JP2003201578A - クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板 - Google Patents
クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板Info
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract
(57)【要約】
【課題】耐アルカリ性、成形加工性、耐食性及び耐黒変
性を有し、且つクロムを含有しない表面処理アルミニウ
ム・亜鉛系合金めっき鋼板を提供する。 【解決手段】カルボキシル基及び酸アミド結合を有する
水溶性ウレタン樹脂と、Ｎ−メチルピロリドンと、ジル
コニウム金属化合物と、シランカップリング剤とを含有
する被覆層を少なくとも片面に皮膜付着量として０．５
〜５．０ｇ／ｍ 2形成する、クロムを含有しない表面処
理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板である。上記に
おいて、ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリドンの質量比
が１〜１０、ウレタン樹脂／Ｚｒの質量比が１〜３０
０、ウレタン樹脂／Ｓｉの質量比が５０〜８００のもの
が好ましい。
性を有し、且つクロムを含有しない表面処理アルミニウ
ム・亜鉛系合金めっき鋼板を提供する。 【解決手段】カルボキシル基及び酸アミド結合を有する
水溶性ウレタン樹脂と、Ｎ−メチルピロリドンと、ジル
コニウム金属化合物と、シランカップリング剤とを含有
する被覆層を少なくとも片面に皮膜付着量として０．５
〜５．０ｇ／ｍ 2形成する、クロムを含有しない表面処
理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板である。上記に
おいて、ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリドンの質量比
が１〜１０、ウレタン樹脂／Ｚｒの質量比が１〜３０
０、ウレタン樹脂／Ｓｉの質量比が５０〜８００のもの
が好ましい。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材や家電などの
用途に主として無塗装で用いられる、耐アルカリ性、成
形加工性、耐食性及び耐黒変性に優れたクロムを含有し
ない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板に関
する。
用途に主として無塗装で用いられる、耐アルカリ性、成
形加工性、耐食性及び耐黒変性に優れたクロムを含有し
ない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板に関
する。
【０００２】
【従来の技術】アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板
は、一般に４〜７５質量％のアルミニウム、及びケイ
素、マグネシウム等の微量元素、並びに残部が実質的に
亜鉛からなる合金をめっきした鋼板である。このアルミ
ニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は耐食性に優れるため建
家の屋根材や外壁材、農業用ビニールハウスの支柱など
の建材製品、ガードレール、防音壁、排水溝などの土木
製品、家電製品、産業機器などに無塗装で用いられる。
そのため、めっき鋼板の表面が変色することなく綺麗な
表面外観を長期間維持されることが要求される。また、
めっき鋼板が口一ルやプレスにより成形加工されるた
め、めっきがロールや金型に堆積しない性能、いわゆ
る、成形加工性が要求される。また、成形加工後の外観
も重要であり、皮膜損傷が無く、耐食性に優れているこ
とが好ましい。さらに、建材用途の場合には、コンクリ
ートとの接触等による強アルカリ腐食環境下に置かれる
場合があり、その際にもめっき鋼板の表面が変色するこ
となく綺麗な外観が長期間維持されることが必要であ
る。また、アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は高温
多湿雰囲気でめっき鋼板の表面が黒変する性質があり、
この耐黒変性も外観上重要である。
は、一般に４〜７５質量％のアルミニウム、及びケイ
素、マグネシウム等の微量元素、並びに残部が実質的に
亜鉛からなる合金をめっきした鋼板である。このアルミ
ニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は耐食性に優れるため建
家の屋根材や外壁材、農業用ビニールハウスの支柱など
の建材製品、ガードレール、防音壁、排水溝などの土木
製品、家電製品、産業機器などに無塗装で用いられる。
そのため、めっき鋼板の表面が変色することなく綺麗な
