JP2003201353A - プリプレグ、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料製管状体 - Google Patents

プリプレグ、繊維強化複合材料および繊維強化複合材料製管状体

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JP2003201353A
JP2003201353A JP2002001152A JP2002001152A JP2003201353A JP 2003201353 A JP2003201353 A JP 2003201353A JP 2002001152 A JP2002001152 A JP 2002001152A JP 2002001152 A JP2002001152 A JP 2002001152A JP 2003201353 A JP2003201353 A JP 2003201353A
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prepreg
fiber
epoxy resin
weight
carbon fiber
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Hajime Kishi
肇 岸
Hideki Okita
英樹 沖田
Nobuyuki Tomioka
伸之 富岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ねじり強さ、剛性等の強度特性に優れた軽量の
繊維強化複合材料製管状体を提供するためのプリプレ
グ、および繊維強化複合材料製管状体を提供すること。 【解決手段】次の構成要素(A)、(B)、(C)を含
んでなり、かつ構成要素(B)100重量%中、2官能
性エポキシ樹脂が75〜100重量%含まれてなること
を特徴とするプリプレグ。 (A)サイジング剤付着量が0.1〜1.5重量%の範
囲にある炭素繊維 (B)エポキシ樹脂 (C)硬化剤 さらに、該プリプレグが加熱硬化されてなる層が含まれ
てなる繊維強化複合材料製管状体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用途、航
空宇宙用途、一般産業用途に適した繊維強化複合材料を
製造するための中間基材であるプリプレグ、これを加熱
硬化して得られる繊維強化複合材料および繊維強化複合
材料製管状体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料は、特にその機械強度特性が優れてい
るために、スポーツ用途をはじめ、航空宇宙用途、一般
産業用途に広く用いられている。特にスポーツ用途で
は、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿、テニスやバトミ
ントンなどのラケット、ホッケーなどのスティックなど
を重要な用途として挙げることができる。
【0003】繊維強化複合材料の製造には、各種の方式
が用いられるが、炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸さ
せたシート状中間基材であるプリプレグを用いる方法が
広く用いられている。この方法ではプリプレグを複数枚
積層した後、加熱することによって繊維強化複合材料製
管状体が得られる。
【0004】スポーツ用の繊維強化複合材料管状体すな
わち、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などは、軽量化
が特に要求される分野である。繊維強化複合材料を軽量
化させる場合、その剛性を適正なものとするためには、
強化繊維として高弾性率のものを適用することが有効で
あるが、特に引張弾性率が330GPa以上であるよう
な高弾性率の強化繊維を適用しようとすると、管状体の
ねじり強さなどの強度が不足する場合がある。
【0005】これまでにも、特開2000−51411
号公報、国際公開公報WO99/119407号、国際
公開公報WO00/44017号などに開示されるよう
に、特定組成のエポキシ樹脂組成物を適用することなど
で管状体の強度を向上させる手法が提案されているが、
特に引張弾性率が330GPa以上の高弾性率の強化繊
維を適用する場合の強度不足を解決するためには、その
効果はまだ充分とは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の持つ課題を解決し、優れた強度特性を有す
る繊維強化複合材料が得られ、さらにその取り扱い性に
も優れたプリプレグ、およびかかるプリプレグを用いて
得られる繊維強化複合材料製管状体を提供せんとするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次の構成を有する。即ち、次の構成要素
(A)、(B)、(C)を含んでなり、かつ構成要素
(B)100重量%中、2官能性エポキシ樹脂が75〜
100重量%含まれてなることを特徴とするプリプレ
グ。 (A)サイジング剤付着量が0.1〜1.5重量%の範
囲にある炭素繊維 (B)エポキシ樹脂 (C)硬化剤 さらに、上記プリプレグを加熱硬化してなる繊維強化複
合材料及び上記プリプレグが加熱硬化されてなる層が含
まれてなる繊維強化複合材料製管状体である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0009】本発明の要するところは下記のごとく、サ
イジング付着量が一定範囲にある炭素繊維と特定エポキ
シ樹脂組成物とを組み合わせたプリプレグを作成し、該
材料をバイアス積層・成形した管状体を作製すれば、軽
量ながら意外にも卓越したねじり強さを発現する管状体
となる点にある。また、該プリプレグはタック性(プリ
プレグ表面同士の接着強度)の経時変化が少なく、表面
平滑性に優れる特徴を有する。
【0010】サイジング剤の付与は炭素繊維束の集束性
を高め、繊維束を取り扱う際に毛羽発生を抑制する作用
を有することは一般に知られているが、炭素繊維へのサ
イジング剤付着量と該炭素繊維を用いたプリプレグから
なる管状体物性との関係は明確ではなかった。本発明者
は鋭意検討の結果、炭素繊維に付着させるサイジング剤
量を0.1〜1.5重量%の範囲とすることにより、該
炭素繊維を用いたプリプレグはタック性の経時変化が少
なくなり表面平滑性に優れるという特徴を有することを
見出した。また、特定エポキシ樹脂を用いた該プリプレ
グをバイアス積層・成形した管状体を作製したところ、
意外にも卓越したねじり強さを発現する管状体となるこ
とを見出したのである。
【0011】炭素繊維へのサイジング剤付着量が管状体
のねじり強さ発現に及ぼす機構は必ずしも明確ではない
が、サイジング剤が一定量以上付着された場合、プリプ
レグ作成時における単糸拡がり性が不十分となり、プリ
プレグ中ひいては成形後の管状体中にボイド等の欠陥が
生じやすくなるため、本来の管状体のねじり強さが十分
発揮されないと考えられる。また、プリプレグ作成時に
は炭素繊維束上の樹脂に圧力を加えて繊維に押しつけ、
強制的に単繊維間に樹脂を含浸させる工程を経ることが
多いが、プリプレグ作成時の圧力を取り除いた後に含浸
前の形状を記憶しているかのごとく経時的に単糸の位置
が移動する傾向にあり(スプリングバックと呼ぶ)、サ
イジング剤が一定量以上付着された場合は、このスプリ
ングバックが顕著となり、プリプレグのタック性や表面
平滑性が損なわれると考えられる。そのようなプリプレ
グを用いることによって、成形体としての管状体の品位
が低下し、ねじり強さが低下すると考えられる。一方、
サイジング剤が少なすぎると炭素繊維を取り扱う際に毛
羽が発生しやすく、結果としてプリプレグ表面の平滑性
やタック性が低下し、管状体の作成時にプリプレグを精
度良く巻きつけることができず、成形体としての管状体
の品位が低下し、ねじり強さが低下すると考えられる。
より好ましいサイジング剤付着量の範囲は0.2〜1.
