JP3864751B2 - 炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポーツ用途、航空宇宙用途、一般産業用途に適した炭素繊維強化複合材料、これを得るためのマトリックス樹脂としての炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、およびプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる炭素繊維強化複合材料は、特にその機械強度特性が優れているために、ゴルフクラブシャフト、釣り竿、テニスやバトミントンのラケットなどのスポーツ用途をはじめ、航空宇宙用途、一般産業用途に広く用いられ、これら用途においては、炭素繊維としては長繊維タイプが多くの場合採用される。
【0003】
そして、炭素繊維複合材料のマトリックス樹脂としては、その優れた機械物性、耐熱性、CFとの良好な接着性などの面からエポキシ樹脂組成物が好適に用いられる。
【0004】
かかる炭素繊維複合材料において、一般に繊維と同じ方向の引張強度(0°引張強度)は炭素繊維の高い引張強度を反映するため高いが、一方で繊維と同じ方向の圧縮強度(0°圧縮強度)は、0°引張強度と比較して低く、これを改良するためにいくつかの手法が開示されてきた。
【0005】
例えば、特開2001−131833号公報には、炭素繊維そのものの繊維方向の圧縮強度を向上させる方法が開示されているが、製造コストが高くなりがちであることや、得られる圧縮強度はまだ充分でないなどの問題があった。
【0006】
また、一方で、マトリックス樹脂の改良による0°圧縮強度向上の試みとしては、特開平11−171976号公報などに開示されるような、マトリックス樹脂の曲げ弾性率を向上させる手法が知られており、0°圧縮強度についてはその向上効果が認められていた。
【0007】
しかし、実際の部材として使用される炭素繊維強化複合材料においては、繊維の方向となす角度が0°ではなく、90°未満の一定の角度をなした方向の圧縮応力が加わる場合も多い。また、設計上は0°圧縮応力が加わると考えられる場合でも、部材の形状などに由来して、繊維配向が局部的に屈曲したり、あるいは炭素繊維織物を用いる場合は、その横糸の存在に由来して、繊維が蛇行するといったことがしばしば起こり、そのような部分に圧縮応力が加わると、繊維の方向とは90°未満の一定の角度をなした方向に圧縮応力が加わることになる。そしてそのような場合、前記したような0°圧縮強度を向上させるだけでは、その強度が不足する場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、優れた材料強度を付与し、各種構造材料やスポーツ用具の軽量化などを可能とする炭素繊維強化複合材料と、これを得るための炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、およびプリプレグを提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物は、下記構成要素(A)、(B)を含んでなり、加熱硬化後の樹脂硬化物の圧縮弾性率が2.7GPa〜3.5GPaであり、かつ、圧縮破壊時呼び歪みが60%以上であることを特徴とするものである。
(A)2官能性エポキシ樹脂を75〜100重量%含み、かつ、該2官能性エポキシ樹脂の5〜50重量%がエポキシ当量750以上であるエポキシ樹脂
(B)硬化剤
また、本発明におけるプリプレグは、かかる炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物炭素繊維を含んでなることを特徴とするものであり、さらに、本発明における炭素繊維強化複合材料は、かかる炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物樹脂硬化物と、炭素繊維とを含んでなることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明の炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物(以下、単にエポキシ樹脂組成物という)は、加熱硬化して得られる樹脂硬化物の圧縮弾性率および圧縮破壊時呼び歪みが特定の範囲に制御されることを特徴とするが、これら樹脂圧縮特性は、一辺の長さが6mm±0.2mmの立方体になるように樹脂硬化物から切り出した試験片について、試験速度1±0.2mm/分で、他の条件はJIS K7181に基づいて測定されるものである。
【0012】
ここで、本発明における圧縮弾性率は、JIS K7181に基づき、下記式(1)によって算出される値である。
【0013】
Ec=(σ2−σ1)/(ε2−ε1)…(1)
(ただし、Ecは圧縮弾性率、σ1,σ2はそれぞれ圧縮歪みε1、ε2において測定され、式(2)により算出される圧縮応力、ε1、ε2は式(3)により算出される圧縮歪みであって、ε1=0.05%、ε2=0.25%である。)
σ=F/A …(2)
(ただし、σは圧縮応力、Fは圧縮荷重、Aは試験片の初めの平均断面積を表す。)
ε(%)=100×ΔL/L0 …(3)
(ただし、L0は試験片に付けた初めの標線間距離、ΔLは標線間距離の減少量を表す。)
また、本発明における圧縮破壊時呼び歪みは、下記式(4)に基づいて算出される値である。
【0014】
εCB=Δl/lC …(4)
(ただし、εCBは圧縮破壊時呼び歪み、lは試験片の初めの長さ、ΔlCは圧縮破壊時の試験片長さの減少量を表す。)
かかる圧縮試験に供する樹脂硬化物は、100℃〜200℃の範囲から選ばれる一定の温度で90分間加熱処理することによって得られるものである。
【0015】