表面外観を長期間維持されることが要求される。また、
めっき鋼板が口一ルやプレスにより成形加工されるた
め、めっきがロールや金型に堆積しない性能、いわゆ
る、成形加工性が要求される。また、成形加工後の外観
も重要であり、皮膜損傷が無く、耐食性に優れているこ
とが好ましい。さらに、建材用途の場合には、コンクリ
ートとの接触等による強アルカリ腐食環境下に置かれる
場合があり、その際にもめっき鋼板の表面が変色するこ
となく綺麗な外観が長期間維持されることが必要であ
る。また、アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は高温
多湿雰囲気でめっき鋼板の表面が黒変する性質があり、
この耐黒変性も外観上重要である。
【０００３】前記の問題を改善する従来技術としては、
クロムを含有する樹脂被覆を施した技術が多数提案され
ている。その具体的な例としては特許２０９７２７８号
（特公平４−２６７２号）に記載されている方法があ
る。この特許２０９７２７８号は、成形加工性及び耐食
性向上を目的として、特定の水溶性又は水分散性樹脂に
６価クロムを特定の割合で配合し、かつ、ｐＨを３〜１
０に調整した処理液をアルミニウム・亜鉛系合金めっき
鋼板に塗布する処理方法に関する技術である。これら、
クロムを含有する表面処理を施されたアルミニウム・亜
鉛系合金めっき鋼板は耐食性、特に加工部耐食性に対し
ては優れたものであるが、皮膜からのクロムの溶出、特
に加工時の皮膜傷つき部などからのクロムの溶出が大き
く、環境衛生の観点から好ましくないという問題を有し
ていた。
クロムを含有する樹脂被覆を施した技術が多数提案され
ている。その具体的な例としては特許２０９７２７８号
（特公平４−２６７２号）に記載されている方法があ
る。この特許２０９７２７８号は、成形加工性及び耐食
性向上を目的として、特定の水溶性又は水分散性樹脂に
６価クロムを特定の割合で配合し、かつ、ｐＨを３〜１
０に調整した処理液をアルミニウム・亜鉛系合金めっき
鋼板に塗布する処理方法に関する技術である。これら、
クロムを含有する表面処理を施されたアルミニウム・亜
鉛系合金めっき鋼板は耐食性、特に加工部耐食性に対し
ては優れたものであるが、皮膜からのクロムの溶出、特
に加工時の皮膜傷つき部などからのクロムの溶出が大き
く、環境衛生の観点から好ましくないという問題を有し
ていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
抱える問題点を解決するためのものであり、耐アルカリ
性、成形加工性、耐食性及び耐黒変性を有し、且つクロ
ムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっ
き鋼板を提供することを目的とする。
抱える問題点を解決するためのものであり、耐アルカリ
性、成形加工性、耐食性及び耐黒変性を有し、且つクロ
ムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっ
き鋼板を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術が抱える課題を解決するための手段について鋭意検
討を重ねた結果、アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板
の表面に対して、特定の樹脂を主成分とした被覆を形成
させることにより、前記課題が解決できることを見出し
本発明を完成した。即ち、本発明は、以下の構成からな
るクロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合
金めっき鋼板である。
技術が抱える課題を解決するための手段について鋭意検
討を重ねた結果、アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板
の表面に対して、特定の樹脂を主成分とした被覆を形成
させることにより、前記課題が解決できることを見出し
本発明を完成した。即ち、本発明は、以下の構成からな
るクロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合
金めっき鋼板である。
【０００６】（１）カルボキシル基及び酸アミド結合を
有する水溶性ウレタン樹脂と、Ｎ−メチルピロリドン
と、ジルコニウム金属化合物と、シランカップリング剤
とを含有する被覆層を少なくとも片面に皮膜付着量とし
て０．５〜５．０ｇ／ｍ2形成することを特徴とするク
ロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金め
っき鋼板。 （２）前記カルボキシル基及び酸アミド結合を有する水
溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＮ−メチルピロリドン