2重量%であり、さらに好ましいサイジング剤付着量の
範囲は0.2〜0.8重量%である。
【0012】本発明に構成要素(A)として用いる炭素
繊維としては、例えば、アクリル系、ピッチ系、レーヨ
ン系等の炭素繊維が挙げられる。中でも、引張強度の高
いアクリル系が好ましい。炭素繊維の形態としては、有
撚糸、解撚糸、無撚糸などが使用できるが、無撚糸又は
解撚糸が、複合材料の成形性と強度特性のバランスを考
慮すると好ましく、さらに、プリプレグ表面同士の接着
性などの取り扱い性の面からは無撚り糸が好ましい。ま
た、本発明における炭素繊維には、黒鉛繊維も含むこと
ができる。
【0013】本発明における構成要素(A)の炭素繊維
は、原子間力顕微鏡を用いて後述する方法により測定さ
れる表面積比が 1.00〜1.10であることが好ま
しく、1.00〜1.05であればより好ましい。かか
る表面積比は炭素繊維の表面の実表面積と投影面積との
比で、表面の粗さの度合いを表しており、表面積比が1
に近づくほど平滑であることを示している。従来、炭素
繊維が平滑であると、マトリックス樹脂と炭素繊維表面
の接着性が低下し、得られる繊維強化複合材料の強度が
低下すると考えられてきたが、本発明者らは鋭意検討の
結果、特に引張弾性率が330GPa以上の高弾性率タ
イプの炭素繊維の場合には、意外にも炭素繊維の表面が
平滑であるほうが繊維強化複合材料製管状体のねじり強
さが向上することを見出したのである。炭素繊維の表面
平滑性が高い方が、上記したプリプレグ作成時の炭素繊
維単糸の拡がり特性が優れるためと考えられる。表面積
比は炭素繊維表面に凹凸が全くない場合に1.00であ
り、表面積比が1.10を越えると管状体の強度向上効
果が十分でないことがある。
【0014】ゴルフクラブ用シャフト、釣竿ロッドなど
のスポーツ用品の軽量化を実現し、好適なフィーリング
を得るためには、その目的とする用途の設計に合わせて
ストランド引張弾性率の適切な炭素繊維を選択すると良
い。
【0015】強度が重視される場合は、ストランド引張
弾性率が200〜290GPaである炭素繊維を適用す
ることが好ましい。このような標準弾性率領域から中弾
性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、高弾性率領
域の炭素繊維を用いたプリプレグに比べて、炭素繊維の
ストランド引張強度、圧縮強度が高いため、複合材料管
状体の曲げ強度が高い。また、上記炭素繊維と下記樹脂
との組合せによってねじり強さも向上させることができ
る。従って、例えばハードヒッター向けゴルフクラブ用
シャフト、ジギング用釣竿ロッド、磯竿ロッドなどに好
適に用いられる。また、撓りと強度が要求される竿の穂
先等に好適である。
【0016】強度と軽量化のバランスが必要とされる場
合は、ストランド引張弾性率が230〜350GPaで
ある炭素繊維を適用することが好ましい。このような中
弾性率領域の炭素繊維を用いたプリプレグは、適度な曲
げ強度と剛性を発現し、かつ上記炭素繊維と下記樹脂と
の組合せによってねじり強さも向上するのでさらに軽量
化を図ることができる。従って例えばウッドタイプのゴ
ルフクラブ用シャフト、ルアー用釣竿ロッドなどに好適
に用いられる。
【0017】軽量化を特に必要とする場合、材料を少量
使用しただけで充分な剛性を発現させるためには引張弾
性率の高い炭素繊維を用いることが好ましい。具体的に
は炭素繊維の引張弾性率は330〜1000GPaであ
ることが好ましく、350〜800GPaであることが
さらに好ましい。長尺ゴルフクラブ用シャフト、女性用
・高齢者向けゴルフクラブ用シャフト、鮎竿用ロッドな
どに好適に用いられる。引張弾性率が330GPa未満
であると材料に十分な剛性を発現させることが困難な場
合がある。1000GPaを越えると炭素繊維の強度が
不足する場合がある。
【0018】本発明に好適に用いることができるアクリ
ル系炭素繊維は、例えば以下に述べる工程を経て製造す
ることができる。
【0019】アクリロニトリルを主成分とするモノマー
から得られるポリアクリロニトリルから成る紡糸原液
を、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法、又は溶融
紡糸法により紡糸する。紡糸後の凝固糸を、水洗、延
伸、乾燥及び油剤付与などの製糸工程を経てアクリル系
プリカーサーを製造し、得られたアクリル系プリカーサ
ーから耐炎化、炭化などの工程を経てアクリル系炭素繊
維を得ることができる。
【0020】ここで、紡糸方法としては湿式紡糸法また
は乾湿式紡糸法が好ましく採用でき、炭素繊維の表面が
平滑な炭素繊維を得やすい点で乾湿式紡糸法がより好ま
しい。
【0021】また、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法にお
いて、紡糸後の凝固過程における凝固速度、凝固糸の延
伸倍率などを適宜適正化することによっても、得られる
炭素繊維の表面の粗さを制御することが可能であるので
好ましい。
【0022】本発明の炭素繊維は、エポキシ樹脂組成物
の樹脂硬化物との接着性を高め、繊維強化複合材料の非
繊維方向の圧縮強度をさらに高度なものとするために、
炭素繊維の表面に、エポキシ基、水酸基、アクリレート
基、メタクリレート基、カルボキシル基、カルボン酸無
水物基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するサ
イジング剤を付着してなることが好ましい。これら官能
基を有するサイジング剤を予め炭素繊維表面に付着させ
ることで、炭素繊維表面の官能基、および樹脂硬化物の
ポリマーネットワーク中の官能基との間で化学結合、あ
るいは水素結合などの非共有結合による相互作用を生
じ、炭素繊維と樹脂硬化物との接着性を高めることがで
きる。
【0023】さらに、かかるサイジング剤としては、炭
素繊維と樹脂硬化物との接着性を高めるため、また、後
述する炭素繊維にサイジング剤を付着させる工程で溶媒
として水を使用する場合に取り扱いが容易であるなどの
点から、水溶性であることが好ましい。
【0024】前記サイジング剤が付着した炭素繊維を製
造する方法としては、例えば、サイジング剤を溶解又は
分散させたサイジング液中に炭素繊維を通過させること
で炭素繊維表面に付着させ、その後加熱して溶媒を除去
する方法がある。
【0025】本発明のサイジング剤に含ませることがで
きるエポキシ基を有する化合物の例としては、ビスフェ
ノールAから得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂
およびその水素添加物、ビスフェノールFから得られる
ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびその水素添加
物、ビスフェノールSから得られるビスフェノールS型
エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから得ら
れるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等の
ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールADか
ら得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾル
シンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジル
エーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラメチル
ビフェニルジグリシジルエーテル、1,6-ジヒドロキシナ
フタレンのジグリシジルエーテル、アニリンのジグリシ
ジルアミン、o-トルイジンのジグリシジルアミン、9,9-
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のイソ
シアネート変性品、フタル酸ジグリシジルエステル、テ
レフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル
酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジ
グリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステ
ル、1,4-ジ-tert-ブチル-2,5-ビス(2,3-エポキシプロ
ポキシ)-ベンゼン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジヒドロキシ
