JP2003201326A - ポリウレタン樹脂組成物及びポリウレタン樹脂組成物の製造方法並びに伝動ベルト - Google Patents

ポリウレタン樹脂組成物及びポリウレタン樹脂組成物の製造方法並びに伝動ベルト

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JP2003201326A
JP2003201326A JP2002001808A JP2002001808A JP2003201326A JP 2003201326 A JP2003201326 A JP 2003201326A JP 2002001808 A JP2002001808 A JP 2002001808A JP 2002001808 A JP2002001808 A JP 2002001808A JP 2003201326 A JP2003201326 A JP 2003201326A
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Japan
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polyurethane resin
resin composition
nonionic surfactant
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belt
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JP2002001808A
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English (en)
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Gakushiyu Okazawa
学秀 岡沢
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウレタンプレポリマーと硬化剤の系に滑剤成
分を配合するにあたって、硬化反応が阻害されることの
なく滑性効果を呈するポリウレタン樹脂組成物、及びポ
リウレタン組成物の製造方法、並びに伝動ベルトを提供
する。 【解決手段】 ウレタンプレポリマー、硬化剤、活性水
素を有する官能基の含有量が100以下の非イオン性界
面活性剤、そして必要に応じて触媒を配合してポリウレ
タン樹脂組成物を調製する。活性水素を有する官能基の
含有量が100以下の非イオン性界面活性剤を用いるこ
とでウレタンプレポリマーの高分子量化反応が阻害され
ず、得られた成形体は充分な硬度を有すると共に滑剤効
果を奏することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリウレタン樹脂
組成物、及びポリウレタン樹脂組成物の製造方法、並び
に前記ポリウレタン樹脂組成物から形成された伝動ベル
トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】動力伝動用などに用いられるベルトとし
てVベルトや歯付ベルトなどが従来から提供されている
が、ベルトの材料にゴムよりも強度の高いポリウレタン
樹脂を用いたポリウレタン製ベルトがある。このような
ポリウレタン製ベルトにおいて走行時に発生する騒音を
低減させるために、ポリウレタン樹脂に滑剤を配合して
表面の摩擦係数の低減を図る試みがなされている。
【0003】この滑剤としては従来より種々の物質が提
案されており、界面活性剤もまた潤滑効果を呈するもの
として知られている。界面活性剤はイオン性界面活性剤
と非イオン性界面活性剤に大別され、イオン性界面活性
剤は樹脂と比較的相溶性が高く、非イオン性界面活性剤
は樹脂との相溶性が少ないといった特性がある。滑剤は
一般に、樹脂と相溶性が良好であれば内部滑性が主とな
り流れは向上するが、成型品の熱変形温度が低下すると
いった性質を有する。一方、相溶性の少ない滑剤を用い
た場合は成型品の外部滑性が増加するといった性質があ
る。つまり、非イオン性界面活性剤を配合したウレタン
はイオン性界面活性剤を配合したウレタンに比べて成型
品の外部滑性、熱変形温度が高く、ひいては摩擦係数低
減効果に優れるのではないかと本発明者は注目した。
【0004】ところでポリウレタンの製造方法として
は、ウレタンプレポリマー、硬化剤、及び滑剤成分を配
合し、加熱することで、重合反応を行なって硬化物を得
る。ところが滑剤成分として非イオン性界面活性剤を選
定するに際し、ポリウレタンの高分子量化反応性を阻害
する因子があることを本発明者らは見出した。
【0005】ウレタンの高分子量化反応を説明すると、
硬化剤にアミン系硬化剤を用いた場合、ウレタンプレポ
リマーとアミン系硬化剤の基本的な反応は、「化1」に
みられるように、ウレタンプレポリマーの末端NCOと
アミン系硬化剤の末端NHとがウレア結合し、さらに
両末端の反応基がさらにウレア結合して高分子量化する
ことによって行なわれる。