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化して得られる樹脂硬化物の圧縮弾性率は、優れた材料強度を発現するために、2.7GPa〜3.5GPaであることが必要である。かかる圧縮弾性率が2.7Gpa未満であると圧縮応力に対する耐力が不足して材料強度が不十分となり、3.5GPaを超えると樹脂硬化物が脆くなる、あるいは材料中の残留熱応力が大きくなるなどして、引張強度などの材料強度の低下を招くので好ましくない。
【0016】
ここで、樹脂硬化物の圧縮弾性率を指標とすることで、曲げ弾性率や引張弾性率などよりも、圧縮モードでの材料強度特性をより精度良く制御することができる。
【0017】
さらに、かかる圧縮弾性率に加えて、本発明のエポキシ樹脂組成物から得られる樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みは60%以上であることが必要である。本発明者らは、樹脂硬化物について、圧縮弾性率を前記した範囲にすると同時に、圧縮破壊時呼び歪みをかかる高いレベルの範囲とすることで、繊維の方向と0°を超えて90°未満の一定の角度をなした方向の圧縮応力下での強度(以下、非繊維方向の圧縮強度という)を向上することが可能であるということを見出し、本発明にいたったものである。
【0018】
本発明においては、かかる樹脂圧縮特性を発現するために、本発明における構成要素(A)100重量%中に、2官能性エポキシ樹脂を75〜100重量%含ませることが好ましく、85〜100重量%含ませることがより好ましい。かかる2官能性エポキシ樹脂の配合比が75重量%未満であると、圧縮破壊時呼び歪みが低くなる場合があり、好ましくない。
【0019】
2官能性エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAから得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールFから得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールSから得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから得られるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールADから得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6-ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、アニリンのジグリシジルアミン、o-トルイジンのジグリシジルアミン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリシジルエーテル、分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、1,4-ジ-tert-ブチル-2,5-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-ベンゼン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-tert-ブチルジフェニルスルフィドとクロロメチルオキシランとの反応生成物、4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)とクロロメチルオキシランとの反応生成物、分子内に2個の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシド等が挙げられ、これらを用いることができる。
【0020】
さらに、樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みを著しく低下させることなく高い圧縮弾性率を付与するために、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、1,6-ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、アニリンのジグリシジルアミン、o-トルイジンのジグリシジルアミン、分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種のエポキシ樹脂を、全2官能性エポキシ樹脂100重量%中10〜100重量%含ませることが好ましく、20〜100重量%含ませることがより好ましい。かかる配合比が10重量%未満であると樹脂硬化物の圧縮弾性率向上効果が充分でない場合がある。
【0021】
本発明における2官能性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が750以上、好ましくは900以上、さらに好ましくは1000以上である必要があり、さらにかかる2官能性エポキシ樹脂を、該2官能性エポキシ樹脂100重量%中に5〜50重量%含ませることが必要である。エポキシ当量が750未満であると樹脂硬化物が充分な圧縮破壊時呼び歪みを発現しない場合がある。かかるエポキシ当量が750以上の2官能性エポキシ樹脂を適量含ませることで、樹脂硬化物にさらに高度な圧縮破壊時呼び歪みを付与し、非繊維方向の圧縮強度を向上させることが可能であるが、その配合比が5重量%未満であるとその効果は十分でなく、また50重量%を超えると未硬化の樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、強化繊維への含浸性や、プリプレグ同士の接着性、プリプレグの柔軟性などの取り扱い性などを損なう場合があるので好ましくない。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、得られる炭素繊維強化複合材料の耐熱性の向上や圧縮弾性率向上等のため、樹脂硬化物の圧縮破壊時呼び歪みを著しく損なわない程度に、分子内に2個を超えるエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を含ませると好ましい。