との質量比（ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリドン）が
１〜１０の範囲であり、前記カルボキシル基及び酸アミ
ド結合を有する水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＺｒ
化合物中のＺｒとの質量比（ウレタン樹脂／Ｚｒ）が１
〜３００の範囲であり、前記カルボキシル基及び酸アミ
ド結合を有する水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とシラ
ンカップリング剤中の珪素との質量比（ウレタン樹脂／
Ｓｉ）が５０〜８００の範囲である上記（１）に記載の
クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金
めっき鋼板。
有する水溶性ウレタン樹脂と、Ｎ−メチルピロリドン
と、ジルコニウム金属化合物と、シランカップリング剤
とを含有する被覆層を少なくとも片面に皮膜付着量とし
て０．５〜５．０ｇ／ｍ2形成することを特徴とするク
ロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金め
っき鋼板。 （２）前記カルボキシル基及び酸アミド結合を有する水
溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＮ−メチルピロリドン
との質量比（ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリドン）が
１〜１０の範囲であり、前記カルボキシル基及び酸アミ
ド結合を有する水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＺｒ
化合物中のＺｒとの質量比（ウレタン樹脂／Ｚｒ）が１
〜３００の範囲であり、前記カルボキシル基及び酸アミ
ド結合を有する水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とシラ
ンカップリング剤中の珪素との質量比（ウレタン樹脂／
Ｓｉ）が５０〜８００の範囲である上記（１）に記載の
クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金
めっき鋼板。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下に本発明の構成を詳細に説明
する。本発明で使用するアルミニウム・亜鉛系合金めっ
き鋼板は、一般に４〜７５質量％のアルミニウム、及び
ケイ素、マグネシウム等の微量元素、並びに実質的に亜
鉛からなる合金めっき鋼板である。このアルミニウム・
亜鉛系合金めっき鋼板は従来の溶融亜鉛めっき鋼板より
耐食性に優れており、このうちＺｎ−５５％Ａｌは実用
化されているめっきの中で最も耐食性に優れたものとさ
れ、耐熱性、耐反射性においても優れている。今後、溶
融亜鉛めっき鋼板より需要が急激に増加することが予想
されるものである。
する。本発明で使用するアルミニウム・亜鉛系合金めっ
き鋼板は、一般に４〜７５質量％のアルミニウム、及び
ケイ素、マグネシウム等の微量元素、並びに実質的に亜
鉛からなる合金めっき鋼板である。このアルミニウム・
亜鉛系合金めっき鋼板は従来の溶融亜鉛めっき鋼板より
耐食性に優れており、このうちＺｎ−５５％Ａｌは実用
化されているめっきの中で最も耐食性に優れたものとさ
れ、耐熱性、耐反射性においても優れている。今後、溶
融亜鉛めっき鋼板より需要が急激に増加することが予想
されるものである。
【０００８】本発明のアルミニウム・亜鉛系合金めっき
鋼板上に皮膜を形成させる水溶性ウレタン樹脂は、カル
ボキシル基と酸アミド結合を有している。カルボキシル
基は樹脂の親水性成分としてエマルジョンの安定性に寄
与するほか、カルボキシル基があることにより金属素材
との密着性が向上し、さらに配合するジルコニウム金属
化合物、シランカップリング剤と架橋反応をして、耐食
性、耐アルカリ性に優れた被膜を得ることができる。本
発明で用いる樹脂のカルボン酸当量としては０．１５〜
３．５ｍｇ当量／ｇが好ましい。
鋼板上に皮膜を形成させる水溶性ウレタン樹脂は、カル
ボキシル基と酸アミド結合を有している。カルボキシル
基は樹脂の親水性成分としてエマルジョンの安定性に寄
与するほか、カルボキシル基があることにより金属素材
との密着性が向上し、さらに配合するジルコニウム金属
化合物、シランカップリング剤と架橋反応をして、耐食
性、耐アルカリ性に優れた被膜を得ることができる。本
発明で用いる樹脂のカルボン酸当量としては０．１５〜
３．５ｍｇ当量／ｇが好ましい。
【０００９】また樹脂中の酸アミド結合−ＣＯＮＨ−
は、アルカリに対しては互変異性構造である−Ｃ（Ｏ
Ｈ）Ｎ−をとって酸の作用を示す。酸アミド結合は、酸
と反応して不安定な塩を作り、アルカリに対してはアル