【0006】
【化1】
【0007】そしてNCO/NHのモル比は通常1を
超えるため、「化1」の反応で余剰のNCOは、「化
1」の反応で得られた高分子量体のウレア基もしくはウ
レタン基を攻撃し、「化2」のように、ビュレット基や
アロファネート基を形成して、三次元架橋するのであ
る。
【0008】
【化2】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが非イオン性界
面活性剤は親水性を付与するために、水中では解離しな
いが親水性を有する基、具体的には、水酸基、酸アミド
基、エステル基などが導入されており、これらが高分子
量化反応性を阻害する因子となりうる。例えば水酸基の
ような活性水素を有する官能基を含有した非イオン性界
面活性剤が存在すると、「化3」のように、滑剤が有す
る水酸基がウレタンプレポリマーのNCOと反応し、上
記の「化1」のような高分子量化の反応の進行が阻害さ
れる。
【0010】
【化3】
【0011】従って、高分子量のポリウレタン硬化物を
得ることができない結果、硬化物の硬度が低下したり、
耐摩耗性が低下したりするおそれがあるという問題を有
するものであった。尚、構造上、水酸基を含有しない非
イオン性界面活性剤であっても、生成に際し、未反応物
があると滑剤成分中に水酸基が含有される結果となるこ
ともある。
【0012】そこで、本発明者は上記知見をもとに鋭意
研究を重ねた結果、硬化物の硬度、耐摩耗性が低下する
ことなく、摩擦係数低減効果のあるポリウレタン樹脂組
成物及びその製造方法並びにポリウレタン製ベルトを提
供するに至るものである。また滑剤成分にイオン性を持
たない界面活性剤を用いることで酸、アルカリ、塩類の
配合剤と併用しても、性能に変化を受けることが少ない
といった特徴がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の請求項1
に係るポリウレタン樹脂組成物は、ウレタンプレポリマ
ー、硬化剤、及び、活性水素を有する官能基の含有量が
100以下の非イオン性界面活性剤を配合して成ること
を特徴とする
【0014】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、活性水素を有する官能基の含有量が、水酸基価、酸
価、そしてアミノ基含有量であることを特徴とする。
【0015】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、非イオン性界面活性剤が、多価アルコール脂肪
酸エステル系もしくは/そして酸化エチレン系であるこ
とを特徴とする。
【0016】また請求項4の発明は、ポリウレタン樹脂
組成物の製造方法にあって、ウレタンプレポリマー、硬
化剤、及び、活性水素を有する官能基の含有量が100
以下の非イオン性界面活性剤を配合し、加熱硬化するこ
とを特徴とする。
【0017】本発明の請求項5は、請求項4において、
活性水素を有する官能基の含有量が、水酸基価、酸価、
そしてアミノ基含有量であることを特徴とする。
【0018】本発明の請求項6は、請求項4又は5にお
いて、非イオン性界面活性剤が、多価アルコール脂肪酸
エステル系もしくは/そして酸化エチレン系であること
を特徴とする。
【0019】本発明の請求項7は、伝動ベルトにあっ
て、ベルト本体が請求項1乃至3のいずれかに記載のポ
リウレタン樹脂組成物を成形して成ることを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0021】ポリウレタン硬化物は液状のポリウレタン
樹脂組成物を注型して加熱・硬化させることによって得
られるが、一般に成形法としては、ポリオール、触媒、
鎖延長剤、顔料等を混合したプレミックス液と、イソシ
アネート成分を含有する溶液とを混合し、これを注型し
て硬化反応させるワンショット法と、予めイソシアネー
トとポリオールを反応させ、イソシアネートの一部をポ
リオールで変性したプレポリマーを用い、これに触媒を
加えて注型し、硬化反応させるプレポリマー法とがあ
る。本発明ではプレポリマー法を好ましく採用する。
【0022】イソシアネートとしては限定されるもので
はないが、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソ
シアネート、脂環式ポリイソシアネート、またそれらの
変性体が使用可能である。具体的には、トルエンジイソ
シアネート(TDI)、メチレンジイソシアネート(M
DI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフ
タレンジイソシアネート(NDI)、ヘキサメチレンジ
イソシアネート(HDI)そしてイソホロンジイソシア
ネート(IPDI)などが例示できるが、中でもTDI
及びMDIが好ましく用いられる。
【0023】ポリオールとしては、エステル系ポリオー
ル、エーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリ
ブタジエンポリオール、及びこれらの混合ポリオール等
が挙げられる。エーテル系ポリオールとしては、ポリエ
チレンエーテルグリコール(PEG)、ポリプロピレン
エーテルグリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエ
ーテルグリコール(PTMG)などがあり、またエステ
ル系ポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(P
EA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキ
サメチレンアジペート(PHA)、ポリ−ε−カプロラ
クトン(PCL)などが例示できる。なかでも、耐湿性
や耐水性に優れると共に強靭な物性とヒステリシスロス
の小さい特性を有する成形品が得られるポリテトラメチ
レンエーテルグリコール(PTMG)が好適に用いられ
る。
【0024】また本発明においてアミン系硬化剤として
は、特に限定されるものではないが、1,4−フェニレ
ンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、1,5−ナフ
タレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタ
ン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニ
ルメタン(MOCA)、3,3′−ジメチル−4,4′
−ジアミノジフェニルメタン、1−メチル−3,5−ビ
ス(メチルチオ)−2,6−ジアミノベンゼン、1−メ
チル−3,5′−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼ
ン、4,4′−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6
−ジエチルアニリン)、4,4′−メチレン−ビス−
(オルト−クロロアニリン)、4,4′−メチレン−ビ
ス−(2,3−ジクロロアニリン)、トリメチレングリ
コ−ル−ジ−パラ−アミノベンゾエート、4,4′−メ
チレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,
4′−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニ
リン)、4,4′−メチレン−ビス−(2−メチル−6
−ジイソプロピルアニリン)、4,4′−ジアミノジフ
ェニルスルホンなど、1級アミン、2級アミン、3級ア
ミンのアミン化合物を例示することができる。アミン系
硬化剤の配合量は、アミン系硬化剤中のNHのモル数
とイソシアネート中のNCOのモル数の比であるα値
(NH/NCO)が1付近になるように、好ましくは
0.90〜1.10の範囲になるように設定するのがよ
い。一般にα値は0.95付近が硬化物の物性が最も良
好であり、α値が上記の範囲から外れると、硬化物の物
性が低下する傾向がみられる。
【0025】また、本発明においては、活性水素を有す
る官能基の含有量が100以下の非イオン性界面活性剤
を配合して成ることを特徴とする。活性水素を有する官
能基の含有量とは、具体的には水酸基価、酸価、アミノ
基含有量をいう。尚、この活性水素を有する官能基の含
有量を100以下に設定することで、ウレタンの高分子
量化反応が阻害されず、充分な硬度を有する成形体を得
ることができる。
【0026】非イオン性界面活性剤としては、酸化エチ
レン系、多価アルコール脂肪酸エステル系、脂肪酸アル
キロールアミド系、ポリエチレンイミン系が挙げられ、
具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオ
キシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエチレ
ンジアミン、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビタントリ脂肪酸エステル、エチレングリコール
モノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ脂肪酸
エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、
グリセリンモノ脂肪酸エステル、ペンタエリトリットモ
ノ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソ
ルビタンセスキ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸
エステルなどが例示できる。上記脂肪酸としては高級脂
肪酸が好適である。尚、HLBは13以上のものが滑性
に適したものとして好ましく用いられる。これらは一種
を単独で用いる他、二種以上を併用することもできる。
【0027】この活性水素を有する官能基の含有量が1
00以下の非イオン性界面活性剤の配合量は、ウレタン
プレポリマー100質量部に対して、0.5〜10質量