【0023】
多官能エポキシ樹脂としては特に限定されないが、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテルおよびその誘導体、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテルおよびその誘導体、グリセリンのトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエーテル、フェノールやアルキルフェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール誘導体から得られるノボラックのグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルm-キシリレンジアミン、トリグリシジル-m-アミノフェノール、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート等を用いることができる。
【0024】
また、構成要素(A)中には、樹脂硬化物の圧縮弾性率向上やなどのために、N-グリシジルフタルイミドなどのイミド骨格含有単官能エポキシ樹脂も含ませることが出来る。
【0025】
本発明における構成要素(B)の硬化剤としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミンのような活性水素を有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族アミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポリカルボン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフェノール化合物、チオグリコール酸とポリオールのエステルのようなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム塩などを用いることができる。
【0026】
これらの硬化剤には、硬化活性を高めるために適当な硬化助剤を組合わせることができる。好ましい例としては、ジシアンジアミドに、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(DCMU)、3-(3−クロロ−4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘導体を硬化助剤として組合わせる例、カルボン酸無水物やノボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組合わせる例などが挙げられ、本発明に用いることができる。
【0027】
本発明に用いる炭素繊維としては、例えば、アクリル系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が挙げられる。中でも、引張強度の高いアクリル系が好ましい。また、本発明における炭素繊維には、黒鉛繊維も含むことができる。
【0028】
本発明における炭素繊維としては、軽量なゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などのスポーツ用品に、少量の材料で充分な剛性を発現させ得るように、引張弾性率の高い炭素繊維を用いることが好ましい。かかる炭素繊維は、その引張弾性率が380〜800GPaであるのが好ましい。
【0029】
また、本発明においては、炭素繊維と共に、強化繊維としてガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などを組み合わせて用いることができる。これらの繊維を2種以上混合して用いることもできる。
【0030】
本発明において、炭素繊維の形態としては、繊維方向が一方向に引き揃えられたものや、織物が使用できる。織物は、平織り、朱子織りなどいずれでも良い。
【0031】
炭素繊維強化複合材料の軽量化のためには、プリプレグ中の炭素繊維含有率は高いことが好ましく、プリプレグ中の炭素繊維含有率は70重量%以上であることが好ましく、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上が良い。
【0032】
本発明の炭素繊維は、エポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物との接着性を高め、炭素繊維強化複合材料の非繊維方向の圧縮強度をさらに高度なものとするために、炭素繊維の表面に、エポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するサイジング剤を付着してなることが好ましい。これら官能基を有すサイジング剤を予め炭素繊維表面に付着させることで、炭素繊維表面の官能基、および樹脂硬化物のポリマーネットワーク中の官能基との間で化学結合、あるいは水素結合などの非共有結合による相互作用を生じ、炭素繊維と樹脂硬化物との接着性を高めることができる。
【0033】
さらに、かかるサイジング剤としては、炭素繊維と樹脂硬化物との接着性を高めるため、また、後述する炭素繊維にサイジング剤を付着させる工程で溶媒として水を使用する場合に取り扱いが容易であるなどの点から、水溶性であることが好ましい。