カリを中和する作用を示すので、酸アミド結合を含有す
るウレタン樹脂は酸及びアルカリに対し耐性を有してお
り優れた耐アルカリ性と耐食性を持っている。本発明で
用いる樹脂の酸アミド当量としては０．０５〜３．５ｍ
ｇ当量／ｇが好ましい。なお、合成方法に関しては特に
限定するものではないが、工業的に使用されている方法
で合成されたものが使用できる。
は、アルカリに対しては互変異性構造である−Ｃ（Ｏ
Ｈ）Ｎ−をとって酸の作用を示す。酸アミド結合は、酸
と反応して不安定な塩を作り、アルカリに対してはアル
カリを中和する作用を示すので、酸アミド結合を含有す
るウレタン樹脂は酸及びアルカリに対し耐性を有してお
り優れた耐アルカリ性と耐食性を持っている。本発明で
用いる樹脂の酸アミド当量としては０．０５〜３．５ｍ
ｇ当量／ｇが好ましい。なお、合成方法に関しては特に
限定するものではないが、工業的に使用されている方法
で合成されたものが使用できる。
【００１０】Ｎ−メチルピロリドンは、水性ウレタン樹
脂に対して造膜助剤としての効果があり、焼き付け乾燥
時の連続皮膜形成を促進させて、均質で緻密な皮膜を形
成させる。その結果、耐アルカリ性、耐食性を向上させ
るほかに、特に耐黒変性能が向上する。配合方法は、樹
脂合成時に予め添加したり、あるいは薬剤製造時に添加
することができる。
脂に対して造膜助剤としての効果があり、焼き付け乾燥
時の連続皮膜形成を促進させて、均質で緻密な皮膜を形
成させる。その結果、耐アルカリ性、耐食性を向上させ
るほかに、特に耐黒変性能が向上する。配合方法は、樹
脂合成時に予め添加したり、あるいは薬剤製造時に添加
することができる。
【００１１】前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＮ
−メチルピロリドンとの質量比(ウレタン樹脂／Ｎ−メ
チルピロリドン)が１〜１０の範囲であることが好まし
い。水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＮ−メチルピロ
リドンとの質量比(ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリド
ン)が１未満であるとＮ−メチルピロリドンの配合効果
が飽和し経済的でなく、水溶性ウレタン樹脂の固形分質
量とＮ−メチルピロリドンとの質量比(ウレタン樹脂／
Ｎ−メチルピロリドン)が１０以上であると造膜性が低
下し上記のＮ−メチルピロリドン配合効果が十分には得
られない。
−メチルピロリドンとの質量比(ウレタン樹脂／Ｎ−メ
チルピロリドン)が１〜１０の範囲であることが好まし
い。水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とＮ−メチルピロ
リドンとの質量比(ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリド
ン)が１未満であるとＮ−メチルピロリドンの配合効果
が飽和し経済的でなく、水溶性ウレタン樹脂の固形分質
量とＮ−メチルピロリドンとの質量比(ウレタン樹脂／
Ｎ−メチルピロリドン)が１０以上であると造膜性が低
下し上記のＮ−メチルピロリドン配合効果が十分には得
られない。
【００１２】ジルコニウム金属化合物は前記水溶性ウレ
タン樹脂との架橋反応に寄与し被膜性能を向上させる。
ジルコニウム金属化合物は限定されないが、ジルコンフ
ッ化水素酸、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフ
ッ化カリウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコ
ンフッ化ナトリウム、アセチルアセトナートジルコン化
合物等が挙げられる。上記化合物は１種又は２種以上併
用してもよい。
タン樹脂との架橋反応に寄与し被膜性能を向上させる。
ジルコニウム金属化合物は限定されないが、ジルコンフ
ッ化水素酸、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフ
ッ化カリウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ジルコ
ンフッ化ナトリウム、アセチルアセトナートジルコン化
合物等が挙げられる。上記化合物は１種又は２種以上併
用してもよい。
【００１３】前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とジ
ルコニウム金属化合物中のジルコニウムとの質量比(ウ
レタン樹脂／Ｚｒ)が１〜３００の範囲であることが好
ましい。前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とジルコ
ニウム金属化合物中のジルコニウムとの質量比(ウレタ
ン樹脂／Ｚｒ)が１未満の場合は、ジルコニウム金属化
合物による皮膜性能向上効果、防食効果が飽和するので