部の範囲に設定するのが好ましい。0.5質量部未満の
配合であると、界面活性剤の配合による滑性向上の効果
を十分に得ることが難しい。また配合量が10質量部を
超えると、ウレタンの高分子量化反応の阻害が大きくな
り、ポリウレタン製ベルトに硬度低下、耐摩耗性低下な
どの悪影響がでるおそれがある。
【0028】また本発明において触媒を配合することが
可能である。触媒としては、有機カルボン酸化合物、具
体的にはアゼライン酸、オレイン酸、セバシン酸、アジ
ピン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸
などの芳香族カルボン酸を挙げることができるが、これ
らのなかでも、アゼライン酸、オレイン酸、アジピン酸
がより好ましい。その他に、トリエチルアミン、N,N
−ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミ
ンに代表されるアミン化合物、スタナスオクトエート、
ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンマーカプチ
ドに代表される有機金属化合物が適宜用いられる。これ
らは一種を単独で用いる他、二種以上を併用することも
できる。触媒の配合量は、プレポリマー100質量部に
対して、0.01〜10.0質量部の範囲が好ましく、
さらに好ましくは0.01〜3.0質量部である。触媒
の配合量が0.01質量部未満であると、反応促進効果
を十分に得ることが難しくなり、また10.0質量部を
超えると、硬度調整が困難になる等の不具合が生じるお
それがある。
【0029】尚、このようにポリウレタンを硬化させる
にあたって触媒を配合すると、アミン系硬化剤のNH
基の反応促進に働いて、ウレタンプレポリマーとアミン
系硬化剤との反応を促進し、既述の「化1」のような高
分子量化の反応が行なわれる。従って、ポリウレタン組
成物の硬度速度が促進され、成形体の生産性に優れると
いった効果がある。
【0030】上記の各成分の他に、添加剤として、可塑
剤、顔料、消泡剤、充填材、安定剤等を配合することが
できる。可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(DO
P)、フタル酸ジブチル(DBP)、アジピン酸ジオク
チル(DOA)、リン酸トリクレジル(TCP)、塩素
系パラフィン、フタル酸ジアルキルなどを用いることが
できる。
【0031】そして上記のウレタンプレポリマー、硬化
剤、活性水素を有する官能基の含有量が100以下の非
イオン性界面活性剤、さらに必要に応じて触媒や各種の
添加剤を配合することによって、本発明に係るポリウレ
タン樹脂組成物を得ることができる。
【0032】ここで、ポリウレタン樹脂組成物は、ウレ
タンプレポリマーに必要に応じて消泡剤と可塑剤を配合
したA液、硬化剤と必要に応じて触媒を配合したB液、
活性水素を有する官能基の含有量が100以下の非イオ
ン性界面活性剤を配合したC液から調製し、成形を行な
う際に、A液、B液、C液を混合して、ポリウレタンを
硬化させるようにすることができる。A液、B液、C液
の混合は、これらを同時に混合する他に、B液とC液を
先に混合しておき、これにさらにA液を混合することに
よって、ポリウレタンを硬化させるようにしてもよい。
【0033】そして、上記のようにして得られたポリウ
レタン樹脂組成物を用いて、Vベルト、Vリブドベル
ト、歯付ベルトなどの伝動ベルトを作製することができ
る。そしてこのポリウレタン製ベルトにおいて、活性水
素を有する官能基の含有量が100以下の非イオン性界
面活性剤によってベルト表面の滑性が向上し、走行時の
騒音を低減することができると共に、また摩耗を低減す
ることができるものである。
【0034】図1に本発明に係る歯付ベルト1を示す。
歯付ベルト1はベルト長手方向に沿って複数の歯部2
と、該ベルト本体のベルトピッチライン上に補強用心体
である心線3をスパイラル状に埋設した背部4からなる
ベルト本体で構成される。尚、上記歯部2の表面には必
要に応じて基布が貼着されている。
【0035】ベルト成形方法としては従来の製造方法と
同じく、金型に心線をスパイラルに巻きつけた状態で、
上記A液、B液、C液を攪拌混合して金型内に注入し、
一定条件下で加熱して架橋させることによってベルトス
リーブを作製し、その後所定幅にカットすることによっ
てベルトを製造することができる。
【0036】心線3は、アラミド繊維、ガラス繊維、ポ
リエステル繊維、ポリアリレート繊維等のフィラメント
群を撚り合わせた撚糸コードである。撚糸コードは、ト
ータルが100〜3,000texとなるよう調節する
ことが好ましい。トータルが100tex未満の場合に
は、心線のモジュラス、強力が低くなり過ぎ、また3,
000texを越えると、心線の径が太くなるためベル
トの厚みが増し、屈曲疲労性が悪くなる。上撚り、下撚
りの撚り係数、そして諸撚り、片撚り等の撚り構成は使
用目的に応じ、任意に設定可能である。
【0037】心線3には接着処理を施すことが望まし