【0034】
前記サイジング剤が付着した炭素繊維を製造する方法としては、例えば、サイジング剤を溶解又は分散させたサイジング液中に炭素繊維を通過させることで炭素繊維表面に付着させ、その後加熱して溶媒を除去する方法がある。
【0035】
本発明のサイジング剤に含ませることができるエポキシ基を有する化合物の例としては、ビスフェノールAから得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールFから得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂およびその水素添加物、ビスフェノールSから得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAから得られるテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールADから得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、1,6-ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、アニリンのジグリシジルアミン、o-トルイジンのジグリシジルアミン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のイソシアネート変性品、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、1,4-ジ-tert-ブチル-2,5-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-ベンゼン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジヒドロキシ-5,5'-ジ-tert-ブチルジフェニルスルフィドとクロロメチルオキシランとの反応生成物、4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)とクロロメチルオキシランとの反応生成物、分子内に2個の2重結合を有する化合物を酸化して得られるポリエポキシド、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテルおよびその誘導体、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテルおよびその誘導体、グリセリンのトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールのテトラグリシジルエーテル、フェノールやアルキルフェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール誘導体から得られるノボラックのグリシジルエステル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルm-キシリレンジアミン、トリグリシジル-m-アミノフェノール、トリグリシジル-p-アミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、これらを用いることができる。
【0036】
本発明のサイジング剤に含ませることができる水酸基を有する化合物の例としては、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、1,4−ブタンジオ−ル、ビスフェノ−ルAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,3−プロパンジオ−ル、1,2−シクロヘキサングリコ−ル、1,3−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、パラキシレングリコ−ル、ビシクロヘキシル−4,4'−ジオ−ル、2,6−デカリングリコ−ル、2,7−デカリングリコ−ルなどの脂肪族アルコール、あるいはこれらのプロプレンオキシドまたはエチレンオキシドの付加物などが挙げられ、これらを用いることができる。
【0037】
本発明のサイジング剤に含ませることができるアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ2ーエチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、PTMGのジメタアクリーレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ1,3ジメタクリロキシプロパン、2,2-ビス〔4-(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの分子中にアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物が挙げられ、こららを用いることができる。
【0038】
本発明のサイジング剤に含ませることができるカルボキシル基またはカルボン酸無水物基を有する化合物の例としては、ドデセニルコハク酸、ポリアジピン酸、ポリアゼライン酸、ポリセバシン酸、フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヒキサヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの酸無水物などが挙げられ、これらを用いることができる。
【0039】