経済的ではない。一方、前記水溶性ウレタン樹脂の固形
分質量とジルコニウム金属化合物中のジルコニウムとの
質量比(ウレタン樹脂／Ｚｒ)が３００を超える場合は、
ジルコニウム金属化合物による皮膜性能向上効果、防食
効果が乏しいため好ましくない。
ルコニウム金属化合物中のジルコニウムとの質量比(ウ
レタン樹脂／Ｚｒ)が１〜３００の範囲であることが好
ましい。前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とジルコ
ニウム金属化合物中のジルコニウムとの質量比(ウレタ
ン樹脂／Ｚｒ)が１未満の場合は、ジルコニウム金属化
合物による皮膜性能向上効果、防食効果が飽和するので
経済的ではない。一方、前記水溶性ウレタン樹脂の固形
分質量とジルコニウム金属化合物中のジルコニウムとの
質量比(ウレタン樹脂／Ｚｒ)が３００を超える場合は、
ジルコニウム金属化合物による皮膜性能向上効果、防食
効果が乏しいため好ましくない。
【００１４】シランカップリング剤は前記水溶性ウレタ
ン樹脂と架橋反応や金属素材との密着性に寄与してい
る。配合するシランカップリング剤は特に限定するもの
ではないが、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス
（βメトキシエトキシシラン）、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、γ―（メタクリロイ
ルオキシプロピル）トリメトキシシラン、β―（３、４
エポキシシクロヘキシル）エチルトリメトキシシラン、
γ―グリキシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ―
グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、Ｎ−β
（アミノエチル）γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、Ｎ−β（アミノエチル）γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、Ｎ−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロ
ピルトリエトキシシランが挙げられる。上記化合物は１
種又は２種以上併用してもよい。
ン樹脂と架橋反応や金属素材との密着性に寄与してい
る。配合するシランカップリング剤は特に限定するもの
ではないが、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス
（βメトキシエトキシシラン）、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、γ―（メタクリロイ
ルオキシプロピル）トリメトキシシラン、β―（３、４
エポキシシクロヘキシル）エチルトリメトキシシラン、
γ―グリキシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ―
グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、Ｎ−β
（アミノエチル）γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、Ｎ−β（アミノエチル）γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、Ｎ−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロ
ピルトリエトキシシランが挙げられる。上記化合物は１
種又は２種以上併用してもよい。
【００１５】前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量とシ
ランカップリング剤中のＳｉとの質量比(ウレタン樹脂
／Ｓｉ)が５０〜８００の範囲であることが好ましい。
前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量と珪素化合物のＳ
ｉ換算の質量比(ウレタン樹脂／Ｓｉ)が５０未満の場合
は、シランカップリン剤による皮膜密着性効果、防食効
果が飽和するので経済的でない。一方、前記水溶性ウレ
タン樹脂の固形分質量と珪素化合物のＳｉ換算の質量比
(樹脂／Ｓｉ)が８００を超える場合は、珪素化合物によ
る皮膜密着性効果、防食効果が乏しいため好ましくな
い。
ランカップリング剤中のＳｉとの質量比(ウレタン樹脂
／Ｓｉ)が５０〜８００の範囲であることが好ましい。
前記水溶性ウレタン樹脂の固形分質量と珪素化合物のＳ
ｉ換算の質量比(ウレタン樹脂／Ｓｉ)が５０未満の場合
は、シランカップリン剤による皮膜密着性効果、防食効
果が飽和するので経済的でない。一方、前記水溶性ウレ
タン樹脂の固形分質量と珪素化合物のＳｉ換算の質量比