い。接着処理剤としては、シランカップリング剤、エポ
キシ化合物、イソシアネート化合物、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂、RFL溶液、そしてゴム糊等からな
る接着剤を1段階もしくは多段階処理する手法がある。
具体的に例示すると、RFL溶液で処理する方法、エポ
キシまたはイソシアネート化合物で前処理した後にRF
L溶液で処理する方法、エポキシまたはイソシアネート
化合物を配合したRFL溶液で処理する方法、更にこれ
らの処理に加えて、ゴム糊でオーバーコートする方法な
どが挙げられる。尚、本発明においては、ベルト本体が
ウレタン組成物で構成されていることから、イソシアネ
ート化合物を含有する接着剤で処理すると高い接着効果
が期待できる。この効果は1段階処理しただけでも効果
が顕著である。
【0038】前記コードは、スピニングピッチ、即ち心
線の巻き付けピッチを0.1〜1.3mmにすること
で、モジュラスの高いベルトに仕上げることができる。
0.1mm未満になると、コードが隣接するコードに乗
り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを越える
と、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる。
【0039】さらに、背部4の表面や、ベルト歯部2か
らベルト溝部にかけての表面には、基布を積層するよう
にしても良い。基布は、織物、編物、不織布等から選択
される繊維基材であって、基布を構成する繊維素材とし
ては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等
の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そ
してポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウ
レタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアク
リル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、
全芳香族ポリアミド等の有機繊維が挙げられる。また織
物の場合、その織りを限定するものではなく、平織、綾
織、朱子織等に製織した基布を用いることが可能であ
る。
【0040】基布は無処理のまま用いても良いが、公知
技術に従ってディップ処理及びコート処理を施すことも
可能である。熱硬化性ウレタン及びイソシアネートをト
ルエン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させた処理
液(ディップ液)に繊維基材を浸漬させ、コート液を一
定の厚みでラミネートして繊維基材に接着処理を施す。
コート液はディップ液とほぼ等しい組成を有する処理液
だが、ディップ液と比べて熱硬化性ウレタンの割合が多
く、粘度が高い。
【0041】尚、上記歯付ベルトは本発明の実施の一形
態であって、これに限定されるものではない。例えば、
Vベルト、Vリブドベルト等の伝動ベルトも、本発明の
技術範囲に含まれるものである。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0043】実施例1〜4,比較例1〜3 表1の配合でポリウレタン樹脂組成物を得た。ここで、
プレポリマーとしてPTMG−TDIプレポリマー(U
NIROYAL社製商品名「アジプレンL−10
0」)、アミン系硬化剤としてMOCA、消泡剤として
シリコン化合物、そして表1に示す滑剤成分をそれぞれ
用いた。尚、比較例1は滑剤成分が配合されていない。
【0044】
【表1】
【0045】上記の実施例1〜4及び比較例1〜3のポ
リウレタン樹脂組成物について、その硬化特性をキュラ
ストメータ(加硫試験機)による弾性トルクの測定によ
って評価した。すなわち、表1の配合に従ってまず、ウ
レタンプレポリマー、消泡剤を室温で攪拌混合してA液
を、硬化剤を120℃で加熱して溶融攪拌することによ
ってB液を、滑剤成分を60℃で溶融させてC液をそれ
ぞれ調製し、そしてB液とC液を120℃で混合した後
に、この液とA液を混合機によって攪拌混合したあと、
樹脂用ダイスに投入し、測定温度(硬化温度)110
℃、振幅幅(1/4)°の条件でキュラストメータによ
って弾性トルクを測定し、硬化曲線を得た。その結果を
図2に示す。
【0046】図2の硬化曲線にみられるように、水酸基
価が170から200の非イオン性界面活性剤を配合し
た比較例2では200分経過後に硬化が進行し、水酸基
価が303.3の非イオン性界面活性剤を配合した比較
例3では300分経過後も硬化が殆ど進まず、ウレタン
硬化反応が阻害されていることがわかる。これに対し
て、水酸基価が100以下の非イオン性界面活性剤を配
合した実施例1〜4では、硬化が正常に進んで硬化物が
弾性体になっており、ウレタン硬化反応が正常に進行す
ることが確認された。