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、前記構成要素(A)、(B)の他に、低分子有機化合物、オリゴマー、高分子化合物、有機または無機の粒子などの他成分を含ませることができる。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合できる低分子有機化合物添加剤としては、分子内にアミド基、ウレタン基、イミド基、スルホンアミド基などの水素結合性官能基と、構成要素(A)のエポキシ樹脂または構成要(B)の硬化剤と反応する官能基をそれぞれ有する化合物があげられ、これらを配合することで、樹脂硬化物の圧縮破壊歪みを著しく損なうことなく圧縮弾性率を高めることが可能である。
【0041】
かかる低分子有機化合物の例としては、アクリルアミド、N,N'-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアクリルアミド誘導体などが挙げられる。
【0042】
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合できるオリゴマーとしては、ポリエステル骨格およびポリウレタン骨格を有するポリエステルポリウレタン、ポリエステル骨格およびポリウレタン骨格を有し、さらに分子鎖末端に(メタ)アクリレート基を有するウレタン(メタ)アクリレート、インデン系オリゴマーなどが挙げられる。なお、ここでポリエステルポリウレタンは、エポキシ樹脂組成物を硬化する際に、その分子鎖中のエステル基が、構成要素(B)の硬化剤、特にアミノ基などの活性水素を有する硬化剤と反応する。
【0043】
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合できる高分子化合物としては、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂を配合することにより、樹脂の粘度制御やプリプレグの取扱い性制御、あるいは接着性改善の効果が増進するので好ましい。
【0044】
本発明に好適に用いることの出来る熱可塑性樹脂の例としては、ポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、アミド結合を有する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、スルホニル基を有する熱可塑性樹脂としては、ポリスルホンなどが挙げられる。ポリアミド、ポリイミド及びポリスルホンは主鎖にエーテル結合、カルボニル基などの官能基を有してもよい。ポリアミドは、アミド基の窒素原子上に置換基を有してもよい。
【0045】
熱可塑性樹脂を含有する場合は、熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂100重量部に対して1〜20重量部含有することが、エポキシ樹脂組成物に適度な粘弾性を与え、良好な複合材料物性が得られる点で好ましい。
【0046】
構成要素(A)、(B)および必要に応じて他の成分も含んでなり、本発明のプリプレグにおいて炭素繊維に含浸されて存在する未硬化のエポキシ樹脂組成物の粘弾性については、プリプレグの良好な取り扱い性を得るために、測定周波数0.5Hz、50℃での貯蔵弾性率G’が300〜50000Paであることが好ましい。G’が300Paに満たない場合には、プリプレグ表面同士の接着強度(以下、プリプレグの接着強度という)が弱く、プリプレグの積層工程において、重ねられたプリプレグがすぐに剥離して積層作業に支障をきたす場合があるので好ましくない。またG’が50000Paを超えると、プリプレグの柔軟性が悪化して曲面への賦形性が十分でなくなる、強化繊維への含浸性が悪くなるなどの問題が生じる場合があるので好ましくない。このような粘弾性は、構成要素(A)に含まれるエポキシ樹脂成分の種類とその配合比の適正化、あるいは前記熱可塑性樹脂を適量含ませることなどにより達成される。
【0047】
以下、本発明で好適に適用できるプリプレグの製造方法、及びこれを積層して加熱硬化して炭素繊維強化複合材料を得る方法について説明する。
【0048】
本発明のプリプレグは、例えばマトリックス樹脂をメチルエチルケトン、メタノールなどの溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウエット法、あるいは加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法などの方法により製造することができる。
【0049】
ウェット法では、炭素繊維をマトリックス樹脂を含む液体に浸漬した後、引き上げ、オーブンなどを用いて溶媒を蒸発させてプリプレグを得ることができる。
【0050】
ホットメルト法では、加熱により低粘度化したマトリックス樹脂を直接炭素繊維に含浸させる方法、あるいは一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙などの上にコーティングしたフィルムをまず作成し、ついで炭素繊維の両側あるいは片側から該フィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂を含浸させたプリプレグを製造することができる。ホットメルト法は、プリプレグ中に残留する溶媒がないため好ましい。
【0051】
本発明のプリプレグは、エポキシ樹脂組成物が必ずしも炭素繊維束の内部まで含浸されている必要はなく、シート状に一方向に引き揃えた炭素繊維や、炭素繊維織物の表面付近にエポキシ樹脂組成物を局在化させておいても良い。
【0052】
本発明のプリプレグを用いて炭素繊維複合材料を成形するには、プリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法などを用いることができる。
【0053】