(樹脂／Ｓｉ)が８００を超える場合は、珪素化合物によ
る皮膜密着性効果、防食効果が乏しいため好ましくな
い。
【００１６】なお、本発明のクロムを含有しないアルミ
ニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は、該処理剤に潤滑剤と
して、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹
脂、ポリオレフィン系ワックス等を添加し潤滑性能を向
上させたり、また、着色顔料の添加により着色させた鋼
板も可能である。
ニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は、該処理剤に潤滑剤と
して、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹
脂、ポリオレフィン系ワックス等を添加し潤滑性能を向
上させたり、また、着色顔料の添加により着色させた鋼
板も可能である。
【００１７】本発明のアルミニウム・亜鉛系合金めっき
鋼板上に形成させる表面処理剤皮膜量は乾燥させたとき
の樹脂皮膜量として、０．５〜５．０ｇ／ｍ2の範囲が
好ましい。アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は、め
っき自体が硬くて脆いという欠点を有し、成形加工時に
めっきが剥離し易いが、樹脂の皮膜量が０．５ｇ／ｍ 2
未満の場合は、めっき剥離防止効果が少ないため好まし
くなく、一方、５．０ｇ／ｍ2を越える場合はめっき剥
離防止効果が飽和するので経済的でない。
鋼板上に形成させる表面処理剤皮膜量は乾燥させたとき
の樹脂皮膜量として、０．５〜５．０ｇ／ｍ2の範囲が
好ましい。アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は、め
っき自体が硬くて脆いという欠点を有し、成形加工時に
めっきが剥離し易いが、樹脂の皮膜量が０．５ｇ／ｍ 2
未満の場合は、めっき剥離防止効果が少ないため好まし
くなく、一方、５．０ｇ／ｍ2を越える場合はめっき剥
離防止効果が飽和するので経済的でない。
【００１８】本発明のアルミニウム・亜鉛系合金めっき
鋼板上に該表面処理剤の乾燥皮膜を形成させる製造方法
は、特に限定はしないが、例えばロールコート等をはじ
めとする任意の方法を用いて塗布することが可能であ
り、電気炉、熱風炉、誘導加熱炉などを用いて、到達板
温度で６０〜２００℃、乾燥時間６０秒以内で乾燥させ
るのが好ましい。
鋼板上に該表面処理剤の乾燥皮膜を形成させる製造方法
は、特に限定はしないが、例えばロールコート等をはじ
めとする任意の方法を用いて塗布することが可能であ
り、電気炉、熱風炉、誘導加熱炉などを用いて、到達板
温度で６０〜２００℃、乾燥時間６０秒以内で乾燥させ
るのが好ましい。
【００１９】
【実施例】以下に本発明を実施例及び比較例を用いて具
体的に説明する。
体的に説明する。
【００２０】〔試験板の作製〕
（１）供試材
溶融５５％アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板
（２）脱脂処理
シリケート系アルカリ脱脂剤のファインクリーナー４３
３６（日本パーカライジング（株）製）で脱脂処理（濃
度２０ｇ／Ｌ、温度６０℃、２０秒間スプレー）した
後、水道水で洗浄した。
３６（日本パーカライジング（株）製）で脱脂処理（濃
度２０ｇ／Ｌ、温度６０℃、２０秒間スプレー）した
後、水道水で洗浄した。
【００２１】〔試作ウレタン樹脂の合成〕両末端にカル
ボキシル基を持つ数平均分子量１０００のポリエステル
樹脂１２０部、両末端に水酸基を持つ数平均分子量１０
００のポリエチレングリコール９０部、２，２一ジメチ
ロールプロピオン酸１２部、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート８０部、Ｎ−メチル−２−ピロリドン１
２０部とを反応させることにより得られるプレポリマー
を脱イオン水に分散させることにより、カルボン酸当量
として０．３０ｍｇ当量／ｇ、酸アミド当量として０．
７９ｍｇ当量／ｇ、樹脂／Ｎ−メチルピロリドンが２．
５の試作ウレタン樹脂を得た。
ボキシル基を持つ数平均分子量１０００のポリエステル
樹脂１２０部、両末端に水酸基を持つ数平均分子量１０
００のポリエチレングリコール９０部、２，２一ジメチ
ロールプロピオン酸１２部、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート８０部、Ｎ−メチル−２−ピロリドン１
２０部とを反応させることにより得られるプレポリマー
を脱イオン水に分散させることにより、カルボン酸当量
として０．３０ｍｇ当量／ｇ、酸アミド当量として０．
７９ｍｇ当量／ｇ、樹脂／Ｎ−メチルピロリドンが２．
５の試作ウレタン樹脂を得た。