-5,5'-ジ-tert-ブチルジフェニルスルフィドとクロロメ
チルオキシランとの反応生成物、4,4'-メチレンビス
(2,6-ジメチルフェノール)とクロロメチルオキシラン
との反応生成物、分子内に2個の2重結合を有する化合
物を酸化して得られるポリエポキシド、トリス(p-ヒド
ロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテルおよ
びその誘導体、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エ
タンのテトラグリシジルエーテルおよびその誘導体、グ
リセリンのトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリト
ールのテトラグリシジルエーテル、フェノールやアルキ
ルフェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール誘
導体から得られるノボラックのグリシジルエステル、テ
トラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリ
シジル-m-キシリレンジアミン、トリグリシジル-m-アミ
ノフェノール、トリグリシジル-p-アミノフェノール、
トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、これら
を用いることができる。
【0026】本発明のサイジング剤に含ませることがで
きる水酸基を有する化合物の例としては、エチレングリ
コ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−
ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、
ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、
2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタ
ンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、水素化ビスフェ
ノ−ルA、1,4−ブタンジオ−ル、ビスフェノ−ルA
とプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加
物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセ
リン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオ
−ル、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シ
クロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリ
コ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキ
シレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4'−ジオ
−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリン
グリコ−ルなどの脂肪族アルコール、あるいはこれらの
プロプレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物な
どが挙げられ、これらを用いることができる。
【0027】本発明のサイジング剤に含ませることがで
きるアクリレート基またはメタクリレート基を有する化
合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メ
タ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチ
ル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロ
ペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン
グリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、
エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリ
レート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メ
タ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエ
ーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ
2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエ
ーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモ
ノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ
エチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレング
リコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールモノ2ーエチルヘ
キシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ
(メタ)アクリレ-ト、PTMGのジメタアクリーレー
ト、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、2-ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、
2,2-ビス〔4-(メタクリロキシエトキシ)フェニ
ル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタクリロキシジエ
トキシ)フェニル〕プロパン、ポリエステル(メタ)ア
クリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ
(メタ)アクリレートなどの分子中にアクリレート基ま
たはメタクリレート基を有する化合物が挙げられ、これ
らを用いることができる。
【0028】本発明に用いるサイジング剤に含ませるこ
とができるカルボキシル基またはカルボン酸無水物基を
有する化合物の例としては、ドデセニルコハク酸、ポリ
アジピン酸、ポリアゼライン酸、ポリセバシン酸、フタ
ル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヒキサヒド
ロフタル酸、メチルハイミック酸、ヘキサヒドロフタル
酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリ
ット酸およびこれらの酸無水物などが挙げられ、これら
を用いることができる。
【0029】また、本発明においては、構成要素(A)
の炭素繊維と共に、強化繊維としてガラス繊維、アラミ
ド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維な
どを組み合わせて用いることができる。これらの繊維を
2種以上混合して用いることもできる。
【0030】本発明において、炭素繊維の形態として
は、繊維方向が一方向に引き揃えられたものや、織物が
使用できる。織物は、平織り、朱子織りなどいずれでも
良い。
【0031】繊維強化複合材料の軽量化のためには、プ
リプレグ中の炭素繊維含有率は高いことが好ましく、プ
リプレグ中の炭素繊維含有率は70重量%以上であるこ
とが好ましく、より好ましくは75重量%以上である。
しかしながら、繊維含有率が高すぎる場合、プリプレグ
のタック性が損なわれて品位の良い管状体を作製しにく
いことがあり、また成形時の残留内部応力が高くなり、
管状体物性低下が生じることがある。そのような意味で
炭素繊維含有率は90重量%以下とすることが好まし
く、より好ましくは85重量%以下である。
【0032】本発明における構成要素(B)のエポキシ
樹脂としては、構成要素(B)100重量%中に、2官
能性エポキシ樹脂を75〜100重量%含ませること
で、加熱硬化して得られる樹脂硬化物(以下、樹脂硬化
物という)が十分な引張破断伸度、靭性、塑性変形能力
を発現し、上記構成要素(A)と組み合わせた繊維強化
複合材料に高度な強度特性を付与することができる。7
5重量%未満では樹脂硬化物が十分な引張破断伸度、靱