【0047】次に、実施例2,3及び比較例1で得たポ
リウレタン樹脂組成物を成形することによって、厚さ5
mmのポリウレタン樹脂シート(φ16.2mm)を作
製し、この樹脂シートの摩擦係数を測定した。尚、用い
た試験機は東洋精機社製TR形摩擦測定機で、引張速度
100mm/min、25°C×50%の試験条件にて
測定を行なった。結果を表2に記す。
【0048】
【表2】
【0049】表2によれば、水酸基価が100以下であ
る非イオン性界面活性剤を配合した実施例2,3では、
滑剤成分が不添加の比較例1と比較して摩擦係数が低下
しており、該界面活性剤の配合により滑剤効果が生じて
いることがわかる。
【0050】次に、実施例1,3及び比較例1の配合で
ポリウレタン製Vベルト(ポリマックス5M775ベル
ト)を作製した。そしてこのベルトを直径26.5mm
の駆動プーリと直径50.5mmの従動プーリの間に懸
架し、ミスアライメント1°、回転数3600rpm、
初期軸荷重118N(12kgf)、負荷0.26kW
の条件で500時間の走行試験を実施し、ベルト摩耗量
を測定した。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3にみられるように、水酸基価が100
以下である非イオン性界面活性剤を配合した実施例1,
3の伝動ベルトでは、摩耗量が少なく耐久性が高いもの
であった。これに対して、滑剤成分を配合していない比
較例1では摩耗が大きく発生していることが確認され
た。
【0053】
【発明の効果】上記のように本発明に係るポリウレタン
樹脂組成物、及びポリウレタン樹脂組成物の製造方法、
並びに前記ポリウレタン樹脂組成物から形成された伝動
ベルトは、ウレタンプレポリマーと硬化剤との硬化反応
が阻害されることないために、成形品の硬度、耐摩耗性
が低下することなく、摩擦係数を低減することができる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る伝動ベルトの一例である歯付ベル
トの断面斜視図である。
【図2】硬化時間と弾性トルクの関係を示すグラフであ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J034 BA07 BA08 CA02 CA04 CA05 CA15 CB03 CC08 CC09 CC10 CC12 CC13 CC61 CC62 CC65 CC67 CD08 CD13 DA01 DA03 DB03 DF01 DF12 DF20 DG04 DG05 DG06 DG08 DG09 DG14 DG22 DL01 DP18 DP19 HA06 HC03 HC12 HC22 HC61 HC67 HC71 HC73 JA42 KC17 KD02 KD12 KD21 KD27 KE02 MA12 MA16 NA05 QA02 QA03 QB13 QB16 QB19 RA11 RA19

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウレタンプレポリマー、硬化剤、及び、
    活性水素を有する官能基の含有量が100以下の非イオ
    ン性界面活性剤を配合して成ることを特徴とするポリウ
    レタン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 活性水素を有する官能基の含有量が、水
    酸基価、酸価、そしてアミノ基含有量である請求項1記
    載のポリウレタン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 非イオン性界面活性剤が、多価アルコー
    ル脂肪酸エステル系もしくは/そして酸化エチレン系で
    ある請求項1又は2記載のポリウレタン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ウレタンプレポリマー、硬化剤、及び、
    活性水素を有する官能基の含有量が100以下の非イオ
    ン性界面活性剤を配合し、加熱硬化することを特徴とす
    るポリウレタン樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 活性水素を有する官能基の含有量が、水
    酸基価、酸価、そしてアミノ基である請求4記載のポリ
    ウレタン樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 非イオン性界面活性剤が、多価アルコー
    ル脂肪酸エステル系もしくは/そして酸化エチレン系で
    ある請求項4又は5に記載のポリウレタン樹脂組成物の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 ベルト本体が請求項1乃至3のいずれか
    に記載のポリウレタン樹脂組成物を成形して成ることを
    特徴とする伝動ベルト。
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