【００２２】〔表面処理薬剤の調製方法〕室温にて、蒸
留水の中に表１の樹脂、表２のジルコニウム金属化合
物、表３のシランカップリング剤の順に投入し、プロペ
ラ撹拌機を用いて撹拌しながら混合し、表４の表面処理
薬剤を調製した。
留水の中に表１の樹脂、表２のジルコニウム金属化合
物、表３のシランカップリング剤の順に投入し、プロペ
ラ撹拌機を用いて撹拌しながら混合し、表４の表面処理
薬剤を調製した。
【００２３】
【表１】
【００２４】
【表２】
【００２５】
【表３】
【００２６】
【表４】
【００２７】〔表面処理鋼板の作製方法〕上記にて調製
した表面処理薬剤をバーコーターにて供試材の表面に塗
布し、２４０℃の雰囲気温度で１０秒乾燥した（到達板
温度１２０℃）。なお、皮膜量（ｇ／ｍ2）の調整は表
面処理薬剤の固形分濃度を適宜調整することにより行っ
た。
した表面処理薬剤をバーコーターにて供試材の表面に塗
布し、２４０℃の雰囲気温度で１０秒乾燥した（到達板
温度１２０℃）。なお、皮膜量（ｇ／ｍ2）の調整は表
面処理薬剤の固形分濃度を適宜調整することにより行っ
た。
【００２８】〔皮膜性能評価〕
（１）平面部耐食性
ＪＩＳ−Ｚ−２３７１による塩水噴霧試験を２４０時間
実施し、白錆発生状況を観察し、下記基準により評価を
行った。 ＜評価基準＞ ◎：白錆発生なし ○：白錆発生面積率が全面積の１０％未満 △：白錆発生面積率が全面積の１０％以上３０％未満 ×：白錆発生面積率が全面積の３０％以上
実施し、白錆発生状況を観察し、下記基準により評価を
行った。 ＜評価基準＞ ◎：白錆発生なし ○：白錆発生面積率が全面積の１０％未満 △：白錆発生面積率が全面積の１０％以上３０％未満 ×：白錆発生面積率が全面積の３０％以上
【００２９】（２）耐アルカリ性
１％ＮａＯＨ水溶液に試験板を３時間浸漬し、浸漬前後
の皮膜状態を観察し、下記基準により評価を行った。 ＜評価基準＞ ◎：外観変化なし ○：変色面積が全面積の１０％未満 △：変色面積が全面積の１０％以上３０％未満 ×：変色面積が全面積の３０％以上
の皮膜状態を観察し、下記基準により評価を行った。 ＜評価基準＞ ◎：外観変化なし ○：変色面積が全面積の１０％未満 △：変色面積が全面積の１０％以上３０％未満 ×：変色面積が全面積の３０％以上
【００３０】本発明の実施例１〜６及び比較例１〜７の
試験結果を、表５及び表６に示す。表５は実施例の皮膜
性能評価結果であり、表６は比較例の皮膜性能評価結果
である。
試験結果を、表５及び表６に示す。表５は実施例の皮膜
性能評価結果であり、表６は比較例の皮膜性能評価結果
である。
【００３１】
【表５】
【００３２】
【表６】
【００３３】本発明の表面処理鋼板を用いた実施例の１
〜６では、耐食性、耐アルカリ性の双方とも良好であ
る。一方、本発明の範囲外である表面処理鋼板の比較例
１〜７（比較例１：ジルコニウム金属化合物の質量が本
発明の範囲外、比較例２：シランカップリング剤の質量
が本発明の範囲外、比較例３：シランカップリング剤が
不含有、比較例４：ジルコニウム金属化合物が不含有、
比較例５及び６：樹脂が本発明の範囲外、比較例７：膜
厚が本発明の範囲外）では、耐食性、耐アルカリ性が劣
っていた。
〜６では、耐食性、耐アルカリ性の双方とも良好であ
る。一方、本発明の範囲外である表面処理鋼板の比較例
１〜７（比較例１：ジルコニウム金属化合物の質量が本
発明の範囲外、比較例２：シランカップリング剤の質量
が本発明の範囲外、比較例３：シランカップリング剤が
不含有、比較例４：ジルコニウム金属化合物が不含有、
比較例５及び６：樹脂が本発明の範囲外、比較例７：膜
厚が本発明の範囲外）では、耐食性、耐アルカリ性が劣
っていた。
【００３４】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のクロムを
含有しないアルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は、優
れた耐食性と耐アルカリ性を得ることができ、またその
成形加工性、耐黒変性が優れることから、産業上の利用
価値は非常に大きい。またクロムを含有しないため環境
衛生問題を生じない利点がある。
含有しないアルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板は、優
れた耐食性と耐アルカリ性を得ることができ、またその
成形加工性、耐黒変性が優れることから、産業上の利用
価値は非常に大きい。またクロムを含有しないため環境
衛生問題を生じない利点がある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 木下 康弘
東京都中央区日本橋１−15−１ 日本パー
カライジング株式会社内
(72)発明者 松原 譲
東京都中央区日本橋１−15−１ 日本パー
カライジング株式会社内
(72)発明者 永野 勲
千葉県市川市高谷新町５番地 株式会社淀