性、塑性変形能力を発現しないので好ましくない。
【0033】2官能性エポキシ樹脂の具体例としては、
ビスフェノールAから得られるビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフェノールFから得られるビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSから得られるビ
スフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェ
ノールAから得られるテトラブロモビスフェノールA型
エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、レゾ
ルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジ
ルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラメチ
ルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6-ジヒドロキシ
ナフタレンのジグリシジルエーテル、9,9-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル、
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のイソシアネート変性
品、ジグリシジルアニリン、フタル酸ジグリシジルエス
テル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸
ジグリシジルエステル、分子内に2個の2重結合を有す
る化合物を酸化して得られるポリエポキシド等が挙げら
れる。
【0034】本発明における2官能性エポキシ樹脂は、
エポキシ当量が好ましくは750以上、より好ましくは
900以上、さらに好ましくは1000以上である2官
能性エポキシ樹脂を2官能性エポキシ樹脂100重量%
中に5〜50重量%含ませることが好ましい。エポキシ
当量が750未満であると樹脂硬化物が充分な引張破断
伸度、靱性、塑性変形能力を発現しない場合がある。エ
ポキシ当量が750以上の2官能性エポキシ樹脂を適量
含ませることで、樹脂硬化物にさらに高度な靭性、塑性
変形能力を付与し、繊維強化複合材料の強度を向上させ
ることが可能であるが、その配合比が5重量%未満であ
るとその効果は十分でない場合があり、また50重量%
を超えると未硬化の樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、
強化繊維への含浸性や、プリプレグ同士の接着性、プリ
プレグの柔軟性などの取り扱い性などを損なう場合があ
る。
【0035】なお、プリプレグにおいてエポキシ当量が
750以上の2官能性エポキシ樹脂がかかる配合比で含
まれていることは、プリプレグからクロロホルムなどの
有機溶剤を用いて未硬化のエポキシ樹脂組成物を抽出
し、抽出された成分についてGPC、逆相クロマトグラ
フィー、赤外線吸光度、1H NMR、13C NMR、
質量分析などの手法を組み合わせて分析を行うことで特
定可能である。
【0036】さらに、本発明における2官能性エポキシ
樹脂中には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂もしくは
イソシアネート変性エポキシ樹脂を好ましくは5〜10
0重量%、より好ましくは20〜90重量%含ませると
よい。本発明においてビスフェノールF型エポキシ樹脂
もしくはイソシアネート変性エポキシ樹脂を含ませるこ
とで、未硬化の樹脂組成物の粘弾性、樹脂硬化物の引張
破断伸度、靭性、塑性変形能力、弾性率、耐熱性などの
特性のバランスの優れたプリプレグとすることができる
ので好ましい。特に、高粘度となりがちなエポキシ当量
が750以上の2官能性エポキシ樹脂を含ませる場合、
これとビスフェノールF型エポキシ樹脂を組み合わせて
含ませることが好ましい。なお、かかるビスフェノール
F型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が750未満のもの
でも良いし、ビスフェノールF型エポキシ樹脂自体がエ
ポキシ当量750以上であっても良い。
【0037】本発明において、エポキシ樹脂組成物に
は、得られる繊維強化複合材料製管状体の耐熱性の向上
等のため、樹脂硬化物の引張破断伸度、靭性、塑性変形
能力を著しく損なわない程度に、分子内に2個を超える
エポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を含ませると好
ましい。
【0038】多官能エポキシ樹脂としては、トリス(p-
ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテ
ル、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンのテト
ラグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエ
ーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエー
テル、フェノールやアルキルフェノール、ハロゲン化フ
ェノール等のフェノール誘導体から得られるノボラック
のグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフ
ェニルメタン、テトラグリシジルm-キシリレンジアミ
ン、トリグリシジル-m-アミノフェノール、トリグリシ
ジル-p-アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌ
レート等が挙げられる。
【0039】本発明における構成要素(C)の硬化剤と
しては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミ
ノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスル
ホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミンの
ような活性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリ
アミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミ
ン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4-アミ
ノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイ
マー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミ
ン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合
物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒ
ド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性ア
ミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,
4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−
置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミ
ン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキ
サヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水
物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジッ
ク酸無水物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒド
ラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポ
リカルボン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフ
ェノール化合物、チオグリコール酸とポリオールのエス
テルのようなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチル
アミン錯体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム
塩などが挙げられる。
【0040】これらの硬化剤には、硬化活性を高めるた
めに適当な硬化助剤を組合わせることができる。好まし
い例としては、ジシアンジアミドに、3-フェニル-1,
1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,
1-ジメチル尿素(DCMU)、3-(3−クロロ−4-
メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、2,4−ビス
(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘
導体を硬化助剤として組合わせる例、カルボン酸無水物
やノボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組合わ
せる例などが挙げられる。
【0041】本発明においては、前記構成要素(A)、
(B)、(C)の他に、高分子化合物、有機または無機
の粒子などの他成分を含ませることができる。
【0042】かかる高分子化合物としては、熱可塑性樹
脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂を配合することに
より、樹脂の粘度制御やプリプレグの取扱い性制御、あ
るいは接着性改善の効果が増進するので好ましい。
【0043】本発明に好適に用いることの出来る熱可塑
性樹脂の例としては、ポリビニルホルマールやポリビニ
ルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビ
ニルアルコール、フェノキシ樹脂、アミド結合を有する
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、スル
ホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホン
などが挙げられる。ポリアミド、ポリイミド及びポリス
ルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基などの官能
基を有してもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子
上に置換基を有してもよい。
【0044】熱可塑性樹脂を含有する場合は、熱可塑性
樹脂をエポキシ樹脂100重量部に対して1〜20重量
部含有することが、エポキシ樹脂組成物に適度な粘弾性
を与え、良好な複合材料物性が得られる点で好ましい。
【0045】構成要素(B)、(C)および必要に応じ
て他の成分も含んでなり、本発明のプリプレグにおいて
構成要素(A)の炭素繊維に含浸されて存在する未硬化
のエポキシ樹脂組成物の粘弾性については、プリプレグ
の良好な取り扱い性を得るために、測定周波数0.5H
z、50℃での貯蔵弾性率G’が300〜20000P
aであることが好ましい。G’が300Paに満たない
場合には、プリプレグ表面同士の接着強度(以下、プリ
プレグの接着強度という)が弱く、プリプレグの積層工
程において、重ねられたプリプレグがすぐに剥離して積
層作業に支障をきたす場合があるので好ましくない。ま
たG’が20000Paを超えると、プリプレグの柔軟
性が悪化して曲面への賦形性が十分でなくなる、強化繊
維への含浸性が悪くなるなどの問題が生じる場合がある
ので好ましくない。このような粘弾性は、構成要素
(B)に含まれるエポキシ樹脂成分の種類とその配合比
の適正化、あるいは前記熱可塑性樹脂を適量含ませるこ
となどにより達成される。より好ましくは、測定周波数
0.5Hz、50℃での貯蔵弾性率G’が500〜10
000Paであることである。
【0046】本発明のプリプレグは、特に繊維強化複合
材料製管状体を製造するために、後述する条件で測定さ
れるプリプレグの接着強度が0.050〜0.150N
/mm2であることが好ましい。プリプレグの接着強度
が0.050N/mm2に満たないと、プリプレグの積
層工程において重ねられたプリプレグがすぐに剥離して
積層作業に支障をきたす場合がある。また、0.150
N/mm2を超えるとプリプレグを貼り合わせる際に修
正作業が困難となる場合がある。より好ましくは0.0
70〜0.130N/mm2である。かかる好ましい接
着強度を有しないプリプレグを用いて管状体の積層を行
うと、繊維配向の乱れなど、管状体内部の欠陥を生じ易
いが、特に高弾性率の強化繊維を適用した繊維複合材料
製管状体の場合、そのような欠陥による強度低下の影響
を受けやすい。したがって、引張弾性率が330GPa
〜1000GPaの炭素繊維を適用する本発明のプリプ
レグの場合には、接着強度を0.050〜0.150N
/mm2とすることが好ましい。
【0047】また、プリプレグ表面にカバーフィルムな
どを貼り付けず、プリプレグ表面が大気中に露出した状
態で放置すると、プリプレグの接着強度が経時的に減少
してしまう場合があるが、本発明においては、プリプレ
グ表面に貼り付けられたカバーフィルムや離型紙などを
剥がした直後だけでなく、プリプレグ表面を大気中に露
出した状態で24℃、50%RHの条件にて24時間放
置した後にもなお、プリプレグ接着強度が0.050〜
0.150N/mm2であることが作業効率上好まし
い。かかるタック経時変化の少ないプリプレグを得るた
めにも、サイジング剤付着量が0.1〜1.5重量%の
範囲にある炭素繊維を用いることが有効であり、より好
ましいサイジング剤付着量の範囲は0.2〜1.2重量
%、さらに好ましいサイジング剤付着量の範囲は0.2
〜0.8重量%である。
【0048】かかるプリプレグの接着強度を得るために
は、上述のようにプリプレグ中に存在するエポキシ樹脂
組成物の粘弾性を適正な範囲に制御することが有効であ
るが、さらに、プリプレグ表面に存在するエポキシ樹脂
組成物の量(以下、表面樹脂量という)を制御すること
がより好ましく、表面樹脂量が多いほど、プリプレグの
接着強度を向上させることが可能である。表面樹脂量
は、炭素繊維へエポキシ樹脂組成物を含浸する工程にお
いて、含浸圧力、強化繊維に加える張力、エポキシ樹脂
組成物を加熱する温度などの条件を調節することで制御
可能である。
【0049】本発明の繊維強化複合材料製管状体におい
ては、構成要素(A)が一方向に引き揃えられており、
かつその内部構造において構成要素(A)の繊維方向が
管状体の長手方向に対して20°〜90#の角度をなし
て配置されてなる層が少なくとも1層以上含まれてなる
ことが好ましい。構成要素(A)のような引張弾性率が
330GPa〜1000GPaの炭素繊維がかかる角度
をなして配置されることで、軽量化された管状体のねじ
り剛性を効果的に高めることが可能である。特に、本発
明の管状体をゴルフシャフトに適用する場合、ねじり剛
性、ねじり強さを適正な範囲に保ちながらシャフトの軽
量化を可能とするため、構成要素(A)がかかる角度を
なして配置されることが特に好ましい。
【0050】本発明の繊維強化複合材料製管状体におい
て、エポキシ樹脂の硬化物(以下、単に樹脂硬化物とい
う)のガラス転移温度は80℃〜130℃であることが
好ましい。樹脂硬化物のガラス転移温度が130℃を超
えると、繊維強化複合材料製管状体に残留する熱応力が
大きくなり、その強度特性が低下する場合がある。樹脂
硬化物のガラス転移温度が80℃未満であると、管状体
に成形後、表面を研磨するとき、熱により軟化した樹脂
が研磨機に目詰まりを起こさせる場合があるので好まし
くない。なお、樹脂硬化物のガラス転移温度は、示差走
査熱量測定法(DSC)によって測定される値である
が、管状体から切り出したサンプルについて測定するこ
とによって、管状体中に含まれる樹脂硬化物のガラス転
移温度を測定できる。
【0051】本発明の繊維強化複合材料製管状体に高度
な強度特性、耐衝撃性などを付与するために、樹脂硬化
物について、ASTM−E399に準拠したコンパクト
テンション法、または、ASTM5045−91に準拠
したSENB法により測定される樹脂硬化物の亀裂進展
初期のモードI破壊靭性値GICが200J/m2以上で
あることが好ましく、400J/m2以上であることが
より好ましい。
【0052】本発明の繊維強化複合材料製管状体に高度
な強度特性、耐衝撃性などを付与するために、樹脂硬化
物について、JIS K7113に準拠して測定される
引張破断伸度が8%以上であることが好ましい。ここ
で、かかる樹脂硬化物のGIC、引張破断伸度は、本発明
におけるエポキシ樹脂組成物に130℃で90分間の加
