と、該第1の保護金属層上に積層
    されており酸素供給を遮断するための第2の保護金属層
    とを備えたことを特徴とする磁気抵抗効果センサ。
  3. 【請求項3】 前記第1の保護金属層の厚みが、0.5
    nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の磁気抵抗効果センサ。
  4. 【請求項4】 前記第1の保護金属層が、Ta、Nb、
    Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、W、
    Ni、Fe及びCoから選択された1つの金属又は少な
    くとも1つの該金属を含む合金からなることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果
    センサ。
  5. 【請求項5】 前記第2の保護金属層が、Ta、Nb、
    Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、W、
    Ni、Fe及びCoから選択された1つの金属又は少な
    くとも1つの該金属を含む合金からなることを特徴とす
    る請求項1から4のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果
    センサ。
  6. 【請求項6】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、該磁化固定層上に積層された非磁性中間層と、該非
    磁性中間層上に積層されていると共に該非磁性中間層と
    は反対側の界面が酸化されており、印加される磁界に応
    じて磁化方向が可変の磁化自由層と、該磁化自由層上に
    積層されており酸素供給を遮断するための保護金属層と
    を備えたことを特徴とする磁気抵抗効果センサ。
  7. 【請求項7】 前記保護金属層が、Ta、Nb、Ti、
    Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、W、Ni、
    Fe及びCoから選択された1つの金属又は少なくとも
    1つの該金属を含む合金からなることを特徴とする請求
    項6に記載の磁気抵抗効果センサ。
  8. 【請求項8】 前記磁化固定層が、強磁性層の単層構造
    であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項
    に記載の磁気抵抗効果センサ。
  9. 【請求項9】 前記磁化固定層が、第1の強磁性層、非
    磁性層及び第2の強磁性層を積層した多層構造であるこ
    とを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の
    磁気抵抗効果センサ。
  10. 【請求項10】 前記磁化固定層の下に積層されてお
    り、交換結合により該磁化固定層の磁化方向を固定する
    反強磁性層をさらに備えたことを特徴とする請求項1か
    ら9のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果センサ。
  11. 【請求項11】 請求項1から10のいずれか1項に記
    載の磁気抵抗効果センサを磁気情報再生用ヘッドとして
    備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、非磁性中間層と、印加される磁界に応じて磁化方向
    が可変の磁化自由層とを少なくとも積層する磁気抵抗効
    果センサの製造方法であって、前記磁化自由層上に非磁
    性導電層を成膜し、該成膜した非磁性導電層上に第1の
    保護金属層を成膜し、該成膜した第1の保護金属層の表
    面を酸素を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イ
    オン中に曝露し、該曝露した第1の保護金属層上に酸素
    供給を遮断するための第2の保護金属層を成膜すること
    を特徴とする磁気抵抗効果センサの製造方法。
  13. 【請求項13】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、非磁性中間層と、印加される磁界に応じて磁化方向
    が可変の磁化自由層とを少なくとも積層する磁気抵抗効
    果センサの製造方法であって、前記磁化自由層上に第1
    の保護金属層を成膜し、該成膜した第1の保護金属層の
    表面を酸素を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素
    イオン中に曝露し、該曝露した第1の保護金属層上に酸
    素供給を遮断するための第2の保護金属層を成膜するこ
    とを特徴とする磁気抵抗効果センサの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記第1の保護金属層をその厚みが、
    0.5nm以下となるように成膜することを特徴とする
    請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1の保護金属層を、Ta、N
    b、Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、
    W、Ni、Fe及びCoから選択された1つの金属又は
    少なくとも1つの該金属を含む合金で形成することを特
    徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 前記第2の保護金属層を、Ta、N
    b、Ti、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、
    W、Ni、Fe及びCoから選択された1つの金属又は
    少なくとも1つの該金属を含む合金で形成することを特
    徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、非磁性中間層と、印加される磁界に応じて磁化方向
    が可変の磁化自由層とを少なくとも積層する磁気抵抗効
    果センサの製造方法であって、前記磁化自由層上に非磁
    性導電層を成膜し、該成膜した非磁性導電層の表面を酸
    素を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イオン中
    に曝露し、該曝露した非磁性導電層上に酸素供給を遮断
    するための保護金属層を成膜することを特徴とする磁気
    抵抗効果センサの製造方法。
  18. 【請求項18】 磁化方向が固定されている磁化固定層
    と、非磁性中間層と、印加される磁界に応じて磁化方向
    が可変の磁化自由層とを少なくとも積層する磁気抵抗効
    果センサの製造方法であって、前記磁化自由層の表面を
    酸素を含むガスプラズマ、酸素ラジカル又は酸素イオン
    中に曝露し、該曝露した磁化自由層上に酸素供給を遮断
    するための保護金属層を成膜することを特徴とする磁気
    抵抗効果センサの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記保護金属層を、Ta、Nb、T
    i、Zr、Al、V、Cr、Ru、Rh、Hf、W、N
    i、Fe及びCoから選択された1つの金属又は少なく
    とも1つの該金属を含む合金で形成することを特徴とす
    る請求項17又は18に記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記酸素を含むガスプラズマが、酸素
    プラズマ、又は酸素と希ガス若しくは窒素との混合ガス
    プラズマであることを特徴とする請求項12から19の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記酸素を含むガスプラズマにおける
    酸素曝露量が10〜3000Pa・secであることを
    特徴とする請求項12から20のいずれか1項に記載の
    製造方法。
  22. 【請求項22】 前記酸素ラジカルを発生する際のラジ
    カルガンへの投入電力が100〜1000Wであり、該
    酸素ラジカルの酸素ガス圧力が1〜20mPaであるこ
    とを特徴とする請求項12から19のいずれか1項に記
    載の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記磁化固定層を、強磁性層の単層で
    形成することを特徴とする請求項12から22のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記磁化固定層を、第1の強磁性層、
    非磁性層及び第2の強磁性層を積層して形成することを
    特徴とする請求項12から22のいずれか1項に記載の
    製造方法。
  25. 【請求項25】 前記磁化固定層の下に、交換結合によ
    り該磁化固定層の磁化方向を固定する反強磁性層を積層
    しておくことを特徴とする請求項12から24のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 磁気情報の再生に用いる磁気抵抗効果
    センサを、請求項12から25のいずれか1項に記載の
    製造方法によって形成することを特徴とする薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
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