川製鋼所市川工場内
Ｆターム(参考） 4F100 AA27B AA27C AB03A AB10A
AB18A AB31A AH03B AH03C
AH07B AH07C AK51B AK51C
BA02 BA03 BA10B BA10C
EH46B EH46C EH462 EH71A
GB07 GB48 JB01 JB02 JB09B
JB09C
4K026 AA02 AA07 AA09 AA13 AA22
BB08 BB09 CA18 CA37 DA02
DA11 EA08
4K044 AA02 AA06 AB02 BA10 BA11
BA19 BA21 BB03 BC02 BC05
CA04 CA11 CA16 CA53
Claims (2)
- 【請求項１】アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板の表
面に、カルボキシル基及び酸アミド結合を有する水溶性
ウレタン樹脂と、Ｎ−メチルピロリドンと、ジルコニウ
ム金属化合物と、シランカップリング剤とを含有する被
覆層を少なくとも片面に皮膜付着量として０．５〜５．
０ｇ／ｍ2形成したことを特徴とするクロムを含有しな
い表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板。 - 【請求項２】カルボキシル基及び酸アミド結合を有する
ウレタン樹脂の固形分質量とＮ−メチルピロリドンとの
質量比(ウレタン樹脂／Ｎ−メチルピロリドン)が１〜１
０の範囲であり、且つ該ウレタン樹脂の固形分質量とジ
ルコニウム金属化合物中のジルコニウム換算質量との比
率（ウレタン樹脂／Ｚｒ）が１〜３００の範囲であり、
且つ該ウレタン樹脂の固形分質量とシランカップリング
剤中の珪素換算質量との比率（ウレタン樹脂／Ｓｉ）が
５０〜８００の範囲であることを特徴とする請求項１に
記載のクロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛
系合金めっき鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002004693A JP2003201578A (ja) | 2002-01-11 | 2002-01-11 | クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002004693A JP2003201578A (ja) | 2002-01-11 | 2002-01-11 | クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003201578A true JP2003201578A (ja) | 2003-07-18 |
Family
ID=27643949
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002004693A Pending JP2003201578A (ja) | 2002-01-11 | 2002-01-11 | クロムを含有しない表面処理アルミニウム・亜鉛系合金めっき鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003201578A (ja) |
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2005053948A1 (ja) * | 2003-12-03 | 2005-06-16 | Nippon Steel Corporation | 環境負荷の小さい塗装金属板 |
| KR100638024B1 (ko) | 2004-11-26 | 2006-10-23 | 동부제강주식회사 | 항균성이 부여된 크롬프리 피막용액 및 이 용액을 이용한 도금강판의 제조방법 |
| JP2011088296A (ja) * | 2009-10-20 | 2011-05-06 | Bridgestone Corp | 複合部材 |
| CN103360823A (zh) * | 2012-03-31 | 2013-10-23 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 一种金属防护涂料及其用途和热镀金属材料 |
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| JP2020196938A (ja) * | 2019-06-04 | 2020-12-10 | 日本製鉄株式会社 | 複合構造体 |
-
2002
- 2002-01-11 JP JP2002004693A patent/JP2003201578A/ja active Pending
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