熱処理を施して得られる硬化物について測定されるもの
である。
【0053】以下、本発明で好適に適用できるプリプレ
グの製造方法、及びこれを積層して加熱硬化して管状体
を得る方法について説明する。
【0054】本発明のプリプレグは、例えばマトリック
ス樹脂をメチルエチルケトン、メタノールなどの溶媒に
溶解して低粘度化し、含浸させるウエット法、あるいは
加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法など
の方法により製造することができる。
【0055】ウェット法では、炭素繊維をマトリックス
樹脂を含む液体に浸漬した後、引き上げ、オーブンなど
を用いて溶媒を蒸発させてプリプレグを得ることができ
る。
【0056】ホットメルト法では、加熱により低粘度化
したマトリックス樹脂を直接炭素繊維に含浸させる方
法、あるいは一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙などの上
にコーティングしたフィルムをまず作成し、ついで炭素
繊維の両側あるいは片側から該フィルムを重ね、加熱加
圧することにより樹脂を含浸させたプリプレグを製造す
ることができる。ホットメルト法は、プリプレグ中に残
留する溶媒がないため好ましい。
【0057】本発明のプリプレグを用いて管状体を成形
するには、プリプレグを積層後、積層物に圧力を付与し
ながら樹脂を加熱硬化させる方法などを用いることがで
きる。
【0058】熱及び圧力を付与する方法には、プレス成
形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッ
ピングテープ法、内圧成形法などがあり、特にスポーツ
用品に関しては、ラッピングテープ法、内圧成形法が好
ましく採用される。
【0059】ラッピングテープ法は、マンドレルなどの
芯金にプリプレグを巻いて、管状体を成形する方法であ
り、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などの棒状体を作
製する際に好適である。具体的には、マンドレルにプリ
プレグを巻き付け、プリプレグの固定及び圧力付与のた
めに、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからな
るラッピングテープを巻き付け、オーブン中で樹脂を加
熱硬化させた後、芯金を抜き去ることで管状体を得るこ
とができる。
【0060】内圧成形法では、熱可塑性樹脂のチューブ
などの内圧付与体にプリプレグを巻きつけたプリフォー
ムを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体
を導入して圧力をかけると同時に金型を加熱することに
よって管状体を成形することができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。サイジング剤付着量の測定、炭素繊維の表面積比の
測定、プリプレグの作製、プリプレグの接着性、管状体
の作製、管状体の物性測定は次の方法で行った。なお、
ゴルフシャフトをスイングした際のフィーリングは用い
る炭素繊維の弾性率および繊維含有率によって大きく異
なるため、管状体のねじり強さも、同程度のストランド
引張弾性率を有する炭素繊維を用いたものの間で比較す
べきである。但し、一般に高弾性率炭素繊維を用いる
と、高剛性、軽量化等の高性能化を実現しやすいため、
ねじり強さ、ストランド弾性率および繊維含有率を掛け
合わせた数値を便宜的な高性能化指標として、表1に示
した。 (1)炭素繊維へのサイジング剤付着量の測定 次のAまたはBのいずれかの方法を用いる。 A.炭素繊維からの定量化 サイジング剤を付着した炭素繊維を約5gを採取し、耐
熱ガラス製の容器に投入する。
【0062】次に、この容器を120℃で3時間乾燥
し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤
量した値をW1(g)とする。
【0063】次いで、容器ごと、窒素雰囲気中、450
℃で15分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室
温まで冷却し、秤量した値をW2(g)とする。
【0064】以上の処理を経て、化合物の付着量を、次
式により求める。
【0065】化合物の付着量=(W1−W2)/W2
(単位:重量%) B.プリプレグからの定量化 以下の手順で定量化を行った。 (1)プリプレグ表面に付着する樹脂、または炭素繊維へ
の含浸工程において炭素繊維へ含浸されずにはみ出して
いる樹脂を、ステンレス製スパチュラで掻き取る。掻き
取った樹脂を樹脂Aとする。 (2)樹脂AについてHPLCクロマトグラム(ODSカ
ラム)、IRスペクトル、1H NMRスペクトル、13
C NMRスペクトルを得る。 (3)プリプレグ約10gについて、クロロホルム、メタ
ノール、塩化メチレンの順で超音波処理によりプリプレ
グに含まれる樹脂を抽出する。 (4)プリプレグから操作(3)により抽出された成分につい
て、HPLCクロマトグラム(ODSカラム)、IRス
ペクトル、1H NMRスペクトル、13C NMRスペ
クトルを得る。 (5)操作(4)にて得たクロマトグラム、スペクトルを樹脂
Aのものと比較し、樹脂Aに含まれるものとは異なる成
分(樹脂Bとする)、即ち炭素繊維に付着するサイジン
グ剤由来の成分が検出されないことを確認する。もし樹
脂Bが微量含まれる場合は、分取、秤量し、抽出された
成分の全重量中0.1%以下であることを確認する。
0.1%を超える場合は抽出溶媒の種類、処理条件を適
宜変更する。 (6)溶媒抽出後残った炭素繊維約5gについて、上記A
項と同様の操作により、サイジング剤付着量を定量化す
る。 (2)炭素繊維の表面積比測定 測定に供する炭素繊維を試料台に固定し、Digital Inst
ruments社製 NanoScopeIIIを用い、下記条件にて3次
元表面形状の像を得る。 ・探針:Siカンチレバー一体型探針(オリンパス光学
工業社製 OMCL-AC120TS) ・測定環境:室温(20℃〜30℃)大気中 ・観察モード:タッピングモード ・走査速度:0.3〜0.4Hz ・走査範囲:2.5μm×2.5μm ・ピクセル数:512×512 得られた像全体について、前期装置付属ソフトウエア
(NanoScopeIIIバージョン4.22r2、1次Flatten
フィルタ、Lowpassフィルタ、3次Plane Fitフィルタ使
用)によりデータ処理し、実表面積と投影面積を算出す
る。なお、投影面積については、繊維断面積の曲率を考
慮し近似した2次曲面への投影面積を算出したものを用
い、表面積比は以下の式で求めた。 表面積比=実表面積/投影面積 同様の測定を2回行い、その平均値をその炭素繊維の表
面積比とした。 (3)炭素繊維のストランド引張弾性率・強度測定 JIS R7601に記載の方法に準じて、次の組成の
樹脂を炭素繊維束に含浸し、130℃、35分の条件で
加熱硬化させ、引張試験片を作製し、引張強度および引
張弾性率を測定した。 樹脂組成:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレート
(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン
(3重量部)/アセトン(4重量部) (4)プリプレグの作製 樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上
に塗布し、樹脂目付20g/m2の樹脂フィルムを作製
した。次に、シート状に一方向に整列させた炭素繊維に
樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、100℃
に加熱した金属ロールで挟み、加熱加圧して樹脂組成物
を含浸させる。
【0066】含浸後、片側の離型紙をプリプレグからは
ぎ取り、はぎ取られた側の面にポリエチレンフィルムを
貼り付け、一方の側に離型紙、もう一方の側にポリエチ
レンフィルムを配した状態で巻き取ることにより、炭素
繊維目付125g/m2、炭素繊維含有率が76重量%
であるプリプレグを得た。 (5)プリプレグの接着強度測定 下記操作(a),(b)により、24℃、相対湿度50
%RHの環境下でプリプレグの接着強度を測定した。 (a)測定に供するプリプレグを100mm×200m
mの大きさにカットし、表面が平らなプラスチック板に
両面テープでしっかりと貼り付け、プリプレグAとし
た。 (b)プリプレグA表面に、プリプレグAと同一のプリ
プレグからカットしたプリプレグBを、接触面積が10
mm×10mm(=100mm2)となるように44.