熱及び圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法などがあり、特にスポーツ用品に関しては、ラッピングテープ法、内圧成形法が好ましく採用される。
【0054】
ラッピングテープ法は、マンドレルなどの芯金にプリプレグを巻いて、管状体を成形する方法であり、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などの棒状体を作製する際に好適である。具体的には、マンドレルにプリプレグを巻き付け、プリプレグの固定及び圧力付与のために、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを巻き付け、オーブン中で樹脂を加熱硬化させた後、芯金を抜き去ることで管状体を得ることができる。
【0055】
内圧成形法では、熱可塑性樹脂のチューブなどの内圧付与体にプリプレグを巻きつけたプリフォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力をかけると同時に金型を加熱することによって管状体を成形することができる。
【0056】
また、本発明の炭素繊維複合材料を得る方法としては、プリプレグを用いて得る方法の他に、ハンドレイアップ、RTM、SCRIMP、フィラメントワインディング、プルトルージョン、RFIなど、公知の成形法を目的に応じて選択し適用することが出来る。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。樹脂硬化物の圧縮試験、プリプレグの作製、複合材料の6°圧縮強度、炭素繊維複合材料製管状体の作製、管状体のねじり強さ測定は次の方法で行った。
(1)炭素繊維の引張弾性率
JIS−R−7601法に従い、含浸樹脂として脂環式エポキシ樹脂(ERL4221、ユニオン・カーバイド日本(株)製)/三フッ化ホウ素・モノエタノールアミン錯体(100重量部/3重量部)の有機溶媒溶液を用いてストランドに含浸し、加熱硬化(130℃、35分)後、ストランド引張試験機を用いて、試長200mm、引張速°60mm/分の条件で測定した。
(2)樹脂硬化物の圧縮試験
樹脂組成物を80℃に加熱して真空ポンプにて脱泡後、モールドに注入し、130℃で90分間加熱処理することにより、厚さ6mmの樹脂硬化物の板を作製した。ついで、樹脂硬化物の板から一辺の長さが6mmの立方体の試験片を切り出し、試験速度1±0.2mm/分で、他の条件はJIS K7181に基づいた条件により圧縮弾性率、圧縮破壊時呼び歪みを測定した。
(3)プリプレグの作製
樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布し、樹脂目付20g/m2の樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に整列させた炭素繊維に樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、100℃に加熱した金属ロールで挟み、加熱加圧して樹脂組成物を含浸させる。
【0058】
含浸後、片側の離型紙をプリプレグからはぎ取り、はぎ取られた側の面にポリエチレンフィルムを貼り付け、一方の側に離型紙、もう一方の側にポリエチレンフィルムを配した状態で巻き取ることにより、炭素繊維目付125g/m、炭素繊維含有率が76重量%であるプリプレグを得た。
(4)複合材料の6°圧縮強度
一方向プリプレグシートを繊維の方向が同じ方向になるように、また積層板の厚みがほぼ1mmとなるようにプリプレグシートを積層し、オートクレーブ中で温度130℃、圧力290Paで2時間加熱加圧して硬化し、一方向複合材料を作製した。得られた一方向複合材料を、強化繊維の角度が6°になるよう切り出し、JIS−K−7076法に従い測定した。
【0059】
一方向材料の厚み、繊維目付、繊維密度、積層プライ数から繊維体積含有率(Vf)を算出し、得られた6°圧縮強度を強化繊維の体積含有率60%のときの値に換算した。
(5)炭素繊維強化複合材料製管状体の作製
下記(a)〜(e)の操作により、円筒軸方向に対して[03/±453]の積層構成を有し、内径が10mmの繊維複合材料製管状体を作製した。マンドレルには直径10mm(長さ1000mm)のステンレス製丸棒を使用した。
(a)一方向プリプレグを繊維の方向がマンドレルの軸方向に対して45度になるように、縦800mm×横106mmの長方形に2枚切り出した。この2枚を繊維方向が互いに交差するように、16mm(マンドレル半周分に対応)ずらして貼り合わせた。
(b)貼り合わせたプリプレグを、離型処理したマンドレルに、プリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致するように巻き付けた。(バイアス材)
(c)その上に、プリプレグを繊維の方向が縦方向になるように、縦800mm×横118mmの長方形に切り出したものをプリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致するように巻き付けた。(ストレート材)
(d)ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻きつけ、硬化炉中で130℃、90分間加熱成形した。
(e)成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテープを除去して管状体を得た。
(5)管状体のねじり強さの測定