1Nの荷重で1秒間押しつけた後、プリプレグBを30
mm/分の速度でプリプレグA表面に対して垂直な方向
に引き剥がすときの剥離力を測定し、これを接触面積
(100mm2)で割った値をプリプレグの接着強度と
した。 (6)繊維複合材料製管状体の作製 下記(a)〜(e)の操作により、円筒軸方向に対して
[03/±453]の積層構成を有し、内径が10mmの
繊維複合材料製管状体を作製した。マンドレルには直径
10mm(長さ1000mm)のステンレス製丸棒を使
用した。 (a)一方向プリプレグを繊維の方向がマンドレルの軸
方向に対して45度になるように、縦800mm×横1
06mmの長方形に2枚切り出した。この2枚を繊維方
向が互いに交差するように、16mm(マンドレル半周
分に対応)ずらして貼り合わせた。 (b)貼り合わせたプリプレグを、離型処理したマンド
レルに、プリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一
致するように巻き付けた。(バイアス材) (c)その上に、プリプレグを繊維の方向が縦方向にな
るように、縦800mm×横118mmの長方形に切り
出したものをプリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向
が一致するように巻き付けた。(ストレート材) (d)ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻
きつけ、硬化炉中で130℃、90分間加熱成形した。 (e)成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテー
プを除去して管状体を得た。 (7)エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)の
測定 管状体から切り出して得られた測定サンプルについて、
JIS K7112に準拠してDSC法により測定し
た。DSC測定の際、昇温速度は40℃/分とした。 (8)管状体のねじり強さの測定 内径10mmの管状体から長さ400mmの試験片を切
り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準
確認方法」(製品安全協会編、通称産業大臣承認5産第
2087号、1993年)に記載の方法に従い、ねじり
試験を行った。試験片ゲージ長は300mmとし、試験
片両端の50mmを固定治具で把持した。捻り強さは次
式により求めた。測定は23℃、相対湿度50%RHの
環境下で行った。
【0067】ねじり強さ(N・m・deg)=破壊トルク(N・
m)×破壊時のねじれ角(deg) (実施例1)下記原料をニーダーで混合し、ポリビニル
ホルマールが均一に溶解した樹脂組成物を得た。
【0068】ビスフェノールA型2官能性エポキシ樹脂
(エピコート(登録商標)828、ジャパンエポキシレ
ジン(株)製、平均エポキシ当量184〜194)30
部 ビスフェノールF型2官能性エポキシ樹脂(エピコート
4004P、ジャパンエポキシレジン(株)製、平均エ
ポキシ当量880)40部 イソシアネート変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(アラルダイト(登録商標)AER4152、旭チバ
(株)製、平均エポキシ当量340)30部 ジシアンジアミド(DICY7、ジャパンエポキシレジ
ン(株)製)5部 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル
ウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)4
部 ポリビニルホルマール(ビニレック(登録商標)K、チ
ッソ(株)製)5部 この樹脂組成物と、一方向に引き揃えた引張弾性率38
2GPa、引張強度4510MPa、サイジング剤(ビ
スフェノールA型エポキシ−エチレンオキシド付加物)
付着量0.5重量%、表面積比1.02の炭素繊維を用
い、前記した操作に従って繊維含有率76重量%のシー
ト状のプリプレグ(A−1)を作製した。
【0069】得られたプリプレグ(A−1)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前記した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行ったが、表1にまと
めて示す通りいずれも良好な接着強度を示した。
【0070】次に、引張弾性率295GPa、引張強度
5470MPa、表面積比1.090の炭素繊維を用
い、炭素繊維の含有率が76重量%である東レ(株)
製”トレカ”(登録商標)プリプレグP2255F−1
2をストレート材として、プリプレグ(A−1)をバイ
アス材として用い、前記した方法で管状体を作製し、そ
のねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物のTgを
測定した。結果は表1にまとめて示す。 (実施例2)下記原料をニーダーで混合し、ポリビニル
ホルマールが均一に溶解した樹脂組成物を得た。
【0071】ビスフェノールA型2官能性エポキシ樹脂
(エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)
製、平均エポキシ当量184〜194)60部 ビスフェノールA型2官能性エポキシ樹脂(エピコート
1001、ジャパンエポキシレジン(株)製、平均エポ
キシ当量450〜500)40部 ジシアンジアミド(DICY7、ジャパンエポキシレジ
ン(株)製)5部 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル
ウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)4
部 ポリビニルホルマール(ビニレックK、チッソ(株)
製)5部 この樹脂組成物と、一方向に引き揃えた引張弾性率38
2GPa、引張強度4510MPa、サイジング剤(ビ
スフェノールA型エポキシ−エチレンオキシド付加物)
付着量0.5重量%、表面積比1.02の炭素繊維を用
い、前記した操作に従って繊維含有率76重量%のシー
ト状のプリプレグ(A−2)を作製した。
【0072】得られたプリプレグ(A−2)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前期した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして3分以内と、ポリエチレンフィル
ムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RHの
環境下24時間放置後の計2回行ったが、表1にまとめ
て示す通りいずれも良好な接着強度を示した。
【0073】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(A−2)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示す。 (実施例3)下記原料をニーダーで混合し、ポリビニル
ホルマールが均一に溶解した樹脂組成物を得た。
【0074】ビスフェノールA型2官能性エポキシ樹脂
(エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)
製、平均エポキシ当量184〜194)60部 ビスフェノールF型2官能性エポキシ樹脂(エピコート
4004P、ジャパンエポキシレジン(株)製、平均エ
ポキシ当量880)40部 単官能エポキシ樹脂N-グリシジルフタルイミド(デナ
コール(登録商標)EX731、ナガセ化成工業(株)
製、平均エポキシ当量216)5部 ジシアンジアミド(DICY7、ジャパンエポキシレジ
ン(株)製)5部 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル
ウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)4
部 ポリビニルホルマール(ビニレックK、チッソ(株)
製)5部 この樹脂組成物と、一方向に引き揃えた引張弾性率38
2GPa、引張強度4510MPa、サイジング剤(ビ
スフェノールA型エポキシ−エチレンオキシド付加物)
付着量0.8重量%、表面積比1.02の炭素繊維を用
い、前記した操作に従って繊維含有率76重量%のシー
ト状のプリプレグ(A−3)を作製した。
【0075】得られたプリプレグ(A−3)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前記した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行ったが、表1にまと
めて示す通りいずれも良好な接着強度を示した。
【0076】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(A−3)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示す。 (実施例4)実施例1と同一の樹脂組成物を用い、サイ
ジング剤(ビスフェノールA型エポキシ−エチレンオキ
シド付加物)付着量が1.2重量%と比較的多いことを
除けば実施例1と同様の一方向に引き揃えた引張弾性率
382GPa、引張強度4510MPa、表面積比1.