内径10mmの管状体から長さ400mmの試験片を切り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準及び基準確認方法」(製品安全協会編、通称産業大臣承認5産第2087号、1993年)に記載の方法に従い、ねじり試験を行った。試験片ゲージ長は300mmとし、試験片両端の50mmを固定治具で把持した。捻り強さは次式により求めた。測定は23℃、相対湿度50%RHの環境下で行った。
【0060】
ねじり強さ(N・m・deg)=破壊トルク(N・m)×破壊時のねじれ角(deg)
以下、実施例を示すが、樹脂組成や物性測定データは表1にまとめて記す。
【0061】
(実施例1)
表1に示す原料をニーダーで混合し、ポリビニルホルマールが均一に溶解したエポキシ樹脂組成物を得た。
【0062】
この樹脂組成物を加熱処理して得られた樹脂硬化物について圧縮試験を行ったところ、圧縮弾性率、圧縮破壊時呼び歪みともに高い値を示した。
【0063】
この樹脂組成物と、一方向に引き揃えた引張弾性率382GPa、表面にポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを付着させた炭素繊維を用い、前記した操作に従ってシート状のプリプレグ(A−1)を作製した。
【0064】
プリプレグ(A−1)から得られた一方向複合材料について前記した方法に従って6°圧縮強度を測定したところ充分に高い強度を示した。
【0065】
次に、引張弾性率295GPa、炭素繊維目付125g/m2、炭素繊維の含有率が76重量%である東レ(株)製プリプレグP2255F−12Rをストレート材として、プリプレグ(A−1)をバイアス材として用い、前記した方法で管状体を作製し、そのねじり強さを測定したところ充分に高い値を示した。
【0066】
(実施例2,3)
表1に示す樹脂組成物を用いた他は、実施例1と同様に評価したところ、充分に高い樹脂圧縮弾性率、樹脂圧縮破壊時呼び歪み、複合材料の6°圧縮強度、管状体ねじり強さを示した。
【0067】
(実施例4)
実施例1と同一の樹脂組成物を用い、炭素繊維として表面にサイジング剤を付着していないものを用いた他は実施例1と同様に評価したところ、実施例1には劣るものの、複合材料の6°圧縮強度、管状体ねじり強さは高い値を示した。
【0068】
(比較例1)
表1に示す樹脂組成物を用いた他は、実施例1と同様に樹脂硬化物の圧縮試験を行ったところ、圧縮弾性率が低く、これに起因して複合材料の6°圧縮強度、管状体ねじり強さも低かった。
【0069】
(比較例2)
表1に示す樹脂組成物を用いた他は、実施例1と同様に樹脂硬化物の圧縮試験を行ったところ、圧縮弾性率は高いものの圧縮破壊時呼び歪みが低く、これに起因して6°圧縮強度、管状体のねじり強さは低かった。
【0070】
【表1】
Figure 0003864751
【0071】
【発明の効果】
本発明の繊維強化複合材料は、優れた材料強度、特に繊維方向とは異なる方向の圧縮応力に対する強度に優れる。これにより、優れた衝撃強度を有し、軽量化も達成された繊維強化複合材料製管状体が得られるようになる。
【0072】
本発明の繊維強化複合材料製管状体は、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿、自転車用フレーム、バトミントンラケット用シャフト、自転車用フレーム・ハンドル、車椅子用フレーム、ホッケー用スティックなどに好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 下記構成要素(A)、(B)を含んでなり、加熱硬化後の樹脂硬化物の圧縮弾性率が2.7GPa〜3.5GPaであり、かつ、圧縮破壊時呼び歪みが60%以上であることを特徴とする炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
    (A)2官能性エポキシ樹脂を75〜100重量%含み、かつ、該2官能性エポキシ樹脂の5〜50重量%がエポキシ当量750以上であるエポキシ樹脂
    (B)硬化剤
  2. ビスフェノールF型エポキシ樹脂、1,6-ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル、アニリンのジグリシジルアミン、o-トルイジンのジグリシジルアミン、分子内にオキサゾリドン環を有するエポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種のエポキシ樹脂を、2官能性エポキシ樹脂100重量%中10〜100重量%含んでなることを特徴とする請求項に記載の炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物と炭素繊維を含んでなることを特徴とするプリプレグ。
  4. 該炭素繊維が、その表面に、エポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するサイジング剤が付着してなることを特徴とする請求項に記載のプリプレグ。
  5. 該炭素繊維の引張弾性率が380〜800GPaであることを特徴とする請求項またはに記載のプリプレグ。
  6. 請求項1または2に記載の炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物と、炭素繊維を含んでなることを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
  7. 該炭素繊維が、その表面に、エポキシ基、水酸基、アクリレート基、メタクリレート基、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するサイジング剤が付着してなることを特徴とする請求項に記載の炭素繊維強化複合材料。
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