02の炭素繊維を用い、前記した操作に従って繊維含有
率76重量%のシート状のプリプレグ(A−4)を作製
した。
【0077】得られたプリプレグ(A−4)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前期した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行った。
【0078】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(A−4)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示す。 (実施例5)実施例1とまったく同じ樹脂組成物と、一
方向に引き揃えた引張弾性率377GPa、引張強度4
500MPa、サイジング剤(ビスフェノールA型エポ
キシ−エチレンオキシド付加物)付着量0.5重量%、
表面積比1.21の炭素繊維を用い、前記した操作に従
って繊維含有率76重量%のシート状のプリプレグ(A
−5)を作製した。
【0079】得られたプリプレグ(A−5)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前記した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行った。結果を表1に
示す。
【0080】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(A−5)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示す。 (実施例6)実施例1とまったく同じ炭素繊維および樹
脂を用いてバイアス材用プリプレグ(A−6)を作製し
たが、このとき繊維含有率は67重量%とした。得られ
たプリプレグ(A−6)の接着強度を、ポリエチレンフ
ィルムが貼り付けられた側の面について、前記した操作
により測定した。測定はポリエチレンフィルムを剥がし
て10分以内と、ポリエチレンフィルムを剥いで表面を
露出した状態で23℃、50%RHの環境下24時間放
置後の計2回行ったが、表1にまとめて示す通りいずれ
も良好な接着強度を示した。
【0081】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(A−6)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示す。 (比較例1)下記原料をニーダーで混合し、ポリビニル
ホルマールが均一に溶解した樹脂組成物を得た。
【0082】ビスフェノールA型2官能性エポキシ樹脂
(エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)
製、平均エポキシ当量184〜194)30部 ビスフェノールF型2官能性エポキシ樹脂(エピコート
4004P、ジャパンエポキシレジン(株)製、平均エ
ポキシ当量880)40部 3官能エポキシ樹脂トリグリシジル-p-アミノフェノー
ル(エピコート630、ジャパンエポキシレジン(株)
製、平均エポキシ当量90〜105)30部 ジシアンジアミド(DICY7、ジャパンエポキシレジ
ン(株)製)5部 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル
ウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)4
部 ポリビニルホルマール(ビニレックK、チッソ(株)
製)5部 この樹脂組成物と、実施例1と同じ一方向に引き揃えた
引張弾性率382GPa、引張強度4510MPa、サ
イジング剤(ビスフェノールA型エポキシ−エチレンオ
キシド付加物)付着量0.5重量%、表面積比1.02
の炭素繊維を用い、前記した操作に従って繊維含有率7
6重量%のシート状のプリプレグ(B−1)を作製し
た。
【0083】得られたプリプレグ(B−1)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前記した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行った。
【0084】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(B−1)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示すが、構成要
素(B)中2官能性エポキシ樹脂を含む割合が70重量
%と低いことから、実施例1と比較して管状体のねじり
強さは低い値となった。 (比較例2)実施例1と同一の樹脂組成物を用い、サイ
ジング付着が無いことを除けば実施例1と同様の一方向
に引き揃えた引張弾性率382GPa、引張強度451
0MPa、サイジング剤無し、表面積比1.02の炭素
繊維を用い、前記した操作に従って繊維含有率76重量
%のシート状のプリプレグ(B−2)を作製した。
【0085】得られたプリプレグ(B−2)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前期した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行ったがタック力が低
めであった。
【0086】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(B−2)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示すが、バイア
ス材プリプレグの表面が乱れていることから管状体の品
位が悪く、実施例1と比較して管状体のねじり強さは低
い値となった。 (比較例3)実施例1と同一の樹脂組成物を用い、サイ
ジング剤(ビスフェノールA型エポキシ−エチレンオキ
シド付加物)付着量が1.6重量%と多いことを除けば
実施例1と同様の一方向に引き揃えた引張弾性率382
GPa、引張強度4510MPa、表面積比1.02の
炭素繊維を用い、前記した操作に従って繊維含有率76
重量%のシート状のプリプレグ(B−3)を作製した。
【0087】得られたプリプレグ(B−3)の接着強度
を、ポリエチレンフィルムが貼り付けられた側の面につ
いて、前期した操作により測定した。測定はポリエチレ
ンフィルムを剥がして10分以内と、ポリエチレンフィ
ルムを剥いで表面を露出した状態で23℃、50%RH
の環境下24時間放置後の計2回行ったが、タック力の
経時変化が大きいことがわかった。
【0088】次に、東レ(株)製プリプレグP2255
F−12をストレート材として、プリプレグ(B−3)
をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製
し、そのねじり強さ、およびバイアス材の樹脂硬化物の
Tgを測定した。結果は表1にまとめて示すが、実施例
1と比較して管状体のねじり強さは低い値となった。
【0089】
【表1】
【0090】
【発明の効果】本発明のプリプレグを用いてなる繊維強
化複合材料製管状体は、すぐれたねじり強さを有する。
これにより、優れた衝撃強度を有し、軽量化も達成され
た繊維強化複合材料製管状体が得られるようになる。
【0091】本発明の繊維強化複合材料製管状体は、ゴ
ルフクラブ用シャフト、釣り竿、自転車用フレーム、バ
トミントンラケット用シャフト、自転車用フレーム・ハ
ンドル、車椅子用フレーム、ホッケー用スティックなど
に好適に用いることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AB10 AB25 AC05 AD23 AE01 AG03 AL03 AL04 AL05

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の構成要素(A)、(B)、(C)を含
    んでなり、かつ構成要素(B)全重量当たり、2官能性
    エポキシ樹脂が75〜100重量%含まれてなることを
    特徴とするプリプレグ。 (A)サイジング剤付着量が0.1〜1.5重量%の範
    囲にある炭素繊維 (B)エポキシ樹脂 (C)硬化剤
  2. 【請求項2】原子間力顕微鏡により測定される構成要素
    (A)の炭素繊維の表面積比が1.00〜1.10であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】該炭素繊維が、その表面に、エポキシ基、
    水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボキ
    シル基およびカルボン酸無水物基から選ばれた少なくと
    も一種の官能基を有するサイジング剤が付着してなるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 【請求項4】炭素繊維含有率が70〜90重量%である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリ
    プレグ。
  5. 【請求項5】炭素繊維の引張弾性率が330GPa〜1
    000GPaの範囲にあることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 【請求項6】2官能性エポキシ樹脂全重量あたり、エポ
    キシ当量が750以上であるエポキシ樹脂が5〜50重
    量%含まれてなることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載のプリプレグ。
  7. 【請求項7】2官能性エポキシ樹脂100重量%中に、
    ビスフェノールF型エポキシ樹脂もしくはイソシアネー
    ト変性エポキシ樹脂が5〜100重量%含まれてなるこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプリプ
    レグ。
  8. 【請求項8】プリプレグ表面同士の接着強度が0.05
    0〜0.150N/mm 2であることを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載のプリプレグ。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載のプリプレ
    グを加熱硬化してなることを特徴とする繊維強化複合材
    料。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載のプリプ
    レグが加熱硬化されてなる層が含まれてなることを特徴
    とする繊維強化複合材料製管状体。
  11. 【請求項11】構成要素(A)が一方向に引き揃えられ
    ており、かつその内部構造において該構成要素(A)の
    繊維配向が管状体の長手方向に対して20°〜90#の
    角度をなして配置されてなることを特徴とする請求項1
    0に記載の繊維強化複合材料製管状体。
  12. 【請求項12】エポキシ樹脂の硬化物のガラス転移温度
    が80℃〜130℃であることを特徴とする請求項10
    または11に記載の繊維強化複合材料製管状体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008106109A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Nagase Chemtex Corp 炭素繊維強化複合材の製造方法
JP2013053266A (ja) * 2011-09-06 2013-03-21 Dh Material Kk 成形材料及び成形品
JPWO2020235489A1 (ja) * 2019-05-23 2020-11-26

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